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グロリア・ユニオン - (2012/09/14 (金) 14:26:01) の編集履歴(バックアップ)


グロリア・ユニオン

【ぐろりあ・ゆにおん】

ジャンル シミュレーションRPG
対応機種 プレイステーション・ポータブル
発売元 アトラス(インデックス)
開発元 スティング
発売日 2011年6月23日
定価 UMD:6,279円/DL:4,980円
プレイ人数 1人
レーティング CERO:B(12歳以上対象)

概要

ユグドラ・ユニオン』『ブレイズ・ユニオン』に続くシリーズ3作目。「ユニオン」の名を冠しておりゲームシステムも前作・前々作と同一ではあるものの世界観は共有されておらず、『Dept. Heaven Episodes』シリーズにも含まれていない。

ストーリー

この世に存在している意思の力“ウィル”によって繁栄していた国があった。
ユーフォリア王国、王位継承者にのみ宿る強大なウィルの力で世界の頂点に君臨していた大国である。
ユーフォリア王国を始め、人々はウィルの力で様々な文化を築き上げていった。絶対的力を持っていたユーフォリア王国。
しかし、その歴史はある日終わることとなる。ユーフォリア王国は海へと沈み、世界の八割は海に包まれた。
海に沈む直前、ユーフォリア王国はその文化を世界に残すため、膨大なウィルを詰め込んだクリスタルを世界各地に封印し、それは伝説となって現代に語り継がれた。
クリスタルの伝説。世界の八割が海になったことで活性化した海賊達は、その伝説を求め海へ飛び出したのであった。
そして、ここにも一人、一攫千金を狙う海賊少年がいた。

(公式サイトより転載)

ゲームシステム

やはり複雑なシステムであり初見のプレイヤーは首を傾げることも多いものの、相変わらずシナリオの進行に応じて順次解放されてゆくシステムと登場人物によるチュートリアルも健在。チュートリアルは自ターンのメニュー内で確認できるため無理なくルールを身につけることができる。ルールの詳細は『ユグドラ・ユニオン』の当該項目を参照。

前作、前々作からの変更点

  • キャラクターデザインは『ラジアータストーリーズ』『ラジアントヒストリア』を担当したこにしひろし、『ドカポンキングダム』の為重英子。カードデザインは引き続き戸部淑が担当。等身が高く肉感的なキャラ造詣となっており、きゆづきさとこの愛らしいデザインとは毛色が違う。
    • 会話シーンは基本的にキャラ毎の一枚絵で進行していたものの、今作では各キャラに表情差分が用意されており、豪華声優による演技と相まってより臨場感が高められている。キャストには主人公のイシュトに下野紘、メインヒロインのルルゥに花澤香奈を始め藤原啓治、伊藤静など軒並み人気声優が名を連ねる。
  • (正確には『ブレイズ・ユニオン』からだが)スキル使用時にボイスによる詠唱が入るようになった。敵のザコキャラに至るまでしっかり喋るようになったため、「表示される字幕とボイスが噛み合ってない」という問題は解消されている。
  • 装備品の交換が可能。これにより敵の陣容に対応しより柔軟な戦略が取れるようになったほか、各キャラの初期装備などを難関マップや後半ステージにまで持ち越すこともできるようになった。「瞬間チャージ」や「ゲージ・レート蓄積」など初期装備には強力な特殊能力を持つものも多いため、上手く使いこなせればゲームの難易度が変わる。
    • ただし、相変わらず装備品を「外す」ことは不可能。
  • 前作『ブレイズ・ユニオン』は『ユグドラ・ユニオン』の直接の続編*1だったのに対し、本作は世界観を一新した新作であるため過去作をプレイしなくても楽しめる。
    • とは言いつつも、ファンサービスとしてシリーズお馴染みのミスティックウィッチ・パメラを始め『ユグドラ』『ブレイズ』からそれぞれ一人ずつゲストキャラが登場している。
      + ネタバレ注意
    • 『ユグドラ』からは主人公のユグドラがまさかの参戦。同一人物ではなく、賞金稼ぎで構成された海賊「ファンタジニア旅団」を纏め上げる女団長という設定。自前の悪センサーで悪を探知し、悪を見つければ所構わずいい笑顔で愛用のガトリングガン「センチュリオバスター」を乱射、口癖は「寄らば撃ちます!」・・・なんだ、いつものユグドラか・・・。
    • 原作とは異なり使用武器が銃に変更(グラフィック上はガトリングガン)され、ジハードも無いためかつてのような無双は不可能になっているものの、rageが神聖属性・かつ神聖攻撃を無効化できる銃キャラは彼女のみ、加えてATKの初期値・成長率が共に抜群に高いため活躍の余地は十分にある。キャストはもちろん中原麻衣。また戦闘BGM「黄金を纏う破壊者」も「ユグドラ出撃」のアレンジとなっている。
    • 一方の『ブレイズ』からは詩に残せるほどの強者を求めて旅する吟遊詩人、イータが登場。こちらは設定的に同一人物と思われる。
      • 昼・夕方は女性、夜間は男性として扱われユニット特性も変化するトリッキーなキャラも相変わらず。前作同様、唯一の琴キャラである。
    • いずれのキャラもルート次第では仲間にならない。会話での出番も控えめなため目立ち過ぎず、本来の主人公を喰うといったことはなくゲストとしての立場をしっかり貫いている。
  • メディアインストール対応。これによりテンポの良さはシリーズ随一。

賛否両論な点

  • システムは完全に過去作の使い回しである。他に類を見ない独特のシステムを持つシリーズとは言え、三作目ともなるとさすがにマンネリ感が目立つ。
    • タクティクスカードも特定のキャラ専用のものが数枚追加された程度にとどまり、目新しさに欠ける。
    • またカードの強弱も相変わらず。「スティール」「グラヴィティカオス」「シールドバリア」等の優位は依然揺るがず、逆にこれまで弱かったカードは弱いままなのもマンネリに拍車をかけている。
    • しかしながらそれは同時に過去作で培ったノウハウをそのまま生かせるということであり、ルールを熟知しているシリーズ経験者なら違和感なく序盤から十二分にゲームを楽しめるため、「大きな改変をされるよりは」という肯定的意見も多い。
  • だが新たに追加されたカードの効果のインフレがあまりにも激しい。
    • 特に壊れているのがメインヒロイン、ルルゥ専用の「コウアレス」。発動すると分身が一つ(ヘッド一人になる)代わりに全ステータスを最大値に引き上げ、強攻撃のダメージが上昇し、強攻撃の頻度も激増するという狂った性能。さらに勝利するとATKが引き上げられたことに加えて「コウアレス・エンド」による士気ダメージボーナスが入る。ゲージを破壊できない点を除けばジェノサイドにそっくりである。おまけにこのカード、最序盤で手に入るためスキルの解禁と同時に使用可能になることも考慮すると、ジェノサイドよりえげつない。
    • 他にも「遺跡カード」と呼ばれる主人公専用のカード群がある。ほぼ無条件で敵ヘッド以外を全滅・地形効果を無効化・士気ダメージボーナスを与える「タイダルウェイブ」を始めこちらも強力なもの揃い。
    • 終盤になると敵も強力なカードを多用してくるためそれに対抗するための措置と言えなくもない。
  • 全キャラにこのような強力な専用カードがあればそれはそれで豪快で良かったのかも知れないが、残念ながら専用カードは強弱が激しく、キャラ間の格差は大きいと言わざるを得ない。
    • 自爆技になりかねない「メテオ」、スキルを発動しない方が勝ちやすい「セルヴェイション」に至ってはもはやどうしようもないレベル。
  • To eatアイテム、MVP獲得によるステータス上昇が下方修正された。To eatアイテム(いわゆるドーピングアイテム)の効果は従来はステータスを大星1つ分上昇させる効果だったものの、今作では小星2つ分と大きく効果が引き下げられている(例えばATK2.0のキャラに使うと3.0になっていた所を、2.2までしか上昇しなくなった)。
    • MVP獲得によるボーナスは『ユグドラ』ではリトライ無しでのクリアで小星+1、リトライ無し・特定ターン数以下によるクリアで+2だったものの、今作ではリトライ無し・特定ターン数以下で+1とノルマは変わっていないのにボーナスだけが下がってしまっている*2
    • これにより、キャラの短所の強化やプレイヤーの個性を出した育成がしづらくなっている。
  • 槍キャラが最大4人も仲間になる一方で鎌キャラが1人も加入せず、兵種に偏りが見られる。これに伴い、「オブリヴィアスドーン」など一部のカードが敵専用スキルになってしまった。
    • しかし蓋を開けてみれば水辺が多い本作では数値以上の活躍を見せるフィービー、唯一の飛行ユニットであるラズベリー、こちらは唯一のLサイズユニットのカミュル、標準的な能力で癖のないミネソタとどのキャラにも個性がある。そもそも選択肢が多いのは良いことである。
    • 黄泉の国の吸血鬼という設定のラズベリーは鎌で良かったのでは、との意見多数。
  • ストーリーは良く言えば明るく軽快、悪く言えば稚拙。
    • 例を挙げるなら最序盤のメインヒロインの登場シーン。なんと「美少女が空から降ってくる」という陳腐・・・王道な展開に加え、主人公は「美少女だから」という理由で手放しで彼女を信用。当のヒロインはいきなり主人公に秘められた能力の存在を指摘、「私についてきて欲しい」と冒険に出かける・・・という、ライトノベル的なストーリー。
    • また何の伏線もなく新たな設定やキャラが登場するご都合主義的な展開も日常茶飯事である。それに対するキャラの反応もツッコむ、ボケる、鼻の下を伸ばすなど今いちシリアスに徹し切れていない。もちろん、全編通してこんな調子というわけではないが・・・。
    • 特にあるキャラの自軍加入経緯はあまりにもお粗末過ぎ、「本作のシナリオの酷さが象徴されている」とよく槍玉に上げられる。
      + ネタバレ注意
    • 序盤からボスとして登場する「アンヌ・コーマック」というキャラ(設定上は女海賊、ゲーム上のクラスはヴァルキリー)。とある経緯から莫大な懸賞金をかけられた主人公を狙うシャルム海賊団の船長なのだが、なんとナンパ勝負で仲間になる。正確には、ナンパ男を撃退した女キャラと友情を感じ、自軍に参入してくるという・・・さすがにオイオイと突っ込みたくなる酷さ。
      • 海賊団の船長といえば一国一城の主と言って良く、彼女自身も「悪名は全海域に轟いている*3」レベルの大物。そんな人物があっさり仲間になる(=他の団の軍門に下る)のはさすがに不自然。
      • また彼女が仲間になるマップは女性キャラを特定の位置に配置すると水着イベントが見られるいわゆる水着回というのも緩い空気に拍車をかけている。
    • 前述の強力なカード群も相まって、「低年齢層に配慮したのでは」との意見もあるがそうなってくるとCERO:Bの説明がつかない。
      • 本編では語られなかったエピソード等はエクストラコンテンツのオーディオドラマ内で一部が語られる・・・が、「本編でやれ」レベルの重要な会話もあり「おまけ要素に丸投げするな」と批判されている。

総評

ゲームとしては快適になったもののこれまでのシリーズの硬派なシナリオから一転、コメディ調の軟派なシナリオに激変してしまったのがあまりにも痛い。
しかしゲームのテンポは良好、フリーマップの導入やアイテム集めなどのやりこみ要素も健在のためゲーム性は決して損なわれていない。