レッキングクルー'98
【れっきんぐくるー きゅうじゅうはち】
ジャンル
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アクションパズルゲーム
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対応機種
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スーパーファミコン
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メディア
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NP版:SFメモリカセット Fブロック×6 (24Mbit)+Bブロック×1(16Kbit) ROM版:24Mbitロムカセット
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発売元
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任天堂
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開発元
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パックス・ソフトニカ
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発売日
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NP版:1998年1月1日 ROM版:1998年5月23日
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定価
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NP版:書き換え価格3,000円→2,000円(各税別) ROM版:3,800円(税別)
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プレイ人数
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1~2人 トーナメントモードは最大8人参加可
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セーブデータ
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1個(バッテリーバックアップ)
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象) ※バーチャルコンソール版より付加
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配信
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バーチャルコンソール 【WiiU】2016年9月28日/823円(税8%込)
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備考
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NP書き換え版発売後にROM版も発売
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判定
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なし
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ポイント
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リニューアルと言うより解体設定だけを汲んだ別物作品 マリオの世界観から浮いたオリジナルキャラ達 パズルゲームとしては特徴は強いが凡作 オマケでファミコン版を丸々収録
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マリオシリーズ・関連作品リンク
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概要
ファミコン用ソフト『レッキングクルー』の続編+初代の移植。
ファミコン版から数えると実に13年ぶりの新作。
前月から供給が開始されたニンテンドウパワーの新作ソフト第2弾でもある。
オリジナルはステージ内の壁やはしごなど、すべての破壊対象物を壊すことで面クリアとなる思考型アクションだったのだが、大幅に異なる作風に変化している。
後にROMカセットでも発売された。
ストーリー
旅行からひさびさに家へ帰ってきたマリオ。しかし家の周りがうす暗くなっていることに気付く。
なんとマリオがいない間にクッパのアジトが各地に建設され、国中が日陰になってしまったのだ。
マリオは日差しを取り戻すため、レッキングクルー時代のハンマーとヘルメットを身に付け一人でアジトを壊しに向かうのであった。
(ゲーム内デモより要約)
特徴
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'98は面クリア型アクションパズルではなく、
落ち物タイプの対戦型アクションパズル
になっており、相手をゲームオーバーに追い込むのが目的。
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オリジナルと共通するのは主要登場キャラクターと壁(パネル)を壊すことのみ。
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プレイヤーはキャラクターを操作してフィールド内のパネルを壊していく。
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フィールドはパネル横6枚、縦10枚。ただし、9段目以上は敗北ゾーンとなる。画面上部のライン(8段目と9段目の間)よりパネルがはみ出して3秒経つとゲームオーバーとなる。
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パネルはキャラクターの背面の独立したフィールドに積まれていくため、パネルの状態がキャラクターの動きに干渉することはない。
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十字キーで移動、Bボタンでジャンプ、A,Yボタンで背面にあるパネルの破壊。Xボタンでパネルの任意追加(上から一列降ってくる)。
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消すべきパネルは時間経過またはXボタンで落とすか、あるいは相手の青パネルによる攻撃により下からせり上がってくる。
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Xボタンでパネルを落とした場合、2回落とすごとに1枚の割合で、壊すと四方2マスを爆破してくれる爆弾パネルが降ってくる。
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画面端(1P側は左、2P側は右)にはハンドルが横列ごとに1つずつ設置してあり、これをA,Yボタンで叩くことでその列のパネルを横にスライドできる。
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同色のパネルを3つ以上縦または横に並べることで消える。パネルの破壊・スライドにより位置をずらして消していくことになる。
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同色で4枚以上のパネルを一度に消したり、パネルを消した後にその上のパネルが落下して連鎖が起こると、パネルの色に応じた攻撃が相手フィールド内に起こる。
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パネルの色と効果の詳細
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赤:触れると一定時間操作不能になる敵が最上段の土管から出てくる。最下段の土管に入って退去するまでフィールドをうろつき回る。
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連鎖や同時消しが大きいと、敵の数が増えたり大きな敵や遅い敵、弾を飛ばす敵など厄介な敵が出現する。
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敵は踏むことで押し出され、退去を早めることが可能。浮いているため踏みにくい敵もいる。
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青:下から新しいパネルが出てきてせり上がる。
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連鎖や同時消しが起きた場所と線対称の位置にある場所がせり上がるようになっている。
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緑:相手パネルの一部が横一列単位でブロックに変化してしまう。
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ブロックは何色でもない扱いで並べて消すことができず、一度破壊しないと通常のパネルに戻らない。
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黄:爆弾パネルでしか消せない鉄板が降る。
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緑のブロック化より数は少ないが、その分対処が困難。
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パネルを全てなくし、モンスターもいない状態を作る(『ぷよぷよ』シリーズで言う「全消し」)と、「NICE!」と表示され、次の攻撃が若干強力になるボーナスがかかる。
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同色を9個以上同時に消すと、ヘルメットを被ったクッパと「安全第一」の文字が描かれた巨大な看板が相手フィールドに落ちてきて、無条件で勝利となる。
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唐突に看板がドスッと落ちてきてゲーム終了となる有様は割とシュール。
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9個消しは狙おうと思えばある程度狙える程度の難易度。対人戦で発動するのは困難だろうが、CPU戦だと割と決まったりする。
ゲームモード
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ストーリーモード
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クッパの手によって建てられたアジトを破壊していく。全5ステージ+隠し4ステージ。
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隠しステージに行くためには、特定のステージで一定時間以内に勝利する必要がある。
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対戦モード
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2P、あるいはCOMを相手に対戦することができる。最初はマリオとナスビ仮面しか選べないが、ストーリーモードを進めると最大12キャラまで増やせる。
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ゲームレベル(1~8)の設定次第でハンデ戦もできる。レベルが高いほど開始時の鉄板が多くなる。
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トーナメントモード
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ストーリーモードクリア後に選べるようになる。最大8人が参加できる(不足分はコンピュータが参加)。
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この他、操作方法やゲームルールの解説が見られる「ヘルプ」、データを初期化できる「データ管理」のメニューがある。
評価点
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ストーリーモードのデモシーンにおいて無個性だった旧作のキャラクターを掘り下げている。
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ラストのクッパを焚きつけていた黒幕は実はあの人でした、というオチはだれもが納得できるだろう。
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同一開発元の『平成 新・鬼ヶ島』や『スヌーピーコンサート』にも見られた手書き風のグラフィックもなかなか。
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レッキングクルーのキャラクターだけでなく、ピーチやクッパなど後に登場したマリオシリーズのキャラも参戦。
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ヘルメットを付けて壁をたたき壊すピーチ姫を見られるのはこのゲームくらいなのではないだろうか。
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ファミコン版『レッキングクルー』をまるまる収録している。
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隠しタイトルではないのでゲーム開始後すぐに遊ぶことができる。忠実移植だが、ハードの違い上、BGMの音色や効果音の違いはある。
賛否両論点
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個性が強烈で浮いているオリジナルキャラ
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ストーリーの隠しルートにはオリジナルキャラがいるものの、どれも強烈な色物ばかりで、従来のマリオの世界観から比べても明らかに浮いている。
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ねじりはちまきに腹巻の和風マリオっぽい酔っ払い大工「オヤジ」、猫娘のようなつり目おかっぱの幽霊「女の子」、大長編ドラえもんで見かけたような空飛ぶ「土偶」、ころころ転がる謎の「オニギリ」の4人(?)。おにぎりを操作できるゲームもなかなか無いだろう。ある意味本作の特色と言えるかもしれない。
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「オヤジ」はまだビルの解体工事という事で大工キャラ登場も分かるが、あとの3名はなぜこのジャンルのゲームに出てきたのか自体が不明。彼ら同士は「和風」という共通点があるが…
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どいつもこいつも見た目だけでなく設定も濃いが、
個人名はない
。エンディングでは「OYAZI」「ONNANOKO」「DOGU」などとローマ字表記でキャラクター紹介がされており、この時点でやっと彼らが名無し(あるいは見た目そのまんまの名前)であったことが分かる。
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ルール上、パネルを動かすための労力が他の落ち物パズルよりも大きいため、連鎖の影響が小さくゲームが大味。
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横方向に動かすにはその列のハンドルのところまでキャラを動かす必要があるし、縦方向に動かすにはパネルを壊して使えるパネル数を減らしてしまう。
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いずれの操作も列や行単位で動かすことしかできず、ピンポイントで特定のパネルだけを動かすことが難しいため、そもそも連鎖が作りにくい。
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加えてフィールドがあまり広くないため、作れるのは2、3連鎖がせいぜいであり、連鎖しても際立って威力が上がるわけでもない。
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ただし、連鎖の演出中にパネルの破壊や移動、追加の操作が可能(いわゆる「アクティブ連鎖」)。これらの操作による新たな消去も連鎖継続とみなされるため、運も絡むが慣れれば5連鎖以上を狙うことも可能。一度に大量に消えたりすると処理落ちが激しい難点もあるが…
問題点
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ゲームモードが1人専用のストーリー、多人数用の対戦とトーナメントのみ。ルールもすべて対戦形式。
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1人でえんえんとパネルを消してハイスコアを狙うなどの1人プレイ用モードの類はない。そもそもスコアの概念がなく、最後は勝つか負けるかの世界。
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2P対戦もかなり大味。
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赤パネルで敵を送り込んでも大抵すぐに除去されてしまう。ただし何度も連鎖したり全消しボーナス込みで複数体送り込めれば結構有効。
青・緑パネルは相手の連鎖を阻止する目的で使うのだが、連鎖と関係ない場所を攻撃してしまう可能性もあり確実性に乏しい。
それに対して黄色パネルで降ってくる鉄板は少ない連鎖であっても相当厄介。相手が大連鎖狙いの最中でない限り、ひたすら黄色の小連鎖で鉄板を送り込むのがセオリーとなってしまっているほど。
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画面が鉄板で埋め尽くされたらそこからの大逆転は望めず、かといって鉄板では決定打にならないためとどめをさすのが難しく、9個以上同時消しの無条件勝利を狙うのも運が絡む。結果、勝敗が確定してから決着がつくまでが長い。せめて青か緑が鉄板対処用の技だったなら話はまた違ったのだろうが…
総評
『レッキングクルー』のリメイク作・続編として発売されたものの、システム上や演出上は、キャラクターを借りた完全に別のゲームとも言える作品となっていたため、オリジナル版を踏襲しつつ新たな要素を付け加えたリメイク作としてのゲーム内容を期待していた人にとっては、肩透かしであった感は否めないところ。
これで落ち物アクションパズルとしての出来がよいのならいいのだが、本作は肝心のゲーム性の練りこみ不足感が否めない上、ルールも対戦のみでゲームモードも少なく遊びに幅がない、という残念な点がある。
さらにグラフィックやオリジナルキャラをはじめ開発元のカラーが強いため、本流のマリオシリーズとは違う独特の空気を放っており、この点でも好みが分かれるかもしれない。
余談
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FC版→SFC版でジャンルが変わってしまった本作ではあるが、もともとFC版の『レッキングクルー』は先行して稼動していたアーケード作品『VS.レッキングクルー』の移植作であり、そもそものAC版が対戦プレイを主眼においた内容であり、ファミコン移植の際に1人用プレイを前提としてパズル性を高めたゲーム性に変更されたという経緯があった。
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対戦パズルゲームにジャンル替えしてしまった本作も、対戦型ゲームという観点から見ればAC版の内容を基にしたアレンジとも言える。
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ROMカセット版パッケージがやっつけ気味。
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箱のマリオはゲームのタイトル画像をそのまま抜き出しただけで、ドットの粗やテレビ画面をそのまま撮影したかのようなノイズが目立つ。せめてトレースしてイラストにして欲しかったところ。
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ラベルシールは白地にタイトル画像と活字のタイトル表記というショボさ。正規品なのにどことなくパチ物や海賊品っぽい。
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一応、書き換えで買ってしまった人のためにあえてそうしているとも取れるのだが、『平成 新・鬼ヶ島』はしっかり墨絵風のパッケージアートを用意していた。
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かつてWiiUバーチャルコンソールにて配信されていた。マリオ関連作品の中でもややユニーク的な作品な為、この作品がVC化と聞いたファンはちょっぴり驚いた人も少数ながらいたであろう。
最終更新:2024年07月28日 09:16