ザ・ホード

【ざ・ほーど】

ジャンル シミュレーション
対応機種 3DO interactive multiplayer
セガサターン
発売元 【3DO】バイス
【SS】BMGビクター
開発元 クリスタル・ダイナミックス
発売日 【3DO】1994年7月23日
【SS】1996年3月8日
定価 【3DO】8,800円 (税別)
【SS】5,800円 (税別)
プレイ人数 1人
レーティング 【SS】セガ審査:全年齢
備考 PC移植あり(MS-DOS/FM TOWNS)
判定 良作
ポイント クリスタル・ダイナミックス初期の代表作
童話的な世界で領地を守るタワーディフェンス
かけ出し領主になってほぼワンオペで民を守ろう
取っ付きやすいが難易度は高い


概要

3DO初期に発売された、領地経営シミュレーションゲーム。
ゲームソフトが少なかった初期の3DOには珍しく、戦略的要素のあるソフトとして受け入れられた。
後にPCとセガサターンにも移植されている。

ジャンルとしてはいわゆる「タワーディフェンス」に相当する。
ただし今作はその語源とされる『War Craft III』(2002年)のMODより昔に作られており、より正確には「数あるタワーディフェンスゲームの源流のひとつ」と言える。
近い時期の似たゲームとしては、『アクトレイザー』のクリエイションモードが引き合いに出されやすい(こちらは後のリメイク版が本格的にタワーディフェンス化した)。

開発元のクリスタル・ダイナミックスには、3DOの技術開発に携わったメンバーが所属していた。
このため同社は3DO市場においてエレクトロニック・アーツと並ぶ主力企業となり、多くのソフトを送り出している。
代表作としては翌年の『ゲックス』が筆頭だが、それ以外にも『サムライショーダウン』『スターコントロールII*1』といった他社タイトルの移植も手掛けていた。

あらすじ

物語の舞台は、雄大な自然が広がるフランツポワンキー王国。

主人公のチャンシーは、牛に育てられた貧しい青年。その日もまた談笑する貴族たちの給仕として、右へ左へあわただしく働いていた。
宴が盛り上がるなか、国王ウィンスラップは肉をのどに詰まらせてしまう。だが周囲の貴族は魔大臣クロナスの自慢話に夢中で誰も気づかない。ただひとり国王の危機に気付いたチャンシーは、彼の腹を思いきり締め上げ、肉を喉から吐き出させるのであった。
突然の出来事に、王に暴力をふるったと誤解を受けるチャンシー。大臣は彼をひっとらえるよう命じたが、国王が事情を正直に話し、事なきを得た。

こうして偶然にも命の恩人となったチャンシーは、国王から聖剣グリムスワッカーを与えられ、広大な土地を有する領主となった。
しかし野心家の大臣にとって、成り上がりのチャンシーは気に入らない存在。あの手この手で彼の地位をおとしめようと画策する。

時を同じくして、チャンシーの領地には次々と、赤い化け物ホードが村を荒らしにやってきた。奴らを野放しにすれば領地は壊滅する。チャンシーはこの大軍を殲滅し、民を守り抜かなければならない。
果たしてチャンシー卿は、領地を守り抜いて立派な勇者になれるのだろうか?


特徴

  • ゲームの流れ
    • 今作の舞台は、主人公のチャンシーが王様から授かった領地。そこには小規模ながらも住人が住み着き、移りゆく季節とともに領土が拡充されていく。
      • だがそんな穏やかな世界に魔の手はやってくる。今作のタイトルにもなっている伝説の怪物・ホードである。
      • プレイヤーの目的は、ホードの魔の手から領地を数年間護りつづけること。各領地を一定回数守り抜けばその領地の勇者と認められ、5つの領地を制覇すれば晴れてエンディングとなる。
    • 領地には年4回、季節の変わり目にホードの大群がやってくる。
      • 個体数は7から20匹ほど。ゲーム終盤になるほど数が増える。
      • ホードは次から次へと村人を食べてしまうので、何とか迎撃しなければならない。ホードを全滅させる前に村人が全てホードに食べられてしまった場合、ゲームオーバーとなる。
      • またチャンシー自身にも体力が設定されている。チャンシー自身がホードの反撃をくらい、体力が尽きた場合もゲームオーバーである。
    • ホード襲撃の直前には、領地を開発するフェイズが挿入される。
      • この間、ホード襲撃に備えて罠や壁を設置したり、兵士を雇ったりすることができる。
  • 開発から防衛まで
    • 開発フェイズでは所持金(クラウン)を使い、村を充実させていく。
      • 領地をホードから守るギミックを設置するもよし。金策のための資源を充実させるもよし。
      • 所持金はゲーム開始時に50クラウン与えられているが、様々な金策によって増やすことができる。
      • 年に一回ある買い物イベントでは、永続的に使えるアイテムを購入することができる。
    • 開発する土地はクォータービューで表現された2Dの空間で、季節が移り変わるごとに広く拡張される。
    • 開発に与えられた時間はわずか2分間。プレイヤーは何をすべきか瞬時に考え、カーソルを大忙しで動かす事になる。ゲームが進むにつれ、その短さを思い知る事になるだろう。
      • ただしポーズによる一時停止は可能。
      • 終了は2分を待たずとも、途中で中断しても良い。
    • 開発が終わると、領地にホードが襲撃する。一般的なタワーディフェンスで言うところの「ウェーブ」がこれに当たる。
    • 襲撃が始まると、ホードが何体やってきたかが表示される。このホードを全滅させれば、そのウェーブはクリアとなる。
      • ホードは大量にやってきて、資金源となる牛や作物を食い荒らしてしまうため、急いで対処しなければならない。
    • なおこのホード撃退に立ち向かうのは基本的にチャンシー1人。いっき』もびっくりのワンオペで、領地の壊滅を防ぐことになる。なんて献身的な領主だろうか。
      • 資金が溜まれば部隊を雇う事もできるのだが、一般的なRTSのようにその場から動いて攻撃するようなことはないので、結局はチャンシーの働きがメインとなる。彼一人で対処するには、開発パートで事前準備がものをいう。
  • 防衛
    • 領地の開発に引き続き、戦闘はその土地を舞台に行われる。
    • 主人公のチャンシーは、親の顔すら知らない生まれながらの召使い。そのため武術の心得などあるはずもなく、基本的な攻撃手段は「360度に剣をスイングする」のみ。しかもうっかり攻撃ボタンを連打すると、目を回して動けなくなってしまう。
      • 効率よく攻撃するには、遅すぎず速すぎずリズミカルにボタンを押さなければならない。敵におびえて連打してしまうのはありがちなので、焦りは禁物。
    • ホードが村人を食べてしまっても、まだチャンスは残っている。食べてから消化するまではインターバルがあるので、その間にホードを倒せば無事救出となる。
      • 消化中はおなかを膨らませてその場に直立している。無防備なので、攻撃の大チャンス。
    • ホードは村の四方から見境なくやってくる(登場位置は固定)。特定の侵入経路を防げば良いわけではなく、お金をはたいて全方位を守らなければならない。
    • 最も基本的な防衛手段は柵の設置である。
      • 柵は一定回数攻撃されると崩壊するが、領地内部への到達をある程度遅らせることができる。
      • 中でも領地内の牛(後述)は特に重要度が高いため、その周りを柵で囲うのは今作の基本である。
      • 資金が貯まると柵の代わりに、より頑丈な塀を建造できる。
      • 設置した柵や塀は、購入時と同じ金額で回収できる。
    • 領地には至る所に水辺があり、そこからシャベルを使って水を引く事もできる。
      • ホードは水辺も泳いで渡ってくるが、長時間泳ぐとそのまま溺死するため、堀を作り領地を守るのも戦略のひとつ。
      • 1マス水を引くたびに、クラウンを10消費する。ここで消費した金は戻ってこないので、所持金とも相談する必要がある。
    • ゲームを進めると、兵士やアーチャーを雇ってホードの殲滅に協力してもらえる。
      • 配置のたびに「だぁれも、とぉちゃんぞ〜!」と声高に叫ぶ兵士は語り草。ローカライズスタッフは何を思って演技指導したのだろうか。
      • 兵士は周囲4マスに近づいたホードを攻撃し、アーチャーは遠距離に弓矢を放つ。
      • ウェーブ終了後は、これらの傭兵に給料を払わなければならない。
    • 戦闘中はいつでも全体マップを開くことができ、そこからホードの位置を索敵できる。この間も時間は経過するが、その遷移はかなり遅いため、じっくり考えて行動できる。
    • 防衛中のSEはどこで何が起きても同じ音量で発生する。地味ながらありがたい親切設計である。
      • 発生するSEは「ホードに食われる生き物の断末魔(何が食べられたかによって3パターン)」「ホードが食べ物を消化して出すゲップ」「ホードが溺死する音」など。戦局に重要なイベントが起きるたびに発生する。
  • ホード
    • 襲撃するホードはバリエーションが豊富。
      • 全領地共通のホードが4種類、ご当地限定のホードがシムト平原以外の各地に1種類存在し、対策も異なる。
+ 一覧
  • 成体ホード族
    • 最も一般的なタイプ。スキップしながらやってきては、数の暴力で領地を荒らしまわる。
  • ピラニアホード族
    • 成体よりも動きが速いタイプ。ぴょんぴょん跳ねてやってくる。
  • 呪術師ホード族
    • 領地がある程度発展した際に、単騎でやってくる曲者。瞬間移動によって突然領地内部に現れると、家や牛を遠距離から火炎放射で攻撃してしまう。
    • しかも雇った傭兵を洗脳してチャンシーを襲うよう仕向けたり、死亡したホードを生き返らせたりとやりたい放題。
    • 早急に倒さないと壊滅的な被害をこうむるのだが、地味に体力は高く、追いかけても瞬間移動で逃げ回るので嫌らしい。コイツをどう捌くかどうかで、そのウェーブの命運は変わる。
  • 魔神ホード族
    • 全ホード中最大の難敵。強大な体力と攻撃力でトラウマになったプレイヤーは数知れず。詳しくは問題点で。
  • 森林ホード族
    • 2面・アルブルガのみ登場。
    • 吹き矢で遠距離攻撃を仕掛けてくる。樹に隠れる能力があり、逃げられると厄介。
  • 沼地ホード族
    • 3面・ブーザルのみ登場。
    • 沼地を潜ってサメのように進む。潜水中は無敵なので、陸地に上がったタイミングや、罠として設置した肉を食べている間にしか攻撃できない。
  • 砂漠ホード族
    • 4面・カルニアルのみ登場。
    • 沼の代わりに砂漠の砂に潜るようになったタイプ。
  • 氷雪ホード族
    • 5面・ヴェシュのみ登場。
    • 遠くから雪玉を転がして攻撃する。終盤の登場だけあり、体力が大きくなかなか倒せない。
  • 金策
    • 防衛に資金が必要なのはここまで書いた通り。そのための資金は3種類の方法で稼ぐことができる。
    • 1つ目は木を植えること。
      • 1クラウン消費で1マスに木を植えることができ、時間が経つと木が成長する。これを回収すると5クラウンになる。
      • 成長する木はごく一部だが、植えた苗は同じ金額で回収できるので、赤字にはならない。
    • 2つ目は作物を維持すること。
      • 開発パートでは住人が領地に作物を植えてくれるのだが、ウェーブ終了後に1マスごと4クラウンが振り込まれる。
      • 作物は住人1人に付き数マス開拓される。その住人は1ウェーブ攻略ごとに数人ほど増えていく。
      • 能動的に増やすことはできない。
    • そして3つ目は牛を飼うこと。今作で最も重要な行動である。
      • 牛を一頭買うには100クラウンが必要となるのだが、この出費はかなり痛い(参考に、一回のウェーブで使う資金は多くて100クラウン前後)。
      • しかしウェーブが終了すると、健康な牛一頭につき25クラウンの収入が入る。この金額は、他のどの金策よりも圧倒的な効率を誇る。
      • 購入費用に比べると少なく見えるが、4頭飼えば牛一頭分の収入が毎回入り、安定を得られるようになる。
    • 年一回買えるアイテムは以下の通り。
      • 一度購入すれば、後は何度も使用できる。
+ 一覧

説明書に和訳が無いものは便宜的な名称を記載。

  • もも肉
    • 戦闘中にクラウンを消費して使用可能。チャンシーのいる場所にもも肉を落とし、周辺のホードを誘き寄せる。
    • 遠距離のホードがまとめて1箇所に集まるため、それらを一気に殲滅できる。序盤から利用可能でありながら、その性能はかなり高い。
      • 消費するクラウンはごく微少なので、連発してもリスクが少ない。防衛手段が不十分な序盤はかなり重宝する。今作の基本アイテムである。
  • テレポーテーションリング
    • 戦闘中にクラウンを消費して使用可能。マップを開き、指定した場所に瞬間移動する。
    • 操作のクセは強いが、一度使い方を覚えてしまえば必須レベルの強力アイテムとなる。ホードが複数方向から攻めてきて、一度に対処しきれなくなった時が使いどき。
      • そこそこクラウンを消費するため、無闇に連発はできない。
    • たまに大臣が私用のためにくすねてしまい、一時的に使えなくなることがある。
  • 爆弾
    • 戦闘中にクラウンを消費して使用可能(それ以外にも隠れた利用法あり)。触れると起爆する爆弾を設置する。
    • チャンシー自身も被害を受けるため、配置したら速やかに離れる必要がある。うっかりホードの目の前に放ってしまい、そのまま自爆するのは誰もが通る道。
      • 距離を置きつつホードに触れてもらうには一工夫が必要で、使いこなすにはコツがいる。
  • 兵士
    • 建設パートで兵士を配置できるようになる。
    • 兵士は周囲4マスにホードが来た時にしか攻撃してくれず、普通に使うだけではかなり使い勝手が悪い。
      • しかしその威力は高く、周囲に誘き寄せる方法さえわかってしまうと……?
  • 防御壁
    • 建設パートで塀を配置できるようになる。
    • デフォルトで設置できる柵よりもかなり頑丈で、これを大量に配置すれば鉄壁防御の完成である。
      • ただし最強ホードにはあっさり破壊されてしまうので過信は禁物。
  • 癒しの石
    • アルブルガ(2面)統治開始後に解禁。戦闘中にクラウンを消費して使用可能。チャンシーの体力を少しだけ回復させる。
  • 射手
    • アルブルガ(2面)統治開始後に解禁。建築パートで射手を配置できるようになる。
    • 兵士と異なり、遠距離を攻撃できるのが特徴で、尖兵ホードたちをじわじわ蹴散らしていく。
      • しかし攻撃頻度が少なすぎて使い勝手が悪く、大抵はそのウェーブのうちにホードに食われて退場する。微妙に高い給料を支払わなくて済むからと、助けを無視して見殺しにされるのはご愛敬。なんと素敵な領主だろう。
      • おまけに呪術師が出ようものなら、洗脳されてこちらを遠距離から襲ってくる。味方にすると頼りないのに、敵に回すと恐ろしい。
  • フレームスロワー
    • アルブルガ(2面)統治開始後に解禁。戦闘中にクラウンを消費して使用可能。一定時間、攻撃力の高い火炎放射を前方に行う。攻撃力は高く、硬いホードも一気に倒すことが可能。
      • 反面、チャンシーはこのゲームのシステム上8方向しか向けないため、上手く当てるのは難しい。使用中は通常攻撃ができなくなるので、まさしくハイリスクハイリターンといったところ。
  • ブギーブーツ
    • ブーザル(3面)統治開始後に解禁。戦闘中にクラウンを消費して使用可能。一定時間、チャンシーの移動が速くなる。
    • 使い勝手が良く欠点もないので、入手後はほぼ必須と言って良いアイテム。ウェーブが開始した後はカーソルをこれに合わせ、こちらの行動開始とともに起動するのがルーチンとなる。
  • ロスコー
    • ブーザル(3面)統治開始後に解禁。戦闘中にクラウンを消費して使用可能。巨大ドラゴンのロスコーが、画面外のはるか上空からチャンシーを援護してくれる。
      • ちなみにロスコーは英語で拳銃の意味。解説文には「ウスノロなんて呼ばないで」とあり、使用すると「よんだか~」とのっそりした声で応答してくる。
    • ロスコーは一定時間ごとに大掛かりな攻撃を行う。それはチャンシーの周辺をその進行方向に合わせて焼き払い、命中したホードを全滅させるというもの。
      • その威力たるや、どんなに硬いホードも一撃で焼き払う凄まじさ。攻撃範囲も広いおかげで、すばしっこく動くホードも逃がさない。一度使ってみれば「どこがウスノロなんだ」と言いたくなる頼もしさである。
    • しかしこの攻撃、住人や家、柵や牛といった大切な物も含めて被弾の対象となる。領地の中心部で使おうものなら、牛や住人が肉片(もも肉)と化し、ゲームオーバーまっしぐら。悲しいかな、ウスノロ扱いされる理由を否が応でも思い知らされてしまう。
    • 強さと弱点がはっきりしている分、リスクを避ける方法がわかってしまえばこっちのもの。住居の外で呼び出せば問題なく無双できるので、ゲームに慣れたプレイヤーにとっては頼もしい味方にもなり得る。
  • フルート
    • カルニアル(4面)統治開始後に解禁(その前の隠しイベントでも入手可能)。戦闘中にクラウンを消費して使用可能。一定時間チャンシーが笛を鳴らし続け、ホードを誘き寄せる。
      • 元ネタは童話『ハーメルンの笛吹き』と思われる。
      • なおこの笛の音は耳を塞ぎたくなるほどオンチである。そのシュールさたるや、一度聴いたら忘れられなくなること間違いなし。これにおびき寄せられるホードの音楽センスがちょっと怖い。
    • ホードを一気に集められるのはもも肉と同じだが、こちらは目的地を柔軟に変えられるのが心強い。しかし移動先はチャンシーなので、ともすればリンチに合うリスクも背負っている。うまく使えば上位版もも肉、使い方を間違えれば死に一直線という、まさに諸刃の剣となるアイテム。引き寄せる場所を見極めるのがポイントとなる。
      • 特に領地の外で地面に潜るホードを相手にするのは禁物。こちらから反撃する手段がなく、一方的にやられるのを待つだけになる。
  • 神秘の鉄球
    • カルニアル(4面)統治開始後に解禁。戦闘中にクラウンを消費して使用可能。一定時間、画面の半分ほどのリーチを持つ鎖鉄球を豪快にジャイアントスイングし、周囲のホードを一掃する。回し終えた後はチャンシーが目を回し、しばらく動けなくなる。
    • 文句なしの最強武器。ほとんどのホードを数発で仕留められ、瞬間移動で逃げ回る呪術師すらも超リーチで楽に倒すことができる。
      • これが解禁されるゲーム終盤ともなると、ホードが多すぎて防衛に限界が見え始める。だが侵入をすんなり許してしまっても、これ一つあれば被害を最小限に食い止められる。
      • 目を回すデメリットも意外に小さい。この武器を使い終わる頃にはホードの殲滅が済んでいるので、少しくらい動けなくてもなんとかなる。
    • 唯一の弱点は牛一匹と同じ100クラウンを消費すること。逆に言えば、牛が何匹も食べられそうな時にこれを使えば収支プラスで戻ってくるも同然である。乱発はできないが、使い所を見極めるのが楽しい「奥の手」となる。
  • ウィンブリの三叉槍
    • ヴェシュ(5面)統治開始後に解禁(その前の隠しイベントでも入手可能)。戦闘中にクラウンを消費して使用可能。マップを開いて好きな場所にカーソルを合わせ、そこに隕石を衝突させる。
      • ちなみにこのウィンブリはカエルのような生き物。この凄まじいアイテムを持っている彼は一体何者なのか……
    • 豪快な一撃を決められる一方で、衝突地点周辺は岩肌を露わにし、使えない土地となってしまう。使いすぎにご用心。
  • イベント
    • 夏のウェーブが終わると、たまにランダムでイベントが発生する。
      • 3DO発のゲームらしく、イベントの様子は実写ムービーによる寸劇形式で伝えられる。
      • 「王様が金のなる木を持ってくる」というラッキーイベントや、大臣がチャンシーのアイテム使用を禁じる妨害イベント、はたまたゲームに何も影響しないホード製作のTVCMが流れることも。
    • 各領地には税金が設定されており、年末にはこれを収める必要がある。
      • 1クラウンでも資金が足りない場合、即座にゲームオーバーとなってしまう。
      • なお金策が順調であれば足りなくなることはまず無い。支払いが厳しい場合はクリアをあきらめ、最初からやり直した方が賢明かもしれない。
  • 開発する領地
    • 以下、攻略のヒントを含むため、自力で攻略したい人は閲覧非推奨。
+ 詳細
  • シムト平原
    • 最も基本的なステージ。ステージ全域に柵や落とし穴を配置可能で、ゲームの基本を学べる。
    • まだ資金源となる牛が無いため、後発のステージ以上に戦闘がメインとなる。
      • 逆に言うと、ここで上手く防衛をこなし、どれだけ後発の金策に繋げられるかがポイントとなる。
    • 領地内にはランダムで水辺が出現し、ホードの侵入を妨げてくれる。これの配置によって難易度が大きく変わるので、池がステージ上部に来るまでリセマラしてみるのも作戦のひとつ。
  • アルブルガの樹木王国
    • 森が舞台。シムト平原と同じく草地が中心なので、ここでも引き続き大半のギミックを配置できる。
    • この土地には精霊が住み着いており、木を伐採すると天罰が下る。具体的には、チャンシーの体力が奪われてしまう。
      • 理不尽なことに、元から生えていた木ではなく、自分で責任を持って育てた木でも同様。植物であればみんな友達らしい。
    • ただし伐採で削られる体力はごく僅か。金策や開拓の方が重要なときは、木をどんどん切ってしまって構わない。
    • このようにプレイヤーを振り回すだけに見える精霊だが、実は恩義を大切にする一面も……?
  • ブーザルの悪臭沼
    • ステージの殆どが湿地で、罠や柵が設置できない。どうやって土地を埋め立てるかがポイントとなる。
      • これ以降のステージは草地が減り、半数の配置物が拡張できなくなる。特に柵や塀が配置できなくなるのは防衛面で痛く、それまでにない創意工夫が求められる。
    • 幸い湿地には牛を配置することができ、きちんと報酬も入ってくれる点が救いである。
    • 沼地のあちこちにはカエルがいて、ある方法で金策を行うことができる。
      • たまにホードが食べてしまうことがあり、おとりとしても機能してくれる。
    • このステージには宝物があり、発掘すればゲーム展開が大きく変わる。
      • 拾わなくても次ステージ以降で購入できる。ただしヒントが露骨なので、この段階で見つけるのはそこまで苦労しない。
  • カルニアル砂漠
    • 砂漠だけあり、草地が殆どない。ここからは牛を配置するのも不自由となる。
    • このステージは水を引くのが攻略のポイント。上手く緑を増やすことで、砂漠に似つかわしくない大都市を作り上げることもできる。
    • 領地が広がると、あちこちに奇妙なアイテムが出現する。これを回収して条件を満たすと、ちょっと嬉しいことが起きる。
  • ヴェシュの氷原
    • 最後の領地。今度は砂の代わりに、雪が土地を覆っている。
    • 雪に牛を配置すれば溶かすことが可能。
      • 実は別の方法で豪快に溶かすことも……
    • このステージは夏以外に水辺が凍ってしまうため、堀を作ってホードの侵入を止めることができない。堀に頼りきりだったプレイヤーは痛い目を見る羽目になる。
      • しかしここに来る頃には潤沢な資金が貯まっている。ゲーム終盤なのを良いことに惜しみなく金をかけ、ゴリ押しで突破しても問題なし。

評価点

  • まだ歴史の浅かった「タワーディフェンス」の魅力をきっちり押さえている。
    • 土地を守って資金を貯めて、その資金で土地を発展させていく。プレイヤーの頑張りに応じ、資金や領地が充実していく様は、得られる達成感も大きい。
      • 土地を主軸にしたシミュレーションは他にも存在するが、今作は「防衛」に重きを置いているのが大きな特徴である。装備や配備を充実させて強敵を打ち破る快感は、RPGのような魅力も詰まっている。
      • 守りを強くするには、資金源の充実も忘れてはならない。単に強力な攻撃手段を手に入れるだけではダメで、その調達に必要な資金をどうやって稼ぐかも考える必要がある。決して一筋縄ではいかない。
  • シミュレーションという上級者向けのジャンルでありながら、やるべきことがわかりやすく取っ付きやすい。
    • このゲームの流れは「農地を広げて資金を稼ぐ」→「防衛費に充てる」→「もっと農地を増やす」→「防衛費に充てる」→……の繰り返し。少し遊べば容易に流れが把握できる。
    • 農場シミュレーションは難しそう……という人でも心配無用。今作は住民が自分で考えて農地を増やしてくれる。
      • プレイヤーが農業のためにやるべきことは、邪魔な木を撤去するなど極わずか。
      • ゲームに慣れてくると、逆に「村人の勝手な領土拡張を妨げる」という戦略が生まれることも。
    • 金策も至ってシンプル。とにかく牛を買う、それだけである。
      • 今作は農地と牛の数で収入が決まるが、自力で能動的に増やせるのは牛だけである。逆に言うと、自ら金を増やすには牛の購入以外に手が無いので、努力目標がわかりやすい。
      • 購入した後は「どうやって牛を守るか」という方向に展開がシフトしていく。
    • そうしてゲームに慣れてきたら、稼いだ資金でアイテムを買い、応用につなげることができる。
      • ホードの強さはあなどれず、各領地の後半は攻略もシビアになっていく。しかしアイテムを元手に様々な戦略を試行できるため、システムこそ単純だが単調なゲームにはなりづらい。
  • 領地を守る戦略も十分に用意されており、自由度は悪くない。
    • 低価格でホードを一掃できる「もも肉」を筆頭に、使い方を理解することで化けるアイテムが多く、戦略がハマると気持ちいい。
      • 強力な武器はそれに見合った大きなデメリットが付いていて、バランスの取り方は豪快。普段のチャンシーが弱い分、使いこなしてピンチを凌げば、えもいえぬ爽快感を味わえる。
    • 大胆に金を使うことで効果を発揮するアイテムもある。勇気を出した先の攻略法だけあって、見つけた時の嬉しさは中々の物。
+ 例(攻略のネタバレ注意)
  • 塀の前に水を引いて堀を作ることで、大半のホードを一掃可能。
    • 一度水を引くとクラウンが戻ってこないため、最初は勇気のいる行動だが、実際に試すとかなり強力である。
    • これに頼れば一歩も動かずにクリアできることも。ただし池が凍る終盤では通用しなくなる。
  • 牛の隣に兵士を置くことで、ほぼ完璧なブービートラップを生成可能。牛を食べにきたホードをそのまま処理できる。
    • 運が悪いと兵士が喰われることもあるが、そうしたケースはかなり稀。ゲーム後半の基本戦術とも言えるくらい強力なので、上級者は封印した方が良いかもしれない。
  • フルート+ロスコーも鉄板技。
    • ホードを領地の外に誘い込み、ノーリスクで焼き払ってもらうというシンプルな戦法。「土地が破壊される」というロスコーの弱点を補い、文句なしの相棒として活躍させることができる。
  • 周回してシステムを理解した暁には、とても巨大な牧場施設ができていることも。
    • アイテムの使い方を理解してからが、このゲームの真髄かもしれない。
  • ステージギミックが豊富。
    • 今作は5つの領地を順番に回っていくことになるが、出来ることと出来ないことがはっきりしており、ゲーム性が単調になるのを防いでいる。
    • 最初の二つこそ自由な開発が可能だが、それ以降は領地の拡充に何かしらの制約があり、どうやって土地を広げるか考えさせられる。
      • 基本的に柵や塀を節操なく建てることができなくなるため、土地の広げ方に柔軟な工夫が必要となる。
      • 牛の配置で陸地を増やせるブーザル(3面)、治水事業が鍵を握るカルニアル(4面)、雪をどうやって溶かすかがポイントとなるヴェシュ(5面)というふうに、ステージによって戦略は様々。
    • また多くのステージには隠しイベントが用意されており、これを見つけ出すのも楽しい。
      • 一部は成功させるとアイテムがもらえるが、スルーしても後から大金で購入できる親切設計になっている。
  • 魅力的な世界観
    • 合間合間に流れるムービーは、『モンティ・パイソン』や各種シットコムを彷彿とさせるユーモラスな仕上がりに。
    • 物語が進むにつれ勇敢になるチャンシーを始め、登場人物の性格は魅力的で、今作が愛される要因の一つである。
      • 暗躍を見せる大臣や理解者の王様は、その行動の多寡がゲーム内のイベントに直結しており、親しみが湧きやすい。重要アイテムを使用不能にしてくる大臣に憎しみを覚えたり、ピンチの時に王様が金のなる木を提供してくれたり、登場人物に一喜一憂するのはプレイヤーが誰もが通る道である。
    • 今作のおふざけっぷりたるや、中世ファンタジーの世界観なのに電話やキャッシュカードやニュース番組が出てくるフリーダムっぷり。
      • その様相は「ゲームが遊べるコメディ番組」といった感じで、3DO発のゲームならではと言ったところである。
    • そんな明るい世界が描かれる反面、チャンシーが少し失敗すれば平気で人が死ぬ。普段がコミカルな分、シリアス要素も引き立てられているのがまた魅力的である。
  • 地味に親切なデモ画面
    • タイトル後のメニューを放置するとデモ画面が流れるのだが、ゲームの基本をしっかり押さえた動きをこなしてくれるため、とても参考になる。
      • 行われているのは「ホードの出現位置を確かめるために全体マップを表示させる」「牛を柵で囲って守る」と言ったもの。攻略に詰まったら、この画面を参考にすると窮地を切り抜けられるかもしれない。

賛否両論点

  • 当時のSLGらしく難易度は高い。
    • 「SS版説明書記載のチートコマンドに頼らなければクリアできなかった」というプレイヤーの声も散見される。
    • 今作は最低限の説明でプレイヤーを突き放し、自力で活路を切り開いてもらう設計となっている。
      • いろいろ試してゲームシステムを理解すれば、クリアするのはたいして問題ない。しかしSLGにある程度慣れていないとキツい部分があるのも否めない。
    • 特にシビアなのが金策。
      • 牛の購入には100クラウン必要なのに、一頭あたりの儲けは僅か25クラウンのみ。1年かけてようやく利益になる効率の悪さで、初見プレイ時は金欠になって詰みやすい。
      • 突破口は、とにかく牛を集めること。牛が沢山集まると収入が安定するため、この事に気付くかどうかが運命の分かれ道となる。
      • ひたすら牛が重視されるゲーム性ゆえ、今作は牛ゲーと称されることも。畑で数十クラウンしか稼いでくれない村人は放っておいて、とにかく牛を守るのがこのゲームの得策である。育ての母親を大切にするとは、何と親孝行な息子だろう。
    • アイテムの説明文も抽象的で、説明書にも簡単な記載しか無い。使って見るまで効果がわからず、自力で用法を見出す必要がある。
      • その価格設定は、金策をきちんと行う前提の高さである。気軽に入手できるものではなく、金の稼ぎ方がわからないと使用感を知ることすらままならない。
      • 下手に使うと自滅の原因になるフルートやロスコー、隠しテクニック前提で光る兵士、雪原で意外な効果を発揮する爆弾など、尖った性能のアイテムも少なくない。強みを理解しないままクリアしてしまったプレイヤーもいるのではないだろうか。
    • アイテム以外の説明不足としては、牛の仕様も見過ごせない。これに気づけるかどうかで、領地を拡張する楽しさが段違いに変わってしまう。
+ ...
  • 牛は草地の上に配置しないと、資金を手に入れることが出来ない。しかし牛を隣同士に配置すると草を食い荒らしてしまい、資金を得られなくなってしまう。
    • 遊んでいるといつのまにか入金が行われなくなることがあり、初見だと違和感を覚える事になる。
    • このことはゲーム内で一切説明されず、自力で仕様を突き止めなければならない。
  • 草地が荒らされる事に気付くのは容易だが、荒らされる条件がわかりづらいのが厄介である。
    • 牛を1マス置きに配置すれば領土の確保に専念できるのだが、気付かずに牛を闇雲に配置すると、増えた草地を片っ端から食い荒らして侵食する事になる。こうなると柵や塀を置くことが出来なくなり、どうしようもない脳筋プレイとなることも……(このやり方でもクリアは可能)。
  • この他、ステージギミックも最低限の説明しか無く、気付けるかどうかで難易度の変わる領地もある。
    • 本記事では解説の都合、これらのヒントに多少触れてはいるものの、実際のゲームプレイではほとんどヒントが無い。謎解きのセンスが問われてくる。

問題点

  • 操作性が悪い。
    • アングルの都合により斜め移動が多く要求され、思った通りの操作にならないことが多々ある。
    • 移動範囲がわかりづらく、何かと壁に引っかかりやすい。
  • セーブ周りが不親切。些細な操作ミスをしただけなのに、かなり前まで戻される事も多い。
    • 今作はゲーム内の1年、つまりホード襲撃4回につき一度しかセーブができない。
      • これはすなわち、冬(4回目)でミスをすると、十数分前に遊んでいた春(1回目)からやり直しを要求されることになる。
    • 何が問題なのかというと、春〜秋の積み重ねと関係ない理由でミスをしても、冬にミスしたらクリアした襲撃3回分をいちいちやり直さなければならないのである。
      • 今作は資金繰りだけでなくプレイヤーのアクションスキルも重視されるため、些細なミスから全滅することも少なくない。操作性もあまり良くないため、アクションが苦手な人ほど苦戦する要因になる。
      • 再開時にどれだけ上手くプレイしても、買い物パートになるまでは大したアドバンテージに繋がらないので、同じことをやらされる倦怠感は無視できない。
    • 特に厄介なのが、最強の敵である魔神ホード。ゲーム序盤はこいつの攻撃に2回当たるだけでチャンシーが死ぬ。操作を少し間違えるだけで積み重ねが無に帰すという、なんとも理不尽な相手である。
      • この化け物、10回近く攻撃しないと倒せない耐久力を誇っている。攻撃のために近づきすぎると手痛い反撃をくらうため、間合いに気を配りながら慎重に対処しなければならない。慣れないうちは距離感の把握もままならず、思わず攻撃連打してスキをさらけ出してしまうことも。
      • 後半こそチャンシーのHPも増えて即死を防げるが、序盤はHPが少ないうえにアイテムを使った対策も出来ないため、多くのプレイヤーに絶望感を植え付ける。
    • せめて年2回のセーブポイントか、残機制が欲しかったところ。
  • 初見で対策できないステージ遷移
    • 今作では領地が変更されるたび、前の領地に配置した物は全て破棄される。しかし遷移のタイミングはゲームでも説明書でも一切説明されることが無い。
      • このせいで、初見時は「頑張って買った牛が全て破棄される」という酷い仕打ちに遭う。
    • 次の領地に資金を持ち越す場合、遷移直前の冬には全ての牛を回収する必要がある。しかしこのテクニックもゲーム内で解説されないため、自力で気付かなければならない。
      • 牛や柵は購入時と同じ値段で領地から回収できるのだが、これを知らないとひたすら損をする(ただしこちらは説明書に記載がある)。
  • 最後の領地をクリアした後の展開について
+ ネタバレ注意
  • 今作は最後の領地を守り抜けばその場でクリアとなり、黒幕との戦いはそのままムービーで描写されて完結する。
  • 最後の領地に黒幕との因縁は無く、終わり方としてはあっさりしすぎている。
    • しかもこの土地は説明書に記載されていて、特に隠されているわけではない。その後に待ち受けるラストステージや、ラスボス専用ステージなどを期待すると、とんだ肩透かしをくらうことになる。
  • ただし黒幕の末路はこのゲームらしいユーモラスな展開に仕上がっているので必見である。
  • 日本向け3DO版は重大なミスがあり、本体内部の全セーブデータを誤削除する危険性がある。
    • ただし知っていれば回避可能なうえ、知らずに偶然起こる可能性も低いので、以下を読んだ上で3DO版を遊ぶのであれば問題はない。
    • 問題となっているのはセーブデータ管理画面。ここではCボタンで選択中のファイルを削除し、LR同時押しで『ザ・ホード』を除く全てのセーブデータを削除する……という風に書かれている。
    • しかし実際はこの案内と挙動が逆になっていて、いずれか1つのファイルを消そうとすると、本体内蔵の他のセーブデータが全て削除されてしまう。
    • 幸い、この操作を行う機会は全くと言っていいほどないので、そもそも気付かなかった人が大半と思われる。
      • 不要なファイルは上書き保存すれば良いだけなので、わざわざ消す理由は全く無い。別ソフトのセーブ容量を確保する目的としても、そのために『ザ・ホード』を起動する必要性はない(大半の3DOソフトはセーブデータ管理モードが内蔵されているので、セーブ容量が溢れた際に遊んでいたゲームで『ザ・ホード』のデータを消すことになる)。
    • しかしその操作方法はあまりに単純で、危険なことには変わりない。
      • この不具合は発売当時の雑誌で謝罪されたが、あまり周知されたとは言い難い。
      • 今作プレイ中は、間違っても幼児にコントローラーを触らせないように。
    • 余談だが、この不具合はローカライズにあたって生まれた不具合であり、3DO原語版はもっととんでもない仕様だった。
      • 日本語版と異なり、こちらの初期版は意図せず発生する厄介な仕様となっている。
      • もし3DOで海外版を遊びたいマニアがいる場合、以下の詳細を絶対に読んだ上で購入するように。
+ 詳細
  • 原語版ではセーブデータの容量が溢れると速やかに、3DO本体の他のセーブデータが確認なしで強制削除される。
    • しかもこの仕様は説明書に一切記載されていない。
  • メーカーに大量のクレームが届いたのは言うまでもなく、当時のクリスタル・ダイナミックスではROMの無償交換まで行われていた。
  • ソースはこちら。3DO共通のFAQに個別のゲーム事情が掲載されるあたり、相当な問題になったことが窺える。

総評

土地の発展とバトルの楽しさがいっぺんに味わえる一作。
敵であるホードの襲撃は中々に容赦ないが、プレイヤー側にも尖った対抗手段が多数隠されており、アイテムの強さを見出すことで対抗できるバランスとなっている。
一見敵わない群勢さえも、知恵を絞れば豪快に退けることができ、その先に大きな達成感を味わうことができる。

「タワーディフェンス」確立前の作品でありながらその評価は高く、コメディタッチな世界観に惹かれたプレイヤーにも、歯応えのあるシミュレーションを求めるプレイヤーにもおすすめの一本である。
SLG未経験者には厳しい部分もあるが、サターン版にはチートコマンドも用意されているので、不安な人はそちらに頼るのもアリ。


余談

  • 1995年(3DO版の翌年かつSS版の前年)には、PC向けにも移植されている。
    • ボタン操作だったCS版と異なり、いずれもマウス操作を採用している。
    • 日本語版はアローマイクロテックスより発売。
    • MS-DOS版はハードの都合により動画が収録されていないが、ムービーシーンはスライドショーと合成音声により頑張って再現している。
      • ラストの展開は動画でもわかりづらい内容だったのが、静止画になったことで余計理解しづらくなってしまった。
  • 今作のムービーシーンの一つにホード自身がTVCMを行うものがあるが、これは90年代中盤以降のクリスタル・ダイナミックス作品のロゴムービーに使用されている。
    • 共に使用されている『ゲックス』のOPと異なり、『ザ・ホード』の当該ムービーはゲーム中滅多に流れないので、一見して元ネタに気づきづらい。
  • 2010年公開の映画『ザ・ホード 死霊の大群』とはもちろん無関係。
    • 知名度の差も相まって、今作をネットで検索する時は少し面倒臭い。
  • 何かと牛を推す今作、3DO版等の説明書ではスペシャルサンクスに「世界中の牛」と書かれている徹底ぶりである。
最終更新:2023年12月28日 22:57

*1 果てしなく広大な宇宙を探索する、PC向けのオープンワールド型SLG。海外であらゆる賞を総なめした名作で、「3DOの最高傑作」と称されることも少なくない。2023年秋現在はSteamでも配信中で、有志の翻訳パッチを使えば日本でも容易に遊ぶことができる。ちなみに3DO版は公式に日本語ローカライズされた唯一のバージョンである。