ノゾムキミノミライ
【のぞむきみのみらい】
ジャンル
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美少女同居型ステルスアドベンチャー
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対応機種
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Nintendo Switch Windows(Steam/GOG.com/DMM GAMES/DLsite)
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メディア
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ダウンロード専売
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発売元
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qureate
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開発元
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デジタルワークスエンターテインメント
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発売日
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2022年5月19日(Switch) 2022年7月15日(Steam/GOG) 2022年09月24日(DLsite)
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定価
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1,980円(税込)
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プレイ人数
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1人
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レーティング
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CERO:D (17歳以上対象)
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備考
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2022年6月23日、 Nintendo Switch版にてアップデート配信(ver.1.0.1)
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判定
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クソゲー
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ポイント
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qureate初の3Dモデルを採用 不親切かつ面倒なゲームシステム アップデートである程度改善
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qureate作品
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概要
低価格恋愛ADVをリリースしてきた株式会社qureate(キュリエイト)初の3Dモデルを使用したアドベンチャーゲーム。
プロデューサーは臼田裕次郎氏。キャラデザは『輪廻のラグランジェ』や『とある飛空士への追憶』、『ドリームクラブ』などで知られる森沢晴行氏が担当している。
本作は先にNintendo Switchにて販売され、約1ヶ月後にアップデート(ver1.0.1)が配信された。更にその1ヶ月後、ver1.0.1をベースにしたWindows版が配信開始された。
ストーリー
不況で就職氷河期の現代に就職活動真っ只中の女子大生『
臼井咲千
』。
就職という門が迫る中、 自分のしたいことも定まらずダラダラ過ごしていたある日、 突如住んでいるアパートが取り壊し予定となった。
仕方なく次のアパートを探していると、 少し古いリノベーション済みのアパートで特色はないが、 備考欄に「神様在住」という入居者募集の張り紙を見つけた。
怪しさ満点の部屋ではあったが、 神に縋る気持ちでこのアパートに引っ越しを決め住み始めたのだが……。
平凡な大学生「
臼井咲千
」は座敷童が住み着くアパートで望む未来を歩むことできるのか!?
(公式サイトより引用)
問題点
動作が安定しない
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フレームレートが30fpsを下回ることが頻発し、事あるごとに動作がガクガクになりやすい。
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アップデートで多少マシになった。
不親切なカメラ操作
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カメラ視点はL, Rスティックで動かし、高さはZL, ZRボタンで調整する。
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ただし、高さは6段階の決められた位置にしか移動できず、融通が利かない。
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一番上の位置から更に高さを上げようとすると、一番下の位置へ一気に視点移動する。逆の場合も同様。操作に慣れない内は意図せぬ高さに移動してしまい、ストレスが溜まりやすい。
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ヒロインに視点を固定することができるが、ズームすることができない。勿論、高さも段階的にしか変えられない。
ゲーム内容が単調でつまらない
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本作の不評点として特に槍玉に上がりやすい。
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本作を端的に言うと、20種類あるEDを回収するために何度も単純作業を繰り返す作業ゲーである。似たような作品があったような…。
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ジャンル名に「
ステルスアドベンチャー
」と表記されているが、どんな行動をしてもこちらの存在を気取られることはないため、緊張感もへったくれもない。
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プレイヤーができることは、ヒロインに対して「特定の場所へ誘導する」「指定したポーズを取らせる」「眺める」「タッチして脅かす」。ヒロインに干渉できることが少なく、早々に飽きやすい。
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物音を鳴らしたり、オブジェクトを動かしたり、ギミックを発動させたり、といった要素があれば面白そうではある。折角ヒロインから見えない存在なのに、設定を生かしきれてないように思える。
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アパートに住み着く座敷童子という設定上仕方ない面もあるが、フィールドが1つだけというのも飽きやすさを助長する。
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総じてやれることが少なく、作業的になりがちで内容がスカスカな印象を受けやすい。
パラメーター管理が面倒
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目的のEDに向かうためには、制限時間内に5種類あるパラメーターを一定範囲まで増やす必要がある(既定値を超えるとフラグが消滅する)。
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パラメーターを上げるには特定の箇所をクリックし、ヒロインを誘導することで変動する。しかし、どのパラメーターに影響するかは実際に触れるまで一切わからない。初見で条件の値まで上げるのは至難の業である。
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更に「特定の数値を上げると他の数値が下がる」といったものがほとんどで、余計に数値調整に難儀することとなる。
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極めつけにヒロインの行動は制限時間に対してかなり遅く、次の行動を起こせるようになるまで時間がかかり、ヤキモキさせられる。
メモを集めるのに手間がかかる
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ED条件はパラメーターだけでなく、指定されたメモを全て拾う必要がある。
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ただし、所持したメモは周回時にリセットされるため、一々集め直さなければならない。
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また、メモは日替わりで新たに配置されるため、効率的に進めるにはどのチャプターに何のメモが落ちているか覚える必要がある。
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一応、チャプター終了毎に手動セーブ可能なため、セーブ&ロードを用いれば取り逃すことはないのが救いか…。
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尚、当初はメモの内容が一目で分からない仕様であったが、アップデートにて改善された(詳細は後述)。
制限時間の存在
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このゲームは1日がチャプターとして分けられ、Chapter1〜10の10日間となっている。
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チャプター毎に制限時間が設けられており、最短でChapter1が1分40秒、最長でChapter10が5分となっている。
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パラメーター調整やメモを拾うのに、歩く時間を含めて1回約30秒ということを考慮すると、とてものんびりしていられない設計となっている。
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折角用意されているコスチューム変更も、制限時間の都合でやる暇はほとんどない。また、着せ替えするには脱衣所へ誘導する必要があるため、これまた手間がかかる。
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チャプターごとに衣装は固定されており、着替えたとしても1日経つと強制的に解除される。
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一応、全EDを回収すると制限時間のない「フリーモード」が追加されるが、モチベーションが保てるかどうかは人次第である。
周回する度に高まる作業感
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ある程度EDを回収すると、パラメーターをピンポイントで増減させるドリンクが登場する。
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救済要素として取り入れたのだろうが、周回するにつれ尚の事作業感が高まることになる。
その他の問題点
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ヒロインの3Dモデルは森沢晴行氏のイラストをしっかり再現しているが、時折唇を尖らせるような表情になるのが気になりやすい。
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オブジェクトをタッチした後、キャンセルすることはできない。パラメーターにも影響をうけるため、間違えて選択した場合はかなりイライラする。
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Windows版は「ゲームパッドでの操作推奨」と言っておきながら配信当初はコントローラー認識がうまくいかないケースが続出し、
キーボード操作でプレイせざるを得ないにもかかわらずストレスが溜まる代物になっていた。
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WASD操作での視点移動はまだしも、決定が「K」でキャンセルが「L」という謎な配置。
ちなみにゲーム内でのマウス操作は不可。
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その後、アップデートで一部のコントローラーが使用できない不具合が修正されたはずが未だに認識しない、カーソル移動だけしか出来ずボタンが反応しないといった状態で修正されたのかどうかすら怪しい始末。
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また、PCゲーでは普通にある解像度設定やフルスクリーン/ウィンドウ切替え設定がなく、ゲーム終了もタイトルメニューにないのでAlt+F4か「×」で閉じるという「いつの時代のゲームだ?」と言わんばかりな仕様である。
問題点(アップデートによって解決済)
チャプタースキップが不可能
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周回前提の作品として、昨今では必須級の機能が当初は搭載されていなかった。このせいで周回が億劫になりがち。
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とあるEDの条件は、全てのパラメーターが0の状態でChapter10まで過ごすことだが、発売当初は制限時間まで律儀に待たなければならなかった。「プレイ時間の水増し」と批判を受けても仕方ない状態であった。
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アップデートによってメニュー画面にスキップが追加され、任意のタイミングでとばせるようになった。
ヒロインの行動が遅い
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特定ポイントをクリックしても、ヒロインも行動するまでモタモタ動くモーションが挟まる上、移動速度もかなり遅い。時折スキップすることもあるが、滅多にお目にかかれない上に速度の違いも雀の涙程度。
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メモを拾う、パラメーターを上げるアクションも同様に遅く、例えば冷蔵庫の場合、「扉を開ける→扉の前で座る→中身を漁る→扉を閉じる→立ち上がる」といった一連の動作を20〜30秒ほど見せられる。
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スクショを撮りやすくするためにこのようになったと思われるが、制限時間に追われるゲームシステムと噛み合っておらず、ストレス要因として槍玉にあがっていた。
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アップデートによって2倍速・4倍速にいつでも切り替えられるようになったため、多少マシになった。
メモの内容が視覚化されない
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ED回収に必須のアイテムにもかかわらず、落ちているメモの内容が拾うまでわからない仕様であった。メモを拾って読み上げる動作も遅く、イライラしやすい。
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ヒント機能も無いため、最初の内は総当たりで調べるしかなかった。
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アップデートによって、メモにカーソルを合わせると何のメモなのか把握できるようになり、ある程度手間は省けるようになった。
賛否両論点
良くも悪くもバラエティ豊かなED
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肝心のEDは至って普通の展開や、奇想天外な展開など玉石混淆。
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ネタバレ注意
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医者や総理大臣といった難易度の高い職業はともかく、
正義のヒーローや悪の総帥、宇宙海賊
といったファンタジー全開な展開は他のEDと比べてかなり浮いている。実在の職業だけでは味気ないであろうことは想像に難くないが、いきなり非現実的要素を入れられても萎えるという意見も少なくない。
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評価点
スケベ要素
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qureateの十八番でもあるスケベ要素はしっかり押さえられている。
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JDの私生活を覗き見するというコンセプトは徹底しており、スケベシーンが随所にちりばめられている。
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(例)浴室に誘導し、シャワーを浴びる所を擦りガラスの扉越しに覗く。冷蔵庫に誘導し、中身を漁っている隙にパンツを覗く。
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周回していくと、これ見よがしに筋トレ用具やロデオマシンが配置されるというバカゲー要素もある。
質の高いイラスト
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森沢晴行氏によるイラストは高品質で、qureate作品初参加でありながら20種類ものイベントスチルを手掛けている。
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シチュエーションも豊富で、設定資料も少ないながら掲載されており、氏のファンには満足のいく内容となっている。
主演声優の演技力
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ヒロインの臼井咲千を演じる高田憂希氏は、『NEW GAME!』『三ツ星カラーズ』等の作品で主役に抜擢された経歴があり、優れた演技力を披露してくれる。
総評
qureate初となる3Dモデルを採用したゲームの試験的作品といった具合であるが、とにかく荒削りな面が目立つ。
融通が利かないシステムやゲームテンポの悪さから、早々に悪評が取り巻くこととなってしまった。
アップデートによる早急な対応は評価に値するが、これによって面白くなったかと聞かれると正直微妙なところ。
キャラクターやイベントスチル等の素材が良いだけに、それをゲームであまり活かせなかったのが残念な1作。
同じ価格帯の作品であれば、同社制作の『プリズンプリンセス』や『廃深』を購入することをオススメする。
余談
パロディネタ
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『異世界酒場のセクステット』以降定番となったパロディー要素は本作にも健在。ジョジョネタの他に、ストリートファイターシリーズのあるキャラを彷彿とさせるネタがある。
ニンテンドーeショップについて
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本作の前後で販売された『デュエルプリンセス』『ビートリフレ』は、様々な要因によってNintendo Switch版の販売が停止・中止となった(PC版は現在も販売されている)。
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これにより2022年に販売されたqureateのソフトで、ニンテンドーeショップで購入可能なのは本作のみとなっている。
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評価の高い他2作でなく、本作のみが普通に販売されているのは何とも皮肉な結果である。
インタビュー
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アダルトゲーム雑誌BugBug2024年7月号において、本作が「前評判の割にはゲームのセールスがイマイチで、内容的にもユーザーさんを裏切る形になってしまった」と振り返られている。
最終更新:2024年06月30日 11:27