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ロックマン - (2020/06/13 (土) 22:33:29) の編集履歴(バックアップ)


ロックマン

【ろっくまん】

ジャンル 横スクロールアクション
対応機種 ファミリーコンピュータ
メディア 1MbitROMカートリッジ
発売・開発元 カプコン
発売日 1987年12月17日
定価 5,300円
配信 バーチャルコンソール
【Wii】2008年7月29日/500Wiiポイント
【3DS】2012年7月18日
【WiiU】2013年6月12日/上記共に500円
判定 良作
ロックマンシリーズ


プロローグ

時は未来。ロボットが人間社会に浸透し、人間とロボットが仲良くしていた時代。
ある日、平和を願う天才科学者「Dr.ライト」の元から6体の平和利用ロボットが奪われた。
犯人は悪の科学者「Dr.ワイリー」。彼は奪った6体のロボットを戦闘用に改造し、世界征服を狙っていたのだ。

ライトのもとに残ったのはお手伝いロボットの「ロック」と「ロール」だけ。
ロックは兄弟を救う為、ワイリーの野望を防ぐ為に、ライトに自分を戦闘ロボに改造してもらうよう願う。
平和を愛するライトは渋々ながらこれを承知、ロックを戦闘ロボへと改造した。*1

かくして生まれた「ロックマン」の、正義の戦いが幕を開ける。


概要

『ロックマンシリーズ』の第1作であり、ファミコン初期にして後世のゲームにも多大な影響を与えた横スクロール・アクションの旗手。
未来の世界を舞台に、少年型ロボット・ロックマンと悪の天才科学者Dr.ワイリーの戦いを描く。


特徴

後のシリーズ作品の多くに受け継がれる主な要素は、以下の通り。

  • 攻略の順序をプレイヤーの任意で決められるシステム。
    • ステージ選択画面には目標となるボスの容姿が模されたアイコンが並び、それらを選択して各ステージへと移行する、
    • 全てのボスを撃破すると、最終面であるワイリーステージが出現する。
  • 撃破したボスの特殊武器を入手できる。
    • それぞれエネルギー消費による使用回数制限はあるものの、初期装備のロックバスターでは破壊が困難な敵に対して有効であったりと攻略に深く関わる要素である。
      また、ほぼ全てのボスがいずれかの特殊武器を弱点としており、弱点武器を用いることで優位に立つことができ、どの順番でボスを倒していくかという戦略性にも繋がっている。
    • 武器を変更すると、ロックマン自身の体色も変化する。
  • 基本システムは十字ボタンでの移動、ジャンプ・ショットとオーソドックスなもの。初期装備のロックバスターは弾数が無限で、ある程度連射も利くが威力は低め。
  • ライフ制+残機制の併用。ライフが無くなるか穴に落ちる・即死トラップの「トゲ」に触れるなどでミスとなり、復活ポイントに戻される。
    • 雑魚敵を倒すとライフ回復や1UPを落とすことがあり回復機会は多めだが、それが要因で難易度が低くなるようなことはない。
    • ミスした時の光が弾けていくような演出と「ティウンティウン」という切なげな効果音は印象深い。
    • 残機が0の状態でミスするとゲームオーバーとなり、後述するスコア(得点)が0にリセットされる。同じステージを続けてプレイ(コンティニュー)するか、ステージ選択に戻るかを選べる(倒したボスの記録はそのまま)。コンティニュー回数は無限。
  • 特定の武器で破壊できる地形が存在する。

本作固有の特徴

  • シャッターからボス部屋直前のもうひとつのシャッターまでの通路が長く、敵がいたり、障害物が設置されていたりする。これは当初ディスクシステムで発売する予定で、ロード時間をごまかすためであったという説が有力。
    • 以後のシリーズでは、この通路は1画面分になり敵はいなくなったが、「ボス前には原則として扉一つ挟んだ通路があり、ボスに負けた場合そこがリトライポイントになる」ことは伝統として引き継がれている。
  • ボスを倒した時に、上から降ってくるアイテムを取らないとクリアにならない。当然だがボス撃破直後にミス(相討ち)になると、ボスを倒したことにはならず負け扱いとなる*2
  • 最初に選択できるステージは、後作のような8つではなく6つ*3
    + 本作のボスと特殊武器
    アイスマン アイススラッシャー: 敵の動きを止める
    カットマン ローリングカッター: ブーメランのように戻る刃を投げる
    ガッツマン スーパーアーム: 特定のブロックを持ち上げ投げつける
    ボンバーマン ハイパーボム: 高威力の爆弾を投げる
    ファイヤーマン ファイヤーストーム: 火炎弾を撃つと同時に自分の周囲にも火球が回る
    エレキマン サンダービーム: 左右およびに電撃を放つ。特定のブロックも破壊できる
  • 1度クリアしたステージにリトライすることはできるが、ボスも復活しているので再び倒さなくてはならない。
    • エレキマンステージに設置されている特殊アイテム「マグネットビーム」(入手するには「スーパーアーム」か「サンダービーム」が必要)が、ワイリーステージにて必須であり、その取りこぼしがないようにするためである。
  • スコア(得点)の概念があり、全ての敵キャラクターにスコアが設定されているほか、スコア獲得用のアイテム「ボーナスボール」(敵を倒すとこれを落とすことがあり、そのステージ内で入手した数が、同ステージのボス撃破時に1個につき1000点として加算される)も存在する。
  • 使用するとライフエネルギーゲージが全快する「エネルギー缶(E缶)」が無いが、代わりに「弥七」がある。『7』の「S缶」と似たようなアイテムである。
    • 最終ステージにのみ設置されており、取得するとライフエネルギーと全武器エネルギーゲージが全快する。
  • スタートボタンを押して武器選択画面へ移動すること以外にもセレクトボタンでポーズ(ゲーム一時中断)をかける事が出来る。
    • スタートボタンはあくまで武器切り替えであり、厳密にはゲームを中断する機能ではないのでBGMは鳴ったままだが、セレクトボタンを押すと無音状態で停止できる。
  • パスワードが存在せず、1度電源を切ると最初からになる*4
  • ワイリーステージに登場する6体のボス再戦は選択式ではなく、決まった順番で攻略する形式であり、ワイリーステージ2で2体、最終ステージで4体それぞれ再登場する。
    • これらの再戦ボスを倒してもライフ回復アイテムが出現しない上、1度負けると、前者の2体・後者の4体それぞれリトライの際にまた対決しなければならないため、後のシリーズ作品に比べると難易度は高め。
  • ロックバスター(初期装備)は敵に通用しない武器を当てても跳ね返らず、その場で消滅する。*5
    • ロックバスター以外の特殊武器は、通用しない敵に当てても消えずに貫通する。
    • 特例がスーパーアームのブロック関連とサンダービームで、ブロックは投げた場合最初に地形か敵に接触すると4つに分かれて以後の破片はそのまま貫通するようになる。
      このブロックにサンダービームが当たった場合はビームが消滅(同時発射したビームもすべて消滅)して、ブロックが上記の破片状態になって飛んでいく(威力などはサンダービームのものになる)。
    • サンダービームをカットマンに当てた場合のみ、電撃がバラバラに砕け散る演出が発生する。ただし、ダメージを与えることはできる。
  • ダメージを受けた直後の無敵時間中でも、トゲに触れた瞬間にミスとなる。
  • 水中でもジャンプ力が増加しない(動きは鈍くなる)。
  • 地形以外の足場(リフト、マグネットビームなど)に立っている間も重力が加算されているらしく、これらからジャンプせずに足を踏み外すと、ものすごい速さで落下してしまう(出現・消滅を繰り返す点滅ブロックを除く)。
  • ハシゴの昇降で背景が1画面分まるごと移動した後、あるいは横方向にスクロールアウトした後にまた戻ってくると、ステージ中に配置されたアイテムが復活する。
    • 箇所によってはライフや武器エネルギーの回復ポイントとなる。この仕様を知っていると幾分攻略しやすくなる。
  • ライフ及び武器エネルギーが満タンの状態で回復アイテムを取得すると一瞬硬直する。

評価点

  • ステージ選択性、特殊武器によりプレイヤーが決められるゲーム進行
    • 難易度の低いステージから始めて弱点武器でゴリ押しするもあえて難易度の高いステージからプレイして行くのもプレイヤー次第。
      さすがに開始直後だと厳しいステージもあるものの、どの面から進んでもボスまでたどり着けて撃破することは可能。
  • 完成度の高いアクション性
    • 敵ボスの武器の使用可能という面に目を奪われがちな本作であるが、その真髄は過去のゲームを綿密に研究しまとめあげたアクションの仕様にある。
    • 十字ボタンを短く押すことでできる、すり足移動による微調整。
    • ジャンプボタンの押し加減によるジャンプ力の高低と、それによる微妙な軸ずらし攻撃のしやすさ。
    • 踏み出した足場に戻って来られる空中制動と、それに合致したレベルデザイン。
    • 着地時のジャンプ先行入力(これが無かったら、対イエローデビル戦はさらに恐ろしい目押しゲームになっていたであろう)。
    • 等々、今なら当然と思えるような仕様を過不足なく実装・調整していたことによって、本作の快適な操作性が実現している。
  • 敵味方ともに非常に多いグラフィックパターン
    • 自機であるロックマンひとつとっても、立ちポーズ、移動時、ジャンプ時、攻撃時の他、被弾時(仰け反るアクション付き)、ハシゴを登る際(登り切った時の「体を折り曲げている」姿まである)、果ては数秒ごとにまばたきまで行う程である。
      • ガッツマンの地震攻撃による「のけぞりリアクション」(振動によりしばらく動けなくなる演出で、基本的に対ガッツマン戦専用のリアクションだと思われがちだが、実は後述するマグネットビームに乗った状態で敵からダメージを受けた際も同リアクションが見られる)や、スーパーアームを使ってブロックを持ち上げたときの独自のグラフィックパターンまで用意してある。これらの要素は基本的に後続の作品には継承されていない。
  • バリエーションに富むステージ構成
    • 「ビーム飛び交うエレキマンステージ」「氷で滑るアイスマンステージ」などボスからイメージされた各ステージはそれぞれに特色があり、似たようなステージがなく飽きさせない。そのステージ限定のザコ敵もおり個性的なステージ構成となっている。
    • 横方向にのみスクロールすることが多かった当時の他のアクションゲームに比べ、ハシゴを大量配置することで縦方向へのスクロールも多くなっている。これにより横と縦を組み合わせた多様性に富むステージ構成が実現されている。
      • 縦方向へのスクロールについては、固定画面方式であり、例を挙げるとはしごを上り下りしきって切って画面最上部・下部に到達した際に1画面分がスクロールする。
  • 個性的かつ温かみのある世界観
    • ロボット同士の戦いというシビアな設定ではあるが、懐かしいレトロフューチャー風味の世界観や丸みを帯びたロボットキャラのデザインに温かみがあり、殺伐さを感じさせない。

賛否両論点

  • 攻略に必須な移動用アイテム「マグネットビーム」だが、ボタンを押している時間で足場の長さが決まり、ボタンを離した時点の高さで固定される(ただし出しながら動き回っているうちにも勝手に固定される)というもので、慣れるまで操作が難しい。
    • 表示処理の関係で、長くした足場ほど視認性が悪くなる。また、非常に長く伸ばせるものの意外に保持時間は短く、最大まで伸ばした状態で乗っても最後まで行く前に消えてしまうので、場合によっては途中で次の足場を作っておく必要がある。
    • また、普通にジャンプしないで降りた(端から歩いて落ちる・時間切れでビームが消える)場合はとてつもない速さで落下するため、ジャンプしなくても(惰性で)自然落下中に足場に届くだろうと思っているとひどい目に遭う。
    • 当然だが、ロックマンより下方には出せない(上方はジャンプで調整できる)ので、画面上に行き過ぎると足場が作れなくなり危険。
  • 調整不足な難易度
    • 本作を語る上で外せないのが、シリーズ中でも一・二を争う難易度の高さである。豊富に施された様々なギミック・トラップは即死を伴うものも多く、初見でクリアするのは至難。
      • もちろん慣れれば攻略可能だが、頻繁に足場として機能しなくなる移動リフト、一定間隔で出現・消滅する足場ブロックなど後発作品に比べ難易度が高い。
      • ショットでプレイヤーを叩き落とす浮遊足場型のザコ敵「フットホールダー」は、完全にランダムで高度を変える上、何故か足場判定がなくなることもあるため運が絡む(マグネットビームで回避可能ではある)。要するに乱数の引きが悪ければ先に進めない。一応マグネットビームで足場を作れるが、例えアクション慣れしているプレイヤーでも一筋縄ではいかない。
      • 驚異の耐久度とダメージを誇る一つ脚の巨大なメカ「ビッグアイ」、同様に驚異の耐久に延々とピッケルを投げつける「ピッケルマン」等、ザコ敵もなかなかの強敵が存在する。
    • ボスも手強くこちらのライフゲージが満タンでもたった3発で0にする恐るべき高ダメージの特殊武器を放ってくるエレキマンとアイスマン。この2体とそれぞれ戦った時の緊張感は凄まじいものがある。
      • ただ、6ボスの時点では初心者お断りとなるような理不尽な難易度ではない。消えるブロックや特殊ギミック、一撃死が目白押しの「アイスマン」ステージの難易度が高く設定されている一方、即死ポイントの少ない「カットマン」「ボンバーマン」ステージの難易度は低く攻略しやすい。
      • 前述したエレキマン・アイスマンも、弱点をつけば相手も3発で倒せるので、ロックバスターでの攻略に固執しなければ極端ではあるがバランスは取れている。また、同時にステージ・ボス共に簡単なカットマン*6から攻略する事で、エレキマンの弱点武器を先に入手する手順が成り立つ。エレキマン攻略後は他のステージ中の難関も幾つかはマグネットビームによって難易度の緩和ができる。
      • また、初心者向けのカットマン→エレキマンルートで攻略する場合、マグネットビームの回収のためにエレキマンステージに2度挑戦する必要があるが、ガッツマンステージにて、マグネットビームなしでステージ序盤の移動リフト地帯を突破できるなら(そこさえ突破できれば同ステージ自体はボス部屋までの距離は短め)、カットマンより先にガッツマンを攻略するというパターンもあり、プレイヤーの腕次第で簡略化も可能。
  • 一部のボスの凶悪さ
    • ワイリーステージ1の最奥部で待ち受けるボスであり、そして本作における象徴的な存在ことイエローデビルは多くのプレイヤーにコントローラーを投げ出させ、多大なトラウマを植え付けた。
      • パターンとしては、本体が19個のパーツごとに分散しかなりのスピードで飛来し、合体して巨大な一つ目の怪物を形作った瞬間に僅かな時間だけ弱点を露出させる。攻撃のチャンスはその一瞬だけであり、すぐさま分離して逆側に移動しつつプレイヤーに体当たり攻撃を開始するという凶悪なもの。最初に登場する時でさえボスエネルギーゲージだけが先に出現し攻撃してくる。
      • 相手と自分の1ヒットのダメージ量は(こちらがボスの弱点武器を使用して)互角。目の出現位置以外は固定パターンなので、攻略は回避技術と集中力が全てである。
      • このイエローデビルを越えられる事は当時のステータスであり、完全にパターン化しているとはいえ、タイミングは結構シビア。その強さたるや、現在でも「裏技を使わなければ倒せる気がしない」と嘆くプレイヤーが存在するほど。
      • ミスした際のリトライポイントがボス部屋直前であることが救いか(これは本作に登場する全てのボスキャラクターに該当する)。
      • その強さのインパクトもあってか、後のシリーズでも似たようなタイプのボスがちょくちょく登場している*7
    • イエローデビルを倒しても、次にワイリーステージ2のボスであるロックマンと同じ姿のコピーロボットが立ちふさがる。
      • こちらも攻略法を確立するまではかなりの強敵で、随時ロックマンの装備している武器を使ってくる上、同じ武器にもかかわらず弱点武器でもダメージ量は相手の方が2倍あり、体当たりでも厳しいダメージを与えてくる。
      • さらにこのステージの途中ではカットマンとエレキマンとの再戦が待っており、回復アイテムもほとんどなくザコ敵からも稼ぎにくい。この2体のボスのどちらかでミスすると、ステージの初めから再スタートになる。
    • ステージ3の道中は比較的楽だが、3箇所のいずれかの穴から出現するボス・CWU-01Pの体当たりが基本的に回避不可能。
      • このボスは合計7体の個体が存在し、1体ずつ出現して体当たりを仕掛けてくるのだが、耐久力がそこそこ高く武器を何発も撃ち込まなければ破壊できない上、破壊するごとにまた次の個体が出現し、動きがどんどん速くなっていく。
      • 一応、ボス部屋中央にスーパーアームで投擲可能なブロックが、凸の形で4個積まれており、これを足場として利用することで回避はできるが、このブロックを一度投げてしまうと、ゲームオーバー後に再挑戦するまで復活しない。
      • また、ボスがどの穴から出現するかは完全なランダムであり、読みが外れるとやはり体当たりを食らってしまう。
    • ラストステージでは残りの4体のボスとの連戦があり、最奥部にワイリーが待ち受けている。
      • ワイリーに到達するまでは、これらを全て途中回復なしで撃破しなければならない。道中も他のステージほどでないにしろ決して簡単ではない。

とはいえ、このような難易度の高さは逆に本作の魅力としてプレイヤーを惹きつける要素ともなっており、必ずしも問題点とは言えない。
コンティニューはステージ毎かつ無制限であるため、まさしくシリーズの特徴である典型的な「ミスを繰り返して覚える」を体現したシステムと言う事もできる。


問題点

  • 本シリーズでは特殊武器の使い勝手に差が大きいが、本作ではガッツマン・ボンバーマンの撃破でそれぞれ得られる「スーパーアーム」「ハイパーボム」の性能に難がありすぎる。
    • スーパーアーム
      • これは特定ブロックを持ち上げて投げる特殊武器(特殊装備)で、攻撃用途で見ると肝心のブロックが道中にほとんどなく、1つもないステージもざらにある。というよりまともに武器として使えるのはカットマンステージぐらいなものなのだが、そこですらボス戦以外たいして役には立たない。また、当然といえば当然であるが、ブロックを持ち上げている状態ではハシゴにつかまって昇降することが出来ない。
      • ボスに対して使おうにも、選択6ボスステージでボス部屋にブロックが置いてあるのは、ガッツマン・カットマン・エレキマンのみである。さらに、ワイリーステージでは3番目のボス・CWU-01Pの部屋のみである。もちろん、ガッツマンと初めて戦う時にはスーパーアームは持っていない(本作の仕様上、ガッツマン撃破後に再び同ステージ最奥部まで行き再戦すれば、ブロック[岩石]を持ち上げてガッツマンを攻撃することも出来るが、当然そんなことをする意味はほぼ無い)し、ワイリーステージの再戦時にはブロックが設置されていない。弱点武器であるカットマンとの再戦時であっても設置されていないのだ。弱点武器としての効果は高いが使いどころが限られるため「通路を塞ぐブロックの撤去」の方が主な使い道になってしまう。
      • しかも、これらの対象ブロックはサンダービームでも破壊可能なので、むしろ接近しないとつかめない分使い勝手が悪い。サンダービームは温存したいので結局スーパーアームを使いがちなのだが、立場が弱いことに変わりはない*8
      • ただそのサンダービームを入手できるエレキマンステージでは、ブロックの撤去能力はなかなか役立つため先に入手しておく価値はある。
    • ハイパーボム
      • 放物線を描く大型爆弾を投擲し、発射後しばらくすると爆発する特殊武器。しかし投擲距離があまりに短く、爆発までタイムラグがあるため、基本的には下方への攻撃にしか使えない。しかも爆発するまでは攻撃判定がなく、画面上に長く残る性質ながら同時に出せるのは1発であるため、攻撃効率も極めて低い。せめて、ボンバーマン自身が使用するものと同様に「敵や地形に当たった瞬間に爆発する」という性能であれば、まだ使い道はあったであろう。
      • 下方への攻撃に使おうにも、よほど敵との位置関係がピッタリな場所でないとまず当てられない。唯一の救いは、この武器を弱点とする本命のボス・ガッツマン(爆風を3回当てれば倒せる)の動きが鈍重であること、次点のアイスマン(本来はサンダービームが弱点で3発当てれば倒せるが、ハイパーボムの爆風でも7発当てれば倒せる)も動きが一定で比較的当てやすいことぐらいか。
      • なおガッツマンは初戦では最弱クラスのボスであり、十分にバスターで攻略できるためわざわざ使いにくいハイパーボムを使うまでもなく、難関とされるステージ最初のリフト地帯も慣れてしまえば十分に行けるため、最初のステージとしても選択しやすい。ハイパーボムが役立つのは有利な岩の上で戦えない再戦時ぐらいのものである。
    • この2つの武器の使いづらさゆえかGB移植版ともいえるロックマンワールドではこの2体のボスはステージごと省かれている。しかし「スーパーアーム」はロックマンワールド5で「ディープディガー」として形を変えて復活している。
    • 同様にAC『ロックマン ザ パワーバトル』やPSPでのリメイク『ロックマン ロックマン』でもボス本人が出演し両者の特殊武器も登場しているものの、特殊武器自体の性能が大きくアレンジされた物になっている。詳しくはそれぞれの記事で。
  • 説明書には、特殊武器の名称及び解説が全く載っていない。特殊武器の名称と解説が説明書に載るのは、シリーズ全体では『ロックマンワールド』、本家シリーズでは『4』以降である。さらに本作ではゲーム中にすら特殊武器の名称が表示されない(次作『2』と次々作『3』では説明書には載っていないものの、ゲーム中、ボス撃破後に各特殊武器の名称は表示される)。
    • ボスの弱点に関しては、推理するなり実際に当てて試せということなのかもしれないが、使い方の分かりにくい武器や道中のギミック解除に必要な武器もあるため、どんな性質を持っているのか簡単なヒントくらいは欲しかったところである。
  • 不要なシステムの存在
    • 当時のゲームとしては珍しい事ではないが、スコア表示はエクステンド(残機アップ)やランキングがないので特に意味がない。
      • 制限時間がなく、ザコ敵もスクロールアウトして戻れば無限に沸いて出てくるため、高得点を競う意味もない。
      • 本作の難易度はかなり高いため、せめて、エクステンド有り(例えば数十万点取るごとに残機アップ)にして、さらに1UPアイテムはザコ敵を倒すことでは入手出来ない(ステージ中に置いてあるものだけ入手可能)という仕様になっていればまだ意味はあったかもしれないが…。
      • ただし、当時はアクションゲームでスコア要素はあって当然であった事、本作は元々アーケードゲーム用の企画だった事を考慮すれば、結果的に形骸化してしまったものの当時のゲームとしては無くてはならない要素だったと言える。
  • セレクトボタンで使用可能なポーズによる一時停止機能もスタートボタンによる武器選択画面と被っている。
    • ポーズを利用した裏技(後述)や無音状態で中断出来るため存在意義自体は一応あるのだが、裏技を知らないor使わなかったり音が鳴っていても構わないプレイヤーにとっては「いらない機能」として見られがち。
  • パスワード機能が無いために電源を入れるたびに最初からプレイしていかなければならない。
    • ゲームそのものは短めだがそれでも一気に最後まですすめるのは骨が折れる。
    • ただ、この程度の長さで途中再開がないゲームは当時珍しくなかった。むしろコンティニューが無限な分、プレイしやすい方である。

総評

初代作品ゆえところどころ粗は目立つが、操作性、アクション性、ステージ構成、グラフィックなど、いずれも当時のアクションゲームの水準を越えて抜きんでた質の高さを内包しており、十分に高い完成度でまとめ上げられている。

独自色を出すべく工夫を凝らしながらも当時はあまり売れなかったが、続編以降、本作で確立されたゲーム性に更なる磨きをかけて完成度を高めつつ、ボスキャラデザインの一般公募を恒例行事として行うなどのイベントも相まって徐々に人気を高め、カプコンの看板タイトルとして順当に成長していくことになる。



移植

  • 他にも携帯アプリにて『ロックマン Lite』と『ロックマン完全版』のタイトルで配信されている。
    • Lite版は当時の携帯端末の性能に合わせて調整が行われているためFC版とは内容が少々異なる。
    • 完全版はほぼ忠実な移植であり、1度オールクリアをすると隠し要素としてロールでプレイできるようになる。
      • ロールはロックマンよりバスターの威力が低く、特殊武器も使えない。代わりに武器エネルギーを消費して、敵を貫通するチャージショットが撃てる。但し、『ロックマン4』以降のチャージショットと違い、チャージから発射までがオートで行われる為、動いている敵に当てるのが難しいため難易度はロックマンよりも高い。
  • Wii、3DS共にバーチャルコンソールでも配信されている。こちらも完全な移植だが、目の負担を軽減するため、FC版に比べて画面の輝度が抑えられている。
  • これら移植・リメイク版では移植に伴いセーブ機能が追加されているので、今本作を始めるのなら移植版をプレーする事を推奨する。

余談

  • 説明書が特殊
    • 本作の取扱説明書は、「折りたたみ式の一枚のシート」タイプの物が採用されている。
    • 説明書が一枚のみになっている関係で、探したい項目が見つけやすいという利点がある。反面、説明書自体が非常に大きく作られている事から、説明書を使用するスペースが限られてしまうのが難点。
    • 説明書は『2』まで折りたたみ式シートタイプの物が採用されていたが、『3』からは冊子タイプに変更されている。
  • 裏技
    + 閲覧注意
  • セレクトボタンを押してポーズをかけてもダメージ後の無敵時間は減っている。つまり、これを利用するとボス敵の無敵時間を消す事ができる。
    • 具体的には、攻撃を当てた瞬間にポーズをかけ、無敵時間を示すエフェクトが消えたらポーズを解除し、再度ポーズ…を繰り返す事で連続してダメージが与えられる。
    • 作中最強と謂われるイエローデビルをアクションが苦手なプレイヤーでも撃破できる、唯一の救済策とも言える。
      • 但しこれを利用すると各ボスが軒並みザコに成り下がってしまう為、シリーズ屈指の難易度が急激に落ち込んでしまう。通常プレイでの利用はお勧めしかねる所である。
  • Dr.ワイリーは主人公のロックマンを差し置いて『クイズカプコンワールド』で一足先にアーケードデビューを果たしている。
    • 『2』でも「ロックマンは道中の雑魚なのにワイリーはボス」と優遇されている。
  • 開発当初は上層部の意向により鉄腕アトムの版権を用いたゲームを作る予定だったが、プロデューサーの意向でオリジナルキャラのロックマンで貫き通した逸話がある。
  • 「ロックマン」と言うタイトルが決まる前は、『レインボー戦士ミラクルキッド』というタイトル候補があった。
    • これは特殊武器を装備するとロックマンの色が変わるところから着想されたものとのこと。
  • 海外では『MEGA MAN』(メガマン)のタイトルで知られているが、日本版とタイトルが異なる理由は長らく謎であった*9。その後、アメリカのゲーム雑誌であるGame Playersの1993年3月号のインタビューで当時カプコンUSAの副社長であったジョセフ・モリッチ氏が「ロックマンのローカライズを検討中、日本で作られた「ROCKMAN」のタイトルが酷すぎて気に入らなかったんだ。それで「MEGA MAN」と言うタイトルを思いついた。そうしたらそのアイデアが採用されて北米版のタイトルになったんだ。ゲームの内容は日本版と変わらないんだけどね。」と答えている事が判明している。
    • 尚、日本ではよく『MEGAMAN』と書かれるケースが見られるがこれは間違った表記なので注意されたし。 公式では『MEGA MAN』が正しい表記である *10
  • 海外NES版『MEGA MAN(メガマン)』のパッケージイラストでは、日本版のロックマンとはかけ離れた黄色と青の全身スーツ姿のマッチョな人物が描かれている(参考画像)。
    • このメガマンは海外では「Bad Box Art Mega Man(BBA Mega Man)」とも呼ばれている。
    • 尤も、当時の海外版パッケージは色んな意味でアメリカナイズされているものが多く、イメージギャップがあるのはロックマンだけに限らないのだが…
    • ちなみにこのパッケージのメガマンは、PS3/PSV版『ストリートファイター X 鉄拳』に参戦する事になった。まさかの海外パッケージ仕様のロックマンが参戦するとは誰が思っただろうか。
  • 本作に登場するボスキャラクターの1体である「ボンバーマン」は何かと不遇でマイナーキャラ扱いされる事が多い。
    • ロックマンワールド』ではガッツマンと共にオミット対象となった。
      • しかし相方のガッツマンは『2』や『7』で派生ボスが出ており、『ロックマン ザ パワーバトル』、『ロックマン バトル&チェイス』といったスピンオフ作品に出演する機会にも恵まれており、見事に汚名を返上している。
    • 一応ボンバーマン自体は『ロックマンズサッカー』に出演しているが、同じく1のボスであるカットマン、エレキマン、ファイヤーマンが8大ボスに抜擢される、アイスマンは8大ボスには選ばれなかったものの俊足型でFW向きと個性付けがされる一方で、ボンバーマンは平均性能であるが止められる・通用する必殺シュートの幅が少なく今一つなキャラクターとなっているなど、ここでも扱いの悪さが目立つ。
      • とある攻略本にも「どのポジションに起用しても力不足」と書かれた程である。
    • とどめにロックマンエグゼ。初代エグゼ?では終盤戦のボスという非常に美味しい役回りで、アニメ版でもN-1グランプリ準決勝でのストーンマンとのタッグでそれぞれ熱斗やロックマンを苦しめた。しかし、他のWWWメンバーがオペレーター・ナビ共々個性派揃いだった事から地味に見られがちで、以降の続編やスピンオフへの出演も無くアニメでは登場する度にかませ犬という有様。
    • 爆弾を扱うという設定であるにもかかわらず見た目が地味な事、ハドソンの同名看板タイトルの知名度の影に霞みがちな事も原因と思われる。
      • ただしキャラの名前に関しては、海外版ではステージセレクト画面で表示される名義の「ボムマン」に名称が変更され某タイトルの差別化が図られている。
        なお、本家ロックマンシリーズの8大ボスの中で国内と海外で名称が異なるボスは、彼と『11』のパイルマンとラバーマン*11の3体だけだったりする。