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ゾイドインフィニティ - (2017/09/25 (月) 17:36:28) のソース

*ゾイドインフィニティ (AC)
【ぞいどいんふぃにてぃ】
*ゾイドインフィニティEX (AC)
【ぞいどいんふぃにてぃ いーえっくす】
*ゾイドインフィニティEX PLUS (AC)
【ぞいどいんふぃにてぃ いーえっくす ぷらす】

*ゾイドインフィニティ フューザーズ (PS2)
【ぞいどいんふぃにてぃ ふゅーざーず】

*ゾイドインフィニティEX NEO (360)
【ぞいどいんふぃにてぃ いーえっくす ねお】

|ジャンル|アクションゲーム|&amazon(B0006MQ1KA,image);|
|対応機種|アーケード&br;プレイステーション2&br;Xbox360|~|
|発売元|TOMY(現:タカラトミー)|~|
|開発元|タイトー|~|
|稼働開始日|【AC】2004年6月24日|~|
|発売日|【PS2】2005年2月17日&br;【360】2006年3月30日|~|
|定価|【PS2/360】6,800円(税別)|~|
|廉価版|【PS2】トミコレ・ベスト&br;2007年3月29日/2,800円(税別)|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
|ポイント|ファン納得のゾイドによる3D対戦ゲーム|~|
|>|>|CENTER:''[[ゾイドシリーズ・関連作品リンク>ゾイドシリーズ]]''|
//#contents(fromhere)

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**概要
-ツインスティック操作による3D対戦ロボット((戦闘用ゾイドは正確にはサイボーグだが。))アクションゲームである。
-対戦形式は基本的に1対1。へリック共和国・ガイロス帝国・ネオゼネバス帝国のうちから一つ所属国家を選択してゲームを開始する。
-ジャンル的には[[バーチャロンシリーズ>電脳戦記バーチャロン]]を彷彿とさせる所もあるが、人型をしていないゾイドの操作はむしろ自動車に近く、プレイ感覚はかなり異なる。
--操作方法も独特で、スティック1本を倒すと歩行、2本を同じ方向に倒すとステップであり、先述のバーチャロンシリーズの癖が染みついたプレイヤーは反って戸惑う(移動するつもりで無駄にステップしてしまう((後述する「ステップが強い」はダッシュからの連続ステップの話なので、いきなり出来るものではない。)))。ブーストボタンを押してのダッシュ中に左右のレバーを内側に倒すと急ブレーキ(と同時にドリフトしながら相手の方向に向く)。
-ゾイドの耐久力は他の同タイプのゲームと比較して高めに設定されており、初心者でもワンプレイをそれなりに長い時間楽しみやすい。
-キャラクターゲームとしての側面もあり、アニメシリーズの登場人物が多数登場する。
--単に敵キャラクターとして登場するだけで無く、ゾイドの能力を変化させる相棒キャラクターとしても設定できる。
--オリジナルの登場人物にも人気声優や実力派声優が担当するなど、かなり力が入っている。
---例えばアーケード版のオリジナルキャラクター担当声優は、田村ゆかり、檜山修之、郷里大輔と錚々たる顔ぶれである。
--音楽は[[ダライアス>ダライアスシリーズ]]などの作曲でも有名なZUNTATAが担当。
-数度に分けてバージョンアップが繰り返され、その都度、バランス調整と共に新しいシナリオと共にゾイドが追加されていった。

**特徴
-ゲーム開始前に、筐体とセットで配置されている専用端末でPCカードを購入し、使用ゾイドを選択する。
--このカードのプレイヤーの戦績・BP(バトルポイント。主にゾイドカスタマイズに使用する)・所有ゾイド・その他ゲームの進行情報が記録される。
---カードの使用可能回数は100回で、使い切った場合も引継ぎは可能。また、最終プレイ日時から60日が経過するとカード情報自体が無効になり、更新も不可能となる。
--カードなしでのプレイも可能だが、当然戦績は記録されないので、初期ゾイドしか選べないうえ、カスタマイズも不可能。
-カード1枚ごとに登録できるゾイドの系列は3体まで。
--鈍足だが遠近万能なレッドホーン、近接戦闘の鬼のゴジュラス、スピードスターのライガーゼロ…etc。どのゾイドを使うか、人によって選択肢は様々。

&bold(){ゾイドカスタマイズ}
-100を越える多くの武装を選択し、自分だけのオリジンルゾイドを製作できる。
--アニメやバトストと同一の装備をするも良し、勝ちに拘ったカスタマイズにするも良し。
--当然、選んだ武器により外見も変化する。
--高圧濃硫酸噴射砲、三連電磁砲、マクサービームキャノンなどバトルストーリーやゾイドの設定そのままの武器も多い。原作再現が捗るだろう。
--ゾイドの種類と武器の組み合わせもあり、プレイヤー毎にオンリーワンなゾイドを使うことになるだろう。
--ただし、ゾイド毎に搭載可能キャパシティという物もあり、際限なく好きな武装が可能なわけでは無い。
-武装の他、ゾイドの機能を様々に強化(場合によっては弱体化)させるオプション(相棒)を選択。
--アニメからバンやフィーネ、ビットやリノンといったおなじみの面々の他、オリジナル主人公達や、ゲーム「ゾイドサーガ」の登場人物まで選択できる。
--攻撃力を増加させる、攻撃の発生が早くなるなどその種類と効果は豊富。
--選んだオプションによっては戦闘中、プレイヤーの行動に合いの手を入れることも。

&bold(){巨大ゾイド}
-ゾイドのアニメでは、キットの設定((ゾイドはプラモキット付属の「バトルストーリー」が原作であり、アニメの方が派生作品扱いである。))よりも遙かに巨大な姿のゾイドが多数登場したが、本作でも巨大ゾイドがストーリーモードのボスキャラとして登場する。
--特に最初のボスであるデススティンガーは、広大なはずの戦闘フィールドが狭く感じるほど軽快に走り回り、様々なアクションを見せてくれる。
--近寄ればハサミによる近接攻撃やジャンプしてからの全周囲攻撃を行い、離れれば荷電粒子砲を使ってくる強敵。

&bold(){防御、特殊攻撃}
-同じくレバーを内側に倒す事で防御出来る。格闘攻撃しか防御できないの点も含めてバーチャロンと同じ。
--本作は防御不能の投げ技に相当する技が全ゾイドに存在する(間合いは狭い)。レッドホーンなどは通常格闘とモーションの違いが少ないが、カメラが切り替わっての演出が入るので、直ぐに判る((演出中は敵が棒立ちだったりするが。))。通常格闘では転倒させられないデススティンガーをも転倒させる事もできる。
---アニメ版シールドライガーの必殺技であるシールドアタックはこの分類。ブレードライガーもシールドアタックを使い、ブレードアタックは通常格闘扱いなので防御可能(足を止めずに格闘を仕掛けられる利点はある)。
--アニメ版で必殺技扱いだった過電粒子砲は(威力は高いものの)普通の攻撃扱いである。まれに壁を貫通することもあるが。
#co{
-一部ゾイドにはヒロイックな必殺技が存在する。
--シールドアタックは勿論、ディバイソンのメガロマックスなどアニメ等で印象深いものも実装されている。有名なものだけで無く、全身を赤く発光させたアイアンコングやゴジュラスのラッシュ攻撃などバリエーション豊富。
--ただしカメラ変更や専用BGM等の演出は特に無い。

}

&bold(){収集ゲーム要素}
-相棒や武器は、戦いの中でランダムに入手したり、実績を稼ぐことで手に入れることができる。
--強力な武器、原作再現するための特殊な武器など望み通りのゾイドをカスタマイズするのは大変だが、集める楽しみもある。
--たとえ所有する武器が少なくても、ジェノザウラーの荷電粒子砲やブレードライガーのブレードなど、デフォルトで装備された武器もあるため、最低限の戦力は十分に確保できる。
---バランスブレイカーな武器も、もちろんあったりするが…

**評価点
&bold(){システム}
-実際にゾイドのコクピットに座って戦っているような臨場感が素晴らしい。
--筐体デザインはゾイドの頭部を模しており、家庭用限定版に付属したゾイド「インフィニティレオ」は筐体のミニチュアに組み替える事も出来た。
-アーケードのサービスは終了したが、多くのゾイドを題材にしたゲームが誕生した現在(2017年)になっても、ゾイドゲームの最高傑作と評価するファンも多い。
-照準システムが独特、かつサイドステップや急ブレーキなど攻撃前後の挙動もあり、対戦相手との駆け引きが非常に重要。鍔迫り合いをしているような緊張感が楽しめるだろう。

&bold(){豊富な登場ゾイド}
-それまで放送されたゾイドのアニメから、多数の登場人物と彼らの乗機が登場している。
--アニメにも登場して人気のコマンドウルフ、セイバータイガーやジェノブレイカーだけでなく、ゴジュラス、アイアンコングなど30以上のゾイドがプレイヤー機として使用可能。
--AC版は『EX』でアニメ『フューザーズ』のゾイド((バスターフューラーや(敵専用だが)セイスモサウルス等。ただしフューザーズゾイドは(色違いとバスターフューラーを除き)全てバトルストーリーに登場しているゾイドである。))、『EX PLUS』で『ジェネシス』のゾイド((ムラサメライガーとハヤテライガー(生憎ムゲンライガーは追加されなかった)。))が追加された。
---移植版の『フューザーズ』や『EX NEO』では、更に多数のゾイドが追加されている。
-ゾイドだけで無くゾイドが装備する各種武器やパーツも登場しており、それも●▲□砲みたいなとってつけたような名前と設定の武器はほとんど登場しない((そもそも原作の時点であらゆる武装に全て名前が設定されている。))。

&bold(){アニメからの登場人物}
-新録されたボイスも多く、アニメ本編ではあり得ない作品をまたいだクロスオーバー的な会話などもある。
--一方で主人公は非常に寡黙で出しゃばらない一方、ライバル兼同僚のチャクト(CV:檜山修之)はとてもよく喋り、場を盛り上げる。

**賛否両論点
&bold(){ジャンプができない}
-ゲームシステム上、ジャンプに相当する操作をすることができない。
--そのため基本的に平面的な戦いしかできない。
--原作で飛行可能だった一部のゾイドは前ステップからの滑空が可能だが、とても立体的な戦いとは言えないだろう。
--尤も原作が陸戦重視だったので仕方のないことではあるが。
-実はブーストからの前ステップが(現実的な意味での)ジャンプと言えるのだが、ロボット物で言う「ジャンプという名の浮遊や飛行」が出来ないと言う意味である
//((逆の『機動戦士ガンダム 連邦vsジオン』では、原作で対ドップ(戦闘機)戦でしかやらなかった様な動きで戦ったりもしている。『エゥーゴvsティターンズ』以降は全MSが空中ダッシュやホバーダッシュ(地上)までするし。))。
#co{
-一部ゾイドにはジャンプ攻撃という物もあるが所謂、防御不可攻撃でしかない。
--ロードゲイル、ライガーゼロ・フェニックスという原作で飛行していたゾイドはジャンプどころか、短時間なら飛べる((飛行と言うより、スーパージャンプ後の滑空に近い))。
--反撃できない上空からの一方的な攻撃は、対処法を知らない人には脅威と言うほかは無い。反面、知っている人にはボーナスに近い行動だったりする。
そういったメリハリの無さ故か、対戦ではプレイヤーの力量差は勿論、武器の種類によっては一方的な戦いになることが多かった。
--強くなるための武器の収集をするには、対戦に勝たなくていけないのだが、その1勝をするのが難しい。
---特に遅れてゲームを始めたプレイヤーの場合、先に始めた(つまり経験と装備の豊富な)プレイヤー相手に勝利を上げるのは困難だった。
}

''ステップが強すぎる''
-本作ではダッシュ後でも硬直が存在しない代わりに、ダッシュにはブーストゲージを消費するというシステムである。
-しかしステップ中はブーストゲージが回復する(前述の滑空ではゲージを消費する)うえ、ステップ開始時にブーストゲージを消費することもない。ステップ中は直進しか出来ないが回頭は可能なので、(レバー操作は忙しいが)使いこなせるプレイヤーなら通常ダッシュと同程度の旋回は可能。
--そのため上級者の操作するゾイドはピョンピョンと跳ねながら常にブースト速度で走り回っており、一度リードされると逆転は難しい。
---結果的にステップ能力の低いゾイド(ゴジュラス等)は弱キャラである。

&bold(){所属国選択}
-ゲーム開始時、どの陣営に属するのか選択する必要があるが、これによりストーリーモードの難易度が若干変わる。
-誤差の範囲なので、それほど気になる訳ではない。
--アーケード版は専用の大型筐体だった故に無印の頃は基本的に1プレイ200円だった。序盤が難しい所属国は他と比べて慣れるまで、財布にダメージが大きかった。それ以上に[[対人戦の方が痛かった>バーチャファイター]]ろうが。

**問題点
&bold(){ゾイドのバージョンアップ}
-戦績を重ね、階級が増していけば武器の他、現在使用中ゾイドの上位互換機を入手する可能性がある。
-もっとも望み通りの機体が入手できると決まっているわけでは無い。
--例えば、帝国ゾイド「レッドホーン」の上位互換機は「ダークホーン」では無く、共和国ゾイド「ディバイソン」。
---見た目も所属国も異なるゾイドに乗り換えるのは、愛着があるだろう機体のことを思うとなかなか難しいかも知れない。
--また、あくまで同タイプの上位互換機のため、以前と同じ感覚で全て操縦できるとは限らない。
---最悪、上位互換機が『罠』と言って良いほど操作感覚と挙動が変わり、強くなるどころか&bold(){『弱くなる』}ゾイドも存在する。
---設定上は上位機体で間違いないので、一層腹立たしい。尤も「設定最強、実際最弱」はゲームでは良くあることだが…((例としてはアルュメの『機動戦士ガンダム』(格闘ゲーム)。))。

&bold(){がっかりなボスキャラ}
-デススティンガーを除いたボスキャラ(ウルトラザウルス、デスザウラー、セイスモサウルス)との戦闘が酷い。
--身動きしない固定砲台と化したボスキャラに対し、崖を挟んでちまちまと撃つという内容。当然ボス側の射撃は激しくはあるが…。
--デススティンガーとの場所取り(戦闘エリアの隅に引っかかって身動きとれないようにするのが攻略の決め手)や、接近戦をするタイミングを含めた駆け引き要素など皆無になった。
--当然、ブレードアタックやファイブレードアタックといった近接攻撃最大の見せ場の出番は…ない。
--なまじデススティンガー戦の出来が良かっただけに、非常に悔やまれる部分である。
---もっとも、アニメ同様100メートル越えの巨大ゾイドに接近戦を挑んでも、飛べない本作では足首を切りつけるくらいしかできなかったのかも知れないが…

''初心者狩り''
-対戦ゲームで初心者狩りが存在するのはある程度仕方のない事だが、本作の最終機体であるエナジーライガーの解放条件の一つが「対人戦100戦以上で勝率5割以上」という長い道のりだったため、手っ取り早く対戦数を稼ぎつつ勝率をキープ、あるいは引き上げる為の初心者狩りを助長してしまった。

**総評
 3D対戦アクションゲームとしての完成度は高い。ゾイドという原作の存在を別にしても、広く勧められる良作と言える。
対人戦や各ゾイドの能力のバランスに若干の問題はあるが、ある意味原作再現なので仕方が無い一面と言える。アニメの影響もあって、ライガー系、ジェノザウラー系だらけになったのは一部のファンには残念なところだろう。&br()
 一方で、ゾイドや武装のその性能スペックも原作に忠実とは言い難いところもある(でないとコマンドウルフでデスザウラーの撃破は不可能である((バトルストーリーで勝ったこともあるが、あくまでも作戦勝ちであって、正面切って戦ったわけではない。)))。その点は原作設定を重視する人には不満なところだろうが、、1on1かつコストの概念の無い対戦ゲームという特性上、やたらと原作にこだわってバランスを崩壊させるわけにもいかなかっただろう。&br()
 そういった細かい問題はあるものの、ゲームとしての出来が今一つだった[[ゾイドVS.シリーズ]]と比較して非常に優れた「ゾイドのアクションゲーム」である点は高く評価できる。一体感の高い筐体、息詰まる駆け引きのあるバトルなど、多くのゾイドファン待望の作品だったといっても過言ではない。
選出ゾイドのミーハーさや、挙動・性能の細部はコアなゾイドファンにはやや不満ではあったかもしれないが、そこを踏まえてもゾイド史に残る良作と断言して間違いないだろう。

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**移植
-2005年にPS2版「ゾイドインフィニティ フューザーズ」が、2006年にXbox360版の「ゾイドインフィニティEX NEO」が発売された。
--従来のアーケードモードに加え、当時放映されたアニメのストーリーに沿ったオリジナルのストーリーモード、歴代ゾイド乗りと戦い続けるサバイバルモードを遊ぶことができる。
--単純にストーリーをクリアしていくだけで無く、合間合間で野良ゾイド狩りをする、ギルドの討伐依頼をこなすなど寄り道のような遊びも可能。
--アイアンコング一つとっても、アイアンコング・イエティなど色違い強化型などが多数登場し、コレクター魂をくすぐる内容になっている。((各ステージを高ランククリアーする必要があり、入手条件はかなり厳しい。))
--2P対戦可能なVSモードも存在する。
---ただし、画面が上下二段に分かれ、当時の家庭用テレビのサイズを考慮した画面に再デザインされたカメラアングルは、ゾイド自身が視界を遮る形となり、お世辞にも見えやすいとは言いがたかった。
---このカメラアングルはストーリーモードの方でも再現されており、ストーリーモードの大きな不満点の一つである。
-アーケードは移植版発売後も更新が繰り返されて、『EX PLUS』ではアニメ『ジェネシス』のゾイドも登場するようになったが、家庭用ゲーム機にはオンラインアップデートが存在しなかった時代なので、『EX』の移植であるPS2版にジェネシスゾイドが追加されることはなかった。