キングダム ハーツ メロディ オブ メモリー

【きんぐだむ はーつ めろでぃ おぶ めもりー】

ジャンル リズムアクション

対応機種 Nintendo Switch
PlayStation 4
発売元 スクウェア・エニックス
開発元 インディーズ・ゼロ
発売日 2020年11月11日
定価 7,480円
プレイ人数 1~2人
判定 なし
ポイント シリーズ初のリズムアクション
バトル風のプレイ画面は好みが分かれる
カスタマイズ要素は薄い
キングダム ハーツシリーズ


概要

キングダム ハーツシリーズの楽曲を用いたリズムゲーム。いわゆる音ゲーである。
シアトリズム ファイナルファンタジー』『シアトリズム ドラゴンクエスト』等の『シアトリズム』シリーズを開発しているインディーズ・ゼロが本作の開発も担当。
『シアトリズム』と違って本シリーズに登場するキャラクターは原作のモデルそのままで登場する。
一方、ロード画面などではグーフィーやドナルドも含め『シアトリズム』オリジナルのデフォルメが施された姿でも描かれている。

シリーズ全作品が綿密に繋がっているKHシリーズの一作だけに、本作も独立した外伝タイトルではなく本編ストーリーの一部に含まれている。
キングダム ハーツシリーズのそれまでの大きな流れである「ダークシーカー編」が前作『キングダム ハーツIII』で完結しており、
本作はこれまでの作品の楽曲をプレイしつつ、「ダークシーカー編」のストーリーをおさらいしていく事になる。
主人公はシリーズヒロインのカイリだが、『III』のED後のカイリが自らの記憶を探るという内容であるため、彼女自身を操作する訳ではない。

システム

  • 一般的な音ゲーと同様に、流れてくるノーツをタイミングよくボタン入力する。
    • ただし、固定枠に向かってノーツが流れてくる従来の『シアトリズム』シリーズと異なり、本作は3D空間に現れる各ノーツに対して周囲から枠が狭まっていき、外枠と一致したタイミングでボタンを押すという内容になっている。
  • トリガーごとのタイミング判定は、良い順にExcellent(虹)⇒Excellent⇒Good。押し間違い、完全な見逃しはMiss。
    • チェインの判定や、ランクの判定などの評価システムは『シアトリズム』シリーズと同様であるため、詳細は割愛する。
  • プレイにあたっては、スリーマンセルのパーティを4組の中から選択可能である。
    • 選択可能なパーティは 「ORIGINAL(ソラ/ドナルド/グーフィ)」 「DAYS(ロクサス/シオン/アクセル)」 「DDD(リク/ワンダニャン/コウモリバット)」 「BBS(アクア/ヴェントゥス/テラ)」 。それぞれ最初に書いたキャラクターが固定でパーティリーダーとなる。
    • パーティによって攻撃力、防御力、ノーツ入力時の効果音が異なる。
    • 最初に選択できるのはORIGINALのみ。他のパーティは後述の「ワールドトリップ」で解禁される。
  • パーティにはHPが設定されており、ミスをするとHPが減っていく。HPがゼロになるとゲームオーバーとなる。

ゲームモード

ワールドトリップ

  • I』~『III』までの楽曲を、ステージ順にプレイしていくモード。
    • ステージは各ワールドに存在し、フィールド曲、戦闘曲とが設定されている。例えば最初のステージは「デスティニーアイランド」で、楽曲はフィールド曲の『Destiny Island』と戦闘曲の『Bustin'up on the Beach』がプレイできる。
    • ステージは大まかに『I』⇒『COMIIDays』⇒『BbScoded3D』⇒『III』という流れになっている。
    • プレイを進めていくと各作品のストーリーを振返るムービーが挿入され、シリーズのおさらいをすることもできる。また、終盤には『III』の後日談という形で本編との明確な繋がりが描かれる。
    • 概要で述べた通り、「ダークシーカー編」の振り返りであるため、そこに含まれない遥か過去の物語である『χ(Unionχ)』は扱われていない。

ミュージックセレクト

  • 1曲単位でのプレイ方式。
    • 「ワールドトリップ」でプレイした楽曲や、「アイテム合成」を行って解禁した楽曲をプレイすることができる。
    • アイテム合成で解禁できる曲の中には、なんと「ホール・ニュー・ワールド」「美女と野獣」などのディズニーの名曲も含まれており、ファンを驚かせた。

バーサスモード

  • インターネット対戦「オンラインバーサス」、オフラインでCOMと戦う「COMバーサス」の2つがある。Switch版のみ、さらにローカル対戦「フレンドバーサス」が選択できる。
    • 対戦は1vs1で、スコア合計を争う。
    • ノーツをチェインしていくと、相手の対戦画面にお邪魔を起こす「トリック」が自動で発動する。
    • そのため、単純な音ゲーの腕だけでなく、お邪魔に惑わされずノーツを入力していくことが大事になる。

ダブルプレイモード

  • 2つのコントローラを使い、1画面で2人でプレイできるモード。

プレイ形式

『シアトリズム』と同様に、主に3つのプレイ形式がある。

フィールドバトル

  • 基本的にはほぼすべての楽曲でプレイ可能な形式。
    • 五線譜でつくられたレール上に、パーティメンバーが横一列で並び、画面上方からやってくるノーツを入力していく形式。
    • 画面上方からは、ノーツが一緒に表示されたエネミーが襲来する。タイミングよくノーツを入力すると、パーティメンバーがエネミーを倒していく。
    • エネミーの攻撃は、ノーツのタイミングと連動しており、タイミングよくノーツを入力できないとエネミーからダメージを負ってしまう。
      • このエネミーは、各ワールドに生息していた雑魚キャラクターであり、楽曲ごとに設定されている。
    • 楽曲のプレイ中は、背景は該当するワールドになっており、一定時間ごとにエリアが切り替わる。例えば、『II』の「存在しなかった世界」では、摩天楼⇒シグバールとの戦闘場所⇒破壊されたXIII機関の墓標⇒ステージの頂上というようにエリアが切り替わっていく。
    • フィールドバトルでのみ出現する特殊アクションとしては、ジャンプとアビリティコマンドがある。アビリティコマンドは、道中においてあるクリスタルと重畳表示されたノーツを押すことで、大技で大きいエネミーを倒すような演出になるノーツ。Xや△ボタンに割り振られている。
    • ジャンプは、特定位置に表示されたジャンプアイコンの前で行う。地を這う攻撃を回避したり、空中にいる敵を倒すために使う。Bや×ボタンに割り振られている。
    • 楽曲の時間は、おおよそ2ループ程度の時間、言い換えれば2,3分で設定されている。

ボスバトル

  • ボス戦の曲の一部が該当。『シアトリズム』で言うFMSにやや近い。
    • パーティー3人がボスと戦うのをバックに、一本線のレール上に表示されたノーツを入力していく形式。
      • 一定周期で「デンジャーゾーン」が発生し、デンジャーゾーン内のノーツ入力の出来次第で、ボスからの大ダメージを防ぐことができる。
    • フィールドバトルと違い、アナログパッドを矢印で示された方角へ、タイミングよく入力するノーツと、長押しノーツも現れる。
    • 楽曲が終了するとボスが消滅し、ボスを倒したというようなイメージで楽曲クリアとなる。

メモリーダイブ

  • 『シアトリズム』で言うEMSに当たる。ムービーを背景にプレイする方式。
    • 楽曲は宇多田ヒカルの主題歌や、キャラクターごとのテーマ曲が該当。
    • 上記の2ルールとは違い、レールが手前から奥に伸びており、パーティメンバーはレールに沿って、手前側にグライドして表示されている。
    • ノーツも、レールに沿って奥から手前にやってくる。
    • 楽曲の長さはおよそ4~5分程度である。

プレイスタイル

  • Switch準拠で主にA,B,Xを使用する通常のプレイスタイルと、ワンボタンですべてプレイ可能な「ワンボタンスタイル」、通常ノーツに加えてYやZL,ZRで入力するパフォーマンスアイコンが表示されるようになる、高難易度モードである「パフォーマースタイル」の3つを選択可能。

ミュージアム

  • プレイ中収集したカードや、BGMやムービーを鑑賞できる。
    • カードは各作品のスクリーンショットや、キーブレード、「目覚めの園」のステンドグラスなど。
    • 各カードは拡大表示可能。「目覚めの園」も、細かい意匠をじっくり見ることができる。

評価点

  • シリーズの名曲群をリズムゲームとして遊べるということ。
    • 原作はせわしないアクションゲームであり、なかなか楽曲をじっくり聞く機会も多くない。
    • そのため、歴代の楽曲をリズムに乗ってじっくり鑑賞可能。お気に入りの一曲を新たに発見することにもつながる。
    • さらに、ライブアルバムやピアノアレンジアルバムからも一部の曲が収録されており、シリーズ楽曲のファンにはたまらない選曲となっている。
  • KHシリーズらしい良好な演出。
    • メモリーダイブのムービーはすべて新たに作られている。各キャラクターのムービーとともにキャラクター曲を プレイできるため、キャラクターへの愛着を深めることができる。
    • メイン主題歌「光」「Passion」「誓い」は各作品をまとめたムービーになっている。
    • エネミーの種類は楽曲によって設定されており、ワールド再現もよくできている。
    • フィールドバトルで表示されるステージの背景は、プレイ中ころころと入れ替わっていくためプレイヤーを飽きさせない。各ワールドをめぐっているような感覚を抱かせる。
    • また、シリーズで共通して登場するワールドであっても、背景は使いまわされているわけでなく、それぞれの作品に基づいて作られている。具体的に言えば、「ネバーランド」は『I』『Days』『BbS』で登場するが、それぞれでのネバーランドを細かく再現した背景となっている。
  • 幅広いユーザーを意識した作りは、『シアトリズム』から踏襲されている。
    • 一番簡単な「ビギナー」の譜面はゲーム初心者でもクリアできる易しめ難易度。上級者には最高難度の「プラウド」や、「パフォーマースタイル」を用意している。
  • 楽曲の収録数も130曲近くあり、ボリュームも十分。
    • ただ、本シリーズの外伝作は、本編と同じ舞台を巡る事が多い関係上曲数が少ないタイトルが多い。それ故に仕方ないが『Days』など収録曲の少なめなタイトルもある。
    • 『COM』は原作のGBA音源ではなく、リメイク版の『Re:COM』の音源が収録されている。

賛否両論点

  • リズムゲーム中のインターフェース
    • 上記のリズムゲーム形式は、ノーツ以外の動くものが大量にある状態となる。
    • そのノーツも、ただ上から下に落ちてくるわけではなく、エネミーの動きと伴って動く。たとえば、空を飛ぶエネミーとともに表示されるノーツは、上から下に放射状に広がるように動いていく。
    • 原作表現や、あくまでリズムゲームを模したアクションゲームとしては、見栄えのいい点であり評価点である。
    • だが一方で、純粋なリズムゲームとしてはかなり気が散る要素であり、入力ミスを併発する。エネミーの重なり具合や表示によってはノーツがかなり見づらいため、この点については不評となっている。
  • シリーズの楽曲と音ゲーの親和性
    • 同シリーズの楽曲は、旋律が複雑で多くの楽器が使用されており、情緒あふれるメロディを特徴としている。
    • そのため、どうしてもリズムゲームには不向きな楽曲も多い。特にディズニーワールドのフィールド曲など。
    • このようなフィールド曲には、メインの楽器に乗ったリズムで叩いていたら、いきなり別の楽器の裏のリズムでノーツを叩かせるような、一般的な音ゲーと比較するとリズムに合わせづらい譜面が多い。
    • また、リズムゲームらしい新規アレンジのようなものがあればよかったのだが、本作での新規アレンジ曲はタイトル画面の「Dearly Beloved」くらいで、譜面としてプレイ可能な曲はゼロである。
    • 宇多田ヒカルの曲も、「Face My Fear」や「光 -PLANITb Remix-」などのアップテンポなものが収録されていない。
  • 本作の終盤では『III』の後日譚が語られるが、内容としてはかなり薄め。
    • アバウトに言えば、『III』EDでリクがとある場所にいた経緯が明かされる程度である。それ以外は新章「ロストマスター編」への繋ぎのようなもので大した進展も無く、(KHではいつもの事だが)思いっきり次回への引きで終わる。
    • ゲームクリアのご褒美としてはやや物足りない内容ではあるが、外伝作品で話を大幅に進めると、次のナンバリングで話が大きく飛んでしまう弊害もあり、賛否両論ある。
    • 今まではソラやリクに助けられるお姫様ポジションが多かったカイリが単独で本格的な戦闘を繰り広げるシーンがあったりと、見所も無くもない。
      + ただし…(ネタバレ)
    • ラスボス戦ではとある出来事により、カイリがソラの姿に変身して戦う。演出自体は熱いのだが、カイリとラスボスの戦いのはずが結局やる事はいつものソラでのバトルである。
    • カイリは『III』でもほんの僅かだが戦闘に参加し、『ReMIND』ではラスボス限定でプレイアブル化したので、ゲーム的に戦わせる事も不可能ではなかったと思われるが…。
    • 一応、本来の姿のカイリを操作するシーンもあるが、最終ワールドでのメモリーダイブのみである。

不評点

  • プレイ可能なデフォルト曲数が少ない。
    • 基本的にプレイ曲はワールドトリップで集めていくことになるため、初期の時点でプレイできる楽曲はかなり限られている。
  • 版権の問題なのか一部のワールドの曲は全く収録されていない。
    • 具体的に言えば、『ターザン』『くまのプーさん』『パイレーツ・オブ・カリビアン』『ファンタジア』の曲が全くない。
    • 特に『パイレーツ・オブ・カリビアン』の「He's a Pirate」や、『くまのプーさん』など、世界的人気がある楽曲が未収録となってしまい、音ゲーとしてのプレイを期待したファンからは残念がられた。
    • 『ターザン』に関してはシリーズでも『I』以外では全く触れられていないが、本作も例外ではなかった。
    • また『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』については、楽曲は収録されているものの、「メモリーダイブ」等で映像が全く使われていない。
  • 『III』の楽曲がほとんど収録されていない
    • ナンバリングのうち、『I』『II』はそれぞれ30曲ほど収録されているが、『III』はわずか8曲である。
      • 「ザ・カリビアン」に至っては、上記の理由でワールド自体が存在していない。
    • 『III』のディズニーワールドは、メモリーダイブの1曲しか収録されていない。一応、メモリーダイブではそのワールドで起きたことを原作のムービーを再編集してまとめてくれており、ムービーの出来自体は良好。
    • しかし『アナと雪の女王』のワールドは、フィールド曲、戦闘曲を差し置いて「レット・イット・ゴー」が採用されている。ムービーもおさらいではなく、『III』の「レット・イット・ゴー」のムービーがそのまま流れる。おかげで原作未プレイ者には『III』のワールドの中で「アレンデール」でのストーリーだけがさっぱり分からない。
      • 話題の曲でプレイできることは勿論良い点なのだが、メインコンセプトであるはずの原作の振り返りからは浮いてしまっている。無理に本編でプレイさせずとも、合成で解禁できる曲に含めるなど他に方法があったと思われるのだが。
    • 『III』のDLC『ReMind』での追加曲も未収録となっている。コレクションに『ReMind』のスクリーンショットカードは収録されているのだが…
  • 外伝作で登場した新曲も収録割合に差がある。
    • 『Days』『Re:coded』は収録曲こそ少ないが、各作品のサウンドトラックに収録された新曲数の割合で言えば半分以上が収録されている。
    • 『BbS』は半数と行かずともほぼナンバリングと同待遇の25曲が収録されており、ボスバトルの楽曲もある。
      • 一方、『BbS』と同規模の新曲数がある『3D』は「ファンタジア」や一部のボスの曲が未収録であり、16曲とやや少なめである。そして後述するようにボスもいない。
    • ちなみに『COM』も5曲程度で、サウンドトラックからの収録割合で言うと少なめである。ただ『COM』は収録ワールドの多くが『I』『II』のワールドと同じであるため、そこまで問題視はされていない。
    • 隠しボス戦のBGMに関しても、『IFM』の「One-Winged Angel」、「IIFM+』の「 Rage Awakened」のみ。印象的な隠しボスの多かった『BbSFM』からは1曲も選出されていない。
  • アレンジ曲と原曲の譜面で差別化がいまいちなものがある。
    • 同じステージが複数の作品で出てきているような場合、それぞれの楽曲が収録されている。
    • 例を挙げるとホロウバスティオン(レイディアントガーデン)の「Scherzo Di Notte」は、同ステージが登場した『II』『BbS』のアレンジと合わせると計3曲存在するのだが、譜面にさほど変化がない。
    • 一方で「Rage Awakened」と「Rage Awakened-Origin-」のように、前者は難しい譜面、後者は簡単な譜面として棲み分けできているものもある。
  • ボスバトルの曲数が少なく、選出されていないボスが多い
    • ボスバトルの相手は僅か4人しかいないという寂しさ。人選も、基本は『I』ラスボスのアンセム、『II』ラスボスのゼムナス、『III』ラスボスで本作ラスボスでもあるマスター・ゼアノートというラスボス勢だが、それに加えてマレフィセントという少々謎のチョイス。
    • マレフィセントは何故か本編のラスボスを差し置いて『BbS』エリアのボスに選出されている。確かにシリーズを通して重要なキャラではあるが『BbS』原作では1ボス程度の扱いであった。
    • 外伝作にも印象的なボスは存在していただけに、残念な仕様となっている。
      • 『Days』の実質的なラスボス曲で名曲と名高い「Vector to the Heavens」もそのボスが登場しないので普通にフィールドバトルになっており、今ひとつ締まらない。
    • ボスへのとどめにしても、原作のようなハイライトシーンが入るわけではなく、楽曲終了後ボスがいきなりスッと消えるような味気ない演出になっている。
  • パーティのカスタマイズ性は皆無。
    • プレイキャラを選ぶのはパーティ単位であり、キャラを一人ずつ選んでパーティを編成することはできない。
    • パーティといいつつも、リーダー(ソラ/ロクサス/アクア/リク)以外は、特にアビリティやリアクションが設定されているわけでもなく、淡々と横で戦うだけの存在になってしまっている。
    • また『シアトリズム』と違い、アビリティは完全に固定で、カスタマイズすることもできない。
    • シリーズでよく外見が変わるソラとリクも各パーティ出典の容姿で固定であり、他作品の衣装や背格好への変更は不可。
  • ワールドトリップのシリーズ振り返りもやや中途半端。
    • 各作品のあらすじをカイリが独白していくことで振り返る形式だが、あくまでカイリの目線ですべてが語られるため、キーブレードの設定など、重要な設定は説明されない。
    • 語りの内容も大雑把で抽象的なので、実質的にはシリーズファン向けのおさらい動画である。原作を知らない人がストーリーの全容を把握するには、もう一歩も二歩も踏み込んだ内容を知る必要がある。
      • 野村ディレクターが「シリーズ作品が多くて気後れしている方にも、すごく入りやすい内容になっている」「本作に触れて、もっと知りたいと思った部分は過去作をプレイしてもらえれば」と語っている通り (参考リンク)、あくまで本作を他の作品に興味を持つ切っ掛けにして欲しいという意図であり、シリーズ未プレイ者にシリーズのストーリー全てを把握させる作りにはなっていない。
      • 外伝作は前述の通りステージ数が少ないので、振り返りもメインタイトル以上にハイテンポでざっくりしている。
    • そもそもゲームを開始するといきなり「光」のメモリーダイブから始まり、そのまま何の説明も無くワールドマップに放り出される。プロローグ的なストーリーも無く、明確なストーリーイベントがあるのは最終ワールドが最初で最後という上述したような「ゲームクリアのご褒美」扱いとなっている。
      • それでいて、原作にはあったしこう言った総集編的作品には特にあって然るべき「用語集」「登場人物紹介」と言った資料の類も無い。
      • そのため事前情報の無い人は本作がどういう状況で展開しているのかが解らず、本編シリーズとそもそも繋がりがあるのかなども曖昧なまま、ラスボス戦〜エンディングで説明されるまで淡々とゲームを進める事になる。
        好意的に解釈するなら、「初見プレイヤーは原作とほぼ切り離された状況で身構えずプレイできる」「ファンには最後の最後でストーリーが動くサプライズになっている」とも取れるが、長大なシリーズの総集編としては淡白な作りという印象が否めない。

総評

『シアトリズム』のノウハウが生かされており、いわゆる音ゲーとしては十分に楽しめる出来。
一方で、同シリーズらしいアクションを音ゲーに落とし込んだシステムは、利点欠点どちらも含むような結果となっている。
また、ファンアイテムとしても未収録曲やボスの少なさなどに気になる点がある。
カスタムできる要素も少なく、全体的にやや淡々とした作風になっている。

余談

  • 本作のキャラクターのモーションやモデルに関しては、『キングダム ハーツ-HD 1.5 リミックス-』など過去作のものをベースにしているとのこと(参考リンク)。
    • 『III』の譜面がほとんどフィールドバトルではないのは、PS4/XB1で発売された『III』の高品質なモデルを使うと浮いてしまうから、と言う可能性も考えられる*1
最終更新:2024年03月03日 10:37

*1 ちなみに最後の「キーブレード墓場」だけはフィールドバトル。『III』のクライマックスの舞台だが、『BbS』のラストダンジョンでもあったので流用が利いた可能性もある。