Star Wars: Knights of the Old Republic
【すたーうぉーず ないつ おぶ じ おーるど りぱぶりっく】
ジャンル
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RPG
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対応機種
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Windows XP/Vista Mac Xbox iOS Android Nintendo Switch
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発売元
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LucasArts
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開発元
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BioWare
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発売日
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2003年7月16日 【Switch日本語版】2022年5月12日
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判定
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良作
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ポイント
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D&Dベースの奥深いRPG 幅広い戦略性とストーリー分岐 豊富なファンサービス 難易度も高め
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スター・ウォーズシリーズ
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ストーリー
A Long Time Ago, in a Galaxy Far, Far Away...
遠い昔、遥か彼方の銀河系で…
3956 BBY 惑星タリス上空
銀河帝国の台頭より遡ること約4000年前…
宇宙は「銀河共和国」とその守護を担うジェダイ、そして「シス帝国」とそれを支配するシスによって二分されていた。
かつてマンダロリアン戦争で銀河共和国を勝利に導いた元英雄的ジェダイのダース・レヴァンは、弟子ダース・マラックと共にかつての同胞を裏切り、潜伏していた古代シス帝国の軍隊を結集。
銀河共和国の惑星を次々と攻撃・制圧し、後に「ジェダイ内戦」と呼ばれる大戦争を引き起こした。
内戦の最中、惑星タリス上空の銀河共和国戦艦「エンダー・スパイア」の乗組員である主人公は、シス帝国艦隊の強襲を受けて同僚カース・オナシと共に惑星タリスの地表へと脱出。
戦艦に乗っていたジェダイのバスティラ・シャンをカースと共に探す道中で、主人公は急速にフォースの才能に目覚め始める。
合流したバスティラの提案で惑星ダントゥーインのジェダイ寺院に向かった主人公は、修行の過程で幻視に導かれ、かつてレヴァンが訪れたという謎の古代遺跡に遭遇。
遺跡が指し示していたのは、古代文明が作り出した究極の破壊兵器「スター・フォージ」への道筋だった。
修行を経て正式にジェダイの一員となった主人公は、スター・フォージを見つけだして破壊すべく探求の旅を開始する…
概要
スター・ウォーズシリーズを題材に、ダンジョンズ&ドラゴンズのD20システムをベースとしたテーブルトークRPG要素を盛り込んだスピンオフのRPG。
タイトルが長い為、通称としてKOTORと呼ばれることもある。
映画三部作での出来事から遡ること約4000年前というはるか昔の銀河を舞台に、銀河帝国とシス帝国が争った「ジェダイ内戦」を描く。
開発は『バルダーズ・ゲート』シリーズで高い評価を得ていたカナダのBiowareが担当。発売はルーカスアーツが担当している。
ゲームシステム
キャラ作成・育成
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プレイヤーはゲーム開始時に主人公となるキャラクターを作成する。名前は自由で容姿はいくつかのバリエーションが選択可能だが、選べるのは人間種のみ。
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選べるクラスは戦闘に長けた「Soldier(兵士)」、コンピューター技術や修理解体といった技能に優れた「Scout(斥候)」、話術や奇襲攻撃を得意とする「Scoundnel(悪党)」の三種類。
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ストーリーを進めて主人公がジェダイとなった際に再度ジェダイとしてのクラスを選択することができ、こちらはライトセーバーの扱いに長けた「Guardian(守護者)」、フォース能力の高い「Sentinel(番兵)」、バランスが取れて耐性も強い(とされている)「Consular(領事)」の三通りから選択できる。
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キャラクターにはそれぞれAttributes(属性)、Skill(技能)、 Feats(特技)、Forces Powersの4種類の育成項目が存在する。
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Attributesパラメータはキャラクターの基本性能に影響する。
強さ(近接攻撃力)、器用さ(射撃攻撃力)、体力、知恵(フォース性能と治療量)、カリスマ性(説得選択肢の成功率上昇)の項目から好みで割り振る。
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Skillパラメータはキャラクターのとれる行動に影響する。
例えば「Computer Use」を強化すればハッキングに必要な消費アイテム数が減少し、「Awareness」を強化すればより巧妙に隠された地雷が発見できるようになり、「Repair」を強化すれば破損したドロイドを手軽に復旧させることが出来るなど。
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Featsはキャラクターの必殺技や装備可能枠の拡大などが行える。
例えば必殺技「Power Blast」を取得して戦闘中に発動すれば射撃攻撃にダメージボーナスが付き、「Armor Proficiency」を強化すればより堅牢な防具を着用できるようになり、「Weapon Proficiency」を取得すれば対応した武器を使用した際にダメージボーナスが加算される。
Featsはキャラクターやクラスによって選択できるかどうかが異なり、例えばScoundnelは最初から「Sniper Shot」を習得しているが「Armor Proficiency」が選べずライト級のアーマーしか装備出来ない。
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Forces Powersはフォース感応者のキャラクターのみが取得・強化できるフォース能力で、Featsと似たような仕様となっている。
「Cure」で体力回復したり、「Stun」で相手を昏睡させたり、「Force Push」で相手を転倒させたりと主に戦闘を補助するものが多め。
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キャラクターを戦闘に参加させるなどして経験値を貯めるとレベルアップし、それぞれのパラメーターを選んで育成していくことができる。
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戦闘能力を強化し正統派のジェダイの騎士になったり、話術を強化して相手を丸め込む詐欺師にしたり、闇討ちに特化した卑劣な策略家を目指してみたりと育成の幅は広め。
基本操作
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基本操作は全てマウスでも完結するよう調整されており、画面上に配置されたアイコンをクリックすることで各項目にアクセスできる方式。
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操作キャラはマウス右クリック+左右移動で視点旋回を行い、その状態で左クリックを押すと前方に前進するラジコン方式。またはWASDでも操作できる。
同社の『バルダーズ・ゲート』同様にSpaceキーが一時停止/解除に割り当てられており、またデフォルトで戦闘開始時と味方死亡時に一時停止が行われる。
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他人との会話や敵への攻撃、物資の取得といった動作は実際に画面上の対象上部に表示されているウィンドウをクリックすることで行う。また、関連スキルを強化していると一定距離内の罠に対しても表示が出ることがあり、プレイヤーは物資取得と同じ要領で罠の無効化もしくは取得を行える。
罠解除の成功判定はダイスで行われるため、スキル値が低いと確率で失敗してダメージを受ける。
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セーブ&ロードは任意で行うことができ、状況に関わらず適宜記録することが可能。
ゲーム進行
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最大3人の味方キャラクターと共に探索を行い、ストーリーを進めていく疑似オープンワールド型のRPG。
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プレイヤーはギャングから借りパクした宇宙船「エボン・ホーク」を拠点とし、さまざまな惑星に任意で降り立ってはスターフォージへと繋がる「星図」を探していく。
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プレイヤーが探索する惑星では悪徳企業の奴隷売買、資源採掘を巡るいざこざ、現地部族とのトラブル、疫病の蔓延などといったさまざまな出来事があり、プレイヤーは会話や探索、戦闘を駆使してこれらの問題を解決していく。
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ストーリーは会話選択肢や行動による分岐が非常に豊富で、惑星ごとのサイドミッションでは結末ががらりと変化するものも。最終的な結末は「ライトサイド」と「ダークサイド」の二種類が用意されており、道端で出会った喧嘩の仲裁から銀河の命運を賭けた決戦まで全てがプレイヤーの善行/悪行によって変わる。
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過去に行った行為が後のストーリー内容や仲間キャラの言動に影響していく要素も多く、特に序盤から終盤まで付き合う重要人物カース・オナシとバスティラ・シャンの二人と主人公の信頼関係はこれまでプレイヤーが選んだ選択肢にかなり影響される。
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随伴させたキャラクターはストーリーイベント中に介入・助言してくる場合もあり、会話パターンは網羅しきれないほどに豊富。馬の合わない相手同士を随伴させると、プレイヤーそっちのけで口論を始めたりも。
戦闘システム
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戦闘はアクション要素のないオートで、プレイヤーが操作・指示していない味方NPCは自己判断で戦う方式。操作するキャラクターは画面左下からいつでも切り替えることが出来る。
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プレイヤーは任意でポーズすることが可能(スペースキー)で、状況に合わせて攻撃したり、シールドを展開したり、グレネードを投げたり、フォースを使用したりといった行動を選択できる。
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選択した行動パターンは選択したとおり順番に実行されていく。例えば相手を安全に倒したい場合、スタン・シールド展開・攻撃という順番で行動を選択することで相手を無力化しつつ自分の能力を高めて攻撃に出ることができる。
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体力は各種メディキットで回復するか、フォースの「キュア」で回復するかの二択。HPが無くなった場合は倒れてしまうが、戦闘終了後にHP1の状態で立ち上がる。
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ただしドロイドはリペアキットという別のアイテムが必要で、フォースで回復させることができない。
アイテム・装備
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アイテムは数の制限や取得した人物の管理要素がなく、全キャラクターで共有する方式。
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取得できるものには消費や装備が可能な通常アイテムと物語の進行に必要なクエストアイテムの二種類が存在し、クエストアイテムは別の欄に格納される。
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戦闘中に使用可能なアイテムを所持している場合は右下欄に表示されるようになり、選んで選択することでグレネードを投げたりアドレナリンを注射したりといった行動を取ることができる。
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また、各種アイテムは取得する以外に設置することも可能で、一部サイドクエストでは「死体の山にグレネードを紛れ込ませ、それを狂暴な生物に丸呑みにさせて爆殺する」といった特定のオブジェクトに対してアイテムを仕込むことで進行するものもある。
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それぞれの操作キャラクターには全9つに分かれた装備可能部位があり、それぞれの部位に武装してキャラクターの性能を上げていく。
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部位は脳にコンピュータチップを接続する「Implant」、ゴーグルなどを装着する「Head」、ガントレットを装着する「Hands」、使用回数が有限だが強力なシールド装置を装備できる「Left/Right Arm」、防具を着用する「Body」、 武器を装備する「Left/Right Weapon」、能力向上装置やステルス装置を装着する「Belt」で構成されている。
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一部の部位や防具の種類には上述のFeatによる拡張要素やキャラごとの制限がある。脳改造を行っていない生身の人間にはインプラントは装着できず、また金属製の鎧はジェダイのフォース能力を妨げるためローブを着ないとフォースライトニングが放てないなど。ウーキーに至っては人間用防具が着用できないので常時全裸となる。
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また、ドロイドの装備部位は全て人間とは別の項目に変化し、プレートやセンサーなどといった固有の部位にドロイド限定の装備品を当てはめていくことになる。
作業台
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世界各地の施設や拠点となる宇宙船には作業台が用意されており、プレイヤーはここで一部の武器や防具に専用アイテムを装着して強化改造を施すことができる。
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ライトセーバーの手入れも作業台で行い、3つのスロットにクリスタルを装着して色と性能を調整していく。
ライトセーバー
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ジェダイとシスの武器であるおなじみのライトセーバーも当然登場。こちらもカスタマイズ要素があり、道中でカイバー・クリスタルを手に入れて作業台で改造することで色や性能を調整したりできる。
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基本のシングル=ブレード、二刀流のツイン=ブレードのほか、EP1で衝撃的な登場を果たしたダブル=ブレード・ライトセーバーも本作の時代ではジェダイが使用しており、プレイヤーに持たせることも可能。
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本作の時代ではシスの軍勢もライトセーバーを所持しているため、彼らを倒せば複数のライトセーバーを同時に所持することもできる。
アライメント
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主人公の行動によって変動するパラメーターとしてAlignment(属性)という項目が用意されており、キャラクター情報確認画面で見られる。
概念としてはおおむねベースとなっているダンジョンズ&ドラゴンズにおけるアライメントと同等。
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簡単に言えば「ライトサイド/ダークサイドのどちらに近くなっているか」という情報を具体的に表した数値。
ライトサイド(秩序・61以上)は水色、ニュートラル(中立・60~40)は紫、ダークサイド(混沌・39以下)は赤色で表現されるほか、表示される顔グラフィックや背景、ポーズなども変化(ライトサイドは精悍そうな立ち姿になり、ダークサイドは獰猛そうな姿勢となる)する。
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パラメータ数値は0~100で構成され、ゲーム開始時の数値は50。善行を積むとポイントが加算され、悪行を積むと減算される。
どちらかに傾倒していないと装備できないアイテムが存在したり、フォースパワーの使用コストが増減したりといったメリット・デメリットが存在する。例えばライトサイドの場合はより少ないコストで「キュア」で回復できる代わりに「ライトニング」を使用する際のコストが最大約1.7倍も増加し、「Star Forge Robes」はライトサイドでしか、「Darth Revan's Robes」はダークサイドでしか装備できない。
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また、パラメータがカンスト状態(0か100)に達した場合は選択したジェダイクラスとどちらに傾倒しているかに応じてマスタリーボーナスが獲得できる。センチネルを選択してカンストするとライトサイドでは体力が+3され、ダークサイドでは常時毒耐性が付与されるといった具合。
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使用したフォースパワーの種類自体はアライメントに影響しないので、ライトサイド状態で暗黒面の技であるフォースライトニングを連発して相手を感電させまくったとしても(消費コストは高いが)物語上の問題はない。
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アライメントの数字は各種味方キャラクターにも適用されており、こちらは物語中に変動することはない。
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基本的に銀河共和国およびジェダイの側として戦うので味方キャラもライトサイドに寄っている者が多いが、マンダロリアン傭兵のカンデラス・オルドは30・暗殺ドロイドのHK-47は驚異の20とダークサイド寄りのパラメータを持つ人物もいる。
仲間たち
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ゲーム中、主人公のほかに一緒に行動し戦闘に参加してくれる味方キャラクターが複数人登場する。キャラクターは主人公(必須)のほか、最大2人まで連れて3人パーティーを組むことができる。
味方キャラはメインクエストやサブクエストを進行していくことで徐々に増えていき、最大で9人の異なる性能を持つキャラクターとパーティーを組める。連れて行くメンバーは惑星に着陸して宇宙船から出る際に選び、それ以外のキャラクターは主人公の地上行動中は宇宙船で待機する。
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Trask(トラスク)
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チュートリアルでのみ登場する銀河共和国の少尉…なのだが、なぜかアライメントは中立(50)。
足元のおぼつかない主人公に基本的な立ち回りを教えてくれた後、乗り込んできたシスの暗黒卿ダース・バンドンから主人公を救うため突撃をかます。
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Carth(カース)
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本編開始直後から同行する初期メンバーであり、マンダロリアン戦争にも参加した銀河共和国のパイロット。
元上官が行った故郷への爆撃で家族を失っており、正義感は強いが人間不信に陥っている。
ブラスターによる射撃を得意とし、自分用にカスタムを施した二挺拳銃で武装している。
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Mission(ミッション)
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タリス編中盤で加入する、小柄なトワイレックの少女。孤児だが、町の下層部でウーキーのザルバーと共に暮らしている。
ザルバー救出に際してパーティーに加わり、以降はザールバーと共に探索に同行してくれる。
基礎性能は低いがスニークアタックに優れており、適切に活躍させるにはややコツのいる人物。
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Zaalbar(ザルバー)
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タリス編中盤で加入する、Big Zと呼ばれるウーキー族の獣人。高い体力と近接攻撃力を持つパワータイプ。
かつてウーキー首長の息子だったが、ある事件により追放され、以後ミッションと共に暮らしていた。
誘拐されていたところを主人公に救出されて以降は命の借り(Life debt)という慣習に則って同行してくれるようになる。
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Bastila(バスティラ)
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タリス編終盤で加入するジェダイであり、本作のメインヒロイン。幼少期から寺院で訓練された典型的なジェダイ・マスターで、黄色のダブル=ブレード・ライトセーバーを使用して戦う。
元は遊牧生活を送るトレジャーハンターの家族に生まれており、タトゥイーンでは彼女の母親とのサブクエストが発生する。
味方艦隊の士気と能力を高める強力なフォース能力「戦闘瞑想」が使える稀有な人物であり、かつてダース・レヴァンをも倒したとされるが…?
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T3-M4
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後の時代のアストロメクに似た容姿を持つユーティリティ・ドロイド。バイナリー言語(ビープ音)で話す。
戦闘能力はかなり低めだが、タリス編終盤においてある施設へ忍び込むためにドロイド屋で所有することになる。
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Canderous(カンデラス)
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かつてオルド氏族として銀河共和国と戦い、生き抜いた歴戦のマンダロリアン。辺境での傭兵生活に飽きていたところを主人公に出会い、銀河共和国側としてジェダイ内戦に参加する道を選ぶ。
傭兵ということで戦闘能力に優れており、重火器の運用がメインとなるほか、剣とアーマーを着用すれば近接タンクとしても高い性能を持つ。
目的のための暴力・殺人を是とする刹那的性格をしており、アライメントはダークサイド寄り。かつての敵同士であるカースとは口論を繰り広げる仲。
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Juhani(ジュハニ)
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ダントゥーインで試練に耐えられず一時的にダークサイドへと落ちた、キャサーというネコ科の特徴を持つ亜人間種のジェダイ。説得し改心させることで仲間に加わるが、そのまま殺害することも可能。
アライメントはライトサイド(70)だが、加入時点で初歩的なダークサイドのフォースパワーを使用することができる。
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HK-47
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惑星タトゥイーンのドロイド屋でなぜか売られている暗殺ドロイド。任意で購入することができ、加入すると現地民であるサンド・ピープルの言葉を翻訳してくれる。
HKは「ハンター・キラー」の略で、その名前に違わぬかなり物騒な過去を持つ。
各種ブラスターに特化しており、会話中に発生する修理イベントを進めることで基礎性能が向上する。
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Jolee(ジョリー)
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惑星キャッシークの森で隠居していた元ジェダイの爺。飄々とした態度で謎かけをしてくるが、根はジェダイらしく真面目で優しい。
アライメントはほぼ中立(55)で、ダークサイドの技もそれなりに使える武闘派。
評価点
スター・ウォーズらしさ全開の世界観
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なんといっても本作最大の魅力点はその「スター・ウォーズ」らしさ。「ジェダイ全盛期の銀河共和国時代」という魅力的な時代設定を存分に生かし、驚異と混沌に満ちた銀河世界を余すことなく堪能することができる。
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フォースのカスタマイズやライトセーバーの色・性能・スタンス選択、何よりも正式なジェダイ・テンプルでの教育といった全盛期ならではのジェダイ描写はシリーズファンにとっては非常に魅力的。
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過酷な自然の広がる始まりの惑星タトゥイーン、奴隷化を企む巨大企業に抗うウーキーの故郷キャッシーク、EP4でちょっとだけ言及されたダントゥーインの在りし日の姿…などなど、映画ファンにはおなじみのロケーションも登場している。
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ダース・ベインによって「二人の掟」が定まる前の、候補生が大量に在籍しているシス帝国のアカデミーに潜入する…という、時代に即してはいるが映画だけ知っているとかなり意外な要素なども盛り込まれている。
魅力的なキャラクターと、複雑かつ秀逸なストーリー
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メインとなる「スター・フォージ」の捜索を巡る死闘は、複雑ながらスター・ウォーズシリーズらしさに溢れた内容。特に、中盤で発覚する衝撃的などんでん返しは一部プレイヤーに「帝国の逆襲」並みの衝撃をもたらした。
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主人公の過酷な旅を支える同行者も皆個性的。猜疑心が強いが情に厚い共和国エージェント、優秀だが心の脆さを隠し持つジェダイ、追放されたウーキー首長の息子、名誉を求めるマンダロリアン傭兵、更には生物全般を「
肉袋
」呼びする狂った暗殺ドロイドまで色々な人物が揃っている。
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プロトコルドロイドと元ジェダイの賢者を連れて「新たなる希望」ごっこを楽しむも良し、共和国軍人とマンダロリアンの犬猿コンビを敢えて組ませるも良し、ウーキーと二人旅で某密輸業者風に楽しんでも良しと、単なる戦略性に留まらない様々な交流方法が用意されている。
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時系列が4000年も昔ということで、ジェダイ&銀河共和国vsシス&シス帝国という基本的な対立構図以外は大きな共通要素がなく、映画シリーズさえ見ていればとりあえず入りこめるストーリー内容。それでいて後の時代とリンクする要素も多く、シリーズファンであればにやりとする場面も豊富。
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逆に「ハンマーヘッド級巡洋艦」「宇宙密航生物ギズカ」「悪徳大企業クザーカ社」「シスの伝説的な暗黒卿レヴァン」など本作由来の要素が後のシリーズ正史に採用されるといった事例もあり、緩いながらも様々な場面で新旧シリーズとの繋がりを感じ取ることが出来る。
豊富なストーリー分岐
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メインストーリーから単発サブクエストに至るまで、プレイヤーが選べる選択肢は非常に豊富。
例えば街でならず者に囲まれている市民に助けを請われても、素直にならず者を返り討ちにして市民を助けるか、あるいはならず者に対して脅しや賄賂で説得を試みるか、逆に加勢して市民を殺すか、または救った後で市民に見返りを要求したり…と、善人から悪人までさまざまな手段が取れる。
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戦闘の有無や手に入る報酬の違いはもちろんの事、連れている仲間からの反応や後のシナリオへの影響もある。善行を積むと秩序を重んじる人物からは評価される一方で好戦的な人物は敵対的な相手に対して攻撃を急かしてくるなどキャラクターの思想を基にした様々な反応があり、会話を盛り上げてくれる。
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ある人物を改心させず殺害した場合、後にその人物の親友であったジェダイが敵対勢力であるシスに転向して復讐に挑んでくるなどといった具合に同シリーズの世界観を意識した展開もあり、それぞれのルートに魅力的な演出が用意されている。
賛否両論点
複雑すぎるサブクエスト展開
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大量に存在するシナリオ分岐と会話イベントは本作の魅力である一方でまた欠点でもあり、一部クエストでは置かれた状況を理解するのにかなりの労力を要する。
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特に難易度が高いのが、惑星マナーンで発生する裁判イベント。マナーンは中立地帯であるため交戦が許されないが、シナリオでは敵対するシスの基地に潜入するという法律破りの行為を強制的に行わなければならなくなる。
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施設探索後は逮捕され、裁判で有罪判決が決まってしまうと処刑されてゲームオーバー。プレイヤーは数多く存在する選択肢から適切な内容を選んで裁判官全員を納得させ、無罪を勝ち取らなければならなくなる。
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なお、この裁判も自由度が高く、有罪で死刑・部分的有罪で追放処分・証拠不十分で釈放・正当防衛が認められ無罪・シス基地で行われた悪行を弾劾し感謝される、といった様々なルートに分かれている。
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惑星コリバンのシス・アカデミーも潜入が難しく、ある選択をするとアカデミーの全職員・生徒が敵対するため対策をしていないと非常に苦戦する内容。
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その他「殺人事件の正しい犯人を証言から推理する」「教義の内容を読み漁って闇落ちしたジェダイと禅問答を行う」「対立しているラカタ族のどちらかの勢力を徹底的に滅ぼす」など、かなり面倒な考察や過酷な選択を強いられる場面も用意されている。
キャラ格差
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同行可能な味方キャラには性能差が設定されており、スタイルに合わせてさまざまな育成が楽しめる…のだが、案の定露骨にジェダイ(を始めとするフォース感応者)が強い。
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キャラ性能はジェダイ>軍人>民間人>ドロイドという良くも悪くも概ね原作通りのバランスとなっており、結局のところパーティーを全員ジェダイにしてライトセーバーでごり押すことで大抵の局面が切り抜けられてしまう。
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一般人のザルバーやカースには一時的に主人公レベルの見せ場が用意されてはいるため印象に残るが、ドロイド勢にはそれがなく物語的にも戦闘力的にもかなり影が薄くなってしまっている。
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敵サイドもフォース使いが強いというバランスは同じで、物語が序盤を過ぎてシスやダークジェダイが出没してくるあたりから徐々に一般人キャラクターは分が悪くなっていく。
やや簡素な戦闘演出
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D20システム(20面ダイスを振って行動の成否判定を行うTRPG向けのルール)に準拠した戦闘システムを採用している都合上、本作には戦闘にランダム要素が強くアクション性がほぼない。
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回避するかどうか・命中するかどうかなどを全てダイスの目で決めるので、敵も味方も行動パターンは「戦闘開始と同時に射程距離内まで前進し、棒立ちで攻撃を繰り出し続ける」という、3DCG映像として見ると流石に違和感のあるもの。ボードゲームや2DのRPGでなら問題ないルールではあるのだが…
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戦闘中のキャラクターが遮蔽物などを使用することはなく、回避が発生した場合はその場で体をくねらせて避ける。ただし主力武器であるライトセーバー自体はかなり気合の入った作りとなっており、ジェダイとシスの戦いでは映画さながらの鍔迫り合いが繰り広げられる。
広大な割に移動手段に乏しい一部マップ
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各惑星を構成するマップは複数の区画に分かれて相互に接続させており、それなりに広め。ショートカットなどは用意されているものの数はあまり多くなく、再訪しようと思うとそれなりにきつい。
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特に広大な「デューン・シー」の広がる惑星タトゥイーンの砂漠地帯は徒歩移動がかなり面倒臭く、目的地であるサンドピープルの居住地と宇宙港のあるアンカーヘッドをイベントで往復させられるため億劫。
一応主人公は序盤のある出来事以降、自前のスゥープ・バイク(高速機動が可能な反重力マシン)を所有しているのだが、こちらは各地で開催されるレースのミニゲームでしか使う事ができない。
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どこの区画も似たような見た目と構造をしていて迷いやすいマナーン上層部や降下用エレベーターがやけに遠いキャッシークの村など、必要以上に移動に手間取る構造のマップが全体的に多い。
問題点
序盤の高い難易度
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最初の舞台となる惑星タリスではそれなりに長い期間ブラスターや実体剣だけで探索を行うことになるのだが、この間のゲーム難易度はかなり高め。慣れないプレイヤーにとってはかなりハードなバランスに感じられるようになっている。
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正式にジェダイとして使い方を習うまではライトセーバーやフォースを使えず、シールドを張ったり回復したりといった便利な手段が封じられている。ショップや病院は揃っているものの品揃えはあまり良くなく、地元ギャングとの抗争では苦戦しがち。
結局戦闘力重視のストーリー展開
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本作は道中で一応隠密・奇襲を軸としたプレイスタイルを選択することが可能となっているが、物語の都合上強制戦闘が幾度となく発生するため「戦闘関連のスキルを揃えてないと死ぬ」というゲームバランスになっている。
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特に物語を通しての悪役ダース・マラックとその弟子ダース・バンドンはシスの暗黒卿ということもあって強敵。そこに至るまでに適切に育成しておかないと、彼らの猛攻に耐えることができず詰んでしまう。
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幸い仲間たちの技能を活かせば大抵の状況は突破できるため、プレイヤーキャラをわざわざ器用貧乏にする必要はそこまで高くない。困った時は脳筋育成にしておけば概ねうまく行くようにはなっている。
回収しにくいサブクエストの存在
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仲間キャラクターとは連れ歩き中に会話を行うことができ、この会話にはそれぞれ段階が設定されている。そして、ある特定の段階まで会話を進められた(仲間を連れ歩きつつ、会話をこなした)場合のみ出現するサイドクエストが存在するのだが…
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該当するのは主にカース・オナシの家族に関するサブクエストで、彼との会話の段階を進めて家族について知った上でシス・アカデミーのある惑星コリバンに向かわなければサブクエストの該当NPCである彼の息子が出現しない。重要人物の割に出現条件を把握していなければ会うのが非常に難しく、会話を進めるより先にコリバンに着いてしまった場合は息子と会う事は出来なくなる。
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息子はメインのストーリーに関与しないキャラではあるものの、カースの過去自体は中盤の内容に絡んでくるため、彼に救いがあるかどうかの意味合いは大きい。
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こちらはさほど重要ではないが、序盤で訪れる惑星タリスはサイドクエストが豊富にもかかわらずある理由により離脱後に再訪することができない。このため、全てのクエストを網羅したい場合は予め脱出前に進めておく必要がある。
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幸いタリスでしか入手できないものなどはないが、ここにしかない闘技場などもあるため追加の経験値などが欲しい場合は忘れずに挑んでおく必要がある。
頭部装備の少なさ
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本作の装備システム上、アーマーは胴体部分のみに着用・外見に影響するようになっており、顔はバイザーやセンサーなどを着用する部位という想定。このため、顔を覆えるヘルメットなどの頭部装備が殆ど手に入らない。
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道中では武装種族マンダロリアンと戦うことができ、勝てば特徴的な全身を覆うタイプのマンダロリアン・アーマーも手に入るのだが、マンダロリアン・ヘルメットは生首のキーアイテム扱いで防具としては着用不可。
また、最終版で手に入る重要アイテム「Star Forge Robe」および「Darth Revan's Robes」も実際に手に入るものは着用しても頭部が露出している。
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特にStar Forge RobeとDarth Revan's Robesに関してはある理由によりマスクとフードが付いた状態のほうが印象深いため、それがない状態の姿しか選べないのは違和感が大きい。
バグ
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膨大な会話システムの弊害としていくつかバグや数値の設定ミスが存在する。
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セーブ・ロード時にデータが破損したり、イベント進行がおかしくなったりといった問題のあるものや、バランスが取れて耐性も強いとされているConsularクラスが実際は戦闘力の値が低めに設定されていたり、船の中でウーキーが大量に増えた末に仲間もウーキーに変異するといったシュールなものまで。
総評
テーブルトークRPG由来の高い自由度を巧妙にスター・ウォーズ世界に落とし込み、極めて高い没入感を得られるRPGとして構成した作品。
時系列的には大幅に過去の出来事ながら過去作を意識したファンサービスも豊富で、シリーズファンを中心に圧倒的な評価を得た。
会話主体の内容ゆえ文章量が非常に豊富であり、プレイには相応の根気とTRPGの基礎知識が求められるためややハードルは高め。
そのため気軽に手に取れる内容ではないものの、シリーズファンであれば触って損はない色褪せぬ魅力のある一作となっている。
余談
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続編
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翌2004年には、続編となる『Star Wars Knights of the Old Republic II: The Sith Lords』が発売された。
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開発を担当したのはBiowareではなく、当時『バルダーズ・ゲート』シリーズでBiowareと共同開発を行っていたObsidian Entertainmentが担当。
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ストーリー的には本作の5年後となり、シスによってジェダイが壊滅しかけた時代を生きる元ジェダイの旅を描く。
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移植
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当時は日本語版は発売されなかったが、2022年5月12日に日本語対応版がSwitchで販売された。
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オリジナル版であるPC版はSteam等で配信されているほか、Xb移植版もOne/XSXで配信されている。これらは国内でも購入可能だが、日本語未対応。
最終更新:2025年04月22日 17:06