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真・女神転生IV - (2019/02/14 (木) 04:22:59) のソース

*真・女神転生IV
【しん・めがみてんせい ふぉー】
|ジャンル|RPG|&image(http://ecx.images-amazon.com/images/I/51m8FZOsXJL.jpg,height=160)&image(http://ecx.images-amazon.com/images/I/717X1piI%2BeL._SL1000_.jpg,height=160)|
|対応機種|ニンテンドー3DS|~|
|メディア|2Gbyte3DSカード|~|
|発売・開発元|アトラス(インデックス)|~|
|発売日|2013年5月23日|~|
|定価|6,648円(税別)|~|
|レーティング|CERO:C(15才以上対象)|~|
|廉価版|アトラス・ベストコレクション/2015年10月8日/2,980円(税別)|~|
|配信|2013年05月23日/6,000円&br;2015年10月8日/2,980円(共に税別)|~|
|判定|なし|~|
|ポイント|約10年ぶりのナンバリングタイトル&br;メガテンとしては……?|~|
|>|>|CENTER:''[[女神転生シリーズリンク>女神転生シリーズ]]''|
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#contents(fromhere)
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**概要
-グレゴリ歴1492年。東のミカド国に住む主人公はある日、二人の少年と一人の少女に出会う奇妙な夢を見た。夢から覚めると、幼馴染とともにミカド国に伝わる「ガントレットの儀式」を受け、これに合格してサムライ衆の一員となる。主人公と同じくサムライ衆になった者の中には、夢で会った二人の少年の姿があった。そして主人公の日常は非日常へと大きく変わっていく。
-実に約10年ぶりのナンバリングタイトル。新規悪魔デザインに特撮スタッフを起用、シンボルエンカウントの導入、キャラクターボイスなど革命とも言える試みを多く盛り込み、新しい世代の製作陣による新しい女神転生ということを感じさせる要素が多い。
--一部『[[真・女神転生 STRANGE JOURNEY]](以下SJ)』と共通点が見られるが、直接的な繋がりはない。

**特徴
-ダンジョンは『SJ』のような一人称視点の3Dダンジョンではなく、昨今のペルソナシリーズや前々作真3と同様に三人称視点の3Dフィールドで表現され、戦闘はシンボルエンカウント方式。攻撃を当てて戦闘に突入すると先制、逆に敵シンボルに先に接触されたり、後ろから接触されると先制を受ける事になる。
--前作からの変更点として、敵の先制攻撃を受けてもクリティカル(ダメージ増加・行動数ボーナス)は発生しない。これにより前作のエンカウントで多々見られた「どんなに強化しても即死する可能性がある」ということが少なくなった。
--エンカウントを抑えるエストマは「エストマソード」となり、3Dフィールドでは敵シンボルに攻撃を当てなければ戦闘を回避することは出来ない
-仲間は基本的にはヨナタン、ワルター、イザボー((それぞれロウヒーロー、カオスヒーロー、ヒロインの立場。))の3人。同行中はパーティには加わらないものの、戦闘時にはランダムで一人がターン終了時に援護をしてくれる。
-バトルは『[[真・女神転生III NOCTURNE]]』と同様のプレスターン制。今作では更に相手の弱点を突く、クリティカルを決めるなどした際にキャラが「ニヤリ」と笑う場合がある。ニヤリ状態になったキャラは次にターンが回ってくるまで弱点無効、回避率の大幅上昇などの恩恵がある。更にパーティ全員がニヤリ状態になるとHP・MP共に全回復。
--発生はランダムであり確率を上げるという事はできない。敵にも同様にニヤリが発生するので、これを連発されるとかなり厳しい。
-悪魔召喚システム、邪教の館などは全てガントレットと言われる籠手型のデバイスにバロウズアプリとしてインストールされており、これが過去のシリーズで言うCOMPに該当する。
--レベルアップ(またはアイテムの使用)で獲得できるポイントを利用し、追加アプリをインストールすることで様々な恩恵を受けることができる。悪魔との交渉のバリエーションを増やしたり、スキル枠や悪魔召喚枠の拡張、レベルアップ時の強化量アップなど様々。
-すれちがい通信はデジタルデビルサービス(DDS)というアプリの一種として位置づけられており、他プレイヤーとカードの交換が行われる。
--カードは白と黒の2種類から選択、更に仲魔を一体添付することが可能。白カードですれ違うと添付した仲間のステータスアップ&アイテム獲得。黒カードの場合、悪魔が無差別合体&アイテム獲得となる。登録中の悪魔は召喚や合体ができなくなるので注意。
--すれ違った相手の悪魔は12体までストックされ、一度だけ戦闘中に一斉に呼び出すことができる。援軍の攻撃は万能属性の為ボスキャラを含めほとんどの相手に有効。
-ストーリーと関わりのないサブイベントはチャレンジクエストと呼ばれ、その数は実に100種以上。主に指定のアイテムを納品する「納品クエスト」と、指定の悪魔を倒しに行く「討伐クエスト」の2つ。報酬は初回に比べダウンするものの繰り返し受注できるものもある。
-マッカ(お金)の入手法は、ダンジョン内の採取ポイントに落ちている「遺物」の売却がメインとなる。戦闘終了後に敵から入手する事はない。遺物の価値はレア度によって様々。採取ポイントは一定時間経過後に回復するので繰り返し採取可能。
--これらの遺物は、解説文に主人公から見てどう見えるのかが記載されており、ラグジュアリーズがどのような生活をしているのか垣間見ることができる。
--また、戦闘時に交渉会話アプリ「ファンド」で敵からマッカを入手することもできる。


**評価点
-スキル継承、悪魔合体システムの改善。
--悪魔合体のスキルの継承が選択式になり、目的のスキル持ちが出来上がるまで何度もキャンセルするという事が無くなった。
--仲魔が全てのスキルを覚えきるとウィスパーイベントが発生し、仲魔のスキルを一つだけ主人公に覚えさせることができる(キャンセルも可能)。既に持っているスキルを重ねて継承する事で3~8回まで強化も可能(強化回数はスキルによる)。つまり主人公のカスタマイズも自由に行うことができ、使わないスキルで枠が埋まるという事態も無い。ただし、全てのパッシブスキルや一部を除いた継承不可スキルなど、ウィスパーで習得できないスキルもある。
--邪教の館アプリ内では合体検索が可能になりビジュアル的にわかりやすく確認できるなど、今まで複雑だった悪魔合体の要素が簡易化されている。また、どこでも合体可能。他にも悪魔全書登録済みの悪魔をわざわざ呼び出さずに(ストックの空きがなくても)直接素材にできたり、自動で最適な悪魔を検索してくれる「オススメ合体」も追加となった。
---ただし、検索合体は組み合わせが膨大なので中盤あたりから細かく条件を指定しないと思ったように進められないのが難点。オススメ合体も高レベル悪魔を優先して素材とするため、合体素材用の仲魔はまず選択されない。
--使いどころが難しいが戦闘中の悪魔合体ができるアプリもある。
---この合体の場合、継承スキルは各スキルのランクで確定してしまい選択ができない。その代わりに合体後はステータス全回復及び継承不可スキルを継承させることが可能。マニアはこちらを作り込むことになる。

-丁寧なチュートリアルとナビゲーター。
--最終的に覚えるべき事は多いがストーリーの進行と共に順を追ってチュートリアルが進む為、初心者にも優しい設計になっている。
---マニアクスの所謂「ドSチュートリアル」からすると親切すぎるきらいがあるが、前作から10年経ち、携帯機という事で間口を広げる意味ではアリ。
--唯一最初から最後まで行動を共にするAIのバロウズは本作一の人気キャラ。
---終始冷静且つ温和な女性の声でナビゲートし、AIという枠を壊さない程度に人間味あるコメントを残すこともしばしば。主人公を気遣うセリフや「妙ちきりんなブツ」、「すっ飛ばさせてもらう」など変な言葉遣いもあり親しみが沸く。

-3DSであることを生かしたシステムと操作性。
--全滅の際にはゲームコインによる復活も可能であり、すれちがいも含め携帯機らしい試みが導入された。
--また、主人公のガントレットはスマホのようにタッチで操作する設定になっており、3DSの下画面のメニューもタッチ操作に対応している。
---これを使えば実際に操作している感覚になることもできる。
--主人公は装備によって見た目が変わり、ネタ的なものからゴツゴツのミリタリー装備までカスタマイズを楽しむことができる。すれちがいで他プレイヤーの主人公の姿も見ることができるので、同じキャラでありながら個性がある。
---見た目に関わる装備のステータス補正値はどれも低めに設定されており、好み重視で選んでいても進行に差し支えはない。中にはクー・フーリンなどの悪魔のコスプレ装備も。

-大幅に増加した交渉会話。
--敵悪魔を仲間に誘う他、アイテム・マッカ・停戦・回復の要求、敵の行動回数を減らすなど、アプリの追加で様々な会話を試みることができる。
---それぞれ特定の状態異常にかけた上で交渉すると必ず成功する。
--従来ボス戦で会話することはできなかったが、今作は各交渉により専用のセリフが設けられているなど遊びとしても作り込まれており楽しみが増えた。なお、ボスの交渉ゼリフは個別に用意されている。
---シリアスな場面でもカツアゲやムダ話をしようとする主人公としてネタにされている。

-メガテンらしいハードな世界観
--主な舞台となる東京は25年前の「ある事件」によって岩盤に覆われ、完全に封鎖された世界。
--陽の光も差さない閉ざされた空間で悪魔に怯えながらも阿修羅会によって何とかライフラインが保たれている状態。
---阿修羅会が悪魔との取り引きに用いた「赤玉」の正体はメガテンでは一二を争うエグさ。
--岩盤の上にある東のミカド国も身分差別が根付いていたりと、一見平和でも仄暗い要素が見えている。

-グラフィック、音楽、ボイス。
--東京の各所のフィールドは現実に基づいている部分も多数あり、描写も細かい。携帯機であることを考えるとグラフィックはかなり綺麗な部類に入る。
--『[[デビルサマナー ソウルハッカーズ]]』のように、戦闘時のとどめを刺し方によって敵の消滅演出が異なる。
--フルボイス且つ会話シーンではキャラの立ち絵が表示されるという事で、今までのイメージにそぐわない演出ではないかと懸念の声もあったが、声優陣の演技力もあり評判は良い。気になるならボイスをoffにすることもできる((ただしムービーのボイスはoffにできない))。
--小塚良太氏による、『真I』、『真II』の増子サウンドの雰囲気を継承したロックサウンドは、古き良きメガテンのエッセンスと新しさを感じさせる仕上がりになっており非常に好評である。
---旧作のアレンジも随所で聞くことが出来る。
---前作が「模倣からは創造は生まれない」と増子サウンドとは一線を引いた楽曲が好評だったが、今回は一転、増子サウンドに寄せた楽曲でこれはこれでアリ。ただし完全模倣ではなく、増子節とされる独特のリズム(戦闘シーンのギターのメロディ等)までは継承はしていない。

**賛否両論点
-物語の舞台設定。
--話の黒さや壊滅した東京の存在等シリーズの特徴はあるのだが、主人公達の出身が東京どころか日本ですらない((厳密に言えば由来は日本なのだが))ミカド国出身で、任務の為にわざわざ東京に降りてくる設定でよそ者感が強い。
--その為古参ファンの中にはこれまでのシリーズにあった急変した世界の中で翻弄されつつも抗うまたは従う、といった要素がかなり薄くなっていると指摘する者もいる。
//--女神転生シリーズと言えば「東京」でありダークな現代劇の印象が強いが、今回はごく一般的なRPGに近いファンタジー世界からスタートとなる。
//---この時点での移動はAVGに近い選択式になっており今までのシリーズに慣れていると違和感を覚える。その後、舞台は東京に移りお馴染みのマップ画面になるのだがそれまでの道のりはそこそこに長い。
//世界の成り立ちを考えればこの意見は的外れだと言えるんだが……。
-これまでの真シリーズのシナリオは自己完結で世界を救う訳では無い、世界自体はともかく世の理や理念を決めるという流れで、王道の「世界を救う」話ではないのだが、今回のIV(ファイナルも含む)は本質的には真シリーズと同じでもモブキャラが救世主を持ち上げ、頼ってくる。初期のドラクエやFFの様だが((「誰かがこの世を直してくれる」的な他人事))、これでは主人公の主体性が薄い((特に、ニュートラル分岐後のクエストの一位を目指す流れ。自分の意思というより他人の意見である。狂ってしまった世界の中で抗うとか自分の足で進むとかではない。))。
--悪魔伝承や宇宙の成り立ちの宗教的色合いなのに唐突に入ってくる「並行世界」は、ある意味「創造神」の力を小さくする((並行世界まで創造神がまたを掛けている様ではない。))。「禁じ手」と女神転生の「伝統」が噛み合っていない。並行世界に創造神がそれぞれ居るかの様((一応、女神転生の関連作品にも並行世界の概念は僅かにだが存在する。『真・女神転生 デビルサマナー』はICBMによる大破壊が起こらなかった平行世界を描いており、『アバタールチューナー2』では真IIの四大天使(のアバター)が隠しボスとして出現し「我らが神はあのような姿ではない」と異なる創造神の存在について発言している。だが、これらは外伝的な作品であり、真シリーズの世界観ではそぐわないという意見が多い。))。
---何故か、真IVの発売された2013年は偶然にも「並行世界を扱う作品」がいくつかあった((「SPEC~警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿~結・爻ノ篇」等))。ある意味、2013年のブームとも言える。
--また、「上の世界と地下の東京」という世界観だが、そのおかげで実質「東京に限った話」と思えるスケールの小ささを感じる。真IIの「廃墟の東京の上にロウ側のセンターが蓋をする様に作られている」と似通った設定なのに、真IIはスケールの大きさを感じられるのだが、真IVでは薄い。
---良い見方をすれば、「独特の息苦しさ」はシリーズNo.1とも言える。前作の「ボルテクス界」や真IIの「地下世界」でもここまでの息苦しさは無かった。

-悪魔の個性の埋没。
--上記のとおり自由なスキル継承ができるようになった結果、悪魔が持つ個性を大幅に消してしまうことになってしまった。ステータスの振り方も似たり寄ったりなので余計にそう感じさせる。
---所謂「継承苦手属性」の概念が無くなってしまっており、「アギ系統満載のジャックフロスト」も簡単に出来てしまう。
--特技系もHPで無くMP消費になり、パワーキャラは使いどころが少なく、特に後半は魔ステータスの高い仲魔の弱点を反射や無効で消し、強力な万能魔法を覚えさせるだけでゴリ押しが可能。一気にメギドラオンゲー(もしくはアンティクトン((簡単に言うと、大いなるロゴス(メギドラオンを超える最強万能属性魔法)+ランダマイザ(全ステータスダウン魔法)。))ゲー)と化す。
---ただし好きな仲魔を好みに仕上げて長く使い続ける事ができるという点で評価されている面もある。むしろ、バロウズアプリのおかげで低レベル悪魔の方がステータスが高くなりやすかったりする
--HP、MPに関しても「HPは高いがMPが低い」「HP、MP共にそこそこ」「HPは低いがMPが高い」の三種類しかない。
---それのどこが問題なのか?バランスが取れているのでは?と思われる方もいるかもしれないが上記の「HP・MPパターンが三種類」はステータスとも直結しており、ステータスタイプも三種類しかない。同じパターンで同じレベルの悪魔は初期ステータスが丸々同じになり、没個性に拍車をかけている。加えて力88技88魔88速88運88、というような全ステータス同じ数字という手抜きのようなステータスの悪魔が多い。
-過去作との悪魔の設定の違いによる違和感。例えば、真IIIでは「ネコマタ」→「センリ」だったのが今作は「センリ」→「ネコマタ」。変化だけでなくレベル設定の入れ替わりを含め同様の悪魔が何体もいて気持ち悪い違和感がある。細かい事の様だが「世界各国の伝承悪魔」を扱っている上はドラクエの様な「その時のデザイン」でのモンスターとは違いシリーズを通しての「全悪魔カースト」は固まってしまうのは仕方ないのだが…。ドラクエで言えば、「タホドラキーがドラキーより弱く設定された」様な違和感。これが次回作で「クリシュナがルシファーをこき下ろす」というのに繋がる流れなのか。
更に違和感があるのは、マスコット的存在の「ジャックフロスト」の変化先((邪鬼ウェンディゴになってしまう まさかのダーク堕ち))。シリーズを通して見るとものすごい異物感である。せめて「キングフロスト」でしょう。
-ハード面の制約か、Ⅲの個性的なモーションで魅力を出していた仲魔がイラストでの表示になってしまった。他社のドラゴンクエスト8やファイナルファンタジーⅢが3DSでも実現していたので余計に言われてしまう。
--その分Ⅲの倍以上の悪魔や群勢が出ているのだが、悪魔の物量と反比例して本編が短いのは割にあっていない。

-一部悪魔がデビルサマナーシリーズ向けに書き直したものに変更されている。
--小さな事であるが、ナンバリング本編の悪魔デザインとデビルサマナーシリーズの悪魔デザインとで異なる悪魔がいる事で、世界観の違い等の「住み分け」ができていたものが、良くも悪くもガラガラポンされた。
--代表的な所で「オベロンとティターニア」。真ナンバリングは白タイツだろと言う声も。
--ただし、真IIIで既に「ラクシュミ、ヴィシュヌ、シヴァ」等インド系その他がサマナーデザインとなっていた。おそらく3Dモデリングの都合等があると思われる(旧デザインだとラクシュミ等は動きがつけ辛い。また、旧ラクシュミとサラスヴァティ等意外とにかよっている悪魔デザインがある等)。

-薄味の仲間たちと結末。
--仲間たちはパーティ内に居ても戦闘時はオートであり、ステータスも装備もこちら側で見る事はできず育成もできない。故に愛着のようなものをプレイヤーが感じにくく、感情移入もしにくい。
---攻撃に参加するときは悪魔の耐性を考えないので「敵に攻撃ブロックされてニヤリを与える」という場面も多い。
---特に序盤の一部ボス戦で顕著で、耐性により無効化からニヤリを行い次ターンで即死クラスの攻撃をやってくる場合も。
--ヒロインであるはずのイザボーはヒロインらしいシーンが殆ど無く「正ヒロインはバロウズ」と言われるほど印象が薄い。活躍するシーンが皆無ではないが、如何せん描写不足が否めない。
--物語の最終局面はカオスルートとロウルート(+真エンディングとも言えるニュートラルルート)に分岐するのだが、そこに行くまでのワルターとヨナタンの心理描写が少ない上、突然人が変わった様な行動をする等彼らの行動に対する説得力が欠けている。また、中盤以降の展開から途中で他の世界のワルターとヨナタンに変えられたのでは?と思わせる展開もある。
---前世代のカオスヒーロー、ロウヒーローにあたる人物の方が、テキストが少ないにも関わらず、よっぽど説得力がありキャラも立っているとまで言われる始末。
--ラグジュアリーズ(貴族階級)のヨナタンは「国のため、民のために行動する」という行動原理が一貫しているのでそれなりに説得力があるが、カジュアリティーズ(平民階級)のワルターが身分の差に違和感を覚え、現状を打破する為に大量虐殺を良しとする考えに至る過程はかなり唐突さがあり「悪役に唆されただけ」と言われても否定できない面がある。
--パラレルワールドを用いた展開や、シリーズの定番となっている神≠善の図式、主人公たちの前の世代の戦いなどの要素もあるが、ニュートラルの結末は硬派な独自路線を貫いてきたメガテンらしくない…言い方を変えると軟派なご都合主義に近い。台詞回しもラノベのような冗長なものが増え、印象に強く残るフレーズというものが少なくなっている。
--発売前にメインキャラクター級の紹介をされていた「カガ」と「ナバール」は大した出番もなく、すぐ退場する。
---一応、ナバールはミカド国の身分制度を、カガはガイア教団をわかりやすく説明する役割のキャラクターだが、それにしても短すぎる出番である((ナバールは続編真・女神転生IV FINALで再登場する))
--作中のストーリーを追っただけでは全ては見えてこないが、意外にもほとんどの主要キャラは程度の多少はあるものの「他者への配慮」を持ち合わせて行動している((第一印象が最悪であろう「タヤマ」や「ウーゴ」、ルシファーらも例外ではない。カオスヒーローもロウヒーローへは一定の理解を示し、ロウヒーローはたとえ神意だろうと納得が行かなければ弓を引く。ガブリエルもリリスも形はどうあれ「人の幸せ」を心から望んでいるなど、神魔人問わず他人に絶望してエゴに走るキャラがよくいるメガテンにしては珍しい。))。さまざまなNPCなどに、世界や人物の裏側を匂わせる要素がちりばめられており、探してみるのも一興。
---その一方、世界観の説明((ミカド国の出自など))といった重要な部分もこういったNPCに解説を委ねてしまっているため、NPCの会話に耳を傾けなければ世界観に入り込みづらい。

-伝統の2身合体の削除
--ストックから2体を選択して合体する2身合体が削除されてしまった。ストックを適当に減らしたい時など地味に不便。
--検索合体で使用する悪魔を選択したり、ライト合体で代用はできる。

-過去の女神転生とは違う恐怖感。
--「淡々と世界を浄化する恐怖」を演出する真I・真II、「千晶の腕が無くなった等、直接に描写はしない」真III等とは違い、「赤玉の正体」や「狂っていくナバール」等、直接表現でなくても過去作よりも「気持ち悪さ」が目立つ。過去作が「ドライな空気感」だとすると、「見せるものは見せましょうの生臭感」((映画でいうと、「SAWシリーズ」の2作目までと、3作目以降の様な感触。または、「日本のホラー」と「海外のスプラッター」。))。この傾向はデビルサマナーシリーズから薄々出ていた((ソウルハッカーズのリーダー桜井の最後や、アバドン王のよめごの部屋等))。
--ボイスがついた事や、ムービー多用の為とも見られるが、「終末感のドライさがない」というのもあれば、「ホラー的でエグいのがいい」のもある。
---女神転生シリーズを作った鈴木一也氏や岡田耕治氏が居なくなった製作陣で、あの空気感は難しいと既にIIIの時にも言われていたが、それ以上の乖離である。


**問題点
-雑な難易度調整。
--メガテンシリーズと言えば高難度の戦闘ではあるが、今作はバランスが非常に大味であり、ただ単に敵の攻撃力を強くしただけの雑な調整が目立つ。
--仲魔やスキルの少ない序盤は、交渉に失敗→即全滅というパターンに何度もぶち当たる。全滅時にゲームコインで復活可能、2度の全滅で候補生モード(イージーモード)が解禁、どこでもセーブ可能、と初心者救済をしているつもりかもしれないが、そもそもこれ自体が運ゲーなので余りにも理不尽である。
---逆に主人公や仲魔のスキルが揃う終盤の戦闘は一気にヌルくなる。弱点さえ分かればプレスターン&ニヤリ発生でボス戦でも余裕が生まれる。ただし、中には発狂パターンや弱点狙い撃ちパターンもある。
--また、プレスターンバトルの「弱点を突くと行動回数が増える」「攻撃をブロック・反射・吸収されると行動回数が減る」という仕様から来るリスクとリターン、上述する継承スキルの自由化から、「悪魔に全属性魔法を装備させて敵の弱点を突いて殺られる前に殺る」といった戦法がもっとも効率が良い。そのため、必然的に上述の悪魔の無個性化につながっていく。
--後半のボスに至っては「弱点属性がなく、全体攻撃連発」といった行動パターンが多くなり、さらに大味さに拍車がかかる。
--そもそも、今回は与ダメージを減らす方法が限定されており、防具もステータスも防御力に関する項目はなく、さらにHPの上昇量も低くレベル10以上差があっても弱点を突かれれば瀕死になりかねないため、必然的に死にやすい環境にある。

-ダンジョンは3D形式では無くなったことにより大幅に難易度が落ちている。「街の方が難しい」とまでいわれる事も。
--ダークゾーンや毒のエリア、ワープなど趣向を凝らしたマップが一つのメインになっていた従来のシリーズに比べると面白みがない。代表例が「かごめの塔」。もはやダンジョンではない。
---面白味のあるダンジョンで思い出されるのがあろうことか最初の「ナラク」。入るのに段階を踏む必要があるが、「ダメージ床、高低差、結界、中ボス、抜け穴…」と女神転生ならではのトラップが豊富な上に、抜けた先がスカイツリーで「東京」と見所満載。砂漠化した東京のダンジョンやホワイトメンの森等それなりな所もあるが、面倒くさい所が目立ち、面白味が薄い。

//--本作最難関なのは、種族「魔人」。一部を除き、出現フィールドに入った時、1/256という低確率で出現フラグが立ち、特定の場所に行き「留まる」と出現する。留まらなかった場合、フラグは解除されてしまう。
//---単体でプレスターンを5つ持ち、それぞれがラスボスに比肩するステータスを誇るため、対策抜きではゲームクリアできるレベルでもきつい相手。また、バフ・デバフ無効パターンや発狂パターンも有する。
//---全滅すれば当然出現からやり直しになるが、復活すればフラグ状態が維持されたまま再開できる。フラグ状態はセーブで保存できるので、微調整と運の善し悪しで勝てるなら粘ることは可能。
//↑魔人はアトラスのRPGで常連となりつつあり、ユーザーからも高難易度が期待されるもので、問題点の項にはふさわしくないと思います。特に今作は戦いたくなければ避けることが可能であるし。出現率もSJ等に比べれば低いものの、真1と同じである

-煩わしいシンボルエンカウントと分かりにくいマップ。
--こちらのレベルがどんなに高くても敵シンボルはプレイヤーを捕捉すると必ず突っ込んで来るので、下画面に常時表示されているマップをじっくり見ている暇がない。
---おまけにエンカウントを回避するスキルは効果が短く、3Dフィールドでは剣を振ってシンボルに当てなければ効果はない。しかもシンボルの沸き方に「数体が一気に湧き出て向かってくる」というものがあるため、この場合剣を一度振っても対処しきれない場合が多く、ほぼ確実にエンカウントしてしまう。
---つまり実質''完全にエンカウントを避ける手段は無い''。フィールドマップでは逆にエンカウント回避魔法を使えば確実に対処できるが、こちらはシンボルアタックがないので''確実に先制する方法がない''。
--このエンカウント仕様の上に、東京の大マップ(2Dフィールド)は通過できる場所がどれなのかが非常に見辛く、うろついている間に何度も雑魚シンボルに突っ込まれてしまい非常にストレスが溜まる。
---更に一度入った場所でもマップ上では名称が表示されない。実際の東京の地理に基づいてはいるものの、ところどころアレンジがなされているため土地勘があっても厳しい。

-DLC全般。
--経験値、マッカ、アプリポイントを大量に獲得できるクエストが配信されており、購入で一気にヌルゲーになるほど。初心者救済として見れば良心的だが…。
--各コンテンツ購入で限定悪魔が解放になる為、購入しないと悪魔全書のコンプリートは不可能。DLCなんだから買わなければいいという問題でもない。ちなみに全て購入するともう一本ソフトが購入できる程度の額にはなる。((ただし、今作には全書登録率はないため、コンプリートしなくてもよいという開発者のメッセージとも思われる))
---凶悪な強さを誇る隠しボスも全てDLCになってしまった。周回を重ねて強くなっても本編でそれを試せる場所はかなり少ない。((魔人への腕試しで使えるがそもそも出現条件が極めて厳しい))
---DLCで入手可能な悪魔は多くが専用スキルを有しているが、味方一人を強制ニヤリ状態、1~15回ランダムヒットの物理攻撃、魔法/物理ダメージ3倍、''眼光''((点滅プレスターンアイコンを3つ増やす。継承不可であるが、前述の特殊合体方法を使えばもちろん継承できるので、やろうと思えば他の悪魔に習得させられる。念入りに準備を整えればそれこそかの「劇場」を開演可能で、ラスボスさえも無抵抗のまま葬れる。ただし、レベル99でも全快状態で1,2回しか使えないなど消費SPは甚大。))と、強力無比でどれもスルーしづらい。有料だからといえばそれだけであるが。
---上記の眼光は『真III』経験者なら一瞬揺らいでも仕方がないスキルなのだが、それを入手するためには実は他のDLCも買わないとまず倒せないという悪質さもある((眼光を所持する隠しボス「マサカド」は、全属性吸収&万能属性90%カットという絶望的防御力を持つのに拘らずわずか10ターンで倒さないといけない。これを破るには、他のDLCの隠しボスたちが持つ貫通特性付きのスキルが必須となる。当然というべきか、貫通はDLC以外にはない。ちなみに、マサカドは他にも「全体万能弱点属性魔法」という容赦無さ過ぎるスキルも有している。))。

-属性値変動がストーリー中の選択肢のみ
--過去シリーズのように戦闘や施設利用での属性値変動が行われないため、気がついたら手遅れに。
--ニュートラル・ルートに進むために攻略サイトのチャート通りでないと辿りつけないという人も。

-ニュートラルルートのお使い感
--Nルートに入るとハンターランキング1位になることを目標に設置されるが、そのためにはチャレンジクエストをこなす必要がある。
--実際は一つだけでいいのだが、攻略サイトでも見ない限りは結局総当りで片付けていくはめになり、作業感が強い。

-短い本編。
--クエストでカサ増ししているが、必須クエストを抜きにすると携帯機という点を考慮してもあっという間にエンディングにたどり着いてしまう。感覚的には真Iで金剛神界を抜けた辺りで属性が決定されてあとはエンディングまでのイベントを片付ける様。
---ボリュームは「開始~東京到着~ヤマト」の間はそれなりにあるのだが、「簡素なダンジョンで早く攻略出来てしまう事」の短い要因の他に「ボイスのあるイベントでカサ増ししている箇所を周回でスキップすると相当な短縮となる事」「(上記にもあるが)近年のアトラスに多い、フラグでモブキャラの話す内容を変える事で情報量を積み上げる事」等のカサ増しが分かるとスカスカな箇所が出てくる。
また、ホワイトメンの様に「そこだけ出演」や「属性決定後の駆け足脚本」等そもそもの後半が薄い事もある。
--ゲームの作りが大雑把に言うとFFXIIIの様な「イベントを道中の移動で繋ぐ」作りで操作している感が薄い仕様だからか。


-新規悪魔デザイン。
--シリーズお馴染みの金子氏のイラストは全て過去作品からの流用。代わりに特撮のクリーチャーデザインなどを手がけるデザイナー数名が新規で悪魔のデザインを行っているが……。
--金子氏とのタッチの違いが如実になっており違和感を覚える悪魔が多い。強いて言うなら、''全体的に筋っぽいもしくは骨''(一部除く)。ストーリー上の目玉となる各ボスキャラが新規デザインのため印象に残りやすく、特にメデューサや四大天使、リリスの評判はすこぶる悪い。ルシファーはもはや衝撃的と言わざるを得ない。ちなみに、DLCでこのルシファーのコスプレができる。
---新規参加デザイナーの各界での評価は高く、決して実力が劣っているわけではない。ただ「何故メガテンシリーズに引っ張って来たんだ」「何故既存の悪魔デザインを変更したんだ」という意見が大多数である。
---新規悪魔絵の中にもミノタウロスやクエビコ等、評判のいいものもある。

**総評
新たな試みを多数投入し、ペルソナ寄りのシステムやビジュアルでシリーズの新たな活路を見出そうとしたものの、これまでの作風と合致しない部分も多く出てしまった。ゲームとして遊ぶことはできるものの、メガテンとしては今ひとつといった評価が定着しつつある。~
『SJ』の方がよっぽどナンバリングに相応しかったのではないかという意見が多く、今後のシリーズに課題を残す結果となった。~
微妙な評価が目立つものの、新規ユーザーやライトユーザーにはとっつきやすい部分もあるため、これを機にシリーズに触れてみるのも良いかもしれない。

**余談
-『SJ』で生粋のロウぶりを披露したマンセマットが、今回は''人間のフォローをしている''((なお、マンセマットという天使はそもそも本作のような「人間に負荷を与えて神への信仰心を試す」という役割こそが本来の姿である。))。カオスルートでさえスルーしてくるという中立ぶりで、むしろ本作のロウ勢とは敵対関係にある様子は『SJ』のプレイヤーなら驚くこと請け合い((挙句の果てには、過去に人間と共謀して四大天使のうち3体を封じている。))。ワルターからは''ぺ天使''呼ばわりも……。

-カオスルート、ニュートラルルートでラスボスを倒しても目的地に辿り着いてエンディングを迎えるまでゲームが続行する。ただし、ニュートラルルートの場合、敵は出てくる。

-『真・女神転生』シリーズは代々同じロゴを使い続けていたが今作からロゴを一新。「転」の字がずれなくなった。ずらす必要がなくなったとのことだが、そもそもずれていた理由もよくわかっていない。
--しかし、Nintendo Switchで発売予定の『真・女神転生V』のロゴは旧来通り「転」がずれている。

-2016年2月10日に続編『[[真・女神転生IV FINAL]]』が発売された。本作の世界観を前提にし、不満点などをブラッシュアップした新作である。

-2018年4月19日にパック版『真・女神転生IV & 真・女神転生IV FINAL ダブルヒーローパック』が発売。

-神や悪魔を扱うということもあって、女神転生シリーズの制作時にお祓いを受けることが恒例行事となっていたのだが、今作においてはお祓いをしていないことをスタッフが明かしてる。
--それで祟りは起こったのかというと、''親会社であるインデックスが粉飾決算が発覚して倒産''という凄まじい事態が発生してしまった。そのため『IV FINAL』と『V』の制作前には再びお祓いを行ったことを説明している。