イースvs.空の軌跡 オルタナティブ・サーガ
【いーす ばーさす そらのきせき おるたなでぃぶさーが】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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プレイステーション・ポータブル
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メディア
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UMD 1枚
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発売・開発元
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日本ファルコム
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発売日
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2010年7月29日
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定価
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ドラマCD同梱版:7,980円 パッケージ:6,090円 ダウンロード:5,200円(各税5%込)
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廉価版
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PSP the Best 2011年7月14日/2,940円(税5%込)
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判定
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なし
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ポイント
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ファルコムの人気シリーズの共演 豊富なコレクション要素 イース7からの流用の多さ
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イースシリーズ ドラゴンスレイヤー&英雄伝説シリーズ
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概要
日本ファルコムの人気シリーズである『イースシリーズ』と『空の軌跡シリーズ』との共演作品。
両作品に登場するキャラクターが登場する対戦アクション。ファルコムとしては初のお祭りゲーである。
ストーリーは「魔王ガルシスに支配された世界を救うために、イースや軌跡のキャラを呼び出しドラゴンスレイヤーを入手して倒す」という、今までのファルコム関連作品を混ぜたような内容となっている。
相手として登場するキャラ達も、元々の理がおかしくなり、魔王に洗脳されて襲い掛かってくるという設定になっている。
基本システム
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対戦システムは基本的に『イースSEVEN』の物を参考にしている。
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通常攻撃でSPを溜めて、SPを利用してスキルを発動し効率よくダメージを与えていく。溜め攻撃で獲得できるSPの量が増える。
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これとは別にEXゲージが溜まり、スキルを発動したり攻撃を受けたりすると増加。貯まると強力なEXスキルを放つことができる。
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フラッシュガード要素も健在。敵の攻撃をガードした直後の攻撃は、必ずクリティカルになる。ガードするとSPやEXゲージが溜まる。
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ダッシュや回避と言った要素もあるが、これらの要素を使用し続けるとスタミナを消費してしまう。空になってしまうとスタン状態になってしまい、行動が出来なくなる。
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各キャラにはサポートキャラを一人だけ登録することができる。
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与えるダメージをアップさせたり、受けるダメージを減らすものなど効果は様々。一回の戦闘中で一回のみ使用できる。
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宝箱などオブジェクトを破壊すると、アイテムが出現する。SPを獲得したり状態異常を回復したりと効果は様々。
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各キャラクターにはレベルや装備品と言った概念がある。
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ステージをクリアすると経験値が溜まり、レベルアップすることで能力がアップする。
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一見するとレベルを上げる程有利になる仕様だが、フリーモードでは全員のレベルを固定にすることもできるので、レベル差が開いても安心して対戦できる。
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ステージクリアで獲得したモナポイントを使用して、装備品の購入や武器・防具・スキルの強化が行える。
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装飾品はAPがある限り、何個でも装備ができる。ただし、同じような効果を持つ装飾品は一つのみ。
ゲームモード
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特定のキャラでストーリーを攻略していく「ストーリーモード」。
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一度クリアすると、初期レベルがアップした難易度に挑戦可能。
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選んだキャラで勝ち抜き戦を行う「アーケードモード」。
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自由にキャラや対戦形式を選択して対戦ができる「フリーモード」。
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制限時間・レベルやアイテムの設定が自由にでき、トレーニングモードにすることも可能。レベル差があっても、レベル固定にすればレベル差も関係なく対戦可能。
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これら以外にも、アイテムや要素が購入ができる「ショップ」、集めたコレクションを閲覧できるモードなどが存在する。
評価点
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ファルコムの人気シリーズの共演
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人気シリーズであった、イースシリーズと空の軌跡シリーズとの共演は斬新なものであった。
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サポートキャラクターも両作品の物から選りすぐりのキャラが登場している。
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両作品だけではなく、ドーラやパリンなどと言った一部のファルコム作品のキャラもサポートとしてゲスト出演している。
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また、当時発売前だった『零の軌跡』からロイドとエリィが先行して出演している。
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ストーリーモードの会話シーンや対戦終了後のセリフはフルボイス
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アイシャなど、本編では掛け声だけだったキャラも多いため、こういった配慮はファンにとっては嬉しい。
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本編ではほとんど喋る事がなかったアドルも、会話シーン等で台詞が用意されている。
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充実したコレクション要素
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本作には「マテリアルコレクション」というコレクション要素があり、対戦で貯まるモナポイントを使用して様々なコレクションアイテムを購入できる。
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関連するゲームのムービーやBGMの閲覧・視聴や、本作でしか入手できないカスタムテーマなどがPSPにインストールできる。
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過去にファルコム公式サイトなどで公開された壁紙も、PSP用に調節された物をインストールできる。
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一部壁紙はサイトにて公開時期が終わった・限定配布していたものも入っており、持っていないプレイヤーにとっては嬉しい。
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これらの壁紙は、ローディング待ちの画面にランダムで表示される。
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BGMは両シリーズだけではなく、その他ファルコム関連作品の物も数多く収録されている。出典も書いているので、どのゲームやCDからの出典なのかも知ることができる。
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購入したBGMは自由に視聴するだけではなく、フリーモードの対戦BGMとして設定する事も可能。購入してあれば、収録されている曲全てを対戦時のBGMにすることが可能。明らかに戦闘に向かないものも選択可能。
問題点
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『イース7』からの流用の多さ
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システムの項で述べた、対戦システムはイース7を参考にしている部分はもちろん、随所に『イース7』を参考した部分が多すぎる。
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今作のアドルを始め、ドギやアイシャなどのイース7に登場したキャラの容姿・モデルは『イース7』を参考にしている。
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一部のボスキャラの動きは、イース7本編に登場したボスキャラの動きそのもの。
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そもそも『イース7』は1人用のアクションRPGに特化したシステムであり、対戦ゲーム向きのシステムとは言い難かった事が不評に繋がっていると言える。
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また、ドギの衣装はイース7の物であるが、声優は『フェルガナ』でドギを担当した玄田哲章氏の物となっている。イース7をプレイした人からみると違和感が強い。
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キャラ選定の問題
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イース側のメインキャラクターはチェスターを除き、『イース7』の新登場キャラクター或いはイース7と関わりのあるキャラクターばかりであり偏りが大きい。
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『7』以前の『イース』は戦闘に参加するのは基本的にアドルのみである、古い機種でしかプレイ出来ない作品が多い上にシリーズ自体の知名度もそこまで高く無いため過去作のキャラクターを出しづらいなどの止むをえない事情もあるが。一応、サポートキャラとしての登場は多め。
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一応過去作のプレイヤーキャラとしては、『オリジン』のユニカやユーゴが挙げられるが彼らはサポートキャラでの参戦のみにとどまっている。
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また、イース側でストーリーモードで使用できるキャラはアドルとガッシュのみ。話題となっていた、『イース7』のキャラクターからは一切選択できない。
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一方空の軌跡側はそこまで大きな問題は無いが、『空の軌跡 the 3rd』の主人公であるケビンがメインキャラクターではなくサポートキャラクターであるなど不可解な点もある。
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育てやすいキャラと育てにくいキャラの格差
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ストーリーモードがあるアドルやエステルなどと言ったキャラは、そのモードのおかげでレベルが上げやすい。
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しかしその一方で、ストーリーモードで使えないキャラはアーケードモードやフリーモードで対戦としないと育てることができない。
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一部のキャラはBPを溜めた数によって解禁されていくため、後から追加されるキャラの育成・強化がしづらく、レベルの偏りが生じやすい。
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とは言え前述の通り、対戦ではレベル固定にすることが出来るので、レベル差があっても問題なく対戦することは可能。
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モナポイントでレベルを上げたり、あるアイテムを使えば簡単に経験値を稼げるので、レベル上げ自体は簡単ではある。
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ストーリーモードの問題点
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基本的に会話シーンはボタン一発で飛ばすことができない。×ボタンによる高速スキップはあるが、早くは無い。
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特にアドル編は選択肢を選んで会話が進む形式なので、選択の面倒さや上記と合わさって面倒くさい。
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一度でもクリアしないと、上のレベルである「ハイレベル」「オルタナティブ」が選択できない上、新しく始めるたびに会話シーンを見る必要がある。
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一度クリアしたステージは、会話シーンなどがカットされスムーズに対戦出来るため、経験値やポイントを稼ぐのは楽になる。
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装飾品は今プレイしているキャラだけしか、装備の付け外しができない。他のキャラから装飾品を持ってきたい場合は、タイトル画面に戻ってカスタマイズを選択し装備を外す必要があり面倒。
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難易度「オルタナティブ」では、ステージを進めていくと相手のレベルが99を超える。こちらのレベルは最大99までなので、絶対的に不利な状態で戦わないと行けなくなる。
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ラスボスに至っては、なんとレベル110の状態で登場する。倒せないと言う訳ではないが、撃破は厳しいものになっている。
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フリーモードの問題点
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一戦終わるたびにキャラ選択画面まで戻されるため、一戦やる度にキャラ選択やステージ・対戦設定をしなくてはならない。続けて対戦したい場合は面倒。
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全員のレベルを固定して対戦すると、経験値・モナポイントが一切貰えない(BPは獲得可能)。
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相手COMのキャラのレベルは、自分が指定したキャラと同じレベルに合わせて指定される。そのため、高レベルキャラで低レベルキャラを戦わせたり、その逆もできない。
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ステージ・BGM解禁の問題点
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一部BGMやステージは一度でも聞いたり、ステージをプレイしないと解禁できない。
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その条件のせいで、マテリアルコレクション・収録BGM・実績をコンプリートするには一度でも負ける必要がある。
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そのため、誰か一人は戦闘全体の生存率100%未満にしなくてはならない。全キャラの生存率100%をこだわっている場合はあきらめるしかない。
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インターネット対戦モードでもロビーにて専用BGMがある。気づかない人も多い。
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ステージの方も、一部を除きストーリーやアーケードでそのステージを一度でもプレイしないとBGM・フリーモードでのステージ解禁ができない。
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とある隠しステージ(とBGM)は、全てのキャラでアーケードモードをクリアしないと解禁できない。後述の通り、全キャラ解禁とアーケードモードのだるさもあり、時間がかかる。
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それ以外の問題点
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アーケードモードではフリーモードと同じく、相手のレベルがプレイヤーが選んだキャラのレベルに合わせて登場するので、レベルが上がれば上がるほど一戦が長くなりテンポが悪くなる。
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経験値や各種ポイントや、アーケードモードのスコアであるTPが稼ぎやすいという利点はあるが…。
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サポートキャラは各ストーリーモードやアーケードモードをクリアすることで入手可能になるが、プレイヤーキャラも数が多くキャラ1人につき1つずつしか解禁されない為、すべて集めるのに時間がかかる。
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ストーリーモードでは高速スキップや演出カットが不可能、アーケードモードでは全キャラクリアする必要と上記のレベル合わせの仕様と相まって単調・面倒である。
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BPが非常に溜まりにくい。溜めていくと、追加キャラが使えるようになったり称号が変化するのだが、これが非常に溜まりにくい。
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一回のプレイでも全く溜まらない上、後から追加されるキャラも数が多く面倒くさい。特に最後に追加されるキャラであるロイドは、かなりのBPを溜めないと解禁されない。
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本家イース7では装備している武器や盾で見た目が変わっていたが、今作ではそのようなことは無い。オビスキュータなどの豪華なデザインでも、デフォルトの武器の見た目となっている。
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両作品含むファルコム関連作品のOPムービーが収録されているが、何故かPSPで発売されているはずの『イース6』のOPムービーは未収録になっている。
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PSP版の移植はコナミが関係していたために収録できなかったと思われる。
総評
『イース』シリーズと空の軌跡シリーズとの共演は斬新なものであったが、今一つな出来に仕上がっており良作とまでは行かなかった。
ムービーや壁紙などのコレクション要素は大きいため、ファンアイテムとしては損はしないだろう。
余談
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これ以降、両シリーズとのコラボは行われていないものの、イースシリーズ側にて『セルセタの樹海』以降の作品に、軌跡シリーズ側でお馴染みとなっている「みっしぃ」がゲスト出演している。
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ただし、みっしぃは近年ではファルコム全体のマスコットキャラクターという扱いになっているので、両シリーズとのコラボと呼べるかは微妙なところである。
最終更新:2021年11月30日 00:00