修正依頼」が出ています。対応できる方はご協力をお願いします。依頼内容は「「ゲームではない」「ホラーではない」という記述の修正と基本的なシステムの説明」です。


THE PARK

【ざ ぱーく】

ジャンル アドベンチャー
対応機種 Windows(Steam)
Nintendo Switch
発売・開発元 Funcom
発売日 2015年10月27日(Steam)
2020年9月24日(Switch)
定価 1,630円(Steam)
1,000円(Switch)
プレイ人数 1人
レーティング CERO:C(15歳以上対象)
判定 なし
ポイント 「ゲーム」とは言い難い
演出などのクオリティは高い
ボリューム極薄なのが難点


概要

一人称視点のホラーアドベンチャー……のように見えるが、後述のように正確にはアドベンチャーゲームではなくウォーキングシミュレーターというべき作品である。
主人公のロレインは、迷子になった息子のカラムを探すべく閉園後の遊園地に足を踏み入れるが、そこで恐ろしい体験をすることになる……というストーリー。
『The Secret World』という作品のスピンオフではあるが、一応本作単体でストーリーとしては完結しており、そちらを知らなくても理解に支障はない。

タイトルは、Steamでは『The Park』、Switchストアでは『ザ・パーク』、タイトル画面では『THE PARK』となぜか表記が全く安定していない。ここではタイトル画面の表記に則っている。

特徴

  • ゲームと呼べるゲーム性は皆無
    • 一人称視点で遊園地の中を探索していくことになるが、一般的なホラーゲームならば必須だろう「敵対するモンスター」が本作には全くいない。恐ろしげな演出こそあるが、「捕まったら死亡」や「倒せなかったら死亡」のようなゲームオーバーになる要素は一切ない。
      • 商品ページでメインに描かれているリスも、一見襲ってくるように見えるがゲーム内で攻撃してくることはない。
    • 謎解き要素も一切ない。一応必須アイテムを回収しないと先に進めない箇所はあるが、ちょっと調べればすぐに見つかる場所に置いてある。
  • よって、本作でやるべきことは、「遊園地の中をひたすら歩き回りながらアトラクションに乗り込み恐ろしい体験をしていく」ことだけである。実質「ホラー風ウォーキングシミュレーター」と見たほうが妥当だろう。
    • 操作は移動とカメラ操作、あとは近くにあるオブジェクトを調べたり回収したりするだけである。ダッシュもできるが、屋外のみ。
      • カラムへの呼びかけというアクションもある。中盤以降は返事もなくなるため無意味なアクションに見えるが、画面内に調べられるオブジェクトがあると反応するという隠れた効果がある。

評価点

  • 演出に関しては、低価格帯のソフトとは思えないほど頑張っておりクオリティは高め。
    • グラフィックはやや貧相なところが見え隠れするが、上手いこと暗い遊園地というシチュエーションを活かして誤魔化しており、普通にプレイする分にはあまり荒さを感じさせない。
    • 「一人称視点」という演出がよく活用されており、没入感がある。
      • 例えばジェットコースターに乗ると突然後ろに「誰か」が乗ってくるのだが、当然ジェットコースターなので上半身は拘束されており後ろを振り向けない。カメラを操作はできても、「誰か」の正体をプレイヤーは絶対に確かめることができないのである。この辺りは上手に「プレイヤーの介入で何でもできるゲーム」と「視聴者からは一切介入できない映画」のいいとこ取りをしている巧みな演出と言えるだろう。
      • 「振り返ったら何かがいる」というドッキリシチュエーションも、プレイヤー操作で振り向いた瞬間に起きるとなかなか心臓に来る。
    • ゲーム終盤、進めば進むほど同じ部屋がどんどん狂気に侵されていく様は見ていて特にキツイが、それだけにホラーとしてはなかなか。
  • 主人公のロレインのボイスもなかなか迫真の演技。
    • 「くたびれたシングルマザー」というゲーム界隈ではあまり見ない境遇の主人公で、 精神的にも不安定さをチラホラ見せてくる のだが、その壊れた感じが声で上手に表現されている。
      • 日本語ボイスはなく字幕による翻訳のみだが、洋画的なぎこちなさが多少あること以外は、意図が取れないような直訳や明らかな誤訳も見当たらず、翻訳のクオリティも高め。
      • ゲーム終盤には明らかに「破綻した英語」があちこちに出てくるのだが、これらも原文の形を尊重しながら、日本語として解釈できる形でキチンと訳されている。

賛否両論点

  • 自発的にストーリーを解釈していかないと、意味不明なだけのお話で終わってしまう。
    • あちこちに示唆されたヒントを読み解いていけば、「実際に何があったのか?」「どこからどこまでが現実だったのか?」はなんとなく察することはできるようになっている。しかし、それらのヒントを深く考えずにスルーしたり、あるいは見落としたりしていると後述のボリュームの薄さもあって「何がなんだかわからないうちに終わってしまった」ということになりがち。
      • ぶっちゃけ、「モンスターが襲ってくる」「幽霊が襲ってくる」のようなわかりやすいホラーの系列ではなく、主人公の心の闇を追っていくサイコホラーに近い設定のストーリーである。そのようなストーリーを好む人にとってはクオリティは高いが、わかりやすさはないため普通のホラーと思ってプレイすると肩透かしになりがち。
    • また、「本当は何が起きたのか?」についてはゲーム内では明言は避けられており、プレイヤーの解釈に任されている。この辺りも好みが分かれるところか。

問題点

  • ボリュームがとても薄い。普通にプレイすれば、全クリまで2時間かからないレベル。
    • しかも、後述のように移動速度が遅いため、無意味に彷徨う時間が多めなのも余計内容の薄さを感じさせるところ。
      • この移動中に重要な独白が入ることもあるため、移動シーンそのものは用意された演出の一種であることはわかるのだが……。
    • やりこみ要素などもないため、繰り返しプレイする意義はあまりない。
    • なお、1〜2時間で終わることはSteamの商品ページにしっかり明記してあるため、事前によく確かめておけば購入前にボリュームの薄さは察することはできるようになっている。この辺りは誠実だろう。
  • 主人公の移動速度が遅め。ダッシュもあるが、ダッシュしてもなお遅い。本当に息子探す気があるのか?
    • 生活に疲れた不健康な中年女性、という設定を鑑みればリアルな速度と言えなくもない。
  • セーブデータは一つしか用意できず、シナリオをスキップする機能もないため、「特定のシーンだけ見返したい」といった遊び方はできないのも、融通が利かないところである。

総評

「ゲーム」としては評価しがたいところが多い。どちらかというと、「一人称視点のホラー映画を自分で動かせる」といったほうが正確か。
映画としてみれば演出には光るものがあり、2時間程度のプレイ時間も妥当と言えなくもないのだが、やはり「ゲーム」として見ると微妙な点が多い一作。
シナリオや設定には謎が多く、考察のしがいもあるため、この手のジャンルが好きならば手にとって見る価値はあるかもしれないが、一般的なホラーゲームファンにはあまりオススメはできないだろう。

最終更新:2024年06月19日 18:54