メタルファイターMIKU
【めたるふぁいたーみく】
| ジャンル | アドベンチャー |  
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| 対応機種 | セガサターン | 
| メディア | CD-ROM | 
| 発売元 | ビクターエンタテインメント | 
| 開発元 | フェイクラフト | 
| 発売日 | 1995年9月29日 | 
| 定価 | 6,800円(税別) | 
| プレイ人数 | 1人 | 
| 判定 | なし | 
 
概要
1994年に放映されていたSFスポ根アニメ『メタルファイターMIKU』のゲーム化作品。全6話構成。
本作はアニメ終了後の後日談となっており、みくが日本ネオプロレス界のチャンピオンを奪われた半年後に謎の新団体「獅子の穴」が旗揚げされ、その団体が開催する真のチャンピオンを決めるトーナメントに挑戦していく。
システム
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本作は以下の3つのパートで構成されている。
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シナリオを進行していくアドベンチャーパート
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フルボイスで進行するアドベンチャー。選択肢が時折出現し、選択によって展開が変わってくることも。
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セーブはこのモードでのみ行うことが可能。
 
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みくの能力を強化していく育成パート
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最初にトレーニングを3種類の中から選び、その後スパーリングとして他のプリティーフォーのメンバーの中から1人を選んで対戦を行う。
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選択したトレーニングの種類や対戦相手に選んだスパーリングパートナーとスパーリングの結果によって上昇するパラメータが異なってくる。
 
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実際のネオプロレスの試合モードとなるビジュアルシミュレーションバトルパート
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勝利条件は「3カウントフォールを取る」「関節技等で相手をギブアップに追い込む」「10カウントダウン」。
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相手との距離はリアルタイムで刻々と変化していくため、それに応じたアクションを登録することで各種技を発動していく形式。
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また相手に固め技やフォール技をかけられたとき、および10カウントダウンを取られそうになった時はLRボタンを連打することでより早く復帰することができる。
 
 
評価点
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フルボイスで展開する完成度の高いシナリオ
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本作では過去に『魔法の少女シルキーリップ』『Aランクサンダー誕生編』を手掛けた遠藤正二朗氏が脚本を担当、基本的には明るい作品ながらも要所要所で重い展開や考えさせられる展開も多く、単なるアニメタイアップの作品にとどまらない完成度の高さを誇る。
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ストーリーも原作が青春熱血スポコン風のテイストだったものがこちらではそれに加えてやや戦隊ものの色彩が帯びてくるテイストになっているがこれはこれで評価は高い。
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しかしながらあるキャラクターの展開はプレイヤーのだれもが衝撃を受けたのだが...そのあたりは賛否両論点を参照。
 
 
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迫力あるビジュアルシミュレーションバトルで展開されるネオ・プロレスの完成度の高さ
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シンプルながらリアルタイムに適切な技を出していく駆け引きの感覚はなかなかに戦略性が高い。
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ビジュアルも要所要所でダイナミックなアニメーションを行うことによりかなりの迫力。
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BGMの完成度も高くアナウンサーの実況や選手のボイスに加えSEも重く迫力があるのもネオプロレスの臨場感に寄与している。
 
 
賛否両論点
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本作オリジナルのライバルキャラであるキューティーキャンディについて
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本作でのライバル組織である獅子の穴所属のヒールメタルファイターであり、ビジュアルもヒールらしからぬ可愛い系の容姿であり数多のプレイヤーの心をつかんだキャラであったのだが...
    
    
        | + | 衝撃の正体 | 
実は正体は男性レスラーがオーバーボディ(着ぐるみ)で変装していた姿だと発覚。発覚時には数多のプレイヤーがトラウマを受けた。
しかしながらそうせざるを得なかった理由も語られており、単純に割り切れない話になっているところもあるため、一概に悪く言える話でもない。
同時にオーバーボディでどうやって変装していたかについてはいろいろと突っ込みどころを入れるプレイヤーも多い。もっともオーバーボディの元ネタと思われる「キン肉マンシリーズ」でも脱いだ後の方が大きかったりする事もあるため、気にしたら負けなのかもしれない。
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問題点
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ビジュアルシミュレーションバトルモードの癖の強さ
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対戦対手の行動はある程度パターン化されているとはいえ、セオリーをつかまないとボコボコにされてしまうこともザラ。
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第1話においてはまだプレイヤーが操作に習熟していない状況になりやすいにもかかわらず、この話で行われる試合は髪切りデスマッチというある意味過酷な展開。スタッフは鬼か?
 
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若干ボリューム不足
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元々の原作が当時としては珍しい1クールのみの作品であるためにあまり世界観を広げられないというところもあるので仕方のない面もあるが、それでも全6話という構成は薄く感じる。
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とはいえ若干のシナリオ分岐もありビジュアルシミュレーションバトルの完成度が高めなことも相まってそれなりのフォローはされている。
 
 
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みく以外のメタルファイターを操作キャラとして使うことができない
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本作では個性豊かなメタルファイターが多数登場し、主人公サイドのプロレスユニットであるプリティーフォーも4人全員揃っているにもかかわらず、操作キャラとして使うことができるのがみくだけなのが寂しいところ。
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対戦モードもないため様々な対戦を楽しむという要素もないのはもったいないところ。
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もっとも、本作のビジュアルシミュレーションバトルのシステムの都合上、組み合わせごとに絵を描いていく工数やボイスの収録の手間を考えると仕方のないことかもしれないが...
 
 
総評
アニメ原作のゲームながらシナリオの完成度の高さと粗削りながらも迫力のあるネオ・プロレスの試合を再現したビジュアルシミュレーションバトルが光る作品。
元のアニメがマイナーなのもあって知名度は低いが基本的な作品の完成度は高いので、作品のファンはもちろんのことアニメ未見の人であっても一風変わったプロレスゲームを楽しみたいのならおすすめ。
余談
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本作のシナリオは当初はかなり重苦しい話に仕上がったため、脚本の遠藤氏はアニメスタッフから叱責を受け大喧嘩となってしまう。
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その結果、シナリオ第一稿はは却下され、全面的に書き直した第二稿で制作されることとなった。
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しかしながらアフレコの打ち上げの際に監督の新房昭之氏に「第一稿のほうが良いと思った」と明かされたことにより無事和解したとのこと。
 
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なお、第一稿のエッセンスは本作のオリジナルキャラである伊吹はづみに散りばめたとのこと。
 
最終更新:2024年04月16日 20:46