ロックマンワールド5
【ろっくまんわーるどふぁいぶ】
| ジャンル | アクション | 裏を見る | 
| 対応機種 | ゲームボーイ | 
| メディア | 4MbitROMカートリッジ | 
| 発売元 | カプコン | 
| 開発元 | 水口エンジニアリング | 
| 発売日 | 1994年7月22日 | 
| 定価 | 3,800円 | 
| 配信 | バーチャルコンソール 【3DS】2013年11月6日/400円
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| 書換 | ニンテンドウパワー 2000年4月1日/1,000円/F×4・B×0
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| 判定 | 良作 | 
| ポイント | 打って変わって完全オリジナルに 新たな敵「スペースルーラーズ」
 ロックマンワールドシリーズの集大成
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| ロックマンシリーズ | 
 
概要
ロックマンワールドの最終作にして、完全オリジナル作品。
これまではファミコンのロックマンの既存作品の2作を元に再構成するという作風が継続していたが、そのストックが『ロックマン6』のみとなったためにオリジナルになったという経緯がある。
今回の敵は地球征服のため宇宙から襲来した謎のロボット軍団「スペースルーラーズ」。
ボスキャラ・ザコキャラ・BGMに至るまで、多くの要素がFC既存作品からの流用無しの今作初出のデザインで構成されており、FC既存作品を熱心にプレイしたファンでも新規タイトル同然に新鮮に遊べる内容となっている。
ストーリーは前作の続きとなっている等、これまでのワールドシリーズの要素を引き継いでいる部分も多い。
特徴・評価点
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チャージショットが本作限定の新武器「ロックンアーム」に差し替わった。いわゆるロケットパンチである。
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本作の敵組織「スペースルーラーズ」のリーダー「アース」は、そのボディが地球外の未知の物質で作られており、チャージバスターが弾き返されてしまったことへの対策として急遽開発された、拳にエネルギーを充填して直接相手に流し込む攻撃機構である。
 なお、無チャージの通常ショットは今まで通りのロックバスターである。
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ロックンアームは他作品のチャージショットとは密かに異なり、中チャージで2ダメージ与えることができる。その代わり(?)地味と言えば地味だが、前2作でできたエリア移動中でのチャージができなくなった。
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射程は短く一定距離で戻ってくるが、「Pチップ」のアイテムによる強化が可能で、従来のチャージショットには無い能力を追加できる。
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「ロックンクロー」: 至近距離の敵をつかんで連続ダメージを与える。
 敵に接近して撃ち込む必要があり、結果的にアクション性の向上につながっている。
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「マジックハンド」: 地形の中や、遠くにあるアイテムをつかんで取る機能。
 
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アームが戻ってくるまで攻撃できない。ただし戻ってくる途中のアームにも攻撃判定があり、撃ち込みが外れた場合でもまだ命中の可能性がある。
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また、ゲームオーバーになり同じステージでコンティニューを4回繰り返すと…
    
    
        | + | ... | 
ロックンアームとロックバスターのパワーアップイベントが発生し、弾速が格段に上昇する。その後に更に4回ゲームオーバー・コンティニューを繰り返すと、同様のイベントが追加発生し、チャージ速度もアップする。
ただし、前作『4』同様にパスワードでこの状態を保存することはできない。
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従来のチャージショットに比べて劣る点もあるが、各種機能の追加などチャージショットより優れた部分も目立ち、総合的にバスターの扱い方が多様化した。
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後に『7』のスーパーロックマンも同様のロケットパンチを装備し、逆輸入された形となった。
 
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特殊武器
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特殊武器も個性的で、どれも使いでがある。ロックンアーム自体が特殊な機能を備えているが、それに食われているといったこともない。
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敵に命中するとライフエネルギー(小)を出現させて漂わせる「スナッチバスター」、チャージにより無敵状態で体当たりする「ブレイクダッシュ」などは特に個性的。
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さらに「パワージェネレーター」と呼ばれるアイテムを装備することで、消費エネルギー量を半分に抑えることが可能。
 ただし入手できるのは終盤になり、入手するためには後半4ステージそれぞれに1個ずつ隠された「クリスタル」を集めなければならない。
 またクリスタルの配置上特殊武器やマジックハンドを使用しなければならず、後半4ステージを1周しただけですべて集めるのは不可能である。
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具体的に言うと、ウラノスステージとプルートステージのクリスタルの入手には、お互いのステージボスの特殊武器が必要(ウラノスステージではプルートの、プルートステージではウラノスの武器)なため、クリスタルを集めようと思えば、嫌でもどちらかのステージは2回行かなければならない。
 しかも、本作にはステージ途中でエスケープする機能は無いので、すでにクリアしたステージを再びボス部屋まで行かなければならず、面倒。
 
 
    
    
        | + | 本作のボスと特殊武器 | 
| 前半4ステージ |  
| マーキュリー | スナッチバスター: 敵に当たるとライフエネルギー(小)を出現させる光弾を発射 |  
| ビーナス | バブルボム: 左右に揺れつつ上昇する起爆泡を放つ。天井に当たると天井を這う |  
| マース | フォトンミサイル: 小時間停滞した後に飛んでいく、敵や地形を貫通する高速ミサイルを発射 |  
| ネプチューン | ソルトウォーター: 放物線状に水球を放つ。地形に当たった時の飛沫にも攻撃判定あり |  
| 後半4ステージ |  
| ジュピター | エレクトリックショック: 掌から多段ヒットの電撃を放つ。射程は短いが高威力 |  
| サターン | ブラックホール: 頭上に小型ブラックホール出現。敵弾を吸い込んだ後、光弾4つが螺旋状に放出される |  
| プルート | ブレイクダッシュ: チャージ(2段階)後に無敵突進攻撃(※)。特定のブロックも破壊可能 |  
| ウラノス | ディープディガー: 足元の特定のブロックを持ち上げて投げつける(※)。壁に当たると4方向に分裂 |  
| 8ステージ後 |  
| アース | スパークチェイサー: 敵周辺で2回屈折する貫通追尾レーザーを発射 |  
※特殊武器が発動しない状況(投げるブロックが無い時のディープディガー、チャージ無しのブレイクダッシュ)では単にロックバスターを撃つだけとなる。武器エネルギーも消費しない。
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今作の敵は本家とは違うオリジナルキャラになった。
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本作のボスキャラクター及びその組織はワイリーナンバーズではなく「スペースルーラーズ」と呼ばれるロボット達(海外名は“STARDROIDS”)。
 「○○マン」という定番の名前ではなく、「マース」「マーキュリー」等、太陽系の惑星の名前がつけられている。
 リーダーは「地球」を意味する「アース」であり、従来のロックマンキラーに相当する。
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一応、お馴染みのあの人も登場しシリーズ伝統ともいえるお約束の展開になるが、ラスボスはオリジナルである。
    
    
        | + | エンディングでは… | ラスボスの攻撃にやられたはずのワイリーが登場。 「ここで最後の決着をつけてやる!」と意気込むが、壊れたUFOをまともに操作できずついに大破。結局土下座をして逃げていく。
 ラスボスを違うキャラにしても、最後はしっかりシリーズの伝統で締めくくる点は素晴らしい。
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これまでのワールドシリーズに登場した、ロックマンキラーと呼ばれるオリジナルボス(エンカー、クイント、パンク、バラード)が最終ステージのボスラッシュで再登場する。
 ワールドシリーズ過去作をクリアしてきたプレイヤーには嬉しい演出で、シリーズの集大成を飾るにふさわしい。
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新サポートキャラのネコ型ロボット「タンゴ」が登場。
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この作品以外では『10』と、黒歴史扱いされがちな『未来からの挑戦者』で登場している。
 
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前作で隠しキャラ扱いだったブルースは、進行上で必ず登場するようになった。
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アイテムをくれるだけではなく、『3』の時のように塞がっている道を開いてくれたりもする。
 
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ステージ構成も移植ではなくオリジナル作品故、原作にとらわれることなく自由に作られており、ゲームボーイの特性を考え様々なギミックで工夫されている。
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従来のように原作を無理に小画面に落とし込んだようなところが無い分、ダメージを受けにくくプレイしやすくなっている。
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前作のように分岐で迷わせる個所も少なくわかりやすくなった。攻略法を考え慎重にプレイするような場面も減り、快適にプレイすることができる。
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ザコキャラも全てオリジナルであるがロックマンの世界観に合致しており、動きもオリジナリティーが高く工夫されている。
 
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BGMも既存作品からの流用無しの全曲オリジナルであり、どの曲も既存作品に引けを取らず高品質である。ラスボス戦のBGMは特に高い評価を誇る。
賛否両論点
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『5』のボスキャラのうち、前作に登場しなかった残りの4体(ジャイロマン、ウェーブマン、スターマン、グラビティーマン)の立場。
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概要の通り本作は完全新作となったが、残りの『5』ボスの事を気の毒に思うユーザーもいない訳ではなく、「残り『5』ボスと『6』から4体ボスを選出した構成でも良かったのでは?」「残り『5』ボスを蔑ろにする気か」といった意見も聞かれた。
 とはいえその構成にしたところで、『6』のボスはどのみち4体余ることになる。特にバリアのプラントマンと全体攻撃のケンタウロスマンは『5』の残りボスと武器性能が被ってしまい出しにくい。
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さらに言えば、GBの狭い画面の中でキャラを大きく、ステージを狭くした移植であったため、そのままでは重力反転のグラビティーマンステージを再現することが難しかったり、仮にワールドシリーズが続いて『6』のボスが総登場出来たとしてもワールドの仕様ではケンタウロスマンをジャンプで飛び越せないといった問題を孕んでいるのも原因の一つと思われる。
 
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性能の劣るGBへの移植に近いことを4作もやってきたため、マンネリ打破の意味合いもあったと思われる。
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とはいえオリジナルへのオマージュはされており、ネプチューンステージはウェーブマンステージを意識したもので、ジュピターステージはスターマンステージのように屋外では重力が軽く、サターンステージはグラビティーマンステージのような重力反転ではないが、重力半減と2倍になる箇所が頻繁に出てくる。
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もっとも、登場してないキャラクターの話をするなら『1』のガッツマンとボンバーマンも結局最後までロックマンワールドシリーズに登場できなかったのだが。
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「ディープディガー」は、ガッツマンのスーパーアームと似た性能なので、ガッツマン未出演の代わりなのかもしれない。
 
 
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雑魚敵はオリジナリティーが高い一方、複雑な動きをする敵が多く一部は処理に時間がかかり、ややストレス。
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ビリー・スパーク(こちらを上空から追尾しつつ地を這う攻撃を繰り出す敵)、チェンソール(腕にカッターを装備し、倒した後もカッターのみが画面内に残り暴れる敵)等は、本体の討伐と飛び道具の回避両方の処理をしなくてはならず画面の狭さも相まってアクションの難易度が高い。
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ロックンアームでガードを崩した上にバスター数発分のダメージを与えなくてはならないヘルメットールDX等、耐久力の高い敵に足止めされるシーンも多い。
 
問題点
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前半4体ボスのうち2体は弱点武器で攻撃する事が出来ない(対応する弱点武器は後半に手に入る)。「ボスを倒して入手した武器が別のボスの弱点」というのがロックマンシリーズの特徴なのに…。
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幸いその2体はボスとしてはたいして強くないので弱点武器なしでも十分勝てる。…というよりもパターンこそ厄介な者もいるが、下記のアースのようにスペースルーラーズは全員それ程強いわけではないため、前半4体もバスターで倒した方が戦いやすい。
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一応アースを含めた9体のボスの弱点がサークル状になっている。
 
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上記の通りオープニングでアースに対し「ロックバスターが効かない」という設定だったはずが、再戦時には普通に効いている。
 しかもこのアースはスペースルーラーズのリーダーという役どころでオープニングでその強さを見せつけていたにもかかわらず、再戦時にはその場でバスターを連射しているだけで倒せてしまう。
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アースは近づくとワープをするという特性があるが、ワープ以外では移動をしないため、接近しない限り移動しない。
 このため、ゴリ押しのバスター連射で簡単に倒せてしまうのである。
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一応弱点武器は主に障害物除去に使う「ディープディガー」で、いかにも使えと言わんばかりに岩が敷き詰めてあるが、岩を抜くと凸凹になり多少戦いにくくなるため、普通にバスター連射していた方が楽である。せっかくの武器としての使いどころが台無しになっている。
 
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ハードの性能上、チラつきや速度低下の処理落ちが少々多い。特にタンゴを出した時が顕著。
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新サポートキャラの「タンゴ」が非常に扱いにくい。
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敵のいる方向に向かってローリングアタックをしてくれるのだが、ビートと違い地上がメインなので空中の敵には当たり辛く、攻撃力も高くない上に発動中はエネルギーを消耗し続けるので燃費も悪い。
 さらに上記の通りチラつきも激しくなるので、より使い勝手がよくない。
 
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スクロール先のトゲ配置による初見殺しが多い。
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初代ワールド等にも存在するものではあるが今作はそれら他作品よりも多用されている。
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特にワイリーステージでは縦に数スクロール分ステージを降りていく最中に散発的にトゲが置いてあり、理不尽な事故が発生しやすい。
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他にもマーキュリーステージの縦スクロール配置、ビーナスステージの泡の床とトゲに挟まれた通路等トゲ回避が難しい箇所がある。
 
総評
ロックマンワールドシリーズ唯一のオリジナル作品という異色作ながら、ロックマンの作風を崩さず、かつオリジナリティあふれる見事なステージ構成、ギミック、敵キャラが用意されている。
移植作でなくなった分、原作に捉われずゲームボーイの特性に合わせたゲーム作りを一からできたことで、従来のものを超える最高の作品ができたといえる。
まさしくワールドシリーズの集大成と言える出来なので、ファンならずとも一度はプレイしておきたい名作アクションゲームである。
余談
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ボス名は太陽系の惑星から名づけられていることは述べたが、2006年8月に国際天文学連合 (IAU) 総会による惑星の定義付けで、冥王星こと「プルート」は惑星でなくなり、「準惑星」になってしまった。
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そのため、現在は本作の話題が出た時、ボスキャラの中でもプルートはこのネタで弄られることになる。
 
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有賀ヒトシの描き下ろしコミカライズ『ロックマンギガミックス』の2巻~3巻において、本作をテーマにした死闘が描かれる事となった。
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有賀はコミックボンボン増刊号での『ロックマンメガミックス』の連載が終わった後に本作のコミカライズの考案を練っていたが、10年以上発表の機会がなかったという。
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この漫画において「スペースルーラーズ」はワイリーが開発したわけではなく、白い巨人(デューオ)によって封印されていた破壊者という設定。
 凶悪な宇宙からの破壊者達相手に、ロックマンを初めとしたライトナンバーズは、Drワイリーやワイリーナンバーズと共闘してスペースルーラーズに立ち向かう事となる。
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原作では簡単に倒せてしまうアースだが、『ギガミックス』においては恐怖や絶望を糧とするダークムーンを成長させるべくルーラーズの仲間の目玉を抉り取ったり見殺しにするなど残忍な性格を持って描かれる事となった。
 
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余談中の余談だが、『5』の残りボス4体と『6』のボスがワールドシリーズ未参戦である事をネタにした海外のファンゲームが存在する。
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原作河田雄志、作画行徒の漫画作品『ロックマンちゃん』にスペースルーラーズが登場する。
最終更新:2025年08月16日 23:21