ロックマンメガワールド
【ろっくまんめがわーるど】
ジャンル
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アクション
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高解像度で見る 裏を見る
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対応機種
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メガドライブ
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メディア
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16MbitROMカートリッジ
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発売元
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カプコン
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開発元
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水口エンジニアリング
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発売日
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1994年10月21日
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定価
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8,500円(税別)
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判定
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なし
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ポイント
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移植に際しアクション部分の挙動が変化 オリジナルステージ「ワイリータワー」 音源によるBGMの多大な変化
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ロックマンシリーズ
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概要
FC用ソフト『ロックマン』『ロックマン2 Dr.ワイリーの謎』『ロックマン3 Dr.ワイリーの最期!?』を、グラフィックを一新して1つのソフトにまとめた、メガドライブ作品。
Dr.ワイリーがタイムマシンを使って過去の世界にさかのぼってロボットを復活させて暴れ始めたため、ロックマンがDr.ライトの開発したタイムマシンを使って過去の世界に旅立つという設定。
更に『1』『2』『3』を全てクリアすると、新たに「ワイリータワー」というオリジナルステージに挑戦できる(後述)。
開発はGBの『ロックマンワールド』シリーズ(『2』を除く)を手掛けた、水口(みなくち)エンジニアリング。
原作からの変更点
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各作品での仕様が統一された(スライディング除く)。
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ファミコン版『ロックマン1』のみの仕様がいくつか変更されている。
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『ロックマン2』以降と同様に、敵からダメージを受けた直後の無敵時間中(半透明状態)であれば、トゲに触れてもミスしなくなっている。
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水中でも浮力が生じてジャンプ力が上がる。
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ステージに設置してある回復アイテム等は、取得してもファミコン版ではいったん画面をスクロールアウトして戻ってくるとまたその場に復活していたが、この仕様も『2』以降のものに変更され、ゲームオーバー後に再び入り直さなければ取得できなくなった。
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『2』では、ゲームオーバーになっても所持していたエネルギー缶が失われず、『3』と同様の仕様に変更されている。
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ボスの被弾後の無敵時間が、『3』の長さに統一。『1』『2』のボスにダメージを与えにくくなった。
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一部ボスの耐久力も変更されている(詳しくは後述)。
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ハシゴの昇降速度なども統一。『2』と『3』の中間的な速度に変更。
評価点
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ボリューム面
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『1』『2』『3』の全てを収録した1本のソフトとなっている。
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追加ステージ「ワイリータワー」
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複数のボスから任意に選んで攻略していき、全部攻略するとワイリーステージに挑戦できるという点は「ワイリータワー」でも同様。なお、操作感は『3』をベースにしている。
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「ワイリータワー」では、『1』『2』『3』の全ての特殊武器から8つ、サポートアイテムから3つ、それぞれ任意に選択して挑戦する事が出来る。
どの武器を選んでも詰んでしまう事はないが、特定の武器が無いと取れない隠しアイテムや、解禁できない近道等もあるため、装備の取捨選択が重要となる。
また収録作品の特殊武器から任意に選択出来るという点は、要するに「各種作品における特殊武器のいいとこ取りでプレイが可能」という事でもある。だが、逆に言えば武器の任意選択は「オリジナルで猛威を振るっていた装備を意図的に外せる」ということも意味していて、あえて使いにくい装備ばかりを選んでゲームを進める事も出来る。
総括すると「ワイリータワー」での特殊武器による戦略の幅の広さは、ファミコン版を遙かに越えていると言っても過言では無いだろう。
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ただし、追加された3体のボスからは特殊武器を手に入れることが出来ない。
追加ボスである「メガワールドナンバーズ」はそれぞれ「如意棒を伸ばす」「水を勢い良く噴射する」「ライフゲージが2本あり、口から息を吐きつつ弾を発射する」等、攻撃自体が非常に個性派揃いだった事から、「新規ボスを追加するのなら、『ロックマンワールド』の様に新たな特殊武器も追加して欲しかった」という意見も少なくはない。
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ステージ数が他作品と比べると少ないという難点もあるものの、この存在は「ロックマンシリーズに慣れ親しんでいながらも本作未プレイ」という人にとってはかなり魅力的に映った。
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ステージの雑魚敵やギミックは『1』『2』『3』からの流用。
3ボスステージはそれぞれの作品のキャラクターが混在していて、さながら『ロックマンワールド』シリーズの様な味わいの作り。
その一方でワイリーステージに入ると、一作品の敵・ギミックのみで構成されたステージに変化する。こちら側は様々なゲームの移植・リメイク版で実装されている「追加レベル」の様な旨のステージに。
これらの事から、「ワイリータワー」は一粒で二度美味しいステージ構成になっていると言えよう。
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また、「ワイリータワー」のBGMの評価は概ね高い。
というのも、『1』『2』『3』はあくまでもファミコン版からの移植という事で楽曲の方はメガドライブ音源での「アレンジ」で構成されているが、一方「ワイリータワー」では、ほぼ全ての楽曲があらかじめメガドライブ音源の使用を前提とした「書き下ろし楽曲」である事から、それぞれの楽曲が対照的に感じられてしまうためだと思われる。
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グラフィックの向上
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ファミコンからメガドライブへ、一世代上のゲーム機へ移植されるにあたり、グラフィック関連の全てが描き直された。
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キャラクターには、中間色が多く使われるようになった。
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FCでは表現しきれなかったステージの背景なども精細に描き込まれ、雰囲気を向上させている。
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加えて、ファミコンではハードの都合上、黒い背景を使わざるを得なかったイエローデビルやメカドラゴンといった大型ボス戦の多くで背景が追加されており、ある意味ではハードの進化を実感させられるポイントの一つと言えるだろう。
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タイトル画面やエンディングムービーのイラストも、全て描き直されている。原作のポップな絵柄と比較すると、同時期に製作された『6』に近いスタイリッシュな絵柄になっている。
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全体的なスピードの下方修正
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雑魚・ボス全てを含めた敵の行動スピードが全体的に鈍くなり、難易度が下がった。
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もともと原作は難しい部類に入るゲームだったため、良調整といえる。
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ただ、一部の例外はある(問題点を参照)。
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セーブ機能の搭載
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ナンバリング3作品とワイリータワーのそれぞれのクリア状況を、3つまでセーブできる。
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原作では、パスワード制の『2』『3』はともかく、『1』は続きからプレイする機能が皆無だった。
賛否両論点
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原作とは異なるアクション部分の変化
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前述の変更点のうち、「『1』でトゲの上を無敵時間でゴリ押しで進めるようになった」という利点だけではなく、「ロックバスターのみだと今まで楽に倒せてたボスが硬くなった」という難化調整も見受けられる。
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スライディングを『1』『2』でも使用可能にするといった元のゲーム性が大幅に変化するものこそないものの、「オリジナルよりも歯ごたえがある」、「3作のオムニバス移植としては微妙」といった評価も挙げられる。
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耐久力の調整
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強くなったり弱くなったり様々だが、一番目立つのは一部ボスのロックバスターに対する耐久力の向上。
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特に『1』のカットマン、『2』のフラッシュマンやクイックマンの耐久力が上がり、難敵になった。
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一部の雑魚敵の特殊武器に対する耐性も変化している。これにより特殊武器の使い勝手がファミコン版と若干異なっている。
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一部の特殊武器の仕様変更
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『3』の「タップスピン」は、ファミコン版では攻撃を当てるとロックマンが弾かれる特性があったが、この特性が無くなった事により使い勝手が向上している。
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一方で「マグネットミサイル」はどういうわけか敵が放った弾以外の武器にも反応してしまう。これによりマグネットミサイルを弱点とするハードマンが異様に倒しづらくなっている。
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「ニードルキャノン」の性能はファミコン版と変わりがないが、ロックバスターの下方修正に伴い、相対的にニードルキャノンの価値が上昇した。
問題点
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ロックバスターの仕様の変化
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弾速と連射のレスポンスが低下。もともと1度に3発しか画面上に出ない仕様のため、連射しにくくなった。また連射速度にも制限がつくようになり、ある程度の間隔でしかボタン入力を受け付けなくなってしまったため、相対的に、耐久力のある雑魚敵が倒しにくくなった。
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この難点はボス戦でも顕著で、上記の通り『1』『2』のボスの無敵時間がファミコン版より長くなってしまったのも要因となり、倒すのに時間が掛かるようになった。
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音源の違いによるBGMやSEの変化
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FM音源によるBGM。FC版のBGMと比べると、音色やテンポなどに相当な違いがある。原曲再現というよりもアレンジに近く、音数が増えて豪華になった反面、全体的にシャープさが無くなった感が否めない。
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『1』『2』『3』のBGMに関してはかなり賛否両論。
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良アレンジと称されたり、劣化アレンジと称されたり、曲目によってもかなり印象に差がある模様。
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例えば『2』の場合は、クイックマンステージはイントロが大幅改変され疾走感の無いもっさりアレンジだったりバブルマンステージは楽曲ループが不自然な点が批判されている。その反面、エアーマンステージやワイリーステージ1等は原曲をメガドライブ向けにバージョンアップした様な作りで好評を得ていたり…と言った具合。
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『3』のワイリー城MAPとブルースの口笛ロングバージョンはファミコン版と違い、途中で同じフレーズを繰り返すだけのループに入ってしまう。
ファミコン版でもこの2曲はある方法を使わない限り最後まで聴けないので大した問題点ではないと思いきや、前者はワイリー城MAPの表示時間が長く設定されている関係で問題が浮き彫りに。
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基本的にファミコン版の全曲が収録されているが、何故か『1』のワイリーマシン1号撃破時のファンファーレがカットされている。
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一聴してわかる採譜ミスから、よく似たフレーズ(同一ではない)をコピペで済ませてしまう、同一フレーズであってもコピペの範囲指定を間違えたのか1小節多い・少ない、果ては耳コピを諦めたとしか思えないメチャクチャな打ち込みなど、プロ意識を疑う低品質な仕上がりが目立ってしまっている。そのため「良アレンジ」と、上記のような「手抜き仕事」が大半を占め、「アレンジを頑張っているのは認めるが方向性が悪い」という純粋な劣化アレンジの数自体は実のところ多くない。
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SEはほぼ一新されているが、こちらはあまりいい評価を得られていない。特にダメージ音は違和感がすさまじい。
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処理落ち
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メガドライブ実機版では頻繁に処理落ちが発生する。FC版でも処理落ちは随所に発生するが、本作はその比ではない。
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特にボス戦が顕著。これにより、相対的に大半のボスが弱体化している。
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逆にFC版で異常に処理落ちが発生していた場面でも、非常にスムーズに進んだりする。
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ワイリータワー後半の対バスターロッド・G戦では、常に処理落ちしている酷い状態だが、落下する足場を乗り移りながら戦うという特殊戦となっているため、わざと処理落ちさせてバランス調整しているのではないかという意見もある。
総評
もともと名作と名高いファミコンソフト3作が1本にまとめられており、グラフィックの向上はおおむね好評、セーブ機能でより便利に、さらに追加要素「ワイリータワー」もあるという事を考慮すると、間違いなく凡作以上の存在である。
だが、移植作と考えると首をひねってしまう仕様変更が多く、どちらといえば純粋な移植ではなくアレンジ移植に近い出来である。
特にロックバスターの仕様変更は大きく、連射したくてもできないという仕様は原作の爽快感を大きく損ねてしまっている。
その他、自キャラの挙動にも多少の変更が加わっているなど、ゲーム性やその他の面含め、FC版に慣れていた人ほど違和感を覚えやすくなっている。
ゆえに原作をやりこんだプレイヤーより、ロックマンシリーズに初めて触れる新規プレイヤー層に向いているのかも知れない。
また「ワイリータワー」は前述の通り非常に良く出来ており、他ではプレイできない本作のみの要素ということもあり、これだけのためにプレイする価値はあると言えよう。
余談
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VC等による配信の予定が無かったこともあってか、中古価格が非常に高い。
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2019年9月時点では(メガドライブミニ収録のニュースが報じられた後にもかかわらず)、とある大手チェーン店では美品中古が22,000円、状態に難ありで14,000円という価格が付けられている。
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2019年9月発売のメガドライブミニに収録され、待望の復刻となった。
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収録に際し、テラドライブを用いて10MHzで動作させた時の状態を再現しており、前述の処理落ちが修正されたバージョンになっている。このため「実機では難なくクリアできたボスも苦戦するようになった」なんてことも。
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2016年『1』~『6』を収録した『ロックマン クラシックス コレクション』が発売された。
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複数の現行機種で発売されておりDL版もあるため、『1』~『3』をそのままの操作感で遊びたいなら本作よりこちらのほうが手軽である。
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オープニングで見られる全キャラ集合アートは、もともと別に描かれた版権イラストが存在している。
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当時のカードダスで確認可能。
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元のイラストでは『ロックマンワールド』のエンカーも揃っていたのだが、本作には登場しないため省かれている。
最終更新:2024年08月05日 01:35