ハングオン
【はんぐおん】
ジャンル
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レース
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対応機種
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アーケード
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発売・開発元
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セガ・エンタープライゼス
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稼働開始日
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1985年7月
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判定
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良作
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概要
擬似3D表示のバイクレースゲーム。セガが展開していた「体感ゲーム」の第一弾。
タイトルの英字表記は『HANG ON』。
システム
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GP500(現在ではMotoGP)をモチーフにしたバイクレースゲームで、敵車をかわしながら全5ステージのコースを進むレースゲーム。
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ギアシフトは存在せず、アクセルとブレーキのみでスピードを調整するシステム。
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ゲーム筐体は、機構とサイズが異なる2種類が存在する。
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ライドオンタイプ:実際の車体を小さくしたバイク型の筐体で、ハンドル部分に15インチのブラウン管モニタが設置してある大型筐体。ハンドルは固定されており、車体を傾けることによって、ゲーム画面上の自バイクが左右に動く。
筐体のフットステップ部分にはセンサーがついており、ステップに足をのせていないとゲーム中のタイヤのグリップが低下する仕様となっている。
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シットダウンタイプ:アップライトの画面に専用のハンドルとシートが固定された普及型の筐体。ハンドルを左右に振るだけで容易にコーナリングできるためか、コースがより難しめに調整されている。
評価点
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まさしく筐体と一体化した操作感
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ライドオンタイプの筐体では実際にハングオンの動作をすることでコーナリング可能というだけあって当時はかなりリアリティの高い筐体であった。
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筐体のデザインもelf-2や『AKIRA』の金田のバイクを彷彿とさせるデザインであり、現在の感覚でも色あせないデザインで好評。
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後述の要因で本作以降のバイクレース筐体は小型化・簡略化の傾向に入っていくため、バイク全体のフォルムを再現している筐体という点でも本作は唯一無二ともいえる個性を持っている。
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当時はバイクブームであったこともあり大型筐体でリアリティのあるバイクレースを行うというシチュエーションは非常に魅力的であり、大ヒットにつながった。
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美しいグラフィック
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過去にも3Dのゲームを多く手掛けてきたセガだけあってスプライトによる疑似3D表現は非常に完成度は高く、現代の観点で見ても見劣りしない。
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ステージバリエーションもアルプス/グランドキャニオン/都会の夜/シーサイド/サーキットとなかなかに豊富。
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クラッシュした際にも即爆発ではなく、障害物に接触→ライダーがバイクから吹っ飛ぶ→バイクが爆発というシーケンスを踏んでおり、その際のライダーのリアクションもリアリティがある。
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ゲーム史に残る名曲群
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曲数は少ないもののどの曲もレベルは高い。特にメインテーマの勇ましくもどこか哀愁の漂う楽曲はゲームの雰囲気に非常にマッチしており高評価。
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なお、本作はHiro師匠(川口博史)のデビュー作でもある。
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元々プログラマーとしてセガに入社したHiro師匠ではあるが本作の開発時に鈴木裕氏から「昔バンド組んでいたんだって?だったら曲作れない?」といったやり取りがあった後、BGM作曲に臨むことになったと本人の口から語られている。
問題点
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ライドオンタイプの筐体は重量が大きく、人によってはバイクを傾けるのが困難なため厳しい。
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コーナリングのためにバイクを傾けたり戻したりするのにはある程度の体重や体力が必要となるため、人によってはまともに遊ぶことができないという事態も。
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一応、ライドオンタイプではその点も考慮して急カーブやS字カーブは少なく設定されてはいる。
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前述の通りフットステップに足をかけていないとバイクのグリップ力が低下するというペナルティはあったが、それでも筐体を傾けるのは足に床をつけていたほうがやりやすいため、実際は床に足をつけてプレイするケースが多かった。
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そのため以降の作品の筐体ではフットステップのセンサーは廃止された。
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基板性能の問題からBGMのドラムパートが流れない。
総評
バイクの操作をリアリティのある筐体で操作するというインパクトはかなり大きく、粗削りながらもセガの体感ゲームの先陣として非常に評価の高い作品。
本作の大ヒットをきっかけにセガが大きく躍進していたことからもセガにとって重要な作品であることは間違いない。
余談
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本作は元々コアランドテクノロジーからの持ち込み企画であった。
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本作のライドオン筐体ではバイクの動きを再現するためにトーションバーやジャイロ、本物の50ccエンジンなどを筐体に組み込むなどのアイデアが検討されていた。最終的にはコストの問題で人力で動かす形になったとのこと。
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日本でのバイク用語のハングオンは本来の英語ではハングオフではあるのだが、本作では海外でもハングオン名義でリリースされている。
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本作の大ヒットによりセガ羽田旧1号館が建設されたとのうわさが広まったことから、セガ社内ではセガ羽田旧1号館をハングオンビルと呼んでいたという逸話がある。
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2015年5月にはハングオンのライドオンモデルのプラモデルがウェーブから発売されている。
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月刊ヤングチャンピオン烈で連載されているバイク漫画『ばくおん!!』において『ハングオン』と思しき筐体が登場している回がある。ただし作中で具体的なゲーム名は出していない。
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後に『ばくおん!!』は2016年にアニメ化されているが、アニメ化を担当したのがセガの子会社であるトムスエンタテインメントであるにもかかわらず、当該回ではハングオンの名称は使われなかった。
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とはいえセガ公式でもアニメ放映時にはしっかりハングオンの紹介を行っている(参照)。
移植
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セガ・マークIII版『ハングオン』(1985年10月20日発売)
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初の家庭用移植作品でセガ・マークIIIのローンチタイトルの一つ。
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3速シフトチェンジの概念が追加された。また、チェックポイントまでの距離も表示されるようになった。
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移植度は当時から見てもなかなか高いが、バイクのエンジン音やスリップ音が再現されている代わりにゲーム中のBGMは省略されている。
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また、クラッシュ時は即爆発する形となっている。
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SG-1000/SC-3000版『ハングオンII』(1985年発売)
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マークIII版発売後にSG/SC向けとして発売。基本的にはマークIII版の移植で、3速シフトチェンジの概念も同様。
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ハードウェアの都合上道路が固定でセンタ-ラインが省略、バイクは左右に動作という形になっている。
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こちらではBGMと敵車とのすれ違い音がある代わりにエンジン音が省略されている。
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後にMSXにて本作の移植版が1986年3月に発売された。発売元はポニーキャニオン。
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PC-8801mkIISR版『ハングオン』(1986年11月発売)
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セガ・マークIII版ベースの移植。パックスエレクトロニカジャパン発売。
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グラフィックサイズはマークIII版と同等でBGMも流れているが、元々のハードウェアの特性ゆえに敵車やコースの描写がほぼコマ送り状態になっている無茶移植。
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ドリームキャスト/PlayStation 4版
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『シェンムー 一章 横須賀』及び『シェンムーII』のミニゲームとして収録。
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『シェンムーI』ではドブ板通りのゲームセンター、『シェンムーII』ではDISC 3の九龍城シナリオ終盤に訪れるダンジョンである黄天楼2階の222号室にある。
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コースの看板が『シェンムー』にちなんだ物に変更されている。
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書籍『鈴木裕ゲームワークス Vol.1』付属のDC用ゲームディスクにも収録されており、こちらはオプションが追加されている。
続編
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ハングオンJr.(1986年)
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シットダウンタイプからシートを省略しさらに簡素化したアップライト筐体版で、マークIII互換基板『システムE』を使用した作品。
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Jr.の名の通りオリジナルの縮小版といった作りではあるが、マークIII版よりもキャラクターが大きくなりパターンも増え、クラッシュ時の挙動もオリジナル版に近い。
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BGMはSG/SC版ベースで、エンジン音やスリップ音も鳴動する。
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本作はアーケード版同様全5ステージであるが、2周クリアでエンディングとなる。
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ハングオンGP'95(1995年10月27日発売)
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セガサターンで発売されたハングオンの続編的作品。
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フルポリゴン化され、よりリアルなレースゲームへと進化。
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選べるマシン、走れるコースともシリーズ最多。
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隠しコマンドの裏技あり。
関連作品
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エンデューロレーサー(1986年7月)
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体感ゲーム第3弾として登場した作品。当初はハングオンの第2弾としての位置づけであった。
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こちらはモトクロスのエンデューロレースをモチーフとしており、ハンドルを持ち上げることによってウィリー動作を行うことができる。
最終更新:2025年05月10日 07:21