Blind -脱出ゲーム-
【ぶらいんど だっしゅつげーむ】
ジャンル
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パズル
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対応機種
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Android 7.0以上 iOS 10.0以降
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発売元
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Noelith
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配信開始日
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2023年3月28日
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定価
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無料 課金要素なし
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プレイ人数
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1人
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レーティング
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iOS 9+ Android 3歳以上
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判定
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良作
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ポイント
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想像力をかき立てる作風 何も見えず、奥の深い謎解き ストーリーにもっと伏線がほしかった
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概要
エンジニア関連で様々なサービスを提供しているNoelithという会社が初めてリリースしたゲーム作品。盲目の母親とその娘が見知らぬ家からの脱出を目指すゲームである。
特徴
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本作の特徴として、ほとんど何も見えないという状況でステージが開始するという点が挙げられる。
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プレイヤーは盲目の母親とその娘。何も見えない母親が娘に対して指示をすることで謎を解いていくという方式でゲームが進む。
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指示に沿って移動した娘が家具などを見つけるとそれが画面上に表示されるようになる。
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家具によっては調べると何かアイテムを見つけたり、別の何かが動作したりする。物によっては何度も調べないとフラグが立たないため、「一度調べて何も出なかったから次にいく」みたいにしてはいけない。
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アイテムは一度に3つまで持つことができる。アイテムを一度タップすると選択した状態となり、部屋に置いてあるものに使うことが可能となる。
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アイテムによっては複数種を組み合わせることで効果を発揮するものもある。どれとどれが組み合わせるかは片方のアイテムを選択することで分かる。
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さらには何も調べないと使えなかったアイテムが一度調べると使えるようになる場合もある。そのため、ステージ上にあるものだけで無く手持ちのアイテムもしっかりと確認する必要がある。
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遠くに移動したときにまだ見えないものに当たった場合はそれをよけるように移動する。これらもどこに何があるかのヒントになる。
評価点
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想像力を極限まで引き立てさせる独特のビジュアル
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本作最大の評価点。基本的に画面には丸形で表現される母娘と四角形などの形で表現される様々なものだけが描写されている。
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何も状況が分かっていないというような状態では無くあえて大まかな形しか見せないことで、カーペットや椅子の色から娘の表情まで、プレイヤーごとに違う風景を想像することができるようになっている。
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なお、娘のシルエットはタイトルやローディング画面で確認できる。ただし目や口の形状・位置などまでは確認できないため、そこもプレイヤーの想像力に委ねられるところであろう。
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何も見えないところから必要な情報を見つける楽しさ
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何も見えない狭い部屋の中に数多くある様々なものを調べ、次第に見えるアイテムを増やしながら謎を解いていく。こういったゲームが全50ステージ、それも無料、課金要素なしで楽しむことができるのである。
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そこには何も無いと思っていたらよく調べると意外なものがあったり、何の意味も無いと思っていたものに予想外の効果があったりと、謎解きは奥が深いものとなっている。
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謎解きもステージごとに多種多様であり、同じような問題が連続で出て飽きるというような事態にもならず、最後まで楽しめる。
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流血や遺体といった明確なホラー描写は無い
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こういった暗い雰囲気のゲームにありがちな描写は一切無く、心臓が弱い人間でも安心して遊ぶことが可能である。
賛否両論点
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ヒントがあまりにも強力
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本作ではステージごとに広告を見ることでヒントを得ることができるのだが、2回目はヒントでは無く完全に答えとなってしまっている。
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少なくともここで得た情報があれば確実にクリアできるようになる一方、これを見てしまうと謎解きを解く意味が無くなってしまう。
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しかも一度ヒント及び答えを開くとステージを出てもそれが残ってしまう。そのため一度答えを見てクリアした後に改めてチャレンジしてみるということも難しくなっている。
問題点
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家具などを見る方向が指定しづらい
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家具などのアイテムをタップしようとするとどうしても自らの指で隠れてしまうので、娘がわざわざ反対側へと回って調べるという状況が頻発してしまう。
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家具によっては見る方向が謎解きのヒントになっているステージもあるので、うまく指示しないと謎を解くのに無駄な時間を要してしまう。
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ストーリーに伏線がなく、謎がほとんど解決しないまま終了してしまう
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ネタバレになるため詳細は触れないが、50ステージある中で物語の核心に触れるのはなんと49ステージ目であり、それまでは伏線と考えることができるような描写が一切無い。
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あまりにも驚愕な展開が最後の最後、急にやってくるため感情の処理がしづらくなってしまうのである。
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しかも母娘をさらった犯人の正体や詳細な経緯などについては最後まで分からないままである。
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ストーリー性を持たせるのであれば中盤あたりから関係者が次第に不審な言動を見せるなどして伏線を作り、終盤に回収していくという方式とすれば面白いものになっただろう。あるいは最初からストーリーを持たせず、ただ脱出するだけのゲームにするという方でもよかったかもしれない。
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ともかく、ラスト2ステージだけに無理矢理ストーリーを組み込んだ本作の方式はあまりにも中途半端となってしまっている。
総評
何も見えない状況から少しずつものを見つけていき、それを使って謎を解くゲーム。
本作のビジュアルは想像力を引き立てるものである一方、全く何も分からないというような状態では無いためプレイヤーごとに異なる部屋の状況、母娘の姿や表情、そして彼女らの想いが見えるだろう。
一方でストーリー面は唐突で謎を解決しきれておらず、このくらいだったら最初からストーリーが無ければまだよかったと考えられるものである。とはいえこの減点要素はあっても本作独自のビジュアルやゲーム性は大きく、ストーリーを考えずとも最後まで楽しめる作品となっている。
屋敷の中で何が起きているのか、母親と娘はどんな表情でどんな姿となっているのか、頭の中で想像を膨らませながら楽しんではいかがだろうか。
最終更新:2023年10月31日 13:05