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依頼内容は「具体的なゲームシステムの説明の追記」「賛否両論点の声優に関する記述の補強」です。


帰ってきた 名探偵ピカチュウ

【かえってきた めいたんていぴかちゅう】

ジャンル シネマティックアドベンチャー
対応機種 Nintendo Switch
発売元 ポケモン
販売元 任天堂
開発元 クリーチャーズ
発売日 2023年10月6日
定価 パッケージ版 6,578円(税込)
ダウンロード版 6,500円(税込)
判定 良作
ポイント 名探偵ピカチュウ完結編
3DS版プレイ前提の内容
ボリュームは3DS版より低下
ポケットモンスターシリーズ


ストーリー

人間とポケモンが共生する街「ライムシティ」。
ライムシティで名の知れた「探偵コンビ」のティムとピカチュウは、街で起こるさまざまな事件に挑みながら、
行方不明となっているティムの父親・ハリーを捜していた。
そんな最中に起こった「宝石盗難事件」。この事件をきっかけに、2人は大きな謎に迫っていくことになる。
なぜ、ハリーは姿を消したのか?
なぜ、ライムシティでポケモンによる事件が起こっているのか?
なぜ、ピカチュウはティムとだけ喋ることができるのか?
そして、ティムとピカチュウは、ハリーを見つけることができるのか。
物語の結末は、キミの目で確かめよう!

(公式HPより引用)


概要

  • 3DSで発売された『名探偵ピカチュウ』の続編及び完結作。
    基本的には3DS版の続きであるが、合間に上映された実写映画版についても少々触れている。

前作からの追加・変更点

  • ピカチュウとティムの声優が大川透氏と内田雄馬氏から山寺宏一氏と上村祐翔氏に変更されている。
  • ピカチュウ以外のポケモンとも捜査出来るようになった。
    • 今作はピカチュウを操作して他のポケモンと協力する形でダンジョンを攻略することができる。
    • 劇中で仲間になったポケモンにピカチュウが乗って、一緒に探検できて、よりポケモンと協力して攻略する楽しみがより一層深くなった。
    • このパートではポケモンたちと直接会話が可能となるため、必ず通訳を介していた前作と違い各ポケモンたちの口調や性格といった個性をより強く感じることができる。
    • 道中に『ゼルダの伝説』『メタルギア』を彷彿とさせる、見張りの隙をかい潜って潜入するパートも導入されている。この際、視点が俯瞰カメラになるため、より一層、それらしさが感じられるだろう。
  • ピカチュウヒントに加えて正解表示機能の追加
    • 推理パートや現場検証でどれが正解かを教えてくれるアシスト機能など、低学年の子供でも一人で先に進めるサポートする機能が実装されている。
      とにかく物語を優先して続きが知りたい…という目的のプレイヤーの助けになっている。
    • いきなり正解を知らずになるべく解き明かしたい…人向けにも前作のピカチュウヒントが続投されている。
  • つまみぐいモードの実装
    • プロローグクリア後に好きなエピソードを選んで遊んだり、クリア済のエピソードに戻ったり、まだ未プレイのエピソードを選択してプレイすることが出来る。
  • 日本語と英語の言語切替に対応した。
    • それぞれの声優の熱演を聴き比べる楽しみ方もできる。
    • 表示言語は10種類用意され、ひらがなモードや中国語の簡体字・繁体字にも対応している。
  • 倍速機能等の3DS版には無かったオプションも追加された。
    • 移動高速化や会話の早送り等、タイムパフォーマンスに考慮した快適性が加えられた。

評価点

  • ポケモンの設定や特徴を活かした演出は相変わらず
    • 特に原作履修済みのプレイヤーであれば、冒頭のとあるアイテムがどのようになるか予想出来た人もいたはず。
    • 協力ポケモンの操作パートではパワータイプのポケモンなら障害物を移動or破壊、レントラーなら透視能力で壁の向こうの様子を窺うなど、それぞれのポケモンの個性を活かしたロジックが用意されている。
  • 推理ノートを用いてロジックの組み立てによる推理が出来るようになった。
    • 前作では証拠を集めれば自動的にストーリーが進んでいたため、プレイヤーが推理する機会が生まれた。
  • シリーズ完結作としての伏線の回収
    • 前作では解明されなかったピカチュウの正体や主人公の父の行方などの謎がしっかりと決着する。
  • 本編クリアだけならすぐ進められるが、道中のサブイベントも複数種類用意され、ゲームとしての面白さも充実した。

賛否両論点

  • 声優の変更
    • 上記の通り、今作ではピカチュウとティムの声優がそれぞれ山寺宏一氏と上村祐翔氏に変更されているため、前作をプレイした直後だと声の違いに違和感を感じるかもしれない。
    • 山寺氏は前任の大川透氏とは異なる声だが、中年の渋いバリトンボイスは健在かつイメージを崩していない。
      上村氏もティムの成長も相まって違和感を感じさせず、声優変更による演技の不評の声は聞かない。
  • モブポケモンの増加
    • 3DS版に登場するポケモンは事件関係者や情報提供者、協力者が中心だったが、今作では事件と無関係なモブポケモンの数が増えており、画面がにぎやかになった。ポケモンとの共生を掲げているライムシティらしさがより増したといえる。サブイベントでは大抵、これらのポケモンと関わる事になる。
    • ただ、そういったモブポケモンにもいちいち紹介画面が挿入されるため、ややテンポに欠ける。ピカチュウサインにも対応していない個体がほとんどであるため、面白みにも欠けてしまっている。
  • QTEや選択問題の難易度は相変わらず易しい
    • 本作もボタン連打やタイミング通りのボタン入力が必要な場面があるが、相変わらず厳しくない。
      4択問題もイラストや理由の説明も含めた分かりやすい内容だが、間違えてもペナルティは前作同様緩い。
    • 最終盤の4択問題については事前の考察も無い突拍子もない内容で、探偵ゲームらしさに欠けている。

問題点

  • 重要場面で長くなるムービーシーン
    • 説明・解説の意味もあるが、重要部分が明らかになるシーンではムービーが多く、プレイヤーがほとんど介入出来ず、一部始終を呆然と観ていることしか出来ない。
  • ピカチュウサインの簡素化
    • 3DS版ではやりこみ要素としてピカチュウサインがあり、メインメニューから閲覧済みのサインを見る事ができたが、今作ではメニューの項目から廃止。これによりコンプリートする必要性が無くなってしまった。
    • また、3DS版では閲覧済みのサインだと「Bボタンでスキップ」の表示が出るため、未発見のサインとの区別が付きやすかったが、今作ではその表示も廃止されている。
  • テンポの悪化
    • ピカチュウが他のポケモンと協力して進める操作パートのテンポが悪くなった。
    • ヒヒダルマが障害物を壊す時の声が「うるさい」と不評。障害物を壊す場面も結構あるため気になりやすい。
  • ボリューム不足
    • 寄り道要素はいくつか追加されているものの、ゲーム自体のボリュームは全5章となっており、3DS版の全9章よりも少ない。実時間で数日以内のクリアも容易。
      アドベンチャーゲームの宿命ではあるものの、やり込み要素もほとんど無く、コンプリートも容易。登場人物も少なくなっている。
    • それぞれのサポート機能を活用し、クリア重視で進めると半日もしないでクリアも可能。
    • 各章に必ず協力ポケモンの操作パートが設けられているのだが、協力ポケモン無しのエピソードも実装していればボリュームを増す事ができたはずである。
  • 探索フィールドの狭さ
    • 前作でも同様の問題であるものの、3DSの容量の都合があったため考慮出来る部分もあったが、悪い意味で変わっていない。
  • CGクオリティが3DS版と大差無い。
    • 実写映画版のようなリアル志向でないものの、良くも悪くも3DS版と変わらず、画面も3DS版より視野が広くなった程度。
    • 3DS版では携帯機らしからぬクオリティと評することが出来たが、Switchのスペックで同等のクオリティは時代遅れ感が否めない。
  • ストーリーが前作経験前提の内容
    • 補足は入っており、本作だけでも楽しむことが出来るが、3DS版を一通り遊んだ前提の内容のため、未プレイ者は若干置いてけぼりになる。
    • 3DS・WiiUは2023年3月末にネットワークサービスが終了したことにより、本作発売時点でダウンロード版の新規入手はできず、パッケージ版も3DSソフト販売店では売り場縮小傾向のため今から3DSと前作を入手するのはハードルが高い。
      なお前作のSwitch移植作は存在しない。
  • amiibo非対応
    • 前作3DS版では使用するとピカチュウのリアクションが閲覧出来るモードが選べたが、本作ではamiiboに非対応。
    • 3DS版発売当時は特別なamiiboが発売されていただけに残念なところ。
  • 過去キャラとの扱いの差
    • 今作でも前作から一部続投されたり優遇されたキャラがいる一方で、冷遇された登場人物もいる。
    • 優遇されたのはティムの家族やブラッド警部。前者は写真のみの登場から同居することとなり準レギュラーに昇格。後者は誤認逮捕する嫌味な奴から出世した上に困った時に頼りに出来る仲間として扱いが良くなった。
      一方で拠点が変わった弊害で探偵事務所のマイク所長やアマンダは今作では一切出番が無い。
      また、前作では事実上のヒロインに相当するエミリアも、今作は1シーンの出番しかなく、ティムとの進展に肩透かしを食らうプレイヤーもいた。
+ 最終盤の展開
  • 黒幕やピカチュウの動向について、実写映画を見ていればある程度予想できる展開になっており、実写映画の二番煎じと感じる人も。
  • 黒幕についても序盤で正体が仄めかされてしまうため、探偵ゲームとしての意外性に乏しくなっている。

総評

プロジェクト発足から約10年の月日を経て成し遂げた完結作。
本作で一通りの物語を終わらせることができており、長年追いかけたシリーズファンを安堵させる結果となった。
一方で新規層には置いてけぼりな面もあり、実写映画で本作を知ったファンにも内容が分かりづらく、シリーズファン前提の内容のため、人によっては評価が分かれる面もある。


余談

  • 本作でピカチュウを演じた山寺宏一氏は、劇場版ポケットモンスターではナレーション兼ゲスト声優として常連である。
    • 劇場版のポケモンは2020年の23作目を最後に新作が途絶えたため、特別編やナレーターを除けば、久々のポケモン役としての出演である。
  • 本作発売前に実写映画化されているが、作中でも当時の主人公らの活躍が映画化されたらしく、それに関する会話がある。実写映画に因んだネタか、ティムの家族が「私達は登場しなかった」とボヤくシーンも。
    • 3DS版の発売から間が空いているため、チュートリアルで「前回の事件から時間が経っている」とピカチュウが指摘するメタネタも。
  • 実写映画の続編の制作が発表されたが、本作と連動するかどうかは現時点で詳細不明。
  • YouTubeで本編とは無関係なショートアニメーションが好評配信中。
  • パッケージの早期購入特典として、ポケモンカードゲームの「名探偵ピカチュウ」が付属していた。
    • 当時転売騒動で問題となり、購入後カードだけ抜いて本作の即売りが目立ったため、瞬く間に新品・中古ともに値下げの被害にあった。
  • 2025年に舞台であるライムシティを観光ガイドブック風に纏めた『名探偵ピカチュウ ライムシティガイド』が刊行された。
    • 架空の街であるライムシティを実在を仮定とした内容や様々な小ネタが充実しており、本作の世界観に没入するのに適した一冊となっている。
最終更新:2025年07月16日 00:30