EZ2ON REBOOT:R

【いーじーつーおん りぶーとあーる】

ジャンル 音楽
対応機種 Windows(Steam)
発売元 Neonovice
開発元 Neonovice
SQUARE PIXELS
アーリーアクセス 2021年3月17日
正式発売日 2022年4月14日
定価 4,750円
プレイ人数 1人~9人
備考 Nキーロールオーバーのキーボードが必須
判定 良作
ポイント EZ2シリーズ最新作、事実上の日本初上陸
デフォルトで256曲、アンロック要素なしの大量楽曲
EZ2シリーズ


概要

韓国で20年以上に亘って人気のあるアーケード音楽ゲーム『EZ2DJ』ならびに『EZ2AC』シリーズ。そのオンラインゲーム版である『EZ2ON』の最新作。
過去『EZ2ON ONLINE TRAX』(2008年)、『EZ2ON REBOOT』(2013年)と2回サービスを提供していたものの、どちらも1年以内にサービス終了しており本作が9年ぶり3度目の挑戦となる。
本作の開発にはアーケード版『EZ2AC』シリーズを開発していたSQUARE PIXELSも参加しており、展開が中断されたアーケード版の要素も多分に含んだものとなっている。

なお、過去作はすべて様々な事情で日本からのプレイがほぼ不可能であり、日本においては本作が事実上の正式なEZ2シリーズ初上陸作となる。


ゲームシステム

  • 上から降ってくるノートをタイミング良く押していく。『beatmaniaシリーズ』『DJMAXシリーズ』と同じプレイ方法である。
    • アーケード版同様HPゲージ制が導入されており、ミスが多すぎるとHPがゼロになってゲームオーバーとなる。
    • 4K/5K/6K/8Kと4つのボタン数、EZ/NM/HD/SHDと4つの難易度種別がある。基本的にどの曲も全ボタン数と全難易度が用意されているので、1つの曲に16の譜面があると考えてよい。
    • アーケード版とは違い本来押すべきボタンとは違うボタンを押してもミス判定(FAIL)を取られない。
  • スコアシステム
    • 1100000点満点の方式を採用。それに加えてコンボスコアとして最大コンボの数値がそのまま加算される*1
    • S+++からFまでの評価がある。1000000点以上でS評価になる。
  • レーティング
    • プレイヤーの腕前指標として、STANDARDでは各ボタン数ごとにレーティングが集計されている。
    • 詳しい計算式は公開されていないが、DLC曲も含めたより難しい上位譜面をより高いスコアでクリアすると数値が上がりやすいとのこと。ただし、レーティングの計算から除外されている曲もある。

ゲームモード

  • BASIC
    • 初心者向けのモードで、ジャストタイミング判定幅(KOOL範囲)とHPゲージがSTANDARDに比べて緩くなっている他、一部のEZ譜面がより簡単なものに置き換えられている。
    • それ以外はSTANDARDとほぼ同じで、上位譜面も(判定とHPゲージが緩いこと以外は)内容が同じ。
    • 初心者向けという位置付けだが、このモードだけ遊ぶことも想定しBASICだけでもほぼすべての全通常譜面を遊ぶことができる譜面を。
    • やりこみの指標はキー毎の合計スコアのみ。
  • STANDARD
    • 標準的なモード。キー毎の合計スコアに加えて、難易度ごとの平均成績に応じたレーティングも算出される。
    • 一部のEZ譜面がやや高難易度なものに変わる他、オマケとして非常に厳しい判定とHPゲージの特殊楽曲が1つ追加される。
    • 現行バージョンではプレイヤー経験値レベル10以上で選択可能になる。
  • MULTIPLAYER
    • 最大9人までオンライン対戦ができるモード。
    • カジュアルな「PARTY MODE」と、勝敗が記録される1vs1の「BATTLE MODE」の二種類がある。
      • BATTLE MODEではボタン数・譜面・判定モードが全プレイヤーで同一の選択になり、真剣勝負を楽しむことが可能。
    • BASICモード判定も選べる。PARTY MODEではSTANDARD判定のプレイヤーと一緒に遊ぶことも可能。
    • 持っていないDLCの曲が選ばれた場合、強制的に観戦モードになる。
  • COURSE
    • コンセプトに沿った4曲を連続でプレイするモード。またプレイ中ポーズができない。
    • ノーミスが基準のひとつに含まれているSTANDARDまでと違い、クリアすること自体が基準といえるような高難易度コースも多々存在し、通常モードのSHD譜面よりも難しい本モード専用の譜面が用意されていることも多い。
    • コースごとに判定が異なる。「nB」がBASIC判定、「nS」がSTANDARD判定、「nX」がSTANDARDより狭い特殊判定となっている。
    • スコアシステムに関しては通常のモードとは異なる方式になるが、 特に「ALLCOMBO CHALLENGE」のタグが付けられたコースに関してはEZ2ACまでに近い旧式スコアシステムに近づくため、こういったコースで高得点を狙うなら少し精度を犠牲にしてでもノーミスを目指すことになる。
  • LOUNGE
    • 各曲やプレイヤー総合・プレイ履歴の成績確認をしたり、MVを視聴したりするモード。
    • MVは一回プレイすると解禁されるので、未購入DLCのMVを見ることはできない。

楽曲について

本作の収録楽曲は大きく分けると3つの世代に分けることができ、それぞれで方向性が大きく異なっている。
長い歴史を持つだけにファン層がそれぞれの世代で異なったりするため、一概にどれが良い・悪いかは断言しづらいので注意。
以下ゲーム内のカテゴリを用いて解説する。

  • 第一世代(1ST~6TH)
    • 主に、4TH~PT以降に独立して『DJMAXシリーズ』を立ち上げるスタッフ陣が制作していた時期にあたる。作曲陣もプロの作曲家で構成されている。
    • ボーカル曲が過半数を占め、初期の『beatmania』シリーズを彷彿させる曲が多い。現代で5鍵時代のフォロワーは希少。
    • 日本で一世を風靡した「1986オメガトライブ」のメンバーだった和泉常寛(ユニット「Ruby Tuesday」としての参加)やカルロス・トシキも参加しており、楽曲のクオリティが全体的に高く評価されている。
      • BEMANIシリーズ』で「ウルトラハイヒール」「A HAND TO HOLD」のボーカルを務めたAngel O'Brienも参加している。
  • 第二世代(7TH、2008、CV、2013の一部)
    • 韓国や日本で活動していたBMS作家などのアマチュア作曲家が過半数の楽曲を提供していた時期にあたる。後にプロデビューする作曲家も多数参加している。
    • 第一世代とは打って変わってトランスなどのシンセ系インスト曲が大幅に増え、譜面の難易度も全体的に上昇傾向にある。
      また楽曲の質に関しての懸念から、本作に収録されないであろう曲も存在する*2
  • 第三世代(2013の一部、2021やTT以降)
    • 『EZ2DJ AZURE EXPRESSION』以降から本作に至るまで開発に携わる「SQUARE PIXELS」が製作した時期にあたる。
    • スタッフは第二世代の一部が続投しているものの、曲のジャンルに関して多様化が見られるなど、第二世代とは大きな違いがある。
    • 旧曲のリマスターや第二世代曲の復活収録といった過去曲の保全は、このうち『EZ2AC TIME TRAVELER』以降から始まった流れである。

評価点

  • 豊富な楽曲群
    • アーケード版基準で初代『EZ2DJ The 1st TRACKS』から『EZ2DJ 7thTRAX ~Resistance~ Ver2.00』までのほぼ全ての楽曲が収録されている。更に「神威」など過去2回のオンラインサービス時に提供された楽曲*3、そして本作の新曲枠としてアーケード版の最新作『EZ2AC FINAL』と『EZ2AC FINAL:EX』の新曲、バラエティー枠としてBMSの楽曲なども収録されており、デフォルトで256曲というかなりの楽曲数を誇る。
      • アンロックなどの要素が一切無く、いきなり全曲に挑戦することができる。
    • 追加のDLCとして、アーケード版の『CODENAME VIOLET』『ENDLESS CIRCULATION』『TIME TRAVELER』などの楽曲パックや、本作オリジナルの新曲パック「PRESTIGE PASS」、コラボDLCである「O2JAM」「GROOVE COASTER」楽曲パックなどが用意されている。これらのパックにはそれぞれのバージョン再現などのこだわりがあるスキンも同梱されている。
  • 超低遅延、タイミング判定の改善
    • 本作がこだわりにしているポイントで、徹底的な遅延削減をしている。
    • ASIOやNVIDIA Reflexに対応しており、対応機器を繋げることでさらなる低遅延を体感できる。
    • またノーツの位置でタイミング判定していた旧作までと違い、今作は現代の音ゲーらしく「時間単位でのタイミング判定」で実装されている。
  • キー音
    • 本作にはアーケード版同様全曲に「キー音*4」が実装されており、演奏感を引き出すことに成功している。
    • コラボDLCである「O2JAM」では、マスタートラックの都合で一部のキー音が歯抜けになっていた。そこで楽器を完全再現することで新しくキー音を作成するという荒療治で全曲キー音搭載を実現している。
  • やりごたえのある譜面
    • 全体的にアーケード版最初期からの高難易度志向は踏まえつつも、オンライン対戦を考慮しキーボードでもノーミスプレイが現実的である程度に譜面がデザインされている。
      • 1レーン・1キーごとのサイズが小さい&ダブルプレイモードがないということもあってか、十分なやりごたえを保ちつつも理不尽さを抑えた方針であり、連打や過激な複合などが多くの曲でEZ2ACより弱体化されていたりもする。
    • 大半のHD/SHD譜面や一部曲のNM譜面など、熟練者をも唸らせる高密度譜面が多いものの、
      BASICモードのEZ譜面に関してはどの曲であっても初級者を圧倒しすぎるような物量はない。好きな曲を楽しみながら音ゲーに慣れていくことができる。
    • 5Kはアーケード版に限りなく近いレーン数ということで、アーケード版の譜面を彷彿とさせるパターンがあったり、アーケード版終期における5K ONLYモードの譜面をそのまま移植・再現したものもある。
  • 全楽曲&全BGAのリマスタリング
    • 楽曲およびその背景で流れるムービー/BGAのリマスタリングを改めて行っており、音質および画質が当時に比べて大幅に向上している。
    • 『EZ2AC TIME TRAVELER』から引き続き一部の初期楽曲はマスタートラックのカッティングからやり直しており、初出時より尺を長くした旧楽曲もいくつかある。
    • 特に本シリーズの場合、アーケード版が最終作を迎えてなお640x480というSD低解像度で稼働しているため、BGAをフルHD画質で楽しめるのは本作のみとなっている。
  • 細かなカスタマイズ
    • ノートやギア、判定やコンボの文字といった各種スキンが多数収録されており、好きなものを自由に組み合わせることができる。選択できるスキン*5・判定文字・コンボ文字はシリーズ歴代のもの殆どを収録。
    • ここまでは一般的な音楽ゲームと同様だが、本作はさらに判定・コンボ表示の高さ、FAST/SLOWを表示させるタイミングのしきい値などを数値スライダーで上下させるなど細かなカスタマイズができる。
    • LIVE CTRLという機能が実装されており、テストプレイしながらの調整も可能。

問題点

  • 一部ムービーは点滅が激しく、目が疲れやすくなっている。
    • 本作において旧曲はすべてリマスターされているのだが、楽曲の演出の尊重もあるためか、修正されることなくそのままとなっている。
    • 代わりにこの問題に対する処置として、起動画面に点滅に関する警告が事前に表示される。
    • またBGAを暗くする機能もあるため、回避は可能。

総評

豊富な楽曲数、やりごたえある譜面、きめ細かなカスタマイズなど、いわゆるVSRG*6の音楽ゲームとして特に優れていると言えるだろう。
かなり硬派な仕上がりではあるが、BASICなど初心者に向けた施策を行っているのも高評価。
日本での知名度こそ低いものの、20年以上にわたるシリーズの歴史に裏打ちされた確かなものがある。是非手に取っていただきたい。

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最終更新:2024年01月15日 18:36

*1 例えば最大200コンボを繋いでいた場合、200点が入る。よって理論値は1100000+総ノーツ数となる。

*2 事実、「CODENAME VIOLET」楽曲DLCには『クオリティが低すぎる』という理由でアーケード版から収録されなかった楽曲が存在する。

*3 7th Ver3.00以降からの収録曲のカテゴリ名は「2008」と「2013」と、サービスを提供していた年代別で表記されている。ちなみに本作新曲枠が「2021」となる。

*4 ボタンを押すと音が鳴り、タイミング良く押していくことで楽曲が完成するシステム

*5 旧作モチーフのギアスキンは作品ごとに5 Street Mix/*K STANDARDなどで選択できたもののみで、Radio mixやSpace Mix風のスキンは存在しない。

*6 Vertical Scrolling Rhythm Gameの略。