チャカ王の迷宮

【ちゃかおうのめいきゅう】

ジャンル パズルアクション
対応機種 Nintendo Switch
発売元 わくわくゲームズ
開発元 Studio Dragonet
発売日 【Steam】 2020年 7月16日
【Switch】 2022年 4月14日
定価 820円(税込)
プレイ人数 1人
セーブデータ 1個
レーティング Switch版 IARC 3+
判定 なし
ポイント パズル・アクション両面でやりごたえのある作り
UIなど細かい点で惜しいところも

概要

せきやdn氏が個人で運営しているインディーズゲームメーカーStudio Dragonetの処女作。
非常にシンプルなルールでありながら歯ごたえがある、真横視点のパズルアクションゲーム。
かつて世界から忽然と姿を消したチャカ王国の謎を解くため、考古学者の姉妹テンリャクアキラとテンリャクトキコが
紆余曲折を経てハンマン地域南の大地下空洞にて地中の巨大な建物を発見する。そして調査のために迷宮の探索が始まる。


アクション

プレーヤーは妹のトキコを操作する。
アクション内容は左右の移動とジャンプ、そしてゲームの肝となる「導灯」のみとシンプル。

  • ジャンプ
    • ジャンプ力はさほど高くなく、縦1マス・横2マス程度。
      操作感は良好で空中での方向転換もでき、ある程度の敵避け・弾避けも十分可能。
  • チャカの導灯
    • ゲーム開始直後に手に入る、大きな懐中電灯のようなもの。
      1マス程度の射程の光の玉を正面に飛ばし、特定のブロックに当てるとブロックがその方向へ動き出す。
      これにより地形を変えたりブロックに乗って移動手段として利用したり、ブロックで敵を押し潰したり出来る。
      移動を始めたブロックは、壁や他のブロックに衝突するまでゆっくり動き続ける。
      • 導灯で動かされたブロックはトキコや敵(一部例外あり)に触れても止まらず、ブロックなど硬いものに触れるまで動き続ける。
      • 導灯で動かされたブロックが別の移動可能なブロックに衝突した場合、 移動していたブロックが停止して、衝突されたブロックが同じ方向に移動する。
      • 導灯で動かされた2つのブロックが正面衝突した場合、どちらのブロックもそこで停止する。
      • 導灯で動かされているブロックが側面から別のブロックに衝突されてもそのまま直進する。 側面に衝突したブロックだけが停止する。
      • 導灯は横方向にしか打てないため、特殊なブロックを除いて上や下に移動させることはできない。
        また、移動不能な壁に隣接している(させてしまった)ブロックも二度と動かせない。

ゲーム内容

ステージクリア型のパズルアクション。
各ステージは「部屋」と呼ばれており、全て1画面で収まるようになっている。
扉に入ることでゴールとなるが、ほとんどの扉は施錠されており、部屋に置かれた「鍵」を先に入手する必要がある。
また、解錠した扉が空中にある場合、ジャンプや落下中に入ることはできず、
扉の足元にブロックなどの足場がないと入ることができない(ブロックは停止していなくてもよい)。

  • コレクション
    • 一部のステージには、チャカ王国の国王や国民が遺した遺物や記憶(記録ではない)が眠っている。
      取得してからゴールすることでコレクションに加わり、チャカ王国の謎を解く手がかりになる。
      取得しただけではコレクションにならない(取得した状態でゴールする必要がある)ため、ゴールの難易度が上がることが多い。
  • ゲームオーバー
    • 移動中のブロックに挟まれる、トラップに触れる、ガーディアンと呼ばれる敵に触れるなどでミスとなる。
      残機はないので即ゲームオーバーになるが、何度でも再挑戦が可能。
      また、一度入った部屋はタイトル画面からいつでも入ることができる。
      各部屋には基本的に穴は存在せず、高高度からの落下でもミスすることはないが、一部の部屋は例外もある。
  • ガーディアン
    • 本作における敵で、一つ目をした謎の存在。歩いたり座ったりを不定期に繰り返しているものや、
      空を飛ぶもの、下を通ろうとすると上から落下してくるものなどがいる。
      移動するブロックで押しつぶすことで一部のガーディアンを倒せる。

評価点

優れたゲーム性

  • シンプルなルールながら頭を使うパズルゲームとしての側面と、シンプルな挙動ながらしっかり敵避け・弾避けを求められるアクションゲームとしての側面が程よく融合している。
    • 部屋に入った時点では視覚的に複雑で何をどうしたらいいのかさっぱり分からないように見えやすいが、 とりあえず適当にでも進めてみれば攻略の糸口が少しずつ掴めるようになっている。
    • 部屋によっては解法が1つではないこともあり、ある程度のアドリブ力も要求される。
      場合によっては、ブロック操作を多少間違えたとしても敵避けやギリジャンなどのアクション操作で無理やりクリアすることも可能。
    • ブロック操作よりも敵やトラップを避けることを重視した部屋もあり、パズルとアクションの両面を活かしたゲームになっている。
  • コレクションも1つのやり込み要素としてうまく機能している。
    ある場所である行動をしないと出現しない隠されたコレクションもあるが、
    未取得のコレクションは「〇〇の記憶にヒントがある」など別のコレクションがヒントになっていることを示してくれる。
    攻略サイト等に頼らずとも自力で十分コンプリートが可能な難易度となっている。
  • 良好な操作感。移動やジャンプなどは思い通りに軽快にしてくれる。地味なことだがアクションゲームにとってはとても重要。
  • 古代文明感あふれるBGM。うるさすぎず、それでいて程よくゲームを盛り上げてくれる。

賛否両論点

  • 部屋に入った時・ゴールした時にそれぞれ姉のアキラと通信で会話する。
    一般にこういったパズルゲームは主人公が1人で話し相手がいないことが多いため、作業的になってしまいやすいのだが本作では通信による会話を挟むことで単調さを回避している点では評価になる。
    しかし、アキラはマンガを読んだり居眠りしていたりゴキブリを見つけて騒ぐなど迷宮攻略とは全く関係ないことしか話さないことが少なくない。
    迷宮の謎について時折まじめに考察したりすることはあるものの、迷宮で苦労している妹のトキコを励ましたり褒めたり労ったりはあまりしてくれない。
    そのため、ステージクリアしても素直に喜びにくかったり、達成感を削がれる部分がある。
    • 姉妹の仲は良いので、マンネリ防止に軽妙なトークが楽しめるくらいに考えていればそれほど気にはならないかもしれない。
      通信中の姉妹の表情も豊かでかわいらしい。
  • 部屋は50以上あり、いくつかの部屋はイベント専用であるものの、トキコが途中で「まだまだあるのか…」といった愚痴を漏らす程度のボリュームはある。
    しかし1部屋の攻略は早ければ1~2分、難関でも10分ほどでクリアできるため、コレクションのコンプリートを含めてもプレイ時間はかなり短く済む。
    パズルアクションゆえ仕方ない部分もあるが、一度クリアして解法が分かってしまうと再プレイに繋がりにくいのも難点。
    • クリアにかかった時間の表示・保存もないため、タイムアタックするのも難しい。
    • とはいえ低価格ゲームということもあり、暇つぶしにちょっと頭を使うゲームをやってみたいというように気軽に遊べるという見方もできる。
      あまり、じっくりと腰を据えて長時間プレイするタイプのゲームではないと見た方が良いだろう。

問題点

  • 中間セーブ・巻き戻しができない。
    • 本作はゲームの仕様上、ブロックを1つ動かし忘れたり、余計なブロックを動かしてしまったり、動くブロックに飛び乗り損ねたり、飛び降り損ねたり、といった一度のミスでクリア不能になる場面が非常に多い。
      いわゆるトライアンドエラーが必要なゲームであり、それ自体はそういうゲームとして割り切るとしても、 そのルールに見合った再挑戦をサポートする機能に乏しい。
      その時点のブロックの状況を任意でセーブできたり、失敗した時に操作を巻き戻したりできれば快適なのだが、本作はその部屋を最初からやり直すしかできない。
      加えて問題なのが、下記。
  • リトライボタンが無い。
    • 本作がトライアンドエラーを繰り返してクリアを目指すゲームなのは前述の通りだが、再挑戦をするボタンがない。
      いつでもポーズメニューから再挑戦はできるのだが、メニューを開き、カーソルを動かし、はい/いいえを選択するという手間は何十回も繰り返すと少なからず面倒になる。
      本作は使用するボタンが非常に少ないため、そこに1つクイックリトライに対応したボタンを増やすだけで再挑戦のストレスはかなり違ったものと思われる。
  • ポーズメニューからステージ選択ができない。
    • ステージ選択はタイトル画面からのみ可能であり、特にゲームクリア後にコレクションを収集しようとした時に毎度タイトルに戻る手間ができてしまう。
      • またタイトル画面のステージ選択の操作もやや独特であり、カーソルをステージ選択にあわせて 左右入力で任意のステージを選択した後、カーソルを下の「決定」に戻してボタンを押すという流れになっている。
        任意のステージを選択したらそのままAボタンで決定でも良かったのでは?
  • セーブファイルは1つしかないので不便。
    • そして再プレイする際は手に入れた事があるアイテムが「入手済」となっているので分かり辛いところがある。
+ エンディングやシナリオ等のネタバレを含む。
  • エンディングがあまりに簡素。
    • 本作の目的は概要で述べた通り王国消滅の謎を解き明かすことだが、チャカ王国の歴史や消滅の経緯などは道中のイベントやコレクションによって解明されていくため
      エンディングにおいては「探索したかいがあった、あとのことはこれから調べよう」というような形であっさり終わってしまう。
    • 本作は完全に個人製作であるため、それ自体は素晴らしいのだがそれゆえにスタッフロールもただ1人の名前しか表示されない。
      無駄に長ければ良いというものでもないが、余韻に浸る間もなくタイトル画面に戻ってしまう。
    • また、コレクションをコンプリートしてもエンディングの内容はほぼ変わらない。
  • コレクションをコンプリートしても残る謎が多い。
    • 初代のチャカ王は「予見の水晶」と呼ばれる秘宝を使って万物を見通す能力を得ており、その水晶は二代目以降の王には完全に扱えなかったものの「次代の王を映し出す」という性質を持ち、これが十代までの王の選定に使用されていた。
      しかし十代目の王が次世代の王の選定を予見の水晶を使わず世襲制としたため、息子(権力を欲した十一代目の王)に暗殺され、これがきっかけで王国は没落していく。
      最後である二十一代目の王が国を立て直そうと予見の水晶の力を暴走させてしまったことで王国は滅亡の危機に瀕し、彼がいつの間にか手にしていた「迷宮招来の笛」を使ってチャカ王国そのものを迷宮にしてしまうことで崩壊を防いだ…というのが事の顛末となる。
      • 「予見の水晶はなぜ初代の王だけが使いこなせたのか」や、「予見の水晶に国を一瞬で滅ぼすような力がなぜあったのか」という疑問は「そういうものだから」と納得するにしても、
        「予見の水晶はどういう基準で次代の王を選んでいたのか」には謎が残る(水晶が選んだ中にも愚王は居たし、そもそも水晶が選んだ十代目の王が水晶を使用することを禁じたせいで暗殺され国の衰退を招いたことを踏まえると、予見の水晶が選定した王が必ずしも王国の発展や存続に繋がったわけではない。 実はデタラメな国民を映し出していただけなのか? )。

総評

主にUI関係の不便さから評価が伸び悩んでしまっている、色々と「惜しい」作品。
とはいえゲーム内容そのものは良質であり、価格を考えると相応のボリュームはあるので、買って損はしない程度のクオリティは十分あると言える。

最終更新:2022年10月11日 20:39