※個人パブリッシングのSteam版については割愛。
※本項では2025年6月5日配信のChapter 4までの内容に準拠しています。
DELTARUNE
【でるたるーん】
ジャンル
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RPG
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対応機種
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Nintendo Switch 2 Nintendo Switch プレイステーション5 プレイステーション4
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メディア
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ダウンロード専売
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発売元
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ハチノヨン
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開発元
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Toby Fox
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発売日
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2025年6月5日
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定価
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3,980円(税込)
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レーティング
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CERO:B(12歳以上対象)
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プレイ人数
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1人
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判定
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良作
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ポイント
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『UNDERTALE』のパラレルストーリー Chapter 1に限り粗削りな箇所が多い
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UNDERTALEシリーズ UNDERTALE / DELTARUNE
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概要
『UNDERTALE』の作者Toby Fox氏が手掛けるUNDERTALEシリーズの第2作。
『UNDERTALE』のNintendo Switch版発売直後の2018年10月に突如、体験版としてPCで『DELTARUNE Chapter 1』が発表され、翌年の2019年にSwitchとPS4でも配信。その約3年後の2021年9月に、Chapter 2が追加された『DELTARUNE Chapter 1&2』として、無料アップデートが行われた。
そして、Chapter 3,4を追加した製品版が2025年6月5日に発売された。Nintendo Switch 2のローンチソフトの一つでもある。
残りのChapter 5以降は、製品版を購入済みのユーザーを対象に、無料アップデートで追加されていく予定とのこと。
なお、本作は『UNDERTALE』クリア済みのプレイヤーを対象としているため、『UNDERTALE』のネタバレとなる内容が含まれている。本記事でも『UNDERTALE』のネタバレとなる記述はなるべく避けるようにしているが、未プレイの場合は注意。
特徴
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『UNDERTALE』と同様、コマンド選択式のRPGに、STGのような避けゲーを組み合わせたバトルシステムを採用している。
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ランダムエンカウントだった前作と異なり、今作ではシンボルエンカウントへと変更されている。
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戦闘画面はフロントビューからサイドビューへと変更。また、主人公以外にも仲間キャラクターが追加されている。
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新たなシステムとして「TP」が追加。
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「攻撃をする」「防御を選択する」「敵の攻撃をギリギリで回避する」などでTPが溜まり、TPを消費することで、特別な「こうどう」や「まほう」を使用することができる。
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TPは戦闘が終わるごとにリセットされるが、TPが多く溜まった状態で戦闘を終えることでお金を多めに入手できる。
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HPが0以下になった味方は「Down」となり、戦闘不能状態となってしまう。味方全員のHPが0になるとゲームオーバー。
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残りHPを超えるダメージを受けてしまった場合、受けたダメージに応じてHPがマイナス表記となり、ターンを迎える度に一定数HPが自動回復する。
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回復アイテムや回復魔法などを使用するか、上述した自動回復でHPが1以上になれば戦闘不能状態から復帰できる。他にも「リザレクトミント」という戦闘不能状態からHP最大まで回復するアイテムも存在する。
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『UNDERTALE』と同じく、敵と和解する手段として「みのがす」コマンドも用意されている。
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前作同様「こうどう」コマンドで敵の名前を黄色くすれば、見逃すことができる。
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今作では新しく停戦方法の一つとして、スリープの魔法が追加されており、敵が「くたびれ」状態になることで眠らせて停戦することも可能。「くたびれ」状態になった敵は名前が青くなる。
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Chapter 2以降は、敵の種類ごとに決められた数の和解をすることで、敵キャラがキャッスルタウン(闇の世界の城下町)に住民として住み着いてくれる。
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ストーリーはChapterごとに区切られたリニア進行方式となっている。
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他のRPGで例えるなら『MOTHER3』や『ファイナルファンタジーXIII』などに近い。
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チャプターセレクト機能も最初から使用できる。
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ただし、これは体験版をプレイ済みのユーザーに対する配慮であるため、基本的にはChapter 1からのプレイが推奨される。
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マルチエンディングの撤廃
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前作『UNDERTALE』においては、「敵を殺すか見逃すかでルートが分岐し、それに応じてエンディングが変わる」という特徴があったが、本作のエンディングは一つだけと、発表当初から作者のToby Fox氏が明言している。
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実際、前作における「Pルート」や「Gルート」のようなものは本作にはなく、敵を倒しても見逃しても大まかなストーリー展開は変わらない。一方で、敵を倒したり見逃したりすることが全くの無意味というわけでもなく、一部の台詞やカットシーンが変わったり、間接的に登場人物の生死に関わることも少なからずある。
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ただし…(ネタバレ注意)
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Chapter 2において、特定の手順を踏むことで一部ストーリーの流れが大幅に変わる特殊なルートが存在する。
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現時点では完結していないため、最終的なエンディングにまで影響を及ぼすかは不明。
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主なパーティーメンバー
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クリス
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(現時点で)作中に唯一登場する「ニンゲン」であり、本作の主人公。
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他の仲間と異なり「まほう」は使えないが、その代わりに「こうどう」という固有のコマンドが使用できる。
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タマシイを使って闇の泉を封印することができる。
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スージィ
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モンスターのバッドガール。Chapter 1の終盤になるまでは、勝手に攻撃行動をしてしまうため、和解してバトルを終わらせるためには、敵に対して「けいこく」をする必要がある。
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攻撃魔法である「ルードバスター」を使用することができる他、Chapter 2以降は回復魔法も使用できるようになる。
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ラルセイ
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闇の世界の王子。基本的には平和主義者で優しい性格であり、クリスやスージィに対して、なるべく戦わなくて済むように助言をする。
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ダークナーと呼ばれる闇の世界の住民である。対してクリスやスージィなどの光の世界の住民はライトナーと呼ばれる。
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回復魔法である「いやしの詩」と、くたびれた敵を眠らせる魔法「スリープ」を使用できる。
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機種ごとの違い
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Switch2版にはJoy-Con 2の新機能であるマウス操作を使用したスペシャルルームが用意されている。
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その他の機種でも操作方法は異なるが、スペシャルルーム自体は存在している。
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PS5/PS4版はトロフィーに対応している。
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Switch2/Switch版はどちらか片方を購入していれば、もう片方を300円で購入可能。
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PS5/PS4版はクロスバイ対応となっている。
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下位機種ではロード時間が長くなっている。(公式では「キュートなローディング時間を長く見られる」と表現されている。)
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なお、ロード時間は主にChapterの切り替え時に発生するため、本編のプレイ中に支障が出ることはほぼ無い。
評価点
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個性豊かなキャラクターたちによって描かれる魅力的なストーリー
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ストーリーの大筋は「3人の勇者が世界を救うために闇の世界を冒険して闇の泉を封印していく」というRPGとしては王道寄りなもの。
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一方で、敵を含めた登場キャラクターたちの個性は粒だっており、陳腐さは全く感じられない。
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また、現時点では具体的な説明がされていない描写もあり、ファンの間で考察の対象となっている。
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例として『UNDERTALE』と同じく人間が主人公のクリス以外にいない、ラルセイが前作のとある人物に酷似している、クリスとタマシイの関係性など。
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『UNDERTALE』を知るプレイヤーへのファンサービス
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主に光の世界において『UNDERTALE』に登場したキャラクターや施設・単語などが立場を変えて登場するため、『UNDERTALE』を知っているとニヤリとできる要素がたくさんある。
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『UNDERTALE』からパワーアップした演出
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本作では開発メンバーが増えたこともあってか、『UNDERTALE』よりも演出面が派手になっている。
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とりわけChapter 2以降はカットシーンやムービーなどの演出が強烈になっており、プレイヤーに強いインパクトを残してくれる。
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評価の高いBGM
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『UNDERTALE』でも使用された、特定のキャラクターごとにテーマとなるフレーズを作り、複数の曲に利用するという手法は健在。
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中には『UNDERTALE』で使用されたBGMのフレーズが使用されているものもあり、これも一種のファンサービスになっている。
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とりわけ通常戦闘曲である「Rude Buster」は、前作の通常戦闘曲よりもスタイリッシュかつ激しい曲調で、高い人気を誇っている。
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また各種Chapterごとにある闇の世界のフィールド曲も高評価。
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非常に丁寧なローカライズ
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『UNDERTALE』でもそうだったが、テキストウィンドウの文字以外の英語もちゃんと元の書体を保ったまま日本語に訳したり、日本人に伝わりやすい英語に変更している。
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一部の敵キャラは合成音声によるボイスを発するのだが、これも日本語になっている。
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一部のパズルなどは、日本語に訳す際に、パズルの解法やグラフィックなどをわざわざ意味が伝わるように変更するなど、細かく作り込まれている。
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昨今の海外ゲー、それもインディーゲームで、ここまで丁寧に日本語ローカライズを施している作品は滅多に見られない。
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作者へのインタビューによると、『UNDERTALE』の頃より日本語を勉強したらしく、一部キャラクターの一人称などは、Toby Fox氏本人が直々に決めたとのこと。
賛否両論点
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相変わらずクセの強いキャラクターたちと独特の作風
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『UNDERTALE』と同様、個性的ではあるもののキャラクターたちのクセが強く、多少ではあるが人を選ぶ。
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例を挙げると「古風の文語とカタカナを交えた独特な喋り方をする」「台詞が誤字脱字だらけ」「古臭いCG風の見た目をしている」など……。
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他作品ではまず見られないほどのオリジナリティを有しているという点で言えば評価点とも言えるし、極度に不快感を煽るようなキャラもいないのだが、万人受けするかと問われると少々微妙。
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ストーリー展開に関しても、敵サイドのキャラクターが、コントのようなギャグの多いカットシーンを長々と見せつけてきたりすることもあり、これもまた人を選ぶ。とりわけChapter 2・3で顕著。
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ただし、端的に言ってしまえば大まかな雰囲気は『UNDERTALE』のノリとそこまで変わらないため、『UNDERTALE』のキャラクターや作風にハマったプレイヤーなら、概ね受け入れられることができる。
問題点
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たたかう・みのがすを選べるシステムが上手く活かせていない
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『UNDERTALE』における最大の特徴であった「敵を倒すか見逃すかプレイヤーが選べる」というシステムが本作にも引き継がれているのだが、本作ではこれを上手く活かし切れているとは言い難い。
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特徴にも書いた通り本作では敵を倒しても見逃してもストーリーに大きな影響を与えない。
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『UNDERTALE』では敵の生死に直接関わる都合上、戦うことを選択する重み、平和的に解決することの難しさ、平和的に解決できた時の達成感が表現されていた。
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一方、本作では雑魚敵を攻撃して倒しても逃げ出してしまうので直接殺害することはできない。ボスも同様で攻撃して倒しても、生死に直接影響せず、ストーリー展開に大きな影響を与えることはない。
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もちろん、カットシーンや一部台詞などは変わるし、時には主要キャラクターの生死に影響することも少なからずあるが、前作のような大幅な変化を期待すると肩透かしを食らう。
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また、倒すか見逃すかが完全に決められているボスがいることも、上記の問題点を助長している側面がある。
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特に見逃すことしかできないボスは、「ダメージを与えても全回復する」「たたかうコマンドを封じられる」「攻撃が一切当たらない」など、露骨に攻撃による撃破を封じられているため、余計にたたかう・みのがすを選べるシステムが形骸化しているような印象を受ける。
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逆に攻撃して倒す必要があるボスは、それまで和解して進めてきた場合でも攻撃を選択しなくてはならないので、攻撃用の武器の更新を怠って戦いに苦戦したり、「本当に攻撃して大丈夫なのか?」と躊躇したりする可能性もある。
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雑魚敵から逃げることができない
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シンボルエンカウントに変更したということもあってか、前作に存在した逃げるという手段が使えなくなっている。
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敵キャラと和解を目指す場合、一定数以上仲間にしたらそれ以上は戦闘を行う必要性が低いため、下手にエンカウントしてしまうと、かなり面倒くさい。
Chapter 1のみの問題点
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「こうどう」がクリスしかできない。
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基本的に敵を見逃す場合は「こうどう」で和解する必要があるため、クリスが戦闘不能になると、敵との和解ができなくなってしまう。
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仲間は「こうどう」できないため、見逃す場合はクリス以外はひたすら防御を選択するというプレイングになりがち。
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Chapter 2の途中からは、仲間たちがそれぞれ個別に「こうどう」と同じことができる「〇アクション」(〇は仲間の名前のアルファベット頭文字)を覚え、和解を狙う場合でも、防御以外に選択肢が増えた。
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一部ユーザビリティに難がある
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アイテムを一定数以上持つと持ちきれない。
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Chapter 2以降はセーブポイントから倉庫にアクセスできるようになり、最大所持数を超えたアイテムは自動的に倉庫へと送られるようになった。
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セーブファイルは3つまであるが、セーブをする際に別のファイルにセーブをすることができない。
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Chapter 2以降は、セーブポイントから別のセーブファイルにセーブをすることができるようになった。
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その他、Chapter 2以降に改善された細かい点
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敵のHPがパーセンテージで表示されるようになった。
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敵のHPの横に「みのがすゲージ」が追加されて、どの行動でどれくらい和解が進んだか視覚的に理解できるようになった上に、和解ができない敵の場合、みのがすゲージに×印がつくようになった。
総評
『UNDERTALE』の魅力の一つであった「個性豊かな人外のキャラクターたち」「ギャグの多い独特の作風」などは、本作においても健在で、『UNDERTALE』の作風が好きな人にとっては、本作も存分に楽しめる。
一方、『UNDERTALE』と比べてシナリオ面での自由度が下がっている点に加え、現状未完結であるため、シナリオの最終評価がどうなるか不明瞭という懸念点も少なからずある。
また、あくまでも『UNDERTALE』を知っているユーザーに向けた作品であるため、いきなり本作から始めるのは推奨できないが、裏を返せば『UNDERTALE』のファンであれば、本作もオススメできる作品であると言えよう。
Chapter 1に限り、システムなどに粗削りな部分が垣間見えたが、それらもChapter 2以降で改善されているものも多い。
Chapter 2までなら無料で遊べる体験版が存在するため、興味のある方は、まずはそれをプレイして、雰囲気などの作風が肌に合うかどうかを確かめてみることを推奨する。
余談
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気づいた方もいるかもしれないが、「DELTARUNE」は「UNDERTALE」の文字を並べ替えた、所謂アナグラムである。
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また『UNDERTALE』をプレイ済みの人ならわかるが、「DELTA RUNE」という単語自体は『UNDERTALE』内においても登場している。
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現状『UNDERTALE』における「DELTA RUNE」と本作における「DELTA RUNE」にどのような関連性があるかは不明。
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本作も『UNDERTALE』と同じく小ネタの類が非常に多いが、その中には周回プレイ時に有効活用できる便利なものもある。
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詳細 ネタバレなのでクリア後の閲覧を推奨
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Chapter開始時に主人公が寝ていた場所を調べることで、闇の世界で冒険を始めるところまでスキップすることができる。
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本作には各Chapterごとに隠しボスがいるのだが、一度でも隠しボスを倒したことがあれば、キャッスルタウンの左側にある穴を調べることで、別のセーブデータでも隠しボスの撃破報酬を貰うことができる。
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PS5/PS4版では、特定条件を満たすことによって隠しメッセージを見ることができる。
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ただしその隠しメッセージを見る条件は理不尽と言っても過言ではないほど難易度が非常に高い。作者のToby氏も「か な りキツいチャレンジ」「実際に挑戦するのはおすすめしません!」と言っているほど。
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詳細
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その条件とはトロフィーを一切取得しないままゲームを最後までクリアすること。
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これだけなら一見そこまで難しい条件には思えないかもしれないが、本作では「ダメージを一定回数受ける」「ゲームオーバーになる」「武器や防具を装備する」「アイテムを使用する」「隠し要素を見つけずにチャプターをクリアする」だけでもトロフィーを取得してしまうため、事前情報を知っていても達成は困難を極める。
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最終更新:2025年09月16日 16:24