@SIMPLE DLシリーズ Vol.33 THE 熱血!炎のラーメン屋
【あっとしんぷるでぃーえるしりーず ぼりゅーむさーてぃーすりー ざ ねっけつ!ほのおのらーめんや】
ジャンル
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アクションパズル
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対応機種
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ニンテンドー3DSダウンロード
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発売元
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D3パブリッシャー
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開発元
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ロケットスタジオ
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発売日
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2014年10月29日
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定価
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530円(税込)
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プレイ人数
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1人
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象)
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判定
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良作
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ポイント
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3DSの機能を駆使してラーメンを直感的に調理 所々で散見されるギャグ要素 後半はいかにげきからとあぶり肉を避けるか
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@SIMPLE DLシリーズ
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概要
D3パブリッシャーが展開するSIMPLEシリーズの一つ@SIMPLE DLシリーズより、ロケットスタジオ開発のシリーズ初となる完全新作調理ゲーム。
スライドパッド、タッチ、ジャイロ、マイクと3DSならではの操作でラーメンを作っていく料理アクション。
ジャンルはアクションパズルとなっているが、パズル要素はほぼない。
主人公「能近 極(のうきん きわめ)」の立場に立って、ラーメン店で次々と舞い込んでくるオーダーに従い調理をこなしていくゲームスタイルを取る。
システム
ゲームモード
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全7話の「ストーリー」に沿ってゲームを進行させていく。
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新米職人の少年極がラーメン店「くろがね軒」で店主の祖父からラーメン作りを学びながら、ライバルチェーン店「呈刻ラーメン」との対抗を描く。
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各話は主に新しいメニューの調理を覚えて実践する「営業イベント」と刺客からの妨害の中調理をこなす「対決イベント」に分かれている。
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各イベントには達成条件が設定されており、一定時間内(ゲーム内では日数)でそれらを達成することでクリアとなる。
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ストーリーの話数が少ないためか全体的な難易度は高めになっている。
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「つづきから」で最終イベントから再開、「トライアル」で1種類のラーメンのみを調理、「営業記録」でストーリー、メニューごとの記録確認が可能。
調理パート
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上画面で時間経過や客の機嫌などの店の状況の確認、下画面で調理を行う。
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オーダーチケットをタッチして調理開始。各チケットには待ち時間が設定されており、時間内に完成させないと客が帰ってしまい評定を大きく下げてしまう。
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基本的に速く正確に完成させるほど評定が上がる。
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同じ種類のチケットは4枚まで一つにまとめることができ、客の待ち時間を延長させることができるほか、湯切りなど一部の調理過程を同時に行える。
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各ラーメンの調理法
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しょうゆ、みそ、しお、とんこつ
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基本的なラーメン。どの種類のスープでも調理の内容は同じで、麺を茹でる、湯切り、トッピングの3つの手順に分かれる。
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最初に茹で加減のメーターを確認しながら麺を茹で、メーターが光ったタイミングでタッチして引き上げる。
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オーダーには「カタ」「ナミ」「ヤワ」の3種類があり、後のものほど長い茹で時間を要する。
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次にスライドパッドをアイコン通りに手際よく数回移動させて湯切りを行う。
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最後はラーメンを囲むように配置されたチャーシュー、メンマなどの具材をスライドパッドで手前に移動させ、タッチペンで丼にスライドしてトッピングする。
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オーダーには「アリ」「マシ」「マシマシ」の3種類があり、後のものほどスライドする回数が1回、2回、3回と多くなる。
メガ盛り
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タッチペンでオーダーされた個数の具材を丼にスライドさせて積み重ねていく。
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下の具材の位置に上手くスライドさせないと具材が丼に乗らない。
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オーダーの個数積み上げた時点で完成だがそれより多く積み重ねることもでき、高く積めば積むほど評定を上げることができる豪快なシステム。
タンメン
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スライドパッドを指定通り下移動、回転させることで中華鍋の具材を炒める。
つけ麺
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基本のラーメンと同様の麺の湯切りを行うのみ。その分操作回数は多い。
げきから
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タッチで唐辛子、本体を傾けて酢、スライドパッドを回して胡椒を加えることで「辛味」「酸味」「香味」の3要素が指定された配分になるように激辛スープを調合する。
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酢を加えて酸味が増すと辛味が減る、胡椒を加えて香味が増すと辛味も増す、といったようにそれぞれの要素は干渉し合うことも考慮する必要がある。
あぶり肉
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大きな串に巻かれた肉をスライドパッドで回転させることで全体に万遍なく火を通す。
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肉の断面図がサーモグラフィーで表示されており、内側含めた全ての部分が黄色以上になるまであぶる。
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調節が非常に難しいがマイクに息を吹きかけることで火力を上げることもでき、調理時間を短縮できる。
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調理をこなしていくことでゲージを溜めると、ゲージを消費して状況を有利にする必殺技を発動させることができる。
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ラーメンを完成させて得られる累計ポイントが溜まると新たな必殺技を習得できる。
評価点
直感的かつ軽快な調理操作
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中華鍋や湯切りなど実際の調理器具を意識した直感的かつ小気味良い操作が多く、テンポ良くリズミカルに調理を進められる。
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トッピング量やオーダーによって同じメニューでも操作内容に差異が生じるので、変化に富んだ調理が楽しめる。
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げきから、あぶり肉は高難易度で軽快さにこそ欠けるが、繊細さが重要となる操作性自体は独特であり斬新なものとなっている。
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特にあぶり肉では他のゲームでも数少ないマイク操作を採用しており、独自性が高い。
良質な料理のグラフィック、演出
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調理中や完成品の各メニューは3Dモデルで表現されているが、色彩が鮮やかでグラフィックの作り込みも細かめ。
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いずれのメニューもしっかりおいしそうに描写されており、料理ゲームとしての評価は高い。
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中でもメガ盛りは、完成時の上下2画面を貫く圧倒的具材量のトッピングが強烈なインパクトを与える。
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料理以外でも、タイトル画面で「提供 くろがね軒」とテロップが出たり、調理開始/終了時に引き戸の開閉演出が入ったりする細かい演出も没入感を強めるのに一役買っている。
ギャグチックなノリ、必殺技
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調理演出にギャグ要素が散りばめられており、愉快な感情でプレイできる。
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ラーメン完成時に出る寸評が「漢魂充填120%!」や「すまぬ…すまぬ!」などやけに熱苦しい口調となっている。
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メガ盛りでは具材がズレてギリギリ乗っかっているありえない状態でも積み続けることができ、完成した高さに応じて「愛宕山」「チョモランマ」など実際の山になぞらえてランク付けされる。
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極のカットインと共に発動する必殺技もハチャメチャな勢いに反してどこか現実的なもの揃いで、加えてどの効果もユニークであり面白い。
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例えば「あっ!あれはなんだぁぁっ!?」で客の待ち時間を止める、「先代召喚」で祖父(存命)に調理を丸投げする、など。
必殺技というよりただのズル
綺麗にまとまったキャラクター・ストーリー
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厳格でラーメン作りにストイックな祖父九蔵や各話で登場する刺客たちは全員個性豊かでキャラが立っている。
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正面から妨害を予告する刺客を冷静にあしらう極や、巨乳の客に対して「でかっ!!」とストレートに反応する男性陣など、随所にコミカルなやり取りがある。
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呈刻ラーメン創始者檄断の孫娘、祥子の極に対する話を重ねていくごとの態度の変化は見もの。
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呈刻ラーメンとは次第に対抗ではなく共存を図るなど現実味のある会話、展開も多く、調理パートだけでなくストーリーの内容にもきちんと実があり充実している。
問題点
げきから、あぶり肉の調理難度の高さ
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これら2種のメニューは繊細な操作技術を要するため、調理中に求められる素早さと両立しようとすると、他より難易度がかなり高くなる(特にあぶり肉)。
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しかも上手く調理できても特に高い評定、ポイントがもらえるわけでもないので、見返りが難易度の高さに見合っていない。
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なので、これらが登場する上に高い平均評定がクリア条件となっている後半では、攻略法がいかにげきからとあぶり肉を調理せずにやり過ごすかに終始してしまいがち。
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6話の対決イベントでは火力が通常の4倍になる妨害が入り、タンメンの具材を炒める回数が減るなどの利点がある一方、あぶり肉に関しては内側まで一瞬で火が通ってしまい細かな焼き加減の調節がほぼ不可能になるだけでなく、頼みの必殺技も使用できないという無視せざるをえない屈指の難易度となる。
操作説明が不十分
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新メニューの調理説明、アドバイスはストーリー中のテキストでざっくり説明されるだけでいきなり実践に移り、調理パートでのチュートリアルは行われないため飲み込みづらい。
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調理画面に常に操作説明は表示されてはいるものの、手早い調理が求められる実践中のため落ち着いて確認する暇がない。
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ストーリーでも主人公が慣れで調理を覚えようとしていることや、練習用のトライアルの存在から意図的なものとも取れるが、誤って非効率な操作方法で覚えてしまう可能性もある。
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一応付属の電子説明書でメニュー別に操作方法が説明されているが、全てのプレイヤーが目を通すとは限らずやや不親切。
一部作り込み、ボリューム不足な点
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ラーメン店の臨場感を引き立てるために重要な「らっしゃい!」「へいお待ち!」といったパートボイスの類は一切ない。
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ストーリーのキャラの立ち絵が一枚のみしかない。ストーリーが良質なだけに悔やまれる点。
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エンドレスモードのようなやり込み要素がなく、ストーリーをクリアすると進めることがなくなってしまう。
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トライアルがそれに近いが、時間は1日だけな上1種類のメニューしか作れずテンポも緩慢で、ストーリーと同様の感覚で楽しむことは難しい。
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記録も偶然上手くできただけでも記録されてしまうようなラーメン1杯ごとの最高獲得ポイントのみしか記録されず、ストーリーのように調理パート全体を通しての評価は行われないためやり込みがいがほとんどなく、単なる苦手なメニューの練習モードに留まってしまっている。
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もっとも、これらの問題点は500円台という廉価な定価を考えると致し方ないとも言える。
総評
シンプルかつバリエーション豊かな操作で、多彩なラーメンを鮮やかに完成させていくことに快感を覚えることができる良作。
ゲームシステムのみならず愉快な演出、ストーリー、キャラクターによる世界観も魅力的。
一部作り込みが行き届いていない点もあるが、価格を加味すればラーメン一杯ほどの値段で何回も楽しめる満足度の高いオススメの一杯となっている。
最終更新:2023年04月06日 19:59