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里見の謎 - (2018/07/15 (日) 18:37:59) の編集履歴(バックアップ)


里見の謎

【さとみのなぞ】

ジャンル (自称)オススメRPG
対応機種 プレイステーション
発売元 サンテックジャパン
発売日 1996年12月6日
定価 5,800円(税抜)
判定 クソゲー
ポイント 単純なシステムを斬新な新機能とごまかす
しんぱい 入りません!
メーカー公認でオススメ
テキストは電波とよくわからないなにか
ツッコミ所満載のバカゲーでもある
「母さん…ぼく、あたまがヘンになっちゃったよぉ………」


概要

  • サンテックジャパンのテレビゲーム初参入作品。しかしその実態は『修羅の門』『黄昏のオード』に並ぶPS用ソフト屈指のクソゲーである。SSの『デスクリムゾン』とは発売が近いこともあり、何かと比較される。とにかくネタでは負けず劣らず。
  • 同社は元々はカラオケ事業を手掛ける会社であり、社内はゲーム開発のノウハウに乏しく、それでいながら「音楽関係者中心で製作」と言う血迷ったモットーを掲げての開発であった。結果は言うに及ばず。
  • メーカーが自分でジャケットの上に「オススメRPG」と書かれたシールを貼るという詐欺まがいの暴挙に出る。
    • 当然ながらこのシールは発売後にソニー側より不当表示のクレームを受け、後期出荷分には貼られていない。

あらすじ

ある日海辺で釣りを楽しんでいた主人公(デフォルト名:ゆめわか)と飼犬(デフォルト名:ラブリー)、友人(デフォルト名:ようすけ)は不思議なを釣り上げる。
持ち帰って母に聞いた所、翌日母は突然失踪した
母の置手紙には近所のヘッケル博士を訪ねろと書いてあった。
しかしそれは時空を超える壮大な(?)冒険の始まりに過ぎなかった…。


母さん…ぼく、もんだいてんしか いえなくなっちゃったよぉ……

斬新すぎる新機能システムの数々

DCBS(ダイレクト・コマンド・バトル・システム)

  • バトル時に敵に対し□△○のボタンを押すだけで敵に攻撃する。ちなみに、複数のボタンを同時押しすればダメージは分散するが複数の敵に攻撃することが可能。
  • 快速なのはいいのだが、なぜかダメージ数値が出ないので、気づいたときには敵にやられていた、ということも。
  • このゲームはレベル差による能力の上下幅が激しいため、画面を見ずに連打すると、勝てる相手には一瞬で勝てるが、事前準備の足りない敵には僅か数秒で全滅できるという雑すぎるバランスとなっている。
  • パーティーの能力について
    • 武器で攻撃すると体パラメータが、道具で攻撃すると技パラメータが、魔法で攻撃すると心パラメータが上昇し、一番高いパラメータとその数値によって「なりわい」(称号、ジョブのようなもの)が変化するのだが…。
    • 体タイプ以外のなりわいは最大HPの伸びが非常に悪い。後半になると戦闘開始直後に体タイプ以外のキャラが即死し体タイプキャラ(大抵は主人公)が一人で黙々と殴るだけ、になりがち。
      • ちなみに最初のなりわいは「ふつうびと」だが、レベルが上がると「よわむし」「ざこ」「じゃくしゃ」等に変わる。
        強くなった気がしない*1
    • どうせ武器攻撃以外のダメージは誤差なため、まったく問題はないのだが。
    • 能力の伸びはボタンを押した数だけ伸びる。つまり2個同時に押せば2倍、全部押せば3倍。しかも全体に攻撃するとダメージが分散する為攻撃できる回数(つまり能力)も増える。*2
      • 攻撃力の高い道具は命中率が悪い、威力の高い魔法は消費MPが高すぎてすぐ燃料切れになる、ボタンを押した回数がそのまま経験値になる、と言うことで、馴れた人だと犬とヒロインの武器は更新せず、最弱の道具(その代わりに必中)と最弱の魔法のままでクリアまでいってしまう。
    • ちなみに、なりわいで最終的に最も強いのは心技体のバランスを維持したタイプ。しかし、主人公をこのタイプに育成しようとするとHPが伸びないためまず詰む。
    • 結局、主人公とゲストキャラは体、犬は技、ヒロインは心で安定。(最後のゲストキャラだけはバランスが有利)
      • 技キャラはアイテム補給に、魔法キャラは回復魔法要員に、と、火力以外の役割が重要であるため、全員の体を伸ばすと詰まる。ある意味、キャラの個性づけや役割分担という観点では悪くないアイデアと言える。それを生かせるゲームバランスでないのが惜しかった。
    • また、最後のキャラが加入してから下手に雑魚戦を繰り返すと体タイプに変化してしまい、いきなり弱くなる罠がある。

FECS(フラッシュ・エンカウント・コントロール・システム)

  • 戦闘開始時のロードが一瞬で完了。本当に読み込んでいるのかというレベルで早く、スムーズにバトルに入れる(ただしグラフィックはSFCレベルであることから、そもそも読み込むデータ量が極端に少ないためというのが実情と思われる)。なおシステムで謳ってはいないが、エリア切り替えのマップ読み込みもやたら早い。
  • 敵キャラは移動・拡大縮小・回転はするものの、一切アニメーションしない。基本的には固定グラフィックが左右に揺れて、攻撃の時に拡大するだけ。エフェクトも非常にショボい。
    • 倒された敵は「ヴァァォォォ」という猫の唸り声のようなSE(断末魔?)と共にグラフィックごと後方に吹っ飛んでいく。グラフィックが普通の女の子でもこの声。普通に消えなさい。
      • 2年後に発売した本作に匹敵し得るクソゲーでも似た演出を採用している。超級クソゲーだからこそ成せる業なのか!?しかもあちらは3D。
  • 宝箱にひそんでいる敵とエンカウントした場合、戦闘終了後に宝箱の中身が消えているという不具合がある。事前セーブ&ロードしても必ず起こる。
    クリアに必須なアイテムが入っているというわけではないのだが、凄く損した気分になる。

PMLS(プログレッシヴ・マップ・リンク・システム)

  • マップが縦にのみ繋がっており、上に進んでいればクリア出来るという、まさかの縦スクロールRPG。道に迷ったりどこにいけばいいかわからないなどという事は無い。
  • 横に画面が繋がっている場面もわずかながら存在する(つまりシステムというより大部分のマップ構造を一本道に作っただけというのが実情である)。
    • 厳密にはY字状の箇所もあるのだが、片方をクリアするまでもう一方がイベントで通せんぼされていたりするので大差ない。
    • ひとつのマップがだだっ広いダンジョンなど、一応狭く感じない工夫はされている。一方で、無駄に広すぎて困る町などもある。
  • FECSとPMLSの二つは意外と肯定的に捉える人も居る。なぜなら当時のポリゴンRPGは、入り口や行動範囲がわかり難い、ロード時間が長すぎる、といったものが多かったからである。
    実際、シナリオとテキストが狂っている点を除けば、このゲームのシステム周りはPS有数の快適さである。お世辞抜きで
  • このPSとしては読み込みの少ない快適さを評価してレビューで高得点をつけたレビュアーが当時の『電撃プレイステーション』にいて色々ネタにされた。

じどう

  • 抱腹絶倒の名前ジェネレータ。通常、名前の自動入力となると、幾つも用意された名前からランダムで選ばれると言うものだが…。
    • 1文字ずつ乱数で選んでいるだけなので、「-ふぁゑゎ」「ゃによょぇ」など人間には発音不可能な悶絶ネーミングが飛び出す。起動の度に乱数表が初期位置に戻るらしく、何度かプレイしていてもあまり斬新なのが出てこないのが弱点。
      • どういう感じか体験してみたい方はこちらでどうぞ。
    • ちなみに入力も一気にしてくれるわけではなく1文字ずつである。
    • 尚、名前を入力できるのは主人公、途中で永久離脱する友人飼い犬、の二人と一匹だけ。他にも仲間になるキャラがいるのに。

シナリオ面について

プロデューサー小澤夢生(おざわゆめお)氏の放つ常人にはたどり着けない(電波)シナリオ&テキストの数々。
シナリオはほぼ全編電波で構成されていると言っても過言ではなく、シナリオを彩るテキストも常人には理解不能

  • 説明書に書いてある、主人公・夢若の解説から意味不明。
    • 「コンピュータが得意の、ごく普通の少年。を釣り上げたことで自分の中に何かに目覚め、時を越えた冒険の旅に出ることになる。」
    • 壺を釣った後は帰宅し母親と会話するのだが、開口一番「母さん・・・ぼく、あたまがヘンになっちゃったよぉ・・・・・・・」と切り出す。
      スタッフの状態を代弁しているこのゲームを象徴するセリフである*3
  • 全体的にテキストが読みにくい。
    • SFCのゲームと比べても圧倒的にカタカナ・漢字が少ない。名詞ですら平仮名表記なことが多くて区別がしにくい。
      • 「通り」は一貫して「とり」と誤表記されている。
    • 空白のスペースと助詞の位置が不自然なことになっている。
      • げんせん のほらあな(源泉の洞穴)」や「里見のぶんけ にぶんさんし(里見の分家に分散し)」のように「の」や「に」が空白の後に来ている。普通なら手前に来るべきなのだが。
      • 全てのテキストでこのような状態ではないのだが、この不自然な途切れ方と平仮名表記なことが重なって余計に読みにくい。
  • 最初の町『タテヤマーナ』からして狂っている。カツアゲがいたり*4、銀行口座には金が無かったり*5、コンビニに武器と防具が売っていたり、道場の師範代にはどうやっても勝てなかったり…。
    + 師範代とは…
  • 最後のゲストキャラが加入した後は、ラスボス前にこの師範代としか戦闘できないため、実は最終盤のレベル上げ要員である(そのため何回でも戦闘可能)。そのくせ、初戦闘がこの師範代ということも可能なのがツッコミどころ。
    • と言うか、敵の出るフィールドより手前にある街のため、初見ではいわゆる「初心者の館」と勘違いしやすい。建物に入って会話するだけで、事前警告一切なしにラスボスより強い敵がでてきたあげく、負ければ容赦なくゲームオーバー。どこから突っ込めばよいのか…。
    • 確かに「師範代」とは師範に次ぐ実力者の意味ではあるが、その道場には師範はおろか門下生もおらず、師範代一人だけである。普通のプレイヤーなら、ゲーム的に良くある安易ネーミングだと思い大して身構えないだろう。
    • 気を抜くと雑魚にでも一瞬で全滅させられるゲームのため、最序盤にセーブの大切さを教えてくれる道場、なのかもしれない。
  • 比較するまでもないことかもしれないが、マリオストーリーにもラスボスに匹敵するシショーなるキャラが構える道場がある。
    • この道場は序盤から戦いに挑めるが、まずはシショーの弟子2人と戦うことになり、その後シショー本人と戦うことになる。いずれもすぐに戦うことは出来ず、シナリオを進めることで戦えるようになっていく。
    • そのシショーも最初は手加減をしており、終盤になると戦える3回戦目でラスボスに匹敵するほどの強さを発揮する。そのシステムの親切さは雲泥の差である。
  • 物語は「過去にタイムスリップした少年の冒険譚」である。
    • こう書くとまともそうだが、それまでの展開を簡単に説明すると、壷を釣り上げて「あたまがヘンに」なった翌朝、母は置き手紙を残して失踪タイムマシンすら造れる近所の博士から貰った通信機にいきなり通信を送ってきた友人主人公に因縁を付けて殴り殺そうとしたヒロインを仲間に加え、場所も教えられずただ「向かえ」と啓示を受けた洞窟から江戸時代へタイムスリップする。誇張無しでこの調子である。
      • ちなみに時の洞窟から過去に向かうには「2143」の順にボタンを押せとあるが、肝心のスイッチには番号が割り振られていない。一応ヒントらしいものはあるらしいが……。
      • 4隅にあるスイッチは下図のように隣り合わせの数字が対角線上に設置されている。そのため、当てずっぽうではなかなか正解に辿り着けない。
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    • 江戸時代から見れば怪しい格好をしているのですぐに捕まるのだが、そこで主人公が放った言葉は「なにをする!ここからだせ!おれは ゆめわかだ!」。やはりあたまがヘンになっちゃったようだ。
    • そこで唐突に自分が里見家の跡取りである事が発覚。行方知れずの父が残した巻物を手掛かりに探しに旅立つのだが…。
    • 水の巻物を求め、巻物屋に入る。その品揃えと言うと、「うずまき」だの「のりまき」だのふざけたものばかりだが、その極めつけが「まきしんぢ」。そして説明が「やんなっちゃう」。
      • 「あーやんなっちゃった」のウクレレ漫談で有名な故・牧伸二氏と掛けたのだろう。意図が全く伝わってこないが
    • 江戸時代の世界観をガン無視した要素が多数ある。
      • 「宇宙」なる言葉が出てきたり、店にはヘルメットや手榴弾、果てにはバズーカ砲(しかも説明文にはミサイルと書いてあり意味不明)まで売ってある。バズーカ砲は未来から来た博士からもらえるイベントがあるので、それ限定のアイテムにしても良かったように思われる。
    • ストーリー中盤でよいどれ仙人というボスが現れるのだが、HPが異常に高いためひたすら老人を殴り続ける消耗戦を強いられる。某レビューサイトでのプレイ日記によると283ターンかかったとのこと。
      • 残念な事に、レベル上げを怠らなければボスすら瞬殺できる本作においては最強のボスである。
      • 実は状況によっては数ターンで倒せる。しかし、与えるダメージの数値がないため、レベルを上げて殴れば良いのか、呪文が弱点なのかが分からず、検証も困難を極める。
    • ある中ボスは馬に化けて現れ「乗りまちゅか?」などと訪ねてくる。
      • ここまでならただの変なイベントで済むが、直後にこの馬が腹痛を訴えだし、「すごくくさいばふん*6」と戦う事に…。
      • そしてこのボスの撃破後の断末魔が「ウーちゃんの……おんまちゃん……ど…こ…」。スタッフの正気がどこだ。
    • これらは本作の放つ電波のほんの一部である。全編を通してこの調子の電波シナリオを追わなければならない。
    • 敵のデザインも、上記の馬糞や仙人を始めとして(『摩訶摩訶』程では無いが)おかしいものばかり。
    • ツッコミどころ多数のシナリオなのだが、終盤からはスタッフも力尽きたのか「天空に行くため『ヒハ』と『ウハ』を取ってこい」等といった投げやりなシナリオになる。
  • アイテムの説明が店で売っているものを見る時しか分からない。説明になっていないアイテムもある。
    • 「うめぼし」や「まつぼっくり」が強力なHP・MP回復アイテムだとは誰が想像つくのだろうか。
      • これに加えて「たけのこ」があるので、「松竹梅」に因んだアイテムということなのだろうが、そもそも松ぼっくりは食べ物ではない。そして「松竹梅」というアイテムもあるが、これに関してはそもそも何なのかさえ謎である。
    • 道具による攻撃も、どれほどの威力があるのか分かりにくい。値段で判断するしかない。
    • 主人公は形見である「里見の剣」を入手することになるのだが、入手時期が物語中盤手前ほどだからかさほど強い武器ではない。
      • とはいえ、その攻撃力は「鉄の棒」以下という設定はあまりにも残念過ぎる。
    • 「天使の輪」「天の災害」「見えない力」など、どこから突っ込めばいいか分からない装備も売られている。もちろん過去の世界でも販売している。
  • 最後のボスとの1回目の戦闘後と、2回目の戦闘中にそれぞれボーカル付きで歌が流れる。曲の評価は高いのだが曲調が二昔前のアイドル風なのであまりにも場違いすぎる
    • 2回目の戦闘時は、レベルが上がりすぎていると速攻で倒してしまい、イントロしか聞けなくなるので注意。
    • この歌を歌っているのは島紘子という、当時沖縄タレントアカデミー*7の生徒である。
      • ちなみに上記のオープニングの語り(好みのタイプで選ぶキャラ)2人の声をあてているのも、彼女である。
      • 他にボイスがあるのは、主人公の飼い犬だけである(本物の犬の鳴き声を使用)。

キャラクターについて

加入・離脱について

  • 開始直後に「あなたの好みのタイプはどっち?」と極めて直接的に2人のヒロインのどちらか選ぶ場面があるが、ここで反映されるのはオープニングの語りだけ。最終戦への参加&エンディングの語り担当にもヒロイン選択があるが、これは終盤の「はい/いいえ」選択のみが反映される。何処でどう選んでも、ストーリー展開や、最終戦以外のパーティ編成に影響はない。
    • 上記の「好みのタイプは~」の際、説明として出る文面はかなりオブラートに包んだ表現であり、「おとなしそうだが好奇心旺盛」とされるイズミは小中学生に因縁付けてとんかち*8で殴り殺す女子高生であり、「神秘的な魅力がある」とされる千夜*9ガチでトランス入って予言を口走る霊能者である。どちらを選んでも不退転である
    • 上記を読めば分かる通り、イズミは仲間に加わる前にボスとして戦う事になり、しかもこのゲームの最初のボスである。女子高生ヒロインが最初のボスというのもなかなか斬新な展開だが、そこに至るまでの過程が無茶苦茶過ぎてツッコミ待ちの電波ストーリー以外の何物でもない展開になってしまっている。ある意味、「今後もこんなノリだよ」と暗示していると言えなくもないが…*10
      • 師範代を無視した場合、大抵のプレイヤーはイズミに初の全滅=ゲームオーバーを食らい、レベル上げの大切さを知ることになる。
      • また、「一見おとなしそう」と書かれているイズミだが、パッケージを見れば分かる通り髪の色も派手(緑)で、顔つきもギャル風の強気なイメージで、全くおとなしそうなタイプには見えない。
      • 上記の通り主人公に因縁をつけて戦闘になる他、仲間になった後の装備品が「とんかち」なあたりかなり危うい。装備品に関しては途中参戦キャラの初期装備をゲームバランスを考慮して選んだ結果かもしれないが、よりにも「とんかち」である所が余計に危うい印象を強めている。
      • 尤も、主人公一行も「ぼくとう」だの「エアガン」だの「しゅりけん」を持ち歩いて女子高生をボコ殴りにかかるのでどっちもどっちであるが。
        ちなみに手裏剣で攻撃するのは犬である(普通にプレイする場合)。ラブラドール・レトリーバなので恐らく忍犬ではないと思われるのだが、母親が仕込んだのだろうか…?
    • イズミは心を延ばして魔法を使わせるのが常道だが、この時点では魔法は使えない。だからと言って武器や道具で攻撃しているとなりわいがそっちに傾いてしまう(=最大MPが激減する)ため、魔法を覚えた後に心のなりわいに戻すのが辛くなる。良い武器を装備しているが、魔法を覚えるまで戦闘中は待機させておくのが良いだろう。
  • パーティメンバーは主人公、犬、友人、ヒロインのイズミと千夜(サヤ)、忍者のジュウベー(ジュウベイ)、河童のきゅうぼう(Qぼう)、最終決戦のスポット参戦キャラの8人。しかし、戦闘に参加できるメンバーは4人までで、ドラクエ7のように加入・離脱を繰り返すようになっている(任意で入れ替えできる様にはならない)。
    • 加入キャラにはこれと言って加入する動機がないキャラが多い。しかも、離脱キャラはだいたいくだらない理由で離脱してしまう(後述)。
    • 前述の犬(名前変更可能)は主人公除いて唯一の非離脱キャラであり、犬とヒロイン以外は永久離脱してしまう
    • 上述した通り、主人公と共に過去に向かった友人すらも例外ではない、ヒロインを差し置いてわざわざ冒頭で名前入力をさせたにも関わらず、である。
    • ヒロインはストーリーで何回か強制入れ替えされる上、最後で選択されなかったヒロインは二度と復帰しない。
    • 最後に加入するキャラは最終戦専用のスポット参戦のため、結局、ストーリーの最初から最後まで主人公に連れ添ってくれるのは犬だけである。
      • これだけ離脱の多い仕様なのに、離脱するキャラの装備品は持ち逃げされてしまう。たとえそれが永久離脱するキャラであろうと装備品が帰ってくることはない。
    • 仲間には何らかの過去があったり、固有の技があったりと言った個性も特にない。唯一千夜だけが過去に行ったことのある町などを自由に行き来できる呪文を覚える程度。
      • それでいてパーティメンバーが8人もいるのは蛇足が否めない。それでも入れるのならば、せめて5人目以上の仲間は任意で入れ替えできる仕様にできれば、無駄な離脱もなかったと思われる。

パーティメンバーの特徴

  • 主人公
    • あたまがヘンなので基本的にドライで、仲間の離脱について特に何も言わない。たとえ仲間が行方不明になろうと、誘拐されようと、操られようと、事態を深刻に捉える描写もない。
    • イラストで頭に付けている特徴的なゴーグルがキャラドットに全く反映されていない。初期装備が「うんどうぐつ」だけ、などとゲーム開始早々にツッコミ所を纏っているが、その程度は些細な事である。
    • 技タイプに育てると戦闘終了後に高確率で回復アイテムを拾ってくる。被ダメージが大きめな本ゲームにおいて必須スキル。ただし…。
      • ストーリー中盤くらいまでは「おにぎり」「こめだわら」と言ったHPを大幅に回復する米系アイテムを拾ってくるため、戦闘中の回復には余裕がある。
      • しかし、ある程度なりわいが上がると「おちゃ」系のHPとMPを同時に回復するアイテムを拾ってくるようになる、が、お茶系アイテムはHPの回復量が米系に比べてとても低いためむしろ難易度が上がってしまう。
      • お茶を売って米俵を買えばいいのだが、アイテムを売買できる場所が少ないため、長丁場の移動を伴うイベントではそれも適わない。
    • デフォルトネームはLOVELYなのだが、名前に反して顔グラの目が異常に怖い。しかもエンディングのスタッフロールではLOVERYと間違っていたりする。
  • 友人
    • 最初の離脱の原因は、まず主人公一行がもうじき高波が来るから避難するよう村人に言われる。しかし、なぜか主人公は村の中を無意味に走り回っており、結果的に仲間もろとも波にのまれてしまう。そして、気がつけば波が引いていて友人だけが姿をくらましてしまう。なぜ主人公と犬とイズミは助かったのかは不明である。
      • ちなみに主人公が村の中を走り回ったのはジュウベーの姿が見当たらなかったためと言っていたが、そもそも主人公がその人物と親しい訳でもないはずであり、なぜいないと思ったのかも謎である。
      • しかも、友人がいなくなった割にはイズミ共々反応は割と冷淡である。波にのまれる原因を作った主人公も罪悪感に苛まれる描写すらない。
    • 後半にて白クジラのおかげで命拾いしていたことが分かるが、すぐにイサナジマに住むことを決意して永久離脱する。
      • その際に友人はいきなり「という訳で」と発して事情を話すのだが、島の人々に話を聞いておかないと何が「という訳で」なのかが分からない。
  • ジュウベー
    • 津波が来そうになった時に主人公が彼のことを探していたのだが、一体どこにいたのかは結局分からず、波が引いた後にしれっと現れる。
      • この際には理由も語らず「仲間に入れてくれ」の一言だけで加入してくる*11。一応は彼のせいで逃げ遅れた訳でもあるのだが、それに対する詫びはない。
    • 通行証を奪われ、門番に里見の証を見せて無理やり通ろうとする主人公に対して「ここは隠密に」と説得して止めるシーンがある。「穏便に」と言いたかったのだろうか、真意は不明である。
    • 巨大な大砲に入って遠くへ飛ぼうとする際に「高いところは苦手でござる」と言ってあっさりと離脱してしまう。それでも忍者か?
      • しかもここで永久離脱のため、パーティメンバーの中でもダントツに加入時期が短い。
    • なお、名前はジュウベーと表記されるかと思えば、加入時はジュウベイと表記されている。
  • きゅうぼう
    • 敵のせいで水を奪われ、脱水症状で倒れているところを主人公らに助けてもらったことで、恩返しのために仲間になる。
      • のだが、脱水症状になっている彼を助ける方法が何と犬に頭の皿を舐めてもらうというもの。そんなので快復できるのか…
      • ちなみに仲間になる直前ではなぜか主人公の背後をうろちょろしている。
    • 海賊船に侵入する際に、海水は苦手だからという理由で一時離脱する。河童だから仕方ないと割り切るしかないのか*12
    • 一度目のラスボス戦後、ぴぃ子という雌の河童と一緒に暮らすことを決意して主人公と別れる。が、そもそもぴぃ子自体そこで初めて出会うキャラだったりする
      • しかも当人と会話を交わす事すら無く「ボクはぴぃ子とここで暮らします!」と言い出す。…何故名前を知っているのか。
      • 出会い自体も、「ラストダンジョンから出たらその場に何故か居たぴぃ子ときゅうぼうが互いに一目惚れした」という構図である。突っ込みきれない…。
    • なお、こちらもきゅうぼうと表記されてるかと思えば、加入時はQぼうとなぜかアルファベットで表記されている。
  • イズミ
    • 前述の通り理不尽な因縁をつけていきなり襲い掛かった来るインパクトの強い彼女だが、千夜の加入と同時に離脱してしまう。終盤の選択肢次第では永久離脱となる。
    • 離脱の理由は、千夜が同行する間はイズミが姫君となって城を守れと唐突に指名されたためである。いくら世話係が指導するからとはいえ、それまで城に携わっていなかった外部の人物に城を守らせるのには無理があるのではないだろうか。
      • ちなみにこの際のイズミの台詞は「しろはわらわが、まもります!」。ここにも居たよ…あたまがヘンになっちゃった人。いや、元々か。
      • 一応、イズミの魔法の才能を見いだされてその指導を兼ねてのことだが、しかし現代の女子高生が魔法を使えるようになってどうしようと言うのか…
  • 千夜
    • 途中一時的な離脱こそあるものの、加入してからは終盤まで(選択肢次第で最後まで)ついて来てくれる。物語後半のヒロインと言ったところか。
      • 序盤こそ予言者らしいことを呟く*13変わった印象があるが、イズミに比べれば癖がなく、仲間になってからは数少ないまともなキャラクターとなる。
    • その時代のキャラクターらしく一人称が「わらわ」で古めかしい口調で話す。かと思えば、最終決戦前ではなぜか一人称が「わたくし」に変わり、普通に「ですます」口調で話すなど、喋り方がかなり不安定である。
      • 千夜自身の成長を表すのか、丁寧口調の千夜が素の千夜なのかは一切説明がない。もちろんそれらを示唆するような描写もない。
    • さりげなくプロポーションが設定されており、身長約153cm、スリーサイズはそれぞれ大体B:83、W:54、H:81と、14歳の女の子とは思えぬほどグラマーなことが分かる。
  • ヘッケル博士
    • 前述のタイムマシンをも造れる近所の博士だが、何とラスボス戦直前に仲間になる。普通なら足手まといにしかならなそうだが、この博士、パラメータも装備品も決戦仕様であり非常に強い。ゲーム的な都合と言ってしまえばそれまでだが、アンタは一体何者だ*14
      • ラスボスに向かって「年寄りを舐めてもらっては困る」と言い放つが、説得力がありすぎる。世の中に数多くのRPGこそあれど、発明家の博士がこんなに強いゲームは他に類を見ないと思われる。
    • タイムマシンで部族の村まで来ては、そこにいる部族を従えている。どのようにして従えたのかは謎だが、博士曰く「わたしゃ神だぞ!」とのこと。ここにも居たよ…あたまがヘn(ry
+ そして…エンディングのネタバレ
  • どちらのヒロインを選択していても、両人とも過去の里見城に戻ってしまう。元々過去の人間である千夜はともかく、現代の高校生のイズミまで。
    • 過去に残る理由は、新天地に残った千夜に代わってそのまま里見城の姫君になる為*15。しかし本人は一応「自分の力を知る為」とは言っているが、続けて語る理由は「お姫様になれるなんて滅多にあることじゃないもの!」。最後までこう言うノリの作風とキャラなのである。…道理で「わらわ」とか言い出す訳だ。
  • 前述した友人も現代を捨てて過去で暮らす事を選び、主人公の前から姿を消す。イズミにしろ友人にしろ、現代の学生が現在の生活、家族、友人を簡単に捨て過ぎである。
    • しかも現代に帰る前に会いに行っても留守と言う始末。せめてエンディングくらい顔を見せるべきなのだが。
    • 更には主人公も現代に帰る前に「一応会っとくか」とついでのような扱いで会いに来ている。友情の欠片もあったものじゃない。
  • それ以外の仲間は皆、過去の住人なので当然現代に来る事は無い。現代にいる仲間と言えば最終決戦のスポット参戦だった博士程度。
  • 母親も失踪したままで結局のところ帰って来ない。なぜか置き手紙だけはご丁寧に新しいのが置かれているが、なぜいなくなる必要があるのだろうか。
    • そして最後まで主人公の側にいるのは犬だけである。嗚呼…。
  • ラスボスを倒すと台詞も演出も一切無く暗転し、冒頭の海岸で主人公が犬と釣りをするラストシーンに移る。そして最後は伏線を残しまくりながら、主人公の両親の電波すぎる会話で物語は締められる。
    • この際母親は、主人公には仲間がいるから大丈夫みたいなことを言うが、犬しか一緒に居ないので全く大丈夫そうには思えない。博士が主人公の面倒を見てくれると無理やり解釈しないと、かなり悲惨なことになっている。友人や母親の幻を見るシーンがあるのも更に不憫さを助長している。
  • もちろん旅のきっかけになった壷が結局何だったのかは語られていない*16
    • 主人公は里見城の跡取りなのに、そこは完全放置である。
      • 当主が失踪して嫡嗣が行方不明(実際には現代に来ている)となると、分家があるとはいえ本家は断絶となるのが普通であるが、過去の家臣を含めて誰も気にしていない様子。
  • スタッフロールは宇宙をバックに大仰なBGMが流れるスペースオペラかと疑うほど壮大なもの。これ何のゲームだっけ?もしや同社の次回作への伏線だろうか?
    • 一応、ラスボス一派は宇宙人なのでスペースオペラでも間違いではないのだが、作中にそういったムードはほぼ見られないので、理由としては苦しい。

評価点

  • 目立ったバグは無く、一応最後までプレイできる。電波シナリオと糞システムさえ我慢すれば。
    • 要は、こんな出来でも仕様通りに完成はしているということ。
  • 上記の斬新なシステムにより、戦闘とマップ移動のテンポは良い。テンポだけは。
    • クソゲーの新システムと言えば難解すぎたり発想に技術が追い付いていなかったりしてプレイヤーのストレスになる物が多いが、このゲームのシステムは少なくとも「テンポの良さ」と言う点には大きく貢献している。そもそも新システムと名乗れるほどの物なのか、と言う疑問は尽きないが
    • また、戦闘はテンポが良過ぎるのに加え、上記のように戦況の把握が難しいので、ポンポンとボタンを押していると寧ろプレイヤーの脳の処理が追いつかない。
  • 女子高生の「イズミ」姫の「千夜」等、主要女キャラのイラストはそこそこ可愛い*17
    • その代償なのか男キャラのイラストは上記の通り致命的に下手糞。特に主人公・ゆめわかの。パッケージを見れば判る通り、12歳の少年でありながら全く若々しさを感じさせない程作画が崩壊している。
  • クソゲーのお約束か、BGMの評価は高い。この辺りはカラオケ会社であったサンテックジャパンならではと言った所か。
    • しかし、マップ移動の度に一々BGMが最初から再生されるので煩わしく感じることも。
    • 島紘子氏が歌うラスボス戦BGMが良曲なのも、評価が高い理由の一つと思われる。
      • 下記にある通り、このゲームをCDプレイヤーで聞けるので今となっては、「音楽CDを買ったら、おまけで出来の悪いゲームがついてきた」と言われる可能性もあるが…。
  • やりこみ要素
    • なりわいのカンストは、心・技・体・バランスとも苦行、やり応えがある。
    • 最後に加入する博士は、バランスなりわいカンストの一段階前で加入する。これを挑戦ととらえるか嫌がらせととらえるかはプレイヤー次第。
    • ヒロインは、終盤イベントで離脱した後にラスボス戦まで復帰しないため、離脱後に上書きセーブするとその周回では心カンストができなくなる。する必要は一切ないが。
    • 通常のRPGは武器で倒そうが魔法で倒そうが基本的に全能力が上がるものが多いが、本作の武器(体)を使えば体が成長する仕様はキャラの能力を自分で個性付け出来るので面白いシステムである。筋肉モリモリの脳筋女子高生にしたり、魔法が得意な賢者犬を作り出すことも可能。

総評

 BGMやプレイの快適さなどの僅かながら良点を持ち合わせながらも、グラフィック、システム、シナリオなど殆どの要素が壊滅的。それでいてオススメシールを自ら貼り、且つ劣化システムを斬新なシステムと言い切る厚顔無恥っぷりは方々でネタにされ、PS史上に残る伝説級のクソゲーとして君臨した。
 サンテックジャパンは一年後にゲーム作品第二弾『10101 “WILL”THE STARSHIP』を発売するも、こちらも本作とはまた違った方向性のオススメクソRPGであり、その翌年には早くもゲーム市場から撤退する事になる。


余談

  • こんな出来ではあるが、現在は(『デスクリムゾン』と同様に)非常に入手困難となっており、とくにオススメシールのついた物はプレミアがついているらしい。
  • ラスボス戦のテーマを唄っていた島紘子は、その後歌手としてメジャーデビューを果たしたのだが、これといった実績を残せないまま引退してしまった模様
    • 実質的なデビュー作がこんな有様だからとも言われているが、あまりにも不憫すぎる。
      ちなみにテーマ曲の入ったCDが同人レーベルとして出ていたらしいが、それ以降の消息は不明である。
    • ちなみに島紘子は上述の通り沖縄タレントアカデミーの生徒だったのだが、その同窓生にかの仲間由紀恵がいた、ということも不憫さを増幅させる。
    • このゲームをCDプレイヤーにかけると、島紘子からのメッセージと前述した主題歌2曲が聴ける。フルバージョンでこそないが、当時の声が聞けるだけ貴重な資料だろう。余談の余談だが、このメッセージだけで容量を半分使っているらしい。
      + 参考動画
  • 本作のエンディングの末尾には「TO BE CONTINUED...」というメッセージが表示されるが、発売元のサンテックジャパンは1998年にゲーム市場から撤退し、2004年6月29日に倒産したため続編が発売される可能性は皆無である。
    • 『時を生む種族』『両親の正体』『ヌーヌーの目的』など放置された伏線があるので、元々続編を出す予定があった可能性も元々無かった可能性も大きい。
    • 2010年3月にプロデューサーの小澤夢生氏の生存が確認されているので別の形で、というのはあり得るのか……?
  • 後にサンテックジャパンのアダルトゲーム部門が制作した『さよならの微笑み』と言うゲームにて本作のタイトルがクソゲー扱いされて登場すると言う自虐ネタがある。