DALK

【だるく】

ジャンル シミュレーションRPG
※画像はWindows版を収録した『ALICEの館4・5・6』
対応機種 PC-9801
X68000
FM TOWNS
Windows
発売・開発元 アリスソフト
発売日 【PC98】1992年12月21日
【X68k】1993年2月10日
【Towns】1993年4月15日
定価 【PC98/X68k】6,800円(税別)
【Towns】7,800円(税別)
プレイ人数 1人
備考 Windows版は『ALICEの館4・5・6』に収録
レーティング アダルトゲーム
判定 なし
ポイント SRPG黎明期に登場した怪作
本編終了後に待ち構える1000階にも及ぶ「潜りモード」
ALICE SOFT作品リンク


概要

老舗アダルトゲームブランドのアリスソフトが、ただエロいだけのアダルトゲームからの脱却を図るべく、一般ゲーム並みのゲーム性を模索していた時期に登場した実験的要素のある一本。
アリスソフトとしては珍しく既存のファンタジー世界が舞台となっている。
基本は2年前に発売された『ファイアーエムブレム 暗黒竜と光の剣』の影響を受けたと思われるSRPGとなってはいるが、キャラの移動方法や主人公のレベルアップ方法など、多くの点で独自仕様の多い作品となっている。
また、本編終了後の1000階にも及ぶ追加ダンジョンや現代でいう『ハクスラ』要素もあり、非常にやりこみがいのあることも特徴となっている。

ストーリー

恋愛神マーティスが、多体神ミラによって封印され、闇が世界を蹂躙する時、一人の若者が立ち上がった!

モンスターの蠢く迷宮を突破し封印を解く鍵があるトラム山頂上の神殿に向かうのだ。

今、若者と、彼を助ける14人の乙女達の英雄口伝が、ここに始まる……………………………

(PC98版パッケージより引用)


特徴

主人公の成長方法

  • 本編では主人公に攻撃手段が存在しない。
    • 主人公の修行僧セイルは、多体神ミラを封印する為のアイテム『ゴッドバイブ』を恋愛神マーティスから授かっているが、マーティスが同性に対して干渉できないという特徴までも受け継いでしまった為、男性しかいないザコ敵を攻撃することができないという仕様になっている。
    • 女性の敵は封印目標の女神のみとなっていて、戦闘を行うことはない。
      • つまり、セイルは敵を倒して経験値を得ることができない。
    • セイルはパーティーで唯一回復魔法を使えるが、回復では経験値は得られないようになっている。
    • その為、他のパーティーメンバーである女性陣から経験値を分けて貰う必要があるのだが、その方法が『男女の営み』となっている。
      • 女性メンバーからはレベルアップの為に溜めていた全ての経験値を貰い受けてしまう為、どのタイミングで誰から経験値を貰うかも考慮する必要がある。
      • レベルアップに使った経験値まで譲渡する訳ではない為、レベルはそのままである。
  • 本編が終了して追加ダンジョンの攻略が始まると、セイルは『修行僧』から『神官』へとクラスチェンジしてザコ敵に攻撃できるようになる。
    • その後、セイルは2度目のクラスチェンジによって回復魔法特化の『大神官』か攻撃も強化される『神官戦士』のどちらかへと成長できるが……
      • 主人公であるセイルが倒されるとゲームオーバーとなってしまう為、前線に立つこともある『神官戦士』の方がより難易度が高くなるとされている。
    • 自力で経験値が得られるようになる代わりに、『男女の営み』では経験値を貰えなくなる。
      • その為、本編中に2回目のクラスチェンジに必要な経験値を貰っておくのが基本とされている。
      • 『男女の営み』自体は可能である為、一部のイベントを除いてCG回収には影響しない。

マップとキャラの移動方法

  • 本作のマップは当時のシミュレーションゲームで一般的だったへクスではなくスクエアで構成されている。
    • この点は『ファイアーエムブレム 暗黒竜と光の剣』等の影響の他、神殿という直線的な構造の建築物を戦場としたことも大きいと思われる。
      • マップには多くの仕掛けが設置されており、ただ単純に敵を一掃すればクリアできるようにはなっておらず、一種のパズル要素も含まれている。
    • ファイアーエムブレムシリーズのように移動可能範囲が表示されて、その中から移動したい場所を選ぶ形式とは異なり、『桃太郎電鉄』のように移動可能な歩数が表示されて、その回数分十字キーでキャラを移動させる形式となっている。
      • その為、PCゲームでは一般的なキーボードとマウスによる操作よりもゲームパッドの方が操作しやすい仕様といえる。

クラスについて

  • 基本的に主人公のセイルを除いた女性プレイヤーキャラはどのクラスへもチェンジ可能となっている。
    • キャラクターの特徴に沿ってパラメーターが設定されている為、攻略を優先するならキャラのクラスはある程度固定されてしまうが、理論的には全キャラ同じクラスにすることも可能である。
    • カタログスペック及びシナリオ設定的にも、ゲームのタイトルにもなっている『DALK』が最強のクラスとなっている。
      • 全員をこのクラスにすることも可能である。
      • ただし、ステータスとの兼ね合いで『DALK』よりも他のクラスの方が適したキャラも多く、やはりバランスの取れたクラス編成が求められる。

やりこみ要素

  • 本作で最も特徴的と言えるのがやりこみ要素である。
    • 本編終了後に攻略可能となる1000階にも及ぶ自動生成地下ダンジョンが待ち構えている*1
      • 制作側もやり過ぎたと考えたのか、後発のTOWNS版(及びWindows移植版)では100階に減らされている。
    • ダンジョン内では各種装備アイテムが入手可能となっており、その種類も豊富であり、現代でいう『ハクスラ』の走りとも言える。
      • これらの装備アイテムは、同じくダンジョン内で手に入る『ディップ』というアイテムで強化可能であり、こちらもやりこみ要素の一端となっている。

ヒントディスク

  • PC98版及びX68k版では同梱されていたハガキを送ることで『ヒントディスク』を購入できた。
    • 攻略のヒントの他、今作のゲームシステムを利用した短編ゲーム『零式』も収録されていた。(後に『ALICEの館4・5・6』に収録された同名のシミュレーションゲームとは別作品。)
      • Towns版ではCD内に初めから収録されている。

評価点

戦略性の高さ

  • キャラ特性とクラス特性の相性から、ほぼ特定のクラスに固定されるキャラは存在するが、多くのキャラは色々なクラスを試すことができる。
    • 女性キャラの総数は14人だが、同時に出撃できる人数はセイルを含めて8人までとなっている為、誰を出撃させるかも考慮しなければならない。
      • これに加えて種類豊富な装備アイテムを誰に持たせるかという問題もある。
      • 装備品は1人につき1個しか装備できないので、装備品の選択や強化方針も重要な要素となる。
  • マップ自体も複雑な仕掛けがなされていて、解除には頭を捻る必要がある。
    • 本編のマップは複数のブロックに分かれていて、ブロック内も複数のフロアに分かれている。フロアの攻略順は自由となっていて別フロアの仕掛けが他のフロアの攻略に影響することもある。
      • この為、中々のやりごたえとなっている。

キャラクターの特徴付け

  • 各キャラの特徴付けがはっきりしており、シリアスな事情を抱える娘やコミカルな趣味を持つ娘など一通り取り揃えている印象。
    • CGも当時としては中々のクオリティーであり、アダルトゲームとしての需要は十分満たせている。
      • プレイヤーキャラ以外にもダンジョンに連れ去られた街娘を解放するとCGが見られ、全て合わせると当時としてはそれなりの枚数となる。
      • CG鑑賞モードも完備。

賛否両論点

追加ダンジョンの規模

  • 1000階にも及ぶ追加ダンジョンを『やりこみ要素』と捉えるか、『ただ長いだけ』と捉えるかによって、このゲームに対する評価は変わってくると思われる。
    • 同じマップを何度も攻略できる仕様となっているが、実際は何度も攻略してレベルを上げないと完全踏破できないように調整されている。その為、本編の攻略もそれなりの時間を要する。
      • 多くのゲームにおいては問題点とされかねない仕様だが、それをも『やりこみ要素』と捉える人もいる。
      • 『男女の営み』が必須ではなくなり、18禁要素がかなり減ってしまうので、『やりこみ要素』と捉えられない人には、モチベーションを維持しづらくなってしまう。

経験値増加アイテム

  • 特定の方法で入手可能な隠しアイテムで、獲得経験値を2倍にするアイテム(特定のキャラで入手すると10倍になるアイテムに変化)が存在していて、バランス崩壊になりかねない。
    • しかし、攻略に時間のかかるゲームであることは確かであり需要もあった。

問題点

追加ダンジョンを攻略しないとシナリオの全貌が把握できない

  • 本編シナリオで恋愛神マーティスの開放は達成するが、同時にこの街の異変は2柱の神だけに原因があった訳ではないことも判明する。その結末は地下ダンジョンを攻略しなければ見ることができない。
    • 結末の内容はあっさりとしたものだが、だからといって1000階にも及ぶ追加ダンジョンのシナリオに入れ込むのはいただけないだろう。
      • 制作側も、あくまで追加ダンジョンはおまけであると明言している分、尚更である。

戦闘シーンがない

  • マップに容量を取られた為か、SRPGの華とも言える戦闘シーンが一切存在しない。
    • アニメーションとまでは言わないが、一枚絵くらいは挿入して欲しかった。

総評

当時としては類の無い規模のやりこみ要素である1000階にも及ぶ追加ダンジョン。やはりこれを良しとするか否かで評価が分かれる作品であろう。
しかし、登場する女の子たちは敵味方共に魅力的であり、悲しげなメインBGMも作品の幻想的な雰囲気にマッチしたものとなっている。
追加ダンジョンに臆することなく是非プレイしていただきたい。


移植

  • Windows『ALICEの館4・5・6』(1997年12月18日発売)
    • アリスソフトのオムニバスシリーズの一作で、『DALK』をはじめとした複数の過去作リメイク版を収録している。
      • X68k版同様、追加ダンジョンが100階に減らされている他に、一部のCGが表示されないバグが存在する。

余談

  • 本作はアリスソフトの『配布フリー宣言』対象ソフトとなっている。
    • 上記『ALICEの館4・5・6』収録のWindows移植版も対象。

続編

  • 『DALK外伝 -Supplementary Story-』(2002年9月27日発売)
    • 本作のシステムを改良して制作された続編。
    • 一部本作にも登場したキャラが再登場するが、ストーリーはパラレルとなっている。

派生作品

  • かえるにょ・ぱにょ~ん(1997年8月29日発売)
    • 本作のシステムから派生したシミュレーションRPG。
    • 支援向け主人公を護衛しつつクリアを目指すシステムが共通しており、ターン経過ごとにスクロールしていく独特のシステムを持つ。
最終更新:2024年12月26日 17:21

*1 一部のフロアは構造が固定。