A YEAR OF SPRINGS

【あ いやー おぶ すぷりんぐす】

ジャンル アドベンチャー
対応機種 Nintendo Switch
プレイステーション5
プレイステーション4
Xbox Series X/S
Xbox One
メディア ダウンロード専売
発売元 ラタライカゲームス
開発元 npckc
配信開始日 2021年12月10日
定価 【Switch/XSX/One】500円(税込)
【PS5/PS4】550円(税込)
プレイ人数 1人
セーブデータ 3シナリオ×12箇所・任意セーブ方式
レーティング 【Switch/PS5/PS4】CERO:C(15才以上対象)
【XSX/One】IARC:12+
判定 なし
ポイント 女友達3人の心情を描く短編アドベンチャー
性的マイノリティに対する深い描写
プレイボリュームはあっさり控えめ


概要

スペインのラタライカゲームス発売、日本の個人開発スタジオであるnpckc開発によるダウンロード専売ソフト。
Steam版やiOS/Android版でも買い切りソフトとして配信されているが、これらはnpckc自身が発売を行っているため本ぺージでは扱わない*1

ジャンルはテキストアドベンチャー。3つ+おまけのシナリオが収録されたオムニバスソフトである。

主人公である「3人の女友達」の心情がシナリオ別で描かれている。収録シナリオは個別扱いだがストーリー上の連続性を含む。
彼女たちには何かしらのLGBTQ+(性的少数者)であり、本作における重要なテーマとして位置付けられる。

直接的な過激描写は皆無だが、そのテーマの関係上、性に関するデリケートな表現が含まれており、CERO側・IARC側共にレーティングは高く設定されている。


ストーリー・登場人物

  • one night, hot springs
    • 1つ目のシナリオ。主人公「鈴木ハル」は女友達の誘いで温泉旅行へと出かけるが、彼女はとある不安や緊張感を抱えており…。
    • エンディングは7種類。専用BGMは7曲。このシナリオのみハルの心境を3段階のハートで示した「ヒント機能」が表示される。OFFにすることも可能。
  • last day of spring
    • 2つ目のシナリオ。主人公「永田エリカ」はハルの誕生日祝いのためにスパ旅行の企画を行うが、ハルの反応はどことなく微妙な感じであり…。
    • エンディングは5種類。専用楽曲は6曲+α。
  • spring leaves no flowers
    • 3つ目のシナリオ。主人公「立花愛美」は付き合っている恋人と交際を続けているが、その関係性に違和感を感じ取っており…。
    • エンディングは8種類。専用楽曲は8曲+α。
  • ???
    • 最後のシナリオ。主人公たちのその後が描かれる。ネタバレにつき詳細は割愛。
    • このシナリオのみ選択肢はなくエンディングは1種類のみ。またセーブ等のオプション選択は行えない。
+ 登場人物
  • 鈴木ハル
    • 通称:ハル。控えめな性格の新人社会人*2。戸籍上は男性の女性トランスジェンダー。その立場故に生活する上での様々な問題を抱える。
  • 永田エリカ
    • 通称:エリカ。がさつな性格の女子大生。若干やさぐれた感じの不良気質だが友達想い。バイセクシャルであり、ハルに対して友達以上の感情を抱く。
  • 立花愛美
    • 通称:マナミ。おっとりとした性格の女子大生。異性の恋人と交際しているが、本来ならば持っているはずの恋人に対する感情が掴めないでいる。

ゲームルール

  • オーソドックスなテキストアドベンチャーでゲームを進める。ゲーム初回は「one night, hot springs」しか選べないが、条件を満たすと他のシナリオも解禁される。
  • シナリオ中には数回の選択肢があり、選び方によって結末が変わるマルチエンディング形式。エンディングの達成状態はリスト内で確認できる。
  • セーブ領域はシナリオ別扱い。朗読スキップやバックログ等の機能も完備。作中の専用BGM(上記)やイベントスチル(30枚・一部差分あり)の視聴もできる。

評価点

  • 性的マイノリティに対する深い描写
    • 本作最大の特徴として主人公3人の「性的マイノリティに対する描写が緻密」な点が挙げられる。
      • 「少数派であるが故の周囲との温度差」「居心地の良くない立場でありながら、世間の社会事情を覆せないもどかしさ」といった描写が非常に多い。
      • 本作はただ単に性的マイノリティを美化した作風ではなく、「世間では少数派にあたる彼女たちそれぞれの生き方」を現実趣向の観点で描かれている。
  • 日常ものとしての魅力的な描写
    • その一方で堅苦しい説明や説教的なものは極力避けられており、日常短編ものとしてのシナリオの完成度も高い。
      • 彼女たちの「なんてことのない女の子同士の日常のやり取り」といった描写も魅力的で、彼女たちの性格や個性といった一面も一通り描かれる。
      • ゆるふわ系のイラストと優しいBGMの数々も作品と絶妙に同調しており、深いテーマでありながらもさくっとプレイできるお手軽さも感じられる。

問題点

  • プレイボリュームはあっさり控えめ
    • 基本は3本+おまけの短編シナリオ集であり、プレイボリュームはそこまで多いものではない。
      • 各シナリオの全END達成までの難易度がややシビアではあるものの、セーブや朗読スキップ等を利用すれば割と容易くコンプリートできる。
      • シナリオとしての完成度は高いが、あくまでも「ライトな短編もの」としてであり、本格的なシナリオという意味ではやや淡泊かつご都合な節もある。

総評

性的マイノリティに対する深い描写」と「日常ものとしての魅力的な描写」の双方が上手くかみ合った短編シナリオ集といえる。
ゲーム性はほとんどないため、遊技的な意味での評価は難しいところだが、そのテーマや女の子同士の日常劇の興味があるならば触れておきたい一作。


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最終更新:2023年04月28日 16:30

*1 本wikiの掲載ルールである「個人及びサークルによる販売ソフトは対象外」に該当するため。

*2 「one night, hot springs」時点での職業は学生。社会人となるのは「last day of spring」から。