プリズンプリンセス
【ぷりずんぷりんせす】
| ジャンル | お姫様脱出ADV |  | 
| 対応機種 | Nintendo Switch Windows(Steam/GOG.com/DLsite)
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| 発売・開発元 | qureate | 
| 発売日 | 【Switch】2020年1月30日 【Steam/GOG】2020年4月3日
 【DLsite】2022年02月04日
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| 定価 | 1,980円(10%税込) | 
| プレイ人数 | 1人 | 
| レーティング | CERO:D (17歳以上対象) | 
| 備考(Switch版) | ダウンロード専売 | 
| 判定 | バカゲー | 
| ポイント | 脱出ゲームとしては凡作 パズルより尻を見ている時間の方が長い
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| qureate作品 | 
 
概要
『NekoMiko』『NinNinDays』『とらぶるでいず』と低価格恋愛ADVをリリースしてきた株式会社アートアンフのインディーゲームブランド「qureate(キュリエイト)」が手掛ける謎解きアドベンチャー。
プロデューサーは勿論臼田裕次郎氏。キャラデザはあかさあい氏と乾和音氏の二人が担当。シナリオは株式会社C-Gardenが担当している。
パズルの難度は並でプレイ時間も少なめだが、ほぼ全編がお色気シーンで構成されているのが大きな特徴となっている。
なおタイトルについて、ロゴ及びSwitchのホーム画面では『Prison Princess』と英語表記だが、ニンテンドーオンラインストア、Steamストア共にカタカナ表記である。
システム
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室内の気になる所をカーソルで自由に選択し、パズルを解いて進むオーソドックスなクリック式。
 魔王の城で霊体として目覚めた勇者視点で、囚われの2人の姫君と共に城内を探索し脱出口を見つけるのが目的となる。
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好感度システムについて
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ヒロインとなる両者には個別に「好感度」が設定されており、パズルの成否等によって増減される。
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パズルを一発で解き明かすことによって増加し、パズルを諦める、パズル中にボディタッチする、特定のアイテムを獲得することによって減少する。
 
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好感度は一部のエンディング分岐に作用する。
 
キャラクター
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アリア
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アリア・ララ王国の姫。勇者が旅の最中で命を落とした後、魔王の手によってさらわれ幽閉されている。
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天然気味で、城内の仕掛けはとりあえず触ってしまう後先考えない性格だが、地頭は良く、魔法や古代文字についても教養がある。
 
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ゼーナ
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アリア・ララと共に大陸を統治していたザンジ・ツァード王国の姫。同じく魔王にさらわれ、アリアとは別の牢獄に入れられている。
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剣技に秀でている武闘派で、物怖じせずずけずけと物を言うタイプ。
 
評価点
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パズルを解く気持ち良さをライトに味わえる
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本作で登場するパズルは定番&難度抑えめであるため、パズル慣れの有無に関わらず気軽に挑戦できるものが多い。
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例えば「色と模様」が一対一対応しているようなヒントが室内にあり、パズルを見ると各色のボタンと模様の羅列があって……というような「よくある」程度の問題がほとんどである。
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操作もタッチしか使われない(スライドや押しっぱなしなどはない)ため、直感的に解くことができるだろう。
 
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ラッキースケベ好き垂涎のシチュエーション
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パズルは探索モード時の画面上で解けるもののほか、姫たちが仕掛け自体に乗る・入るなどして特別なスチルの表示されるものがある。
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スチルつきの場合、そのシチュエーションは「馬の仕掛けに騎乗する」「四つん這いになって狭い穴に入る」「スライム風呂に入る」「女性2人でツイスターゲームをする」など「そう思ってください」といわんばかりであり、コンセプトを踏まえれば大変望ましい内容となっている。
 
賛否両論点
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探索モードでキャラが表示されることによる功罪
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本作では探索モード中に気になる所をタッチした際にも、そのポイント付近に姫たちが逐一表示される。
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この時タッチした対象の位置や高さに応じて「立ったまま対象に手を伸ばす」「しゃがんで眺める」「床に伏せて覗き込む」などのポージングでアクションをとる。
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そのため「霊体である勇者(プレイヤー)の指示で姫たちに調べてもらう」という状況がよく伝わるし、何より見た目に賑やかで華やかなものとなっている。
 
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しかし、この姫たちは一通りの台詞が終わったあとも表示され続け、且つ彼女たち自身もタッチ判定を有するため、「次に調べたい箇所が姫のせいで触れない」という事態に陥りやすい。
 
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エロいというより「はしたない」
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「お色気」「ラッキースケベ」といった表現をここまでも使ってきたが、悪くいえば露骨すぎるシチュエーションが多い。
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前提として姫たちの貞操観念が低く、浴場に来た瞬間当然のように全裸になって入湯するし、いかなる時でも床に手をついて尻を突き出すことをためらわない面がある。お姫様なので世間知らずとかそういう話では済まされない。
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極めつきは探索中。先述の通り調査対象をタッチすると2人はその物品を眺めるようなポーズをとるのだが、あまりにスカートが短すぎるためしょっちゅう尻が丸見えになる。
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レオタードを着てはいるのだが、ベッド下を覗き込んでは尻を出し、腰程度の高さのものを見つけては2人揃って尻を出しというのでは、さすがにラッキーどころか「みっともない」と言わざるを得ない。
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しかしこれこそが本作のコンセプトであり、性的を超えてバカゲーとして評価できる要因ともなっている。
 
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キャラ同士のかけあいが一時代古い
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クリアまでを通してテキスト量が多く、探索中にも何らか会話の糸口を見つけては勇者を含んだ3名のかけあいが各所で発生する。姫2人はフルボイスであるため、こうした面も本作の魅力、と言いたいところではあるが……
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その多くが20世紀時点から見られたようなあまりに類型的なものであり、それだけに完成されてはいるが痛々しい内容となっている。
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例えばゼーナ姫には「暴力的、がさつ」といったキャラ付けが意図的にされており、ヒロインたちの体重や「ヒビの入った壁を壊せそう」といった話題になっては「何か言った?」「何でもありません!」や、「勇者は後で話があるわ」「何も言ってないのに!?」のような、人によっては100回は見た定型文でのやりとりが発生する。
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アリア姫については過剰に思わせぶりな発言が多く、ゼーナ姫や勇者に対し踏み込み過ぎた思慕を向けてはゼーナ姫が取り乱しながらツッコミを入れる、といったシーンが幾つかある。
 
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そもそもキャラクターが「ちょっとスケベな勇者」「時折思わせぶりで踏み込んだ発言もしてしまう天然娘」「素直になれないツンデレ武闘少女」という、オリジナリティを最初から放棄したような3人衆なので、そこから生まれる会話が既視感ほぼ100%になってしまうのは無理もない。
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たださすがに定番なだけあって堂に入ったものであり、好みに合えば楽しいかけあいとしてプラスに働くだろう。
 
問題点
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ボリュームが少なすぎる
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初見プレイでも2時間程度でクリアできる。エンディング分岐こそあるが、パズルの答はランダムでないため、答を知っている2周目なら30分前後でクリア可能。
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登場する部屋数も魔王の城という舞台にしてはかなり少なめ。
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分岐条件はわかりやすいものではないし、スチル、エンディングを見られるギャラリーやサウンドモードなどおまけも一通りあるが、それでも定価相当のボリュームがあるかというと難しいところである。
 
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ボディタッチにポジティブな意義がない
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本来作品の売りであるはずの要素だが、ボディタッチをすると好感度が下がるためゲーム的にはそのままペナルティでしかない。
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即ち、より良い結末を目指すなら真面目にパズルだけを解くこととなり、企画とレベルデザインがかみ合っていない。
 
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このあたりは、同じく「女性キャラに触る」要素を入れながらもゲーム的メリットと両立できている『バレットガールズ』や『クリミナルガールズ』に比べて劣る点である。
 
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総当たりや偶然で解けるパズルがちらほらある
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パズル自体が難しい設計でないうえ想定手数も抑えられているため、「何も考えずに動かしていたらうっかり解いてしまった」ということがあり得る。
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例えば幾つかのボタンがあり、それぞれボタンを押下すると対応するブロックが動作するというパズルで、各ボタンを1度ずつ押すのが正解というケースがある。いくらライト層向けだったとしてもさすがに拍子抜けしてしまうだろう。
 
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謎解きに必要なアイテムを揃えられたかがわかりにくい
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本作ではアイテム不足により解けない謎がある場合、調べて「何か足りないようだ……」などと解説されるのではなく、クリックしても無反応になるケースが多い。
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これはこれで無駄なテキストを読まずに済む親切設計となり得るのだが、「必要と言われたアイテムを持っているのに反応しない(実はその後の手順で必要なアイテムも手に入れる必要がある)」「複数のアイテムを穴にはめる謎解きで、対象アイテムを全て所持していないと反応しない(単品でとりあえずはめるということをしない)」といった状況があるため、プレイヤーをうまくフォローできていないという欠点の方が目立つ。
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また、反対に対象アイテムを所持しているのに明示的に選択状態(手に持っている状態)にしない限り「心当たりのあるアイテムは持っていない」と言い切ってしまう場面があり、無用な混乱を誘引している。
 
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オートスキップを誤爆しやすい
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本作では「探索中」と「会話中」とでキー操作の役割がまるっと違っており、特にその中で、探索時の「アイテム一覧を開く」と会話中の「オートスキップモードにする」の対応ボタンが同じとなっている。
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アイテム一覧を開く機会はそれなりに多く、会話シーンと相互に押すこともあるため、意図せずオートスキップをONにしてしまうことがままある。
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オートスキップの解除もまた会話中にしか行えないため、高速スキップされている最中にボタンを押さなくてはいけない。特にエンディング回収のための2回目以降のプレイで、スキップ対象を「既読」から「全て」にし任意スキップボタンで運用している際に不便が生じやすい。
 
 
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バックログがほぼ機能していない
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一応バックログ機能はあるのだが、会話中にしか開くことができず、しかも一度ひとかたまりの会話が終了するとバックログは破棄される。
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つまり、「いま話している会話についてのログ」しか見ることができないため、せいぜいうっかり読み飛ばしたとき専用の死に機能と化している。
 
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起動時のロードが長い
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ロゴ表示後タイトル画面に遷移するまでの時間が、セーブデータをロードしてゲーム再開するまでの時間とほぼ変わらない。
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ゲーム再開まではマップやキャラクターなど各種リソースを読み込むため多少長くなるだろうが、タイトル画面の表示に同程度待たされるのはややマイナス。
 
総評
ボリュームは少ない、必要アイテムの提示が不親切、パズルもとびきり光るものは無い、という脱出ADVとしては凡作と言わざるを得ない作品。
しかし「可愛い女の子が2人、画面できゃっきゃして」おり、「タッチすれば恥ずかしげに反応する」というその点のみでゲームコンセプトを確立させた、ある意味力技の一作といえる。
とはいえ謎解き初心者にはとっつきやすいパズルもあるため、そうした方や、もちろん「女の子と一緒にお城から脱出したい!」という向きにはおすすめである。
余談
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Win版ではSwitch版発売から3か月後に配信されたが、qureateの過去作と比べるとエロ要素の追加差分やパッチ、及びそれに伴う価格差などは存在しないため、qureate作品では初の完全な非R-18作品となっている。
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同じqureate作品であるでいずシリーズの背景にも宣伝を兼ねて本作の看板や垂れ幕、ポスターが登場している。
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お色気特化ゲーということもあってか、PVのラストでは『シノビリフレ』を不可抗力で購入してしまった人がよく使う言い訳「手が滑った」を用いて視聴者に購入を促している。
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2022年1月13日発売のqureate作品『デュエルプリンセス』の公式サイトオープンと同時に、アリアとゼーナの参戦が明らかになった。
 作中の描写から、本作の後の時系列の出来事となっている模様。
最終更新:2024年05月12日 21:46