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アルゴスの戦士 (PS2) - (2016/03/28 (月) 21:26:54) の最新版との変更点

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//全般的に感情的表現が多かったので、その点は修正。マイルド調整。 *アルゴスの戦士 【あるごすのせんし】 |ジャンル|アクション|&amazon(B000070G2K)| |対応機種|プレイステーション2|~| |発売・開発元|テクモ|~| |発売日|2002年12月5日|~| |定価|6,800円(税抜)|~| |分類|BGCOLOR(lightsteelblue):''賛否両論''|~| |ポイント|薄いボリュームとご都合主義なストーリー&br()アクションとしてはそれなりに遊べる&br()クリア後のお楽しみ|~| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 -テクモのアーケードの名作アクション、『アルゴスの戦士』。そのPS2版である。 --原作については、Xbox用の『テクモクラシックアーケード』またはWiiバーチャルコンソールでプレイ可能。 -デビルメイクライシリーズ、鬼武者シリーズなどに似たアクションゲーム(ただしバイオハザードシリーズや鬼武者シリーズとは異なりラジコン操作式ではない)。コンボアクションを主体にしてるのも同様。 -ゲームシステム、ストーリー共に大幅な改変が加えられており、「盾を使って戦う」という部分以外に原作との共通点はあまりない。 -視点は昔のアクションアドベンチャーにありがちな基本固定カメラで、シーンによってフォローパンが加わる。 **システム -原作の象徴とも言えるアクションが神盾「ディスカーマー」を用いたチェーンアクション。本作でもその要素は受け継がれている。 --ディスカーマーは円形盾の形状をしている。鎖が付いており、戦闘時はこれを伸ばして戦う。 ---主人公はこれ以外の武器は一切持っていない。数あるゲーム作品の主人公でもかなり珍しい「盾しか持っていない主人公」である。 -見た目通り伸ばして広範囲を攻撃したり、遠くの敵を引き寄せたりできる。 --また、新アクションを習得すると、特定のポイントに引っかけて上ったり崖を渡ったりできるようになる。 ---まぁ全体的な雰囲気としては『ゼルダの伝説 時のオカリナ』辺りをイメージしてもらえれば、大体合っている。 --「イコル」というゲージを消費して召喚獣を呼び出すこともできる。なにを召喚するかは現在装備しているディスカーマーによって異なる。 -ステージは全7面。 **問題点 -とにかく薄いボリューム。 --普通にプレイして10時間かかることはまずないと思われる。アクションに慣れている人なら余裕で3時間切れるレベル。 //---秘石(ディスカーマーに装備する装飾品)集めに拘らなければ3時間以下も可能。いくらなんでもこの時代にこれは…。 //バイオハザードコードベロニカですら、最速クリアを2時間強でできる。その気になれば早くクリアできるアクションゲームは少なくない。 --ステージに仕掛けが少なく、進んでいって敵と戦って、また進んでという展開が多い。このためアッサリ感をぬぐえない。 ---ただしステージ4だけは仕掛けが集中しており、チェーンアクションを楽しめる。 --一応4段階の難易度調整など、繰り返しプレイを前提にさせている部分はある。それを込みにしても薄すぎるが。 --そもそも周回プレイを前提にさせている癖に''隠しボスもいない''。やりこみ要素は秘石コンプぐらい。 //---そもそも周回プレイを前提にさせている癖に''隠しダンジョンも隠しボスもいない''というふざけた仕様。やりこみ要素は秘石コンプぐらい。 //隠しダンジョンは一応ある。 //---一応最終的なクリアタイムで評価が下されるのでタイムアタックもできるが、もっとステージ数が多くてやり応えのあるアクションゲームは山ほどある。あえて本作でやる理由はさほどない。 -敵の種類がすさまじく少ない。 --雑魚はたった''5種類''。しかも、蜘蛛は1ステージしか登場せず、サイクロプスは登場ポイントが限られる中ボスに近い扱いなので、実質3種類を使い回している。一応色違いや部位の違いで水増しはしてるのだが…。 //--雑魚はたった''5種類''。しかも、蜘蛛は1ステージしか登場せず、サイクロプスは登場ポイントが限られる中ボスに近い扱いなので、実質3種類を使い回している。 ---一番弱い芋虫(ロルファ)が最終ステージまで登場する有様。一応色違いで能力が強化されたり、飛び道具が追加されたりするが、根本的な解決にはなっていない。 -ストーリーが薄くて駆け足。 //-ストーリーが陳腐・ありきたりというレベルではない。 //--簡単に言うと、『悪の魔神クロノスの復活を目論む魔族「ティターン」にアルゴス王国の姫「ハルモニア」がさらわれた。勇者ゼーンよ、助け出せ!』。 //---…ほとんどこれだけである。まさかのPS2で『[[スーパーマリオブラザーズ]]』。終盤にはそれなりのどんでん返しがあるが、これも簡単に予想が付く程度。 //いくらなんでも //--あと、登場人物もかなり少ない。以下登場人物紹介。''ほぼ必要ないが''一応ネタバレ含むので収納。 //''ほぼ必要ないが''は余計に思える。 #region(登場人物) //#region(登場人物。少ないとか言うな。これでほぼ全部なんだ。) //上記同様。感情的な表現の傾向が強すぎる。 -ゼーン --記憶喪失の主人公。戦うことしか知らない。 ---「剣術に関しては並ぶものなし」らしいが、本編では盾しか使わない。まぁ強いから別に構わないが。 ---実はエキドナの息子。過去に行方不明になってアルゴ王国に流れ着いた…らしい。 -ハルモニア --一応ヒロイン。アルゴス王国創始者、「アルゴ」の子孫である。 ---ほぼ常に捕まっており、特に抵抗したり演説したりする場面もない。終盤ではヒロインの座を主人公の母親に奪われてしまう。 -エキドナ --ティターンの魔女。その正体は「''クレオパトラ''((クレオパトラの名を冠した人物は何人もいるが、シーザーと関係があったらしいので、ほぼ間違いなく一番有名なクレオパトラ七世であろう。))」。 ---前述の通り実はゼーンの母親。実に都合良くゼーンの手の甲に残っていた王家の紋章でそれを確信する。 ---「クロノスに肉体を乗っ取られて涙ながらに実の息子に殺してくれと頼む」というヒロインポジションをハルモニアから奪った張本人。その意味では間違いなく魔女である。 -イカロス --漆黒の翼と青い肌を持った異形の魔人。ちなみにティターンの幹部はこの二人''だけ''である。後は自意識があるかも怪しい魔獣ぐらいしかいない。 //ので、多分ゲーム史上最弱クラスの悪の組織である。 ---その正体は「''アリストテレス''」。アレクサンダー大王。序盤からその存在は明示されているが、別にゼーンに追っ手を放ってくるわけではなく、ひたすら影が薄い。 //予言達成のためエキドナがゼーンに戦って敗れて死ぬ必要があり、ゼーンを倒すのはエキドナ任せにする必要があった。イカロスは最初ゼーンに襲い掛かるが、それはその予言に疑念を持ってたから。しかし、ゼーンに破れ予言を信じるようになる。 //---過去に封印されたコイツの復活が本作のキーワードである。…が、復活したらどうなるかも特に語られない。 //デモでも暗黒神って言われてるし、石版に残忍で狡猾な暗黒神と書いてある。復活させればどうなるかは想像はつくだろう。 ---ハルモニアの肉体を奪って復活しようとするが、''別にエキドナでも構わなかった。''ハルモニアはさらわれ損である。 #endregion() --その存在が語られるだけの歴史上の人物なども含めればもう少し多くなるが、明確にストーリーに関わってくるのは上の5人で''ほぼ全部''である。 ---一応言っておくとこれは特にストーリーに関わる人物だけを抜粋したわけではなく、''本当にこれだけしかいないのである''。モブキャラクターすら、一番最初にチラッと登場する兵士ぐらい。 //(以降の消息は不明。エンディングにすら登場しない)。 //モブの消息を気にするプレイヤーがどの程度いるのか。だいたいエンディングはその後のあらすじで済ましてる訳で出るわけがない。 //「消息を気にする人」はいないかもしれないけど、一番最初にティターンが襲撃した瞬間、一瞬でいなくなったりするのはどう考えても表現的におかしい。 --説明不足、超展開、ご都合主義と負の3拍子そろったストーリー。 #region(いろいろアレな所) ---ゲームスタート→平和な式典→ティターン襲撃まで''約1分''。 ---重要な情報を独り言でつぶやくエキドナ、それを都合良く耳にしてしまうゼーン。 ---ダンジョンボスを倒した後ろのリフトがいきなり敵の本拠地に繋がっている。 ---ハルモニアを人質に取り、ディスカーマーを要求するイカロス。しかしゼーンもハルモニアも何も言わず素直に渡してしまう。 ---後半になるにつれて次の目的地への誘導が雑になっていく。どう考えても目的地もわからずウロウロしていたら偶然たどり着いたとしか考えられないレベル。 ---イカロスとの決戦の地からラストステージまで''約1分''。地形的なつながりを考えるとかなり違和感がある。 #endregion() //---参考までに以下本作のストーリーダイジェストを載せておく。 //マイナス印象を強調した面が散見され、感情的な部分も見られる。また一部誤りもあるので一旦CO。 //#region(勇者ゼーンの遍歴。) //-World1 コロッセオ //--ハルモニア姫から戦績を称えられていた所、いきなりティターンが襲ってきてコロッセオ地下に転落してしまう。そこでゼーンは神具「ディスカーマー」を見つけるのであった。 //ちょっと違う。アルゴに導かれて、ディスカーマーを手にする。 //---多分目的はコロッセオからの脱出。''特に語られないが''、そうとしか考えられない。 //姫を救出にいくのだから、今いるコロッセオを出て、行方を捜しにいかないといけないのは当然では? //---そんなにツッコミどころはないが、展開はすさまじく早い。開始1分少々でティターンが襲撃してくる。平和が乱れるの早すぎである。 //そもそもコロッセオにティターンが襲来してき話が始まってる。ならそのコロッセオに、敵兵であるティターンがいても特に不思議ではないのでは?むしろ居ない方がおかしい。ついさっき攻めてきたというのに。 //どういう勘違いしているのかわからないけど、要するに「ゲームスタート→ティターン襲撃」までが1分ぐらいしかない、って話。平和な式典のシーンが終わるまでが早すぎるってこと。 //1面がはじまってからの話かと思ってしまった。これは勘違い。まあ、確かに慌しい展開かな。 //-World2 エリシオン聖殿 //--逃げたエキドナがアルゴス王国の聖地、エリシオン聖殿に向かったので追跡することに。 //---本作では''珍しく''ちゃんと目的を持って行動する場面。エリシオン聖殿にてゼーンは天のディスカーマーを入手し、アルゴス王国創始者アルゴの霊からディスカーマーが3種類あること、それが邪神クロノスを封印する鍵であることを知る。 //-World3 ポセイドニア神殿 //--3つめのディスカーマーはココにある、との情報を得て向かった先は水の神殿。なぜか盗賊よけ(と思われる)トラップに引っかかったりしながらなんとか海のディスカーマーを手に入れる。 //---その後ハルモニア姫はおそらくオトリュス山にいること、そこに行くにはこの神殿を抜けた先にある洞窟を越えればいいことを知る。 //---そして神殿のボスである巨大魚と戦う…のだがコイツの目的が今ひとつ謎である。海のディスカーマーを奪うことが目的なら、ゼーンが海のディスカーマーを入手する直前か直後に現れなければおかしい(現にエリシオン聖殿のボスはそうやって現れている)が、なぜかディスカーマーがある場所とは全然関係ない位置にいる。 //---洞窟の入り口を守っているにしても、ポセイドニア神殿の最上層に近い位置にいるのでどうにも違和感がある。 //-World4 ミノス宮 //--''この辺りから本格的におかしくなってくる''。巨大魚を倒したら流れ着いた先はどこぞの迷宮。ハルモニア姫救出には全く関係なさそうなのに、ゼーンは躊躇うことなく進入していく。 //どことも知れぬ場所に流れ着き、手がかりになりそうなのがそこしかなかったという面はある。ただここに限らず、行く場所がないんで、残った場所に向かったら偶然道が開けたって、ご都合主義的な展開が多いい気はする。 //---そして宮殿内にはエキドナがいる。どうもこちらには気づいていないようで、自らに息子がいたこと、その子供が過去に行方不明になったことを''実に都合良く''独り言で喋ってくれる。 //--ミノス宮と言えば皆さんご存じのラビリントスだが、''別に迷宮にはなっていない''。その代わりなぜか地下に塔が2本ある。…ひょっとして牛の角に見立てているのだろうか? //ゲーム性を放棄しても、そこまでギリシャ神話にこだわるべきか疑問。そもそも各キャラの設定や世界観自体に、ギリシャ神話と史実を混ぜ込んでさらに創作要素が入ってるんだから。 //---ダンジョンボスもご期待通りのミノタウロス。ミノタウロス撃破後、エキドナと遭遇し、彼女はゼーンが息子であることを確信するのであった。 //-World5 オトリュス山 //--''ミノタウロスを倒した後ろにリフトらしきものがあったので乗ってみたら敵の本拠地に着いた''。…何を言っているか分からないと思うが、本当にこんな感じである。 //---イカロスはエキドナがゼーンを殺すことに躊躇いを覚えていることに気づき、刺し殺す…というシーンが冒頭に入る。 //これは違う。予言達成のために、エキドナがなんらかの形で敗北し、最終的に死ぬ必要があったから。 //---その後山を登るにはスキルが足りないので、一度山を下りて新スキルを探索したりしながら山を登っていくことになる。 //--道中特に脈絡もなくケンタウロスが襲ってくるがコイツこそ''ティターン最後の刺客''である。…別に強くもないが。 //「…別に強くもないが。」は余計な一言では。どうも、マイナス印象強くしようという感じがする。あまりに感情を込めすぎではないだろうか。 //--そしてイカロスはハルモニアを人質に取り、ゼーンにディスカーマーを渡すよう要求する。 //---…が、葛藤することもなくゼーンは普通にディスカーマーを渡してしまう。もうちょっと悩もうよ。そしてハルモニアも特に何も言わない。「私はどうなっても構わないからディスカーマーを渡してはなりません!」ぐらい言って欲しかった。一応邪神復活の鍵だよ、コレ? //--ディスカーマーを使って魔界への扉を開き、クロノス復活の儀式を進めようとするイカロス。しかし、その瞬間、エキドナがディスカーマーを奪い取り、門はエキドナを飲み込み閉じたのであった…トドメぐらい差しておこうよ。 //-World6 アルカディア //--オトリュス山山頂より徒歩''3分''、ワープポイントを抜けた先に神々の地、アルカディアはあります。風光明媚、モノが重力に逆らって''上に落ちる''景色は絶景です。 //---ココに来なければいけない必然性は''全くない''。逃げたイカロスの行く先もわからずとりあえずその辺をウロウロしていたらたまたまたどり着いた、といった感じ。 //--このフィールドには''天空城''なる施設があるのだが、上部が歴史を感じさせる古城で下部がどのような技術で作られたのかもわからない謎の機械群になっている。…どこのラ○ュタですか? //ハッキリ機械と分かるようなものはない。確かに放電している正六面体の黒い岩のようなものが浮いてはいるが、この状態でそれを機械を判断できる材料はない。 //---天空城最上部でイカロスとの最終決戦が行われる。そしてその場で突然ハルモニアは歌を歌い出し、イカロスは彼女がアルゴと自らの子孫であることを知るのであった。 //---その後、ゼーンと決着を付けるため地下洞窟で戦うのは登場人物紹介の通り。一応「ライバルの死に勝利を誓う」という少年漫画的に感動の名シーンのはずだが、前述の通り''演出がアレでナニ''なため、プレイヤーが全く共感できない。 //-World7 タルタロス //--イカロスとの決着を付けた地下洞窟から''約1分''歩くと魔界への門がある。ここまでプレイしてきた人なら''この程度の超展開''には耐性が付いているので別に驚かないが。イカロスが親切にも道をつなげておいてくれたんだなぁ、ぐらいに考えておけばいい。 //---その後最終決戦となる。この後の展開は別に面白くもないので割愛。まぁ''大体予測が付く程度''とだけ書いておこう。 //#endregion() --さらに本編を追うだけでは語られない設定があり、それらについては随所に落ちている石版や手紙で補完する必要がある。 ---これ自体は『[[キングダム ハーツ]]』などでも例のある手法なので特に問題はないが、問題はこの「語られない設定」がやけに多く、本編だけでは意味不明になる可能性が高いこと。 ---こういう表現方法はまずストーリーの骨格を「見せて」から裏設定を「読ませる」から面白いのであって、ほとんどを「読ませる」のでは面倒なだけである。 -カメラワークに問題がある点も。 //-カメラワークが異常に悪い。 //--本作のアクションとしての問題点はほぼここに集約される。固定視点であり、自分でカメラを動かせない。 //これはデビルメイクライをはじめとした固定カメラ視点式のアクションゲームの特徴であり、ゲーム性として好みに合う合わないの範疇。 --特に空中ステージのアルカディア。ギリギリの距離を要求される事が多い。その割に距離感がつかみにくく、何度も落ちるハメに。しかも一回落ちるとかなり戻される。 //---特に最悪なのが空中ステージのアルカディア。「先の見えない狭い足場をギリギリまで移動してジャンプする」という操作が要求される。 //アルカディアやってみたが「先の見えない狭い足場をギリギリまで移動してジャンプする」というような場面は見当たらなかった。 --また、この手の固定カメラ視点式のアクションゲームの宿命として、視点切り替えの境界線近くで戦うと頻繁に視点が切り替わり戦いずらくなる事がる。 //---また、視点切り替えの境界線近くで戦うと頻繁に視点が切り替わり、まともに戦えなくなる。 -攻撃の創作性にとぼしい。 --コンボは手軽にできるのだが、一方で技を自分なりに繋げていくことができない。せっかく打ち上げ攻撃などがあるのに、打ち上げ後の硬直が長く、またキャンセルも基本システムとして装備されてない。このため結局、各ディスカーマーに用意された技で締めるしかない。 -パッケージ裏には『あらゆるものを破壊 魂を揺さぶる''「超破壊」''というロマンあふれる文章があるが、''大嘘''。 --実際には壊せるオブジェクトが普通より若干多いか、といったレベル。壊せないものは何をどうやっても駄目なのは他のゲームと同じ。 ---むしろ、このせいで全てのアイテムを回収するために、しらみつぶしに壊して回る必要があり、かえって手間を増やしている。 --オープニングのいろんな派手なシーンは、結局ゲーム中には一度も出てこない。 ---オープニングではゼーンが石造りの召喚獣にまたがり、空中戦を繰り広げるシーンが描かれるが、''こんなバトルは一回もない''。 ---そもそもこの召喚獣、ゲーム中では一切登場しない。いわゆる没案の一つだと思われる。おそらく映像を先に作ってしまい、開発中に整合性が取れなくなったものの、差し替える余裕がなかったのだろうが…。 ---コレに限らず、本編では全く登場しないシーンだらけであり、ハッキリ言って整合性は皆無。 //モンスターに襲われ、溶岩に飲み込まれる町→町なんてゲーム中にはない。無人の遺跡を探索するだけ。火山は一応あるが、山の中腹なのでこの町の跡とは到底思えない。~ //天空に浮かぶ遺跡で祈りを捧げるハルモニア姫→ハルモニアは本来地上にいなければおかしいはず。そもそも地上がエラいことになっているのに、小鳥と遊んだり酷くのんきである。~ //街中でモンスターと戦うゼーン→前述の通り町のステージなんてない。サイクロプスが複数登場するが、コイツはゲーム中では常に1体ずつしか出てこない。~ //無数のモンスターを前にディスカーマーを振り回し一掃するゼーン→このシーンではざっと百体はいるように見えるが、ゲーム中では''10体出てくる場所すらない''。~ //複数頭仕立ての戦車に乗り迫り来る謎の敵→ゲーム中には出てこない。''本当に謎の敵であった''。 //--ひょっとしてこれはアレだろうか。''「画像はイメージです。実際のゲーム内容とは異なる可能性があります」''というヤツだろうか。 -エンディングが手抜き。 --本編の映像とストーリー中で使われるハルモニアの歌を組み合わせただけ。見栄えはいいが、手抜き臭がする。 **賛否両論点 -ボスについて。 --雑魚がショボイ一方、ボスはグラフィック、行動パターン共に手が込んでおり、使い回しなどもない。 ---「特定のタイミングしかダメージを与えられない」など、頭を使った戦い方を要求される相手も多い。 --一方、ラスボスは攻略方が見出しにくく、「回避困難なガード不能攻撃を連発してくる」など「強い」というより「面倒くさい」。 //---せっかく資料系のアイテムが色々あるのだからヒントぐらいあってもいい気もするが、そういったものもない。普通のアクションゲームでも用意されていないのだからそこまで問題点でもないが…。 //ゲーム内で事前に攻略方法が欲しいというのは、アクションゲームとうジャンルそのものへの要望。一ゲームがどうこうの話ではない。 //---ただし、最初のボスの資料は手に入る…''倒した後に''。別に攻略に関わるヒントが書かれているわけでもないので、倒す前に手に入っても価値はないだろうが、なんだか酷く損した気分になる。 //ヘカントケイル戦はプレイ最初の山場。開発者はその最初の山場でプレイヤーを驚かそうと、単に事前情報をなるべく明かしたくなかっただけではないのか?実際、ヘカントケイルはボスとしては二番目の大きさ。このサイズのボスを最初に持ってくるくらいなのだから。 //---攻略方法を考えさせるにしても、モブが全くいないためヒントをくれるキャラがおらず、戦闘中自分で考える必要がある。これを面白いと考えるか理不尽と考えるかは人それぞれだが…。 //攻略方法を事前に教えるアクションゲームはまずない。 **評価点 -盾を使ったアクションの完成度が地味に高い。 --ディスカーマーは三種類あり、攻撃範囲は狭いが射程の長い「冥」、モーションは遅いが一度に広範囲を攻撃できる「天」、攻撃範囲は近距離中心だが連続攻撃でき攻撃力は最大の「海」。それぞれ一長一短で使い分けが必要。 ---特性とは別にそれぞれ固有アクションがある。こちらもまたいろいろと使える。「冥」は敵を引っ掛けた状態で振り回し近づいた敵を弾き飛ばす事ができる、そして最後は投げる。「天」はディスカーマーを伸ばしたままの状態で、一定範囲を自由に操る事ができる。また竜巻を起こす事ができる。敵がどんどん吸い込まれていくのは何気に楽しい。「海」は放った後、宙に停止さる事ができ、その後ゼーンが通った後をなぞるように戻ってくる。ジグザグに走ればジグザグに戻ってくる訳だ。 --各ディスカーマーでコンボができ、その派生は多彩。基本的に二つのボタンの組み合わせなので、お手軽にコンボが楽しめる。 ---最初こそ少ないが、ディスカーマーは成長させる事でバリエーションが増えていく。どのディスカーマーを育てるかはプレイスタイルしだい。 ---このコンボ。技表で確認できる。技が増えたのが表で確認できるのだ。この手の技のバリエーションの多いゲームでは、一部の格闘ゲームやアクションゲームで全ての技がゲーム中にもマニュアルにも表記されてないものがある。その点では全ての技が載っているのはありがたい。 ---それぞれのディスカーマーには必殺技とも言える、使い魔が召喚できる。それぞれ特色があり、また使用するイコルによって三段階のバリエーションがある。攻撃力や攻撃範囲が違い使い分けが必要。また召喚中は無敵が発生し、また敵のモーションを中断させる事ができる。また唯一コンボの途中をキャンセルできる技。攻撃力も高いが、付属効果が何かと便利。 --またこれらの切り替えはボタンで瞬時にでき、全く硬直がない。これがボス戦での咄嗟の切り替えにものを言う。例えば各使い魔は「天」の使い魔は攻撃範囲がもっとも広く命中率が高い。だがボス戦でモーションの遅い「天」を使う事はまずない。そこで攻撃回避やモーション停止を狙って、咄嗟に切り替えたりするのだ。 //-盾を使ったアクションの完成度が地味に高い。 //--ディスカーマーは3種類。遠距離攻撃の「冥」、中距離広範囲の「天」、近距離連続攻撃の「海」。 //---いずれも一長一短あり、使い分けが重要。戦闘中もL2R2で一発切り替えできるのもうれしい。 //---それぞれにコンボが用意されている。そのバリエーションはかなり多く、またディスカーマーを //---また天は攻撃速度が遅く、海は極端にリーチが短いとどちらもクセのある性能。最初から使えるのが一番オーソドックスな「冥」なのは「わかっている」感がある。 --アイテムはどれもディスカーマーで回収できる。いちいち走る必要がないので手間がかからない。 --戦闘の他にディスカーマーでのロープアクションができる。一部の面に集中しているが、全体的に仕掛けの少ない本作で、このロープアクションを使った仕掛けはおもしろみの一つ。 //-ボスキャラは多彩で、迫力あるもの。 //--乏しいザコキャラに対し、ボスはなかなか動きが豊か。それぞれ特色ある攻撃をしてくる。また攻略方が示唆されてる作りになっており、攻略しがいがある。 //---ただ一方で、攻略方が見出しにくく、ごり押し戦や持久戦をやらざる得ないボスもいる。 //賛否両論点に移動。 -難易度NORMALでプレイしているとき、何度も死ぬとEASYでプレイできるようにさせてくれる機能がある。 --なかなか親切な機能だがズル防止のためか、以降戻せなくなるので使い方には注意を要する。 -グラフィックはこの時代…というよりPS2全体で見ても冗談抜きに最高クラス。 --背景の造詣がよく、ギリシャ風建築物やエーゲ海沿岸の風情がよく表現されている。 --特に空、水の表現は他の追随を許さないレベル。 -プレイ画面にマップが表示されており、迷いにくい。 --マップのあるゲームはよくあるが、メニュー画面を開かないといけないことが多い。グラフィックが綺麗な本作。場所によっては画面からだけでは道がよく分からないものもあるので、プレイ画面上にマップがあるのはありがたい。 -音楽も良質。古代ギリシャを意識した勇壮で幻想的な良曲揃い。透明感のある曲が多い。 -グラフィックに対してロード時間は皆無。 --非常にテンポ良く進められる。ただ、固定視点と一画面に登場する敵の数の少なさが理由と思われるので、あまり褒められたものでもないが…。 -クリア後に追加される「ピザーマモード」が高評価。 --簡単に言うと「ピザ屋アルゴスの配達員ゼーンがピザが無料になる30分以内にピザを届けにいく」というカオスなストーリー。 ---全編台詞が書き直されており、かなり笑える。まさかの[[パロディモード>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/1486.html]]。さらにディスカーマーは全てピザになっている。ちなみに冥がマルゲリータ、天がバジル、海がシーフードである。 ---変わっているのはディスカーマーと日本語字幕だけであり、実際の台詞はそのまま(いわゆる嘘字幕)。そのため本編の真剣な表情のままピザのやりとりを行う非常にシュールな絵となっている。 -ネタ要素は他にもあり、ある条件でクリアーすると、ネタディスカーマーが使えるようになる。もちろん本編でも使える。 --たとえばさらに最高難易度で総合評価Sでクリアすると''「寿司アーマーモード」''出現。他には、ピザモードでのピザ、ギター、ハンバーグ、丸まってる状態のロルファ、どんぶりに入ったうどんがある。 ---残念ながらこちらは台詞のパロディはない。 **総評 アクションとしては悪くない部類であり、動かしていてストレスを感じる部分はほぼない。また、グラフィックがかなりよく、BGMのよさも合わせギリシャ神話の雰囲気はよく出ている。&br一方で、アクションとは直接関係ない部分の残念な出来。アドベンチャーゲームとして楽しもうとすると、思いっきり期待を裏切られる。 長時間にわたってやりこみたい、と言う人には向いていないが深いことは考えずに軽くプレイできるアクションがやりたい、と言うならば楽しめるだろう。 //**総評 //一番面白いのがクリア後のオマケという悲惨な作品。~ //グラフィックとアクション性はそれなりに評価されているが、狂ったストーリーとボリュームの薄さは到底擁護できない。~ //後にWii版も発売されている(テクモ最後のWiiソフトでもある)が、PS2の操作性をWiiに合わせただけという時点で…お察しください。 //アクション面はそれなりに楽しめる。一番面白いのはクリア後のピザ話というのは同意しかねる。 **余談 -なぜか全編英語ボイス+日本語字幕である。 -海外版が発売されているが、海外版ではゼーンの名前が変わっている。その名はライガー。実は日本版原作のラスボスの名なのだが、原作の北米版はライガーが主役の名称となっていた。 //-海外版が発売されているが、海外版ではゼーンの名前が変わっている。もっともその程度ならよくある話なのだが、変更後の名前が問題。 //--なんと、アーケード版のラスボスと同名の「ライガー」になっているのである。 //---もしこの「ライガー」がAC版ラスボスと同一人物なら、陳腐どころか恐ろしく複雑な世界観が存在することになるのだが…。 //--というより、主人公の名前が変わっているということはせっかくの英語ボイスも新録したのだろうか?海外版で差し替えられるなら本当になんのための英語なのだろうか…。 -何気に原作のリスペクトがある。封印を解く円錐形の置物は、原作のステージクリア時にあるものと同じ。 *アルゴスの戦士 マッスルインパクト |ジャンル|アクションアドベンチャー|&amazon(B000TKZ0ZQ)| |対応機種|Wii|~| |発売・開発元|テクモ|~| |発売日|2008年12月11日|~| |定価|6,800円(税抜)|~| |レーティング|CERO:C(15歳以上対象)|~| |分類|BGCOLOR(lightsteelblue):''賛否両論''|~| |ポイント|なぜかゼーンが別人化&br()多少は改善されたが根本的な問題点は変わらず&br()微妙なマッスルモード|~| **概要(マッスル) テクモ最後のWiiソフトであるPS2版の移植作。操作性がWiiに合わせて多少変化しているほか、オリジナルの「マッスルモード」が追加されている。 **評価点(マッスル) -多少だが、敵の種類が増えて単調さが改善されている。 --巨大な鎧騎士「クレイオス」は攻撃範囲が恐ろしく広く、攻撃力も高い。一方でモーションは遅いので、背後に回ればわりと楽に倒せるメリハリのある相手になっている。 --「カロン」はゼーンとは異なるディスカーマーを持った戦士。防御を的確に行ってくるガードの堅い相手で、こちらもガードを固めつつ相手の隙を突く必要がある。 **問題点(マッスル) -''サブタイトルが酷すぎる''。 --「筋肉の衝撃」という意味不明の英題である。ゲーム本編とはほぼ関係ない。確かにゼーンはマッチョだが、別にそれを売りにしているキャラクターではない。シナリオはわりとシリアス寄りなので余計違和感がある。 ---ただ、このシリーズには以前『はちゃめちゃ大行進』というやはりよく分からない副題で発売された前科があるので、ある意味伝統なのかもしれないが…。 -根本的な問題点はほぼ無修正。 --カメラ固定による動かしづらいアクション面、薄めのボリューム、アレなシナリオなどは全く改善されていない。 -微妙な追加要素「マッスルモード」。本編とは異なり、Wiiリモコンを振って攻撃し、その勢いで技の強さが決まりひたすら敵を倒してコンボ量などで評価が決まるというモードなのだが…。 --まず名前が脱力物。なんでギリシャ神話モチーフの世界観で「マッスル」なのか謎すぎる。 ---画面一杯に敵がわき出て、それをリモコン振りでなぎ払う…という着想自体は悪くないものの、''相も変わらぬ固定視点''なので画面手前に敵が来ると攻撃を当てるのがものすごく難しい。 ---ステージも一種類しかなく、総合評価で色々称号が与えられる…というやりこみ要素はあるが、追加要素としてはかなり微妙な存在である。 -なぜかクラコン非対応。前述のマッスルモードの兼ね合いかもしれないが、元がPS2のゲームなのに、ストーリーモードでも使えないのは不自然である。 --一部の連打操作が「リモコン振りっぱなし」という理不尽な操作に差し替えられており、手に負担がかかる。そう使用頻度の多い技ではないのが救いだが…。 -''ある意味発売されたことそのもの''。商法それ自体に問題がありすぎる。 --パッケージを見れば分かるとおり、ゼーンとディスカーマーのデザインが大幅に変わっており、ゼーンは白髪かつ装飾過多な服装をした今風のキャラクターデザインになっている。 ---しかし、ゼーン以外の登場人物・モンスター・世界観他全てのグラフィックは''PS2版と全く同じ''である。にもかかわらず、パッケージ、公式サイト、任天堂ホームページどこを見ても「PS2版の移植である」ことは書かれていない。CMもまるで新作に見える表現になっている。~ つまるところ、パッケージに書かれている主人公と武器のデザインだけ変えて、移植作に見えないようにした上で売りつけよう、という意思が垣間見えるのである。''新作に見せかけた移植詐欺''という新たな問題点が生じてしまっている。 ---主人公含めた全てのキャラクターデザインを描き直した上での発売なら「デザインと操作性を改めたリファイン」、全てのキャラクターデザインが同じなら「追加要素を加えた忠実移植」と言い訳できるが、主人公''しか''描き直していない時点でその意図は明白だろう。 ---ちなみにPS2版の大嘘OPだが、ゼーンのデザインが変わったためか、''オープニングそのものがなかったことになっている''(企業ロゴが表示されたあとそのままタイトル画面になる)。オープニングを描き直す程の手間もかけられていない。 **総評(マッスル) ゲームそのものはそう致命的な出来というわけではなく、ほぼPS2版そのままである。完成度が極端に低くはなく、遊ぼうと思えば無難に遊べなくはない。~ しかし、6年前の時点で当時既に微妙な評価だった作品を、あたかも新作に見せかけるような移植で売りつけたことをどう捉えるか、によっては本作の評価はかなり低下せざるを得ないだろう。~
PS2版『アルゴスの戦士』とWii版『アルゴスの戦士 マッスルインパクト』を紹介する。判定はいずれも「判定なし」 ---- #contents() ---- *アルゴスの戦士 【あるごすのせんし】 |ジャンル|アクション|&amazon(B000070G2K)| |対応機種|プレイステーション2|~| |発売・開発元|テクモ|~| |発売日|2002年12月5日|~| |定価|6,800円(税抜)|~| |判定|なし|~| |ポイント|薄いボリュームとご都合主義なストーリー&br()アクションとしてはそれなりに遊べる&br()クリア後のお楽しみ|~| |>|>|CENTER:''アルゴスの戦士シリーズ''&br;アルゴスの戦士 / [[はちゃめちゃ大進撃>アルゴスの戦士 はちゃめちゃ大進撃]] / アルゴスの十字剣 / ''(PS2版) マッスルインパクト''| ---- **概要 テクモより送り出された名作アーケードゲーム『アルゴスの戦士』のPS2版。~ [[デビルメイクライ>デビルメイクライシリーズ]]や[[鬼武者>鬼武者シリーズ]]などに似たアクションゲームで、コンボアクションを主体にしているのも同様。 ゲームシステム・ストーリー共に大幅な改変が加えられており、「盾を使って戦う」という部分以外に原作との共通点はあまりない。~ 視点は昔のアクションアドベンチャーによく見られる基本固定カメラで、シーンによってフォローパンが加わる。 **システム -原作の象徴とも言えるアクションが神盾「ディスカーマー」を用いたチェーンアクション。本作でもその要素は受け継がれている。 --ディスカーマーは円形盾の形状をしている。鎖が付いており、戦闘時はこれを伸ばして戦う。 ---主人公はこれ以外の武器は一切持っていない。数あるゲーム作品の主人公でもかなり珍しい「盾しか持っていない主人公」である。 -見た目通り伸ばして広範囲を攻撃したり、遠くの敵を引き寄せたりできる。 --また、新アクションを習得すると、特定のポイントに引っかけて上ったり崖を渡ったりできるようになる。 ---全体的な雰囲気としては『[[ゼルダの伝説 時のオカリナ]]』辺りをイメージしてもらえれば、大体合っている。 --「イコル」というゲージを消費して召喚獣を呼び出すこともできる。なにを召喚するかは現在装備しているディスカーマーによって異なる。 -ステージは全7面。 **問題点 -とにかく薄いボリューム。 --多少なりともアクションゲームの経験があれば、普通にプレイして10時間かかることはまずないと思われる。アクションに慣れている人なら余裕で3時間切れるレベル。 //---秘石(ディスカーマーに装備する装飾品)集めに拘らなければ3時間以下も可能。いくらなんでもこの時代にこれは…。 //バイオハザードコードベロニカですら、最速クリアを2時間強でできる。その気になれば早くクリアできるアクションゲームは少なくない。 --ステージに仕掛けが少なく、進んでいって敵と戦って、また進んでという展開が多い。このためアッサリ感をぬぐえない。 ---ただしステージ4だけは仕掛けが集中しており、チェーンアクションを楽しめる。 --一応4段階の難易度調整など、繰り返しプレイを前提にさせている部分はある。それを込みにしても薄すぎるが。 --そもそも周回プレイを前提にさせている癖に''隠しボスもいない''。やりこみ要素は秘石コンプ、高ランククリア、ギャラリーのアイテムコンプぐらい。 ---ギャラリーのアイテムの中にはゲーム中の音楽を自由に聴けるようになるものもあるのだが、何故か''各ステージのBGMに対応したものが存在せず、ギャラリーで聴けない''。 //---そもそも周回プレイを前提にさせている癖に''隠しダンジョンも隠しボスもいない''というふざけた仕様。やりこみ要素は秘石コンプや高ランククリアぐらい。 //隠しダンジョンは一応ある。 //---一応最終的なクリアタイムで評価が下されるのでタイムアタックもできるが、もっとステージ数が多くてやり応えのあるアクションゲームは山ほどある。あえて本作でやる理由はさほどない。 -敵の種類がすさまじく少ない。 --雑魚はたった''5種類''。しかも、蜘蛛は2ステージ(とあるボスが攻撃の際に吐き出すものも含めると3ステージ)しか登場せず、サイクロプスは登場ポイントが限られる中ボスに近い扱いなので、実質3種類を使い回している。一応色違いや部位の違いで水増しはしているのだが…。 ---一番弱い芋虫(ロルファ)が最終ステージまで登場する有様。一応色違いで能力が強化されたり、飛び道具が追加されたりするが、根本的な解決にはなっていない。 -ストーリーが薄くて駆け足。 //-ストーリーが陳腐・ありきたりというレベルではない。 //--簡単に言うと、『悪の魔神クロノスの復活を目論む魔族「ティターン」にアルゴス王国の姫「ハルモニア」がさらわれた。勇者ゼーンよ、助け出せ!』。 //---…ほとんどこれだけである。まさかのPS2で『[[スーパーマリオブラザーズ]]』。終盤にはそれなりのどんでん返しがあるが、これも簡単に予想が付く程度。 //いくらなんでも //--あと、登場人物もかなり少ない。以下登場人物紹介。''ほぼ必要ないが''一応ネタバレ含むので収納。 //''ほぼ必要ないが''は余計に思える。 #region(登場人物) //#region(登場人物。少ないとか言うな。これでほぼ全部なんだ。) //上記同様。感情的な表現の傾向が強すぎる。 -ゼーン --記憶喪失の主人公。戦うことしか知らない。 ---「剣術に関しては並ぶものなし」らしいが、本編では盾しか使わない。強いから別に構わないが。 ---実はエキドナの息子。過去に行方不明になってアルゴ王国に流れ着いた…らしい。 -ハルモニア --一応ヒロイン。アルゴス王国創始者、「アルゴ」の子孫である。 ---ほぼ常に捕まっており、特に抵抗したり演説したりする場面もない。終盤ではヒロインの座を主人公の母親に奪われてしまう。 -エキドナ --ティターンの魔女。その正体は「''クレオパトラ''((クレオパトラの名を冠した人物は何人もいるが、シーザーと関係があったらしいので、ほぼ間違いなく一番有名なクレオパトラ七世であろう。))」。 ---前述の通り実はゼーンの母親。実に都合良くゼーンの手の甲に残っていた王家の紋章でそれを確信する。 ---「クロノスに肉体を乗っ取られて涙ながらに実の息子に殺してくれと頼む」というヒロインポジションをハルモニアから奪った張本人。その意味では間違いなく魔女である。 -イカロス --漆黒の翼と青い肌を持った異形の魔人。ちなみにティターンの幹部はこの二人''だけ''である。後は自意識があるかも怪しい魔獣ぐらいしかいない。 //ので、多分ゲーム史上最弱クラスの悪の組織である。 ---その正体は「''アリストテレス''」。アレクサンダー大王。序盤からその存在は明示されているが、別にゼーンに追っ手を放ってくるわけではなく、ひたすら影が薄い。 //予言達成のためエキドナがゼーンに戦って敗れて死ぬ必要があり、ゼーンを倒すのはエキドナ任せにする必要があった。イカロスは最初ゼーンに襲い掛かるが、それはその予言に疑念を持ってたから。しかし、ゼーンに破れ予言を信じるようになる。 //---過去に封印されたコイツの復活が本作のキーワードである。…が、復活したらどうなるかも特に語られない。 //デモでも暗黒神って言われてるし、石版に残忍で狡猾な暗黒神と書いてある。復活させればどうなるかは想像はつくだろう。 -クロノス --ティターンの支配者であり、一応ラスボス。序盤から存在は示唆されているものの、本格的に出てくるのは最終決戦の時のみで凄まじく影が薄い。 ---ハルモニアの肉体を奪って復活しようとするが、''別にエキドナでも構わなかった。''ハルモニアはさらわれ損である。 #endregion() --その存在が語られるだけの歴史上の人物なども含めればもう少し多くなるが、明確にストーリーに関わってくるのは上の5人で''ほぼ全部''である。 ---一応言っておくとこれは特にストーリーに関わる人物だけを抜粋したわけではなく、''本当にこれだけしかいないのである''。モブキャラクターすら、最初にチラッと登場する兵士ぐらい。 //(以降の消息は不明。エンディングにすら登場しない)。 //モブの消息を気にするプレイヤーがどの程度いるのか。だいたいエンディングはその後のあらすじで済ましてる訳で出るわけがない。 //「消息を気にする人」はいないかもしれないけど、最初にティターンが襲撃した瞬間、一瞬でいなくなったりするのはどう考えても表現的におかしい。 --説明不足、超展開、ご都合主義と負の3拍子そろったストーリー。 #region(例えば…) ---ゲームスタート→平和な式典→ティターン襲撃まで''約1分''。 ---重要な情報を独り言でつぶやくエキドナ、それを都合良く耳にしてしまうゼーン。 ---ダンジョンボスを倒した後ろのリフトがいきなり敵の本拠地に繋がっている。 ---ハルモニアを人質に取り、ディスカーマーを要求するイカロス。しかしゼーンもハルモニアも何も言わず素直に渡してしまう。 ---後半になるにつれて次の目的地への誘導が雑になっていく。最終ステージに至ってはどう考えても目的地もわからずウロウロしていたら偶然たどり着いたとしか考えられないレベル。 ---イカロスとの決戦の地からラストステージまで''約1分''。地形的なつながりを考えるとかなり違和感がある。 #endregion() //---参考までに以下本作のストーリーダイジェストを載せておく。 //マイナス印象を強調した面が散見され、感情的な部分も見られる。また一部誤りもあるので一旦CO。 //#region(勇者ゼーンの遍歴。) //-World1 コロッセオ //--ハルモニア姫から戦績を称えられていた所、いきなりティターンが襲ってきてコロッセオ地下に転落してしまう。そこでゼーンは神具「ディスカーマー」を見つけるのであった。 //ちょっと違う。アルゴに導かれて、ディスカーマーを手にする。 //---多分目的はコロッセオからの脱出。''特に語られないが''、そうとしか考えられない。 //姫を救出にいくのだから、今いるコロッセオを出て、行方を捜しにいかないといけないのは当然では? //---そんなにツッコミどころはないが、展開はすさまじく早い。開始1分少々でティターンが襲撃してくる。平和が乱れるの早すぎである。 //そもそもコロッセオにティターンが襲来してき話が始まってる。ならそのコロッセオに、敵兵であるティターンがいても特に不思議ではないのでは?むしろ居ない方がおかしい。ついさっき攻めてきたというのに。 //どういう勘違いしているのかわからないけど、要するに「ゲームスタート→ティターン襲撃」までが1分ぐらいしかない、って話。平和な式典のシーンが終わるまでが早すぎるってこと。 //1面がはじまってからの話かと思ってしまった。これは勘違い。まあ、確かに慌しい展開かな。 //-World2 エリシオン聖殿 //--逃げたエキドナがアルゴス王国の聖地、エリシオン聖殿に向かったので追跡することに。 //---本作では''珍しく''ちゃんと目的を持って行動する場面。エリシオン聖殿にてゼーンは天のディスカーマーを入手し、アルゴス王国創始者アルゴの霊からディスカーマーが3種類あること、それが邪神クロノスを封印する鍵であることを知る。 //-World3 ポセイドニア神殿 //--3つめのディスカーマーはココにある、との情報を得て向かった先は水の神殿。なぜか盗賊よけ(と思われる)トラップに引っかかったりしながらなんとか海のディスカーマーを手に入れる。 //---その後ハルモニア姫はおそらくオトリュス山にいること、そこに行くにはこの神殿を抜けた先にある洞窟を越えればいいことを知る。 //---そして神殿のボスである巨大魚と戦う…のだがコイツの目的が今ひとつ謎である。海のディスカーマーを奪うことが目的なら、ゼーンが海のディスカーマーを入手する直前か直後に現れなければおかしい(現にエリシオン聖殿のボスはそうやって現れている)が、なぜかディスカーマーがある場所とは全然関係ない位置にいる。 //---洞窟の入り口を守っているにしても、ポセイドニア神殿の最上層に近い位置にいるのでどうにも違和感がある。 //-World4 ミノス宮 //--''この辺りから本格的におかしくなってくる''。巨大魚を倒したら流れ着いた先はどこぞの迷宮。ハルモニア姫救出には全く関係なさそうなのに、ゼーンは躊躇うことなく進入していく。 //どことも知れぬ場所に流れ着き、手がかりになりそうなのがそこしかなかったという面はある。ただここに限らず、行く場所がないんで、残った場所に向かったら偶然道が開けたって、ご都合主義的な展開が多いい気はする。 //---そして宮殿内にはエキドナがいる。どうもこちらには気づいていないようで、自らに息子がいたこと、その子供が過去に行方不明になったことを''実に都合良く''独り言で喋ってくれる。 //--ミノス宮と言えば皆さんご存じのラビリントスだが、''別に迷宮にはなっていない''。その代わりなぜか地下に塔が2本ある。…ひょっとして牛の角に見立てているのだろうか? //ゲーム性を放棄しても、そこまでギリシャ神話にこだわるべきか疑問。そもそも各キャラの設定や世界観自体に、ギリシャ神話と史実を混ぜ込んでさらに創作要素が入ってるんだから。 //---ダンジョンボスもご期待通りのミノタウロス。ミノタウロス撃破後、エキドナと遭遇し、彼女はゼーンが息子であることを確信するのであった。 //-World5 オトリュス山 //--''ミノタウロスを倒した後ろにリフトらしきものがあったので乗ってみたら敵の本拠地に着いた''。…何を言っているか分からないと思うが、本当にこんな感じである。 //---イカロスはエキドナがゼーンを殺すことに躊躇いを覚えていることに気づき、刺し殺す…というシーンが冒頭に入る。 //これは違う。予言達成のために、エキドナがなんらかの形で敗北し、最終的に死ぬ必要があったから。 //---その後山を登るにはスキルが足りないので、一度山を下りて新スキルを探索したりしながら山を登っていくことになる。 //--道中特に脈絡もなくケンタウロスが襲ってくるがコイツこそ''ティターン最後の刺客''である。…別に強くもないが。 //「…別に強くもないが。」は余計な一言では。どうも、マイナス印象強くしようという感じがする。あまりに感情を込めすぎではないだろうか。 //--そしてイカロスはハルモニアを人質に取り、ゼーンにディスカーマーを渡すよう要求する。 //---…が、葛藤することもなくゼーンは普通にディスカーマーを渡してしまう。もうちょっと悩もうよ。そしてハルモニアも特に何も言わない。「私はどうなっても構わないからディスカーマーを渡してはなりません!」ぐらい言って欲しかった。一応邪神復活の鍵だよ、コレ? //--ディスカーマーを使って魔界への扉を開き、クロノス復活の儀式を進めようとするイカロス。しかし、その瞬間、エキドナがディスカーマーを奪い取り、門はエキドナを飲み込み閉じたのであった…トドメぐらい差しておこうよ。 //-World6 アルカディア //--オトリュス山山頂より徒歩''3分''、ワープポイントを抜けた先に神々の地、アルカディアはあります。風光明媚、モノが重力に逆らって''上に落ちる''景色は絶景です。 //---ココに来なければいけない必然性は''全くない''。逃げたイカロスの行く先もわからずとりあえずその辺をウロウロしていたらたまたまたどり着いた、といった感じ。 //--このフィールドには''天空城''なる施設があるのだが、上部が歴史を感じさせる古城で下部がどのような技術で作られたのかもわからない謎の機械群になっている。…どこのラ○ュタですか? //ハッキリ機械と分かるようなものはない。確かに放電している正六面体の黒い岩のようなものが浮いてはいるが、この状態でそれを機械を判断できる材料はない。 //---天空城最上部でイカロスとの最終決戦が行われる。そしてその場で突然ハルモニアは歌を歌い出し、イカロスは彼女がアルゴと自らの子孫だと知るのであった。 //---その後、ゼーンと決着を付けるため地下洞窟で戦うのは登場人物紹介の通り。一応「ライバルの死に勝利を誓う」という少年漫画的に感動の名シーンのはずだが、前述の通り''演出がアレでナニ''なため、プレイヤーが全く共感できない。 //-World7 タルタロス //--イカロスとの決着を付けた地下洞窟から''約1分''歩くと魔界への門がある。ここまでプレイしてきた人なら''この程度の超展開''には耐性が付いているので別に驚かないが。イカロスが親切にも道をつなげておいてくれたんだなぁ、ぐらいに考えておけばいい。 //---その後最終決戦となる。この後の展開は別に面白くもないので割愛。まぁ''大体予測が付く程度''とだけ書いておこう。 //#endregion() --さらに本編を追うだけでは語られない設定があり、それらについては随所に落ちている石版や手紙で補完する必要がある。 ---これ自体は『[[キングダム ハーツ]]』などでも例のある手法なので特に問題はないが、問題はこの「語られない設定」がやけに多く、本編だけでは意味不明になる可能性が高いこと。 ---こういう表現方法はまずストーリーの骨格を「見せて」から裏設定を「読ませる」から面白いのであって、ほとんどを「読ませる」のでは面倒なだけである。 -カメラワークに問題がある点も。 //-カメラワークが異常に悪い。 //--本作のアクションとしての問題点はほぼここに集約される。固定視点であり、自分でカメラを動かせない。 //これはデビルメイクライをはじめとした固定カメラ視点式のアクションゲームの特徴であり、ゲーム性として好みに合う合わないの範疇。 --特に空中ステージのアルカディア。ギリギリの距離を要求される事が多い。その割に距離感がつかみにくく、何度も落ちるハメに。 ---一回落ちると難易度HARDまでならば少し~そこそこ戻されるだけでペナルティはこれと言って無いのだが、LEGENDARY(最高難易度)の場合は''即ゲームオーバーとなる''。 //---特に最悪なのが空中ステージのアルカディア。「先の見えない狭い足場をギリギリまで移動してジャンプする」という操作が要求される。 //アルカディアやってみたが「先の見えない狭い足場をギリギリまで移動してジャンプする」というような場面は見当たらなかった。 --また、この手の固定カメラ視点式のアクションゲームの宿命として、視点切り替えの境界線近くで戦うと頻繁に視点が切り替わり戦いづらくなる事がある。 //---また、視点切り替えの境界線近くで戦うと頻繁に視点が切り替わり、まともに戦えなくなる。 -攻撃の創作性にとぼしい。 --コンボは手軽にできるのだが、一方で技を自分なりに繋げていけない。せっかく打ち上げ攻撃などがあるのに、打ち上げ後の硬直が長く、またキャンセルも基本システムとして装備されてない。このため結局、各ディスカーマーに用意された技で締めるしかない。 -パッケージ裏には『あらゆるものを破壊 魂を揺さぶる''「超破壊」''というロマンあふれる文章があるが、''大嘘''。 --実際には壊せるオブジェクトが普通より若干多いか、といったレベル。壊せないものは何をどうやっても駄目なのは他のゲームと同じ。 ---むしろ、このせいで全てのアイテムを回収するために、しらみつぶしに壊して回る必要があり、かえって手間を増やしている。 -オープニングのいろんな派手なシーンは、結局ゲーム中には一度も出てこない。 --オープニングではゼーンが石造りの召喚獣にまたがり、空中戦を繰り広げるシーンが描かれるが、''こんなバトルは一回もない''。 ---そもそもこの召喚獣、ゲーム中では一切登場しない。いわゆる没案の一つだと思われる。おそらく映像を先に作ってしまい、開発中に整合性が取れなくなったものの、差し替える余裕がなかったのだろうが…。 --コレに限らず、「モンスターに襲われる街」「上記の召喚獣相手に空中戦を繰り広げる敵戦車」など、本編では全く登場しないシーンだらけであり、ハッキリ言って整合性は皆無。 //モンスターに襲われ、溶岩に飲み込まれる町→町なんてゲーム中にはない。無人の遺跡を探索するだけ。火山は一応あるが、山の中腹なのでこの町の跡とは到底思えない。~ //天空に浮かぶ遺跡で祈りを捧げるハルモニア姫→ハルモニアは本来地上にいなければおかしいはず。そもそも地上がエラいことになっているのに、小鳥と遊んだり酷くのんきである。~ //街中でモンスターと戦うゼーン→前述の通り町のステージなんてない。サイクロプスが複数登場するが、コイツはゲーム中では常に1体ずつしか出てこない。~ //無数のモンスターを前にディスカーマーを振り回し一掃するゼーン→このシーンではざっと百体はいるように見えるが、ゲーム中では''10体出てくる場所すらない''。~ //複数頭仕立ての戦車に乗り迫り来る謎の敵→ゲーム中には出てこない。''本当に謎の敵であった''。 //--ひょっとしてこれはアレだろうか。''「画像はイメージです。実際のゲーム内容とは異なる可能性があります」''というヤツだろうか。 -エンディングが手抜き。 --本編の映像とストーリー中で使われるハルモニアの歌を組み合わせただけ。見栄えはいいが、手抜き臭がする。 **賛否両論点 -ボスについて。 --雑魚がショボイ一方、ボスはグラフィック・行動パターン共に手が込んでおり、使い回しなどもない。 ---「特定のタイミングしかダメージを与えられない」など、頭を使った戦い方を要求される相手も多い。 --一方、ラスボスは回避困難なガード不能攻撃を連発してくるという戦法なため攻略法を見出しにくく、「強い」というより「面倒くさい」。 //---せっかく資料系のアイテムが色々あるのだからヒントぐらいあってもいい気もするが、そういったものもない。普通のアクションゲームでも用意されていないのだからそこまで問題点でもないが…。 //ゲーム内で事前に攻略方法が欲しいというのは、アクションゲームというジャンルそのものへの要望。一ゲームがどうこうの話ではない。 //---ただし、最初のボスの資料は手に入る…''倒した後に''。別に攻略に関わるヒントが書かれているわけでもないので、倒す前に手に入っても価値はないだろうが、なんだか酷く損した気分になる。 //ヘカントケイル戦はプレイ最初の山場。開発者はその最初の山場でプレイヤーを驚かそうと、単に事前情報をなるべく明かしたくなかっただけではないのか?実際、ヘカントケイルはボスとしては二番目の大きさ。このサイズのボスを最初に持ってくるくらいなのだから。 //---攻略方法を考えさせるにしても、モブが全くいないためヒントをくれるキャラがおらず、戦闘中自分で考える必要がある。これを面白いと考えるか理不尽と考えるかは人それぞれだが…。 //攻略方法を事前に教えるアクションゲームはまずない。 **評価点 -盾を使ったアクションの完成度が地味に高い。 --ディスカーマーは三種類あり、攻撃範囲は狭いが射程が長く扱いやすい「冥」、モーションは遅いが一度に広範囲を攻撃できる「天」、ほぼ近距離中心だが連続攻撃が可能で最も攻撃力が高い「海」。それぞれ一長一短で使い分けが必要。 ---特性とは別にそれぞれ固有アクションがある。こちらもまたいろいろと使える。「冥」は敵を引っ掛けた状態で振り回し近づいた敵を弾き飛ばす事ができる、そして最後は投げる。「天」はディスカーマーを伸ばしたままの状態で、一定範囲を自由に操る事ができる。また竜巻を起こす事ができる。敵がどんどん吸い込まれていくのは何気に楽しい。「海」は放った後、宙に停止させる事ができ、その後ゼーンが通った後をなぞるように戻ってくる。ジグザグに走ればジグザグに戻ってくる。 --各ディスカーマーでコンボができ、その派生は多彩。基本的に二つのボタンの組み合わせなので、お手軽にコンボが楽しめる。 ---最初こそ少ないが、ディスカーマーは成長させる事でバリエーションが増えていく。どのディスカーマーを育てるかはプレイスタイルしだい。 ---このコンボ。技表で確認できる。技が増えたのが表で確認できるのだ。この手の技のバリエーションの多いゲームでは、一部の格闘ゲームやアクションゲームで全ての技がゲーム中にもマニュアルにも表記されてないものがある。その点では全ての技が載っているのはありがたい。 ---それぞれのディスカーマーには必殺技とも言える、使い魔が召喚できる。それぞれ特色があり、また使用するイコルによって三段階のバリエーションがある。攻撃力や攻撃範囲が違い使い分けが必要。また召喚中は無敵が発生し、また敵のモーションを中断させる事ができる。また唯一コンボの途中をキャンセルできる技。攻撃力も高いが、付属効果が何かと便利。 --またこれらの切り替えはボタンで瞬時にでき、全く硬直がない。これがボス戦での咄嗟の切り替えにものを言う。例えば各使い魔は「天」の使い魔は攻撃範囲がもっとも広く命中率が高い。だがボス戦でモーションの遅い「天」を使う事はまずない。そこで攻撃回避やモーション停止を狙って、咄嗟に切り替えたりするのだ。 //-盾を使ったアクションの完成度が地味に高い。 //--ディスカーマーは3種類。遠距離攻撃の「冥」、中距離広範囲の「天」、近距離連続攻撃の「海」。 //---いずれも一長一短あり、使い分けが重要。戦闘中もL2R2で一発切り替えできるのもうれしい。 //---それぞれにコンボが用意されている。そのバリエーションはかなり多く、またディスカーマーを //---また天は攻撃速度が遅く、海は極端にリーチが短いとどちらもクセのある性能。最初から使えるのが一番オーソドックスな「冥」なのは「わかっている」感がある。 --アイテムはどれもディスカーマーで回収できる。いちいち走る必要がないので手間がかからない。 --戦闘の他にディスカーマーでのロープアクションができる。一部の面に集中しているが、全体的に仕掛けの少ない本作で、このロープアクションを使った仕掛けはおもしろみの一つ。 //-ボスキャラは多彩で、迫力あるもの。 //--乏しいザコキャラに対し、ボスはなかなか動きが豊か。それぞれ特色ある攻撃をしてくる。また攻略方が示唆されてる作りになっており、攻略しがいがある。 //---ただ一方で、攻略方が見出しにくく、ごり押し戦や持久戦をやらざるを得ないボスもいる。 //賛否両論点に移動。 -難易度NORMALでプレイしているとき、何度も死ぬとEASYでプレイできるようにさせてくれる機能がある。HARD以上に挑む前にゼーンを鍛えるのにはオススメの難易度。 --なかなか親切な機能だがズル防止のためか、以降戻せなくなるので使い方には注意を要する。 --同時にEASYの開放条件はこれ以外に無いので、完全クリアを目指す場合は必須経路になる。 -グラフィックはこの時代…というよりPS2全体で見ても冗談抜きに最高クラス。 --背景の造形がよく、ギリシャ風建築物やエーゲ海沿岸の風情がよく表現されている。 --特に空、水の表現は他の追随を許さないレベル。 -プレイ画面にマップが表示されており、迷いにくい。 --マップのあるゲームはよくあるが、メニュー画面を開かないといけないことが多い。グラフィックが綺麗な本作。場所によっては画面からだけでは道がよく分からないものもあるので、プレイ画面上にマップがあるのはありがたい。 -音楽も良質。古代ギリシャを意識した勇壮で幻想的な良曲揃い。透明感のある曲が多い。 -グラフィックに対してロード時間は皆無。 --非常にテンポ良く進められる。ただ、固定視点と一画面に登場する敵の数の少なさが理由と思われるので、あまり褒められたものでもないが…。 -クリア後に追加される「ピザーマモード」が高評価。 --簡単に言うと「ピザ屋アルゴスの配達員ゼーンがピザが無料になる30分以内にピザを届けにいく」というカオスなストーリー。 ---全編台詞が書き直されており、かなり笑える。まさかの[[パロディモード>.hack/感染拡大 Vol.1]]。さらにディスカーマーは全てピザになっている。ちなみに無と冥がマルゲリータ(具は無が少量のバジルの葉、冥がたっぷりのサラミと薄切りにした玉葱)、天がバジル(具は輪切りにしたピーマン)、海がシーフードである。 ---変わっているのはディスカーマーと日本語字幕だけであり、実際の台詞はそのまま(いわゆる嘘字幕)。そのため本編の真剣な表情や雰囲気のままピザのやりとりする非常にシュールな絵面となっている。 -ネタ要素は他にもあり、ある条件でクリアーすると、ネタディスカーマーが使えるようになる。もちろん本編でも使える。 --たとえばさらに最高難易度で総合評価Sでクリアすると''「寿司アーマーモード」''出現。他には、ピザモードでのピザ、ギター、ハンバーガー、丸まってる状態のロルファ、どんぶりに入ったうどんがある。 ---残念ながらこちらは台詞のパロディはない。 **総評 アクションとしては悪くない部類であり、動かしていてストレスを感じる部分はほぼない。また、グラフィックの質はかなり良く、BGMも合わせてギリシャ神話の雰囲気がよく出ている。~ 一方で、アクションとは直接関係ない部分の出来は残念なものとなっている。アドベンチャーゲームとして楽しもうとすると、思いっきり期待を裏切られる。~ 「長時間にわたってやりこみたい」と言う人には向いていないが、「深いことは考えずに軽くプレイできるアクションがやりたい」人ならば楽しめるだろう。 //**総評 //一番面白いのがクリア後のオマケという悲惨な作品。~ //グラフィックとアクション性はそれなりに評価されているが、狂ったストーリーとボリュームの薄さは到底擁護できない。~ //後にWii版も発売されている(テクモ最後のWiiソフトでもある)が、PS2の操作性をWiiに合わせただけという時点で…お察しください。 //アクション面はそれなりに楽しめる。一番面白いのはクリア後のピザ話というのは同意しかねる。 **余談 -原作については、Xbox用の『テクモクラシックアーケード』またはアーケードアーカイブスでプレイ可能。 --今は亡きWiiのバーチャルコンソールでも配信されていた。 -なぜか全編英語ボイス+日本語字幕である。 -海外版が発売されているが、海外版ではゼーンの名前が変わっている。その名はライガー。実は日本版原作のラスボスの名なのだが、原作の北米版はライガーが主役の名称となっていた。 //-海外版が発売されているが、海外版ではゼーンの名前が変わっている。もっともその程度ならよくある話なのだが、変更後の名前が問題。 //--なんと、アーケード版のラスボスと同名の「ライガー」になっているのである。 //---もしこの「ライガー」がAC版ラスボスと同一人物なら、陳腐どころか恐ろしく複雑な世界観が存在することになるのだが…。 //--というより、主人公の名前が変わっているということはせっかくの英語ボイスも新録したのだろうか? 海外版で差し替えられるなら本当になんのための英語なのだろうか…。 -何気に原作のリスペクトがある。封印を解く円錐形の置物は、原作のステージクリア時にあるものと同じ。 ~ ~ ---- *アルゴスの戦士 マッスルインパクト |ジャンル|アクションアドベンチャー|&amazon(B000TKZ0ZQ)| |対応機種|Wii|~| |発売・開発元|テクモ|~| |発売日|2008年12月11日|~| |定価|6,800円(税抜)|~| |レーティング|CERO:C(15歳以上対象)|~| |判定|なし|~| |ポイント|なぜかゼーンが別人化&br()多少は改善されたが根本的な問題点は変わらず&br()微妙なマッスルモード|~| **概要(マッスル) PS2版の移植でかつテクモ最後のWiiソフト。操作性がWiiに合わせて多少変化しているほか、オリジナルの「マッスルモード」が追加されている。 **評価点(マッスル) -多少だが、敵の種類が増えて単調さが改善されている。 --巨大な鎧騎士「クレイオス」は攻撃範囲が恐ろしく広く、攻撃力も高い。一方でモーションは遅いので、背後に回ればわりと楽に倒せるメリハリのある相手になっている。 --「カロン」はゼーンとは異なるディスカーマーを持った戦士。防御を的確に行ってくるガードの堅い相手で、こちらもガードを固めつつ相手の隙を突く必要がある。 **問題点(マッスル) -''サブタイトルが酷すぎる''。 --「筋肉の衝撃」という意味不明の英題である。ゲーム本編とはほぼ関係ない。確かにゼーンはマッチョだが、別にそれを売りにしているキャラクターではない。シナリオはわりとシリアス寄りなので余計違和感がある。 ---ただ、このシリーズには以前『はちゃめちゃ大進撃』というやはりよく分からない副題で発売された前科があるので、ある意味伝統なのかもしれないが…。 ---偶然の一致だが&b(){キン肉マンビッグボディの必殺技と同名}というのがまたなんとも……。世の中には[[ギース・ハワードの超必殺技と同名のゲーム>レイジングストーム]]もあるのだが、なぜよりによってビッグボディ……。 -根本的な問題点はほぼ無修正。 --カメラ固定による動かしづらいアクション面、薄めのボリューム、アレなシナリオなどは全く改善されていない。 -微妙な追加要素「マッスルモード」。本編とは異なり、Wiiリモコンを振って攻撃し、その勢いで技の強さが決まりひたすら敵を倒してコンボ量などで評価が決まるというモードなのだが…。 --まず名前が脱力物。なんでギリシャ神話モチーフの世界観で「マッスル」なのか謎すぎる。 ---画面一杯に敵がわき出て、それをリモコン振りでなぎ払う…という着想自体は悪くないものの、''相も変わらぬ固定視点''なので画面手前に敵が来ると攻撃を当てるのがものすごく難しい。 ---ステージも一種類しかなく、総合評価で色々称号が与えられる…というやりこみ要素はあるが、追加要素としてはかなり微妙な存在である。 -なぜかクラコン非対応。前述のマッスルモードの兼ね合いかもしれないが、元がPS2のゲームなのに、ストーリーモードでも使えないのは不自然である。 --一部の連打操作が「リモコン振りっぱなし」という理不尽な操作に差し替えられており、手に負担がかかる。そう使用頻度の多い技ではないのが救いだが…。 -''ある意味発売されたことそのもの''。商法それ自体に問題がありすぎる。 --パッケージを見れば分かるとおり、ゼーンとディスカーマーのデザインが大幅に変わっており、ゼーンは白髪かつ装飾過多な服装をした今風のキャラクターデザインになっている。 ---しかし、ゼーン以外の登場人物・モンスター・世界観他全てのグラフィックは''PS2版と全く同じ''である。にもかかわらず、パッケージ、公式サイト、任天堂ホームページどこを見ても「PS2版の移植である」ことは書かれていない。CMもまるで新作に見える表現になっている。~ つまるところ、パッケージに書かれている主人公と武器のデザインだけ変えて、移植作に見えないようにした上で売りつけよう、という意思が垣間見えるのである。''新作に見せかけた移植詐欺''という新たな問題点が生じてしまっている。 ---主人公を含めた全てのキャラクターデザインを描き直した上での発売なら「デザインと操作性を改めたリファイン」、全てのキャラクターデザインが同じなら「追加要素を加えた忠実移植」と言い訳できるが、主人公''しか''描き直していない時点でその意図は明白だろう。 ---ちなみにPS2版の大嘘OPだが、ゼーンのデザインが変わったためか、''オープニングそのものがなかったことになっている''(企業ロゴが表示されたあとそのままタイトル画面になる)。オープニングを描き直す程の手間もかけられていない。 **総評(マッスル) ゲームそのものはそう致命的な出来というわけではなく、ほぼPS2版そのままである。完成度が極端に低くはなく、遊ぼうと思えば無難に遊べなくはない。~ しかし、6年前の時点で当時既に微妙な評価だった作品を、あたかも新作に見せかけるような移植で売りつけたことをどう捉えるか、によっては本作の評価はかなり低下せざるを得ないだろう。~ ----

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