イースVI -ナピシュテムの匣-
【いーすしっくすなぴしゅてむのはこ】
| ジャンル | アクションRPG |  
 | 
| 対応機種 | Windows 98~8 | 
| メディア | CD-ROM2枚組&DVD-ROM1枚 | 
| 発売・開発元 | 日本ファルコム | 
| 発売日 | 初回限定版:2003年9月27日 通常版:2003年12月19日
 Vista対応版:2007年3月29日
 7対応版:2010年12月16日
 8対応版:2013年3月22日
 | 
| 判定 | なし | 
| ポイント | 8年越しに復活したイース バランスとシナリオはだいぶ大雑把
 楽曲はめちゃくちゃ熱い
 | 
| イースシリーズ | 
 
概要
- 
SFCの『失われし砂の都ケフィン』から実に8年ぶりに発売された新作。
- 
全てのマップが3Dとなり、クォータービュー化している。
- 
本作をきっかけとして、以降の新作やリメイクは『I・II』を除いて全て3Dとなる。
 
- 
キャッチフレーズは「『伝わる優しさ』、広がる『冒険心』」
特徴と新要素
- 
エメラス剣
- 
序盤は普通の剣だが、その後はエメラス剣と呼ばれる三種類の剣をストーリー中で入手していき使う。これまでのイースは全て店で購入したり宝箱からより強い武器を入手したが、本作ではエメルと呼ばれる鉱石を使って工房で強化してもらう。強化が進むと剣魔法を使えるようになったり、剣魔法のゲージが時間で貯まるようになる。
 
- 
ダッシュ要素
- 
移動中に攻撃やジャンプのアクションを混ぜることにより、より遠くへ移動することが可能。
 
- 
クォータービュー化
- 
全てのマップが3Dとなり、攻略およびアクション要素を深めることになる。とはいうもののフル3Dではなく、一部奥行きがある程度で、次作の『フェルガナの誓い』で更に洗練されていく。
 
- 
アクション性のアップ
- 
『V』のアクションを進化させ、複数回の攻撃が可能となったため、爽快なアクションが可能となった。3Dをフル活用したマップは、今後リリースされる全てのイース作品の基盤となる。
 
- 
画像の進化
- 
Windowsの性能をフルに活かした美麗なインターフェースは、かつてのイースと一線を画すほどのクオリティをほこる。
- 
フルCGで描かれたマップは当時の水準でいえば平均以上。滑らかに靡く海等のリアルな造形は、ファルコム技術さまさま。
 
- 
イベントシーンのADV形式の採用
- 
より臨場感が向上。このスタイルも、後続作品のお決まりとなった。
 
- 
やり込み要素
- 
隠しボスが登場。ノーヒントで見つけるのはそれなりに困難な場所に居るが、登場地形も大きさもその辺のザコと思うような雰囲気であるにもかかわらず、ラスボスを遥かに凌駕する能力であり、初見のプレイヤーを恐怖のどん底に叩き落とした。
 
評価点
- 
BGMのクオリティ
- 
「イントロで違いがわかるくらい、一曲ごとに変化をつけ、似た曲を作らない」ということから、これまでのイースよりも曲のジャンルが多種多様。
 相も変わらず曲の評価は高い。前作のOPがしっとりした落ち着きあるものだったのに対し、本作は歴代最高レベルのハイテンションな楽曲とし、イースシリーズ再興を予期させる印象深いものになっている。
 中ボス戦の曲である「
Mighty Obstacle
」の人気は異常なほど高く、戦闘BGMが販促PVで使用されたのは
本作が最初で最後
である。
 また、ラスボス戦にはZUNTATAのような拍子を組み込むなど、サウンドはシリーズ一個性が強いといえる。
 
- 
ファンサービスが盛りだくさん
- 
前作との地続きなのか、5に登場したヒロインであるテラが成長した姿で再登板し、旧来ファンを喜ばせた。扱いもヒロインのそれと同様で、2作連続でヒロイン続投したのはフィーナに続いて2人目。また1に登場したあるキャラも再登場する。
- 
多くのセリフにイースの設定や地名がふんだんに盛りこまれているためファンをにやりとさせる場面が多い。
 
- 
個性的なボス勢
- 
3Dを活かした独特なモンスターも登場。特に際立つのは、ボスの本体が奥にあるため、ボスが吐き出した弾を打ち返してダメージを与えるのがメインになるというもの。ファンの間では「
バッティングセンター
」と称されている。
 
問題点
- 
ストーリーがイマイチ
- 
旧作キャラの登場などファンにとってはうれしい要素が多いが、ストーリー自体はあまり完成度が高くない。
    
    
        | + | ネタバレ注意 | 
特に新キャラのガッシュはアドルに戦いを挑むなどミステリアスな登場をした割に、アドルなどの他人に対して「この件に関わるな」と曖昧に忠告するだけで終盤になるまで詳しいことを何も語らず、ラストダンジョンに向かうアドルの前に唐突に現れて強引に便乗したうえ、一人先走って返り討ちにあっている等、ただの印象の悪いキャラのまま終わる。
ストーリー中で欲深な商人たちが「大渦を止めようとする」行為が一部のキャラ(ラーバ、ガッシュ)に非難されるが、漂流者である彼らが大渦を止める外界への帰還を望むのは自然なこと。ラーバがその行為に難色を示す必要性がない。この面で過去作から登場したキャラであるラーバの印象を悪くしてしまっている。
ガッシュはそれまでの行動からプレイヤーにとっては「隠しごとをしている癖にたびたび絡んでくる」という悪い印象しかないために、彼に非難されようが理不尽な言動として流せるのだが。
大事なシーンになるほど、アドルが蚊帳の外におかれて空気になりがち
最後に戦う人間も動機が理解不能な上に、死に際に突然改心する。まさにわけがわからない。
一応後続の作品(時系列では本作より前だが)でそれっぽいフォロー(というか後付だが)はされてはいる。
 |  
 
 
- 
アクション部分が大味
- 
ボスによっては正攻法の攻略法が非常にわかりにくい。空を飛ぶボス敵「ゾンプラス」は攻撃が効くタイミング(主人公アドルのジャンプの高さが大事?)がわかりにくく、中盤のボスで大きな二本の腕が特徴の「オージュガン」は本体が奥にあって通常の剣攻撃は届かない。本来は敵の弾を跳ね返して攻撃するのが攻略方法だが、炎の剣をゲージが自動で貯まるレベルまで強化してあれば遠距離に伸びる炎の剣魔法でも倒せる。レベル的にもちょうど良くそちらの方法しか気づかなかったユーザーもいる。
- 
『イース』『イースII』といった初期作品と比べれば大きく改善されてはいるが、相変わらずレベルと装備に極端に依存する戦闘バランスになっているため、レベルや装備強化が適正値に到達してないと全然ダメージが通らないことが起こる。つまり攻略適正レベルとのレベル差を立ち回りによって覆すといった楽しみが軽視された仕様になっている。
- 
また新要素のエメラス剣は強化による性能アップが急激なため、後半にもなると剣魔法・必殺技を乱発していればよいという大味なゲームになりがち。
 
- 
落し物
- 
モンスターを倒すとアイテムやエメルを落とすが、これがやたら散らばるため、即座に入手できない。更に高所から落下した日には、イライラも募る。
 
- 
ダッシュジャンプの操作性が悪い。
- 
攻略に必要だというのに、操作が難解で使いにくい。そのためボスのゾンプラスを筆頭に空中の敵にげんなりすることが多い。
 
- 
終盤の難易度曲線が大雑把
- 
今作のラスボスは単純かつ確定したルーチンを持つため、パターンを把握すればノーダメージ撃破が容易なほど弱い。
- 
しかしその直前のバトルは、そこまでと比べて極端に難しくなっていただけに、悪い印象に残りがち。
 
賛否両論点
- 
ファンサービスが豊富なぶん、新規ファンにはわかりにくいセリフ回しもやシーンも増えている。
- 
有翼人の設定
- 
本作から有翼人の設定が盛り込まれたため、後続作品において外せない重要な設定となった。
- 
これに伴い、有翼人絡みの設定であるエメラスや龍神兵も登場した。しかしながら、多少無理やりな後付け設定(特にフェルガナの誓い)にも見受けられる。
 
総評
前作『イースV』のアクション要素をさらに深化させ、画面のクオリティの向上により大きく進化した。攻撃が体当たりといった部分に象徴される「マイナーな古いゲーム」から、「現代風に作り直された一作」として殻を破っていく路線をひき、シリーズ物では一定の評価を得られたといえるだろう。
美しいBGMとファンサービスにあふれた演出が堪らないものの、全体的にみるとさまざまな面で大味さがあり、一定の評価といってもあくまで“パソコンのアクションRPGとしては”と注釈がつく出来栄えなのは否定できない。さまざま面での大味さの改善は、次作以降に持ち越しされることになった。
その後の展開
- 
後にPS2・PSPにも移植された。詳細はこちらを参照。
- 
PSPで発売された『イースvs.空の軌跡 オルタナティブ・サーガ』にガッシュが参戦し、オルハ・エルンストがサポートキャラとして登場する。
- 
前述の「Mighty Obstacle」を始め、一部楽曲が収録されている(OP曲はバンドアレンジ版収録)。ただし、OPムービーは未収録になっている。
 
- 
発売から
約20年後の2021年
にイース6オンライン(ソシャゲ)としてリメイクされた。国内より海外のセールが高い傾向にある。
最終更新:2024年07月26日 09:27