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ドラちゃん - (2021/10/04 (月) 08:29:07) の編集履歴(バックアップ)


ドラちゃん

【どらちゃん】

ジャンル アクションゲーム
対応機種 アーケード
発売元 クラール電子
開発元 アルファ電子
発売日 1980年
判定 クソゲー
ポイント 堂々と著作権を侵害した商業作品
ドラえもんである必要性皆無
単体のゲームとして普通にクソゲー
ドラえもんシリーズ


概要

のちに名作アーケードゲーム『クラッシュローラー』をリリースすることで有名になったクラール電子が発売したアーケードゲーム。
『クラッシュローラー』と同様に開発自体はアルファ電子(後のADK)が行っている。


問題点

『ドラえもん』の無許可使用

  • 小学館に無許可で『ドラえもん』の版権を使用している。
    • 本作は名前で分かるとは思うが、ドラえもんの登場するゲームである。
      • しかし本作はあろうことか、事前に小学館の了承を得ずに勝手に製作しリリースまでされている。
    • ちなみに1980年は、初の映画作品・大長編『ドラえもん のび太の恐竜』が公開された年でもある。
  • 音楽まで無断で使用されている。
    • 本作はステージクリアするごとにボーナスステージが現れるが、そこでは『ドラえもんのうた』が(当時の技術ゆえ、音楽のみで歌は無いものの)超大音量かつ超スローで流れてくる。
      • 一度だけハートを画面下から発射してドラえもんに当たるようハートを左右に操作するというつまらないボーナスステージの内容と相まって、プレイどころか見ているだけでイヤな気分になってくることうけあいである。
      • 音楽はゲームを盛り上げる重要な要素である。せめて『ドラえもんのうた』を流すとしたら、アップテンポにした明るい曲調にアレンジしてステージ中で流してくれれば、それだけで本作の印象は多少異なったものとなっていたかもしれない。
    • もっとも、音楽を含めた著作権への意識の低さは当時のゲーム業界全体の風潮であり、同年の『クレイジー・クライマー』やエレメカ『国盗り合戦』でも『ドラえもんのうた』が使用されていた。これらは基本的に裁判沙汰にこそはならなかったものの、移植版では当然の如く音楽が変更されている。

理解しがたいゲームシステム

  • ゲームシステムがドラえもんである意味、必要性がない。
    • レバーで車を東西南北に動かして敵から逃げながらドットを集めて画面上部の赤い壁に付いたトゲを取り除き、トゲがなくなって赤い壁にあいた穴を通れるようになったらドラえもんに体当たりしてステージクリア。…以上
      • やる事は本当にこれだけで、ひみつ道具を使ったり、のび太達が登場したりといった、ドラえもんならではの要素は一切ない。オリジナルでは駄目だったのだろうか。
      • しかもこの車のグラフィックは、セガの名作『ヘッドオン』のそれに酷似している。
    • ステージにいる敵キャラは、本作オリジナルの犬や猫や猿といった動物であり、絵柄も藤子不二雄タッチではない。 ドラえもんの天敵であるネズミすら出てこない
      • この敵キャラクターのデザインは、後に『クラッシュローラー』の主人公をイカに変更したマイナーチェンジ版『コロスケローラー』でもカラー化され、背景に流用されている。
      • それだけならまだしも、これらの敵は動きが妙にトリッキーで先を読みにくく、おまけに縦への移動がなぜか8ドット単位で急に動くという雑な仕様なため頻繁にぶつかりやすい。
    • また、本作では敵を倒す唯一の方法として不定期に現れる点滅したドットを取る方法があるが、その際はなぜか蛇が画面上からやってきて接触した敵を食べて消すという意味不明なもの。何故こうなったのだろうか?

評価点

  • ドラえもんのグラフィックは1980年という時代にしては良くできている。
    • また、基板には日本語フォントのデータが用意できるほどの容量を確保できない時代にも拘らずタイトル画面で複数の球体を並べて「ドラちゃん」と日本語表記しているのも芸が細かい。尤も、それならば肝心のゲーム内容の方にも力を入れろと言わざるを得ない出来であるが。

総評

リリースされた当時は1983年のパックマン事件を発端とした1985年の著作権改正によるプログラムの著作権保護が明文化される前だった事もあり、業界全体においては著作権の概念や法規意識が浸透していなかった時期であった。
しかし、発生した当時から著作権に厳しい姿勢をとっている小学館の、それも随一の人気と知名度を誇る作品を無許可で使うというのは、やはり大問題である。
著作権を脇に置いて単体のゲームとしてみたとしても、「ドラえもんのゲーム」としても「アクションゲーム」としても中身がスカスカな子どもだましの内容でしかない。

結果としては、当然と言えば当然ではあるがクラール電子は小学館に訴えられ、本作のアーケード基板はそのほとんどが回収処分されることとなってしまった。
今では稼動している機体を拝む事はほぼ不可能であろう、幻のクソゲーである。


余談

  • 本作のマイナーチェンジ版の基板として、のちに『ドラミちゃん』が少数製造された。
    • しかしそちらは製造枚数が本作よりさらに少ないことに加えクラール電子が訴えられたことにより基板はほぼ全て回収処分、現在では全くと言って良いほどお目にかかれないものとなっている。
  • 本作でのマイナスイメージを払拭しようとしたのか、後に発売された『クラッシュローラー』以降に発売されたクラール電子のクレジットは「CRAUL DENSHI」から「KURAL TWT」へ、さらにその続編である『コロスケローラー』以降は「KURAL ELECTRIC LTD」へと表記を変更している。

プレイ動画

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