Salt and Sacrifice

【そると あんど さくりふぁいす】

ジャンル アクションRPG
対応機種 Windows
プレイステーション5
プレイステーション4
Nintendo Switch
発売元 Ska Studios
開発元 Ska Studios
発売日 【Win/PS5/PS4】2022年5月10日
【Switch】2023年11月7日
定価 【PS5/PS4】1,980円
【Win/Switch】2,300円
プレイ人数 ローカル:1~2人
オンライン:1~6人
レーティング IARC:16+
備考 ダウンロード専売
判定 賛否両論
ゲームバランスが不安定
スルメゲー
ポイント 高難度ではなく理不尽
理不尽を乗り越えても目立つ不便さや説明不足
それを乗り越えた者だけが辿り着くハクスラの面白さ

概要

ソウルライク2Dアクションとしてコアな人気を博した『Salt and Sanctuary』の続編。
基本的なシステムや操作性はそのままに、各地に出没する特殊ボス「魔導司」と、それを狩ることによるアイテム収集と装備作成といったハクスラ要素が組み込まれた。

舞台は、この世ならざる存在「魔導司」によって壊滅状態にある王国。
死刑囚である主人公は罪を赦される代償に「刻印の審問官」となり、「魔導司」を狩るべく西の辺境へと送られる。

前作との主な共通点・相違点

  • 前作との共通点
    • 敵を倒すと「ソルト」という、ソウルシリーズでの「ソウル」のようなものを得られ、これを消費してレベルアップする。
      • 道中でライフが0になると所持ソルトの全てが死亡地点に置き去りにされ、手持ちは0になる。
      • 再度死亡地点に赴き回収することでソルトを取り戻せるが、回収前にもう1度死んでしまった場合、新たに置き去りになったソルトだけが残り、その前の分は完全に消滅する。
    • 今回もソルトとは別に通貨が存在し、買い物はそちらを消費して行う。
    • 回復アイテムは「炎の石柱」や「オベリスク」と呼ばれるチェックポイントで補充される。いわゆるエスト瓶方式
    • キャラビルドも前回同様スキルツリー制。
  • 前作との主な相違点
    • 全てのエリアが地続きのオープンワールド的構造ではなく、小規模なエリア群で構成された幾つかのマップがあり、拠点から各マップへワープする形となった。
      • 移動系スキルも大きく変更され、全体的に探索を主目的とするメトロイドヴァニアから、モンスター狩りをメインとするハクスラ寄りに変化した。
    • パリィからの致命の一撃は、ジャストガードによるよろめき時にボタン入力、または特殊ダウン時にフックショット(後述)となった。
    • ボス戦で死亡した場合も、ソルトが物理的に置き去りにされるようになった(前作はボスを一定HPまで減らすと回収される仕組みだった)。
    • 前作では置き去りになったソルトが特殊な敵「ソルトバット」に化けることがあったが、今回はオミット。
    • 回復アイテムを補充する際に、対応する素材アイテムを消費するようになった。
      • そのため、素材が不足している場合はチェックポイントにインタラクトしても作れる分までしか補充されない。*1

システム

  • ゲームの流れ
    • 王国各地に赴いて魔導司を撃破するという小目的と、徐々に探索できる箇所を拡大させながらストーリーを攻略する大目的とがある。
      • まずは拠点「免罪の谷」から魔導司のいるマップへワープ、「痕跡」と呼ばれるポイントを探す。
      • 痕跡を調べると討伐を受注できるので、マップ内のどこかにいる魔導司本体を追う。魔導司の位置は、画面上に描画される黒い靄の流れから推測する。
      • 魔導司は従僕(手下)を呼び出しながら反撃を試みた後、マップ内の別のところへ瞬間移動する。
      • 再度追いかけては逃げられ…を何度か繰り返すと最終的に一騎打ちとなり、撃破でミッションクリアとなる。
    • 撃破時に獲得した「魔導司の心臓」を使うと閉じられた扉が開き、新たなエリアへ進行可能になる。
    • 魔導司とは別に探索上避けては通れないノーマルボスもおり、固定の場所で戦闘に勝利する必要がある。
    • また、道中でNPCなどから別のマップの情報を得ることがある。
    • こうした流れを繰り返しながら各マップの開放と探索を進め、ラスボスを倒すのが本ゲームの最終目的となる。
  • 素材収集による装備品作成
    • 魔導司やその従僕は素材アイテムをドロップすることがあり、新たな装備品の作成に使われる。
    • 作成できる装備は魔導司ごとに固定で、例えば炎を司る魔導司であれば火炎属性に秀でた武器や防具が作れる。
    • 素材の一種である「魔導石」を用いて強化もできるので、魔導司の撃破と探索によるアイテム育成も本作のメインシステムとなっている。
  • マップギミック
    • 「鉤付きの縄」を入手することで、空中に配置されたオブジェクトに引っ掛けて遠距離移動ができる。
      • 使用可能な場所は決められているので、『SEKIRO』の鉤縄の仕様に近い。
      • 魔導司がダメージ蓄積によってダウンした時、この鉤縄でフックショットを行うと大きなダメージを与えられる。
    • マップ内の上昇気流が発生している場所では「エーテル布」で浮遊できる。
    • いずれも、基本的にはそれまで行けなかった場所に移動するためのものなので、メトロイドヴァニアでの移動スキルの獲得とほぼ同じ役割だといえる。
  • 魔導司の種類
    • 探索において攻略必須となるのはネームドの魔導司であり、他に「名を持たぬ」魔導司の討伐をクエストとして受注できる。
    • スペックの違いはないが、名前なしをどれだけ倒しても閉じられた扉は開かない。素材狩り用に存在する再戦用魔導司といえる。
    • 受注なしでランダムにマップ内を徘徊している野良魔導司も存在し、これも倒せば素材をドロップする。
  • 敵同士の乱闘
    • 魔導司は全ての雑魚敵と敵対しており、主人公が手を出さなくても勝手に殴り合っていることがある。
    • 更に討伐の受注中は「霞焼け」と呼ばれる第三勢力の敵もポップするようになり、三つ巴の乱闘が発生するようになる。
    • 異なる魔導司同士も敵対しあっており、討伐対象の魔導司や野良魔導司が密集しながら互いに従僕をけしかける光景もしばしば見られる。
  • ルーンスキル
    • 素材から作成した武器には「ルーンスキル」という技が設定されており、ポイントを消費して発動する。
      • 使うポイントはスキルによって異なり、いわゆるMPにあたる「フォーカス」か、敵にダメージを与える度に溜まっていく「レイド」のいずれかとなる。
    • また、使用には「神聖グリフ」や「禁忌のグリフ」といった対応スキルを習得する必要がある。
  • 派閥とオンラインマルチプレイ
    • 道中で特定NPCと会話すると、そのNPCの「派閥」を利用できるようになる。
    • 前作の「宗教」とは全く異なり、オンラインマルチプレイの遊び方を派閥という呼び名で分けていると言った方が近い。そのためどれか1つの派閥しか選べないということではない。
      • オンラインマルチプレイ時に、派閥ごとの「他プレイヤーと協力してボスを倒す」「侵入して他プレイヤーを倒す」「侵入プレイヤーを倒す」といった目的を達成すれば、報酬として「トークン」を貰える。
      • トークンは、拠点にいる派閥NPCに渡すことで装備品と交換できる。

評価点

  • アンニュイで奥行きを感じさせる世界観
    • ゲーム全体を通してまとわりつく、希望を感じさせない退廃的な雰囲気は前作譲り。
      • 煙るような暗い灰色に覆われたヴィジュアル、加えて魔導司によって滅亡へと向かう王国や、罪の代償に戦いへ身を投じる主人公といった重い設定が徹底されており、全編通してシリアスさを保っている。
    • NPC達による断片的な説明や、スキルツリーに挿みこまれる架空の文献の引用といった、世界観の奥深さを感じさせる仕掛けも前作から受け継がれており、ゲームの雰囲気に没入しやすい。
  • 幅広い攻撃手段でも戸惑わない操作性
    • 近距離武器2種の切り替え、遠距離攻撃、アイテムのワンタッチ使用などでコントローラのボタンをフル活用することが求められるが、基本的にとっさの操作を求められるのは移動とジャンプとローリングだけであり、他は戦略に応じての対応となる。
    • レスポンスも良好で、全ての操作に対してキーコンフィグもできるため、操作の習熟がしやすい。
  • 自然に対応ができるようになるボスの設計
    • 前作に引き続きボスの攻撃は苛烈で技のバリエーションも多いが、何度も戦う内に自然と避けられるようになり成長を感じやすい。
    • 最初こそなすすべなく殴られ続けて死ぬことがほとんどだが、全般的に攻撃のフリがわかりやすく、派手なエフェクトでダメージ判定も把握しやすいため感覚は掴みやすい方。
    • ゲームが進むにつれ一筋縄ではいかなくなるが、感覚レベルで「次に何をしてくるかわかるようになる」ことが多く、戦闘に気持ち良さがある。
  • 複数の敵派閥がひしめきあう賑やかさ
    • ひときわ背の高い魔導司を中心に、多量の敵が入り乱れて殴り合う様は単純に面白い。
      • しばしば魔導司も同時に複数出現し、従僕が飛び交い、雑魚敵と霞焼けの死骸が吹っ飛ぶ中、多様なエフェクトを出しながらくんずほぐれつダメージを与えあっている様子は、自然界の猛獣同士のケンカを見ているような心持ちになる。
    • 極端な例では拠点からマップに入った瞬間、スタート地点で4体ほどの魔導司が殴り合っていることもある。
      • ここまでくると突然タッグマッチのリングに放り込まれたようなハチャメチャ感が逆に心地よく、ランダムの妙による再現性のない面白さを感じることができる。
  • 厄介な敵が強力な味方になり得る展開
    • 乱闘はネタ的な要素だけでなく、攻略面でも安全に敵のライフを削るチャンスであるため、強い雑魚敵はあえて倒さず残しておくといった戦略に繋げられる。
    • 問題点として後述する通り本作の雑魚敵はかなりストレスフルな設計をしているが、それゆえに勝手に魔導司を倒してくれる場合もあり、そうした意味でも乱戦がポジティブな要素になっている。
  • 新しい武器を戦略に組み込んでお気に入りを見つけていく面白さ
    • 魔導司1体から作れるアイテムは10~15種程度と多く、また武器防具のみらず、有利な効果をもたらすアクセサリや、拠点のテントに設置できるコレクション用オブジェもあるため、撃破後の楽しみが大きい。
    • 特に目玉となるのが武器のルーンスキルで、その魔導司が使う技を発動できるようになる。
      • こちらを散々苦しめてきた攻撃を自分も使えること自体に達成感を得られるし、遠隔攻撃や広範囲攻撃も豊富なため、いやらしい敵配置の多い本作においては生存率を上げる手段として優秀。
      • 武器に属性をエンチャントするスキルも有用で、火系の装備で氷系の魔導司に挑むことで討伐効率を上げられるなど、戦略性を考える楽しみに繋がっている。
    • また、魔導石投入による強化の成長率がなかなか高く、どんな武器・防具でも最終盤まで持ち込めるスペックになる。
      • 新しい武器を都度作成して色々試す楽しみもあれば、お気に入りの武器を鍛え続ける面白さもあり、最適解が絞られがちだった前作にはない大きな魅力といえる。
  • ロードが超高速
    • ゲーム全体を通して、演出以外で待たされることが無い。
    • タイトル画面が表示されてから操作できるようになるまでも早いし、死亡からの再スタートもスムーズ。待ち時間系のストレスはほぼ皆無と言える。
  • 徐々に盛り上がっていく魔導司戦BGM
    • マップを探索している際はアコースティック楽器を基調にしたダウナーなBGMか、あるいは環境音のみだが、魔導司との一騎打ちが近づくに連れ勢いのあるBGMがフェイドインしてくる。
    • 追いかけっこの最中は魔導司のHP残量が不明で、あと何回逃走されるかも明示されていない一方、音響面で追い詰めている感覚と決戦の予感を抱かせる良い演出といえる。

賛否両論点

  • 武器格差が少ない
    • 評価点に記した通りどんな武器でも鍛えれば使い物になり、初期装備のツインダガーですら、強化と適切なキャラビルドを行えば普通に終盤でもダメージソースになる。
    • しかしこうした調整の影響か、終盤の武器が強力とは限らず、装備に高ランクスキルを条件とするものですらスペック差がさほど無い。
      • 見た目上の攻撃力は高いのに、キャラパラメータの影響度が低く設定されていて結局ダメージ量としてはほぼ同じという場合も多い。
    • 好みの武器にこだわる面白さには繋がっているが、新しい武器を作る楽しみを少々阻害する面ではある。
    • 防具においても同様で、後半になるほど初期値が良くても素材の都合で強化が難しかったりするため、コツコツ強化を続けた序盤防具の方がスペックが高くなりがち。

問題点

  • 敵も弾もトラップも何もかもが見えない
    • 終始画面が暗く、彩度も低いためどこに何があるか見えにくい。
    • 雑魚敵がマップの背景と同化しているうえ、多くの場合主人公が接近するまで静止しているため、ぶつかって足踏み状態になって初めて存在に気付くことも。
    • 弾をマシンガンのように発射してくるトラップについては、弾が背景と同色で視認不可能なうえに、発射源が何のアニメーションもしないただの置き物であるためそもそもトラップに見えない。
      • 歩いていたら「ププププ…」とスイカの種でも飛ばしているようなSEと共に突然ライフが減少していき、慌てて回復をするその時になってすら何からダメージを受けたのか分からないレベル。
    • 回転して主人公を大きく吹っ飛ばすトラップも異常に暗く、ほぼ背景と同化している。よりによって足場の少ない所に設置されているので、何が起きたか分からないまま落下死コースになりがち。
    • ロケーションによっては床も梯子も暗くて見えない。文字通りの暗中模索。
    • そしてガンマ値補正のオプションはない
  • 敵にハメられる場面が多すぎる
    • 敵からの吹っ飛ばし攻撃が多く、しかも起き上がりのタイミングに周期を合わせて追撃してくるため、いわゆる「お手玉」状態になりやすい。
    • 特に魔導司の攻撃は、上空に大きく吹っ飛ばされる巨大竜巻で画面を占拠したり、ビームを発する物体を長時間居座らせたり、ダメージ判定を持つ障害物を置き去りにしたりと、移動を制限する嫌なものが多い。
      • こうした環境下で意図せず吹っ飛ばされ、飛ばされた先でも吹っ飛ばされ、更には魔導司の呼び出した従僕に吹っ飛ばされ、そのまま遥か下方の地面へと自由落下し死亡というシチュエーションがやたらとあり、ボスに挑んだはいいものの思った通りの操作をできている時間は半分もないという状況が度々ある。
    • 後半の魔導司はソロプレイではかなり無理があり、ボスエリアの半分を侵入不可にしながら突進してきたり、足元に入り込まない限りほぼ一発死の遠距離攻撃をバトル開始2秒で発射してきたりと非常に理不尽な攻撃を仕掛けてくる。
      • 対して主人公の動きはもったりとしており、ダメージを受けてはいちいち停止し、ジャンプしていれば撃ち落され、地面に打ち付けられれば緩慢にワンバウンドし、やっと起き上がった頃には次の攻撃が始まっていてもう一度殴られるという始末。
      • 敵AIも酷く、ローリングでギリギリ避けられる攻撃を間髪いれず連続で抽選することがあり、「このタイミングでその行動をされたら死ぬしかない」という運ゲーに陥ることもままある。
      • ガードで被ダメージ削減はできるがかなりスタミナを使うため、敵の攻撃ペースに到底間に合わない。
      • 「何をしてくるかはわかる」ことは評価点に書いた通りだが、結局わかったところでどうにもならないケースが増えてくる。
    • 最早ボスバトルなどという高尚なシロモノではなく洗濯機の中にでも放り込まれているようなもので、ストレスがかなり溜まりやすい。
    • マップにも問題がある事だがモンハンに寄せたせいで地続きではなく個別のマップ構成になったが2Dでは結局奥行きを表現しきれず結果的に左右にマップを広げた後は上か下にしか探索範囲を伸ばせない、そんな状態の中で敵に吹き飛ばしを与えたらどうなるかはバカでもわかると思うが、必然的に高所からの落下が目立つようになってしまった。 現在は最新のアプデで修正されたが発売から1年近くは落下で死んだ場合、落下先にソルトが落ちるという糞仕様だった。
  • ダメージを与えにくい敵が多すぎる
    • 序盤から雑魚敵のガード性能が高く、攻撃を防がれるシーンが多い。
    • むしろ防御に特化した雑魚敵がところどころに配置されており、真正面からでは100%ダメージを与えられず、攻撃の隙を突いてちまちま切りかかるしかない。
      • それだけなら少し厄介な程度だが、こうした敵は得てしてこちらの何倍ものリーチで吹っ飛ばし攻撃をしかけてくるうえ、中には超高速の追尾弾を大量に放ってくるタイプもいる。
    • 終盤になると飛行する敵も頻繁に登場する。絶妙にこちらからは届かないが向こうからは100%あたる位置に陣取り、主人公の左右を素早くうろうろしながらダメージを与えてくるので不快。
    • その他にもガード不能の突進攻撃、待ち伏せからのつかみ攻撃など、わかっていても対処しにくい攻撃が多く、しかもそういった敵たちが同時に出てくることが多い
      • 初めて踏み入れたマップは雑魚敵2匹に囲まれたら死を覚悟するレベル。
  • 説明不足が目立ち、システムが理解しにくい
    • ゲーム中で明示的に与えられる指示はほぼ「魔導司を倒せ」のみ。
      • 倒すことですぐに道が開けたり、NPCが逐一次の行先を示してくれることは少なく、マップ内を行きつ戻りつしながら開けられる扉を自力で探さないといけない。
      • その先でも能動的にマップ内の気になるところを調べないと討伐も別マップの開放もされないため、ボス戦を1つ終える度に「次は何をしたらいいの?」となりがち。
      • システムで示したような小目標や全体目標はゲーム中には示されず、プレイする中でそういう流れで進むゲームだと自力で気づくしかないため、そもそも何をするゲームなのかを理解するのに時間がかかる
      • 閉じられた扉を開けるイベントフラグとしての「魔導司の心臓」と、素材アイテムとしての「魔導司の心臓」があるのもわかりにくい。*2
    • ルーンスキル周りの基本的な説明がない。
      • スキルツリーを見てもグリフの習得でスキルが使えるとは書いていないし、「フォーカス」や「レイド」もそれ自体の説明は全く存在せず、アクセサリの効果説明などで突然「レイドが溜まりやすくなる」のように出てくるため理解しにくい。
      • 武器に設定されているルーンスキルについても、NPCは誰一人話題に出さず、武器の詳細説明をボタンでページ送りして初めて情報に触れられるため、最悪の場合攻略サイトを見るまでルーンスキルの存在自体に気が付かない
    • こうした面から、きちんと正しく育成できているのか、攻略できているのかの実感が湧きにくい。
  • スキルツリーが解りにくい
    • 整然としたリストタイプではなく中心から外側に向けて枝分かれした蜘蛛の巣状のスキルツリー構成だが、どの方向に何のスキルがあるのかパッと見わからない。
    • というのも武器種が19種とあまりに多く、軽装備・重装備、更にグリフ系も合わせると25本近い線が四方八方に伸びており、例えば「いい刀を作れそうだからスキルを伸ばそう」と思っても、まずは手当たり次第にカーソルをあててどのラインが刀なのかを当てる作業から始まってしまう。
    • 一応アイコン内に武器の絵が描かれてはいるのだが、例によって未習得スキルは異常に暗いので結局よくわからない。
  • キャラビルドの方針を途中で変えにくい
    • 上記の通り武器種がやたらと多い割に、一度習得したスキルの振り直しは5レベルアップごとに1つ貰えるアイテムでしか行えない。
    • すなわち「5スキルポイント中1ポイント」しか修正ができないということであり、これではステ振りの微修正やランクを上げ過ぎた分野の巻き戻しにしか使えず、異なる武器種への転業はほぼ不可能。
    • ポイント使用で逐一オートセーブされる都合上、気になる武器のお試しも易々とできないので、試行錯誤の面白味をかなり殺してしまっている。
  • マップデザインと追いかけっこが噛み合ってない
    • 魔導司に攻撃しては逃げられ追いついては逃げられ…といった要素自体は『モンハンシリーズ』でも見られることだが、本作はマップを行き来すること自体の難度が高い
    • 既に記した通り視認性が悪いため被弾が多く、マップの高低差が大きいため落下ダメージリスクも常にある。
      • 更に、魔導司の討伐を受領すると雑魚敵がランダムに増える仕様があるため、「逃げた敵を追う」というより「何度も高難度アクションステージを行き来させられる」といった方が近い。
    • 前作でも意地の悪いトラップや地形は多かったが、同じ道を2~3度通れば良いメトロイドヴァニアに対して、何十回と繰り返し往復せざるを得ない今作ではストレスを感じるシチュエーションが多い。
  • 敵の行動や配置のランダム性が高すぎる
    • 魔導司や霞焼けのポップ位置にはランダム要素が絡んでおり、とにかく邪魔なタイミングで邪魔な位置に現れることが多い。
    • 特に後半のステージはただでさえ小さな足場に敵が3匹以上密集していることが多く、その中に不確定要素が足されると難度が急上昇する。
    • こうしたマップではギリジャンや鉤縄移動の到達点に陣取られることも多く、100%叩き落される割になかなか退かないため、場合によっては普通に攻略不可能になる。
  • 近接武器を使うこと自体が縛りプレイ
    • 魔導司を中心に敵の行動に隙がなく、しかも主人公より数倍広いリーチで攻撃してくるため、近接武器のメリットがほとんどない。
    • 弓や手斧、ルーンスキルを始めとする遠距離攻撃は消費制だが、近接ではまずダメージをまともに与えられない以上それでゲームバランスが取られているわけでもなく、むしろ普段使いするほかない。
  • マップ内の行き来がしにくい
    • 「炎の石柱」と「オベリスク」はどちらもファストトラベルの出発点にはなるが、行先にできるのは「炎の石柱」の方だけ。
      • この炎の石柱が1マップあたり3個前後と少なく、マップ間の行き来が非常にしづらい。
      • メトロイドヴァニアと考えれば不自然でない量だが、魔導司を追いかけて頻繁に同じところを行ったり来たりする本作のゲーム性においては明らかに配置不足。
  • いちいち拠点に戻らないとレベルアップできない
    • 前作では道中のサンクチュアリ施設でできたレベルアップとスキル振りが、本作では拠点でしか行えない。
      • キャラ育成のためにいちいち探索を中断するのは面倒なうえ、拠点に戻ると受注中の魔導司討伐が強制キャンセルされ再度追いかけっこがやりなおしになる。
  • 拠点が広すぎて移動が面倒
    • 拠点では武器の作成・強化・買い物・レベルアップなどなど様々な準備を行えるが、各施設がやたらと離れており移動が手間。
      • 特に頻繁に利用するレベルアップと装備強化は鉤縄移動4回分離れており、いちいち適切なタイミングでボタンを押す作業を4度するか、あるいは高低差のある下道をとぼとぼ歩くかすることとなって煩わしい。
    • レベルアップ施設が最も高い位置に、各マップへと繋がるゲートが下層にあるので、ダンジョンを1度抜けてレベルを上げて再挑戦という、アクションRPGとして当たり前のプロセスすら面倒。
    • 一応ゲームが進むにつれ拠点内を高速で行き来する装置を利用できるようになるが、それなら最初から密集させてほしいところ。
  • タイトルのカーソルデフォルトが「新しく始める」
    • セーブデータの有無にかかわらずタイトル画面のカーソルの初期位置がニューゲームとなっている。
      • 誤って押すとすぐに名前入力ウインドウが表示されるうえ、そこでキャンセルしてもタイトルトップに戻らず「ゲームを開始するか名前を再入力するか」の選択状態になる。
      • そのためトップに戻ったつもりでもう一度決定キーを押そうものならまた名前入力ウインドウが表示され、こんなところでもストレスフル。
  • 補充アイテムが素材消費制
    • 「前作との主な相違点」として記載した通り、アイテムの補充に素材を消費するようになった。
      • 対象はライフやフォーカスの回復アイテムのほか、補充対象となっている投擲武器。
    • このシステムの影響で何度も死ぬうちにアイテムが枯渇し、探索続行が不能になるケースが発生するようになった。
    • 特に強ボスには10回20回と負けることもあり得るが、ようやく感覚が掴めてきたころに探索を中断して素材マラソンを強要されるのはかなり負担。
      • 前述の通り、拠点に戻ると魔導司の討伐は最初からやり直しになるため、モチベーションを奪われやすい。
    • なお、この問題点については2023年10月のアップデートで一部緩和され、回復アイテムについては素材が無くても「銀」の消費で補充されるようになった。*3
      • しかし投擲武器は依然、素材が無ければ作られないままである。
  • クリアすると強制的に2周目に突入する
    • ラスボスを撃破すると勝手にオートセーブされ、2周目が開始される。
      • クリアに無関係な魔導司討伐や武器育成といった、ハクスラとしてのやりこみ要素が全ておあずけになるのは相当マイナス。
      • 隠しマップや無料追加コンテンツの存在など、いわゆる「ラスボスは通過点」的なゲームデザインがされているのに全く嚙み合っていない。
    • 更に本作はラスボス撃破後の行動で分岐するマルチエンディングのため、普通ならラスボス前のセーブからやり直して両方見たいのが人情というもの。しかも各エンディングが実績にも関わっているのでかなり迷惑な仕様である。
      • セーブデータのバックアップをとっておけば回避できる問題だが、当然知らなければ対処もできない。

総評

視認性の悪いトラップや回避困難な攻撃といった理不尽な難度はまず前提。
操作性とロードだけは快適なので何度も挑むうちいつかは壁を乗り越えられるが、今度は仕様面で不親切さが際立ち、敵の攻撃や配置は異常性を増していく。

ただでさえ不便な探索と説明不足な育成要素にストレスを感じつつ、何もさせてもらえないまま蹂躙される。これではクソゲーと判断しても全くおかしくはない。
しかしそこに僅かな活路を見出した者は、お気に入りのカスタマイズで強者を蹴散らす喜びに気付き、あるいは重厚な世界観を愛し、気づけば何度も繰り返しプレイする程にハマってしまう。

大味ながらも名メトロイドヴァニアとして評価された実績をあえて切り捨て、新たな境地を目指した本作だったが、結果的には前作を超えるピーキーなゲームとして様々な評価を得るに至った。

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ARPG インディー
最終更新:2024年06月25日 13:35

*1 アップデートにより一部緩和。問題点にて記載する

*2 前者は名のある魔導司を倒すと必ず入手した扱いとなるが、アイテムとしてはカウントされず、あくまでフラグとして存在するいわば「ストーリー上の心臓」。後者は魔導司がランダムドロップする「アイテムしての心臓」で、これを集めても扉は開かない。

*3 銀が無い場合も補充される。つまり素材と銀を消費し尽くすまではそれらをコストとし、無くなったらノーコストという仕組みになった