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デスクリムゾン2 メラニートの祭壇 - (2021/05/01 (土) 20:17:50) の編集履歴(バックアップ)


デスクリムゾン2 メラニートの祭壇

【ですくりむぞんつー めらにーとのさいだん】

ジャンル 暗黒ギャルゲーシューティング
裏を見る
対応機種 ドリームキャスト
発売元 エコールソフトウェア
発売日 1999年11月25日
定価 5,800円
判定 バカゲー
ポイント まさかの続編、そしてスケール壮大化
STUFF等露骨なウケ狙いの数々
依然としてバランスに問題アリ
前作とは異なりさほどクソではなくなった
デスクリムゾンシリーズ
デスクリムゾン/ デスクリムゾン2 メラニートの祭壇 /デスクリムゾンOX


概要

言わずと知れた 10年に一度のクソゲー である『デスクリムゾン』の続編として発売されたソフト。
メーカー的には「『デスクリムゾン』において自分達が本当にやりたかった事を形にした」との事。


プロローグ

こんな夜には命を落とす奴が多い。
今夜もまた誰かが命を落とす…。

コンバット越前こと越前康介がデスビスノスを倒してから20年後の2015年。
サロニカの古城で暮らしていたダニーがザザ提督という人物に幽閉され、かつてサファール遺跡で手に入れた「エメラルド」と魔銃「クリムゾン」の在り処を尋問されるも、声も出さずに拒んだ為に爆殺される。

ダニーの死後、アゼリア広場にある心療内科「ローゼンバーグクリニック」を営む精神科医のリリーの元に、別居中だったダニーの妻のマーサから助けを求める電話が入る。
20年前に精神を病んだ患者のグレッグや、せっかくだから入ってきたフリーカメラマンの八並康と話しているうちにマーサが駆け込んで来るが、
その後、リリーの娘のユリが大学から帰省してきた事で状況は一変する。
越前が持っていたという「ルビー」をユリが身に着けている事を知ったマーサは診療所を飛び出してしまい、異形の集団に襲われたのだ。
その場に居合わせた康は異形を倒すも、マーサは殺されてしまう。
駆け付けたユリと共にマーサの最期の言葉を聞いた康は、クリムゾンを巡る戦いに巻き込まれて行くのだった。


特徴・変な点

  • ダメージを受けた時に無敵時間が無い、ムサビィ(ムササビの1種。実は作中で重要な設定を持っている)を撃つとダメージを受ける、エンディングに「ST"U"FF」と書かれているなど、前作で話題になったネタが引き継がれている。
    • 更に前作のOPが丸々見られるシアターゾーンも。名目上は「越前・ダニー・グレッグの若い頃の映像」だそうだが、前作を知るプレイヤーであればこの時点で突っ込みどころ満載である。
      • デスビスノスの奇声から、「越前に襲いかかる…」までベタ移植。ある意味素晴らしいファンサービスである。
        ごく一部のプレイヤーからは、 デスマスクがない! *1という声すら上がっているが...
      • しかもこのOP、ある場面で回想として使われるが、ミスマッチ過ぎて完全にギャグと化している。
    • コンバット越前も一部のシーンで登場。せいじろう氏の演じる甲高い声ももちろん健在。しかもいろいろとグレードアップしており、出番が少ないにも関わらず今回もまた多くの名言を残した。
      • CGのクオリティが上がった事で、意外と精悍な顔立ちであった事がわかる。それだけに余計に声とのギャップが際立っているが。しかしCGが良くなっても左右の足の長さが違うのは変わらない
      • プロローグからして越前ボイス全開のナレーションでプレイヤーの腹筋を殺しに掛かる。かつての戦友ダニーが監禁されている様子をメタ視点で眺めて嘆き始めるが、その口調は彼を憐れんでいるのかあざ笑っているのかよく分からない。
      • そして中盤の登場シーンでは…。
        + この動画はお前を破滅へとみちビクッ!
      • ゲーム開始前のメニューからとあるモードを選択するとキャラクターの各種音声を聴けるのだが、その中にも越前のボイスが収録されている。なぜか越前とはかけ離れた変声*2の「コンジョウダセヨ(根性だせよー)」や、「狂気の世界の始まりだぜ」といった本編未登場の意味深なボイスも。
  • 基本はガンシューティングだが、淡々とステージを進むだけだった前作とは異なり、今回はフルボイスによる会話シーンやポリゴンキャラを操作する探索パートもあり、アドベンチャー要素も加えられている。プレイ時間で言えばアドベンチャー部分の方が多い。
    • しかし探索パートの操作キャラは脚をシャカシャカ空回しするオーバーモーションで移動する為、 台所の黒い悪魔 に喩えられる。
    • 「時限爆弾が爆発するまでに鍵を探し出して脱出しろ!」というミッションがあり、真面目に鍵を探すと八方手詰まりのまま8分経過し死ぬが、実は出口を調べると最初から開いていた事が分かる
      • 閉じ込めた当人曰く「そういえば鍵は捨ててしまってもう無いんだ(鼻声)」とのことで、そもそも見つけようがなかったのである。ちくしょう!
  • 当初は前作同様クソゲーと呼ばれはしたものの、どこまで狙って作られているかわからないため、クソゲーというよりはバカゲーに近い扱いが無難と思われる。
    • 例によって被弾無敵がなく、阻止し損なうと数十発同時に着弾する攻撃が存在するため、油断すると1撃で残機が10くらい減る。ライフではない。即死して自動コンティニューしてまた即死、の反復処理を1秒ほどの間にチャカチャカと繰り返す感じ。
      • ちなみにライフの単位は「デス」。生命力を測る数値が死とはこれ如何に…。「ライフが1デス回復した(矛盾)」
      • そしてライフ回復アイテムの名前は「デスコスモス」。…不吉過ぎて全然回復する気がしない。
    • 撃つとライフが減る白い民間人(通称「佐藤」)も一部ステージに登場。今回は女性版(通称「女佐藤」)も追加されており、こちらを撃つとダメージも大きい。前作のようなスライドではなくちゃんとモーション付きの3Dモデルになったが、その分邪魔っぷりが格段にパワーアップしている
      • わざわざ画面内をぐるぐる逃げ回るのは勿論、プレイヤー視点側から敵がいる方向に突っ込んでいく一旦プレイヤーの目の前に来てアピールしてから逃げる2階のベランダから手を振る(応援している?)など、誤射されても自業自得としか思えない行動を取る。そして撃った時のボイスはやはり「おーのー(Oh No)」。
      • ちなみにデモプレイでは積極的に射殺している。公式が撃つのを推奨しているのか…。
    • 前作でも空中浮遊や転げ回るなど超人的と言うか、理解に苦しむ視点移動があったが、今作でも一部のステージで回転しながら戦うと言った視点移動がある。主人公の姿が見えないから分かりにくいだけで、実はスタイリッシュな銃撃戦を繰り広げている…?
      • そのステージで登場する敵も異様な跳躍力で上から来るぞ!気を付けろぉ!ので、周りが夜の砂漠である事と掛けて「実は砂漠じゃなくて月面」というネタが囁かれる事も。
    • そもそも公称のジャンル名「暗黒ギャルゲーシューティング」からしてむしろ狙いすぎな感じではある。
      • 作中に出てくる目ぼしい女性キャラと言えば、ヒロインとその母親の美人女医、姉御肌の女盗賊、エンディングに登場するとあるキャラくらいで、あとは序盤で死ぬおばさんとクリーチャー顔の看護婦しかいない。別にギャルゲーでもなんでもない。一応、主人公とヒロインのラブコメっぽい会話も無くも無いが。
      • 実際のところ、本作は主人公の康よりヒロインのユリの方が目立つシーンが散見される。OPムービーはユリが主役にも見えるような作りであり、本編も序盤はユリ視点の展開も多く、探索パートも殆どの場面でユリを操作する。エンディングにおいてもSTUFFロールの声の出演はユリが最初で、極め付けにはエンディングテーマのボーカルもユリの声優と、全体的にヒロインであるユリの存在がクローズアップされているので、それを指しているのかもしれない。だからと言ってギャルゲーと呼べるかは別だが…。
    • 説明不足以前にあまりに無茶苦茶すぎて、むしろ神展開とでも言わざるを得ないストーリーに、更に相変わらずまったく緊張感の無い被弾ボイス、
      股間ヒットから追い討ち」という訳のわからないシステム等々…ツッコミどころは流石というべきか、枚挙に暇がない。
      • また、被弾ボイスが不満であれば代わりにプレイヤーの声をボイスに当てられるという前代未聞のMOD機能付き(別売のマイクが必要)。
      • 上述したように越前の声が収録されているのだが、勿論これも被弾ボイスに設定可能。
      • 挙句、当時はDCの自虐CMで有名なSEGAの湯川英一専務(当時)などの業界人の被弾ボイスという狂気のDLCも配信されていた。
    • ちなみに雑魚敵の名前が「マクネリー」「ゲイツ」「ジョブス」。英語圏では良く有りそうな名前とはいえ、よく叱られなかったな…。
      • 尚、マクネリーは上記の鍵の罠を仕掛けて来る鼻声のクリーチャーでもある。
  • 前作のコンバット越前ほど強烈なインパクトこそ無いものの、本作主人公の八並康(通称・ハチコウ)も相当な曲者である。
    • 黙っていればイケメンなのに、面白そうという理由で心療内科にせっかくだから入る、「いつもの癖」で物乞いをする、人違いで届けられたピザを躊躇いもなく食う稼ぎを博打でスるユリの母を口説こうとする(未遂に終わる)…などなど、とても主人公とは思えないツッコミ所の塊である。一部イベントでは選択肢が表示されるが、こちらもおかしいものばかり。
      • 自分からユリの家に入ってきておきながら「君はこうやって俺を君一人しかいない部屋に引き入れている」と宣う。当然ユリは「あなたが強引に入ってきたんじゃないの!」と反論するが、それに対する返しが「犯罪者は皆そういう*3
      • 終盤、使う人間の精神を蝕むクリムゾンを手にしても何故か精神汚染があまり進んでいない事が明かされる。そこでユリに「元々おかしい人間は中和されるのかも」などと身も蓋もない事を言われるが、作中の奇行を考えると妙に納得できてしまう。
      • しかしそんな所業の数々も本人に言わせれば「俺の場合、この並はずれた知性と行動力にまわりがついてこれないだけさ」と…。犯罪者は皆そういう
    • 「君の逃げられた恋人か何かかい?*4」「銃口から出してくるかもしれないぜ」「しかし細かく陰険な設定だな*5」など、微妙過ぎて独特のジョークのセンスの持ち主でもあり、一部ファンには「クリムゾンジョーク」と親しまれている。
    • ストーリー後半になると声優も越前を意識しているのか、はたまたクリムゾンの精神汚染か口調や喋り方がどことなく越前に近くなってくる。
      • それがよく分かるのが、終盤の康1人で探索するステージ。越前化の進んだ康の台詞をこれでもかと聞かされ、更に序盤から出ずっぱりだったユリがいなくなった事でツッコミ不在の恐ろしさを思い知らされる。
    • 被弾ボイスは「やりやがったなぁ!!」「この野郎おぉぉッ!」「上等だぜぇぇ!」「痛えぇぇッ!」と無駄に気合が入っており、棒読み気味なのでプレイヤーの腹筋もダメージを受ける。しかもどういう環境で録音したのか、まるで浴室のように声が響く
    • 好物も「ダチョウのステーキ」と、また妙な所を突いている。焼きビーフンほど気軽に食べられないのが残念。
  • ヒロインのユリ・ローゼンバーグは他のキャラに比べればまだ常識人だが、このゲームに出ている以上やはり所々言動や行動がおかしい。
    • 「階段から落ちた」と聞いただけなのに即「誰に突き落とされたの?」と聞き返す。母が敵に捕らわれた際、その母が意識がなく横たわる姿をモニター越しに見ただけで「生きているようには見えなかった…殺されたのよ」と、やたらと悪い方に決めつけるシーンがあり、以降もその前提で話を進める*6。しかもこの二件のどちらも真相は分からず終いなので、実は洞察力が鋭いのか、単に思い込みが激しいだけなのかも不明瞭のまま。恐らく後者と思われるが。
      • あるシーンでは康から「以前、取材で砂漠の高級ホテルに行った」という話を聞いただけなのに「どうせ美人で優しくて強い女の人と一緒だったんでしょ」「その後どうなったか手に取るようにわかるわ」などと何の脈絡もなく言い出していじける。
      • こんな様子なので作中では一度「黙って話を聞きな!」と怒鳴られるシーンがある。相手も態度が悪いので通常なら「そんなきつい言い方しなくても…」と思いそうな所だが、普段のユリの早とちりぶりを考えれば寧ろ適切な指摘と思えてしまう。
    • かの赤の扉を見つければ、ものすごく嬉しそうに「赤の扉よぉ♡」*7
    • 上述した制限時間以内に脱出するミッションでは「身動きが取れなくなって15秒ロスする」という罠があるのだが、これに掛かるとユリのバストアップが表示されたまま本当に15秒待たされる
      • 康を操作するパートでは1分ロスのトラップがあるのだが、こちらは一瞬で1分経過する。同じ処理をしないのは15秒ぐらい待てという事なのか、それともよほどユリの姿を見て欲しかったのか…。操作キャラの姿が映る探索パートは基本ユリを操作するところを見ると後者の可能性も高い。だから暗黒ギャルゲーシューティングなのか…。
    • 敵に攻撃されても「痛ったーい」「やめてよぉー」「ひっどぉーい」で済む辺り、どう考えても普通の大学生ではない。
    • 好物は「マンゴスティン」*8。あまり聞きなれない食べ物だがれっきとした果物である。康の「ダチョウのステーキ」に比べればまだ普通…か?
  • クリムゾンの外観も「怪物のような禍々しい形をした赤色の銃」といったものに変更されたが、その形状は一部では「手羽先」と揶揄されることも。
    • 造形作家の角孝政が作成した「巨大クリムゾン」はこの手羽先クリムゾンが巨大に進化したものとして作られている。
    • ちなみにそんなクリムゾンを扱える人間は、グレッグ曰く「100万人に1人」とのこと。単純計算すると殆どの政令指定都市で1人はクリムゾンを扱える人間がいるということになる。もっとも、あまり極端に少ない割合にすると越前に続き康も使いこなせていることが不自然になってしまうので、ある意味妥当な落としどころとも言えなくもないが…。
  • 一見意味不明なパッケージ絵の「銭湯から出てくるコンバット越前」は、銭湯(戦闘)から帰ってきたという下らない駄洒落のために描かれたとのこと。「サファール温泉」と書いてあるのは目を瞑ろう。

評価点

  • ドリームキャストというハード相応にそこそこ綺麗なグラフィック。何が描かれてるのか見て判別できる。グラフィックのレベルが低かった前作とは大違い。
    • シューティングパートでもフルポリゴンの敵がしっかりモーションを取って現れる。何も無い所から急に現れる、動きのパターンが少ないと言った問題は(当たり前だが)解決されており、前作とは雲泥の差である。
  • ゲームとしてはとりあえずまともに遊べるレベルの出来。
    • 前作は難易度調整は付いていなかったが、今回はステージによって「初心者」から「傭兵」まで最大6段階の難易度が設定できるようになった。…何故か中に「コンバット」「クリムゾナー」が混じっているが。
      • さらにステレオ・モノラルやダメージボイスを含めたサウンド設定、カーソル速度、振動の有無、ハイスコアの表示など、(良い意味で)充実したオプションを実装。
    • 上記通りクレジットごとダメージを貰いかねない豪快な猛攻をかけてくるが、これまた前作同様ゲージ補充でクレジットが増加するおかげで、(スケールがインフレしつつも)ある意味回復しやすいライフ制のようなものに落ち着いている。
  • 説明不足&超展開ではあるものの、シナリオの描写がろくに語られなかった前作と違って、明確なストーリーがちゃんと描かれる。
    • 説明書くらいしか情報源の無かった前作の世界観、設定も作中で語られる。越前が何故戦っていたのか、戦いの後はどうなったのかは勿論、クリムゾン、ムササビ、赤の扉、デスビスノスと、前作をプレイしただけでは意味が分からなかった要素についての説明もされる。
      • 前作ではOPで声のみの登場だったダニーとグレッグも登場する。ダニーは早々に爆死するが…しかも台詞にボイス無しで
      • 「イズキット川」「サファール遺跡」など前作のステージとなっていた場所についても触れられる。「アッシムの館」は内部を探索することができる。
  • キャラの情緒不安定でエキセントリックな掛け合いもバカゲーとして見ればとても面白い。ずっと見ていると妙な愛嬌を感じるかも?
    • 主役2人は上述したようなキャラなので、終始おかしな会話を繰り広げる。まともなシーンの方が少ない。
    • 前作からの登場のグレッグはかなりイカレ気味の個性的なキャラ付けが成されている。序盤の「精神が病んだ人間のそばにいると心がなごむ」「ソンナコトハナイリリーハユウシュウナイシャダ(そんな事は無い。リリーは優秀な医者だ)」「(主人公の唐突な「生きてるかい?」に対して)ああ、なんとかな」に爆笑したプレイヤーは多数。
    • 敵役のザザ提督もなかなか濃ゆい。「製薬会社で怪しい研究を指揮する謎の人物」なのだが、見た目が完全にクリーチャー*9で、モロに機械で加工した声で喋るなど色んな意味で印象的である。
      • 作中のキャラの殺害や人体実験など悪役らしい事はする一方、「君たちのことはなんでも知っているよぉ!」と言ったフレンドリーな態度や妙な常識人ぶりから憎み切れない愛嬌を漂わせており、一部で人気がある。出番が少なく、決着も付けられないのが惜しまれるが(後述)。
    • これら以外でも、ただのDQN小僧と思いきや意外と活躍シーンのあるそして最後は砂漠に置き去りにされるパット、良い事を言ってるように見えて説教が無茶苦茶なアッシムなど、おかしなキャラばかり。そんな面々とのやりとりでも会話のドッジボールやブーメランが当たり前のように飛び交い、ひたすらシュールなストーリーが終始展開される。
+ 会話例
  • ユリ「サファールのことについてお聞きしたいんですが」
  • マック「サファールは遺跡だよ」
  • ユリ「そうですね…(イラッ)。他には?」
  • マック「それだけだよ」
  • ユリ「そうですか。あの、越前って人知りませんか?」
  • マック「おお、そこはカニがうまいところだよ」
  • ユリ「人なんですが…」
  • マック「 人型のカニ か」
  • ユリ「だから!カニじゃなくて、人なんです!」
  • マック「なんだ。 カニ型の人 か」
  • ユリ「…どうも失礼しました」
  • マック「 カニの話はもういいのか?

  • シナリオはエコールのゲーム参入第一弾『ぱっぱらぱおーん』で狂気的な電波ストーリーを手掛けたエコール専務の赤阪幸子*10が担当している。会話が噛み合ってすらいなかったあちらに比べるとちゃんと形になっているが、狂気度は負けず劣らず。
  • 前述した通り、露骨なまでに前作のオマージュ、セルフパロディが盛り込まれており、ファンサービスに満ち溢れている。「狙い過ぎて鼻に付く」と感じなければクリムゾナーなら大いに笑える事だろう。
    • 最終ステージの「エルミデ鉱山」は正にその極め付けと言って良く、随所に仕込まれたネタと主人公達のシュールなやり取りにプレイヤーは笑いが止まらないはず。
  • ボリュームの増加
    • シューティングステージの回数は少なめだが、ステージは長めに作られており、前作に比べて物足りないという印象は少ないだろう。そこにアドベンチャーパートによるストーリー展開の追加され、総合的なボリュームは大幅に増加している。精神への負担が増えたという事でもある。
    • ミッションモードでは本編の舞台を基にした更なるバリエーションのステージをプレイできる*11。単純な高難易度ステージもあれば、狸の置物やダチョウの頭が猛攻を仕掛けてくる狂ったステージもある。
  • BGMは好評。
    • 有限会社Sound AMSが関わっており、BGMの評価は高めである。前作のように「メロディは良いが音が悪い」と言った事は無く、純粋に聴ける。使い所も全体的に良い。ループが変と言った所はあるが。
    • エンディングではヒロイン役のMOMOが歌うエンディングテーマが流れるが、こちらも名曲と名高い。
  • 音声の質はともかく全編フルボイス。
    • ストーリー中の会話は勿論、探索パートで何かを調べた際の一言まで全て声が当てられており、ボイスの無い台詞は一つも無い。オープニングのダニーを除いて。

問題点

  • グラフィックは良くなったものの、キャラクターの変わらない微妙な表情は相変わらず。
    • 会話デモなどでポリゴンモデルを表示する際、内側から段階的に描画・かつ処理が遅いので、一々眼球などが虚空に浮いている様が見える。
    • 会話デモから画面が暗転して切り替わる際、会話デモに入る前の画面が一瞬再表示される。普通は画面を暗くしている間に消しておくものである。
  • カメラアングルも特異で、探索パートの操作性はかなり悪い。
    • PS時代の『BIOHAZARD?』のように都度固定された視点の中、ラジコン操作で主人公を動かす作りだが、そちらが主人公の位置に応じて瞬時に視点が切り替わるのに対し、本作の視点はその都度グルリとリアルタイムで移動する。しかも無駄に動きが個性的。その所為で、本作の探索パートは基本固定画面にも拘わらず3D酔いを誘発する作りになっている。
    • ぐるぐる動くカメラの所為でキャラも操作し辛く、特に狭い橋がメインの最終ステージはいちいち引っ掛かって面倒くさい。挙句、ラスボス戦の最中にもこの狭い橋を往復させられる。
  • 先述のとおり無敵時間は今回もない。これに大量ダメージのパターンが存在するなど、色んな意味で初見殺しも強い。
    • あるステージで戦う巨大生物は「地雷を咥え込んだ個体がいるから頭は撃つな。撃つとこちらもダメージを受ける」と言った旨の忠告を受けるが、頭を撃っても何の問題も無い忠告自体が地雷だったというオチである。上記の「鍵は捨ててしまって」の件と言い、素直に従うと嵌められるのがデスクリムゾンの狂気の世界である。
  • ストーリーが未完。
    • 敵役との決着、ある人物の生死など本作の伏線の殆どが回収されないままエンディングを迎える。そしてエンディングの内容は典型的な「本当の戦いはこれからだ!」というオチ。
      • 具体的には「真の敵の存在が明かされ、主人公は来るべき決戦に備えてクリムゾンと融合すべく、半年間遺跡に籠る事になり、その後ろ姿をヒロインが見送る」と言うもの。前作の伏線はある程度回収したが、更に大量に伏線を盛り込んで続編に引っ張った訳である。
    • 挙句、最後に表示されるのは「全ての謎が解き明かされる最終章へとつづく・・・」である。
    • 残念ながら、続編という続編は未だ出ていないが……(後述)
  • 投げっ放しな部分を差し引いてもストーリー自体はガタガタ。バカゲーとして見なければとても楽しめるものではない。
    • 序盤で襲われたおばさんの最期の言葉を頼りにユリはダッハウ博物館に向かうのだが、上記のマクネリーに翻弄されて化け物と戦わされただけで何の手掛かりも得られず終わる。一応、後に協力を仰ぐパットと出会うがそれは偶然である。何の為に行かされたのか。あと、「8分で爆発の件」はどうなったのか。
      • 続いて怪しい製薬会社のSMOを当たる事にするのだが、展示場で康と会っただけで帰ってしまう。まともそうに見えてユリもユリで行動が行き当たりばったり且ついい加減である。
    • アッシムの館では、KOT症候群に感染した康が1人で血清を探すのだが、アッシムは「一緒に探す」という女盗賊の申し出を却下する。しかしその理由は「ワシらが捜してこいつが寝ているようではすぐに狂い死にする」という少々訳の分からないもの。試練を与えるにしても、もう少し説得力のある言い回しは無いものだろうか。
      • いざ血清を見つけると、急に「それが最後だから代わりに開けてやろうか」と言い、康が断ると「その通り。大事なことは自分でやるのが一番。お前は合格だ」と、これまたよく分からない事を言い出す。
        その割に直後に「(行方不明の)ユリを探すのはワシの部下に任せろ」と言う。状況的には分からなくも無いのだが、舌の根も乾かぬうちに主張を翻すような流れはどうなのだろうか。この親父も実はKOTではなかろうか?
    • ラストステージでも長々と無駄話をしながら最奥部まで行き、雑魚と戦いながら入り口まで戻って赤の扉を開けるのだが、そもそも赤の扉を開ける手段は最初から持っているので最奥部まで行く必要性は無い。かと言って最奥部に開けるヒントがある訳でも無く、「もしかしてこれで開くのか?」→「開いた!」というだけ。
      • 無駄話もネタとしては面白いが、ちょっと進む毎に大して重要ではない話を喋り出すのでテンポが悪い。その割に途中で「少しずつ真実が明かされていくわね」という台詞がある。何が明かされていると言うのか…。
    • 終盤はいかにも重要ポジションな雰囲気でユリに譲られた割に以後全く触れられないムササビのムサピィ、ラスボス戦で唐突に語られる「メタルの属性」など、その場限りの設定やキャラも散見される。これも続編が出れば回収されるはずだったのだろうか?
      • そして続編への引きとは別にも、いかにも伏線のようでいて何もない演出も数知れず。このゲームで何かある度に「あ、フラグ立った」と騙されるようではクリムゾナーへの道は遠い。つまりまだ引き返せるという事である。
  • シューティングステージのBGMが少ない。
    • BGMは質、量共に進化しているのだが、肝心のシューティングパートのステージ曲はストーリー中では僅か3曲しか無い。ミッション限定のステージやデモプレイなどを含めても5曲程度。シューティングステージ自体が減っている事を考慮しても何とも寂しい事に。
    • しかもボス戦でも専用曲が無く、ステージ曲がそのまま流れるのみ。ラスボスすら聞き慣れたステージ曲である。前作は3体のボス全てに固有のBGMがあったのだが…。
  • ボスも少ない。
    • ボスらしいボスは、序盤で戦う怪物とラスボスのたったの2種類しかいない。前作の3体からすらも減っている。
    • 作中のロケーションは市街地、美術館、倉庫、大学、砂漠、館、鉱山、その他細かい舞台とそれなりに用意されている*12のだが、ボスがいるのは倉庫と鉱山だけ。
      • 砂漠でも一応ボス的なモンスターが登場するのだが、強力な個体と戦うのではなく何体もの雑魚を相手にする形になるので「ボス戦」とは呼び難い。
  • ネタとして狙ったものかもしれないがボイスは所々棒読みのシーンがあり、また録音環境も統一されていないのかシーンによって音質が違ったりする。
    • 特に主人公の康は独特過ぎる演技に加え、鼻に付く態度や言動が多く、終盤は越前化していくのでウザさに拍車が掛かっている。狙ってやってるとしたら大したものだが。
    • ユリの母のリリーは通常の演技自体は良いのだが、何故か「ちょっと」のアクセントが「と」の方になっている為、かなり違和感がある。
    • 他のキャラも全編棒読みという事こそ無いが、息継ぎ無しで長い台詞を言い切ったりと、良い演技とは言い難いシーンが散見される。
  • ゲーム中のテキストに感嘆符や疑問符、三点リーダと言った符号が全くと言って良いほど使われていない為、文章だけだと全然感情が伝わらず味気ない。フルボイスなのでキャラの感情が分からないという事は無いが、演技は前述の通りな訳で…。
    • 『フリーズ! ~デスクリムゾン・レゾナンス~』も同様である為、使えなかったのではなく敢えてそういうスタイルにしているのだろう。意図は分からないが。これもエコールの「前のめりの精神」と取るべきなのか。

総評

前作と比べると出来は良くなったが、まだまだゲームバランス面で難があり、他のガンシューティングのレベルに達しているとは言い難い。
ともあれ、「狙って作られたクソゲー」という雰囲気はしっかり表現されており、その点を評価してバカゲーに近い扱いをされている。


その後の展開

  • 本作の内容をリメイクした上でゲーム内容もSTGに一本化した『デスクリムゾンOX(オックス)』がアーケードで登場している。
    • ゲームバランスが大幅に改善され、ごく普通に遊べるガンシューティングになっているが、結果としてデス様独特の芸術性が薄らいだ感は否めないクソゲーではないデスクリムゾンである。ただし、イベントシーンにおけるキャラボイスは無い。
      • ボスキャラも大幅に増員され、本作ではボス戦がいなかったステージでもしっかりボス戦が用意されている。
    • キャラクターや舞台設定は共通しているものの、それぞれの役割や背景設定は大幅に変更されており、ストーリーも異なる。
      • ステージの流れ自体は本作を踏襲しているが、キャラの会話は至ってシリアス路線で本作のようなはっちゃけ具合は無い。主人公サイドがやたら「皆殺し」という物騒な言葉を使ったり、敵幹部がシュールな名前と言った所を除けば…だが。
      • 『2』と違ってコンバット越前も直接登場するが、その壮絶な扱いは多くのクリムゾナーに衝撃(と笑撃)を与えた。
      • 終盤のとある人物の台詞により、『2』とは異なるパラレルワールドのストーリーであることが判明する。
    • のちにドリームキャストとプレイステーション2に『デスクリムゾンOX+』として移植されたが、これを最後にデスクリムゾンの作品は登場していない。
  • 2009年に、ジャンルは未定で発売するかも分からない『デスクリムゾン3外伝 忌獣戦紀 ~スピアクロゥ編~』のタイトルが(しかも明らかに従来のデスクリムゾンのイメージとはかけ離れたキャライラストと共に)公開されただけである。

余談

  • 前述の通り主題歌の評価は高いが、これがBGMに使用されたPVは映像に「赤い扉」など前作のネタを持ち込んでいて、ビデオの内容と曲が合っていない。前作での「エンディング曲自体は良いものの雰囲気に合っていない」というネタすら持ち込んだのかもしれない。
    • ゲームの方のOPではこのPVの映像が再編集され、新しくBGMが付けられているが、こちらは曲と映像が合っている。或いはこちらが先で後からPVを作ったのだろうか。
  • ヒロインのユリの声を演じたMOMOはSound AMS代表であるシンガーソングライターの道下桃。
    • ゲーム音楽の作曲家でもあり、後に『Love Songs~アイドルがクラスメート~』、『ドリームクラブ』、『夏色ハイスクル★青春白書』、『ラブ★エアロビ♪』……等々、D3パブリッシャー関連の作品に収録されている歌のほぼ全部を手掛けている。
    • さらにSIMPLE1500シリーズ(PS)の『THE ガンシューティング2』でもヒロインの声を務めている。本作で気になった人はせっかくだから遊んでみるのもいいだろう。
  • また、本作のキャラクター原画には『アルスラーン戦記』のコミカライズ(角川書店版)を手掛けた中村地里が携わっている。
  • 巨大クリムゾンを生み出した角氏だが、その試作品としてガンコン2を改造したクリムゾンコントローラーも作成している。
    • 本作に登場したクリムゾンそっくりに作られており、2004年に開催されたイベントにて当日限定で販売された。当然ながら今となっては入手は困難を極める。しかし安心するがいい。どうせそのコントローラーは、選ばれた人間にしか使えないッ!
  • 2008年に行われたファン感謝イベント「デスクルーズ2008 in 友ヶ島」にて真鍋社長が本作についても若干触れている。
    • 前述した通り本作のストーリーは未完の上、続編も出ていない事をネタにし、「(康は)囚われたまま8年も経ってる」「多分、友ヶ島に幽閉されているので見つけたら救出して欲しい」と語られていた。哀れな青年よぉ…。
      • ちなみにユリの方は作中でプッシュした割には真鍋社長に名前を忘れられていた。哀れな(ry
    • 翌2009年には「デスケイブ2009」が開催された。今回の巡礼先の聖地は、本作最終ステージ「エルミデ鉱山」のモデルとなった兵庫県朝来市の生野銀山であった。
  • 本作で具体的な種類が判明した遺跡の3つの宝石(ルビー、サファイア、エメラルド)だが、本作よりのちに発売されたあの人気シリーズ作品のサブタイトルと完全に一致している。
    • もっとも、どれも宝石に詳しくない人でもまず知っているであろうメジャーな宝石なので、これらが重複してしまっても全く不思議ではない。しかし今となってはプレイ動画などでその作品を連想したというコメントが書き込まれる事が非常に多い。