キングダム ハーツ III

【きんぐだむ はーつ すりー】

ジャンル アクションRPG
対応機種 プレイステーション4
Xbox One
Windows 10(Epic Games Store)
メディア BD-ROM
ダウンロード
発売・開発元 スクウェア・エニックス
発売日 【PS4/One】2019年1月25日
【Win】2021年3月31日
価格 8,800円(税抜)
レーティング CERO:A(全年齢対象)
備考 DLC「Re Mind」3,800円(税抜)
【PS4】2020年1月23日配信
【One】2020年2月25日配信
判定 良作
ポイント 広大なマップと派手なアクション
待望のピクサー作品参戦等見所多数
終盤のストーリーは大きく人を選ぶ
あくまで「ダークシーカー編」完結
シリーズとして残った謎はまだ多い
キングダム ハーツシリーズ



光が紡ぐ心は、情熱となり
誓いを果たす



概要

ディズニーとスクウェア・エニックスのコラボレーションによるアクションRPGシリーズ『キングダム ハーツ』の家庭用作品通算第9作目。
据え置き機向けの完全新作として『キングダム ハーツII』以来実に約13年ぶりとなり、同作以来のナンバリング作品となる。
キングダム ハーツ』から長く続いたストーリー「ダークシーカー編」の完結作と銘打って発売された。

2021年3月31日*1にはPC向けに移植された。販売はEpic Games Store独占。
基本的にはCS機版と同等の内容だが、後述の無料追加コンテンツや有料DLCも同梱されている。このためストア上では『キングダム ハーツIII + Re Mind』表記で販売されているが、ゲーム中はCS機版同様に『キングダム ハーツIII』のままになっている。

本作はマルチプラットフォームで販売されているが、操作方法に言及する場合はPS4版を基準とする。

出演作品一覧

  • 新規登場ワールド
    • 『トイ・ストーリー』
    • 『塔の上のラプンツェル』
    • 『モンスターズ・インク』
    • 『アナと雪の女王』
    • 『ベイマックス』
  • 過去作から再登場ワールド
    • 『ヘラクレス』
    • 『くまのプーさん』
    • 『パイレーツ・オブ・カリビアン』
  • 一部キャラクターのみ登場(または再登場)
    • 『シュガー・ラッシュ』
    • 『ライオン・キング』
    • 『リロ・アンド・スティッチ』
    • 『リトル・マーメイド』
    • 『レミーのおいしいレストラン』

特徴

  • 本作は携帯機シリーズで主流だったデッキコマンドシステムではなく、『KH』『KH2』に近いコマンド式バトルシステムが採用されている。
    • 『KH2』で7つあった2頁コマンドから整理され、「たたかう」「まほう」「アイテム」「リンク」(過去作でいう「しょうかん」)の4つとなった。
    • ハードの進化に伴い今作ではパーティ人数の上限が撤廃されたため、ワールドごとに参加するパーティメンバーはそのまま戦闘に参戦する。それに伴いパーティチェンジのコマンドも廃止された。
    • 同時に雑魚敵の同時出現数もかなり増えており、通常の戦闘でも敵味方入り乱れた混戦も多くなっている。
  • 新システム「シチュエーションコマンド」
    • 『KH2』のリアクションコマンドに替わり追加されたシステム。
      全体として『BbS』のコマンドスタイルシステムをより任意性が高い形にし、『KH2』の「ドライヴ」や「連携」を内包した物となっている。
    • 「たたかう」や「まほう」などの攻撃を繰り返し当てることによってゲージを溜め、ゲージが溜まると「フォームチェンジ」や「強化魔法」などのコマンドが出現する。
      コマンドには発動までの制限時間があり、4つまでストック可能。ストックしたコマンドは任意に選択して△ボタンで発動できる。
      • 今作の連携技等は仲間から呼びかけられることで発動し、これもシチュエーションコマンドにストックされる。
      • また、緑の特殊なマークが出現した敵を攻撃することで特殊な技「アトラクションフロー」がシチュエーションコマンドに出現する。
    • なお、敵の攻撃に合わせて出現する以前のリアクションコマンドのようなスタイルのシチュエーションコマンドも少数だが存在する。宝箱を開封やNPCへ話しかける機能も健在。
  • フォームチェンジ・キーブレード変形
    • 本作では各キーブレード毎にフォームが用意されている。
    • 大半のキーブレードは変形機能を有しており、シチュエーションコマンドとして発動するようになった。中には2段階に変形する物も存在。
      • パワー型、スピード型、遠距離型、広範囲攻撃型など多数。魔法の性能が変わるものもある。
      • 変形を伴わずフォームチェンジのみを行う、『KH2』に近いスタイルのキーブレードも存在する。
    • システム的には『BbS』のスタイルチェンジシステムの発展形という趣が強く、そこに『KH2』のフォームチェンジの要素を部分的に組み合わせている。
    • 『KH2FM』で衝撃を与えた「留まりし思念」の登場以来、キーブレード変形はその存在こそ明らかにされており、本作でついに操作ができることとなった。
  • シュートロック
    • 『BbS』以来の採用となり、FOCUSゲージも再登場している。
      • 今作ではシュートロックによる攻撃を「シュートフロー」と呼び、他にロック先に移動するシステムを「アスレチックフロー」と呼ぶ。
      • シュートフローはキーブレード毎に固定されてあり、変形でさらに上位の物になる。
    • アスレチックフローは特定の敵やマップオブジェクトをロックオンして一瞬で移動することが可能なシステム。FOCUSゲージを消費せず、今作の広大なマップを自在に飛び回るためには欠かせない。
  • フリーフローアクション
    • 3D』から続投。壁や特定のオブジェクトにエアスライドなどで突っ込むことで発動するアクション。
    • 流石に『3D』のようにマップをやりたい放題飛び回れるのはやり過ぎだったためか、移動面での性能は控えめになり、地形を利用した攻撃アクションの選択肢という側面が強まっている。
      • エアロ系の魔法でスーパージャンプが発動できたり、ブリザド系の魔法でレールを形成したりと地形に依存せず能動的に発動する手段も増えている。
    • 『3D』同様付け外しも可能。AP確保や暴発防止のためにあえて外すこともできる。
  • フリーラン
    • 小高い段差や特定の壁面に向かって移動すると、その段差を乗り越えたり、垂直の壁を駆け上がったり、壁面に沿って横に走ることができる。
  • アトラクションフロー
    • 「チャンスマーカー」が指す敵を攻撃し、緑の王冠マークが表示されることで発動可能。メリーゴーランドやジェットコースター等、遊園地のアトラクションを呼び出し広範囲の敵を攻撃する。
    • アトラクションによって操作方法や攻撃手段は異なり、「ヒット数」か「スコア」のどちらかがカウントされ、最高のものは記録される。特定のボス戦でしか使えないものも存在する。
    • どのアトラクションもエレクトリカルパレード宛らの煌びやかな装飾が施されており、更に発動すると一部を除いてBGMが「Hand in Hand」に変更され、ソラ達も大はしゃぎするので場合によっては敵どころか雰囲気まで一掃してしまう事も。
    • システム自体はある意味で『3D』のリアリティシフトの発展系と言える。
  • 料理
    • ワールドのいろいろなオブジェクトに隠されている「食材」アイテムを使って料理を作ることが出来、一定時間の間大幅なバフやアビリティ効果を得ることができる。
  • グミシップ
    • ナンバリングお馴染みのグミシップが久々の登場。自由自在なカスタマイズは健在である。
    • 今作では3つの宙域を自由に飛び回りながらワールドを探したりアイテムを収集したり出来るシステムになった。敵のハートレス船とのシンボルエンカウントでの戦闘もある。
  • モバイルポータル
    • 従来のジミニーメモの拡張版で、スマートフォンのような形状をした機器。ストーリーやキャラクター、キーワード、収集要素に関する情報だけでなく、ゲーム中にカメラを起動して写真を撮ることができる。
      • 前述の「幸運のマーク」収集に必要なほか、モーグリから提示されるフォトミッション、一部のミニゲームの攻略に必要となる。ちなみに戦闘中でも起動可能。
    • 収集要素としてLSIゲーム*2風のミニゲーム「クラシックキングダム」が存在する。
      • 種類も多く、それぞれ違ったゲームプレイが楽しめる。コンプリートだけが目的なら全て集めて1回遊ぶだけでOK。各ゲームはディズニーの短編映画をモチーフとしており、その中でソラやミッキーをドットキャラに落とし込んでいる。
  • 主題歌
    • お馴染みの宇多田ヒカル氏が担当。今回はナンバリングタイトルだけあって新規に曲が書き下ろされている。しかもOP曲「Face My Fears」にED曲「誓い」と二曲が収録されており、OPとEDで全く別の主題歌が流れるというシリーズ初の試みがためされている*3
  • その他
    • タイトルメニューの「SPECIAL」から本編のイベントシーンを視聴できる「シアター」、過去の家庭用作品のストーリーをまとめたムービーが収録された「メモリーアーカイブ」、基本操作を確認できる「チュートリアル」*4を選択できる。
      • 本作の「シアター」はクリアしなくてもゲーム進行に伴い視聴可能になっていく。また「メモリーアーカイブ」と「チュートリアル」は本編のプロローグ中にも確認する選択肢が表示される。
      • 「メモリーアーカイブ」は公式サイトで「IIIに繋がる物語たち」として公開されているムービーと同一。ただし本作のストーリーを理解するには明らかに不十分である(後述)。
  • Win版のオプション
    • Win版では環境設定が追加されており、解像度やフレームレート、垂直同期など標準的な内容に加え、各種効果なども細かく設定可能。画面モードはフルスクリーンとウインドウに加え、ボーダーレスフルスクリーンも選択可能になっている。サウンドのボリュームも個別に設定可能。
    • 特筆すべきは操作周りのセッティングで、決定ボタンを○ボタン/×ボタンから選択可能。ボタン表示もPS系、Xbox系、Switch系の3系統から選択できる。もちろんキーコンフィグも用意されており、自由度が高い。キーボード操作でも同様の設定が可能。
    • この環境設定は同時発売された『HD1.5+2.5』『HD2.8』『MoM』でも共通で搭載されている。

追加コンテンツ

無料アップデート

  • 昨今のゲームよろしく段階的に行われ、その度に一部機能が追加される。下記には特筆性の高い追加内容を記す。
    • ver1.04
      • ゲームモードに恒例の最高難易度「クリティカル」が実装。
      • 難易度補正は『KH2』に近いが、あちらとは異なり最大MPにも大きな制限が掛かるようになったため、魔法を使用する立ち回りには注意が必要。
    • ver1.05
      • ニューゲーム時にクリアデータから所持キーブレードを引き継ぐ機能が実装。
      • ただし強化レベルは全て最低値になる。アルテマウェポンのように初回入手時はレベルMAXだったものも、最初から強化していく必要がある。
    • ver1.07
      • 新キーブレード「約束のお守り」「過ぎ去りし思い出」が実装。
      • このシリーズ恒例のキーブレード二振りは当初実装されておらず、残念がるユーザーも見られたが、当アップデートにより新フォームと共に実装された。ただし入手条件は厳しく、これまでの作品と違い普通にストーリーを進めるだけでは入手できない。

ダウンロードコンテンツ『Re Mind』

  • 追加シナリオや英語ボイスなど新機能を追加するDLC。旧作における完全版『ファイナルミックス』に相当。
  • 本編で語られなかったストーリーを語る「Re Mind」と、真XIII機関の強化版と戦うことが出来る「リミットカットエピソード」に加え、さらなる強さの裏ボスが登場する「シークレットエピソード」が収録されている。
  • 他にマップを選んでキャラモデルを配置して写真撮影を自在に行える「データグリーティング」や、本編の難易度を自在かつ柔軟に変更出来る「プレミアムメニュー」が新たに追加されている。

評価点

  • PS4/Oneのグラフィック性能をフルに活かしたディズニー世界
    • PS2ベースだった従来から一世代跨いだだけあって飛躍的に美しくなったグラフィックでディズニー作品の世界が再現されている。
      • 『トイ・ストーリー』などはほとんど原作映画のCGと見劣りしないと言っていいクオリティ。
      • 『アナと雪の女王』は日本でも話題になった楽曲「Let It Go」を歌いながらエルサが氷の城を築くシーンを原作とほぼ同様の映像でゲーム内で再現。それに伴い、ストーリーのムービー中にミュージカルが描かれるという、本シリーズとしては異例の演出となっている*5
      • 『パイレーツ・オブ・カリビアン』は元が実写映画で、『KH2』でもかなりリアルなグラフィックだったが今回はそれも比較にならないほど進化し、実写と見紛うほどのリアルさを実現した。
    • また、これまでNPCがいるのはわずかなワールドのみだったが、今回は殆どの街に大量のNPCが登場する。本シリーズでは結構珍しい光景である。
      • 人数が大幅に増えた関係上、話し掛けられるNPCは一部のみで、大半は近づくと話し声が聞こえる仕様になっている。
  • 「原作の後日談」系のディズニーシナリオの完成度
    • 特にピクサー製作の『トイ・ストーリー』『モンスターズ・インク』に関してはピクサー側の発案により「原作映画の正史に含まれる後日談」としてストーリーが書かれている。
      • そのため原作のキャラクターたちを活かしつつソラ達を上手く物語に絡ませており、原作の流れでプレイしてもほとんど違和感が生じない。
    • また『ベイマックス』は原作にも登場した重要な設定を拾ってきた上で最大限に活かしており、原作のifストーリーとしてもファンからの評価が高い。
      • 最終的な結末が原作の続編と矛盾するため正史でこそないものの、やはり後日談として違和感がない内容に収められている。
  • より強化された「共闘感」
    • 本作ではパーティ上限が撤廃されて実質キャラ入れ替えはなくなり、各ワールドのゲストキャラ含め合計5人全員で一緒に冒険できるようになった。
    • 敵との戦いや、マップ内のギミックを動かす際には仲間と行うシチュエーションコマンドを多用することになる。ハイクオリティな映像品質・ド派手な演出も相まって、より深くディズニーキャラと「共闘している」印象が強くなったと言えるだろう。
  • 今までのシリーズとは比較にならない広大なマップ
    • ワールド数だけを見ると旧作より少なめだが、その分ロードを挟まずに移動できる1つのマップが格段に広く、冒険欲を存分に刺激してくれる。いずれのワールドも、ストーリー上行く必要があるのはほんの一部という豪快ぶり。
      • 例として、『パイレーツ・オブ・カリビアン』の「ザ・カリビアン」ではシリーズ屈指の広大さを誇るカリブ海を自由に探索することができる。船に乗って島めぐりをするのも良し、海底に潜って宝探しするのも良し。自由度の高い探索が楽しめる。
      • 『ベイマックス』の「サンフランソウキョウ」は作中に登場するどこか間違った日本風都市を再現している。乱立する雑居ビルや道路橋が目立つ大都市であり、ビルをフリーランで駆け上がったり、線路や道路をフリーフローアクションで滑り駆けるなど、現実に近い景観ながら実際では絶対不可能なダイナミックな探索が楽しめる。
      • シリーズを通して登場する『ヘラクレス』のオリンポスも、今回はテーベの街にオリンポス山、天界と行動範囲が格段に広がっている*6。最初に訪れるワールドでもあるので、ここだけで早速世界の広がりを実感出来るだろう。
    • 広大ながらもアスレチックフローのポイントが多く仕込まれており、広さの割に移動に感じるストレスはほとんどない。
    • お馴染みの隠し要素として「幸運のマーク」というものがあるのだが、これはディズニーランドなどでお馴染みの「隠れミッキー」そのもの。これをカメラで撮影することで収集することができる。
      • 見つけにくい所も多いが、近くを通るとソラ達が「あそこにある」などボイスでヒントを出してくれるので探しやすさもある。
  • 各ワールドに仕込まれた大量の遊び要素
    • 固有の要素が仕込まれているものが多く、遊びの要素を大きく広げている。
      • 『トイ・ストーリー』の「トイボックス」はおもちゃたちの世界であるためソラたちもミニチュア化する。そして実際のミニチュアの(ソラたちのサイズからしたら大型の)ロボットを実際に操縦して敵と戦うことが出来る。
      • 『パイレーツ・オブ・カリビアン』の「ザ・カリビアン」では前述した通り、海賊船を操って大海を冒険することができる。海賊船の強化要素もあり、強化するには原作でも重要だった、とあるアイテムを集める必要がある。
      • その他、ワールドの特徴に則ったミニゲームも大量に詰め込まれている。
    • 「秩序の魔法」による見た目の変化もバラエティ豊か。一方で魔法が機能しないワールドで衣装替えをせがむコミカルなシーンも存在する。
  • 完成度の高いアクション
    • 『KH2』のリアクションコマンドと異なり、シチュエーションコマンドを活用するためにはまず自分から攻撃することが求められる。しかし本作でも敵の攻撃は激しいものが多く、ちゃんとタイミングを考えないと却って反撃を受けてしまう場面が多い。
      • 細部的には『KH2』の強制反撃システムや『3D』のリアクション耐久システムなどを上手くバランス良くまとめ上げており、難しすぎるわけではないが思考停止できるほど簡単でもない、程良いバランスとなっている。
      • 『BbS』以降「連打ゲー」と評されていたことへの払拭に努めてきた本シリーズだが、本作においてようやく一定の到達点に至ったと言える。
    • 多様なコマンドによりメリハリがあり爽快感が得やすい造りにもなっている。
      • 特に新要素である「キーブレード変形」は適当に攻撃していても簡単に発動でき、チェンジ後はソラの挙動もダイナミックで個性的な物に変化。自由に暴れまわる楽しさや新鮮さを味わいやすい。
      • さらに条件を満たせば強力な「フィニッシュアーツ」も発動可能。ド派手なエフェクトで敵を一掃できる。
      • 強化魔法のシチュエーションコマンドなどは能動的に発生させやすく、効果範囲と威力に優れるなど性能も高く使い勝手は抜群。上手く使えば圧倒的な殲滅力を発揮する。
    • ソラはキーブレードを3本までセットできるようになる、ショートカットコマンドが3種類までセットできるようになるなど、システム面での利便性も向上。
      • 変形によってそれぞれ攻撃アクションに個性が生まれるようになっているため、切り替え機能を使いこなせばこれまでのシリーズでは見られなかったような多種多様なアクションも行えるようになっている。
      • 各キーブレードの強化システムもあるため、攻撃力次第では出番の少ない武器の生まれがちだった過去作とは違い、本作は全てのキーブレードが最終盤まで活用できる。
    • また、『KH1』以来の水中戦が復活した。『KH1』の頃よりも水中での基本的な操作性やカメラなどが遊びやすく調整され、アクションが苦手なプレイヤーでも水中戦が行いやすくなっている。
      • 水中戦では一部の魔法が「オーシャン〇〇〇*7」という固有のものに差し変わり、性質も変化する。
  • 中盤までのメインストーリーの完成度は十分
    • 『3D』で力の大半を失ったソラは力を取り戻すため再び旅に出るのだが、本作では何かとドナルド・グーフィーとの友情が強調されている。
      • 最近のシリーズではめっきり言及されることがなくなった「世界の秩序」に言及される機会が再び増えており、それに関わるギャグシーンは数多い。
    • また、今作では『3D』で予告されたように「真XIII機関」が敵の組織となるため『KH2』当時の浮きっぷりを懸念する声は多かったのだが、今作の真XIII機関は各ワールドの世界像に則って暗躍しており、黒コート自体が浮いているというツッコミを抜きにすれば以前ほどの浮きっぷりは感じさせない。
      • そのため、今作ではディズニーキャラと絡みを演じる機関員も多い。中にはディズニーキャラに撃退されるシーンもあったり、機関員同士でも半ば漫才のような掛け合いを見せる姿が見られるなど、以前と比べてかなり印象が変化している。特に『KH』のラスボスだったアンセムの「おいおいおいおい 入ってくるな!」はネタとして親しまれた。
      • そもそも機関の目的自体がゲームだけの情報でははっきりしなかった『KH2』と比べ、今作の機関員は各ワールドでの目的をちゃんと語ってくれるし、ソラはそれを阻止するために冒険するため、(各ワールド内で言えば)わかりにくさという点でも大分解消されている。
      • ただ、最後に総力戦を控えている関係か、『KH2』と違って終盤以外で機関員と直接戦う事は無く、いずれもボスキャラをけしかける程度に留まっている。
    • 終盤は後述の通り駆け足であるため、かなり早いテンポではあるものの『BbS』や『Days』で悲惨な運命を辿ったキャラ達の救済やソラとの共闘は描かれる。第一部完結編を銘打っただけあり、旧来のシリーズファンには胸のすくような感動を与えてくれる。特にエンディングにおける『Days』勢の後日談は必見。
      • 真XIII機関は続投メンバーに加えて歴代ラスボスが勢揃いという顔ぶれだが、殆どのメンバーはただ悪役として倒すのではなく、最期にソラ達と和解しながら消滅する形で救いがもたらされている。
  • 完成度の高い数多くのミニゲーム
    • 恒例のグミシップは『KH2』当時も凄まじい完成度だったが、今作では「星の大海に浮かぶワールド」という設定を万全に活かしている。
      • 今作は探索もあるため従来とはかなり趣が異なるが、デザインから性能まで自分で組み上げたシップで星空を自在に冒険できるというのはSFゲームですら比較的珍しい存在。前作同様、本来のゲームジャンルを喰いかねない完成度を持っているといえる。
      • 特定の角度からカメラで撮影すると絵が見える星座、大量のお宝が入ったトレジャーボックス、そして大型のハートレスとのボス戦など見所も数多い。
      • ちなみに本作のグミシップの開発にはかつて『アインハンダー』を製作していたスタッフが参加しており、同作の自機「エンディミオン」とボス「シュヴァルツガイスト」がそれぞれ自機用の設計図、隠しボス*8として出演している。
        特にボスの方は本作最強のグミシップボスとして君臨し、生半可な腕ではスコア稼ぎどころか撃破すらままならない。原作の再現度も高く、BGMも原作のアレンジ(エンディミオンで挑んだ場合は原曲が流れる)となっている。
    • 他のミニゲームも、好スコアでご褒美をくれるシリーズ恒例の友好的ハートレス「セブンプリンズ」、スコア稼ぎがアツいロボットFPS「VERUM REX -Beat of Read-」、FF7のスノボーを彷彿とさせる「フローズンスライダー」など、完成度が高くやり応えがあるものが多い。
      • ただ、それに伴い本筋のやり込みに紐付けられてしまったものが多いのはやや賛否ある(後述)。
  • 良曲揃いのBGM
    • 『BbS』から続く下村陽子・石元丈晴・関戸剛の三人体制の他、編曲に多くのサウンドスタッフが関わっており、かなりの多彩さを誇る。
    • 過去作からはきっちり人気曲を押さえており、またアレンジも好評。楽曲としてもまさにこれまでの集大成と言えるほどの豪華な収録ラインナップである。
    • 新曲も総じて好評であり、ディズニーワールドにおいては原作の楽曲を上手く落とし込んでいる物も多い。
      • 例えば『アナ雪』ワールドの楽曲では「Let it go」を思わせるメロディーが混じっていたり、『トイストーリー』世界ではなんと「キミはともだち(You've Got a Friend in Me)」のインストゥルメンタルアレンジが流れ続ける。ファンにはたまらない要素である。
  • アクション面の奥深さも近年随一の出来。
    • DLCボス『リミットカット版真XIII機関』や『シークレットボス』は、誰でもクリアできるように作られた本編とは違い、しっかり敵の攻撃を見て解法を見出さなければ到底攻略できないような設計がされており、アクション好きにとっては非常にやり応えがある。
    • 特に最後のボスは行動パターンが豊富であるため攻撃の把握がまず難しく、さらに解法を見出してもなお苦難を極めるほどの強敵となっており、まず勝つ事自体がやり込みコンテンツとして楽しめる。
    • 外伝作で何かと批判された経験値を一切獲得しない縛りプレイについても、本作ではしっかり楽しめる。Lv1でかつ初期装備で裏ボスを倒すような動画さえ存在している。

賛否両論点

ストーリー面の賛否両論点

  • あくまで「ダークシーカー編完結」であるという点
    • 発売前のインタビューなどでも「あくまでダークシーカー編*9の完結であり『キングダムハーツ』の物語はこれからも続く」とディレクターが再三言及していた。
    • 確かに、これまでのゼアノートの所業に関する物語は(駆け足ながら)ちゃんと締め括られてはいる。しかし、それ以外の新たに出現した謎・回収されず、さらに含みを持たせるような表現がなされた従来作からの伏線も多く、むしろ残された謎や伏線は増えた印象の残る、消化不良感も否めないものとなっている。「ゼアノートとの決着しかついてない」とも言われる。
      • シリーズが続く以上はある程度自然な話であり、考察や推測も盛り上がってはいるが、発売前の「ダークシーカー編完結」の言及から、この時点の物語としてはスッキリ完結する事を望んでいたユーザーからは批判の声もある。
      • これは本シリーズが「(派生作品も含めて)すべての作品がつながっているため、全作品追ってないと話が分からず新規が入りづらい」「なんなら全作品追っていても(情報の整理・考察をきちんと行っていないと)理解できない*10」と言われる程複雑なシナリオとなっている。
      • 特に『BbS』『days』『coded』あたりからずっと「『III』に続くための物語(および結末)」の作品が続いていたことで、「『III』でこれまで(特に『II』以降の派生作品)のあらゆる物語に決着がつけられるのではないか」「このあたりで今の伏線は全て回収して次は新規も入りやすいシナリオにしてほしい」という思いを持つプレイヤーが少なからず存在したことも大きい。
    • 実際のところ、ゼアノートとの決着以外の過去作からの伏線については回収されたものも味方サイドのキャラクターに関するものを中心に多いのだが、それらは最終決戦の最中についでのように回収されてしまうため、消化不良感の解消にはあまり貢献できていない。
    • 極め付きはEDで、とてもではないが1つのエピソードの完結編を謳った作品とは思えないほど煮え切らない結末となる。
      • ある程度はDLCで補完されたが、それを加味してもあまりに次回作前提の引きであり、「ゼアノートとの決着『しか』ついてない」という印象をぬぐえないものとなっている。
+ EDネタバレ格納
  • 事の発端は最終決戦中にヒロインのカイリがゼアノートにより消滅させられたことにあり、ラスボス決着後のムービーではソラがそれを救いに行こうとするも、危険性を指摘されるところが描写される。
    しかし、直後のエンディングムービーには当のカイリが登場し、その隣から消滅するソラが描かれる。
    • 直前のムービーの描写からして、カイリを救出したソラがその代償として消滅したものと考えられるが、この時点で「カイリを救いに行ったソラの奮闘」という1エピソードに相当する内容が欠落しており、何より主人公のソラが安否不明のまま本作は終了する。
      • なお、このムービーはEDムービーのためセリフがなく、直前のムービーからはソラが実際にカイリの救出に向かったかどうかすら定かではないため、上記の解釈も「直前のムービーの内容を素直にとれば…」というレベルでしかない。
        DLCの内容の知識がなければ「ソラ、カイリの姿のどちらかまたは両方が幻影」「カイリを救いに行ったソラを待つ仲間たちを映したもの」とも取れる演出である。
  • のちに「カイリを救いに行ったソラの奮闘」についてはDLCで描写されている*11が、結局のところソラの安否は曖昧なままである。
  • この結末は過去のナンバリングタイトルの「新しい冒険を確信させる引きをしつつもそれまでの物語としてはかなり綺麗に完結を迎えた『II』」はおろか「本作同様に世界を救うも元の世界への帰還がかなわなかった主人公一行だが、無事自体は確認でき、帰還への希望も持たせる引きだった『I』」といった結末と比べても非常に中途半端であまりに「ソラの救済を行う続編」の存在を前提とし過ぎている。
  • ストーリー展開として賛否両論な部分もある。
    + ネタバレ格納
    • ラスボスであるマスター・ゼアノートを倒したあとのイベントは、ソラに対しついに負けを認め、テラの中に心が隠されていたマスター・エラクゥスに諭されて改心し、かつての親友として共に消滅するという内容。
      • 「ダークシーカー編」を締めくくるラスボス且つ一連の悲劇の元凶であるのだから、もっと悪役らしく破滅して欲しかったという声も少なからずある。一方、全ての心を救うことを信条とするソラだからこそ改心させる方がふさわしいという声もある。
      • ちなみにエラクゥスの心がテラの中にあるということ自体は『BbS』の時点で伏線があった。

「原作再現系」のディズニーワールドの賛否

  • 顕著なのが『アナと雪の女王』のアレンデール。
    • オリジナル展開が多く占めて原作のストーリーの大半がすっとばされ、その割に原作の重要なシーンは所々に挟まれる。原作のストーリーはほぼ理解できないが、ネタバレだけはしっかり見せられるという塩梅。
      • オリジナル展開も雪山を登っては落ちての繰り返しなので展開自体に起伏は無い。ほぼ雪山のみが舞台で、アレンデールの城下町やエルサの作った氷の城に入る事もできない。特に氷の城は入口の前まで行くことができるにもかかわらず入れず、その理由付けも特にないのでかなり肩透かしを食らう。
      • シナリオ展開においてもソラ達はほとんど蚊帳の外であり、『アナ雪』のシナリオを遠巻きに眺めているだけ。アナやエルサとの交流も「たまたま雪山で出会って話をする」といった程度。
      • また、参加するパーティメンバーがアナでもエルサでもなければクリストフやオラフですらもなく、雪の巨人であるマシュマロウ。主人であるエルサを助けたいという気持ちはソラたちと同じなのだが、『アナと雪の女王』をモチーフにしている以上アナやエルサと冒険したいという声は当然大きかった。
      • 悪役キャラ(ネタバレを考慮し名前は伏せる)に至っては終盤急に現れ、セリフもなく、彼の心の闇から現れたハートレスを倒してこのワールドは終了である。原作でも悪役と明かされた際に驚くキャラではあったが、本作はそういうレベル以前の唐突さ。
    • とはいえ、そもそも原作の時点でアナとエルサの姉妹、その周囲の人々の交流のみで完結するストーリー構成となっているため、部外者であるソラたちの入り込む余地は無いに等しい。にもかかわらず原作再現系のシナリオにしてしまったのが問題と言える。
      • ソラに余計な口出しをさせれば原作シナリオを壊しかねず、ソラの得意な荒事で介入できる要素もごく僅か。争いを好まないキャラがほとんどなので仲間はマシュマロウしかいない。原作を尊重しつつソラを投入する場合、こうもなろう。
      • そのあたりディズニーとの契約の都合もあったのかも知れないが…プレイヤーにそんな事情は関係ない所でもある。
    • 一方で、せっかく原作再現方式にしたのだからか、名シーンはきっちり再現されており、「雪だるま作ろう(Do You Wanna Build a Snowman?)」「ありのままで(Let It Go)」などは原作さながらで、この点については評価する声もある。
  • 『パイレーツ・オブ・カリビアン』も3作目『ワールド・エンド』をベースにしているが、こちらもソラが早々ストーリーから脱落してオリジナル展開に移行する。
    • 後々合流するのだがそのときに原作ストーリーについては「いろいろあった」の一言で済まされてしまう。話の要所は描かれるため『アナ雪』ワールドほど理解困難ではないが、やはり急に話が飛ぶ印象は受けやすい。
      • 前作が1作目をベースとしていたので2作目『デッドマンズ・チェスト』はすっ飛ばす形になったのだが、それについての補足も少ない。
    • 当ワールドに関しても、きちんと描かれたシーンについてはこれでもかと言わんばかりに力の入ったムービー等が流れるため、その点は評価されている。
  • 『塔の上のラプンツェル』もここまで顕著ではないが、ラプンツェルとフリンの恋路など、ストーリーで盛り上がる部分がカットされてしまう。
    • これも「二人きりのデートにソラ達が立ち会うのも野暮」といった理由があるのだろうが、それにしてもかなり分かりやすく露骨にカットされる。せめてソラとは別視点のムービーとして見たかった所ではある。
      • 原作では中盤に明かされたフリンの本名をソラ達(とプレイヤー)に知らされるのは、もっと後のボス戦後。そのため、途中のラプンツェルが彼を本名で呼ぶシーンなどは「カットされた時に何かあったんだろうなあ」と推察するしかない。
    • ただしこのワールドに関してはその程度であり、このシーン以前のワールド探索で散々二人とはしゃぐイベントが用意されているため、上記2ワールドほどの蚊帳の外感は無く、十分物語を堪能できるレベルではある。

その他の賛否両論点

  • ムービー量の多さ・演出の長さ
    • 本作ではこれまで以上にムービーの数が多く、複数回連続することもしばしばで、プレイ時間の水増し感が強い。
      • 例えば初めに訪れるオリンポスでは、チュートリアルも兼ねていることからか「ちょっと歩くとムービー、ちょっと歩くとムービー…」という場面が続き、その中にはゲームの進行を示すため「川の流れが弱まる、滝の水が止まる」だけのムービーもある。
      • 何が起こったのかは分かりやすいため親切ではあるが、操作が中断されるタイミングが多いため人によってはだれる可能性も。みまもりSwitchではこれらのムービーもプレイ時間に含まれてしまう。
    • 戦闘でもシチュエーションコマンドなどでは見惚れるほどに派手で気合の入った表現がされているが、その分長いものも多い。
      • 派手で爽快感があると好意的に捉えるか、テンポを悪くしていると否定的に捉えるかは好みが分かれるところ。
      • フォームチェンジやアトラクションフローの発動演出はスキップ可能。一方で、連携技やフィニッシュアーツなど攻撃に関わるものはスキップできず、常用する割に演出が長い物もあるため人によっては気になりやすい。
  • アトラクションフロー
    • アトラクションフローの発動中はBGMが変化し、賑やかで楽しげなBGMが流れる。シリアスなイベント戦闘の最中に発動すると、シリアスな雰囲気が大きく壊れてしまう。
      • アトラクションフローを発動するかどうかはプレイヤーの任意だが、発動した方が効率良く戦える場合もあるので困りもの。
  • ミニゲーム関連
    • 今作のミニゲームは完成度が高いものが多く、これ自体は文句なしに評価点である。しかしミニゲームが急に挿入される事自体好みが分かれ、強制プレイの場面も多いため不評なユーザーには不評でもある。
      • ナンバリングタイトル恒例のグミシップも同じく完成度自体は高いのだが、全くゲームジャンルの異なるSTGをやらされるため、元々好みの分かれるコンテンツであった。
    • 高スコア時の報酬に貴重なアビリティやアイテムがあったりと、やり込みに紐付けられているものも増えた。ミニゲームが楽しめるなら気分転換になるが、そうでなければ面倒な要素である。
      • リズムゲー風料理ゲーム、慣性のリアルなスケボー風ミニゲームなど、人によって得手不得手の分かれやすいミニゲームも存在している。
      • ただし不評側意見にも「前作のジミニーメモ埋めのためだけのミニゲームよりはマシ」との声もある。グミシップも店売り設計図の性能が十分高く、攻略のハードルは低いのが救いか。
  • フォームチェンジの大幅変更
    • 今作のシステムは『KH2』の純粋な上位互換や進化形と言えるものではないため、比較した場合に好みが分かれやすい。
    • 『KH2』では専用のゲージさえ溜まっていれば、いつ・どのフォームにチェンジするかは自由に選ぶことができ、ゲージを温存することもできた。
      • ゲージはアイテムやセーブポイントで容易に貯めることもできたほか、戦闘以外の発動でマップ移動にも活用できた。
    • それに対して今作では「戦闘中に特定のシチュエーションコマンドを出現させる」というプロセスを経た上で、制限時間内にそのコマンドを発動することでフォームチェンジする仕様になった。
      • この制限時間により『KH2』のようにチェンジを含んだコンボが構築し難く、使い勝手や選択の自由度という点で劣る面がある。他にも発動によりHP・MP全回復も無くなった。これによりMPの即時回復手段が『KH2』よりも限られている。
    • ただし『KH2』では特定の仲間が戦闘不能中の時はチェンジできないフォームも存在したのに対し、今作では仲間の状態にかかわらずフォームチェンジが行えるため、その点での使い勝手は良い。
    • フォームチェンジしたキーブレードを別の物に持ち変えると、変形中の残り時間がストップするようになる。これによりチェンジした後という形で温存するということは可能。
      • これらの仕様により「コマンドが無くなる前にとりあえずフォームチェンジして控えに回す」というプレイヤーが多い。
    • なお、『KH2』のコマンド操作によるフォームチェンジは、プレイヤーによっては煩雑に感じられる面もあった。ただし『KH2』の時点で「(ピンチの時に)△ボタン一発でフォームチェンジできる」システムも用意されており、コマンド操作が苦手なプレイヤーに配慮した操作性は『KH2』と今作とで大差はなく、どちらに優劣があるというものではない。
    • 問題の多くは制限時間さえなければ解決するため、フォームチェンジだけ制限時間を設けなければまた違った評価を得たかもしれない。
  • DLC以外でのクリア後のやり込み要素が少ない
    • DLCを除けば、クリア後に追加される要素はバトルポータル(何度も挑戦できるバトル)のみ。しかも大量のザコと戦うものがほとんどであり、『3D』のポータルのような強化版ボスとの再戦は存在しない。
    • 特定のバトルポータルでは、今作の本編には登場しなかった上級ノーバディ2種が中ボス級の扱いで登場する。また、最後に解禁されるポータルで本格的に隠しボス枠といえる敵が登場する。
      • 他にも隠しボスと言える敵は、グミシップとザ・カリビアンの海戦での相手が存在するが、通常のバトルで戦う隠しボスとして求められている要素ではない。
    • ただし過去のKHシリーズでも無印版でのやり込み要素は少なめで、後のFM版でやり込み要素が充実するというのがお約束だった。つまりいつも通りである。
      • そもそも遊びのボリュームは豊富な作品であるため、クリア後の要素が少ないのが問題というわけでもない。この難易度で満足かどうかも人により、あくまでユーザーによって見解が分かれる程度の話である。
  • 専用演出の削減
    • 前作のリアクションコマンドのようなQTE的シチュエーションコマンドは減っており、戦闘中のド派手な専用演出についても減少している。
      • ただし前作時点で賛否あったシステムでもあったため、自力で戦う余地が増えた事による好評意見もある。
  • 『Re Mind』について
    • 本編終盤の裏側を描いたストーリーが主な内容なのだが、実装まで間が空いたことや、裏側だけでは分かり難いためか本編をあらためて描いているシーンも多い。
    • ストーリーは本編の最終盤の裏側を描いた内容であるため、本編との重複も多い。本編の裏側を見て楽しめるか、あるいは本編と似たような出来事をなぞる事を退屈に思うかは、意見が割れるだろう。
    • プレイシーンでは、ソラ以外のキャラクターでも操作できる機会がある。だが一部のボス戦でキャラを変更可能になったのみに留まっている。
      • 他のキャラクターでプレイする新鮮味はあるのだが、せっかく作り込まれている割には一部場面でしか使えないため、不満も感じやすい。
  • シークレットエピソードの解禁にDLCボスの撃破が必須。
    • 本編にも関わる(と思われる)シークレットエピソードを見るために、上述した真XIII機関等の強敵の撃破が必須、という仕様には、アクションが苦手なプレイヤーにはきついものがある。
      • 従来では隠しボスは本編から外れていて勝てなくとも問題なかったり、if展開などで次回作キャラの顔見せ程度だったりと、あくまでやり込みの範疇であってメインストーリーとは切り離されていた。
      • プレミアムメニューのファストパスコードを使えば楽に倒す事も可能なので、一応苦手な人のための救済措置は用意されている。しかし使うにはDLC導入後にニューゲームからファストパスコードを選び、ゲームを進める必要がある*12

問題点

ストーリー・世界像の問題点

  • 終盤のストーリー・ゲーム展開
    • 最終決戦となるワールドに突入して以降、ストーリーが突如駆け足気味となり、プレイヤーを置いてけぼりにする急展開が繰り広げられる。
    • それまで本筋の動きが少なかった分、一気に進行していくのだが、描写不足、説明不足が目立つ展開になってしまっており、終盤に詰め込み過ぎた感が否めない。
      • 足早な展開とアッサリな描写によってゲームだけで全容を理解するのは困難であり、「アルティマニアを読んでやっと何が起きていたのか把握できる」と評されるほど。
+ ネタバレ格納
  • 最初のイベント戦をこなしたあとに本格的な決戦が始まるムービーが入るのだが、このムービーシーンでいきなり光の守護者勢が全滅するというとんでもない展開になる。
    • この展開自体はともかく、戦闘で負けるというよりも敵の猛攻で戦意喪失するシーンが目立っており、特に横にリクがまだ残っているのに「1人じゃダメなんだ」と嘆くソラ*13や、『BbS』で既にゼアノート一味と一戦交えた経験があるはずのアクアが早々に戦意喪失するのはあまりに不自然な展開である。
    • 「一人じゃダメなんだ」のシーンは発売前のトレイラーでも公開されており、衝撃の展開として話題になっていたのだが、実際のところは驚く間も無く仲間があっさり全滅してプレイヤーが唖然としているであろう状態のままそこに至るため、一部から「拍子抜け」「トレイラーの方が絶望感があった」という声が挙がっている。
  • そして軍勢全滅後、「終わりの世界」という「死の一歩手前に訪れる世界」に訪れることになる。
    • 『KH』シリーズで「死」にまつわる直接的な表現は長らく避けられてきた上、過去にはKHシリーズには通常の「死」の概念がないとする開発陣のインタビュー記事すらあったため、この時点で多くのプレイヤーの予想を裏切る展開となる。
    • ソラが自分の存在を取り戻したあと、ハートレスに心を奪われ掛けている仲間を救うために各ワールドを転戦することになる。
  • 「終わりの世界」をクリアすると上記のムービーの直前に時間が戻るのだが、事態を打開するのは「終わりの世界」を抜けてきたソラではなく『KH2FM』および『BbS』に登場した「留まりし思念」である。
    • 人気のキャラではあるので登場自体を喜ぶ声はあるものの、なんのために時間を戻してきたのかという肩透かしを食らうのは否めない。
    • しかも「留まりし思念」が現れた事についてろくに説明が無い。一応伏線はあるが、後述するサブイベントなので見逃す可能性がある。更には彼はそのムービー以降は一切登場せず生死も不明という投げっぷり。
      • これらについては『Re Mind』で補完されたが、彼と彼をそこに導いた人物との接点は過去のコンサート内の朗読劇で語られただけで、ゲーム本編では一切描かれていない。一応、その事は説明されるもののコンサートに行った人以外は超展開に思えても仕方ない。
  • 続く真XIII機関との決戦は団体戦。マップ内のポイントごとに3人の機関員がおり、各所に配置された仲間と共に戦うことになる。
    • そのため『KH2』とは異なり各機関員の戦闘力はかなり抑え気味になってしまっている。
      • イベントムービーは主に倒した機関員と和解してその消滅を見届けると言ったもので、会話の内容だけなら悪くない。だが、その間は生き残っている機関員が黙って待っているのは状況的におかしいし、その機関員と縁の深い仲間が会話に絡むことも無い。
      • 一人倒す度に戦闘が中断されて、ソラと機関員のサシの会話がただBGMが流れる荒野で二人で淡々と繰り広げられる。はっきり言えばテンポがかなり悪くなっているしどこまでもシュールである。
    • もっといえば「7人の光の守護者と13人の闇の探求者」の対決で「全世界のキーブレード使いが集まるキーブレード戦争が始まる」とされていたのに対し、本作ではソラが全ての機関員を倒すだけの展開になってしまう関係で大きくスケールダウンしたのは否めない。主人公だからやむを得ないといえばそうなのだが。
  • なお、最終ワールドである「キーブレード墓場」、およびラスボス戦時に移動する「スカラ・アド・カエルム」は基本的にただ移動するだけの内容のワールドであり、他作品に登場する最終ワールドのようにラストダンジョンにふさわしい広大さとか攻略の趣向とかが凝らされていると言うことは全くない。ゲーム面でいっても物足りない内容であると言える。
    • 「スカラ・アド・カエルム」に至ってはラスボス戦専用ワールドである。
      • 野村ディレクターは発売前に「ずっとやってみたいと思っていた」「どこまで実現するか、どう動くか楽しみ」と語っており、おそらくワールド丸ごとをラストバトルの舞台にする事を指してと思われる。フィールドの造形は良く、ラストバトルの演出も非常に気合いの入ったものになっているのだが、だからこそ普通に探索したかったという意見も多かった。
  • シリーズのキーパーソンであるナミネはエンディングを除くとなんと期間限定の隠しイベントにしか登場しない。
    • このイベントの有無にかかわらずエンディングで急に復活するので、イベントを見逃してしまうと彼女の復活について全く理解出来ない。イベントの内容自体も本筋にしっかり関わるものなのに何故隠しイベントにしたのか。しかもこのイベントムービーはシアターモードに追加されない。
    • 批判が多かったためか、アップデートによって強制イベントに変更され、シアターモードにも追加されるようになったが、それは『Re Mind』配信間近の事で発売から1年近く経ってからである。
  • シリーズ初期からの敵であるマレフィセントとピートは今回は本筋のストーリーにほぼ関わらない。
    • coded』の時から抱いているある思惑に沿って行動しているのだが、それ故に光と闇の戦いにはかかわらずその裏側で暗躍する。
    • しかしその思惑と行き着く先についてはまるで描写されず、最後はエピローグにて現れた者達の様子を崖の上から眺めるだけで立ち去っていく。結局何がしたかったのか、何をするつもりなのかは本作内では分からない。
  • 説明が無ければ無いで大筋に問題はないが、説明が無いために混乱しやすい、という設定もいくつか存在する。
    • 例えばリクが『KH2』以来(「ソウルイーター」時代を含めれば第1作から)の愛剣「ウェイトゥザドーン」を失うという衝撃的な展開を経て、新たに「ブレイブハート」というキーブレードを手にするのだが、ブレイブハート入手の過程が一切描かれない。気付いた時には新しい家鍵*14で戦っている。また、ウェイトゥザドーンが折れた際、リクは意味深な言葉を口にするのだが、それが伏線として回収される事は無く、アルティマニアでも触れられていない。
  • これらのストーリーの説明不足だった部分は、DLC「Re Mind」である程度は補完・解消された。また、ラスボス専用ワールドも一定範囲の探索が可能になった。
    • これによって評価が変わった部分もあるが、「ダークシーカー編完結」を謳っておきながらDLC抜きでは理解が難しいという批判はやはり存在する。
    • また、本DLCは本編の説明不足・描写不足の補完の面が大きく、残された謎に関しては殆ど解決されていない。むしろ『BbS』のストーリーの根幹が揺らぎかねない新たな謎が登場するなど問題点は多い。
      • 本作発売からDLC配信までの期間がほぼ1年もあり、ストーリーの理解が難しい期間が長かったことも問題点として指摘された。
  • 本作のストーリー展開には過去作全ての内容が関わってくるが、上述の「メモリーアーカイブ」に『χ』シリーズの内容が含まれていない。そのため同作をプレイしていないプレイヤーは本作単体では内容を理解することができない。
    • 本作前に発売された『キングダム ハーツ HD 2.8 ファイナル チャプター プロローグ』収録の『χ バック カバー』にてある程度は語られているものの、『χ』プレイ前提の内容なので未プレイヤーには分かり難く、しかも中途半端に終わっているのでこれを観たから理解できると言うものではない。
    • 本作の残された謎は『χ』シリーズにもがっつり絡むものが少なくなく、しかし『χ』シリーズ自体が未完な上に謎の多いストーリーなのでそちらを網羅してもまだ多くの真相は闇の中であり、プレイヤーは新展開を待つ他無い。
    • また、終盤に「古のキーブレード使いの力が宿ったキーブレード」が登場するときに大量に人物名のシチュエーションコマンドが表示されるのだが、これも『χ』の後継作である『Union χ(ユニオンクロス)』で行われた「KHIIIにキミの名前を刻もう!」のキャンペーンが由来。人物名とも思えぬ名前が大量表示*15されるため、こちらも当該キャンペーンを知らないプレイヤーにとっては唐突感が否めない場面ではある。
      • 「ゲーム内の世界に合った名前を選ぶ」とされていたが、「ひらがなの名前」「ローマ字の名前」「♪や☆など記号のある名前」など明らかに合っていないものが選ばれている。なかには他作品のキャラ名が由来であろう物まで存在。
      • 無論だが名前が選ばれたユーザー自体に罪はない。
  • オリジナルワールドの極端な縮小
    • ディズニーワールドに混じってストーリーの主軸を担うオリジナルワールドがいくつか登場するのが恒例だったのだが、今作では「トワイライトタウン」と最終ワールドのみ。
      • しかもトワイライトタウンは『KH2』から移動可能な範囲が狭まっており、ランドマーク的存在だった時計台のあるセントラルステーションにすら行くことができない。移動できるトラム広場は本作のクオリティに生まれ変わって格段に作り込まれてはいるものの、総合的には進化したという感じは殆どしない。
      • 最終ワールドも過去作と比べると極端にシンプルな構造であり、ラストダンジョンのような趣はない。
      • チュートリアルステージも「トラヴァースタウン」や「旅立ちの地」のようなオリジナルワールドではなくディズニーワールドの「オリンポス」が兼ねている。
    • 過去作でも重要な役回りを担ってきた「レイディアントガーデン」は多数のイベントが存在するにもかかわらず全てムービーで済まされる。結果的にムービーの長さに大きく拍車を掛けてしまった。
      • 『Re Mind』では一応登場するが、移動可能範囲はマーリンの家だけなので街の探索は出来ない。また、データグリーティングのロケーションの1つにもなっているが移動可能範囲は中央広場と限定的。
  • 担当声優の逝去や引退に伴って代役に交代しているキャラが何人か存在するのだが、極一部のキャラクターは代役すら立てられておらず、その扱いは往々にして不遇。
    • 永井一郎氏が声を担当していた『オリンポス』のフィルは代役が存在せず、そのせいで本作では台詞がゼロ。原作や本シリーズ過去作でやかましく喋っていたキャラから一転して無口キャラと化している。ヘラクレスにメガラを託されて無言で頷く様子は元のキャラを知っているとかなりシュール。
    • 石田太郎氏が声を担当していた『くまのプーさん』のイーヨーは、フィルとは異なりそもそも本作では登場しない。
      • その代わりなのか、象のランピーが新たに登場するものの、せっかくのナンバリング作品に原作キャラの一同が揃わないことには残念がる声が出ている。
  • 『ファイナルファンタジー』キャラの不在
    • 元々『ディズニー』×『FF』のコラボ作品であった本シリーズだが、シリーズが進むにつれだんだんオリジナル要素の比重が大きくなり、本作ではついにシリーズ皆勤のモーグリを除いて『FF』シリーズのキャラが一切登場しなくなってしまった。
      • 他のキャラクターの名前が一部イベントで言及されたり、グミシップの設計図にFFのモンスターモチーフのものが登場したりはするが、それだけである。
      • 「トイ・ストーリー」のワールド「トイボックス」には、『ディシディア ファイナルファンタジーNT』に登場する召喚獣を模したおもちゃが、ロゴとともに展示されているエリアがある。ただ、こちらも特にイベント等があるわけではない。
    • 過去でソラたちの協力者として登場していたレオン(スコール)やシドなども一切登場しない。今作でもレイディアントガーデンはイベントシーンで登場するため、協力者として登場する機会はあったはずである。
      • 『Re Mind』発売時のQ&Aによると「ストーリーの展開上、レイディアントガーデンに立ち寄る目的が無く作業的な問題もあった」との事だが、前述の通りムービーではしっかり立ち寄っている。やはり作業的な問題が大きかったのだろう。
    • デスティニーアイランドのティーダ達は影も形も無く、トワイライトタウンのサイファー達は「武者修行に行った」という話をモブから聞けるだけ。
      • 『KH2』で「FFキャラが出張りすぎた」、「否定意見の強いキャラ改変」などが批判された経緯はあるものの、『FF』キャラの出演自体を望まない声はほとんどない。むしろ『KH2』で登場しなかったキャラの再登場を期待する声もあり、この点は重ね重ね惜しまれる。
    • 過去作でも登場しないことに対して指摘もあったが、本作では集大成的な作品にもかかわらず全くと言っていいほど登場しなかったことが、本作で問題点として押し上がった要因となっていると思われる。
    • その後、DLC『Re Mind』にてレオン等ごく一部のレイディアントガーデンの住人たちについては登場の機会が与えられた。いずれも過去作からの再登場であり、出典も『FF7』『FF8』のみ。
      • 実は本編の時点でキャラクターモデルは作成されていたが、上述のようにシナリオの展開上登場させられなかったらしい。本DLCで再利用したという事なのだろう。レオンに至っては「自分も参戦したかった」というような台詞もある。
      • 完全に余談だが、本編でFFキャラが未登場になった事について野村ディレクターはスタッフに怒られたとか。
  • 比較的細かい点であるが、本作のシナリオは開幕から「II」で帰還したデスティニーアイランドではなく、不思議な塔からスタートしており、「2.8」(特に「3D」及び「0.2 BbS」)プレイ前提の導入となっている。
    • IIでも同様にIのEDとは異なる場所からスタートしているが、こちらは間に挟まるCoMの出来事の記憶をソラ達一行が失っており、彼らの視点でも「IのEDの場所にいたはずなのにいつの間にかIIの開始地点にいた」と不思議がる描写が入る。本作はII以降の冒険の記憶を失っているようなことはないため、単純に間の作品をプレイしていないプレイヤーを置いてけぼりにするのみとなっている。

その他の問題点

  • 通常フォームでの「たたかう(通常攻撃)」の性能
    • 通常フォームでの「たたかう」の各技は、『KH2FM』に比べると攻撃性能の高い技があまり揃っておらず、通常攻撃の爽快感という点で過去作に劣る部分がある。
      • 過去作に存在した「たたかうのコンボ序盤の技をより使い勝手が良く派手な技に変化させるアビリティ」が今作には乏しく、ゲームの最初から最後(ゲームクリア)まで、コンボの始動は地味で控えめな攻撃となっている。
      • コンボフィニッシュなどコンボ終盤の技をより高威力の技に変化させるアビリティは、全体的にモーションが長めで隙が大きいため、使い勝手はあまり良くない。
    • 発売から1年後のアップデートver.1.07にて、一部の技の性能が調整され、またゲームクリア後はより使い勝手の良い技が多数追加されるようになった。
      • これによりゲームクリア後の「たたかう」の爽快感は格段に高まったが、あくまでも本編クリア後の要素となっている*16
  • シチュエーションコマンド関連
    • コマンド切り替え操作の説明不足
      • 戦闘中にストックされていくコマンドを選択できるのだが、チュートリアルでは一切説明されず、コンフィグの「操作タイプ選択」に表記があるだけ。操作自体は簡単なので自力で気付く可能性もあるが。
      • この操作に気づかなかったプレイヤーはただストック順にシチュエーションコマンドを使用することになってしまうため、他のコマンドを消化しないと狙ったコマンドを発動できない(場合によっては時間切れで発動すらできない)…などと勘違いしがち。
    • コマンドの暴発。
      • 今作では敵が現れる場所に宝箱が設置されていることもそれなりにあり、開封しようとしたが位置がズレていてシチュエーションコマンドが暴発することも。
  • 敵キャラの挙動の面倒さ
    • 『3D』の頃にも指摘されていた「ふらふらとどこかへ行ってしまう敵」が本作にも登場するため、場所によっては取り逃して面倒な事にもなる。本作はフィールドも広くなっているためなおさら。
      • ただし、高低差を跨いで探しに行く必要が無くなっており、また魔法で一掃できるなど対処手段もそこそこあるので『3D』と比べれば楽な面もある。
    • 大型ボスなど怯みにくい敵の存在。『3D』から大きく改善はされておらず、たとえ敵を怯ませたとしても、特定の攻撃手段で上手く連続攻撃しないとすぐに怯みから復帰されてしまうので、戦っていて爽快感を味わいにくい。
    • ほかに『KH2』では「敵の攻撃を食らっている最中は別の敵からの攻撃を食らわない」というハメ防止の仕様があったのだが無くなっている。今作では敵の出現も多いため、運悪く敵の攻撃が重なるとかなりのダメージになることも。
  • 水中ではシチュエーションコマンドやアスレチックフローなどが行えないため、地上に比べるとアクションの自由度や爽快感は低め。
  • 細かな仕様
    • 『3D』ではあとで見ても差し支えがないものに関してはムービーの閲覧を後回しにすることが出来るようになっていたのだが、これは引き継がれず今作ではちゃんと見る必要がある。
      • なお、『3D』絡みでは「キーワードグロッサリー」の方は続投しているのだが、こちらも入手時にアナウンスが出なくなったためいつの間にか重要なキーワードの解説が追加されて気づきにくい。
    • 仲間キャラにも接触判定があり、ソラが立ち止まっていると押して来る事がある。多くの場面では気にならない仕様だが、マシュマロウやベイマックスと言った体形大きめのキャラだと邪魔な場面もある。
    • 過去作に比べて敵の数が増えた弊害として、多数の敵との戦闘では目当ての敵を狙ってロックオンしにくくなった。
    • フリーランの発動直後はガードや回避が行えず無防備になるため、戦闘中に発動すると逆に不利になる場合がある。
      • 壁際や凸凹の多い場所やカメラ手前側への移動などでは、迂闊に走り回るとフリーランが暴発しかねないため、過去作に比べて移動操作に慎重さを要する面がある。
    • 地上での移動はやや小回りが利かず、大きく方向転換しようとしても素早く曲がってくれないことがある。
    • ショートカットの×ボタンに何も設定していない時に L1+× を入力した場合、『KH2』ではジャンプが行えるため『KH1』に近い操作性で遊ぶことも可能だったが、今作ではブザー音が鳴るだけでジャンプはできず、プレイヤーにとってメリットの無い仕様になった。
    • 敵の攻撃によって吹き飛ばされ壁に叩きつけられると、1秒ほど無防備な硬直時間が発生する。こうなると「連続ダメージに対してHP1で耐える」アビリティが発動せず、半ばハメ殺しのような形で敗北してしまうことがある。
      • 通常プレイではあまり気にならないが、DLCの「リミットカットエピソード」では戦闘フィールドが狭く、敵の攻撃の激しさも相まってこの現象が発生しやすい。過去作には無かった仕様のため、戸惑いの声も挙がっている。
    • 特定の戦闘では、敵からのガード可能な攻撃に対して真正面から正確にガード姿勢を取っていても、見た目に反してガードできずにダメージを受けてしまう場合がある*17
    • 難易度選択はゲーム開始時のみであることや。DLCを購入しないと英語に変更できないなど、昨今のゲームとしては時代錯誤であるという指摘が存在する。
    • Win版ではゲームが強制終了する不具合がある。Epic Games Storeのランチャー側の問題もあるようで、プレイ中に勝手にログアウトして強制終了されてしまう事もある。

総評

本作でもディズニー作品の世界の再現、爽快感の高いアクションRPG、優れた遊びの幅というシリーズの特長と言える面は健在。
シリーズを通した長所を活かしつつ、一方で従来作の問題点と指摘されてきた点を上手くまとめ上げている。
そのため、ゲーム部分の総合的な完成度はシリーズ全体で見ても随一と言って良い内容である。

しかしストーリー面では、シリーズ全作品経験者にとってもかなり駆け足であり、DLCでの補完も含めないとわからない部分もあるため色々と人を選ぶ内容になっている。
特に新規勢にとっては難解と言う他ないシナリオ構成であるため、その点においては購入の際に注意も必要な作品である。


余談

  • 本作も歴代のコミカライズを手掛けてきた天野シロ氏により、月刊少年ガンガン及びガンガンオンラインで連載されている。
  • 本作のOne版は海外のMicrosoftが行っている「Xbox Game Pass」という定額制サービスの対象となっている。
    • One版は日本からも簡単に海外ストアにアクセスできるためか、「Game Pass」の対象になった途端に「海外版『KH3』から日本語を削除」「日本語専用の『KH3』を別途販売」という処理が行われた。
    • 後にGamePassに登録された『KH1.5+2.5HD』や『KH2.8』に加え、別シリーズでは『FFIX』も同様の対応が行われている。
  • Win版の発売後は待ってましたとばかりにMODを作るプレイヤーが続出した。
    • 好きなキャラクターに入れ替えて夢の対決を実現するといったものが多いが、中には無数のドナルドを引き連れるというハイスペックPCの処理能力ならではのMODも作成され、ニュースサイトでも取り上げられた。
  • ミッキーの声優が作品の途中交代しており、公式でも世代交代がなされた。永らく理由が不明であったが、演じていた青柳隆志氏が脳梗塞で倒れ、自ら降板を申し出たためと判明した。
    • ちなみに青柳氏が演じているのはプロローグ部分のみだが、ゲーム上の掛け声はプロローグの時点で後任の星野貴紀氏に変更されている。
  • シークレットレポートとキーワードグロッサリーの中ではあるが、本作では別の時間軸という意味合いで「世界線」という言葉が使われている。
    • 元々相対性理論などで提唱されている概念で、SF作品では使用される事もあったが、この言葉を一気に知らしめた作品以来、このような意味で用いられる事が増えている。そんな中でも本作のような有名作で用いられるのはなかなか珍しい例と言える。
+ シークレットムービーのネタバレ
  • お馴染みの続編を匂わせるシークレットムービーだが、ソラが目覚めた場所は『すばらしきこのせかい』の「シブヤ」そのものだった*18
    • 『すばらしきこのせかい』のキャラクターたちと『3D』にてゲスト出演した際に、再会の約束と「シブヤで待ってる」の台詞があり、それが回収される可能性が出てきた。
+ DLCシークレットエピソードのネタバレ
  • リミットカットエピソードをクリアするとシークレットエピソードが開放されるのだが、ここで登場する最後の裏ボス・および関連ムービーが野村氏がディレクターだった時代の『FFXV / 旧FFヴェルサスXIII』に似ているとして話題になった。
    • また、当時発表は無かったので同一人物かは定かではないが、野村氏がディレクターだった時代のPVに出ていた没ヒロインの声質に近い声優が本作にて謎の人物役で参加している。

  • その後の展開

    • Nintendo Switch向けに本作のクラウドゲーム版が発売。動作確認用の無料体験版も配信されている。
    • 2022年4月にシリーズナンバリング最新作『キングダムハーツIV』が発表された。東京に似た "裏側の世界" である「クァッドラトゥム」を舞台とした新たな物語「ロストマスター編」の始まりだとされており、対応機種や発売時期は未定。
    最終更新:2025年03月21日 22:24

    *1 公式サイトでは3月30日と表記されていたが、実際の発売は北米時間だったため日本では1日遅れた。

    *2 任天堂の『ゲーム&ウオッチ』に代表される、最初期の携帯ゲームのこと。

    *3 一応『3D』では「光」のオーケストラ版と「Passion ~after the battle~」が収録されていた。

    *4 プレイ中でもセーブメニューから選択可能。

    *5 過去作では『KH2』のアトランティカのミニゲーム程度でしか描かれていない。

    *6 前々作の闘技場や前作の冥界には行けない。

    *7 ファイア系魔法であれば、「オーシャンファイア」となる。

    *8 一定スコア以上で撃破すると設計図も貰える。

    *9 一時期は「ゼアノート編」とも。

    *10 余談だが、この後に「だから(シリーズプレイヤーも分らないから)新規でも大丈夫」と冗談交じりで続ける論調もある。無論、それは一般的に大丈夫ではない。

    *11 EDの途中に挟まるエピソードがDLCとなっている点については「問題点」で言及。

    *12 ニューゲーム以外で解禁する方法はシークレットエピソードのボスを倒す事なのでこの方法には使えない。

    *13 ただし、本作ではストーリーの中でもドナルド・グーフィーを加えた3人で一人前であるという点がこれでもかと強調されているため、それを踏まえればそこまで不自然でもない。

    *14 ブレイブハートはディンプルキーをモチーフとしている。

    *15 シチューエーションコマンドは通常4枠が上限だがここでは15枠に拡張。

    *16 過去作のFM版では、このような追加技のほとんどは本編攻略で利用可能だった。

    *17 通称「ガードめくり」などと呼ばれる現象。

    *18 現実の渋谷のような街並みなのだが、実在する「SHIBUYA109 (マルキュー)」のロゴが「104 (マルシー)」になっている事から『すばせか』の「シブヤ」であることが窺える。