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Marchen Veil I/II - (2020/02/10 (月) 20:18:12) の編集履歴(バックアップ)
このページでは、『Märchen Veil I』及びその続編である『Märchen Veil II』(いずれも判定は「不安定」)を取り扱う。
Märchen Veil I
【めるへんう゛ぇーる わん】
ジャンル
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ARPG
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対応機種
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PC-8801,PC-8801mkIISR,PC-9801,X1,FM-7,MZ-2500,MSX,MSX2,ファミリーコンピュータディスクシステム
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メディア
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フロッピーディスク、1MbitROMカートリッジ(MSX)、ディスクカード(FC)
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開発元
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システムサコム
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発売元
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システムサコム、ソニー(MSX2)、サン電子(FC)
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発売日
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1985年
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定価
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7,900円
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プレイ人数
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1人
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配信
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プロジェクトEGG 【PC-8801】2020年2月4日/無料 【PC-9801】2006年6月23日/1,500円 【MSX】 2015年12月8日/700円(全て税抜)
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判定
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ゲームバランスが不安定
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概要
PC黎明期に発売されたアクションRPG。
童話的な世界観とストーリー重視の構成で、同社の「ノベルウェア」シリーズの源流ともいえる作品。
ストーリー
フェリクスの国の王女の花婿選びが行われ、湖の国の王子と美しい若者に姿を変えた魔法使いの2人が最後に残りました。
王女は湖の国の王子に心を奪われますが、それを知った魔法使いは自分が王子に成り代わり王女を手に入れようと企みました。
魔法でフェリクスの国の果てへと飛ばされた王子は、目を覚ました時、魔物の姿になっていたのです。
王女から貰った魔法の腕輪「アルミラ」があれば自分を本物だとわかってくれると信じ、王子は風によって運ばれてきた愛用の魔剣アキナケスを手に帰り道を知るという海の神ネプトゥーヌスに会う冒険に出かけます。
システム
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ゲームの進行は基本的にシーン開始時にビジュアルシーンが流れて状況説明を終えた後、アクションシーンが開始。
クリア条件を満たすことによってシーンクリアとなり、次のシーンへ進むことになる。
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アクションシーンでの攻撃手段は剣から発射される魔法弾。入手した武器により攻撃力と連射力が変化する。
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なお、主人公は攻撃をしていないときは腕輪の魔力により正面からの飛び道具攻撃を防御可能。攻撃時には主人公の左側からの飛び道具攻撃を防御可能。
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フィールドには崖がいたるところに存在し、転落してもダメージはないが2秒以内にスペースキーを6回押さないと落下してゲームオーバーとなる。
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また、一部には侵入すると本当に即死するトラップも存在する。
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道中で得られたアイテムはキャンプモードで確認可能だが、キャンプモードは決められた地点でのみ実行可能。
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敵を倒すとパワー(HP)の最大値がアップしていく。
評価点
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秀逸なシナリオ。
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作りこまれたメルヘンチックな世界観と西欧神話風の切なく悲しい物語は当時のプレイヤーをつかんで離さず、女性受けもかなり良かった。
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当時としては非常に美麗なグラフィック。
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絵本調の色使いのゲームグラフィックはどれも非常に美麗。童話的で親しみやすく、女性ファンも多く獲得している。
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シーンクリアごとに入るビジュアルシーンも非常に美麗で、まるで絵本を見ているかのような感覚を呼び起こしてくれる。
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秀逸なBGM
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BGMはクラシックのアレンジが多いものの、どの曲も本作の雰囲気に非常にマッチしており、音色の美しさも相まって非常に評価が高い。
問題点
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アクションシーンの難易度が非常に高い。
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主人公の移動速度は非常に遅く、歩くだけでも相当にストレスがたまり、ゲームのテンポはあまりよくない。
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攻撃も4方向に行えるとはいえ射程は画面端まで届くというわけでもなく、敵は斜め方向にも容赦なく攻撃を仕掛けてくるために防御も困難。また、剣から出る弾はプレイヤーの中心部分の大きさしかなく、しっかり真正面にラインを合わせないと当たらない。
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フィールドの道も細い箇所が多く、あまりにも遅いためにキーを押しすぎて崖からの転落をしばしば引き起こしていた。
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回復はアイテムの取得もしくはシーンクリアのタイミングでしか行えず、回復アイテムも有限かつ回復量も多くないため、基本的にはかつかつの状態が続く。
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アイテムの確認、セーブの実行も特定のポイントでしかできず、この点でも非常に厳しい。
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セーブには消費アイテムが必要なうえに一度に1つしか持てないため、この点でも余計に敷居を上げてしまっている。
総評
絵本の中にアクションシーンを組み込んだ構成は当時としてはかなり斬新で、開発者がシナリオを見せるためにとビジュアルシーンに凝ったゲーム構成はのちのゲーム制作に大きな影響を与えた点は評価できる。
ただ、当時のゲームの風潮で高難易度ほど良いという風潮があったがために肝心の難易度が対象のターゲットにマッチしておらず、万人向けの作品に仕上がっていないという批判は免れない作品となってしまった。
もう少し難易度調整がうまくいっていれば万人向けの作品となっていたと思われるだけに惜しい作品。
機種ごとの違い
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PC88版
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PC98版
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移植版の中では唯一のメッセージが漢字かな交じりの文で構成。システムサコムが発売していた音源ボードAMD-98に対応。
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MSX版
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メッセージはひらがなカタカナ表記。パスワードコンティニュー制。
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MSX2版
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FCD版
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メッセージはひらがなカタカナ表記。セーブがアイテムなしでも可能でセーブスロットは3つ。主人公のアクション動作にジャンプが付加され、機動力の高さも相まってアクションの難易度は低い。
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マップ構成は他機種版とは異なる点が多く、ビジュアルシーンはハードウェアの表現の都合上、キャラクターの操演で行われる。
Märchen Veil II
【めるへんう゛ぇーる つー】
ジャンル
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ARPG
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対応機種
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PC-9801
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メディア
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フロッピーディスク
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発売・開発元
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システムサコム
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発売日
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1986年6月14日
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定価
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7,900円
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プレイ人数
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1人
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配信
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プロジェクトEGG 【PC-9801】2002年2月25日/600円(税抜)
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判定
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ゲームバランスが不安定
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概要(II)
前作のストーリーからの完結編。
システム(II)
アクションシーンの基本的な操作については前作と同様のシステムではあるが、目立ったシステムの差異は以下の通り。
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敵は本作では無限に沸くことはなくなり、小型敵は4回、中型敵は1回倒すと再発生しなくなる。
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シーンの構成はスクロール画面で構成される地上フィールドと画面切り替え方式で構成されるダンジョンの2方式が用意された。
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装備品の変更の概念が追加。アイテムメニュー画面もフィールド画面で自由に参照可能になった。
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セーブもメニューが開ける場所であれば任意に行えるようになった。
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各シーンに大型のボス敵が配置された。また、ボス戦においては魔法を使用することが可能。
評価点(II)
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主人公の移動レスポンスの改善によるアクションゲームとしての質の向上。
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前作は非常に移動速度が遅かったものの、本作は大きく改善されており一般的なアクションRPGに近い感覚で楽しめる。
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マップが広くなっており、ゲーム的なボリュームが増量。
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総シーン数も増えており隠しシーンもあるなどやりこみ要素もあり、加えてシーンの攻略自由度も上がっている。
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大型のボス敵の追加により、アクションゲームとしてのメリハリも追加された。
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前作に引き続きBGMの完成度は高い。
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前作同様クラシックからのアレンジは多いものの、どの曲も雰囲気にマッチしており好評。
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前作で対応していたAMD-98音源に加え、NEC標準のFM音源ボードにも対応。
賛否両論点(II)
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グラフィックのモードが変わったことによる変化
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前作のPC98版は640x400の高精細モードで描かれていたグラフィックが本作ではスクロールを実現するために解像度を640x200に落としているため、前作に比べてやや童話的な雰囲気が薄れてしまった感がある。
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全般的にキャラのサイズが大きくなったために状況判断がしやすくなったためにアクションゲームとしては一概に欠点とはいいがたい。
問題点(II)
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相変わらず高い難易度
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主人公の機動性は上がったものの敵の攻撃はそれ以上にいやらしさを増しており、アクションシーンの難易度の高さは相変わらず。
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序盤はストーリーの都合上、盾に相当するアイテムが初期段階で使えないのも地味に痛い。
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シーンのフィールド構成やシーン間のつながりが前作よりも複雑化しており、後半のシーンは見えない壁や落とし穴が多いため一筋縄ではいかない。
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村人からの情報収集といった要素も皆無のため、攻略情報の糸口をつかむのも難しい。
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ビジュアルシーンの大幅な削減
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攻略自由度が上がったのと引き換えだと思われるが、前作で好評を博したゲーム中のビジュアルシーンが中盤に1つだけになってしまった。
これによりシナリオ内の状況説明が難しくなり、シナリオ的な盛り上がりが前作に比べ弱くなってしまっている。
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ビジュアルシーンは攻略の手掛かりとなる情報も盛り込まれている構成のゲームであっただけに、情報収集の面でもつらい。
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本作がPC98のみでしか発売されていない。
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発売されたハードが当時ビジネス系の16bit高級機であったPC98のみであるため、結局真の結末を見れないプレイヤーを多数生み出すことになってしまった。
総評(II)
前作でやや弱かったアクションゲームとしての完成度を向上させ、ゲーム的なボリュームも増したコンセプトで作られた作品。
だが難易度が主人公の機動力向上に合わせて余計に向上してしまった上に前作の大きな売りであったビジュアルシーンの削減が厳しく、前作の良さが若干スポイルされている面は否めない。
ゲームの基本的な完成度は上がっているだけに、もう少し前作の良さを追求してほしかったところである。
余談
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IIの発売後にもIII,IVまでの続編の構想があったが、残念ながら実現することはなかった。