英雄伝説 黎の軌跡II -CRIMSON SiN-

【えいゆうでんせつ くろのきせきつー くりむぞんしん】

ジャンル ストーリーRPG
対応機種 プレイステーション4
プレイステーション5
発売・開発元 日本ファルコム
発売日 【PS4/PS5】2022年9月29日
定価 通常版:8,580円
ダウンロード版:8,250円
判定 なし
ポイント 共和国編第二幕
前作のダークなシナリオは健在
倍速機能で遊びやすさアップ
死に戻り&牛歩なシナリオは不評
ドラゴンスレイヤー&英雄伝説シリーズ



「黎と紅が廻る“罪(キセキ)”を掬い上げろ――」



概要

日本ファルコムの二枚看板の一つ・『英雄伝説・軌跡シリーズ』の第4シリーズ「黎の軌跡」の二章にあたる作品。前作同様に「カルバード共和国」を舞台に、アークライド事務所に新たな事件が立ちふさがる。
登場人物や既存システムについては前作を参照のこと。


ストーリー(公式サイトより抜粋)

七耀暦1209年。 マフィア組織《アルマータ》の脅威が過ぎ去り、かつての平穏を取り戻したカルバード共和国。

そんなある日── 首都イーディスの片隅で、CID特殊部隊が何者かに惨殺されるという猟奇的な事件が発生する。

事態の収拾に向けて動き出すカルバード警察や遊撃士協会。 新たな騒乱の匂いを嗅ぎつけ、暗躍を始める裏社会の勢力。

そんな中── 『裏解決屋』ヴァン・アークライドも 意外な人物の来訪をきっかけに調査に乗り出すこととなる。

惨殺事件を引き起こした人物は一体誰なのか? その目的とは? そして、曾祖父の最後の遺産、“第8のゲネシス”を探し求めるアニエスは──? 獣じみた“紅黎い”異形の咆吼と、 “何か”を追い求める少年少女との邂逅が、 彼らの《軌跡》(物語)を逃れられぬ因果へと誘っていく──。


新システム

設定関連

  • ハイスピードモード
    • 過去作にも搭載されていた、特定のシーンを除いてすべての挙動が2倍速になる機能。ボタン一つでON/OFFができ、周回プレイや稼ぎが非常に快適になる。
  • シャードサーチ
    • 街中で特殊なシャードを展開し、様々なアイテムやイベントギミックを解除させる。

施設・アイテム関連

  • 《お伽の庭城》(メルヒェンガルデン)*1
    • Xiphaを使って体験できる仮想空間。現代風に言えばVR空間のようなもの。いくつかの階層に分けられており、途中何度か分岐ルートを選択する。(戻ることも可能だがそこから別の分岐を選ぶのは不可)。特定の条件を達成するとアイテムが得られるが、このアイテムは分岐選択前に確認することができる。最奥では守護者と呼ばれる大ボスが出現する。なお、庭城のボス戦においては、グレンデル化が常時解禁となっている。
  • マルドゥックサポート
    • 庭城に挑戦しているあいだ使用可能な施設で、新キャラであるミラベルが開いている特殊ショップ。以下の施設を利用できる。
    • CP補給サービス…全員のCPを一定量回復する。再利用するにはモンスターを一定数倒す必要がある。レベルを上げることで回復量はどんどん増え、再利用のために倒すモンスターの数が減る。
    • アイテムサポート…基本的なショップ機能に加え、○○の断片という衣装やBGMの元になるアイテムを修復したりできる。修復したBGMは庭城で流すことが可能。
    • マルドゥックポイント交換…錬成石や断片を交換できる。
  • シャードトークン
    • 庭城のブレイクオブジェクトや、シャードサーチで得られるアイテム。庭城の準備メニューでミスティックキューブと呼ばれるオブジェクトにぶつけることで、様々なアイテムを獲得できる。このときメアがその役割を担うのだが、特定パートや特定アイテムを所持していると別のキャラに差し替えることが可能。
  • 錬成石
    • ○○(キャラ名)の錬成石といった名前で庭城で入手できる。このアイテムを消費することで、対応するキャラのクラフトを強化できる。強化段階が進むとステータスもアップする。

戦闘関連

  • クロスチャージ
    • フィールドバトルの時、敵の攻撃をタイミングよく回避することで発動する。その後△ボタンを押すと別のメンバーに交代してすぐさまチャージアタックを仕掛けられる。また、交代したメンバーは一定時間攻撃力にバフがかかる。
  • EXチェイン
    • コマンドバトル中にある条件を満たしていることで発動。画面に2キャラのカットインが移り、掛け合いをした後にコンボ攻撃を繰り出す。
  • クイックアーツ
    • フィールドバトルで使用できるアーツ。使用可能なクイックアーツはアーツドライバによって決められており、それぞれの属性の基本アーツしか使用できないが、いずれもEP30という低コストで使用が可能。
  • デュアルアーツ
    • 二種類の属性をあわせ持つアーツで、属性の計算は敵の弱点となるほうを優先して行われる。
      • たとえば、水属性と地属性をあわせ持つ「アイヴィーフロスト」は、地属性150、水属性70の敵に対して、150の属性ダメージを与えられる。

シナリオ・イベント関連

  • タイムリープ
    • シナリオにおいて敗北・拘束・ 死亡 といった展開を回避するために行われる。発生するとDetroit: Become Humanのようなタイムチャートから巻き戻してシナリオをやり直す。
  • チャプター
    • 創の軌跡にもあった、別キャラの視点でストーリーをなぞるシステム。基本はヴァンとその他に分けられる。

ミニゲーム関連

  • アクティビティ
    • シナリオの途中、休息という名目で各キャラと交流をはかる。アクティビティポイント分だけ可能で、対象キャラのコネクトポイントが増える。
  • 尾行
    • 一部シナリオで怪しい人物を尾行するのだが…どう見てもキムタクのそれとまんまである。もっとも相当な難度だったあちらと違いこちらはそこまで難しくないので安心。
  • セブンスハーツ
    • 4人対戦式のカードバトル。ミニゲーム扱いで関わりの深いキャラとプレイできる。
  • FIO
    • みんなもお世話になったカトルの相棒、「FIO、みんなを癒やして!」のドローン。今回も、クラフトの補助やアイテムを範囲問わず使用可能になるうえ、彼(彼女?)を特設操作できるミニゲームもある。
  • ハッキングテスト
    • イベントや特殊な宝箱を開けるときに発生する。メアを使って障害を抜けてゴールを目指す。途中ボタン操作やギミックを使って障害をやり過ごしたりと、それなりに歯ごたえがある難易度になっている。
  • バスケットボール
    • 2on2で楽しめる世界共通球技。それぞれオフェンスとディフェンスフェーズがある。
  • アラミスクイズ王大会
    • 最終幕で遊べるゲーム。創の軌跡における「軌跡でポン!」とほぼ同様だが、今回の難易度はかなり高め。

評価点

  • 前作の魅力をそのままに再現された大人向けシナリオ
    • 今回も過去作に比肩するほどにシビアでハードな展開が目白押し。特にサブクエストのLGCアライアンスはヴァン以外の選択も可能となり、より個性のある展開が楽しめる。
      メインクエストも質はさておき(後述)、非常に重いシナリオが展開されており、その中にはタイムリープの項目でも触れたが キャラの死亡 といったかなりヘビーな展開も含む。
  • しっかり掘り下げられたキャラ達
    • 過去と決別するレン、4SPGメンバーなど、元々良かったキャラの魅力がより一層引き立っており、さらなる愛着がわく。
      特に、創の軌跡の主役でもあったスウィンとナーディアのシナリオにようやく決着がついたので、ファンを安堵させた*2
    • メインキャラで大きな活躍を見せたのはアーロンとカトル。アーロンは、ヴァンを見習って故郷で裏解決屋の真似事を始めて、治安維持に大きく貢献。さらに、子供の頃から世話になっていた黒月の未曽有の混乱を仲間たちと共に収束させるなど、著しい成長を見せている。カトルは、前作で謎に包まれていた正体がいよいよ発覚。自らのトラウマを乗り越え、すべての過去を受け入れるに至っている。
    • メインヒロインのアニエスも、前作に劣らぬ活躍を見せる。第二部Bでは主人公を務め、クラスメイトとなったスウィン、ナーディアと共にアラミス高等学校に訪れた危機に挑み、見事これを解決する。終章のアラミス学園祭におけるダンス、そしてヴァンの行動に対して行ったアニエスの魂の叫びも必見、必聴ものである。
    • ヴァンの幼馴染であるエレイン、キンケイド、そして、斑鳩の副長であるシズナが、ゲストキャラクターであった前作からメインキャラに昇格し、正式参戦。その性能もそれぞれの立場に見合った強力なものとなっている。
    • アップデートで空の軌跡から「ジン」、閃の軌跡から「フィー」がそれぞれ正式参戦。ジンは今作で重要なキーパーソンであり、フィーは前作で活躍したので参戦を熱望していたファンには嬉しいサービス。
    • ジュディスの後輩であり、彼女に匹敵する演技力を誇る天才女優「ニナ」も、ついにその正体が明かされる。そのあまりに意外と言える正体は、多くのプレイヤーを唸らせた。このほか、ヴァンの家族と言える「ユメ」や「ポーレット」、彼女たちと深いかかわりを持つ「マクシム」、憧れの人を失った「マリエル」も、それぞれ見せ場がある。
    • 前作から存在がほのめかされていた「ジータ」と「ドミニク」、シズナに匹敵する最強格の戦士として現れた「カシム」と「ガウラン」、前シリーズの主役の一人である「トワ」も、大きな活躍を見せる。
  • グレンデル同士の争い
    • 本作は、ヴァンが変身するグレンデルのライバルとなる「グレンデル=ゾルガ」や、その量産型である「デミ=グレンデル」が登場する。
      • グレンデルとグレンデル=ゾルガは、幾度かに分けて戦うことになるが、そのシーンは非常に熱く、仮面ライダー龍騎などに代表される「ライダーバトル」を彷彿とさせるものとなっている。
  • コネクトイベントのクオリティ
    • 前作でもキャラの掘り下げにて好評を博したコネクトだが、その良質さは健在。特にレンのあるコネクトでは、古参ファンであれば感涙必至のストーリーが用意されている。
  • 快適なハイスピードモード
    • 新システムでも触れたが、このモードにする場合はボタン一つでできること、倍速までの移行が非常にスムーズであることが非常に快適。今回庭城といった稼ぎ場で時間を使うことが多いので、こういった単純作業が苦にならない工夫があるのは非常に助かる。
  • より洗練されたモーション
    • 前作は一部のモーションに問題があり、後々修正されたものがいくつかあったものの、今作はリリース時点でどれも違和感ないものとなっている。普段のモーションも同様ではあるものの、取り立てて悪いわけでもない。
  • Sクラフトにカットインが追加
    • 前作でなくなったことが問題視されていたSクラフトでのカットインが復活。プレイヤーキャラクターはもちろん、イクスやヨルダ、ハーウッドなどの敵キャラにも実装されており、好評を博した。
  • 視覚的に嬉しい展開
    • 本作でようやく全キャラの水着衣装*3が本編でお目見えし、(一部)プレイヤーから絶賛された。歴代シリーズでも特に女性陣が(どことは言わないが)豊かな作品なので、アーロンもとい男共は歓喜した。ちなみに、ハッキングテストやミスティックキューブでもメアの(どことは言わないが)今までよく見えなかった部分もしっかり映るようになったので、そこも評価するロリコンプレイヤーもいるとか。
  • 非常に熱い最終盤の展開
+ ネタバレ注意

本編のラスボスである紅黎いグレンデル「グレンデル・ゾルガ」戦において、戦闘背景が過去のシチュエーションを再現した舞台となっている。特に最初のシチュエーションはヴァンとエレインが(タイムリープしなかった場合の)死亡する現場での決戦という、これまでの雪辱を果たすような演出で非常に熱い。もちろんこれだけではなく、前作のシチュエーションもいくつか含まれるので、前作からプレイしている人にとってはニクい演出となっている。更にグレンデル・ゾルガにとどめを刺すときの演出は固有のもので、そのど迫力さはまさに最新作といえるほどのクオリティである。

  • 高クオリティのBGM
    • ファルコム作品の例に違わず、本作もBGMは非常に良質
      • 主題歌である「CRIMSON SiN」は、本作を象徴するある人物たちの心境を鋭く描いた歌詞に、優れた曲、佐坂めぐみ氏の歌唱力とすべてにおいてスキがなく、シリーズの主題歌の中でも高いレベルの人気を獲得している。
      • ゲーム内で使用される曲も、タイトル曲の「愛しき刻限の果てに」や特定のボス戦で使用される「solid-state shard blow」など、言わずもがなの名曲ぞろいとなっている。

賛否両論点

  • 強すぎるアーツ「ケートゥスファンタズマ」
    • 幻・水属性のデュアルアーツで、通称「クジラ」*4。敵全体に大ダメージ&バフ解除&全能力デバフをぶっ放せるヤケクソじみた性能を誇る。本作は敵のバフが強烈であるため、解除できるキンケイドやシズナが重要なのだが、これを修得すれば誰でも容易にバフを解除できてしまう。そのため、低い難易度であれば、本編もクリア後追加されるダンジョンもこれだけでなんとかなってしまうほど。
  • 星杯騎士の扱い
    • 今回ゲスト参戦としてセリスとリオンが登場するが、他のメンバーがことごとく第3部のラストバトルや最終章で共闘できる中で彼らだけ同行できない。また、セリスは性能もやや低めで、どちらかと言うと物足りないと考えるプレイヤーもいる。一方、作中で何度か協力してくれたり、タイムリープにおける打開策になることもある*5ので、不要な存在とは言い難いのも事実である。
      • また彼らの代わりなのかは不明だが、彼女たちと関わりのある前作のプレイヤーキャラが不参加になってしまっている。詳細は問題点にて。
  • 非常に面倒なアクティビティ
    • キャラクターと遊んだりできるシステムで、ヴァンとのやりとりが非常に癒されるもののはずだが…このアクティビティ、消化するための行動が非常に面倒。パラセーリング*6は終わるまでひたすら待つだけ、ドライブは狭い道路を微妙な挙動をする車でポイントを通過する、カクテル作りはだだっ広いフィールドでアイテムを採取する…といったもので、やけに時間がかかる。その他とにかく地味なバスケ、難しい上に時間もかかるクイズ等、まともに消化させるつもりがないものばかり。もっともそれらを達成して得られるやりとりはなんとも得難いものがあるので、その点は評価できる。また評価点において記述された通り、コネクトイベントの内容は非常に良質だがその数は前作よりかなり少なく、「もう少し欲しかった」と言うプレイヤーもいる。
  • 相変わらず癖の強いテキスト
    • これは前作に限らず過去作でも度々見られた事だが、(ダブルクォーテーション括り)や傍点を多用し、同じ慣用句や単語を使い回すのは改善されていない。多くのキャラが狂言回しのような物言いが目立つ*7のも目が滑る要因になっている。気にしないプレイヤーや、シリーズの個性として肯定的に見るプレイヤーがいるのは事実だが、テキスト量が多いためなおのこと眼についてしまうプレイヤーがいるのもまた事実である。

問題点

  • あまりにも拙く冗長なタイムリープ
    • 概要は前述した通りだが、このシステムが本作の評価を大きく落としている主要因。例えばあるルートにおいて正規ルートが「A→D→E」だったとすれば、最初に「A→B」ルートを進む必要がある。もちろんこれでは敗北エンドとなるので、今度は新たに出現した「A→C」にルートを切り替えてやり直す。もちろんこれでも敗北エンドとなるので、ようやく正規ルートの「A→D」が解放される。
      要するに正規ルートにたどり着くまでには、 用意された敗北エンド(BC)をすべて通り、その分再び最初(A)に戻らなければならない面倒な設計 となっている。
      そもそもタイムリープとはいわゆるADVゲームでは暗黙の了解で存在するシステムであり、数ある可能性の中から幾多もの世界線を自由に選んで様々な世界を楽しむ装置なのだが、本作は始まりと終わりは常に固定で、しかも途中の行き先も正解以外はすべてハズレ扱いなのである。その上、正規ルートを見つけるには敗北エンドを一定数見る必要がある。一言で言ってしまえば、ただの総当りでしかないのだ*8。しかも使用制限などもないので、タイムリープに慣れるとキャラが死のうが負けようが正解に辿り着こうが、得られるカタルシスがほぼなくなっている。
      このタイムリープは断章と三章で特に多く見られ、そのたびにやり直して死んでやり直して敗北して…を繰り返すのでとにかくシナリオが冗長に感じること請け合い。俗に「 DIEジェスト 」と言われることも。しかも先に挙げた「A→D→E」はまだシンプルなほうで、更に複雑なルートも多々存在する。ただし断章の方は、上手く進めれば二回のみのタイムリープで済ませることが可能。
      また、これまでのシリーズではたとえ敵に敗北したりしても、そこから這い上がるような展開もあったのだが、本作においては「死亡」は仕方ないにしても「敗北(拘束)」であってもタイムリープできてしまう。裏解決屋はいかなる失敗も許されないという気概が見て取れる。
      さらに、死亡する流れも、前作で様々な罠を(タイムリープなしで)無効化してきたメンバーたちからは考えられない醜態とも言われている。特にヴァンは、シリーズ主人公の中でも屈指の知性と勘のよさを誇り、それを嗅覚と言う形で再現していたため、「鼻が詰まった」と揶揄されることもある。何度も何度も死に戻りを繰り返している割には危機感もなければ対策も立てない解決事務所の面々に違和感を覚えることも。例えをあげると無警戒に部屋に入り、トラップで爆死するなどがある。
  • 庭城の水増しぶり
    • 本ダンジョンはレベリングや稼ぎでも使われるが、それぞれの階層は多少の違いはあれど、どれも数パターンのコピペダンジョンであるため早々に飽きが来る。階層が追加されるタイミングで毎回ミラベルから直接ボイス付きの連絡が来る上、スキップもできないので鬱陶しく感じる人もいる。ではやらなければいいのでは?と思うが、クリア後の追加ダンジョンは庭城最下層で、これまでの階層をすべてクリアする必要がある。しかも前作ファンには是非見るべきシナリオが存在するので、無視することもできないのがなんともはや。
    • また、類似コンテンツである「影の国」や「夢幻回廊」「真・夢幻回廊」で実装されていたキャラ同士の会話もカットされており、これについてはもったいないという意見も見られた。
  • 侵食
    • これまで関わりのあったキャラに対して、過去の記憶や 経歴などを改変 し、敵対させる現象。閃の軌跡における「呪い」の上位互換ともいえるもの。呪いもびっくりなトンデモ機能だが、これによって仲間として協力していたキャラが敵として立ちふさがることになる。その中にはメインキャラクターも相当数含まれていることから、そのキャラに愛着があるプレイヤーにとっては非常にショッキングな展開となる。そもそも記憶はともかく経歴も改変はやりすぎではないだろうか…?
      その他、特にやりすぎとされるものは、「本体とは別にある意識体を使役」*9「死者を復活」といったチートじみたものがあり、もはやなんでもありとなってしまっている。
  • 余りにも肩透かしな大ボス
    • 本作には「二人の黒幕」と前述した「グレンデル=ゾルガ」、「クリア後ダンジョンの最終ボス」などが大ボスとして立ちはだかるが、その正体がどれも予想外すぎて深みが感じられない。前作の大ボスであるジェラール・ダンテスとメルキオルが軌跡シリーズでも印象に残る悪役な分、肩透かしを食らったとしか言えないのだ。
+ ネタバレ注意
  • 黒幕
    • その正体は「破戒のハーウッド」と「思想家オーギュスト」である。だが、前者はともかく、後者は …誰? と思ったプレイヤーは非常に多い。一応彼はカルバードにおける建国の母シーナ・ディルクの盟友ではあるのだが、彼よりも学園の名前にもなったアラミスのほうが知名度が高いし、本作以前に明かされているとはいえ、本作を普通にプレイした状態でオーギュストの名前が確認できるのは序盤のサブクエだけ*10である。しかもその時はあくまでシーナ・ディルクの盟友であるとの説明だけで、彼の真意や末路は明らかにされない。だというのに、作中のキャラは「もしや…」「やはり…」とわかっているような口ぶりだったのでプレイヤーが置いてけぼりを食らった状態で決戦に臨むことになる。
  • グレンデル=ゾルガ
    • 正体は「ディンゴ・ブラッド」。前作のキーパーソンではあったものの、明確に死亡していたキャラなので、やはり彼が出てきたときも …なんで? と思うプレイヤーが続出。しかも、彼はヴァン寄りの人間なので、ボス側に周る理由*11がまったくもって理解できない*12。一応、彼は定番のコードネーム《C》を名乗っており、それがヒントであると教えてくれるのだが…はっきり言ってミスリードすぎて推理というよりかは言葉遊び*13にしかなっていない。当然、作中で彼であると指し示すものは《C》のヒント以外ないので…。
  • 回収されない伏線と更に増えた謎
    • リゼットが義体である理由やメアの謎言語とユメの関連性、またゲネシスのタイムリープ機能や終わりの聖女…といったこれまでの謎に加えて追加された謎が更に膨れ上がっている。そのうち本作で回収されたものはごくわずかでしかなく、消化不良になっている。このシリーズでは半ばいつものことであるが…。
  • ボリュームが薄い
    • 上記の通り、シナリオはタイムリープにおけるやり直しと、庭城の周回による水増し感が強いため、ボリュームそのものはあれど、密度としては相当スカスカである。しかも、シナリオは結局あまり進行しておらず、どちらかというとスウィンとナーディアに焦点を当てたものが主体であるため、「創の軌跡2」または「黎の軌跡1.5」と揶揄されることもある。
  • メインキャラのリストラ
    • なんと、前作でメインキャラの一人であった「ベルガルド」が本作では登場しない。
    • メインキャラがのちの作品で出演不可になったのは本作が初*14である。人気も高いキャラだっただけに、残念がる声は大きい。
  • グレンデルの活躍が、前作より控えめ
    • 前作では、章の終わりの大ボス戦をグレンデルに変身して楽しむことができたが、本作は必ずしもすべての章の終わりにグレンデルが出てくるわけではない。その影響から、イベントによるグレンデル戦の頻度が大幅に低下してしまっている。

総評

過去作のキャラへのフォローがしっかりされており、またメインキャラの魅力も更に向上したことでより一層ヴァンに対して安定感を得られるようになったのは非常に良い点とされる。
ゲームシステムと演出においても確実に進化し、コマンドバトルとアクションバトルのいいとこ取りがより強くなったといえるだろう。
しかし、前作の魅力であったシナリオにおいては大きく劣化したと言わざるを得ない。
魅力的なキャラや世界観も、侵食とタイムリープというご都合主義によって大きく損ねてしまい、ファンから反感を買ったたのは非常にもったいない。
元々足の遅いシリーズではあるものの、本作は特にその鈍足さが露骨に現れてしまったため、長年のプレイヤーからしたら辟易ものだろう。
ボリュームについても決して多いとはいえないというのに、前作よりも値上がりしているのは納得できない問題になっている。


余談

本作のラストで「To be continued kuro no kiseki Final Chapter」という文字が表示された。
そして、2023年12月15日に、軌跡シリーズの新作『英雄伝説 界の軌跡 -Farewell, O Zemuria-』が発表された。オレド自治州が舞台になることが明かされており、この作品が『黎の軌跡』の最終章になるかは不明。発売は2024年を予定されている。


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最終更新:2024年04月05日 23:13

*1 以下庭城と記す

*2 …のだが、肝心のキャラ二名の出番が非常に少ないのはやや残念ではある。

*3 前作でも湯着はあったものの、だいぶ(どことは言わないが)隠している部分が多かった。

*4 クジラ類やアザラシなどの「海獣」を意味するラテン語であるため

*5 実際、彼女たちの存在のおかげで乗り越えられた窮地も少なくない、

*6 パラシュートに似た特別に設計されたキャノピーウィング(パラセイルウィング)に取り付けられた状態で、人が車両の後ろに牽引される乗り物。説明よりググったほうがわかりやすい。

*7 狂言回しが悪いのではなく、登場人物のほとんどがこのような言葉遣いになるのは非常に読みづらい。特定人物に留めるのが基本である。

*8 あくまでタイムリープ要素をゲームを組み込んだまでであって、ADVと単純に比較できるものではないが、そのような要素を取り入れたのであれば普通はそれに近いものを期待してもおかしくないだろう。

*9 例えば一時的に敵対する「ジン」「キリカ」の肉体は眠っているが、その分身とも言える意識体とは普通に戦闘に突入したりするなど

*10 一応、彼と対峙したときのこれまでの経緯を懇切丁寧に説明してくれるが、そういうのはもっと各シナリオで伏線を張る等すべきである。

*11 一応、ルポライターという立場上、危険を冒してまで真実を追い求めるという情熱さはあるが、それだけでは流石に無理がある。

*12 もちろん、その経緯は正体が判明したときに懇切丁寧に説明してくれるが、それが彼でなければならない理由は一切感じず、ますます謎ばかりが募ってしまう。

*13 Ding Bloodで「DとBの間のアルファベット」ということらしいが…

*14 閃シリーズでは、Ⅱ、Ⅲでクロウが、Ⅳでミリアムが使用不能になるが、彼らはあくまで登場当時はサブキャラにカウントされている。