ファイナルファンタジーXII レヴァナント・ウイング
【ふぁいなるふぁんたじーとぅえるぶ れう゛ぁなんとういんぐ】
ジャンル
|
ロールプレイングゲーム
|
|
対応機種
|
ニンテンドーDS
|
発売元
|
スクウェア・エニックス
|
開発元
|
シンク・アンド・フィール
|
発売日
|
2007年4月26日
|
定価
|
5,040円(税5%込)
|
プレイ人数
|
1人
|
レーティング
|
CERO:A
|
廉価版
|
アルティメットヒッツ:2008年10月23日/2,940円(税5%込)
|
判定
|
なし
|
ポイント
|
RTSに近い戦闘 コンパクトに纏まった佳作 イヴァリース関連作としては異色
|
ファイナルファンタジーシリーズ
|
概要
『ファイナルファンタジーXII』の派生作品でイヴァリースアライアンスの第一弾。ただしストーリーは『FFXII』から引き継いでいる。
これは元々、初心者向けのFF作品として開発していたが、ディレクターである鳥山求氏が『FFXII』の世界観に興味を持ち、関連作として出した事によるもの。
そのためか、本作には『FFXII』の開発スタッフはほとんど関わっていない。関連作としてはかなり異色であると言える。
本作の舞台はイヴァリースに浮かぶ未知の浮遊大陸レムレース。システムは開発元のシンク・アンド・フィールが開発したゲーム『モンスターサマナー』とほぼ同様。
ガンビットもあるが、『FFXI』とは違いRTS形式の戦闘になっている。
あらすじ
まだ魔法があたりまえのように存在し、
天かける飛空艇が大空を埋めていた時代の物語。
“この空の彼方には、誰も行ったことのない浮遊大陸がある”
そんな伝説を夢見て、空賊に憧れる少年たちがいた。
『グレバドスの秘宝』に導かれ、消えゆく記憶の扉が開く。
空の彼方――
そこは、翼ある者の住む、忘れられし天空の地。
特徴
-
基本的に飛空艇ベイルージュ(名前変更可能)を拠点とし、ワールドマップを移動。島に降りたら目的地まで更に移動しミッション開始、という流れが繰り返される。
-
拠点では装備品の売買、合成、航海日誌の閲覧(これまでのミッションの確認や、仲間たちが書いた日誌を閲覧できる)、掲示板(フリーミッションのリスト)が行える。
-
ミッションには物語の進行に必須なものもあれば、物語の進行に関係ないフリーミッションも存在する。
-
DSでリリースされるにあたり、キャラクターはドット表現となり、背景は斜め上方視点の3D描写で描かれている。3Dムービーも時折挿入される。
-
アクティブフォースバトル
-
タッチペンやボタンなどでユニットをタッチし、移動させたい場所をタッチすると移動する。
-
味方ユニットが敵ユニットに接近することで自動的に戦闘が始まる。
-
お互いに攻撃しあい、HPゲージがゼロになれば戦闘不能になる。ダメージは各ユニットの攻撃力やタイプなどのステータスから割り出される。
-
ユニットをタッチすると「まほう・わざ」「ガンビット」「ミストナック」といったコマンドが表示され、任意のタイミングで行動指定や目標を変更することができる。
-
「まほう・わざ」は1度魔法や技を使うと「WAIT」ゲージが貯まるまで使用できなくなる。
-
「ガンビット」は覚えている魔法や技を1つだけ設定することができ、設定した魔法・技を状況に合わせて自動で使用するもの。相手の指定は「目の前の相手」で固定。
-
「ミストナック」はダメージを与えたり受けたりすると専用のゲージの「ミストカート」が貯まる。ミストカートが満タンになるとミストナックを発動できる。演出はタッチでスキップ可能。
-
幻獣
-
味方の幻獣と敵の幻獣が存在する。同じ幻獣でも味方と敵で色が異なる。
-
味方の幻獣の場合は本作における召喚獣的存在であり、ミッション開始時と召喚ゲート使用時に出現する。
-
敵の幻獣は普通のモンスターとして登場するパターンと敵ユニットに従うパターンがある。敵の幻獣には味方としても登場する幻獣に加えて敵専用の幻獣も多く存在する。
-
幻獣にはランクが3つあり味方のランクIIIの幻獣は従来のFFの召喚獣に近いポジションで一度に1体しか呼び出せないがその分強力な幻獣である。
評価点
-
キャラクター
-
『FFXII』時点ではヴァンが主人公として難がある扱いを受けていたが本作ではそれなりに主人公らしい扱いをされている。なお、本作のヴァンは念願の空賊となり、パンネロと共に世界を旅しているという設定。
-
PVでもバルフレアがきっちりと「主人公は引退だ」と発言している。
-
『FFXII』時点でもサブキャラクターやモブNPCに近い立場として登場していたカイツやフィロがプレイヤーキャラクターに昇格し『FFXII』時点でもサブキャラクターとして登場していたトマジがメインキャラクターの一人として扱われる。
-
『FFXII』では登場しなかったFFおなじみのモンスターや召喚獣も登場する。
-
『FFXII』で話題になったポーション皇子、仏頂面の多かったアーシェ等もネタとしてちらほらと織り込まれているなど、スタッフの遊び心も見受けられる。
-
ゲームバランスをプレイヤーの裁量で決めやすい。
-
近接→間接→飛行→近接の三すくみや弱点・抵抗属性の影響がかなり強く、有利に立てるように堅実にユニットを編成すれば、一部のステージを除いてほぼ確実にクリアできる。
-
逆に、同条件にしたり、あえて不利な条件にすれば、相応の難易度の上昇を見せる。
-
味方召喚獣の数、バトル中の召喚獣レベルアップも(当然限界はあるが)プレイヤーの任意で行えるため、フル活用するも封印するも自由。
-
チュートリアルは丁寧。
-
序盤はミッション中に何をすればいいのかを手取り足取り教えてくれる。戦闘における様々な各要素を教えてくれるので、途中で分からなくなることはないと思われる。
-
BGM
-
『FFXII』の流用が多いが、オーケストラ主体の『FFXII』の音楽をDSの音源でも上手く表現できている。
賛否両論点
-
キャラデザが吉田明彦氏ではなく伊藤龍馬氏になった。
-
『FFXII』が写実的なタッチだったのに対し、本作ではプリレンダムービーからゲーム内グラフィックに至るまでアニメチックなタッチになっている。要は『FFTA』と同じ現象である。
-
スタッフの一新による作風の変化。
-
これまでのイヴァリース作品や松野作品特有ストーリーの暗さがなくなった。
-
イヴァリース作品は『イヴァリースという世界の中に生きるキャラを描く』という世界観中心のスタイルだった 。しかし今回は『ヴァンのその後を描く』というキャラ中心のスタイルになっている。
-
そういった事情もあり「特定のキャラを中心にするのではなく、イヴァリースが中心であるべきだ」という批判がある。この点は個人によって左右される点であろう。
問題点
-
敵味方が密集することが多いため、ある特定の味方ユニットに指示を出すとか、ある特定の敵ユニットをピンポイントで指定すると言ったことは極めて困難。
-
終盤はともかく、中盤程まではとにかく有利なユニットを出し続ければほとんど戦略もなくクリアできることも多いので、良くも悪くも爽快感を求めた無双風味だと評されることがある。
-
全ユニットに指示を出すのにかかる時間はかなり長く、その間は勝手に戦闘が進んでいる。
-
本作は名目上RPGに分類されているが、実際はRTSだと言えるものだからである。
総評
イヴァリース作品として毛色の違う部分はあるが、単体の作品として見ればストーリーやシステムなど、ゲームの中身そのものに大きな問題はない。
『XII』本編のようなボリュームのあるRPGではないが、携帯機で出た続編として小さく・上手く纏まっている作品だと評価することができる。
あまり本格的な続編ではなく、あくまでキャラゲーもしくはファンディスクとして見れば十分楽しめるかと思われる。
余談
-
本作に登場したエグル族の青年リュドは後に『ディシディアファイナルファンタジー オペラオムニア』に出演し話題を呼んだ。
-
そちらへの出演に伴い、彼にも沢城千春氏の声がついている。更なる余談だが、沢城氏は同じく声優の沢城みゆき氏の実弟であり、その事を知る一部のファンから注目を浴びる事となった。
最終更新:2024年09月06日 00:04