このページでは『ドラゴンクリスタル ツラニの迷宮』およびシステムを流用した『死の迷宮』を取り扱う(判定はいずれも「なし」)。
ドラゴンクリスタル ツラニの迷宮
【どらごんくりすたる つらにのめいきゅう】
ジャンル
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RPG
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対応機種
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ゲームギア
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メディア
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1MbitROMカートリッジ
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発売・開発元
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セガ・エンタープライゼス
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発売日
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1990年12月22日
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定価
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3,500円(税別)
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プレイ人数
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1人
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配信
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バーチャルコンソール 【3DS】2012年3月14日/286円(全て税別)
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判定
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なし
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概要
ゲームギア初のRPGで、家庭用機のパッケージソフトとしては初のローグライクRPG。
ストーリー
トリエスト王国にある魔法学校。その4年生にオーシという少年がいた。
夢は偉大なる魔法使い。しかし彼は、ひっこみ思案のいじめられっ子だった。
ある日のこと、オーシは学校にある水晶の玉につまずき、ぶつかってしまった。
そのとたん―――。
気がつくとオーシは水晶の中に入っていた。そのとき一緒にいた愛犬のポチは、卵に変わってしまった。
水晶の世界は、今までいた世界とはずいぶん違っていた。
木にかこまれた迷路の地形。そばを通ると突然咲き乱れる花。
かと思うと 変な顔をした石像がニヤリと笑う。モンスターもいっぱいいる。
もうだめかと思いながら、オーシは必死でモンスターと闘った。
これが知恵と勇気を試すということなのか。
今、もとの世界に再びもどるための冒険が始まる―――。
システム
一般的なローグライクRPGだが、以下のような特徴を持つ。
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アイテムの種別は剣・鎧・巻物・杖・薬・指輪と食料・お金の8つ。剣、鎧、指輪は呪われているものも存在する。
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食料を手に入れるとF(満腹度)の値が回復、満腹度が1以上あれば移動するたびにHPが回復し、0だと移動するごとに減少する。食料はアイテムにストックされず、手に入れた時点で満腹度が回復する。
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食料とお金を除くアイテムは各種別ごとに最大8個まで所持可能である。
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食料・お金以外の装備品に関しては装備したり使ったりする以外にも投擲することが可能となっている。
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なお、巻物・杖・薬・指輪に関しては使う/装備する/投げるの行動を行わない限り名前を知ることはできない。
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名前判明後に同じアイテムを拾った場合は以降はちゃんと名前が判明した状態で入手できる。
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捨てたアイテムは捨てた地点にそのまま残る。再度拾うことも可能。
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すべてのキャラクターは4方向にしか動けず、隣接判定も4方向のみとなる。
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スタートボタンを押しながら移動すると高速で移動する事が可能。
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隠し通路が存在し、特定の壁は何回かボタンを押して調べる事で壁が消え通れるようになる。
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敵を倒し経験値を得ることでレベルアップ。ただしレベルは数値ではなく、「RANGER」、「WARRIOR」、「FIGHTER」といった称号で表示される。
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主人公オーシの後ろには愛犬ポチが変化した龍の卵が後をついていく。レベルアップによって孵化して成長していく。
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攻撃のサポートは行わないが、後ろからの敵の接近を防いでくれる。ただし飛び道具は防いでくれない。
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ゲームオーバーになった場合は、所持金が一定額以上あればコンティニューが可能。ただし3回まで。
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ただしコンティニュー時には装備中の剣と鎧以外のアイテムは没収される。
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フロアは全部で30。30階にある聖杯を取るとゲームクリア、エンディングとなる。
システムを見てわかるとおりNetHackがベースとなっており、コンシューマ向けの簡易版と言った趣き。
評価点
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携帯機とローグライクRPGの相性の良さに目を付けた先進性。
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携帯機のゲームということで、シンプルな操作性でお手軽に遊べるローグライクRPGをゲームギア初のRPGとして出すのは非常に理にかなっている。
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そこそこ多彩な世界観。
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フィールドは森林・砂漠・向日葵畑・モアイの遺跡の4つ。カラー液晶ということもあってなかなか画面映えする。
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向日葵の前に立つと咲き始めたり、モアイの前に立つとモアイの表情が変わるなどのギミックも。
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同じく多彩なアイテム群とモンスター
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登場するアイテムもそこそこ豊富。敵を攻撃する杖や回復薬といった一般的なものから、特定の種類のモンスターに大きなダメージを与える剣、装備している剣を別のものに変化させる巻物なんてものも。
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鎧は装備すると種類により主人公の見た目が変化するといった細かな作りこみもある。
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状態異常になる薬などマイナスアイテムもしっかりと存在。敵に投げつけると有用なのも他のローグライクと同じである。
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敵となるモンスターの種類も様々。移動速度が2倍のもの、逆に2ターンに一度しか動かないもの、こちらから攻撃しない限り動かないが攻撃力が非常に高いもの、瞬間移動するもの、こちらに毒や混乱といった状態異常を与えてくるもの、こちらの食料を奪ってくるもの、などなど。
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モンスターの中には装備中の剣や鎧を錆びさせる(最弱の剣や鎧に変化してしまう)、こちらの最大HPや攻撃力を恒久的に下げてくる、果てはこちらのレベルを恒久的に下げてくるなど極めて厄介な能力を持つものを存在。これらの敵を各種アイテムでいかにあしらうかというローグライクの醍醐味を本作でも味わう事ができる。
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武器の中には「ザンテツケン」というものがあり、攻撃力は高めだがスライム系のモンスターには一切通用しないという分かる人にはクスッとくるネタも。このように世界観を考えると異質な武具や敵もあったりなど、小ネタも意外と仕込まれている。
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後方をサポートしてくれるポチの存在
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囲まれることの多いゲームデザインの本作において、思わぬところで役に立ってくれる存在。
問題点
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セーブ機能がない
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本作最大の問題点。回数制限付きのコンティニューはあるものの、セーブ機能は一切なし。
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クリアまでには30フロアあり時間的にも相当にかかるため、この仕様は本当に厳しい。
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元々の難易度も結構高めなため、コンティニューが回数制限付きというのも厳しいところ。
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燃費の悪いゲームギアということもあり、せっかくの携帯機との相性がスポイルされている点も惜しい。
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隠し通路の存在
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壁を何回か調べる事で壁が消え通れるようになる隠し通路が存在するが、見た目は通常の壁と同じで、怪しいところを調べてみるしか発見方法はない。次のフロアへと向かう出口が隠し通路の先にあることもあり、場合によっては隠し通路の場所を探すためフロアを延々と彷徨う事も起こりうる。
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しかも隠し通路は1フロア中に複数存在することもあるため、探索の引き上げ時を見極めにくい。
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主人公の愛犬ポチは後方の防御以外は特にサポートはしてくれない。
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レベルアップに従って卵から子龍、成龍と変化するものの、攻撃などのサポートは全く行ってくれない。
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取り囲まれたときのリスクの軽減的な役割はあるものの、元の高難度も相まってこれだったらもう少しサポートしてくれても良かったとの声も多い。
総評
携帯機に相性の良いローグライクRPGをゲームギア初のRPGとしてリリースした先進性は光るものがあった。
しかし発売当時は家庭用機でローグライクRPGを受け入れられる土壌が整っていなかったうえに、セーブ機能が一切ないという致命的な問題があったため本作はほとんど評価されなかった。
セーブ機能などがあればまだ少しは評価が上向いた可能性があっただけに、良作になれるポテンシャルを秘めていたのに良作になれなかった作品であるといえるだろう。
後述のバーチャルコンソール配信時には中断セーブができるようになったため格段に遊びやすくなったが、現在は3DSのeショップがサービス終了したために新規入手ができなくなったのが惜しまれる。
移植
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本作は海外マスターシステムにて1991年に移植されている。
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また、続編の『ドラゴンクリスタル2』が携帯電話にて2003年8月6日より配信されていた。
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こちらではネットワークを用いた協力プレイや闘技場による対戦プレイなどの要素が追加された。
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3DSのバーチャルコンソールにて2012年3月14日より配信されていた。こちらではVC中断機能やまるごとバックアップ機能による中断セーブができるようになったため、かなり遊びやすくなった。
死の迷宮
【しのめいきゅう】
ジャンル
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RPG
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対応機種
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メガドライブ
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メディア
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ダウンロード配信
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発売・開発元
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セガ・エンタープライゼス
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配信日
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1990年11月21日
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定価
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セガ ゲーム図書館 月額800円 ※追加課金なし
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備考
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メガCDソフト『ゲームのかんづめ』Vol.2、 セガチャンネル配信ソフト『ゲームのかんづめお徳用』に収録
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プレイ人数
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1人
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判定
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なし
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概要(死の迷宮)
『ドラゴンクリスタル ツラニの迷宮』のシステムを流用したローグライクRPGで、配信時期を考慮した場合初の家庭用機でのローグライクRPG。
ストーリー(死の迷宮)
勇気ある若者よ、暗黒の城ドラゴニアを完全に復活させないために、魔物に奪われた「ホーリーゴブレット」を取り戻してきてほしい。
「ホーリーゴブレット」は、この世に光を呼び戻すという。このままでは世界は暗闇と化してしまう。
城の中は多くの魔物が巣くう迷宮となっている。迷宮の中にある武器や防具を装備し、気をつけて進んでいくがよい。
ゴブレットの精霊とともにあらんことを…。
システム(死の迷宮)
システムはおおむね『ドラゴンクリスタル ツラニの迷宮』に準じているが、違いは以下の通り。
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装備アイテムの種別に盾・兜・弓が追加された。また、剣のカテゴリが武器に改められ、剣のほかに斧・槍・手裏剣が追加された。
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斧は威力が高いが命中率が悪い、槍は威力は若干劣るが命中率が良いという特性がついている。
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手裏剣はカテゴリは武器として扱われ装備して近接攻撃が可能だが、投げる際は複数回投げられる。弓は装備後に使うことで複数回の射撃を行える。
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食料とお金を除くアイテムは各種別ごとに最大7個まで所持可能となる。
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同行者は存在しない。
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食料を多くとりすぎた際には食べ過ぎにより動きが鈍り、満腹度の限界を超えて食べてしまうと腹が破裂して死亡する。
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隠し通路が1フロア中に1つだけに削減している。
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目的のアイテムを取得した後にはラスボスとの対決が追加されている。
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コンティニューを行った場合、再開するフロアはそれまで進行していた階層以下で最も近い5の倍数階まで戻され、称号も1段階下がる。
評価点(死の迷宮)
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画面が大きくなったことにより状況確認が容易になった。
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メニューが画面切り替え式からウィンドウ式に変わったこともあり、メニュー表示状態でも状況がある程度把握できるのはありがたい。
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隠し通路が1フロア中1つだけとなり、探索の手間が省けた。
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GG版では複数の隠し通路が存在するので探索に手間がかかりがちではあったが、本作では1つだけに絞られたため探索の引き上げ時を見定めやすくなった。
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オープニング及びラスボスの追加。
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GG版ではゲームスタートと同時に説明もなくゲームに入ったが、本作ではダンジョン突入前に町の人との会話が行えるため、世界観が把握しやすくなった。
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不要であればスキップ可能なので、即ゲームを始めたいという人も安心。
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GG版では目的のアイテムを取った瞬間にクリアであったが、本作ではその後にラスボス戦が追加されたことにより終盤の展開が盛り上げられた。
問題点(死の迷宮)
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こちらにおいてもセーブ機能がない。
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当時の配信環境ではセーブ機能を付けるのは難しいとはいえ、やはりローグライク系RPGでセーブ機能がないのは痛い。
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道中の雰囲気が単調。
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複数の世界観があったGG版とは違い、本作は全編ダンジョンのみで進行するため道中の変化に乏しい。
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一応ある程度のフロアを進行するごとに床の色が変わるが、迷宮全体ではラスボス戦以外はそれだけの変化しかない。
総評(死の迷宮)
据置機であるメガドライブ版ということで性能に余裕ができた分システム周りは順当に進化したものの、やはりこちらでも当時の配信ソフトゆえの弊害かセーブ機能がないのは痛い。
ローグライクRPGとしては順当な進化を遂げているだけに惜しい作品である。
その後の展開
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本作は海外ジェネシス版が1991年4月に『Fatal Labyrinth』のタイトルで単品販売されている。
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後に『ゲームのかんづめ』等に収録された際には、ゲーム図書館配信版ではなく上記の海外版をローカライズしたものが収録されている。
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上記のゲームのかんづめ収録版とゲーム図書館配信版の違いは以下の通り。
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オープニングは配信版ではタイトルの前にストーリーのメッセージが流れて表示され、タイトル画面も非常に簡素。
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ストーリーも配信版では地下迷宮へ乗り込むという設定。そのため、ゲームのかんづめ収録版は上り階段だが配信版では下り階段となる。
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ステータスウィンドウやメニューはゲームのかんづめ収録版は非透過式で配信版は透過式。
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現在は海外版がSteamの『SEGA Mega Drive and Genesis Classics(Steamストアページ)』に移植収録されており、単品・バンドル販売が行われている。
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2019年9月19日発売のメガドライブミニにて、本作が収録された『ゲームのかんづめ お徳用』が収録された。
最終更新:2024年05月12日 10:22