幻霧ノ塔ト剣ノ掟
【げんむのとうとつるぎのおきて】
ジャンル
|
3DダンジョンRPG
|

|
対応機種
|
ニンテンドーDS
|
発売・開発元
|
サクセス
|
発売日
|
2008年5月22日
|
定価
|
4,800円(税別)
|
プレイ人数
|
1人
|
レーティング
|
CERO:A(全年齢対象)
|
判定
|
なし
|
概要
至極一般的な3DダンジョンRPG。いわゆる『Wizardry』フォロワー。
オールドゲームを意識した造りが特徴。
システム
-
原点回帰を念頭に置いているのか、アレンジVerとオリジナルVerの二種類が選択できる。
(但しオリジナルと銘打っているが、別に本作は何かのリメイクというわけではない)
-
アレンジVerは現行機のDS相応のグラフィックとサウンド。
-
オリジナルVerはワイヤーフレームのダンジョン、使用色数の少ないドットのキャラクター、チップチューンサウンドと古い3DダンジョンRPGを強く意識している。
-
ゲーム開始後、プレイヤーの分身となるキャラクターを作成する。
-
キャラクターは最大20人まで登録可能。最初から用意されているキャラクターもいるが、パーティーとして組めるのは4人まで。
-
キャラクターは作成時に基本技能(戦士・盗賊・魔術師・司祭。いわゆる職業)と種族を選択する。
-
属性(秩序・中立・混沌)については、初期属性が固定の種族と、作成時に選択可能な種族とがある。
-
基本技能に応じ、それぞれ異なる補助技能(いわゆるスキル)を取得することができる。
-
(後述の属性専用装備以外に)装備制限は無く、たとえ魔術師であっても着用するだけならほぼ全ての装備を着用可能。
-
とはいえ装備によっては呪文や補助技能に制限がかかるので、キャラクターの持ち味を潰さない方向で装備を選ぶ必要はある。
-
武器には近・中・遠の射程の概念があり、射程に見合わない距離には攻撃できない。
-
近:前列から敵前列にだけ届く。後列からは攻撃できない。
-
中:前列からすべての敵に届く。後列からは敵前列にだけ届く。
-
遠:位置に関係なくすべての敵に届く。
-
経験値を稼いだだけではレベルは上がらない。またレベルを上げてもHP以外の能力値は上がらない。
-
レベルアップ・補助技能の修得・能力値の上昇は、いずれもギルドで経験値を消費して行う。
-
呪文の習得や忘却に関してもギルドで行うが、こちらは経験値を消費しない。
-
戦士レベルを上げるキャラクターは、戦士として誓約を守らなければならない。
-
一定レベルに達するごとに、幾つかの誓約の中から1つを選択する。
-
レベルが低いうちはたいした影響はない。(「ネコのしっぽをにぎってはいけない」「宴会の誘いを断ってはいけない」等)
-
レベルが上がるにつれて「見知らぬ敵から逃げてはならない」「竜を殺してはならない」等と難度が上がっていく。
-
誓約はある程度任意に選択することができるため、パーティー構成に応じて変化させる必要がある。
-
誓約をやぶると「不名誉ポイント」がたまり、 レベルアップに必要な経験値が増加する等のペナルティが課せられる。
-
キャラクターは先述の通り、いずれかの属性に所属して忠誠を保っている。
-
秩序と混沌は相反する属性で、双方のキャラクターを同じパーティーに入れることはできない。
-
装備や呪文の中には、特定の属性だけが使用可能なものも存在する。
-
但し装備はともかく、属性呪文を使うと属性への忠誠が下がり、忠誠が低いと使えなくなるので乱用はできない。下がった忠誠は神殿への祈り(下記)で回復する必要がある。
-
秩序と混沌には神殿があり、神殿では様々な恩恵を受けることができるが、神殿を利用して祈りを行うとそちらの属性に偏ってしまう。また基本技能が司祭の場合、司祭レベルを上げることでも属性への忠誠が上がる。
-
忠誠を高めることでより良い恩恵を受けることはできるが、もう片方の恩恵を受けることができなくなる。
-
秩序もしくは混沌のキャラクターが逆属性へと傾いていくと中立属性になる。中立のキャラクターは秩序・混沌どちらにも傾き得る。
+
|
なお…(ネタバレ注意)
|
-
秩序・中立・混沌のいずれとも違う隠し属性も存在する。
|
-
あとは迷宮に潜り、モンスターと戦い、宝箱の罠を外してアイテムを入手し…
探索とハック&スラッシュを繰り返して冒険を進めていく。
評価点
-
比較的シンプルなゲームシステム、媚を感じさせない硬派な作り、アレンジとオリジナルを選択可能なシステムは、オールドゲーマーと現代のゲームユーザー双方にとっつきやすい。
-
いわゆるWizardryフォロワーであるが、4人パーティ、誓約システムなど、オリジナリティを出そうという努力が見える。
-
ダンジョンRPGらしく、ハック・アンド・スラッシュの面白さを十分に備えている。
-
荒川憲一の手がけたBGMの評判も良い。アレンジとオリジナルで使用音源が異なるのも面白い。
賛否両論点
-
装備品の細かい能力が表示されない。この辺りもオールドゲームそのまんま。
問題点
-
ユーザーインターフェイスが、オールドゲームの不満点までそのまま継承してしまっている。
-
メッセージスピードが遅い・ゲーム開始時のカーソル位置がNewGameなど。
-
移動速度が遅いのにダンジョンが複雑で歩く距離が長い。ショートカットを使用しても遠い。
-
プレイヤー側が『Wizardry』より少ない4人パーティであるにもかかわらず、中盤以降は出現するザコ敵の数が『Wizardry』並もしくはそれ以上となる。
-
そのためザコ敵を一掃できる攻撃魔法がほぼ必須となり、戦士系は存在価値が薄くなる。
-
バグが多い。
-
セーブデータ破壊、クリアアイテム消失など、ゲーム進行に影響のあるバグが多々ある。
-
クリア後限定となるが、莫大な経験値が一瞬で手に入るというバランスブレイカーなバグも存在する。
総評
本作は人によって評価が分かれる作品である。
旧『Wizardry』のような硬派で淡々としたRPGが好きなユーザーや、名前とステータスだけでキャラクターをイメージすることに長けたプレイヤーは楽しむことができる。
逆に、RPGに求めるものが個性的なキャラクターや、美しいグラフィックや、自由度である場合は古臭いだけの駄作に見えるだろう。
しかし、ハードスペックが飛躍的進化を遂げた今に、原点回帰を求め、主人公達のキャラクター性を排除し、テキストとサウンドとシステムで世界観を表現しようという取り組みは特筆すべき事項と言える。
バグの多さや戦闘バランスなど残念な部分はあるものの、ダンジョンRPG好きならばプレイする価値はあると言える。
余談
-
本作の公式ホームページにもアレンジVerとオリジナルVerの二種類が存在する。アレンジVerは現代相応ではあるが、オリジナルVerのページはオールドゲーム然としていて、開発スタッフのこだわりを見て取ることができる。
最終更新:2021年06月19日 22:43