反省ザルジローくんの大冒険
【はんせいざるじろーくんのだいぼうけん】
| ジャンル | アクション |  
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| 対応機種 | スーパーファミコン | 
| 発売・開発元 | ナツメ | 
| 発売日 | 1991年12月27日 | 
| 定価 | 7,700円 | 
| 判定 | 良作 | 
| ポイント | 次郎君唯一のゲーム化作品 お手軽で遊びごたえのある内容
 キャラクター要素は薄め
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概要
当時テレビ番組『笑っていいとも!』などに出演し「反省」の芸で有名だった猿、「次郎」を主人公にしたゲーム。
おそらく、現代でもほとんど類例のない「タレント動物」が主役のゲームである。ただし、内容的にはナツメがGBで発売した『ラッキーモンキー』の移植版に近く、キャラ要素は説明書の表紙に次郎君の写真が載っている程度である。
システム
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ある日ピクニックにでかけたジローが突然魔女サマンサに捕まってしまい、お弁当のフルーツたちが怪物化して襲いかかってきたので、謎の喋る玉を相棒にしてサマンサの元から脱出を図る……というストーリーが
説明書で3ページに渡って記載されている
が、結局ゲーム内で触れられることは一切ないので特に気にする必要はない。敵キャラがフルーツと魔女で、武器がボールであることの理由付けになっている程度である。
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システム的にはステージクリア型のアクションゲーム。アクションはジャンプとボール射出/破裂の2つだけと至ってシンプル。
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ジローくんを操作してステージ内をうろつく敵に対処しながら、ちらばった鍵を規定数集めて扉に入るとステージクリア。敵に当たると一発アウトで残機を失うが、その場復活できる。
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制限時間はないが、一つのステージに時間がかかりすぎるとサマンサの手下のカラスが現れて執拗に追いかけ回してくる。
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6つの塔にそれぞれ10ステージがあり、全60ステージ。各塔のラストステージはボス戦で、全ての塔をクリアするとボスラッシュ+サマンサ戦が待ち受けている。
 
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セーブ機能はないが、塔をクリアすると数字3桁のパスワードが発行されるため、これを入力して再開できる。
 
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ジローくん唯一の攻撃手段は「ボール」。ボタンを押すと頭の上に投げ上げる。この時点では何の攻撃力もないが、アイテムに当てて回収することができる。
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ボールはジローくんの頭の上で跳ねさせると次第に大きくなっていく(最大4段階)。もう一度ボタンを押すと、現在のランクに応じたアタックボールがボールから飛び出し、敵を攻撃できる。
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1段階目…野球ボール。野球ボールを一発落とす。攻撃判定は最弱で、敵に一回当たるだけで消滅するが、「最速で繰り出せる」という長所があるため、ボス戦などでは重宝する。
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2段階目…サッカーボール。残像を描くサッカーボールを落とす。貫通性能があり、敵を貫通して攻撃できる。
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3段階目…バレーボール。敵に当たるとその場で旋回しながら四方に飛び散るバレーボールを落とす。上方向に攻撃判定がある貴重な攻撃となっている。
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4段階目…バスケットボール。5つの大きなバスケットボールを落とす。極めて広範囲に攻撃できる。
 
 
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他、ステージ内にはスコアアイテムのメダルやライフアップアイテム、ジローくんに様々な恩恵を与える「帽子」や多様なギミックも用意されている。
評価点
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ステージ攻略における自由度が極めて高く、割と「なんでもあり」。アクションそのもののパターンはさほど多くないにもかかわらず、これだけなんでもできるアクションゲームもそうそうないと言えるレベル。
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まず、「鍵」システムの融通のきき具合が素晴らしく、大抵のステージではクリアに必要な規定数よりも多くの鍵が用意されている上、
次のステージに持ち越し可能
。そのため、頑張ってたくさんの鍵を集めることで、次のステージを楽に進めることが可能。逆に、難しそうなステージは最低限の鍵を集めて早々に抜けてしまってもいい。
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帽子やギミックは多数用意されているが、「これがないとクリアできない」というような「使わされている」感はほぼなく、「あると便利」程度に留められている。基本的には想定されたクリアルート自体はあるが、従わなくても十分クリア可能。
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「敵が操作しているダメージギミックを逆に乗っ取って敵を倒すのに利用できる」というシステムもありそうで意外とあまり見ないユニークさがある。
 
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「敵が鍵を持ってやってきてくることがあり、それを倒して鍵を奪取」「ボールをあえて落として取れない位置のアイテム回収」など、やろうと思えば色々とできてしまう。「このアクションで突破できないかな?」と色々と探索する楽しみがある。
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隠しステージの扉などが隠れているステージもあり、探索しがいがある。
 
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これだけ自由度が高いにもかかわらず、難易度的には破綻しておらず、「比較的簡単ではあるが、そこそこやりごたえがある」程度のバランスでしっかり調整されている。
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全体的に敵の配置や通路の狭さはいやらしく、決してヌルゲーではない。ボール攻撃はあまり即応性が高くないため、しっかりと敵の動きを読み切る必要がある。
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敵であるフルーツはそれぞれの種類ごとにしっかりと異なる行動パターンを備えており、その特性を読み切った対処も必要になってくる。
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ボスは全体的に手強い。行動パターン自体はシンプルながら、絶妙に攻撃を当てづらいムーブをするボスが多く、緊張感がある。最後のボスラッシュ及びラスボスのサマンサはかなりの難敵。
 
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クリアするだけなら極端に難しくはないが、スコアアタックを目指すと「敵の同時撃破で高得点」「残り残機によるボーナス点」などのフューチャーもあり、やりこめばやりこむほどスコアが伸びやすい。スコア記録機能がないのが残念なところ。
 
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唯一の攻撃手段であるボール攻撃が、絶妙に不自由だがストレスを感じにくい調整になっている。
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「ボールをうまく弾かないと攻撃が強力にならない」「4段階の全てのランクにそれぞれ異なる使い道がある」「ボールを割る際にも隙ができる」など、使い分けや戦略性に上手に寄与しているシステムになっている。
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バレーボールやバスケットボールは苦労に見合う強力な攻撃となっており、これで一気に敵を倒すと爽快感抜群でスコアも高い。野球ボールにもこれはこれで使い道はあり、単なるハズレ攻撃になっていない。
 
 
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1つ目の塔がチュートリアルを兼ねており、背景の文章に従って進めていけば、自然とシステムに慣れることができるようになっている。
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BGMやビジュアルもポップでファンシーであり、可愛らしさと軽快さがしっかりと感じられるクオリティが高いもの。
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敵のデザインがコミカルで可愛らしく、動きも凝っていて見ていて飽きない。
 
賛否両論点
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ジローくんの動きにクセがあり、操作性が良い方ではない。
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特に、ジャンプの動きがゆっくりしている割に当たり判定が大きい為、地面を転がってくる敵を回避するのが難しい。
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前述のようにボールの制御も慣れないと難しい。頭の上で弾くと予想外の方向に飛んでいくこともしばしばある。
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ただ、このあたりは最初から「そういうゲームバランス」として割り切って設計されているのはわかるため、受け入れられるかどうかだろう。
 
 
問題点
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ボスの被弾モーションが控えめで、ダメージが通っているかどうかがわかりづらい。
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キャラゲー要素は薄め。
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元々次郎くんと関係ないゲームの移植であることからも分かる通り、ゲームシステムにもシナリオにもジローくんの個性は全くと言っていいほど反映されていない。精々被弾モーションがあの有名な「反省」ポーズであることぐらいである。
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「魔女がフルーツを怪物化させて襲いかかってくる」という世界観も謎である。
 
 
総評
ただでさえ微妙な目で見られがちなタレントゲーム、しかも唯一無二だろう「タレント猿ゲーム」と来れば敬遠されがちだが、本作は個性あるアクションを採用しつつ、練られたステージ構成による「緊張感」と割とどんなやり方でも攻略できてしまう「ユルさ」が奇妙なバランスで同居した稀有なゲームとなっている。
知名度はあまり高くないが、プレイした人からの評価は総じて高く、SFCの隠れた名作と言える。
海外版
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海外ではジローくんの要素を抹消され、『Spanky's Quest』というタイトルで発売されている。ただ、以下のように劣化点が多く残念な移植となってしまっている。
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被弾時の「反省」ポーズがなくなっている。当然といえば当然だが。ただ、これ以外に目立ったグラフィックの差し替えは行われていない。
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オープニングが追加されたが、字幕などは一切なくストーリーのわかりづらさは相変わらず。また、地味に長い割に飛ばせないのでテンポが悪い。
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1つ目の塔が存在ごと抹消された
。背景の日本語チュートリアルがマズかったのかもしれないが、それでも背景差し替えなどで対応するべきだったろう。
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この影響でいきなり日本語版における2-1からゲームが始まってしまう仕様になっている。2-1は複数のメロンがいきなり襲いかかってくるステージであり、ぼんやりしていると速攻でミスしてしまう。ステージ自体は極端に難しいわけではないが、何もわからない初心者にはかなり優しくない。
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代替となるステージもないため、ボリューム減少にも繋がっている。
 
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オプションの難易度調整もなくなっている。
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日本語版のパスワードはそのまま使用可能。
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日本語版の2-1(海外版の1-1)から開始するパスワードも使える。一見無意味だが、一応前述のOPを飛ばすのには使える。
 
 
最終更新:2024年03月30日 19:50