魔界戦記ディスガイア7

【まかいせんきでぃすがいあせぶん】

ジャンル シミュレーションRPG


対応機種 Nintendo Switch
プレイステーション5
プレイステーション4
Windows(Steam)
メディア 【Switch】ゲームカード 1枚
【PS5/PS4】BD-ROM 1枚
【Win】ダウンロード
発売・開発元 日本一ソフトウェア
発売日 2023年1月26日
【Win】2023年10月4日
定価 通常版: 7,678円
限定版: 10,978円
レーティング CERO:C(15才以上対象)
判定 良作
魔界戦記ディスガイアシリーズ


ストーリー

『日ノ本魔界群』
個性豊かな多数の魔界から構成されるその世界では、
多くの住人たちが、悪魔らしからぬ信念“武士道”に従っていた。

しかし、それも今や昔。
魔提督オープナー率いる界軍の来航により、日ノ本は変わった。
そして日ノ本から、気高き武士たちは淘汰されていった……。

これは、そんな誇りを失った世界の中で、
武士道に憧れる少女と、武士道嫌いの青年が、
互いの信念のために共闘していく物語である。

(魔界戦記ディスガイア7 公式サイトより引用)


概要

やり込みSRPGである『魔界戦記ディスガイア』シリーズの第8弾*1(外伝作やスマホ作品を除く)であり、シリーズ20周年記念作品である。

前作の発売から1年半後である2022年8月に製作が発表され、ほぼ半年後である2023年1月26日に発売された。
前作である『6』がシリーズファンにとって不評であったことや、これまでシリーズのプロデューサーを務めていた日本一ソフトウェアの代表取締役社長である新川宗平氏が発表直前に代表取締役を一身上の都合により退任*2
そのようなこともあり、本作の出来を不安視する声は多かったが、発表会の際には「『6』の評価が芳しくないこと」を意識した上で、「(シリーズの傑作といわれる)『5』をベースとしたバランス調整を行う」旨発表された。

結果的に、その言葉通り、ゲームバランスについては『5』をベースとした出来となっており、『6』のシステムについてはごく一部を除き本作には継承されていない。


新要素

アイテム転生

  • アイテム界を攻略済みのアイテムを転生することでアイテムを再強化したり、種類を変更したりすることが出来るシステム。
    • 要するに通常のキャラの転生のアイテム版である。
    • アイテム転生の際にはアイテムの特徴を決める特性(プロパティ)を継承したり、新規に取得したりできる。この特性の組み合わせによって様々なアイテムを生み出すことが可能である。
      • プロパティの組み合わせによっては、食べられる剣を作ることも可能である(もちろん、有用な組み合わせで実用的なアイテムも作れる)。
      • なお、旧作でイノセントとして付与されていた要素の大半は特性となっており、自由にアイテム間で移行することは出来なくなっている。

弩デカ魔ックス

  • 戦闘で攻撃したり、攻撃を受けたりすることで全キャラで共通の激弩メーターが溜まる。一定量溜まることで、いずれかのキャラを弩デカ魔ックスすることができる。
  • 弩デカ魔ックスしたキャラはマップの外に巨大化して配置される。
    • 弩デカ魔ックスしたキャラは通常攻撃か、他の弩デカ魔ックスしたキャラを攻撃するかのどちらかの行動のみ可能。
      • ただし、通常攻撃については射程が無制限となり、攻撃範囲も5×5とかなり強化される。
  • 敵も弩デカ魔ックスすることがある。弩デカ魔ックスしたキャラは他の弩デカ魔ックスしたキャラで攻撃するか、マップの端まで届く攻撃であれば通常のキャラでも攻撃可能。
  • 敵についてはターンの制限はないが、味方は通常3ターンで弩デカ魔ックスが終了する。
    • 終了した場合、当該キャラは、配置された箇所の付近に復帰する。
  • 弩デカ魔ックス中はキャラのクラスに応じた弩ビリティーが発動する。効果は本人のみではなく、敵味方全てであるため、弩ビリティーの効果次第では有利にも不利にもなり得る。
    • 弩ビリティーの効果は防ぎようがないが、弩デカ魔ックスのキャラを撃破すれば効果を打ち消すことが可能。

神討(しんうち)モード

  • 一部の固有キャラを除く、固有キャラ限定の要素。キャラ毎に決められた特定の行動を取るとキャラ単位の神討ゲージが溜まり、マックスになると発動出来る。
    • 神討モードを発動するとパラメータが多少増えるほか、キャラ毎の神討モード時限定の特殊効果を受けることが出来る。
    • また、神討モード中のみ強力な固有技が利用出来る。ただし、当該固有技を利用すると即座に神討モードは解除される。
      • 特定の効果は弩デカ魔ックスと併用も可能になっており、例えば彼岸絶勝斎の神討モードである『3回連続行動』を発動してから弩デカ魔ックスを使えば1ターンに3回弩デカ魔ックスで行動も可能になる。
  • こちらも弩デカ魔ックスと同様、敵についてはターン数の制限はないが、味方は3ターンで終了する。
  • 『5』のリベンジモードとほぼ同様のシステムといえるが、本作では完全に一部を除く固有キャラ限定のシステムとなっている。

変更点

概要で述べた通り、ゲームバランスは『5』をベースとしているため、変更点については『5』を基準とした変更点を記載する。

  • 持ち上げ時に移動することが出来るようになった。
    • 旧作でもタワー状態の技としてタワー移動できるケースはあったが、本作では純粋に移動が出来る。
    • 移動後に投げることも出来るため、1ターンでより遠くまでキャラを移動させることが可能。
  • ボーナスゲージが廃止された。
    • 代わりにステージ毎に5つのミッションが提示されるようになった。達成することでアイテムやお金などを入手出来る。
    • ミッション毎に入手出来るアイテムは不明であるものの、ボーナスゲージをわざわざ貯める必要はなくなった。
  • 『6』から引き続きキャラ界は廃止された。
    • キャラ界を用いて鍛えていた要素は基本的に他の要素を用いて鍛えることが出来るため、強化の幅が減ったと言うことはない。
  • 魔界病院の景品がガチャ方式になった。
    • 回復する際に専用のポイントが入手でき、それを元にガチャを回すことが出来る。
    • 旧作の景品を置き換える形であるが、ガチャそのものの景品の個数は無制限であるため回復すれば何度でも景品が貰える仕様に。
  • 魔界調査団は『6』同様のアイテム界調査団となったが、本作ではキャラではなくプリニーを派遣する形になった。
    • プリニーのパラメータはアイテム界調査団の所属メンバーによって決まるが、キャラそのものを派遣する必要がなくなったため、取り敢えず強いキャラを所属させておけば深く考えずに利用出来るようになっている。
  • 『6』で廃止された要素はおおむね復活した。
    • 人間と魔物型キャラの差別化、武器特殊技など、おおむね『5』以前を踏襲している。
  • 一方で、『6』から継続した要素として、ドリンクバー、自動戦闘(魔心エディット)が挙げられる。
    • ただし、自動戦闘については、初回プレイ時に利用不可、利用する際に専用のポイント(魔ソリン)が必要、となっており、『6』と異なりステージ攻略として使うことは想定されていない。

評価点

『6』で削除された要素が基本的に復活した

  • 『5』から半分程度の23キャラに減ってしまった汎用キャラについても本作では45キャラとシリーズ最多になった。
    • 人気キャラである戦士女、魔法使い男、僧侶女、猫娘族ももちろん復活したほか、『3』以来久しぶりにアーチャー男、ガンナー女等が登場した。
    • 敢えてケチを付けるならば新規の汎用キャラが少ない(舞妓、死姫族、巨眼族の3種類、初代以来の登場でデザインが大きく異なる盗賊男を含めても4種類)ものの、シリーズおなじみのキャラは大抵登場している。
      • 特定の作品の特定の汎用キャラが好きというなら別として、本シリーズでずっと推しのキャラが居るというプレイヤーであれば大抵心配する必要はない。
  • 武器技についても復活したが、こちらは賛否両論となっている。詳細は賛否両論点の項にて。

自動戦闘に頼り切ることは出来なくなった

  • 『6』では自動戦闘があまりにも優秀すぎ、かつ無制限に利用することが出来たため、取り敢えず自動戦闘だけでゲームクリア出来てしまい、「スマホゲーをやってるみたいだ」という意見も出ていた。
  • しかしながら、本作では初回攻略時に自動戦闘が使えないため、ストーリー攻略の際に自動戦闘を使うことは出来ない。
    • 更に、自動戦闘を利用する際には、自動戦闘のコストとして「魔ソリン」が必要となり、魔ソリンは手動で戦闘をクリアする毎に1ずつ貰えるのみで、他の入手手段もクエスト報酬程度であるため、大量に入手することはまず不可能。
      • 結果として、前作のようにしばらくの間自動戦闘に任せて放置……といった使い方をすることはできない。
    • 自動戦闘で消費する魔ソリンはターン数に応じて決まる。そのため、いざ自動戦闘を利用するのであれば、適当に動かすのではなく、少しでも早くクリア出来る行動を魔心エディットで組むことが求められる。
      • 魔心エディットを利用せずともあまり問題なかった前作と比べると自動戦闘を有効活用するために魔心エディットを使った方が良いという動機付けになっている。
  • なお、自動戦闘を何回も利用する場合においても、本作では自動戦闘を1回行うと、その時の消費魔ソリンで連続処理を行うことが出来るようになっている。そのため、無駄に戦闘を見続ける必要もない。
    • 例として、特定のステージを自動戦闘で3ターンでクリアした場合、次に魔ソリンを30(3×10)消費することで10回分まとめて処理することが出来る。
      • この機能そのものは便利なのだが無視出来ない問題点もある。詳しくは問題点で言及する。
  • 稼ぎだけを考えると前作より自動戦闘に頼るのが難しくなっているが、自動戦闘を用いない稼ぎ方法も多数用意されているため、あくまで自動戦闘は選択肢の一つに留まっている。魔心エディットを組むのが大変なら自動戦闘に頼らず稼ぎを行ってもそれほど効率が悪くなることもない。

秀逸なストーリー

  • 本シリーズにストーリーなど求めていない、というプレイヤーも多いと思われるが本作のストーリーは秀逸といっていい。
    • ぶっ飛んだキャラが多いが最終的にはシリアスな展開もある、というのは旧作と同様であるが、その性格や立ち振る舞いについて伏線がしっかりと張られ回収されていく。
    • ネタバレであるため、詳述しないが、人情嫌いのフジやバカ将軍のウェイヤスなどもそのように振る舞うことの理由はしっかりと語られる。
  • 前作で無駄に引き延ばされる展開となった後日談についても、本作ではしっかり本編を補足しつつ、修羅への誘導がなされる『5』のようなものとなっている。

旧作までで使いにくかったシステムも改善された

  • ドリンクバーについては利用に費用(ヘル)が必要なくなった。
    • 前作ではドリンクバーで経験値を利用したり、エキスを利用したりしようとするとストック経験値やエキスではなくお金が足りないという問題が発生していたが、本作では経験値やエキスがあれば問題なく使える。
  • アイテム界調査団についてはわざわざ派遣用の待機メンバーを作る必要がなくなった。取り敢えず最大10人のキャラを用意して特定の部隊に所属さえしておけば後は気にせず派遣し続けることが出来るようになっている。

プロフィールが自由記述できるようになった

  • ステータス画面の最終ページに記載される1キャラ当たり3行で綴られるプロフィールであるが、本作ではプレイヤーが自由に変更することができるようになった。
    • 旧作では汎用キャラについて最後の1行がフレーバーテキストとしてキャラ生成時にランダムで選ばれており、実際のキャラクターの性能には何も影響しないものの、フレーバーテキストを厳選するプレイヤーもいたが、本作ではその必要もなくなった。
      • なお、説明文がしっかりと固定の固有キャラクターについても変更出来る。
  • 本シリーズでは汎用キャラを愛でるプレイヤーが多いため、プレイヤーの考える脳内設定をしっかりと記述しておくことも可能となった。フレーバーテキスト部分だけでなくクラス説明も書き換えられるため、詳述することも可能。
    • 脳内設定なんかない、というプレイヤーであっても役割などをメモして使うというのもアリ。
  • 実際のプレイには一切影響しないため、そもそもプロフィールが変更出来ることに気付かなかったケースも見受けられるが、一部のプレイヤーからは大いに絶賛された機能である。

アイテム界のレベル上げが容易になった。

  • 本作では上記のボーナスミッションをこなせれば一度のステージにつき、多い時だと10回以上レベルアップすることができる。また、ミッションを意識せず、ゲートエリアに向かうプレイをするだけでも最低3、4回はレベルアップできるようになっている。このおかげで、前作の5の問題点であった「敵を全滅しないとレベルを上げることができない」点が解消され、レベルカンストが容易になった。 アイテムのレベル上げの快適さは間違いなく本作が一番である 。ただ、問題点にもあるように、レベル上げ以外の要素のせいでそのありがたみを感じ辛くなっているのだが・・・。

「全部入り始めました」関連

  • ステータスの上限が解放されたり、アサギが追加されたりといった要素が「全部入り」版限定ではない
    • 一部はDLCの購入が必要だが、ディスガイアシリーズではバージョンによってはあれがないといったケース(特に後発でコラボ系が消えるなど)も多いので、そういったゲーム外の事情に煩わされずに、単純に追加できる要素が増えるだけというのは良い点だといえるだろう。

賛否両論点

武器技の種類数

  • 『6』で廃止され大きく批判された武器技については本作で復活したが、種類が『5』以前に比べて明らかに少ない。
    • 旧作ではおおむね武器一種類につき、7つほどあったものの、数は一種類につき4つになっており、ほぼ半分近くである。
      • いずれも武器レベルを上げるだけで利用可能。特性において武器特殊技が(武器レベル無関係で)利用出来るというものもあるが、特性限定や、旧作のように特殊な修得条件を持つ特殊技などは存在しない。
    • 前作の最大の問題点といっていい武器技が復活したこと自体は大いに賛意をもって迎えられており、4種類に減ったとはいえ技のラインナップはある程度吟味されている。
      それでも、10年以上前の作品よりラインナップが少ないことは批判されても仕方ないだろう。

ガ邪ポン

  • ガ邪ポン(ガチャ)について、引いているとどんどん上位のガチャが引けるようになっていくのだが、上位のガチャでは序盤では不相応な程の強力な武器を入手出来てしまい、店売りアイテムが空気になってしまう。
    • ガチャ解放時点でも、引き続けさえすれば本編終盤でないと入手出来ない武器が入手出来る。流石に修羅解放までは修羅のアイテムは入手出来ないがそれでもかなり強い。
  • ガチャを引くためのポイントは、魔界病院の利用によって貯まる、つまりガチャを引くためには相応のお金が必要ということになってくるものの、ガチャからはお金が手に入ることもある他、入手出来るアイテムを売れば基本的に治療費をまかなえることから序盤でも上位のガチャを引くのはそれ程難しくない。
    • 肝心の回復についてもHPを減らす(最大HPを1にする「隠密偵察」の魔ビリティーをセットして外すと楽)→回復を繰り返せば戦闘を挟まず何度も利用出来る。
    • とはいえ、レベルも上げないと回復量が少ない=効率よくガチャを引くポイントが貯まらない、ということになるためレベル上げを併用しなければ序盤で上位のガチャを何度も引くというのはあまり現実的ではないという意味でバランスは取れているともいえる。いい味方をすれば、キャラが強くなれば早い段階で強力な武器を入手する選択肢が一つ増えるだけ、ともいえる。
  • このガチャであるが、終盤になると、エキス入手の最高率手段となってくる。この段階になると、戦闘そっちのけでひたすらガチャを回し続けることになるのだが、ガチャの膨大な必要回数に比べてUIが不便。
    • ガチャは100回分まとめて引くことが出来るが、1キャラに必要なエキスを入手するには確率的には20万回最上位のガチャを引く必要がある。つまり、100連2000回分である。
      • 自動で回し続ける、などという気の利いた機能はないため、2000回を手動で回し続けようとするとかなり大変。連射コントローラーでも50分程かかる作業を手動でやるのはもはや苦行といえよう。
    • エキスについてもガチャ以外で入手出来ないわけではないものの、こちらはこれが最高率であることから、キャラを強くしようとすると必然的にこの方法に頼りがち。せめて1000連、10000連を一気に回せればと思うと残念である。

キャラ界がない

  • 『6』と同様キャラ界は登場しない。
    • 先述のとおり、キャラ界で鍛えられた要素は基本的に他の方法で鍛えられるため、キャラ強化の幅が減ってしまったというわけではない。
    • 単純にキャラ界がなくて寂しいという意見もあるが、『5』のキャラ界の時点で不要であったという意見もありシリーズファンにとってもキャラ界がないことは賛否両論といえる。

異様なまでのメインキャラ(特にピリリカ)優遇

  • 本シリーズの近作では、メインキャラが優遇(汎用キャラより一回り強い、限定の魔ビリティーがあるなど)される傾向にあるが、本作では特にその傾向が強い。
    • 一部固有キャラ限定の神討モードが存在するが、汎用キャラは一切利用出来ない完全固有キャラ限定のシステムである。
      • なお、『5』ではリベンジモード中に利用可能な魔奥義という類似システムがあった。魔奥義は一定条件を満たせば、汎用キャラでも利用出来るものが存在したため(メインキャラのものには劣るが)全く利用出来ないということはなかった。
  • そして、そんなメインキャラの中でもヒロインといっていいピリリカの優遇っぷりは異常といっていい。
    • まず、固有魔ビリティーとして「所持金の桁数に応じて最大HP/SPを増やす」というものがあり、桁数次第では100%以上増やすことが出来る。
      • HP/SPはカンストが(事実上)存在しないことから増やせる手段があればいくらでも増やせるパラメータであるが、他のキャラではそもそもHP/SPを増やす魔ビリティーがほとんどない上、あったとしても100%も増やせるものなどないため、ピリリカのHP/SPにはどうやっても追いつけない。
    • そして、「ピリリカを強化するためだけの部隊」が存在する。
      • 所属したメンバーの人数に応じてピリリカが強くなるため、ピリリカ本人は何らコストを費やすことなく、パラメータを強化することが出来る。つまり、同じ魔ビリティーの構成でより強くなれる、ということである。
      • なお、魔ビリティーを加味しない状態のピリリカが特段弱いキャラということもないため、単純に優遇措置となっている。
    • ただし、ピリリカに限っては所謂「タンク」役であり、ディスガイアにおいて重要なアタッカーには不向きであることから、ゲームバランスを崩すようなことはない。*3
  • メインキャラが強いというのは近作においてはもはやおなじみではあるが、それにしても本作ではその傾向が強い。
    本作では汎用キャラを愛でるプレイヤーも多いことからメインキャラが強すぎるという事実そのものが批判的に見られることも少なくない。

問題点

アイテムの育成効率が低下した

  • 本作では、新要素である「アイテム転生」を基軸としたアイテム育成の効率が、旧作に比べて大幅に低下している。
    • 旧作におけるパラメータ増加以外のイノセントは任意による付け替えができない特性(旧作でいうところの固有イノセント)になってしまっているため、特性を付与する手間は前作までと比べて大きく増している。
      • 例えば炎耐性を高めたい場合は、旧作では耐炎屋のイノセントが付与されているアイテムから耐炎屋のイノセントを取り出して、アイテム界で従順させた上で合体させるだけでよかったが、本作では当該アイテムで耐炎屋に相当する「炎耐性」系の特性をアイテム転生の際に付与していく必要がある。
      • しかしながら、アイテム転生の際に「炎耐性」が登場するかどうかは運である上、炎耐性系は「炎耐性」「炎耐性+」「炎耐性++」「灯し火」の4つがあり最後の「灯し火」はそもそもレア特性となっており出現率が低いため全て付与するにはかなりの時間が掛かる。
      • また、ここまでして全て付与しても炎耐性は33%しか上がらないため、旧作の「耐炎屋」を使えば最大100まで増加させることができたことを考えると手間の割に見合わない。(旧作の「耐炎屋」はレア度も極めて低い)
      • 更に、上記の例で言えば、炎耐性と氷耐性を入れ替えたい、と考えた場合は新たに特性を取得する(特性の数は上限があるため、それを超える場合は炎耐性系を消す必要がある)必要があるため、かなり面倒くさい。
      • 敢えて特性になって旧作と比べて良くなった点を挙げるならば、レアイノセントを同一アイテムに複数個付与できることである*4が、固有イノセント相当の特性はレア扱いのものが多いので複数入手はなかなか大変な上、そもそも上述の例の通り、旧作で言う固有イノセントはおろか通常イノセントにすら劣る効果しかないものもかなり存在するため、弁明の余地もない。
    • アイテムそのものの強化についても、アイテム転生をする度に一定の弱体化(それまでのアイテムの性能の一部を引き継げるものの、ベースとしては転生後のアイテムのものになってしまう)を挟むため、旧作と比べると強化に時間が掛かる。
    • なお、運が悪いと全て初代のアイテムと異なるカテゴリになってしまうこともあるため、狙ったように転生させられないこともあるが、こちらについてはアイテム強化の項目で「次は初代に転生したい」を選べば一応防止出来る。*5
    • また、アイテムを極限まで鍛え上げた後はアイテム界にある、複製屋で鍛え上げたアイテムを増殖することになるのだが、この複製屋に会える確率が非常に低い。運がいいと1、2分で会えることもあるが、基本的に30分に一回会えるかどうかぐらいの確率である。しかも、複製屋に会えるイベントは2つあるのだが、 このうちの一つはハズレが混じっている(複製屋に会えない)ことがある 。ただでさえイベントに入る確率が低いのに、それに拍車をかけるのはもはや嫌がらせ以外の何物でもない。1回会うだけでもこれだけ大変なのに、10人分(戦闘で出撃できるユニットの最大人数)を用意するとなると、ざっと見積もっても 約19時間かかる ことになる。
      • スタッフとしては過去作のねこばば増殖のようにバランスを安易に崩壊させないようにしたかったのだろうが、上記の通りガ邪ポンやヒール育成法(こちらはのちにアップデートで効率は著しく低下した)などでバランスは十分崩壊しているのでまったく意味がない。また、それを抜きにしても一度に複数のアイテムを増殖できるねこばばと違いアイテム界にわざわざ潜らなければならず、一回のイベントで増殖できる数は一個だけなのでこれだけでも十分バランス崩壊は防げたはずである。
  • 一応(近作では共通だが)、アイテム育成を行わずともキャラクターを強化することは可能かつ、容易なバランスとなっており、アイテム育成はやり込みの終着駅と言っても良いポジションである。
    • 例えば、旧作のEXP屋などの稼ぎイノセントがなく、経験値を増やす特性「経験値増加」も性能がかなり低めだが、魔ビリティーの「勉強好き」系をセットすれば相応に経験値を増やすことが出来るようになっている。
    • また、本作ではキャラクターを最終段階まで強化するためにはパラメータがなるべく高いアイテム界のボス(アイテム神)を幾度となく撃破する必要がある*6。そのため、キャラクターを最大まで強化する段階で否応なしに強いアイテムを作らなければならない、かつ何度もアイテム界に潜らなければならないため、育成効率の悪いアイテムを転生で少しずつ強化しながらキャラを少しずつ強化するといった具合に育成作業は並立が可能となっている。

キャラクターのステータスのカンストに時間がかかりすぎる

  • キャラのステータスを最大まで鍛え上げるには上記の通り、アイテム界のボスを倒して、そのボスのステータスの一部を吸収する必要があるのだが、その吸収できる数値が、 元のステータスの10,000分の一 しか吸収できない。
    そのため、一つのステータスにつき一回吸収できる数値は9999までが限度である(体力とSPは除く)。
  • にもかかわらず、一つのステータスをカンストさせるには、3000万も必要になる。アイテム界のボスは戦える機会が非常に少ないうえ、一つのステージに一体しかいないので、当然時間は膨大にかかる。
    • 何度もアイテム界のボスと戦えるようにする方法もあるが、これにも入念な準備が必要になるので、時間がかかることに変わりはない。
    • そもそもの話、 倒す対象をアイテム界のボスだけに限定すること自体が間違っている
      せめて、アイテム界の住人全てを対象にするなどすれば、かなり効率は違っていたはずである。
  • 後に、DLCで、1回につき吸収できる数値を10倍にする魔ビリティーが手に入るようになったのだが、その条件が、 DLCの最強ボスを倒すこと である。
    そのボスを倒すころには、とっくに育成が終わっている頃なので、まるで救いになっていない。*7
    • 更に、その最強ボスは入手が困難なあるレア特性が無ければ、一部の固有キャラ以外はどうやっても勝てないレベルの代物である。

拠点エディットがない

  • 『5』まで実施できていた拠点エディットがない。
    • 特に『4』のエディットは過去作の拠点再現もできたため別のやり込み要素として好評だったため、それができないのは寂しい。
    • また、本作の拠点は使用頻度の高いスキル屋&部隊屋、チート屋、ドリンクバーが拠点内で互いに離れた場所に存在するため、往復が不便。
      • 右スティックを使った施設へのショートカットがあるため、それに慣れれば移動の手間はむしろ減っている。逆に言えば効率を度外視した拠点を作れるという意味でもあるので、エディットを完全に撤廃するのはもったいないと言える。

魔チェンジがない

  • 『3』で登場した魔チェンジについては『6』で廃止されたが、本作でも復活しなかった。
    • 人間キャラと魔物型キャラの差別化が復活したにもかかわらず魔物型キャラを輝かせることが出来る本要素が復活しなかったことを残念がる声は多い。
    • なお、これもネタバレになるが、ストーリー中で「日ノ本魔界には存在しないが、別の世界では魔物を一時的に武器として活用する技術があるらしい」と言った具合に魔チェンジを意識した内容が語られていることから一応、ストーリーで魔チェンジが存在しないことの理由付けはされている。
  • なお、本作ではドリンクバーを用いて経験値稼ぎも可能であるため、魔チェンジが出来ないことによって稼ぎに大きな影響が出るといったことはない。

自動戦闘の一括実行で稼げない要素がある

  • 評価点の際に自動戦闘を一括実行出来ると述べたが、この場合において稼げない要素もある。
    • 特に大きいのがチート屋で自動回復をオンにしている際のガチャを利用する際に必要となるRPの入手が出来ない点と、一定の戦闘回数で魔ビリティーを取得出来る技能開発部隊の戦闘回数のカウントがされない点だろう。
  • 本作の仕様だと戦闘をせずに経験値を稼げる方法が確立されているため、経験値を自動戦闘で稼ぐ必要性がない。となると、自動戦闘で稼ぎたい要素としては上で述べたRPや戦闘回数だと思われるため、これらが一括戦闘で稼げないのはかなり致命的。
    • 魔ソリンそのものの入手手段が限られていることもあり、魔ソリンを使った自動戦闘の必要性がかなり薄くなってしまったといえる。
    • 一応、毎回自動戦闘を1回ずつ実行していけば問題はないが、前作と異なり戦闘終了毎に続けるかどうか(及び一括実行するか)の確認画面が表示されるのでテンポは悪い。

単純上位互換の魔ビリティーがある

  • 旧作でも、(特に)固有キャラの持つ魔ビリティーは汎用キャラの魔ビリティーの上位互換であるものも多かったが、本作では本当に同じコストであり効果が上位という単純上位互換の魔ビリティーがある。
    • ウェイヤスやプレネールさんの固有魔ビリティーはマップ上の味方のパラメータ20%アップであるが、氷棲族の固有魔ビリティーである味方のパラメータ5%アップの単純上位互換といっていい性能になっている。
    • 同様にプレネールさんの汎用魔ビリティーであるハングリー精神は「マップ上の味方の獲得経験値と獲得マナを30%増やす」効果を持つコスト5の魔ビリティーであるが、これは氷棲族の汎用魔ビリティーである「ハッピーソング(経験値+30%)」(コスト5)と「フォーチュンソング(マナ+30%)」(コスト5)を混ぜ合わせた効果であるにもかかわらず、コストは1つ分となっている。
    • ただし、ウェイヤスは固有キャラ、プレネールさんに至ってはDLCコンプ(総額6600円)特典でしか入手できないため、使用条件が限定されている。また、ハッピーソングやフォーチュンソングは所謂「稼ぎ」時限定でしか使用しないため、コストの差をそれほど意識するケースはない。*8

相変わらず動作がカクつく

  • 『6』でも同様の問題があったが、キャラが3D化しているためか、動作がややカクつく。『6』と同じく処理優先モードもあるが、やはり重い。
    • 特にSwitch版では敵の思考も遅いため、敵のターンに入ると数秒程度待ち時間が発生してしまう。

総評

『6』でのシリーズ価値の低下、そして発表直前の代表取締役社長の退任で出来が不安視される中で発売された本作であるが、蓋を開けてみると発表で語られた通り、『5』のシステムをベースに復活を遂げた作品と言える。
『6』同様の3D化をしつつ武器技の復活、キャラの大幅増と『5』までと同様にやり込み出来る作品である。
アイテム育成の不必要な非効率化、武器技が少ないといった気になる点は存在するものの、少なくとも『5』以前と同様多数の汎用キャラを自由にエディット出来る本作の仕様は概ね好評を持って受け止められており、ディスガイアシリーズの20周年を飾る上では十分な出来といえる。


余談

  • 『3』以降はDLCでコンテンツを拡張している本シリーズであるが、本作では発売後3週間で追加DLCが完結、1ヶ月で最終アップデートというべき超魔王バールが実装されるという超スピード展開となった。
    • また、『2』以降本編またはDLCで毎回登場していたアサギも本作で遂に登場が途絶えてしまった。
    • それ以降特段の続報はなかったが、発売から1年以上後の2024年4月に、同年7月25日に『魔界戦記ディスガイア7 これまでの全部入りはじめました。』のリリースを発表。その際に追加アップデートが存在することと、アサギが参戦することが発表された。
  • 「弩デカ魔ックス」の名称、そしてキャラクターが巨大化する点が『ポケットモンスター ソード・シールド』の目玉システムであるダイマックスに酷似していると発売前から話題になった。「3ターン制限」という点も同じ。
  • 2022年の発表会の時点ではPC版の発売は未定とされていたが、2023年中に発売されることが発表され、2023年10月4日に発売された。
    • 『6』まではPC版はキャラ追加などのDLCも標準搭載でリリースされていたが、本作ではコンシューマー版と同様DLCは別売りでリリースされている。
  • 当初のバージョンでは想定しないキャラクターが捕獲できるバグがあったが、2023年6月29日のアップデート・パッチ(※これが最終アップデート/ゲームバージョンとなっている模様)によってついに修正された。

最終更新:2024年07月23日 17:37

*1 シリーズ作品の中に『ディスガイア D2』があり、これがシリーズ第5弾に相当する。

*2 正確には、本作がメディア向けの発表を行ったのが8月6日であるのに対し、退任は8月19日であるため、発表後ということになる。その後、一般ユーザ向けには8月23日に発表がされたため、一般ユーザ目線としては、退任後の発表ということになる。

*3 実用性だけなら攻撃回数の多いフジ、そのフジと組ませて爆発的な火力を得られるアオ、隣接するだけで必中・クリティカル確定のスイセン、出撃するだけで全員のパラメータを簡単に強化できるウェイヤスの方が高い

*4 旧作では固有イノセントの効果は1種類しか付与出来ず、当該アイテムで選択できる固有イノセントをアイテム界で入れ替えることは可能だったが、2個以上を同時にセットすることはできなかった

*5 また、そうでなくとも転生後は初代のアイテムと同じアイテムが候補の一つとして選ばれることは多い上、初代が候補として選ばれる可能性は高めなので、上記のような「剣を鍛えていたが候補に武器すらない」といったことが起きることはあまりない

*6 魔ビリティーとして、アイテム神を撃破した際にそのパラメータの一部を恒久的にキャラクターのパラメータボーナスとして加算できるものが存在し、上限値まで加算しようとすると数千回撃破しなければならないバランスとなっている。アイテム神のパラメータは強力なアイテムであればあるほど高くなるため強力なアイテムを利用することがセオリーとなる

*7 そもそも育成が終わる前に倒したとしても最強ボスを倒している以上はそれ以降の育成する目的なんて自己満足の域を出ないものなので正直育成する気が起きないのが大半だろう。

*8 なお、偶然かもしれないが、結果的にどちらも氷棲族が割を食っている。もちろん、汎用魔ビリティーは別クラスのものも利用出来るため、氷棲族の使い道がないというわけではないのだが。