Soulsland
【そうるらんど】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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Windows (Steam) Nintendo Switch
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発売・開発元
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Nerd Games
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発売日
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2021年11月4日(Steam) 2023年1月6日(Nintendo Switch)
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定価
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680円(Steam) 800円(Nintendo Switch)
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プレイ人数
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1人
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セーブデータ
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作成不可
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レーティング
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IARC:12+(12才以上対象)
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判定
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クソゲー
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ポイント
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すべての要素が未完成 パロディでは済まされないパクリっぷり そもそも何を目的としたゲームなのか?
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概要
タイトル・画面構成、共に『DARK SOULS』シリーズに酷似したインディーズゲーム。
なお、言うまでもないだろうが本家ソウルシリーズとの関連性は一切ない。
パロディと言い切るにはあまりにも厳しい酷似っぷりからして既に怪しいが、ゲーム内容はパクリ疑惑すら些細なものと断言できるレベルでさらにアウトな代物である。
以下、2023年に移植されたSwitch版を中心に解説する。
なお、似たような名前の作品が他にもあるが、中国発の小説およびそれを原作としたソーシャルゲームは『Soul Land』(日本向けの公式略称は「ソルラン」)、デンマークの服飾ブランドは『SOULLAND』である。
特徴と問題点
不親切極まりない導入部分
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まず、ゲームを起動するといきなりタイトル画面を兼ねたステージ選択画面に飛ばされるが、具体的に何をどうしたらいいのかの説明が一切ない。今どきのゲームなら、インディーズだろうがチュートリアルぐらいあって当たり前だが……。
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操作方法に限りポーズメニューから「CONTROLS」を選択すれば確認可能である。ただしキーコンフィグと言った機能は一切ない。
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最下部に言語設定がある(Switch版のみ)が、変えてもステージタイトルに変化はない。実際に変わるのは操作説明とガイド文章ぐらいという雑な設定。
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なぜか日本語にすると、ゲーム中断時の確認メッセージが「本気ですか?」という軽く脅しがかかったものになる。英語なら「ARE YOU SURE?(訳:よろしいでしょうか?)」というごく無難な文章なのだが。
単なる直訳である
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とりあえず、適当なステージを選んで始めると、なんの演出も入らずいきなりステージのスタート地点に飛ばされる。そこに唐突にハゲ頭のオッサンが登場する。どうも彼が主人公らしい……ということはわかるが、相変わらず何をどうすればいいのかの説明は一切ない。
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一応、「邪悪なザイデン卿に囚われた家族の魂を救い出すため、英雄バルバラス卿が冒険の旅に出る」というストーリーがサイトに書かれているので、このオッサンがバルバラス卿……らしい、ということぐらいは推察できるが、ゲーム内ではその辺りの説明は皆無。
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ざっくりとゲームの目的を説明すると、「3Dマップを探索してザイデン卿を見つけ出し、倒して魔法のバリアを解除してバルバラス卿の家族の魂を開放する」というものになる。
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ステージは14種類用意されており、なぜかその全てにザイデン卿がいる。クローンという設定らしいが……。
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なお、本作にはセーブ機能は一切ないため、好きなステージを選んでクリアして終わりである。やりこみやスコアアタックなどは存在しないし、キャラメイキングや育成要素なども絶無で、ステージごとに毎回必ず初期装備・初期アイテムでのスタートとなる。
根本的な質の悪さ
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まず、アクションゲームとしての質が非常に低い。
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武器は何種類かあり、持ち替えも可能だが、どれを使っても大差ない。というか、それぞれの武器の性質の違いも説明されないため、使い分け方がわからない。
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一応武器ごとに弱攻撃と強攻撃があるのだが、大剣には強攻撃がない(強攻撃ボタンを押しても微動だにしない)。別に弱攻撃だけでも進められるが。
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飛び道具である弓も使えるが、なぜかザイデン卿にしか通じない。雑魚には一切通用しないのである。世界観的な説明が一切ないのはまだしも、普通は「雑魚は倒せてもボスには効かない」とするものでは?
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盾も持ち替えられるが、やはり違いがまるでわからない。
ゲームバランス
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ゲームバランスは雑の一言。本家ソウル並のシビアなゲーム性を期待すると肩透かしを食らう。
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敵から受けるダメージがかなり大きく、雑魚相手でも真正面から戦うとそこそこ苦戦する。が、回避の性能が高いため、少しゲーム慣れしている人ならすんなりとクリアできるだろう。
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ボス敵のザイデン卿はそれなりに手強いが、回復アイテムの性能がかなり高く、ぶっちゃけ回復アイテム込みの総体力でプレイヤーの方が上回っているため、ゴリ押しでなんとかなる。回復アイテムを縛ったとしても、やはりゲーム慣れしているプレイヤーなら数回手合わせすれば十分見切れる範疇の動きである。
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ゲーム全体を通しても、敵は数種類の雑魚とザイデン卿のみ。人型ばかりで、モンスターは一切いない。弓を持っている雑魚以外はほとんど違いがわからないレベル。青いやつは一応それなりに強いが。
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回復ポイント(なぜか本家ソウルと同じ焚き火)で無制限に体力全回復できてしまう。しかもザイデン卿との交戦中であろうといつでも使用可能であるため、ここを見つけてしまえばほぼ死ぬことはなくなるだろう。
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この時にもプレイヤーはアクションをとるのだが、時々正座状態から動かなくなるバグが発生してしまうことがある。そうなってしまったら敵から攻撃を受けるまでは各種アクションを取ることができなくなってしまう。
ステージ構造
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ステージの構造があまりにも変。おそらくほとんどのプレイヤーが最初にプレイするだろう一覧の一番上にあるステージ「DUNGEON」は、初期配置地点から下に降りるまともな通路がないため、落下ダメージ覚悟で飛び降りないと先に進めないという斬新極まりない構造。
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「SKY LAND」は明らかに未完成。空中に単に足場パネルをいくつか並べて、その上に敵を適当に並べただけというやっつけ仕事にもほどがある代物。敵の思考パターンが基本突っ込んでくるだけなので、おびき寄せてジャンプするだけでザイデン卿含めて全て落としてクリア可能。ただし、ジャンプ周りの操作性が悪いせいで敵を倒すのは楽勝だが、クリアは地味に難しい。
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ほとんどのステージは非常に狭いのだが、「WATER LAND」は異常なまでに広い。ルート的には一本道であることに変わりないものの初見ではそのルートを把握すること自体検討がつきにくいため、ザイデン卿を見つけ出すのも一苦労である。
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「DRY DESERT」はステージ構成をミスっており、本来ザイデン卿を倒さなければ消えないバリアを横の岩を登って脇から入ることで無視できるため、ザイデン卿を倒さずにクリアできてしまう。
ビジュアル面
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クオリティの低いグラフィック・エフェクト。
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敵を倒しても自分が死んでも、やられモーションすらなく棒立ちで終了。なんとボスのザイデン卿すらも。爽快感も緊張感もまるでない。
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空中で落ちると突然画面が固まり、その後無言でスタート地点へ強制送還されて復活。リトライが早いのは褒められなくもないが、プレイヤーが水中に沈んだ場合はHPが0になった後にロードを挟んで即タイトル画面に戻されるため一貫性が見られない。
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なぜか異様に大きい舵輪、妙に壁が薄く内装が皆無な教会、量産されて大小無数に設置されているサモトラケのニケ像など、全体的なグラフィックセンスも謎。
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主人公のグラフィックなどは見れなくもないが、「FARMER TOWN」の地面の描画は集合体恐怖症なら恐怖を覚えるレベルで同じ芝生パターンの繰り返しであり、長く見ていたいものではない。
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「SCI-FI FACTORY」のステージだけは、背景が書き込まれていてクオリティが高い……が、このステージどう見てもSF風の基地であり、ファンタジー調で統一された他ステージから浮いている。敵は他ステージと同じでプレイヤーキャラも剣と弓で武装したハゲマッチョなので「別ゲームで開発していたステージを流用した」と邪推されても仕方無いレベルに不審である。
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BGMは雰囲気はそこまで悪くはないが、1ループが短く長く聞いていると耳障りである。
多数の形骸化した機能
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根本的に、機能していないオブジェクト・ステータスが多すぎる。
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ステータスゲージは一番上の赤色の体力と、下の緑色のスタミナ(ガードや攻撃で減少)は意味がわかるが、真ん中の青いゲージの意味が一切不明。何をしようが何を受けようが減少することは一切ない。
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宝箱や扉は単なる飾りであり、開けることは一切できない。
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回復アイテムは3種類あるが、体力回復ポーション以外の効果は不明。
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敵を倒すと「ソウル」というものが手に入るが、これの効果も不明。買い物システムなどはないし、焚き火での回復時に消費されているなどということもない。前述のようにセーブ機能がないため、ステージ別ハイスコアとして記録されているなどということもない。
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弱い雑魚が50ソウル、強い雑魚が1000ソウル、ザイデン卿が10000ソウルという雑な設定であり、ソウル稼ぎを目的としようにもステージ内の雑魚の数が決まっているので、おのずと限界がある。
その他
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なぜかこの薄い内容で、容量は驚きの7.2GB(Switch版)。一体どれだけ効率の悪い収納の仕方をしているのだろうか?
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これがどれだけ異常かと言えば、パクリ元の『DARK SOULS REMASTERED』の4.0GBはおろか、世間的に名作として扱われている『スーパーマリオ オデッセイ(5.6GB)』『スプラトゥーン2(6.1GB)』よりも多い容量といえばわかりやすいだろう。
評価点
ゲームとしては一応成立している
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パクリ且つ未完成臭の拭えない内容であることに疑いの余地は無いとは言え、ひとつのソウルライクのアクションゲームとして見れば一応破綻はしていない。
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とりあえず、ステージは14と多くゲームを始めてすぐに全てのステージに入れるので、色々なステージを歩き回る雰囲気だけは味わえる。
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一つ一つのステージのクオリティは非常に低いが、数だけはあるので隅々まで歩き回ろうと思えば値段相応と言えるそれなりのボリュームはある。
歩き回ったところで別になにもないが
総評
まとめて評価するなら、「未完成」としか言いようがない代物である。
単純にクオリティが低いことそれ以上に、ゲームとしての根本的な目的意識をプレイヤーが抱くことがあまりに困難なことがある意味最大の問題。
「ストーリー上何をしたらいいのかわからないし、何をするべきかわからない」という手探り状態である上、プレイヤーが自主的にそれを定めることすら難しいというある意味稀有な一作。
いくらインディーズとはいえ、このクオリティで商業発売されたことそのものが奇跡としか言いようがないが、その上1年以上経ってからSwitchへの移植版が発売されたことに至っては、一体どのような事情があったのか一切不明である。
一応アクションゲームとしては破綻しておらず商品失格レベルの完成度ではない点が唯一の長所かもしれない。
最終更新:2023年05月13日 00:44