ドラちゃん
【どらちゃん】
| ジャンル | アクションゲーム |  | 
| 対応機種 | アーケード | 
| 発売元 | クラール電子 | 
| 開発元 | アルファ電子 | 
| 発売日 | 1980年 | 
| 判定 | クソゲー | 
| ポイント | ドラえもんである必要性皆無 単体のゲームとして普通にクソゲー
 | 
 
概要
のちに名作アーケードゲーム『クラッシュローラー』をリリースすることで有名になったクラール電子が発売したアーケードゲーム。
『クラッシュローラー』と同様に開発自体はアルファ電子(後のADK)が行っている。
本作は国民的キャラクター『ドラえもん』を題材としているが、あろうことか版元の小学館に無許可で発売され、裁判の末に回収処分となった(詳細は「余談」を参照)。それゆえ現在では幻のゲームと言われることも多い作品である。
ゲーム内容
- 
4方向レバーで車を東西南北に動かす。ボタンで加速が可能。
- 
追ってくる敵から逃げながらドットを集めて画面上部の赤い壁に付いたトゲを取り除く。
- 
するとトゲがなくなって赤い壁に穴があき、その隙間を通れるようになる。その後ドラえもんに体当たりしてステージクリア。
- 
ステージクリアごとにボーナスステージが登場する。一度だけボタンでハートを画面下から上向きに発射してドラえもんに当たるようハートの軌道を左右に操作するというもの。
 
- 
ステージにはたまに点滅ドットが現れる。これを取ると蛇が現れ、敵を一体食べてくれる。しかし蛇は敵を食べると消滅するため、複数の敵を倒したい場合は複数点滅ドットを取る必要がある。
- 
5000点到達でエクステンドとして残り機体が1ふえる。
 
問題点
単調かつ理解しがたいゲームシステム
- 
本作はステージが1種類しかなく、敵キャラも犬・猫・猿の3種類あるが追尾アルゴリズムはどれも同じである。
- 
そのためゲーム後半はワンパターンになりやすく、飽きやすい。同年発売『ドラキュラハンター』のように戦略性を持たせたシステムでもなければ、同じく1980年『クレイジー・クライマー』のようにとっさのアドリブ操作がものをいう作品としても完成度が低い。
- 
それだけならまだしも、これらの敵は動きが妙にトリッキーで先を読みにくく、おまけに縦への移動がなぜか8ドット単位で急に動くという雑な仕様なため頻繁にぶつかりやすい。
 
 
- 
敵を倒すのが運ゲーですぐに詰み、ゲームバランスが完全に崩壊しており劣悪である。
- 
特徴の欄にもあるように、本作で敵を倒す唯一の方法は不定期に現れる点滅したドットを取ること。しかしその演出はなぜか蛇が画面上からやってきて接触した敵を食べて消すという意味不明なもの。何故こうなったのだろうか?
- 
そして本作はステージクリアで敵の数が一つ増えるという特徴があり、この蛇が攻略に重要である。
- 
最低でも1ステージにつき1体蛇に敵を食べさせる事をステージ毎にしておかないと、後のステージでは敵が4~6体ほど平気で現れてすぐ囲まれる。つまり詰む。
- 
しかし蛇を呼ぶための点滅ドットは出現する場所もタイミングも完全ランダム。そのためドラえもんに体当たりするまでどうにかして点滅ドットを取れないと詰む。
- 
取れそうな位置に点滅ドットが出現したら取りに行きたいのだが、先にも述べたように敵の動きはトリッキーかつ急に8ドット単位で縦移動する。そのため自機が斜め移動できないのも相まって敵にぶつかり、詰む。
- 
加えて、運よくドットを取れたとしても、蛇の横座標も完全ランダムである。そのため仮に蛇がきた所で「蛇と敵キャラの座標がずれて食べられない」という現象が起きるため詰む。
- 
「なら時間をかけて待機すれば…」と画面の前のあなたは思うだろうが、本作は永久パターン対策として時間制限がある。そのためずっと点滅ドットを取らずにいると自機が爆発してやり直しであるため詰む。
- 
このようにゲームバランスは完全に崩壊しており、一度ピンチに陥ったが最後、個人の実力や技量で持ち直すことが不可能なクソゲーとなっている。
 
- 
また点滅ドットに自機を重ねるとそれだけで何重にも取得スコアが入る仕様(バグ?)もあり、残機が増える。作り込みの甘さも目立つ。
 
ドラえもんを題材にする必然性が皆無
- 
無断使用してまでドラえもん素材を使っている割に、ここまで記してきた通りゲームシステムにドラえもん的要素は一切ない。
- 
ステージにいる敵キャラは本作オリジナルの犬や猫や猿といった動物であり、絵柄も藤子不二雄タッチではない。ドラえもんの天敵という設定のネズミも出てこない。
評価点
- 
ドラえもんのグラフィックは1980年という時代にしては良くできている。
- 
また、基板には日本語フォントのデータが用意できるほどの容量を確保できない時代にタイトル画面で複数の球体を並べて「ドラちゃん」と日本語表記しているのも芸が細かい。
 
- 
制限時間が来ると自機が強制的に爆発する仕様であり永久パターン防止の役割が機能している。
- 
赤い壁を越えるとドットは復活するため、「ドラえもんに体当たりするまでいくつドットを取れるか」というやりこみ要素を見いだせる。
総評
「理解しがたいゲームシステム」「劣悪なバランス」「ドラえもんにする必然性が皆無」と、ドラえもんのゲームとしてもアクションゲームとしても中身がスカスカな子どもだましでしかなく、80年代最初期のゲームということを考慮しても酷い作品であることは否定できない。
諸事情からほぼすべての基板が回収処分されてしまったため、今では稼動している機体を拝む事はほぼ不可能であろう、幻のクソゲーである。
余談
- 
リリースされた当時は1983年のパックマン事件を発端とした1985年の著作権改正によるプログラムの著作権保護が明文化される前だった事もあり、業界全体においては著作権の概念や法規意識が浸透していなかった時期であった。
- 
実際、音楽を権利者に無断でBGMに使用している作品は本作以外にも散見されているが、発生した当時から著作権に厳しい姿勢をとっている小学館の、それも随一の人気と知名度を誇る作品そのものを無許可でゲーム化したという事実は時代を鑑みてもやはり大問題である。
- 
結果としてクラール電子は小学館に訴えられ、上述の通り本作のアーケード基板はそのほとんどが回収処分されることとなってしまった。
 
- 
本作のマイナーチェンジ版として、のちに『ドラミちゃん』が少数製造された。
- 
しかしそちらは製造枚数が本作よりさらに少ないことに加えクラール電子が訴えられたことにより基板はほぼ全て回収処分、現在では全くと言って良いほどお目にかかれないものとなっている。
 
- 
本作でのマイナスイメージを払拭しようとしたのか、後に発売された『クラッシュローラー』以降に発売されたクラール電子のクレジットは「CRAUL DENSHI」から「KURAL TWT」へ、さらにその続編である『コロスケローラー』以降は「KURAL ELECTRIC LTD」へと表記を変更している。
プレイ動画
最終更新:2024年05月19日 10:13