高橋名人の新冒険島
【たかはしめいじんのしんぼうけんじま】
ジャンル
|
横スクロールアクション
|

|
対応機種
|
PCエンジン
|
メディア
|
4MbitHuカード
|
発売元
|
ハドソン
|
開発元
|
ナウプロダクション
|
発売日
|
1992年6月26日
|
価格
|
6,500円
|
プレイ人数
|
1人
|
配信
|
バーチャルコンソール 【Wii】2007年4月3日/617Wiiポイント(税8%込/2019年1月31日配信終了) 【WiiU】2014年1月29日/628円(税10%込) PCエンジンアーカイブス 【PSP/PS3/PSV】2009年7月15日/628円(税10%込)
|
判定
|
良作
|
ポイント
|
『高橋名人の冒険島』シリーズの通算4作目 初代からの遺伝子を多く受け継いだ正統進化 上質なゲームバランスで遊びやすい
|
ワンダーボーイ/モンスターワールドシリーズリンク
|
高橋名人関連作品シリーズ
|
概要
『高橋名人の冒険島』シリーズの通算4作目にあたるソフトで、唯一のPCエンジンソフトでもある。ジャンルは通例通り横スクロールアクションゲーム。
新作でありながら初代に原点回帰した作風であり、新操作や新システムが導入されている他のシリーズと比べてシンプルな内容となっている。
結婚式の最中、ポヤンスキー伯爵の策略によってさらわれたティナと6人の子供達を救うため、高橋名人が7つの島を舞台に冒険するというストーリー設定。
ゲームルール
-
操作体系
-
十字キー及び攻撃ボタンとジャンプボタンで高橋名人を操作する。
-
十字キー左右で左右移動。攻撃ボタン押しっぱなしにしながらだとダッシュ移動。本作ではしゃがみ動作は存在せず、常時立ち状態での移動となる。
-
何かの武器アイテムを取得している状態で攻撃ボタンを押すと、対応した武器で名人の前方に攻撃する。ジャンプ中の攻撃は可能だが、前方以外の攻撃は不可。
-
ジャンプボタンでジャンプを行う。ジャンプ力の調整は可能だが、ジャンプ中の移動制御は利きにくい。
-
スケボー状態では強制前方移動となり、十字キー左で移動速度の減速が行えるが移動そのものの停止は行えない。
-
スケボーに乗ったままゴールすると、5000点のボーナスが加算される。
-
バイタリティゲージについて
-
名人には「バイタリティゲージ」が設定されており、時間経過や一部の敵に触れると減少する。
-
ゲージを回復するには頻繁に出現するフルーツなどのアイテムを定期的に回収しなければならない。回収できないままにゲージが尽きるとミス。
-
エリアをクリアすると、残りのバイタリティゲージがスコアボーナスとして加算。次のエリアではゲージが最大まで回復した状態でのスタートとなる。
-
アイテムについて
-
本作には以下のアイテムが存在し、名人に様々な効果をもたらしてくれる。
-
アイテムは主に「そのまま放置されている」「時折出現する卵を体当たりや攻撃で割る」といった出現方法がある。
+
|
アイテム一覧
|
武器アイテム
|
オノ
|
そのまま放置もしくは卵から出現。射程距離は短いものの連射が効く。
|
ヤリ
|
そのまま放置。オノよりも射程距離は長いものの連射力は劣る。
|
ブーメラン
|
そのまま放置。攻撃後に名人側へと戻る性質あり。オノやヤリでは効かない敵や罠が倒せるが、二連射しかできない。
|
マジカルファイア
|
隠し卵から出現。オノの強化版に相当する武器。オノやヤリでは効かない敵や罠を一撃で倒せるが、二連射しかできない。
|
バイタリティゲージ回復アイテム (回復に加えアイテムに応じたスコアも入る)
|
フルーツ
|
そのまま放置。バイテリティゲージを少回復。複数種類あり。
|
スイカ
|
同じフルーツを5回連続で獲得すると出現。バイタリティゲージ全回復。
|
ミルク
|
卵から出現。バイタリティゲージ全回復。
|
プリンパフェ
|
隠し卵から出現。バイタリティゲージの上限を増やし、さらには全回復もする。ゲージの上限増加は次エリアにおいてリセットされる。
|
スコア・1UPアイテム
|
フラー
|
卵から出現。そのエリア限定で、フラー獲得後におけるフルーツの入手スコアが倍増する。
|
ジュエル
|
隠し卵から出現。スコアボーナスの効果。
|
パッド
|
とある敵を倒すと出現。スコアボーナスの効果。
|
1UP
|
隠し卵から出現。1UPの効果。なお、このアイテムとは別でスコアエクステンドによる1UPも発生する。
|
コントローラー
|
PCエンジンのコントローラー。理屈はFC「1」と同じで、赤い花を通過すると後ろから走ってくるコヨーテを、自分より右にいる時(つまり1度かわして背後から攻撃)に倒すと、前方に出現、取得すれば2000点入る。
|
一時効果アイテム (残したままクリアすると消滅と共にスコアボーナス)
|
スケボー
|
卵から出現。取得後は強制スクロールとなり停止が効かない。敵などに触れるとスケボー消滅の代わりにミスは免れる。
|
ハニー
|
卵を割った時点で効力発揮。一定時間、無敵となり敵や罠を体当たりで倒せる。
|
ナスビ
|
卵を割った時点で効力発揮。一定時間、バイタリティゲージの時間消費量が倍増してしまう。
|
|
-
エリアクリアとミス条件について
-
全7ステージ・25エリア構成。ステージ1~6は4つのエリアに分けられており、それぞれにクリア条件が異なる。ステージ7のエリアは1つだけとなる。
-
エリア1~3は奥にあるゴールフラッグまで到達すればクリア。エリア4及びステージ7のエリアは奥にいるボスを倒せばクリアとなる。
-
各エリアは右側への一方通行であり、大回りな後退は許されない。そのため、一度画面から逃したアイテムはミス後の復活でもない限りは取り返せなくなる。
-
ボスはラスボスを除けば頭上が弱点となっており、名人よりも巨体であるためジャンプしながらの攻撃でないと倒す事ができない。
-
初期3つの残機制を採用しており、名人が「敵やその攻撃及び罠に触れる」「落とし穴に落ちる」「バイタリティゲージが尽きる(上記)」のいずれかでミス。
-
エリア1~3の中間地点にはチェックフラッグがあり、中間地点後にミスをしてもここからの再開となる。中間地点以前でのミスはエリア最初からのやり直し。
-
ミス後の復活時ではそれまでに獲得したアイテムの効果が失われる。武器も例外ではなく、武器アイテムを獲得するまでの間は攻撃手段がない。
-
コンティニューは無制限に可能で、残機消滅によるゲームオーバーとなったエリアからの再開となる。また、裏技によるエリアセレクトも行える。
評価点
-
シリーズ屈指のゲームバランスの良さ
-
歴代の『高橋名人の冒険島』シリーズの中でも、本作のゲームバランスは非常に良い部類に入る。
-
初代の遺伝子を大きく受け継いだ作品でありながら、難易度は常識的な範囲に控えられている。初心者でも少しやり込めば、1時間以内のクリアもそう難しくはない。
-
敵や落とし穴などの配置が絶妙で、回避不能な罠や運が絡む要因はない。ナウプロダクション開発のアクションゲームだけあって、操作性も極めて良好。
-
初代では1エリアにつき4つのシーンで構成されていたが、本作は2シーン相当にシェイプアップされた。これによりミスしてもやり直しの負担が少なくなった。
-
一方で初代の遺伝子であるミスのしやすさといった部分も残っており、決してぬるい難易度という訳でもない。
-
「しゃがみや多方向への攻撃ができない」「ほとんどの場面で一撃ミス」「急がないとバイタリティゲージ枯渇によるミス」といったシビアさは本作でも健在。
-
スケボーに乗った後の強制スクロールもそのままの仕様で残されている。ただし、初代に比べると敵などの配置が抑えられている分、扱いやすくはなっている。
-
ミス後の復活後は武器がなくなってしまうのも厳しいが、敵などを回避できる余裕は十分にある。武器アイテム獲得までの道のりもさほど長くはない。
-
初代に比べると1UPする機会が大幅に増えた。さらにはデフォルトでのコンティニューや裏技によるステージセレクトも可能になった。
-
ゲームとしてのバリエーションの多彩化
-
初代に比べると本作におけるゲームとしてのバリエーションは大幅に増している。
-
初代にはなかった「火山」「雪原」「砂漠」などの舞台も用意され、より賑やかな冒険劇が楽しめる。敵の種類も増加し、初代に比べると顔ぶれが華やかになった。
-
武器の種類も倍増しており、初代よりも攻撃バリエーションが増した。使い勝手は多々異なるが、極端なはずれ武器はないので好きなものを使っていけばいい。
-
なお、本作は「初代遺伝子の強い続編としてのバリエーションの多彩化」であり、他のシリーズにおいても多彩化が進んでいる点は考慮すべきである。
-
グラフィック・BGM周りも正統進化
-
Huカード円熟期のPCEソフトだけあって、グラフィックやBGMのクオリティは格段に高くなっている。
-
色使いがカラフルで美しく、それでいて画面がごじゃごじゃしている見辛さはほとんど感じない。名人を筆頭としたキャラの書き込みも非常に上質。
-
BGMの曲数も初代に比べると大幅に増し、申し分ないほどの良曲揃いとなっている。サウンドテストができないのが残念なところ。
-
ステージ1~5のいずれかをクリアするたびに、専用コスプレとBGMによる名人によるダンスがみられるショータイム演出あり。
-
演出そのものは短いものの、シリーズの中でも本作ならではの特典といえるだろう。なお、ステージ6クリア後は最終決戦前という事情なのか演出は発生しない。
問題点
-
プレイボリュームの縮小化
-
初代は8ステージ・32エリア構成だったのに対し、本作では7ステージ・25エリア構成と一回り縮小化している。
-
実際、難易度によるプレイ時間の差異を抜きにしても、オールクリアまでの道のりは初代に比べると短縮傾向にある。また、初代同様に難易度選択も行えない。
-
とはいえ、初代よりも敵などの使い回しは大分減らされており、露骨な時間稼ぎがなくなってさっぱりとクリアできるともとれる。
-
微妙なボス戦の数々
-
初代の遺伝子を多く受け継いだ作品であるためか、ボス戦に関しては初代同様の焼き直し感が強い。
-
ステージ1~6のボスの攻撃方法こそ異なるものの、弱点はすべて同じ。登場時から弱点むき出しになっているため、ジャンプ攻撃連打でいきなりの大ダメージをあたえられる。
-
さすがにラスボスは他のボスとは全くの別物だが、弱点むき出しな上に他ボスよりも攻撃が当てやすい。
-
ラスボスは第二形態まで存在するが、そのどちらも密着して攻撃連打をすればほとんど相手の攻撃がないまま倒せる。明らかに前ステージのボスの方がしぶとくて強い。
-
微妙ではあるものの、ボスの耐久度・攻撃パターン・グラフィックはすべて差別化されている。どのボスも先行攻撃を封じて正攻法で戦えばそれなりに強い。
-
武器の配置
-
武器の種類が増えたのはいいが、焚火や石のすぐ上、穴を渡るためにジャンプ台で大ジャンプした上など、まるで強制的に取らせようとしているかのように、嫌な位置に置かれていることがある。特に白いブーメランは背景と同化して見えづらいことがあるため、余計にいやらしい。別に取りたくもない武器を取らされやすく、武器なのに罠のようにも思えてしまう。
総評
初代『高橋名人の冒険島』の正統進化といえる続編である一方で、ゲームバランスの大幅改善がなされたシリーズ良作としての顔を持つ一作。
新システムや変更点は他のシリーズよりも控えめなため地味さは拭えないが、遊びやすさという意味ではシリーズ最高傑作との声も多く聞かれる。
配信・復刻版
-
本作は配信や復刻がされる機会が非常に多く、現物が入手困難な現在でもプレイできる機会は多い。
-
Wii版及びWiiU版のバーチャルコンソールやPCエンジンアーカイブスにおける配信の他にも、i-revoやG-clusterなどでも配信されている。
-
2020年3月19日に発売された『PCエンジン mini』においても、本作の海外版タイトルである『New Adventure Island』が収録されている。
その後の展開
-
本作発売後間もない8月に『高橋名人の冒険島III』がファミコンで発売。翌年2月にはゲームボーイ版が追って発売。
-
内容はともにその前作『高橋名人の冒険島II』(FC版1991年4月発売・GB版1992年2月発売)を引き継いだ発展形となっている。
余談
-
概要の通り本作はシリーズ作品で唯一PCエンジンソフトとなった。
-
高橋名人は『全国キャラバン』を通して「ファミコン名人」の草分け的存在となりファミコンブーム全盛期ということも手伝って瞬く間にスター的存在となったが1987年10月のPCエンジン発売にあたりその広報担当に就任した都合上、8月一杯でファミコンを離れることとなった。同時に以後はキャラバンもPCエンジンソフトを用いたものにシフトチェンジすることとなる。
-
だがPCエンジンではキャラバン用のシューティングに力を入れていたものの、本シリーズの作品は発売されずアニメの逆輸入作品『高橋名人のBugってハニー』の次は1991年4月、4年越しにファミコンで『高橋名人の冒険島II』、本作の半年ほど前にはその後継機スーパーファミコンで『高橋名人の大冒険島』を発売することとなる。
-
当時高橋名人本人はまだPCエンジン広報担当の立ち位置は変わっておらず、キャラバン自体も人気イベントとして存続していた中、その高橋名人のゲームは任天堂ハード主体でリリースするというちょっといびつな展開をしている。
-
後の2004年に『新高橋名人の冒険島』という非常に紛らわしい名前のゲームが携帯アプリで配信されたが、これは『ビックリマンワールド』のガワ替えであるため全然別物。
-
ビックリマンのキャラが権利関係の問題で使えなかったため、ハドソンとして扱いやすい高橋名人が選ばれたのだが、何故こんな紛らわしい名前にしたのか…
最終更新:2024年06月09日 20:52