英雄伝説 空の軌跡 the 3rd
【えいゆうでんせつ そらのきせき ざ さーど】
| ジャンル | RPG |  
  
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| 対応機種 | Windows 98~Vista プレイステーション・ポータブル
 プレイステーション3
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| 発売・開発元 | 日本ファルコム | 
| 発売日 | 【Win】2007年6月28日 【PSP】2008年7月24日
 【PS3】2013年6月27日
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| 定価 | 【Win】7,980円(初版) 【PSP】5,040円
 【PS3】3,990円
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| 廉価版 | PSP the Best:2010年12月16日/2,940円 | 
| レーティング | 【PSP/PS3】CERO:B(12才以上対象) | 
| 備考 | Win版は7・8対応版発売 | 
| 判定 | 良作 | 
| ドラゴンスレイヤー&英雄伝説シリーズ | 
 
概要
『空の軌跡SC』で登場したケビン神父と、その従者となった新キャラ・リースを中心に、『SC』エンディングから半年後のある事件を描く外伝的な後日譚。
スピンオフであるためか、『FC』『SC』では「序章~終章」だったストーリーが「第零話~最終話」になっている。
『SC』のクリアデータを引き継ぐと、最終的な遊撃士ランクによって多少のオマケを得られる。
あらすじ
《輝く環》事件から半年後。
古代遺物回収のために再びリベールを訪れたケビンは、謎の男によって異世界《影の国》に取り込まれてしまう。
特徴
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《隠者の庭園》と呼ばれる場所を拠点として《影の国》を進んでいく。システム的にはダンジョンRPGに近い。
 影の国の各所には、条件を満たすことでショートエピソードやミニゲームにつながる「扉」がある。
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拠点や道中のチェックポイント・「扉」にはいつでもワープすることができる。
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扉をクリアするとアイテムやお金を得られる。前作までのサブクエストに相当すると考えていい。
 
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進行に伴い操作可能キャラが増え、最終的には16人となる。
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パーティーは最大4人だが、パーティー外のメンバーを一人選ぶことでステータス補正などを得られる(これを「リモートアビリティ」と呼ぶ)。
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大人数の装備やオーブメントを強化しなければならないためか、全体的に前作までと比べ敵が落とすセピスが多く、一戦闘あたりの入手量の上限も増えている。
 
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戦闘面は改めて調整されている。
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本作では地水火風の4属性に加え、時空幻の3属性が戦闘に影響するようになっている(過去作にも後者3属性の攻撃魔法は存在したが、実質は無属性扱いだった)。
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割と現実的な動物型が多かったSCまでの「魔獣」と異なる、亡霊や悪魔、アンデッドの類である「魔物」に新しい3属性が効く場合が多い。
 
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特にステータス補正のついた装備品が多くなった。
 
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二周目に引き継ぎが可能。内容はお金・セピス・レシピ手帳・最強武器の素材(前周で取得していた場合)。
見所・評価点
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「扉」のエピソード・ミニゲーム。
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エピソード内容は『3rd』時点から見て過去の出来事で、『FC』開始以前のものだったり『SC』終了以後のものだったり。報告書のような形式で世界観を補強するものもある。
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もともとキャラクター造形や世界設定が特徴の『空の軌跡』を、より掘り下げるものになっている。
 
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ミニゲームは3Dシューティングやクイズなどバラエティ豊か。裏武術大会では様々な敵を相手にバトルすることになる。
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一方で一部サブシナリオが陰鬱であったり、はっちゃけすぎである点は批判されている。特に扉エピソード「楽園の少女」については、このご時世に全年齢版で出せたのが不思議なほどのダークな内容。
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あまりに凄まじい内容のためここでは記述しないが、その容赦のない陰鬱さに拒否反応を示すプレイヤーも多く、この作品を3部作の中で最も評価の分かれる作品たらしめている点の1つ。
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この点はユーザーの意見を反映したのか、続編にあたる『黎の軌跡Ⅱ』でフォローが入っている。
 
 
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BGMは『FC』『SC』からの続投ではなく新規のものが基本になっている。
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オープニングボーカル『Cry for me,cry for you』をはじめ『Overdosing Heavenly Bliss』などアップテンポの曲の人気が高い。
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やはり特定のメロディを使ったアレンジ手法が使われている。
 
問題点
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キャラクター格差が大きい。これは16人もいるので仕方ない面もあるが…。
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特に強いのはリシャール。物理型だが魔法も強く、クラフト使用時の硬直時間が異様に短いという特徴があり、CPがあれば何度もターンが回ってくる。範囲攻撃手段に乏しいことと加入順が遅いことが難点。
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弱いというか使いにくいのはジョゼットやアネラス。ジョゼットはどうにも中途半端かつ売りが無い性能。アネラスは独特なクラフトを持つものの、他キャラと合わせないと直接的な戦力につながりにくい。
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このうちジョゼットはリモートアビリティがセピス稼ぎ・ドロップアイテム稼ぎに優秀なので稼ぎ目的では採用される頻度が多い。裏を返せばパーティーに入れられないということだが…。
 
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本作は序章を除いて「影の国」と呼ばれる異世界で終始展開する。そのため、町などでのNPCとの会話がほとんどない。あるとしても一部イベントや「扉」の中のみで『FC』『SC』のような多くの会話は無い。
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逆に「本集め」に相当するイベントは非常に楽。話が進むたびに拠点内を散策するだけで済む。(報酬はアクセサリ)
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特にWin版では、当初影の国のみが舞台であることを明かしておらず、このことに対して大きな反発が寄せられた。
 
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「扉」を途中で抜けられない。
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メッセージ送りだけで終わる扉ならいいが、自動であってもキャラの移動などが伴うと割と時間がかかる。
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キャラを操作してイベントをこなしていくタイプの長めのエピソードだと、終わるまでゲーム本編に戻れない(その場合はエピソード内でセーブできる)。
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PSP版ではイベント中にSTARTボタンで中断可能。
 
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少し趣が異なるが、オープニングイベント直後のセリフを読み進めるだけの進行部分も長い。
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セリフをすっ飛ばしても15分、普通にプレイしていれば30分近くはセーブの機会がない。
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終盤の話が盛り上がっている状況やエンディングならまだしも、まだゲームは最序盤である。
 
 
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Sクラフトのテンポは悪いまま。
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特に酷いのはリースの「ヘブンスフィア」。他のSクラフトは長くても30秒程度だが、なんと50秒もかかり発動させるのをためらうレベル。
 
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PVや公式のプロローグで冒険の始まりと紹介される飛行客船「ルシタニア号」だが、話の本筋とは無関係のオープニングイベントにしか関わらない。
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「星杯騎士」や「猟兵」など、世界設定がどういったものかをプレイヤーに示す舞台としては充分な役割を果たしているのだが…。
 
総評
『空の軌跡』の続編として発売されたが、良くも悪くもキャラクターをフィーチャーした外伝的作品になっている。
後日譚という立ち位置ではあるが、「扉」の存在により語られるエピソードの時期はさまざまで、複数の視点で空の軌跡の世界を描いている。
PV冒頭で『「英雄伝説VII」へと繋がる』とされており、後に発売された『零の軌跡』や『閃の軌跡』、『黎の軌跡』に関わる描写も盛り込まれている。
Win版発売の時点ですでに『空の軌跡』はPSP移植が進んでおり、『零の軌跡』はPSPにハードを移しファルコム自体もコンシューマを基本としたゲームメーカーとなる。
PSP/PS3移植
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基本的にPSP版『SC』と同様の形で移植されており、一周目から難易度選択が可能。それ以外にも様々な変更点がある。以下はその一部。
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先述したエピソード「楽園の少女」の前半がごっそりカットされている。これはCEROのレーティングを考えると止む無しだろう。
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クラフト・アーツ・装備・アイテムなど、数値設定や性能の調整がかなり多い。
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Sクラフト演出や扉エピソードをSTARTボタンで飛ばせる。
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終盤になると魔獣が落とす食材を購入可能になる。
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実はWin版でも最初に「ストーリーが進むと品揃えが増える」かのように言われるのだが最後まで変化がなかった。おそらく設定ミスの修正。
 
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クイズ難易度「マニアック」の追加、クオーツ「神鏡」「魔鏡」「刻耀珠(駆動3)」の追加。
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神鏡は一度も逃げないことで、魔鏡は逃げまくることで最終盤に手に入る。1周につきどちらかのみ。
 
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ある中盤ボスの取り巻きの技が多段ヒットになった。Win版経験者は目を剥くレベルで強烈。
 
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PS3版の正式名称は『英雄伝説 空の軌跡 the 3rd:改 HD EDITION』で、PSPソフトをHDリマスターする「PSP Remaster」の一環。
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グラフィックがHD化され、PSP版とセーブデータの共有が可能。ゲーム的な追加要素は特になく、トロフィー機能もない。
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エクストラコンテンツとしてカスタムテーマの他、サウンドトラックが全曲収録されている(PS3本体にインストールして他の機器にコピーも可能)。
 
余談
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概要で触れたように、『3rd』は『空の軌跡』の中では外伝的な扱いがされている。
 しかし『FC』(当時は無印)・『SC』の製作当時から、世界観を広げて現在で言う『軌跡シリーズ』として続ける構想自体はあった。そして『3rd』には、シリーズが続くことが決定した状況で、エステルとヨシュアを中心とした物語である『FC』『SC』に入れられなかった設定や伏線を描くという側面がある。
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裏を返せば『FC』『SC』自体は以降のシリーズ作品に繋がることを前提とした造りではなく、『3rd』で方向修正されたということ。そのため、『軌跡シリーズ』としては『FC』『SC』のほうが世界描写などの点で異質と言えるかもしれない。
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特に国際情勢は『FC』『SC』の内容から想像されるものよりも色々ときな臭い。
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同様に「英雄伝説VII」に相当する『零の軌跡』以降の作品は続編という立ち位置ではあるが、「同じ世界・同じ時代」を舞台とした異なった方向性の作品とも言える。
 そのためプレイヤーによっては「『空』は合ったが『零』は合わなかった」ということもその逆も十分あり得ることは注意すべきだろう。
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もっとも『FC』『SC』をシリーズから除外して『3rd』以降のみを見たとしても、描写される情報に一貫していない部分はある。
 
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前作までの敵キャラ・サブキャラが操作キャラクターとなる中、『SC』でスポット参戦したキャラが一人リストラされている。
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設定的には優秀・有能な主人公サイドのキャラなのだが、それ故か『FC』『SC』でシナリオ上の「かませ」的な立場にされていたり、どうにも不遇。
 
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iOS/Android向けのクラウドゲームアプリが配信されている。
    
    
        | + | PSV版『英雄伝説 空の軌跡 the 3rd Evolution』の特徴・変更点 (参考記述) | 
2016年7月14日に発売されたリメイク版。価格は通常版5800円、ダウンロード版が4800円(共に税別)。発売は角川ゲームス。企画・監修はキャラアニ・日本ファルコム。開発はパオン・ディーピー。
 レーティングは『FC Evo』『SC Evo』と異なりCERO:B(12歳以上対象)のまま。以下、変更点。
 
UIの変更・フルボイス化・BGMアレンジ・一枚絵などはほかのEvolutionと同じ。
メインストーリーだけでなく「扉」の中でも声が入っている。
そのため、結社「身喰らう蛇」の盟主や使徒などにもすべて声があてられている(このうち盟主、第二柱、第四柱は声優が別の人に変わっている)。
ケビンのSクラフトのカットインはすべて異なるものになっている。
 
特定条件を満たすと『碧』に登場したアリアンロードと戦えるようになる。
 
クイズの問題の追加・選択肢変更の調整が行われており、『閃II』までに発売されたシリーズの用語やキャラ名が入っている(「アーデントプレス」「エリゼ」「蒼の深淵」など)。
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最終更新:2024年02月14日 21:23