メイド・オブ・ザ・デッド
【めいどおぶざでっど】
ジャンル
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全方位アクションシューティング
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対応機種
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Nintendo Switch
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発売元
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合同会社イクシール 株式会社qureate
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発売元
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株式会社qureate
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発売日
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【Switch】2024年2月15日
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定価(10%税込)
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2,780円
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プレイ人数
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1人
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セーブデータ
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10個(+オートセーブ1箇所)
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レーティング
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CERO:D(17才以上対象)
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備考
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ダウンロード専売
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判定
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なし
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ポイント
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紳士向けなヴァンサバライク キャラの性能格差が顕著 メイドオブドローン無双
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qureate作品
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概要
株式会社
qureate
が2024年1月中旬公開のタイトルラインナップPVにて発表した、大ヒットインディーゲーム『Vampire Survivors(以下「ヴァンサバ」)』風の全方位シューティングアクション。
キャラデザはqureate作品でお馴染みの乾和音氏が担当しているが、本作は立ち絵にE-moteエンジンは使用されておらず、一部のシーンのみに導入されている。
ストーリー
突如として流出した謎のウイルスによって、アキバはゾンビたちが蔓延る恐怖の街と化した。
逃げ惑う人々も次々とゾンビに襲われ、感染は際限なく拡大していく。
そんな時、火原 凪咲は自らがウイルスに対して抗体を持つ特別な存在であることを知る。
自らの力を自覚した凪咲は、避難途中ではぐれてしまった親友の凛香を助け出すため、
そして変貌してしまったアキバを救うために、武器を取ることを決意するのだった。
次第に明らかになっていくパンデミックの真相を前に、少女たちはどんな選択を下すのか?
メイドが銃を振り回す異色のゾンビサバイバルが、いま始まる――
(公式サイトより引用)
登場人物
※()内は使用武器
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火原
凪咲
(アサルトライフル/コンバットナイフ)
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アキバのメイド喫茶で働く新人メイド。ある日突然アキバに蔓延したパンデミックから逃げ延び、技術者の花音と共にゾンビと戦う事を決意する。
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初期から使用可能。通常攻撃の間隔が短く、固有スキルで防御力が上昇していく。
必殺スキル「不知火撃ち」は、自身を中心に時計回りに2回転しながら銃弾を発射する。
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風音
凛香
(スナイパーライフル/刀)
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凪咲と同じメイド喫茶で給仕するメイド。FPSの世界大会2位の実力を持ち、その界隈ではかなり有名人。
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通常攻撃の弾丸は単発だが、高威力かつ敵を貫通する性質があり、全キャラ中最もクリティカル率が高い。また、近接攻撃はクールタイムが短く範囲も広めで、固有スキルでその威力が増加していく。
必殺スキル「零波撃ち」は、自身の周囲+自分が向いている方の左右どちらかの画面内の敵を一掃する。
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氷上
愛璃咲
(ショットガン/チェーンソー)
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有名地下アイドル「メイドル5」のメンバー。ゾンビを前にしても、あるいは死ぬかもしれない状況に陥っても中二病的な態度を崩すことがない「ホンモノ」。
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通常攻撃の弾丸は扇状に広がる上に敵を貫通する性質があり、固有スキルで射撃の火力が上がっていくため、通常攻撃がかなり強力。
必殺スキル「
覇紋散弾銃疾走
」は自身を中心に赤い円が広がり、Aボタンを押すか最大サイズまで広がったタイミングで赤い円の部分を攻撃する(それを合計3回行う)。
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レイラ・サンダース(サブマシンガン/クナイ)
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日本の文化が大好きな留学生で、凛香の大学の後輩。アニメで日本語を勉強したため、間違った日本語を使うこともしばしば。
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通常攻撃の間隔は凪咲と同程度だが、凪咲と比べて手数に優れる。また近接攻撃がクナイ投擲のため、唯一近接武器での牽制攻撃が可能。
移動速度とクリティカル率が最も高く、固有スキルでも移動速度が上がっていくが、防御力がワーストレベルである点に注意が必要。
必殺スキル「螺旋マシンGUN」は敵の動きを止め、移動の際にすれ違った敵を攻撃する。技の効果中は近接攻撃のゲージ量に関係なくAボタンで加速可能。
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土浦
乙葉
(ミニガン/モーニングスター)
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メイド喫茶黎明期からアキバのメイド喫茶で給仕している伝説のメイド。年齢の話は厳禁。
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通常攻撃の間隔は最も長いが、射撃の持続時間が長く弾丸が敵を貫通するため、DPS・殲滅力共にトップクラス。
近接攻撃のクールタイムも長めなものの、全キャラ中唯一全方位に攻撃可能。
それに加えて固有スキルの体力自動回復で射撃後の隙を補えてはいるが、過信は禁物。
必殺スキル「ガトリングフルバースト」は凄まじい勢いで射撃し続ける技だが、全キャラ中唯一技中無敵にならないという欠点があるため注意。
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水鏡
花音
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倒れている凪咲を救助した研究員。ウィルスの抗体を持つ凪咲の血液からワクチンを開発した天才。幼いように見えるが、年齢は30近く。
システム
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拠点
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ステージ出撃前の消耗品購入や装備の強化を行える他、ゾンビ化したキャラを人間に戻す「治療」、条件を満たすと解放される「サブシナリオ」の視聴といった事が可能。
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強化項目は各キャラに割り当てられた「メイド服」「近接武器」「銃」がある他、任意で装備を変えられる「アクセサリー」がある。アクセサリーの項目のみ複数キャラでの共用が可能。
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「工房(ショップ)」ではゾンビ化した仲間の治療に使う「ワクチン」や、戦闘中メイド型の敵ゾンビを味方にすることが出来る「使役弾」、メイド全員に共用で装備できる「アクセサリー」、弾丸やドローンに特殊効果やステータス強化を施す消耗品を購入できる。
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このためストーリークリアまでは「ゲーム下手でも何度も稼ぎプレイをして強化しまくった性能でゴリ押す」というのが可能。なお意図的に強化を縛ると終盤のステージは理論上クリアが見込めないほど難しくなるため、RPG要素と思って自分の楽しみ方ができるようなキャラ育成を心がけた方がよい。
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戦闘
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全方位から迫りくるゾンビを倒すことで出現するハートを集めてレベルを上げ、レベルアップ時に追加の攻撃手段やステータスボーナス効果を得られる「スキル」を獲得・強化しながら一定時間の生存や敵の全滅を行うまで生き延びるのが目的となる。
また、各キャラには「固有スキル」が割り振られており、Lvが5上昇する度にステータスボーナスが得られる。
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戦闘中の操作はLスティックで移動、Rスティックで銃口の方角調整、近接攻撃ゲージ満タン時にA/ZRで近接攻撃、使役弾持込時にB/ZR長押しで使役弾発射、必殺ゲージ満タン時にX/ZLで必殺スキル発動(3回まで)となり、通常攻撃の銃による射撃は自動で行われる。
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尚、最初の仲間である凛香の加入以降、出撃して敗北したキャラは「なりかけゾンビ化」して出撃不可となる。再度使用するには工房でワクチンを購入し治療を行う必要がある。
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お色気要素
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本作はqureateが手掛けた作品であるため、当然本作にも搭載されている。
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戦闘で体力が一定の割合まで低下すると衣装破壊のカットインが入る他、ゾンビ化したキャラの治療は瓶に入ったワクチンを
怪しい効果音と共に
振りまくり、ゲージが満タンになったらそれを
BUKKAKE浴びせるというミニゲーム形式になっている。
本作がニンテンドーeショップから消されたら十中八九この治療描写のせいである
評価点
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緩やかな難易度曲線
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ヴァンサバと比較した場合、あちらが最初から1ステージ最大30分なのに対し、本作の1ステージ辺りの平均拘束時間が短め。
序盤は2~5分で終わり、ステージが進むにつれて段々長くなっていく形式のため、ヴァンサバライクのゲームシステムに慣れやすくなっており、緩やかな難易度曲線がモチベに繋がるユーザーにオススメ出来る。
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ヴァンサバと似ているようで異なる操作性
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本作ではプレイヤーの操作によって「ノックバック効果のある近接攻撃」と「銃の攻撃方向の指定」が出来るため、戦闘に求められる操作性には明確な違いがある点は評価に値する。
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相変わらずのお色気要素
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乾和音氏が描く魅力的なキャラ達の衣装破壊演出や治療演出は眼福の一言。安定と信頼のqureateクオリティである。
賛否両論点
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クリア後に解放されるおまけステージの難易度
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ストーリークリア後に解放される「サバイバル」というステージがあるのだが、
強化したステータスやアクセサリーの効果が反映されず素のステータスで挑む必要がある
上、途中から明らかに敵の防御力が硬くなるため非常に難易度が高い。
真正面から殴り合うだけでは、強キャラの乙葉でさえジリ貧になって敗北するほど。
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攻略法はあるが、最終盤の敵布陣がかなり運が絡む強さになっている。
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ストーリーではクリア必須ではないが、
このステージのクリアが隠しキャラクターの解放条件になっている
為、サブイベントやCGを埋めるには避けては通れない。使役弾の使用と消耗品持ち込みは可能なのが唯一の救いか。
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ただ、ローグライクと言うジャンルは「死んで元々」「継承されるのはプレイヤーの知識のみ」と言うのが根底にあるため、高難度のリセットモードが存在するのは開発者が「判っている」証左でもある。
問題点
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プレイアブルキャラの性能格差
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本作最大の問題点。強い順に並べると、乙葉&隠しキャラ>凛香&愛璃咲>凪咲&レイラとなる。
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乙葉は攻撃のクールタイムが長いという欠点こそあるものの、銃弾が高火力かつ画面外まで敵を貫通できる為、他キャラと比べて明らかに殲滅力が高い。その上固有スキルが体力自動回復のため、生存系スキルを追加すれば死亡のリスクを大幅に減らせるのも評価点となっている。
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隠しキャラはレイラ以下の紙耐久なものの、
固有スキルでドローンの火力が強化される
ため、攻撃面では乙葉に匹敵かそれ以上の最強キャラとなっている。
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逆に凪咲とレイラは他キャラと違って銃弾が敵を貫通しないため、殲滅力が大幅に劣ってしまっている。
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一応消耗品の中に銃弾が敵を貫通するようになるものがあるが、1体しか貫通出来ない上、ドローン強化系の方が優先度が高いため、消耗品の枠をそれに割くことの旨味が少なすぎる。
そして、二人とも「固有スキルが殲滅力に直結しない」という共通点があり、凪咲は「必殺スキルの銃弾が敵を貫通しない」、レイラは「素早さが高くてもステージ終盤には結局囲まれる上、守備力が低すぎて被弾すると一瞬で敗北する」「本作は敵と重なると移動を妨げられる仕様がある」といった致命的な欠点により、他キャラと比べて明らかに弱いと言わざるを得ないのが現状である。
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こういった要素が重なった結果、本作は「乙葉加入まで凛香、加入後は乙葉に強化を集中させる」事が安定した攻略手段として定着してしまっている。
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スキル関連
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ポーズメニューや戦闘中のアイコン等には「現在のLv」しか表示されない。ヴァンサバは「そのスキルのLvの最大値」も分かる仕様だったため、この点は不親切である。
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また、本作の大きな問題点として、スキルビルド環境がドローン一強である点が上げられる。「所持している全てのドローン系武器に効果があるスキル」や「ドローン系を強化する持ち込みアイテム」の存在の他、ステージを進めて解放される新武器がほぼほぼドローン系である事、死亡ペナルティが存在する事などの要素が重なった結果、
本作の武器バランスは「ドローン系一強」と言わざるを得ない状態になってしまっている。
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ヴァンサバには武器の進化という要素があり、どの武器も進化させればある程度戦えるため様々なビルドを試せる楽しさがあった。その点、本作は武器進化の要素はなく、中盤以降のステージはドローン統一ビルドが安定する戦法になってしまうため、違うキャラクターを使う楽しさやスキルビルドの組み合わせを試す楽しさといったものは皆無になってしまっている。逆にそれをストレスに感じていたユーザーもいるにはいるが……。
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もっともこの大味さのおかげで、ドローンの強化さえしておけば凪咲やレイラのような弱キャラでもかなり安定するようになるので、キャラゲーという観点では悪いことばかりではない……のだが、ビルドが完成する前に敗北してしまう事もしばしば。
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後述のアクセサリー強化バグのせいで発売直後は軽視されていたが、一番最初に購入可能なアクセサリー「ヘアピン」を強化すればするほどスキルを上げやすくなるので余裕がある限りヘアピンを育てて共用するのがお手軽にそこそこ戦える戦法となる。
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優しいのか厳しいのか分からない序盤の難易度(現在は改善)
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確かに難易度曲線は評価すべき点なのだが、ヴァンサバは「死亡する事もステージのクリア条件に含まれているためノーペナルティ」なのに対し、本作は「凛香加入直後から死亡すると出撃不可のペナルティを課せられるようになる」ため、凛香加入直後辺りの攻略が最大の難所になってしまっている。
凛香が強キャラである事に気付ければいいのだが、凛香が出撃不可になった場合弱キャラの凪咲しか残らないため、セーブデータ次第ではそのままジリ貧になってゲームオーバーになる事も少なくなかった。
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出撃前のセーブデータを複数とっておけば詰みを回避出来るのが救いだろうが、本来のゲームデザインであろう「治療」という行為の必要性を皆無にしてしまっている。
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現在はアップデートでいくつかのミッションの難易度が調整され、失敗しても通貨や資材を少しは持って帰れるため「わざと敵を1匹も倒さないようにして死ぬのを繰り返す」といったプレイでもしない限り、治療費分も足りなくて詰むということはない。
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ボス敵の動きが単調
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ラスボス以外全員同じ使いまわしモーションのため、覚えてしまえば全く被弾しない。
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突き詰めるとステージ攻略も単調
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ゲームの性質上雑魚敵の性質も限られているため先のステージになってもパラメータと出現数を増やす以外の強化がほとんどなく、こちらもプレイヤー操作スキルや慣れ+キャラのパラメータ強化で対抗するしかない。
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さらに言うと自キャラの武器や服の強化は解除できないため「こちらを強くし過ぎたから一時的に下げて難易度を調節して楽しむ」ということもできない。
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結果、現状で挑める一番難しい通常ストーリー面に挑むか、強化要素が使えないサバイバル面に行く以外の楽しみ方がしにくい。
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カチューシャ
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サブシナリオの開放に必要なカチューシャだが、
大半のステージで初期位置・初期拡大率のマップに表示されていない。
マップの縮尺を変更出来る事に気付けば発見できるが、縮尺変更については発売当初は知る手段が少なく気づかない者も多かった。
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現在はレーダー画面を開けば下部に拡大縮小のキー表示が出ている上にストーリー中に一度は強制表示されるヘルプの戦闘解説でも説明されて「遠くにあるアイテムでもこれで確認できます」とわずかに匂わせている。
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アクセサリー関連
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中盤以降のアクセサリーがかなり高額。ラスボスのステージで無限稼ぎプレイが可能ではあるものの、それを行わなければ購入が現実的ではないレベルで必要ポイントが高めに設定されている。
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また、レベルアップ時の選択肢の再抽選機能である「リロール」の使用に一部のアクセサリーを装備する必要がある上、該当アクセサリーは強化できないためリロールが一回しか使用できない。
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その他、発売直後はアクセサリー強化リセットバグが存在していた。
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これは「工房で強化したアクセサリーを他のキャラに付け替えると一定のLvまでリセットされる(当然消費した素材やポイントは帰ってこない)」というもの。
発売から6日後のパッチで修正……されるどころか更に悪化し、「アプデ適用後に強化してから付け替えるとLvはそのまま効果だけがリセットされる(当然強化に必要な素材はLvの値準拠)」という状態になってしまったため、デバッグが甘いと言わざるを得ない。
その後、
2024年2月28日の夜に配信された更新データにより無事に修正された。
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スッキリしないエンディング
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黒幕の撃破にこそ成功するものの、現状の問題が解決しないままストーリーが終了する上、エンドロールの後に続編を匂わせる不穏なワンカットが挿入される。ゾンビやホラー映画ファンなら「ああお約束のアレだね」で済むのだがそれがわからないプレイヤーは何かあるのかと疑いかねない。
総評
簡潔に言うと「お色気要素を足したヴァンサバ」ではあるが、あちらとは一味違った戦闘中の操作性とお色気要素、死亡ペナルティの実装により、似たようで異なるゲーム体験が出来るようになっている。
しかしその一方で、キャラやスキルの性能の明らかな格差により、様々なビルドを試す楽しさは皆無と言わざるを得ないのが実状である。
とはいえ、ヴァンサバライクの面白さが損なわれているわけでもないため、お色気要素が好きな方が本作からこのジャンルに興味を持つきっかけにするには十分ではあるだろう。
余談
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qureate作品恒例の過去作キャラのゲスト出演は世界が滅びた今作でも健在。凪咲と凛花が勤めるメイド喫茶meidolceのキャラクターとして『プリズンプリンセス』のアリアとゼーナが登場したり『廃深』の小ネタがある他、『俺の有休恋物語』の美人三姉妹が広告モデルとして出演している。
ということは平和だった月見沢も…
最終更新:2024年11月24日 23:21