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*鉄拳タッグトーナメント 【てっけんたっぐとーなめんと】 |ジャンル|対戦格闘|&amazon(B00005OVSZ,image=https://www.suruga-ya.jp/database/pics_light/game/144000016.jpg,width=115,height=160)| |対応機種|アーケード(SYSTEM12)&br;プレイステーション2|~| |発売・開発元|ナムコ|~| |稼働開始日|【AC】1999年7月|~| |発売日|2000年3月30日|~| |定価|6,800円(税別)|~| |レーティング|CERO:12歳以上対象((廉価版で付与されたレーティングを記載。))|~| |廉価版|MEGA HITS!&br;2001年12月13日/3,800円(税別)&br;PlayStation 2 the Best&br;2004年11月3日/1,715円(税別)|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|外伝的システムの異色作&br()キャラバランスはトップクラス|~| |>|>|CENTER:''[[鉄拳シリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 『鉄拳3』のシステムをベースにして作られたスピンオフ。~ 実質的に『[[3>鉄拳3]]』と『[[4>鉄拳4]]』の間を埋める穴埋め作として短期間で開発された一作。~ 略称は『鉄拳タッグ』『鉄拳TT』『TTT((なお、シリーズの他作品が『T2』『T3』と略されることは稀。))』となっている。~ 開発期間こそ短かったものの、シリーズの人気キャラがそろい踏みするお祭りゲー的な要素を始め、全体的な完成度は高い。 ---- **特徴 -基本的なシステムは前作『3』同様。もちろん手前・奥への移動システムも健在。 -最大の特徴は''「タッグ」''の名の通り、2人でチームを組んで戦うこと。戦闘を行うキャラと、控えのキャラに分かれることになる。 --選べる組み合わせに制限はなく、対戦中は自由に交代できる。 ---交代方法は、新たに追加された5つ目のボタン、チェンジボタン((AC版の初期設定では右パンチ(RP)ボタンのさらに右隣に配置されている。))を押すだけ。状況により立ち状態からの通常チェンジ、浮かせ技を当てると同時にチェンジ、交代しながら投げ攻撃を行うチェンジ投げ、受け身からそのまま交代する受け身チェンジなどに派生する。 --体力ゲージは戦闘中と控え中のキャラそれぞれが持っており従来の2本分の体力があると言えるが、''チームのどちらかのキャラの体力が尽きた時点でラウンド終了''となるため、状況に応じて交代させることが重要である。 ---なお、勝敗は従来の鉄拳シリーズと同じく規定本数を取ったほうが勝ちのラウンド制。「1ラウンド制・チームを全滅させたら勝ち」が定番のリアルタイム交代型の格ゲーとしては珍しいタイプと言える。 --控えに回っているキャラクターは体力が徐々に回復する(ダメージを受けた後に残った赤い部分(通称:ヴァイタルソース)の限り)。なので適宜交代した方が圧倒的に楽。 ---タッグコンボ((コンボ中に自分のチームの両方のキャラが攻撃を当てていると成立。))ではヴァイタルソースを削る効果があるといった戦術的要素もある。 --タッグ制による「怒り状態」というシステムも存在。これは相方が一定ダメージを受けることで控えキャラが、仲間のピンチに駆けつけるかの如く怒り状態になり一定時間攻撃力が上昇する要素で、その一定ダメージに達すると相方の体力枠が赤く点滅し、怒り状態に入ったことを示してくれる。そこでその状態の相方に交代すると、攻撃力が上がった状態で一定時間戦える。 ---また隠し要素として「怒り状態」になるための相性値が存在し、組み合わせにより怒りやすいタッグ、怒りにくいタッグがある。ストーリー設定上で仲の良いコンビ(例:ミシェール&ジュリア、キング&アーマーキング)なら怒り状態になるまでの体力下限が高めだが、敵対関係にあるような組み合わせ(例:リー&平八or一八)だと体力がギリギリまで減っても絶対怒り状態にならない。 --家庭用のみ、従来通りの交代なしの1on1ルールも存在する。 -前作まではやや強力すぎる傾向にあった下段技関連に調整が入っている。 --ダウンを奪える回し蹴り系の技はガードされると弾かれるモーションが入り、大きな硬直となるようになった。 --前作から一部のキャラが固有技として持っていた「下段さばき」が全キャラ共通動作となった。相手の下段技に合わせてレバーを前斜め下に入れると、下段技をさばいて相手に硬直を与えられる。 -他にも横移動が避け手段として実用レベルになり、前作では回避がほぼバックステップ1択だったが、今作ではバックステップで後ろか、横移動で奥・手前、どちらへ避けるか、という避けにおいても読み合いが発生するようになった。 ---- **評価点 -登場キャラクター数の圧倒的多さ。『3』までの登場キャラはほぼ完全に網羅し、''総勢33名+オリジナルラスボス1''(同性能別キャラ含めると全39名)。なんとこれを上回る登場キャラクター数は8年後の『[[5DR>鉄拳5]]』まで待つ必要がある。 --本作では「『3』は『[[2>鉄拳2]]』の19年後」という時系列があえて無視されており、『2』までの登場キャラは全て『2』時点の年齢で登場するため、世代が丸々1つ違うミシェールとジュリア、22歳の準と18歳の仁の風間母子など、ありえない組み合わせも多数登場する。 ---ただし、基本的には最新版の設定に合わせられているので『2』の54歳版平八などは使用不可。 --プロトタイプジャック、アレックス、州光など後のシリーズではほとんど顔を見せなくなったマイナー組も問題なく使用可能。これ以外では続編である『鉄拳TT2』でしか使えないキャラも多い((プロトタイプジャックや風間準など、設定上、外伝でないと出せない事情を持つキャラも居る。))。初代アーマーキングなどは本作がラストになってしまっている。 ---このため本作でのジャックシリーズは合計3種類(ガンジャック、ジャック2、プロトタイプジャック)も使用可能である。 --キャラクター数が極めて多く、タッグの組み合わせを考えると数百。そのため理想の組み合わせを探すのもまた楽しみの一つ。先述した「怒り状態」におけるキャラ毎の相性もまたそれに一役買っていると言えよう。 ---対戦開始時・勝利時(加えて1人用でのゲームオーバー時)にはそれぞれがモーションを取っているが、設定に関わりのある2人組など特殊な組み合わせの場合2人で1つの演出となるなど凝った作り。 -独特なシステムも面白い。交代の際に発生する隙をいかにして潰していくかが本作の肝になる。 --また、交代することで打ち上げた敵を控えのキャラでさらに追い打ちをかける空中コンボをしかけられるなど、立ち回りもさらに派手になっている。 ---本作以降、『鉄拳』シリーズはより「魅せる空中コンボ」が中心になっていったとも言える。 -優れた対戦バランス --そして本作で語るにおいて忘れてはならないのが、『鉄拳』シリーズでやっと''対戦バランスが整った''ということである。恐らく本作を作るまでの3作品のナンバリングタイトルでのフィードバックを本作に活かした結果とも言えるのではないだろうか。 --もちろん人間の仕事なので完璧なバランスというものは存在せず、現に後ほど説明するが本作の特徴でもあるタッグコンボの調整が不十分であったり、三島家全般やトゥルー・オーガなど強キャラは目立つものの、キャラ差のある対戦カードでもそこそこ戦える創りになってはおり、何より総勢33名でタッグシステムを採用してることを考えると奇跡的とでも言えるほどのバランスと完成度を保っている。 -PS2版にはオマケモード「鉄拳ボウル」が収録。鉄拳キャラでやるボウリングという、基本はそれだけの内容なのだが、タッグを組んで1投目と2投目を担当するのは往年の「スターボウリング」と同じシステム。所々小ネタも仕込まれておりオマケながらなかなか楽しめる。 --例えば観客の中に『3』のボスコノビッチ博士がいる、吉光・ジャックシリーズ・ブライアンなどのサイボーグキャラでは専用の視界になる((ブライアンでボスコノビッチ博士を見ると''TARGET''の表示が出るネタも。))など。 --ボウルを思いっきりカーブさせて場外の観客にぶつけてK.O.させることができる。この際、画面に「※危険ですので、絶対に真似をしないでください」と警告が表示される --パワーと投球タイミングを誤ると、キャラクターが勢いあまって手にしたボールごと思いっきりレーンにダイブし、そのまま滑ってピンに向かってツッコんでいくという珍事も起きたりする。 ---同モードはその後『[[鉄拳 DARK RESURRECTION]]』や『7』((こちらは有料DLC。))にも収録されている。 --ちなみに「鉄拳ボウル」自体も、PS版『[[鉄拳3]]』に収録されたオマケゲーム「鉄拳ボール」にかけたネーミングと思われる。ちなみに、鉄拳ボールはボールに技を当てて相手コートに打ち返すビーチバレーのようなゲーム。 -BGMの良アレンジ --対戦BGMはラスボス・アンノウンと高校ステージのものを除き、基本的にAC版のアレンジとなっているが、いささか地味であったAC版のものと比べて全体的にアップテンポで臨場感を持たせるものとなっている。 ---このうち、上記高校ステージとオーガのテーマはタッグトーナメント2でさらにアレンジされたものが用いられている。 ---- **問題点 -厳密には「オールスター」ではない。 --具体的には『3』までのキャラクターの中で、初代キング、初代クマ、初代ジャック、マーシャル・ロウ、家庭版『3』の隠しキャラクターのDr.ボスコノビッチとゴンが参戦していない。 ---先代の死亡に伴って2代目に交代しているキングとクマ、後継機(ジャック2やガンジャック)が参加しているジャック、全くの同性能の息子が参加しているマーシャル((それでもミシェールとジュリアが両方いることを考えると何らかの性能差を施して参戦してほしかったところだが。))、漫画作品『ゴン』からのゲスト出演であるゴンは版権作品からの参戦であったことからも権利上登場できなかったにしても、『鉄拳』オリジナルキャラであり奇妙キテレツな性能と変な動きのインパクトで話題となったDr.ボスコノビッチが不在なのは残念なところ。Dr.ボスコノビッチを使いたかった、という声は多い。前述のおまけゲームの背景には出ているのだが。 ---後に『鉄拳TT2』に参戦しているものの、技の多くが差し替えられているので『3』仕様のボスコノビッチが使えるのは家庭版『3』だけになっている。 -グラフィックレベルは微妙なところ。 --''『3』からは間違いなく進化している''のは確かだが、PS2クラスのクオリティか、というと疑問符が付く。特に家庭版はジャギーやフリッカーが目立つ。 ---ただし本作のPS2版が発売されたのは、ハード自体が発売されてからまだ1ヶ月も経ってない、初期にすら満たない開始時期であったので、PS2の性能を目一杯引き出せてなかったためだと思われる。 ---そもそもAC基板であるSYSTEM12自体、前世代のPSの上位互換基板((『鉄拳3』のシステムをベースにしているので使用基板も同じである。))なのでPS2のH/Wスペック基準で比較すること自体に無理が有るが、本作の家庭用移植をPS2で出したのは、本作のクオリティをそのままPSのスペックで移植するには既に無理なレベルになっていた((PS版『鉄拳シリーズ』ではハードの制約上、モデリングデータを圧縮していた。))ことや、時期的にPS2への世代交代の足がかりとしてラインナップに入れたナムコ側の思惑であるとも言える。 ---また、少なくとも目に余るほど酷いわけではなく、キャラクターの造形などはよくできている。特に新しく濃密に描き込まれた背景、そしてプリレンダだがオープニングやアンノウンのエンディングムービーは受賞するほど評価が高い。 --そしてその後に発売された『[[4>鉄拳4]]』のグラフィックは、同じPS2(AC版もPS2互換基板のSYSTEM246)でありながら、この問題点を克服する以上に異常に良いとまで言われるほどの劇的進化を遂げた。 -お祭りゲーなのでストーリー性は皆無。 --前述の通り時系列を完全に無視してキャラクターがほぼ全員再登場しているため、整合性を取ろうというのが無理がある。 --とはいえ、単なるお祭りゲーと割り切るにはラスボスの正体など現在に至るまで謎な要素も存在する。ちなみに、今大会の主催者はシリーズで唯一三島一族ではない((今作は「厳竜が見た夢の中での出来事」という設定で、彼が主催したことになっている。続編の『TT2』でも当初はこの設定が踏襲される予定だったが、本作発売から間が空きすぎていたという理由で本作限りの設定となっている。))。 ---エンディングは単なる実機ムービーで、内容も非常に簡素。確かにストーリーに期待するような作風ではないが…。 -タッグコンボ --タッグコンボというシステム自体はまずまず好意的に受け止められていたが、そのシステムをフル活用できるキャラ、そうでないキャラの差がとても大きい。 --特に浮かせ技チェンジのコンボでは、浮かせ技自体がそもそもチェンジ対応していなかったり、浮かせる → チェンジした相方が入ってくる間に敵がほぼ落下寸前でまともなコンボにならないなど、未調整な部分もある。 ---もしくはそのタッグチェンジ対応浮かせ技が元々非常にリスキーでそうそう狙えるものではなかったりなど。タッグコンボのことまで考えるとどうしても自分の好きなキャラだけでは組めないという悩みも発生していた。 ---一応、組み合わせにより怒り状態になりやすいか否かなどの、タッグコンボ以外のタッグ編成に絡む要素も戦術に関わってくるのだが.... ---逆に強キャラはこのタッグコンボ始動技が強いことが多く、特に三島家は主力技の風神拳がタッグチェンジ対応というのもあってタッグコンボ火力は他キャラより一枚上の強さだった。 ---本作の続編にあたる『鉄拳タッグトーナメント2』では上記のような一部キャラは有効活用出来ないといった事態は無くなったものの、三島家の風神拳は引き続き猛威を振るうことに((もっとも、三島家の風神拳が脅威というのはいつものことではあるが。))。 -4つボタンでコンボを繋げながら合間にタッグチェンジボタンを押すというのは慣れないとなかなか大変で、タッグシステムを「体力がジリ貧になった際の交代要員」としてしか使わないプレイスタイルも成り立ってしまう。PS2版のように「1 on 1モード」も選べるようにしておいた方がよかったかもしれない。 -タイムアタックが作り込み不足。 --キャラクターの組み合わせによって誰と戦うかが決まっておらず、最後の7、8戦目以外は完全ランダムになっている。 --序盤のCPUが弱い状態なら良いが、後半はそれなりに強くなってくるため、そこでキングやアーマーキングなどの投げモーションが長いキャラクター、ジャック系統などコンボモーションが長いキャラクターを引くと、それだけでタイムロスになってしまう。 --いかにCPU相手とはいえ、後半に一撃も喰らわずに倒すのはかなり難しく、そこで受けた攻撃のモーションでタイムが変わってしまうのは、タイムアタックというルールではあってはならないことである。後半に前述のキャラクター達を引かない運が必要になっている。 --逆に、敵から一発も貰う事なくクリアできる腕前のプレイヤーならば、早く倒せるかどうかは敵を倒すまでの演出の話でしかなく、タイムアタックの体を成していない。 --「演出の短いキャラクター、攻撃力の高いキャラクターでクリアできるかどうか」の話になってくる。 --ついでに、ポーズが出来ず途中で止めることも出来ないため、記録狙いで遊んで序盤でミスした場合わざと負けなければならず面倒。 ---事実、ネット上にも攻略記事や動画などがほとんど存在しない程、人気のない種目になってしまっている。 ---- **総評 時系列や敵対関係などを全て無視して歴代の人気キャラが一堂に会したお祭りゲー。~ 開発期間の間をつなぐ穴埋め的な立ち位置で作られたものではあるが、短い開発期間の中できっちり作りこまれており、要となるタッグバトルにおけるコンボシステムに未調整な部分は見受けられるものの、高い完成度とお祭りゲーならではの賑やかな雰囲気で本家に負けない人気を呼んだ。 //実際後に稼働した『4』よりも本作の方が長くゲームセンターで稼働していた、というエピソードもある。~ ---- **余談 -開発者によると、本作はリリースするまで販売部や営業部からは「こんなの売れるの?」などとずっと文句を言われるほど評判は悪かったが、ヒットすると社内の評価はガラリと変わり((あまり期待されてなかった商品が成功するのは業界ではよくあることである。2001年発売の『太鼓の達人』も同様に発売前はあまり期待されてなかった。))、「タッグ2は出ないの?」とばかり言われるようになったという。 ---- **その後の展開 -2011年9月14日に続編である『鉄拳タッグトーナメント2』がアーケードで稼働開始。2012年9月13日にはPS3/360版が、2012年12月8日にはWiiU版も発売された。
*鉄拳タッグトーナメント 【てっけんたっぐとーなめんと】 |ジャンル|対戦格闘|&amazon(B00005OVSZ,image=https://www.suruga-ya.jp/database/pics_light/game/144000016.jpg,width=115,height=160)| |対応機種|アーケード(SYSTEM12)&br;プレイステーション2|~| |発売・開発元|ナムコ|~| |稼働開始日|【AC】1999年7月|~| |発売日|2000年3月30日|~| |定価|6,800円(税別)|~| |レーティング|CERO:12歳以上対象((廉価版で付与されたレーティングを記載。))|~| |廉価版|MEGA HITS!&br;2001年12月13日/3,800円(税別)&br;PlayStation 2 the Best&br;2004年11月3日/1,715円(税別)|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|外伝的システムの異色作&br()キャラバランスはトップクラス|~| |>|>|CENTER:''[[鉄拳シリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 『鉄拳3』のシステムをベースにして作られたスピンオフ。~ 実質的に『[[3>鉄拳3]]』と『[[4>鉄拳4]]』の間を埋める穴埋め作として短期間で開発された一作。~ 略称は『鉄拳タッグ』『鉄拳TT』『TTT((なお、シリーズの他作品が『T2』『T3』と略されることは稀。))』となっている。~ 開発期間こそ短かったものの、シリーズの人気キャラがそろい踏みするお祭りゲー的な要素を始め、全体的な完成度は高い。 ---- **特徴 -基本的なシステムは前作『3』同様。もちろん手前・奥への移動システムも健在。 -最大の特徴は''「タッグ」''の名の通り、2人でチームを組んで戦うこと。戦闘を行うキャラと、控えのキャラに分かれることになる。 --選べる組み合わせに制限はなく、対戦中は自由に交代できる。 ---交代方法は、新たに追加された5つ目のボタン、チェンジボタン((AC版の初期設定では右パンチ(RP)ボタンのさらに右隣に配置されている。))を押すだけ。状況により立ち状態からの通常チェンジ、浮かせ技を当てると同時にチェンジ、交代しながら投げ攻撃を行うチェンジ投げ、受け身からそのまま交代する受け身チェンジなどに派生する。 --体力ゲージは戦闘中と控え中のキャラそれぞれが持っており従来の2本分の体力があると言えるが、''チームのどちらかのキャラの体力が尽きた時点でラウンド終了''となるため、状況に応じて交代させることが重要である。 ---なお、勝敗は従来の鉄拳シリーズと同じく規定本数を取ったほうが勝ちのラウンド制。「1ラウンド制・チームを全滅させたら勝ち」が定番のリアルタイム交代型の格ゲーとしては珍しいタイプと言える。 --控えに回っているキャラクターは体力が徐々に回復する(ダメージを受けた後に残った赤い部分(通称:ヴァイタルソース)の限り)。なので適宜交代した方が圧倒的に楽。 ---タッグコンボ((コンボ中に自分のチームの両方のキャラが攻撃を当てていると成立。))ではヴァイタルソースを削る効果があるといった戦術的要素もある。 --タッグ制による「怒り状態」というシステムも存在。これは相方が一定ダメージを受けることで控えキャラが、仲間のピンチに駆けつけるかの如く怒り状態になり一定時間攻撃力が上昇する要素で、その一定ダメージに達すると相方の体力枠が赤く点滅し、怒り状態に入ったことを示してくれる。そこでその状態の相方に交代すると、攻撃力が上がった状態で一定時間戦える。 ---また隠し要素として「怒り状態」になるための相性値が存在し、組み合わせにより怒りやすいタッグ、怒りにくいタッグがある。ストーリー設定上で仲の良いコンビ(例:ミシェール&ジュリア、キング&アーマーキング)なら怒り状態になるまでの体力下限が高めだが、敵対関係にあるような組み合わせ(例:リー&平八or一八)だと体力がギリギリまで減っても絶対怒り状態にならない。 --家庭用のみ、従来通りの交代なしの1on1ルールも存在する。 -前作まではやや強力すぎる傾向にあった下段技関連に調整が入っている。 --ダウンを奪える回し蹴り系の技はガードされると弾かれるモーションが入り、大きな硬直となるようになった。 --前作から一部のキャラが固有技として持っていた「下段さばき」が全キャラ共通動作となった。相手の下段技に合わせてレバーを前斜め下に入れると、下段技をさばいて相手に硬直を与えられる。 -他にも横移動が避け手段として実用レベルになり、前作では回避がほぼバックステップ1択だったが、今作ではバックステップで後ろか、横移動で奥・手前、どちらへ避けるか、という避けにおいても読み合いが発生するようになった。 ---- **評価点 -登場キャラクター数の圧倒的多さ。『3』までの登場キャラはほぼ完全に網羅し、''総勢33名+オリジナルラスボス1''(同性能別キャラ含めると全39名)。なんとこれを上回る登場キャラクター数は8年後の『[[5DR>鉄拳5]]』まで待つ必要がある。 --本作では「『3』は『[[2>鉄拳2]]』の19年後」という時系列があえて無視されており、『2』までの登場キャラは全て『2』時点の年齢で登場するため、世代が丸々1つ違うミシェールとジュリア、22歳の準と18歳の仁の風間母子など、ありえない組み合わせも多数登場する。 ---ただし、基本的には最新版の設定に合わせられているので『2』の54歳版平八などは使用不可。 --プロトタイプジャック、アレックス、州光など後のシリーズではほとんど顔を見せなくなったマイナー組も問題なく使用可能。これ以外では続編である『鉄拳TT2』でしか使えないキャラも多い((プロトタイプジャックや風間準など、設定上、外伝でないと出せない事情を持つキャラも居る。))。初代アーマーキングなどは本作がラストになってしまっている。 ---このため本作でのジャックシリーズは合計3種類(ガンジャック、ジャック2、プロトタイプジャック)も使用可能である。 --キャラクター数が極めて多く、タッグの組み合わせを考えると数百。そのため理想の組み合わせを探すのもまた楽しみの一つ。先述した「怒り状態」におけるキャラ毎の相性もまたそれに一役買っていると言えよう。 ---対戦開始時・勝利時(加えて1人用でのゲームオーバー時)にはそれぞれがモーションを取っているが、設定に関わりのある2人組など特殊な組み合わせの場合2人で1つの演出となるなど凝った作り。 -独特なシステムも面白い。交代の際に発生する隙をいかにして潰していくかが本作の肝になる。 --また、交代することで打ち上げた敵を控えのキャラでさらに追い打ちをかける空中コンボをしかけられるなど、立ち回りもさらに派手になっている。 ---本作以降、『鉄拳』シリーズはより「魅せる空中コンボ」が中心になっていったとも言える。 -優れた対戦バランス --そして本作で語るにおいて忘れてはならないのが、『鉄拳』シリーズでやっと''対戦バランスが整った''ということである。恐らく本作を作るまでの3作品のナンバリングタイトルでのフィードバックを本作に活かした結果とも言えるのではないだろうか。 --もちろん人間の仕事なので完璧なバランスというものは存在せず、現に後ほど説明するが本作の特徴でもあるタッグコンボの調整が不十分であったり、三島家全般やトゥルー・オーガなど強キャラは目立つものの、キャラ差のある対戦カードでもそこそこ戦える創りになってはおり、何より総勢33名でタッグシステムを採用してることを考えると奇跡的とでも言えるほどのバランスと完成度を保っている。 -PS2版にはオマケモード「鉄拳ボウル」が収録。鉄拳キャラでやるボウリングという、基本はそれだけの内容なのだが、タッグを組んで1投目と2投目を担当するのは往年の「スターボウリング」と同じシステム。所々小ネタも仕込まれておりオマケながらなかなか楽しめる。 --例えば観客の中に『3』のボスコノビッチ博士がいる、吉光・ジャックシリーズ・ブライアンなどのサイボーグキャラでは専用の視界になる((ブライアンでボスコノビッチ博士を見ると''TARGET''の表示が出るネタも。))など。 --ボウルを思いっきりカーブさせて場外の観客にぶつけてK.O.させることができる。この際、画面に「※危険ですので、絶対に真似をしないでください」と警告が表示される --パワーと投球タイミングを誤ると、キャラクターが勢いあまって手にしたボールごと思いっきりレーンにダイブし、そのまま滑ってピンに向かってツッコんでいくという珍事も起きたりする。 ---同モードはその後『[[鉄拳 DARK RESURRECTION]]』や『7』((こちらは有料DLC。))にも収録されている。 --ちなみに「鉄拳ボウル」自体も、PS版『[[鉄拳3]]』に収録されたオマケゲーム「鉄拳ボール」にかけたネーミングと思われる。ちなみに、鉄拳ボールはボールに技を当てて相手コートに打ち返すビーチバレーのようなゲーム。 -BGMの良アレンジ --対戦BGMはラスボス・アンノウンと高校ステージのものを除き、基本的にAC版のアレンジとなっているが、いささか地味であったAC版のものと比べて全体的にアップテンポで臨場感を持たせるものとなっている。 ---このうち、上記高校ステージとオーガのテーマはタッグトーナメント2でさらにアレンジされたものが用いられている。 ---- **問題点 -厳密には「オールスター」ではない。 --具体的には『3』までのキャラクターの中で、初代キング、初代クマ、初代ジャック、マーシャル・ロウ、家庭版『3』の隠しキャラクターのDr.ボスコノビッチとゴンが参戦していない。 ---先代の死亡に伴って2代目に交代しているキングとクマ、後継機(ジャック2やガンジャック)が参加しているジャック、全くの同性能の息子が参加しているマーシャル((それでもミシェールとジュリアが両方いることを考えると何らかの性能差を施して参戦してほしかったところだが。))、漫画作品『ゴン』からのゲスト出演であるゴンは版権作品からの参戦であったことからも権利上登場できなかったにしても、『鉄拳』オリジナルキャラであり奇妙キテレツな性能と変な動きのインパクトで話題となったDr.ボスコノビッチが不在なのは残念なところ。Dr.ボスコノビッチを使いたかった、という声は多い。前述のおまけゲームの背景には出ているのだが。 ---後に『鉄拳TT2』に参戦しているものの、技の多くが差し替えられているので『3』仕様のボスコノビッチが使えるのは家庭版『3』だけになっている。 -グラフィックレベルは微妙なところ。 --''『3』からは間違いなく進化している''のは確かだが、PS2クラスのクオリティか、というと疑問符が付く。特に家庭版はジャギーやフリッカーが目立つ。 ---ただし本作のPS2版が発売されたのは、ハード自体が発売されてからまだ1ヶ月も経ってない、初期にすら満たない開始時期であったので、PS2の性能を目一杯引き出せてなかったためだと思われる。 ---そもそもAC基板であるSYSTEM12自体、前世代のPSの上位互換基板((『鉄拳3』のシステムをベースにしているので使用基板も同じである。))なのでPS2のH/Wスペック基準で比較すること自体に無理が有るが、本作の家庭用移植をPS2で出したのは、本作のクオリティをそのままPSのスペックで移植するには既に無理なレベルになっていた((シリーズ全般に言える話であるが、PSへの移植時はハードの制約上モデリングデータを圧縮していた。また、PS版『鉄拳3』では背景が簡略化されていた。))ことや、時期的にPS2への世代交代の足がかりとしてラインナップに入れたナムコ側の思惑であるとも言える。 ---また、少なくとも目に余るほど酷いわけではなく、キャラクターの造形などはよくできている。特に新しく濃密に描き込まれた背景、そしてプリレンダだがオープニングやアンノウンのエンディングムービーは受賞するほど評価が高い。 --そしてその後に発売された『[[4>鉄拳4]]』のグラフィックは、同じPS2(AC版もPS2互換基板のSYSTEM246)でありながら、この問題点を克服する以上に異常に良いとまで言われるほどの劇的進化を遂げた。 -お祭りゲーなのでストーリー性は皆無。 --前述の通り時系列を完全に無視してキャラクターがほぼ全員再登場しているため、整合性を取ろうというのが無理がある。 --とはいえ、単なるお祭りゲーと割り切るにはラスボスの正体など現在に至るまで謎な要素も存在する。ちなみに、今大会の主催者はシリーズで唯一三島一族ではない((今作は「厳竜が見た夢の中での出来事」という設定で、彼が主催したことになっている。続編の『TT2』でも当初はこの設定が踏襲される予定だったが、本作発売から間が空きすぎていたという理由で本作限りの設定となっている。))。 ---エンディングは単なる実機ムービーで、内容も非常に簡素。確かにストーリーに期待するような作風ではないが…。 -タッグコンボ --タッグコンボというシステム自体はまずまず好意的に受け止められていたが、そのシステムをフル活用できるキャラ、そうでないキャラの差がとても大きい。 --特に浮かせ技チェンジのコンボでは、浮かせ技自体がそもそもチェンジ対応していなかったり、浮かせる → チェンジした相方が入ってくる間に敵がほぼ落下寸前でまともなコンボにならないなど、未調整な部分もある。 ---もしくはそのタッグチェンジ対応浮かせ技が元々非常にリスキーでそうそう狙えるものではなかったりなど。タッグコンボのことまで考えるとどうしても自分の好きなキャラだけでは組めないという悩みも発生していた。 ---一応、組み合わせにより怒り状態になりやすいか否かなどの、タッグコンボ以外のタッグ編成に絡む要素も戦術に関わってくるのだが.... ---逆に強キャラはこのタッグコンボ始動技が強いことが多く、特に三島家は主力技の風神拳がタッグチェンジ対応というのもあってタッグコンボ火力は他キャラより一枚上の強さだった。 ---本作の続編にあたる『鉄拳タッグトーナメント2』では上記のような一部キャラは有効活用出来ないといった事態は無くなったものの、三島家の風神拳は引き続き猛威を振るうことに((もっとも、三島家の風神拳が脅威というのはいつものことではあるが。))。 -4つボタンでコンボを繋げながら合間にタッグチェンジボタンを押すというのは慣れないとなかなか大変で、タッグシステムを「体力がジリ貧になった際の交代要員」としてしか使わないプレイスタイルも成り立ってしまう。PS2版のように「1 on 1モード」も選べるようにしておいた方がよかったかもしれない。 -タイムアタックが作り込み不足。 --キャラクターの組み合わせによって誰と戦うかが決まっておらず、最後の7、8戦目以外は完全ランダムになっている。 --序盤のCPUが弱い状態なら良いが、後半はそれなりに強くなってくるため、そこでキングやアーマーキングなどの投げモーションが長いキャラクター、ジャック系統などコンボモーションが長いキャラクターを引くと、それだけでタイムロスになってしまう。 --いかにCPU相手とはいえ、後半に一撃も喰らわずに倒すのはかなり難しく、そこで受けた攻撃のモーションでタイムが変わってしまうのは、タイムアタックというルールではあってはならないことである。後半に前述のキャラクター達を引かない運が必要になっている。 --逆に、敵から一発も貰う事なくクリアできる腕前のプレイヤーならば、早く倒せるかどうかは敵を倒すまでの演出の話でしかなく、タイムアタックの体を成していない。 --「演出の短いキャラクター、攻撃力の高いキャラクターでクリアできるかどうか」の話になってくる。 --ついでに、ポーズが出来ず途中で止めることも出来ないため、記録狙いで遊んで序盤でミスした場合わざと負けなければならず面倒。 ---事実、ネット上にも攻略記事や動画などがほとんど存在しない程、人気のない種目になってしまっている。 ---- **総評 時系列や敵対関係などを全て無視して歴代の人気キャラが一堂に会したお祭りゲー。~ 開発期間の間をつなぐ穴埋め的な立ち位置で作られたものではあるが、短い開発期間の中できっちり作りこまれており、要となるタッグバトルにおけるコンボシステムに未調整な部分は見受けられるものの、高い完成度とお祭りゲーならではの賑やかな雰囲気で本家に負けない人気を呼んだ。 //実際後に稼働した『4』よりも本作の方が長くゲームセンターで稼働していた、というエピソードもある。~ ---- **余談 -開発者によると、本作はリリースするまで販売部や営業部からは「こんなの売れるの?」などとずっと文句を言われるほど評判は悪かったが、ヒットすると社内の評価はガラリと変わり((あまり期待されてなかった商品が成功するのは業界ではよくあることである。2001年発売の『太鼓の達人』も同様に発売前はあまり期待されてなかった。))、「タッグ2は出ないの?」とばかり言われるようになったという。 ---- **その後の展開 -2011年9月14日に続編である『鉄拳タッグトーナメント2』がアーケードで稼働開始。2012年9月13日にはPS3/360版が、2012年12月8日にはWiiU版も発売された。

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