高橋名人の冒険島III

【たかはしめいじんのぼうけんじますりー】

ジャンル アクション
対応機種 ファミリーコンピュータ
発売元 ハドソン
開発元 ナウプロダクション
発売日 1992年8月7日
定価 5,800円
プレイ人数 1人
判定 良作
ポイント 今回は1年で早速新登場
武器や恐竜たちも増えて順当進化
難点も克服してより初心者にもやさしく
高橋名人関連作品シリーズ


概要

ハドソンの高橋名人を主役に据えたアクションゲーム『高橋名人の冒険島』のシリーズ作品でファミコンナンバリングでは3作目(他にハード違いでSFCの『大冒険島』PCEの『新冒険島』がある)。
前作『II』は『I』から5年という長い年月を隔てての登場となったが、本作は前作からわずか1年少々の1992年8月に登場している。
ゲーム性そのものは基本的に前作を踏襲して、発展させた順当な進化形。


ストーリー

高橋名人の活躍でキュラ大王やベルゼバフは倒され平和を取り戻したアドベンチャーアイランド。名人とティナはアイランドの仲間たちと幸せな毎日を過ごしていた。
そんなある日、アイランドに目を付けた宇宙人のUFOが現れてティナを連れさらい、アイランドの仲間たちに超科学光線を浴びせて自由に操れるようにしてしまい、彼らは敵になってしまった。
卵の中にいたためその影響を受けなかった恐竜の仲間たちと一緒に、名人はアドベンチャーアイランドの平和を取り戻すためUFOを追いかけていくのだった。


内容

  • 根本的には前作のゲーム性を引き継いでいる。
    • 前作の恐竜キャラは続投で登場しており、特性も同じ。
    • 新しい仲間恐竜として「トリケ」が登場。
      • 対応したカードのマークは「星印」。
      • 攻撃はBボタンで回転し、それで体当りする。特殊能力は「砂漠ステージの流砂を沈まないで歩ける」。
  • 名人自身のアクションとして『大冒険島』から「伏せ」が取り入れられた。
    • ただし、その状態からジャンプしても大ジャンプにはならない点が異なる。
  • 前作や『大冒険島』では後ろへのスクロールもできたが、それができなくなり初代同様前方向に進むことしかできなくなった。
  • 新しいボーナスステージとして「サーフィン」が登場。
  • 全体マップの上にステージがあり、UFOに向かって進んでいくことになる。
    • UFOに追いつくとUFOは前作のように逃げていくが、その場にボスを置いていく。
      • ボス戦で負けたからと言って逃げていくことはないので、その前のステージをもう一度クリアして再戦できる。
      • ボスとのバトルでお助けの恐竜キャラがいる場合は乗ったまま戦うようになった(前作のゲームボーイ版では既にこの仕様に変更されている)。
    • 高橋名人は基本的に6ステージ進むとUFO(ボス)のもとに辿り着くのだがワープルートを通ると4.5ステージ(レギュラーと共通の1・2*1ステージの後ワープ専用のA・Bステージを介して6ステージへ)でボスのもとに行くことができる。
    • ワープルートは2ステージ目に隠されており、隠し部屋を経由して行くことができる。
      • 隠し部屋には様々なフルーツとアイテムがあり。中央に後述の新アイテム「ブルージュエル」(詳細は後述)が置いてある。
      • 部屋に入った時ブルージュエルのある場所から始まれば取ることができるが、外から始まった場合は壁に阻まれて取ることができない。
  • 新アイテムの追加。
    • 時計
      • 一定の間時間が止まる。その間敵は止まっており、触れてもミスにならない。踏んで足場にもできる。
    • ブルージュエル
      • ひし形の宝石でストックが可能。
      • ステージ開始前に選択することで装備でき、敵の攻撃を一度だけ防いでくれる。これにより恐竜にも保険をかけられる。
      • 上記の通り隠し部屋で入手できるが、それ以外にボーナスステージでパーフェクトを達成した場合にも1つ貰える。
  • 水中で名人単独では少々鈍くなった。
    • これにより「ノッシー」の存在価値が上がった。
  • 得点による1UPの他に取ったフルーツがカウントされており100個に達した時にも1UPする。
    • 肉やミルクといったバイタリティー全回復アイテムはフルーツ10個分としてカウントされる。
  • コンティニュー時にアイテムが持ち越されるのが標準仕様となった。
    • それに伴いアイテムの「ハチスケ」がオミット。
  • ステージクリア後のボーナスゲーム「CHOOSE AN EGG」はオミット。
  • アイテムをくれるグレートノッシーは卵3つの中から選ぶ形になった。
  • 前作FC版から取り入れられた特定のつまづき岩を壊して1UPが本作でも取り入れられている。
    • 特に本作では恐竜キャラのみならず、名人自身のブーメランでも岩が壊せるためよりその機会が多い。
  • 高橋名人自身の新武器「ブーメラン」。
    • 『大冒険島』に取り入れられていたものとは少し仕様が異なりスピードが遅く連射はできないが威力が高く、つまづき岩なども破壊できる。何故か石オノではビクともしないのに…
    • 上を押しながらで上に向かって投げることができるが、『大冒険島』のように下に向かって投げることはできない。
  • 前作ではアイテムストックは最大9個ずつまでしかできなかったが、最大99個ずつストックできるようになった。

評価点

  • 全般的に良質だったゲーム性が更に発展。
    • 新武器「ブーメラン」や新アイテムや新恐竜キャラ「トリケ」といった新しい要素はいずれも個性があり、既存のどれとも被らない。
    • また「ブルージュエル」は一度だけ被弾に耐えられるというありきたりな効果ではあるが、それにより被弾時の恐竜キャラを維持できるなど工夫により有効活用できる。
    • ブーメランも石オノとそれぞれ棲み分けができているだけでなく、前作のように名人の武器が石オノのみでは既に装備しているとフラワーになってしまい「ストックがしにくい」といった難点も緩和されている。
  • ステージ構成もバリエーションが増えてより多彩になった。
    • しかもワープを介して進むルートと二面性を持たせたことも、反復プレイの楽しみ拡大に繋げている。
  • コンティニュー時のアイテム持越しがデフォルトになった。
    • 前作もハチスケを取ればできたとはいえ、その発動方法がノーヒントで知らなければ意味のないアイテムだったことなど少々意地悪いところがあったが、それも解消。
    • 開始ポイントがステージの〇-1からになったことで、これを利用して反復したアイテムストックもできる。
  • フルーツに新たな価値を付加。
    • これまでは単に「バイタリティの回復」というだけで満タン時は半ばムダになっていた一面もあったが100個集めれば1UPになるという事で、どんな場合でも取って損のないものになった。
    • また1UPの機会が増えたことで、より初心者へのハードルを下げている。
    • 一応ハチスケのデフォルト化のおかげでゲームオーバーが恐くなくなったが、1ステージ目に戻されるとなると反復練習がしにくい難点もあるので、それが緩和されている。

賛否両論点

  • ボーナスステージ「サーフィン」はかなりの高難易度。
    • 波から波へ飛び移らなければならず、飛び移れば即後ろに向かってブレーキをかけなければ落ちてしまうなど、どのタイミングもかなりシビアすぎる。クリアすれば便利な「ブルージュエル」が貰えるのである意味仕方ないのかもしれないが。
      • 最初のステージから早くもこれが登場するので、反復して練習がしやすい。
    • またあくまでもボーナスステージであるためミスしても進行の弊害にはならないので致命的なことにはならないし、ちょっとのフルーツ回収程度ならさして苦もないので、これぐらい難しい方が上級者の手応えが持てるからいいとも取れる。

問題点

  • 仕様変更により恐竜キャラの重要度が「赤チラノ」に偏ったバランスになった。
    • それというのも、隠し部屋に入るには「赤チラノ」の能力「溶岩や毒沼に入れる」を必要とし、他の恐竜ではそれができないのだ。
    • 隠し部屋は「ブルージュエル」含めアイテムいっぱいで行くのと行かないのではその影響も小さくはない。
      • そのため、新キャラ「トリケ」含め他の恐竜キャラが相対的に価値が落ちている。
  • 上記の「赤チラノ」偏重を抜きにしても「トリケ」の技「回転体当り」が少々コツをつかまないと使いにくい。
    • これまでの恐竜キャラはいずれも飛び道具攻撃だったが「回転して回っている間に体当り」というのはタイミングを逸するとやられてしまったりと手軽さがない。トリケ自身の強みや個性はあっても、どちらかといえばある程度慣れた者や上級者向きな一面がある。
      • 特に名人自身の武器も含め飛び道具が使えないのが不便に感じられお荷物に思えてしまう一面もある。飛び道具系は名人自身も含めて隠れタンマゴを探る役割もあるため、それができないので初心者には扱いにくいキャラになっている。
    • 回転中は無敵になるというわけではなく、回転の終わり際には隙が生じるので乱用は禁物。
      • 特にボス戦との相性が悪い。前作のように無敵化して個別行動してくれれば有利だったのだが。
  • やっぱり内容はボリューミーなのでバッテリーバックアップは欲しかったところ。
    • 前作を思えば難易度も多少落ちてクリアーしやすくなり、ボス戦負けの追跡もなくなったので、プレイ時間も短縮されたとはいえやっぱりボリュームはかなりのものだけに中断なしのブッ通しでないとクリアーできない仕様は少々不親切。

総評

個性豊かなキャラが増え新しいアクションも導入し、ステージはよりバリエーションに富んでおりアクションゲームとしての質の高さはほとんど文句のつけようがないほど。
また初心者に対するハードルの低さも変わらず、進化が災いして複雑すぎになるようなこともなく前作を飛ばして本作から入っても馴染めるバランスが維持されている点も良い。
前作は前々作の数々の難点を見事に克服し、それを抜きにしても充分すぎる進化を遂げ文句なしに良質なものとなったが、それに更に磨きがかかった。


その後の展開

  • 前作同様翌年にゲームボーイでアレンジ移植版が発売された。
    • これも前作同様、オリジナル版から難易度が緩和されより遊びやすくなった(詳細は後述)。
  • ゲームボーイアドバンスのベストコレクションの第6弾『冒険島コレクション』(2006年1月19日発売)は本作を含めたファミコン発売の4作品全部が収録されている。

余談

  • グレートノッシーのプロフィールで体重が1992kgとなっているが、これは発売年の1992年に由来している。
    • 後述のGB版は1993年なので、ここもしれっと1993kgになっているかと思いきや1992kgのまま。
    • ちなみに前作では元のノッシーのように腹這いのポーズだったが、本作では人間のように座り込んで腕(前足)を組んだグラフィックに変わっている。

高橋名人の冒険島III(GB)

【たかはしめいじんのぼうけんじますりー】

ジャンル アクション
対応機種 ゲームボーイ
発売元 ハドソン
開発元 ナウプロダクション
発売日 1993年2月26日
定価 3,800円
書換 ニンテンドウパワー
2000年6月1日/1000円 F×2・B×0
プレイ人数 1人
判定 良作
ポイント GBになっても劣化感は少なく初心者にやさしいのは前作以上
パスワードコンティニュー初搭載
高橋名人関連作品シリーズ

概要(GB)

1993年2月に発売された上記作品のゲームボーイへのアレンジ移植版。
前作同様オリジナル版の翌年初頭に発売され、根本的なゲーム性はそのままだが、若干アレンジがあり同時に難易度が少し下がったものになっているのも同じ。

本項目ではオリジナル版との相違点のみに絞って記述するものとする。


変更点(GB)

  • 根本的なゲーム内容な上記の通りで、それをそのまま引き継いでいる。
  • マップ面はスゴロクのような形にモデルチェンジし、クリア済のステージはいつでも好きなだけやり直せる。
    • 上記の通りワープルートを使ったものと、正規ルートがあるが、その両方を同時に進めることもできる。
    • オリジナル版ではゲームオーバーでコンティニューしなければ後戻りできなかったが何度でもチャレンジできる。もちろんアイテムもモリモリストックできる。
    • ステージをクリアー(ボスを撃破)すると同時に、その対象のエリアは正規ルート、ワープルート、どちらから来たとしてもその両方の全ステージを自由にプレイできるようになる。
  • パスワード(数字4つのみ)によるコンティニューを採用。
    • ゲームオーバー時に発行される。
    • この方法でコンティニューするとアイテムのストックは8種類すべて1つずつ持った状態で始まる。
    • それまでにガッポリ溜めていた人からすればガッカリかも知れないが、上記の後戻りして何度でもクリアできる仕様でストックしまくれば問題ない。
  • 前作のゲームボーイ版同様、全体的に難易度は下がっている。
    • 名人のジャンプ力がオリジナル版より高いのも前作同様。
    • 敵の数も若干少なくなっている。
    • 加えて上述の通りアイテムストックのしやすさも含めて初心者にだいぶ優しいシステムになっている。
  • 隠し部屋の構造が変わっており、左から右へ一直線に進むようになった。
    • 出口が2段構造になり、上がワープルート、下が元に戻る出口になった。
    • 部屋に置かれたアイテムの数もグンと増えている。
    • 「ブルージュエル」はスタート地点の下段に配置されており、下からスタートすれば入手でき、上からのスタートとなった場合、壁で閉ざされて取ることができない。
  • 前作同様モノクロ表示の都合上「赤チラノ」が「黒チラノ」に、「青チラノ」が「白チラノ」に名前が変わっている。

評価点(GB)

  • 前作同様、ゲームボーイになってもアクションの劣化はないに等しいほどで操作に関しては至ってスムーズ。
    • 移植作にありがちな「動きが鈍くなったりするアクション性の劣化」というものが微塵も感じられず、ゲームボーイ作品のアクションゲームでは文句なしのクオリティを誇っている。
  • より初心者にやさしくなったシステム。
    • ゲームオーバーや意図的な自殺などをしなくてもクリア済ステージを何度もプレイでき、それによるアイテム回収も可能になるなど、より一層救済要素が増している。
      • またワープルートで入手できるアイテムも数がグンと増えて、上記反復プレイをすれば充分すぎるストックが可能。
    • クリアーすれば正規ルート、ワープルートを問わずいつでもプレイできたり、その両方を同時に進行できるなど自由度も高い。
  • パスワードにより中断が可能となった。
    • 元々相当なボリュームなので、これができるようになっただけでも非常にありがたい機能である。
    • しかも数字のみの4字だけというのも、わざわざ紙にメモしなくても頭で記憶できるほどで持ち運んでお手軽にプレイするゲームボーイとも相性が良い。
    • アイテムこそ保存されず、すべて1つずつでスタートという均一条件ながら上記の通り前ステージに戻って回収可能なので、そこまで苦にならない。
  • 前作ではBGMのみ劣化印象が強かったが、本作ではその劣化度合いも抑えられている。
    • ゲームボーイで出す以上多少の劣化は避けられないところではあるが、前作ほどピコピコな音ではない。

問題点(GB)

  • 「バッテリーバックアップ」を除いてオリジナル版がほぼそのままでゲームボーイ版ならではの点は特にない。

総評(GB)

ゲームボーイへの移植ながら前作同様にオリジナル版を多少簡略化しつつも、本作ではBGMまで再現度が高く非常に秀逸な形で移植できている。もちろんそれを抜きにしてもゲームボーイのアクションゲームとしては文句なしの高品質。
また前作同様難易度を落としたイージータイプとして独自の位置付けになっているだけでなく、マップ面の変更により好きなステージをとことんプレイしたりもできるようになるなどプレイの自由度が大幅にアップ。
さらにパスワード制ながら扱いやすいコンティニューを採用したことで、アクションゲーム初心者にはむしろ前作よりもオススメできるほどのシステムに生まれ変わっている。


その後の展開(GB)

  • 1994年6月24日にファミコンに於けるシリーズ最終作『高橋名人の冒険島IV』を発売。
    • この作品はシリーズとしてのみならずファミコンの公式なソフトとしても最後の作品となった。
    • 本作は前作をベースにグレードアップした形だが、この作品ではシステムもだいぶ様変わりしている。
  • 海外では前作が『Adventure Islands』というタイトルで初作として発売されたため本作は『Adventure Islands II』とナンバリングが詰められている。

余談(GB)

  • 本シリーズはスーパーファミコン、ゲームボーイで2作品ずつ発売されているが「ニンテンドウパワー」の対象ソフトとして名を連ねたのは本作のみである。
    • 「ニンテンドウパワー」とはコンビニエンスストア「ローソン」の「ロッピー」に搭載されていたゲームソフト書換サービスでスーパーファミコン(1997年9月開始)、ゲームボーイ(2000年3月開始)を対象に行われた。
      • ローソンでの対応は2002年8月で終了し、その後は任天堂サービスセンターに移行して2007年2月まで行われた。
      • なお、書換えには専用のフラッシュメモリ式カートリッジを購入しなければならず購入時は空状態で*2、書換え料金は別に必要と割高だったこともあってか普及はしなかった。
  • パスワード入力画面は2種類からランダムで選ばれる仕様で、それぞれでパスワードの成否によるリアクションが用意されている。
    • 名人が崖の先端にあるタマゴを取りに行くパターン:不正解だと手前のつまづき岩で転びタマゴを落としてしまう。正解だとつまづき岩をかわし回収成功。
    • 名人が2つのタマゴからどちらかを選択するパターン:不正解だと割ったタマゴから悪魔ナスビが現れる。正解だとハニーが現れる。
最終更新:2024年07月10日 20:37

*1 ステージ2は途中までなので半分程度あるかないかといったところ。

*2 一部限定でプリライトされたものもあった。