イメージファイト

ジャンル 縦スクロールシューティング
対応機種 ファミリーコンピュータ
発売・開発元 アイレム
発売日 1990年3月16日
定価 6,500円(税別)
判定 良作
ポイント ファミコンでアーケード版を再現
こぢんまりながらも良質な移植
難易度は抑え目
スカスカになった補習ステージ
R-TYPEシリーズ


概要

1988年11月に稼働した『イメージファイト』をファミコンに移植したタイトル。

80年代後半におけるアイレムといえば、『R-TYPE』を筆頭にシューティングゲームが大ヒットしていて、一時代を築いていた。
そんなアイレムシューが同じく大人気だったファミコンに移植された際には、同じくアーケードからファミコンへのアレンジ移植が好評だった『グラディウスシリーズ』や『1943』、 そしてアイレム自身がリリースした『R-TYPE』のPCエンジンでの完全移植の影響もあって期待値も高かった。


特徴・評価点

基本的なゲームシステムやステージについてはアーケード版の記事を参照。
ここではファミコン版での変更点などについて述べる。

  • アーケード原作を再現したシステム・ステージ
    • 今作はアーケードから大幅にスペックの落ちているファミコンでの発売になるのだが、敵配置や装備内容については細かな差別点を除いて、原作をなるべく再現。
    • 原作で特徴的だった自機のポッドは3個全て装備出来る上、最初にポッドを装備した箇所が色別に性能が変化する点や、ボタン連打での速度調整とバックファイア攻撃、ボタン同時押しによるポッドシュートといった基本的な自機性能も原作同様。加えて、外付けの連射装置を使用するとアーケード原作で猛威を振るっていた連射が使用可能。
    • 各ステージの内容や敵キャラもハードの都合上で各ボスや2面巨大戦艦等の背景がカットされ真っ黒になってしまっている上、キャラのグラフィックも画面比率を考慮する形で小さくなっているが、各キャラのグラフィック自体は原作に近い物を使用していて、原作の特徴的なキャラクター達がファミコンというハードで忠実に再現されている。
    • この様に、原作から一転してこぢんまりとした印象は拭えないものの、スプライトを上手く抑える事によって画面が殆どチラつかず処理落ちも発生しない。これにより、「ハードがファミコンながら非常に快適なプレイが出来る当時のアーケードの人気作品」という点を実現出来ているのは良い点である。
    • 音楽面も音質こそ妥協してファミコン初期レベルではあるのだが、移植の際にカットされた楽曲は非常に少なく、アーケード原作におけるほぼ全ての楽曲が網羅されている。各曲のアレンジも原作に近い物を採用していて、同じくファミコンで発売された『究極タイガー』の様に違和感を感じる様な変なアレンジも存在しないのも良いところ。
  • ゲーム難度の低下
    • 今作は対象年齢がアーケードより下のファミコンへの移植に伴い、全体的に敵の耐久力が減少。これにより、外付けの連射装置無しでもある程度破壊の爽快感を楽しめるようになった。
    • 上述した様に敵の数も減少。それに伴い、アーケード原作では高度なパターンを組む必要があったミス後の復活についても難易度が低下し、結果的に多くのシーンで容易に立て直しやすくなったり、通常攻略のパターン構築も簡単になった。
    • 今作の難易度の低下は装備面も影響している。
      • 今作は移植元よろしく様々なパーツを使い分けていくバランスなのだが、中でも「ホーミングミサイル」が強力。この装備はファミコン移植に伴い弾速が早くなった上連射数も増加した事により強化されていて、敵の数が減少した点も相まって、実戦面では原作通りのパターンで行かなくても十分に進められる様になっている。
      • 一方で実戦最初のボス「NANCY」はホーミングミサイルでコアを直接狙いやすくなった事から、原作から一転して大幅に弱体化されてしまったと言えるのだが。
  • 数こそ少ないがオリジナル要素も盛り込まれている
    • ゲーム開始時のメッセージはアーケード原作では早送りやスキップが出来なかったが、ファミコン移植に伴い早送り出来る様に改善。結果、ゲームスタート時のテンポが原作から向上している。
    • 3面はアーケード原作では道中で破壊可能な落石が飛んで来るギミックが存在していたが、ファミコン移植にあたり丸々カットされた。その一方で、ボスが登場する手前の落石については残留しているが、スクロールが止まってからのスタートという事に加えて、BGMがボスの物に変更されるという、まるで初代『グラディウス』における火山噴火やザブラッシュの様な雑魚敵の総攻撃の場面を彷彿とさせるシーンへと変化した。
    • 一部の演習面ボスがアップデート。今作の前半ボスは移植にあたり変更点が見られている。とりわけ、瞬殺可能だったものが瞬殺不可になっていて、原作から一転して正々堂々でのボスとの戦いに臨めるようになった。これに実践面におけるホーミングミサイルの強さも相まって、後にアイレムスタッフがSNK移籍後に手掛けた『メタルスラッグ2』と『X』の関係に近いと言えなくもない。
      • 1面ボス「LINDA」はアーケード原作では自機がボスの横側に居た場合は何もしてこなかったのだが、ファミコン版では同様の行動を取った場合は、自機に目掛けて高速で横移動する様になった。このため、アーケード同様のボスの性能を逆手に取った瞬殺テクニックが出来なくなった。
      • 4面ボス「BOY」はアーケード原作では登場時に無敵が存在せず、結果的に登場してからすぐに瞬殺されてしまう出オチぶりだったのだが、今作では登場シーンの際は無敵状態になっている。その後は攻撃の激しさから原作同様に短期決着を試みる必要が必要があるのだが、これはすなわち原作から一転してある程度攻撃を避ける必要が生じる様になったという事になっている。
    • この様に変更点が見られるものの、一方ファミコン移植に当たって作られた新規オリジナルステージは存在していない。これはアーケード原作の極力再現を優先する方針が取られていた事からこうなったと思われる。

問題点

  • 金切り音の様にうるさい楽曲
    • 今作は曲調こそ大きなアレンジが施されておらず原作通りの内容になっているのだが、特殊チップを積んでいない関係で内蔵音源で演奏される事から、人によっては耳障りになりやすくなっている。
  • 弱体化したパーツについて
    • 自機が装備できるパーツの一つの「リングレーザー」は、アーケード原作ではサイズの大きなリング状のショットで画面を制圧できる主力兵器になり得る性能だったのだが、ファミコン版ではスプライト抑制の関係なのか大幅な弱体化が施されている。
      • 厳密には高速連射を続けた場合は真正面へ撃てず左右二方向のみになる。また、一発当たりの弾のサイズも小さい事から、派手だった原作から一気にショボい物になってしまった。
      • 見た目及び基本性能が弱体化してしまった一方で、特有の貫通力自体は健在で4面攻略の際には相変わらず役に立つのだが、攻撃範囲も相まって「劣化版Vバルカン」と捉えられがち。
    • 同様に装備可能パーツの「バリアー」は、アーケード原作では普段こそ頼りないがラスボス撃破の際に必需品となる、まさに「ここぞ」という時に大活躍していたのだが、ファミコン移植に伴い防御の判定が変更されてしまい、敵弾がバリアをスリ抜ける様になってしまった。従って、ファミコン版ではラスボス戦の際にバリアを装備していた場合は気が抜けなくなってしまっている。

賛否両論点

  • 原作の超難度に対する変更点
    • アーケード原作における補習ステージは、初期状態が強制される事による自機の貧弱さに加えて、多くの雑魚敵の存在や攻撃の激しさから、まさに「入るな危険」という様な理不尽難易度のステージだったのが、FC移植に伴い大幅に登場する敵が減少。また、ステージ冒頭に自機を狙ってくるレーザーを放つ雑魚が登場していたのだが、移植に伴いカットされてしまい、原作からほぼ別物の様な内容になってしまった。ステージ内容が内容だけに「コレジャナイ」と嘆くプレイヤーも。
      • 今作は移植元から敵キャラの数が減少した関係で、演習ステージでは達成率100%が容易になったのだが、これはすなわち「原作以上に補習ステージの侵入難度が上昇してしまった」という事でもある。従って、今作の補習ステージは、復活を多用している場合はともかく、通常時は原作以上に狙ったプレイをしないとステージに入る事が出来なくなってしまった。
      • 一方、補習ステージが別物化した事により、事実上ではあるが「ファミコン版オリジナルステージが存在している」と捉えられる事も。
    • アーケード原作における2周目は、アイレムどころか全てのSTGの中でも屈指の難易度を誇る物だったのが、FC版の2周目は表現力の限界なのか1周目と全く同じ内容。このため、今作の2周目はライトプレイヤーでも手が届き易くなっている。反面、語り草になっている急激な難易度の上昇が起こらず。超難度を知るプレイヤーからは「手ごたえが無い」と言われがち。
      • 加えて、EDも1周目と同じ内容。すなわち最後の最後で自機が爆発してしまう演出がカットされてしまった事から、原作と同じ結末を見られなくなった。反面、その内容から「ファミコンに移植されてようやく2周目のプレイヤーが救われた」と喜ばれる事もある。
  • 登場キャラについて
    • 今作はファミコンへの移植に当たり、全体的にキャラクターのサイズが原作から縮小されている。加えて演習5面の前半で小型敵が出現しなくなった点をはじめとして、原作通りに敵が配置されていない部分が見られる。
    • 繰り返しになるが、これらの点によりチラつきが抑えられ、結果的にアーケードに近い内容でありながらも快適なプレイ環境を実現させている面がある。
    • 一方で、キャラサイズの縮小は迫力の減少に繋がっているし、敵配置のオミットによりスカスカな部分が見られてしまったのが難点となっている。
  • 実戦ステージ1の敵配置
    • 実戦ステージ1の敵配置はアーケード原作では基本的に画面下側から登場する作りになっていた。これは「プレイヤーを発射した基地が敵に襲われてしまい、全滅した結果プレイヤーに襲い掛かってくる」と考察されていた。
    • 一方、ファミコン移植版における実戦ステージ1ではステージ最初の時点で前方に敵が存在する配置になっている。アーケード原作における考察について矛盾が生まれてしまった。

総評

耳障りな音質や敵キャラ数の減少、ステージ背景の削除といった様に、移植の際に犠牲になった点こそ多いものの、 その一方で原作を再現した部分も非常に多い事から、結果的に今作はコナミのグラディウスシリーズに負けず劣らずなファミコン用STGの力作と言ってよい。

今作は後述の『アイレムコレクションvol.1』に収録されている。 今作は内容こそ原作に近いが難易度は抑えられているので、同時収録のアーケード版の入門編としてプレイするのはいかがだろうか?


余談

  • NES版は基本的な内容こそ国内版と同様だが、演習ステージにおける黒塗り背景が部分が真っ青に変更されている。
    • 一方で敵弾については国内版と同様という事から、難易度については変化が無い。
  • 今作は後に『アイレムコレクションvol.1』にてアーケード原作及びPCエンジン版と共に移植された。
    • 同作収録版はショットにオート連射機能が設定出来る様になっているので、よりアーケードに近い環境でのプレイが可能になっている。
    • ただし、2コンを用いたステージセレクトの裏技が使用不可能になっているのはご愛敬。

最終更新:2025年02月17日 09:38