佐官

登録日:2011/06/28 Tue 06:52:29
更新日:2025/04/24 Thu 19:10:13
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佐官とは軍人の階級区分の一つ。将官の下、尉官の上に位置する。

「左官」だと大工の一種になるので注意。


○概要

一般的に大佐・中佐・少佐の3階級からなる。
国によっては大佐と少将の間の准将・代将を佐官待遇として扱うところもある。

主に連隊や大隊の指揮官や参謀、軍艦の艦長・参謀や国防省や軍令部等の職員などを務める。

佐官には部隊を率いるだけではなく、戦場全体を把握する指揮官としての能力を求められ、機密情報に触れたりその管理も職分となる。
そのため大尉から少佐に昇進する時には、士官学校を出ているだけではなく特別な専門教育を受ける必要であり、単なる職業意識のみでなくより一層の国家や組織への忠誠も必要とされる。
その為、ただ手柄を上げれば登れる訳ではない士官にとっての出世の壁の一つ。アムロが少佐になれなかった理由の一つ。

一応軍隊ではない我らが自衛隊では一佐(一等○佐、大佐相当)・二佐(二等○佐、中佐相当)・三佐(三等○佐、少佐相当)となる*1
○には所属部隊に応じて陸海空いずれかが入る(例:陸自なら一等陸佐)。
創作では自衛隊ではなくても類似した組織の階級として採用されることも。


アニメなどでは、主人公自身ではなく、主人公の属する部隊の長や、主人公のライバルがその階級である場合が多い。
前述したように佐官は大尉以下に比べ管理職としてのカラーが強く、主人公の兵科によってはアクションシーンとの相性が劣悪となるためである。故に、のらくろも少佐になれなかったのである。


その昔、西洋では将官(大将~准将)が大貴族や国王であり、それの部下を勤めた上級貴族がこの階級の元であるため、
文明開化を迎えた日本では律令制の将・上・長(カミ)の次席であった介・輔・佐(スケ)から佐官と訳された。

中国等では「佐」の字が文字通り「補佐」という意味合いが強く、指揮官の階級名に相応しくないため上校~少校という。

ちなみに上級の船員のことを士官(officer)と呼ぶが、そちらは軍隊の将校とは別の由来でどちらが古いか断言できないほど昔から。
なので民間の客船でもちゃんとした船なら「士官室」とか士官を使っているが彼らは軍人ではない。
自衛隊は旧軍由来の階級呼称などを読み替えたりしているが海上自衛隊で士官をそのまま使っている。
軍事用語ではなく一般的な船舶用語だからね。


○准将・代将

「将」とつくものの将官ではなく佐官待遇な国もある。上級大佐とも。
陸軍では旅団長。海軍では小規模艦隊や群、戦隊の司令。空軍では群司令。
准将は陸海空で通用するが、代将は海軍で専ら用いられる。

独立性は高いが規模が小さい部隊の指揮等、大佐級を指揮しなければならないが、将官が務めるほどでも無い役職のための階級。
その部隊の首席大佐(司令たる大佐)が指揮のため一次的に着く役職だったり、正式な階級だったり国によって扱いが異なる。
そもそもない場合もある。

准将は多くの場合将官待遇にあるのに対し、代将は佐官待遇止まりであることが多い。
でもって代将はドマイナーなためフィクションではまず、いない。

防衛軍准将。平和ボケが蔓延する防衛軍上層部の中でゴジラ撃滅に闘志を燃やす。
強面グラサンの如何にもタカ派軍人といった風貌に反して物腰が柔らかく、所属部隊を問わず慕う者は多い。怪しげなテレビ局に勤める一人娘を心配する父親としての一面も。

機動戦士ガンダムSEED DESTINY』終盤にてオーブ軍に所属した際の「身内人事」での階級。
作中で18歳という若さながら准将まで登り詰めたという歴代ガンダム主人公トップの出世を果たしており、元々民間人だった身である事を考えれば、途中の紆余曲折もありながらも異例とも言える。
ちなみに『FREEDOM』でのみアスランも一佐(大佐)*2

SDF-1 マクロスの艦長。パイプを愛用しているが、よくシャミーに「禁煙です!」と叱られる。
ボドル・ザーとの決戦後は、新統合政府の初代最高指導者として責務を全うした。

独立治安維持部隊アロウズの将校で部隊のNo.2。

○大佐

陸軍では主に連隊長等を、海軍では主に比較的大型の軍艦の艦長、或いは隊司令等を、空軍では主に群司令等を務める。
英語では陸軍・米空軍・加空軍が「Colonel(カーネル)」海軍・英空軍・豪空軍・ニュージーランド空軍が「Captain(キャプテン)」という感じで英語表記の方は役職的には分かり易いが*3
海軍の方は翻訳時に階級の「大佐」の事を指しているのか役職の「艦長」の事を指してるのか判り難くなりがち。
中央省庁では課長級。

母艦の艦長や、部隊の指揮官などに欠かせない階級であるため、アニメなどでの登場頻度は高い。

なおアニメだとこの階級でも現役パイロットとして出てくるが、現実の空軍でもその通りだったりする。出世なんかして書類仕事するより自分で飛んでヒャッホーーイ!ってする方がぶっちゃけ楽しいのは全世界共通である。


赤い彗星。おそらく一番有名な大佐。
しかし初登場時は少佐で昇進したのは終盤になってからと、FGで大佐だった期間は意外と短かったりする。
その後総帥になっても大佐のままだった。この人と同じく名誉称号かもしれない。

一般にはこちらの方が有名な大佐かもしれない。
ご存知ラピュタ王家の末裔で、情報部特務大佐として政府の密命を受けてやってくる。
その立場を活かして鉱山街地方の要塞に駐屯する軍を好き放題動かしており、それゆえ要塞の将軍モウロ中将はよくイライラしている。
ロボット覚醒時の混乱でも(乗じて電線を改造したとはいえ)、臨時と称して要塞全体の指揮を執れるなど佐官としての権力は確かな模様。

ミスリル作戦部西太平洋戦隊総司令官・強襲揚陸潜水艦「トゥアハー・デ・ダナン」艦長。
若くて優秀で頼りになる優しい美少女艦長。

薔薇の騎士(ローゼンリッター)連隊・第13代連隊長。剛胆不敵の不良中年。

魔王閣下。大佐なのに閣下。

焔の錬金術師。
戦闘能力は作中トップクラス、頭も切れる。
他方、TVアニメ第1作ベースの劇場版では降格して伍長に……。

  • ロイ・キャンベル(メタルギアシリーズ)
上の錬金術師とファーストネームが同じでプレイボーイなのもそっくりな大佐。
メタルギアで大佐と言えばほぼこの人を指す。チキンフォックスなんていう名誉なのか不名誉なのかわからないコードネームを持つ。
(作中ではフォックスの称号は優秀な結果を残すと、チキンの称号は攻略に時間がかかる、見つかり過ぎる、殺し過ぎるなどで手に入る)

ソ連のGRU大佐。バイセクシャル。西側でのコードネームはサンダーボルト。
何故大佐クラスは好色な人物が多いのか…。

  • シュバルリッツ・ロンゲーナ(怒首領蜂シリーズ)
表向きは優秀な指揮官であるが、裏では最強の軍隊を作り出すために味方同士を偽りの情報で戦わせたりする外道。
その独特な言動のインパクトは異常。

もうすぐ四十路のくせに落ち着きがなく格闘大会に任務で出ては喜々として人外どもと殴り合う筋金入りの脳筋。
指揮官ポジは上官のハイデルンに取られてしまっているため、他の大佐クラスによくみられる指揮を執るような描写は殆どない。

アメリカ合衆国海軍が誇る凄腕の海軍飛行士にしてキャプテン(海軍大佐)。船のことは何も知らないが、空軍じゃないし艦長(キャプテン)でもない。
問題行動ばかり起こして将官になれない"万年大佐"。知り合いのガキンチョにすら「大佐?まだ?」とか言われる始末。
作中での経歴も テストパイロット→飛行教官→編隊長 と、指揮こそすれど身体を張るものばかりな上にしょっちゅう上官から怒られているのであまり偉そうには見えない。


○中佐

陸軍では主に大隊長、副連隊長等を、海軍では主に副長(大型艦)艦長(小型艦)等を、空軍では主に飛行隊長等を務める。
大国の外国首都駐在武官補がこのクラスであり、「大隊長や軍艦の副長、飛行隊長」と同格が突撃取材をかけて来るので、取材を受ける方は合法的スパイ活動と理解していても中々邪険に出来ないのである意味強敵。
旧日本軍ではこの階級以上が一代貴族として扱われたので、一つの出世の大きな階段となった。
英語では陸軍・米空軍・加空軍が「Lieutenant Colonel(ルテナント・カーネル)」、海軍・英空軍・豪空軍・ニュージーランド空軍が「Commander(コマンダー) 」である。
こちらも大佐同様海軍の方は階級の「中佐」なのか役職の「副長or司令官」なのかが翻訳時判り難い。

アニメなどでは登場した場合、部隊の副官や参謀といった役割が多く、
上官と部下との板挟みにあったり、そもそも影が薄かったりといろいろ大変だったりする。
あまり使われることがないのは内緒


二階級特進で准将に……。

特務部隊「頂武」隊長。ロシアの荒熊。後に大佐に昇格。

海上自衛隊二等海佐。ディーゼル潜水艦「たつなみ」艦長。
独立国家「やまと」を標榜して離反した原子力潜水艦「シーバット」と、その艦長で元同僚の海江田を止めるため奔走する。
途中からライバルポジションをベネットに取られた感がある……。

同じく海自二佐。イージス艦「みらい」の副長兼船務長。後に艦長。
創作上では地味な印象のある中佐だが、本作は米軍の潜水艦長クリス、航空隊隊長のハットン、戦艦副長のテイラー、帝国海軍参謀の滝*4と主人公の角松を含めて中佐相当官が5人も登場し物語に関わってくる。

  • ジェームズ・ボンド(007シリーズ)
英国秘密諜報部MI6の00エージェント。
英国海軍退役中佐。

時空管理局遺失物管理部機動六課の部隊長兼ロングアーチ隊長。
飛べるのに二等陸佐*5
前作『A's』(一応犯罪者だが事実上民間人)からわずか10年でこの地位に。まあ管理局って職務内容&規模に比べてあまりにも人が足りなさすぎるので…
親友二人からも「一番の出世頭」と称賛されている反面、現在展開中のコミック作品『EXCEEDS』などではそれゆえに外見を変える魔法(つまり大人に変身する魔法)で年齢を誤魔化さないと正当な経緯での佐官と思ってもらえずにナメられるなる世知辛い設定も登場している*6

「トゥアハー・デ・ダナン」副長。号令係ではなく公爵と呼ばれるサブマリナー

荒くれ者揃いの海兵隊を率いる姐さん。「宇宙の蜻蛉」の異名を持つ。
一年戦争後、宇宙海賊となったシーマ艦隊が誰一人欠員なく運用出来たのは、姐さんの卓越した手腕の賜物。

異色のNHK教育の道徳ドラマに登場した、富沢美智恵演じるミレニアム帝国の幹部。
1000年後の未来で流行している精神病原体「キルケウイルス」の発生を食い止めるために20世紀へとタイムスリップした少女、アスラを捉えようとするが、実はアスラとはある関係があり……。

○少佐

陸軍では主に大隊長または中隊長等を、海軍では主に軍艦の副長や分隊長、艇長および潜水艦艦長等を、
空軍では主に熟練した航空機操縦士や軍の幕僚等を務める。
英語では陸軍・米空軍・加空軍が「Major(メジャー)」、海軍が「Lieutenant Commander(ルテナント・コマンダー)」、英空軍が「Squadron Leader(スクアドロン・リーダー)」。

若きエリートや叩き上げの指揮官などよく使われる階級である。
主人公の直属の上司であるパターンも多く、物語上で重要な役割を果たすことも多い。
旧陸軍では叩き上げ(一兵卒)から少佐になると、少尉→元帥と同じ回数昇進するため「兵隊元帥」と呼ばれた。

なお現実だと出世コースでこの階級が、仕事してて楽しい最後の階級。ここより上は毎日胃痛と戦う羽目になる。

戦争狂の微笑みデブ。

外の人が代わっても少佐。

スカル大隊隊長。酒と女性をこよなく愛する撃墜王。

ミスリル作戦部西太平洋戦隊・陸戦コマンド指揮官。彼の作るボルシチは絶品。

作中の表記は上級特尉(=少佐)。後に二級特佐(=大佐)に昇進する。
閃光の男爵(後に伯爵)の異名を取る天才パイロット。

劇場版で少佐となった乙女座の漢。
天才的な技量を持つセンチメンタルパイロット。

0083 STARDUST MEMORYの真の主人公たる「ソロモンの悪夢」。
たとえその道が間違っていようと同朋のために戦い続けた漢。

名門出身で国家錬金術師のエリート。
だが軍規に背いたことがあるためこの位で止まっている。

  • ウォルター・フェン(フロントミッション)
FM5thの主人公。作中で僅か10年足らずで、訓練生~少佐に上がった。

  • クラウス・ハインツ・フォン・デム・エーベルバッハ(エロイカより愛をこめて)
もう一人の主人公といえるNATO情報部所属の硬派。
その人気は作品の方向性を変えたと同時に多くの学生がドイツ語を学ぶようになったほど。

  • ゼロ少佐(MGS3)
紅茶と007とUMAとビッグボスをこよなく愛するUMA探求クラブ会長。副業でFOX部隊の司令官をしている。
大のコーヒー嫌いであり、コーヒーを泥水呼ばわりしている。
私の紅茶がなくなっているぞ!飲んだのは誰だ!ティータイムを紅茶無しで過ごせというのか!

ライデンシャフトリヒ陸軍少佐(物語開始時点)。
小説・アニメともそれぞれの理由から、主人公にしてヒロインのヴァイオレットからは名前よりも階級の「少佐」と呼ばれることが多い人物。

  • ボッコ(W3)
手塚治虫のSF作品のヒロインでケモナーのみんなにはお馴染みのボッコ隊長。
地球を残すべきか調査するため銀河連盟から派遣された銀河パトロール要員で、ウサギに擬態しており、カモに擬態したプッコ中尉、ウマに擬態したノッコ兵長を率いている。

原作では上記の事情で大尉止まりで『UC』の時代に二階級特進で中佐になった*7アムロだが、スパロボでは旧シリーズにおいて何故か少佐に昇進している。
作中でその理由は一切説明されないのだが、有力視されているのは一時的にブライトが左遷されてアムロがロンド・ベルの最高指揮官になったために昇進したというもの。
しかし、昇進の代償として2ヶ月前のスパロボEX時は16歳だったはずが一気に7年~13年分老けた上に遂には過労で倒れてしまう事に……
逆に言えばその激務を平然とこなすブライト*8

ナチスドイツ軍少佐。
柱の男・サンタナとの戦闘で体を機械化し、後に大佐に昇格。




追記・修正は佐官になってからお願いします。

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最終更新:2025年04月24日 19:10

*1 現実だと公文書の規則に従いアラビア数字で表記するのが一般的(1佐など)だが、創作現実共に漢数字になっていることも多い。その場のノリでどうぞ

*2 ちなみにシンは大尉。

*3 因みにフランス軍やドイツ軍でも陸軍大佐と空軍大佐が同じ単語で纏められている

*4 初登場時は少佐。劇中で昇進

*5 陸上部隊に所属しているためで、飛べるかどうかは無関係。陸自のヘリパイが空佐とかではないのと同じ理屈である

*6 『EXCEEDS』時点ではなのはと同い年であることから13歳のはずだが「機密」とのこと。ここでの作画は『StS』の19歳ごろに近い

*7 二階級特進制度はもともと「遺族への補償が階級によって異なってくるため、少しでも遺された家族の暮らしを楽にできるように」という意味合いもあったため、こういう正当な作戦による殉職によるものの場合は士官学校未卒とかは無視して昇格させるのが(少なくとも現実の軍隊では)普通。

*8 とはいえそのブライトも原作では過労心労でぶっ倒れたことがある