SNK GALS' FIGHTERS

【えすえぬけい ぎゃるずふぁいたーず】

ジャンル 対戦格闘ゲーム
対応機種 ネオジオポケット(カラー専用)
Nintendo Switch
発売元 SNK
開発元 夢工房
【Switch】Code Mystics
発売日 【NGPC】2000年1月27日
【Switch】2020年4月30日
定価 【NGPC】3,800円(税別)
【Switch】800円(税10%込)
プレイ人数 1~2人
レーティング 【Switch】CERO:B (12歳以上対象)
廉価版 【NGPC】2000年8月2日/2,500円(税別)
判定 良作
バカゲー
ポイント SNKギャルズ大集合の格ゲー
ギャグ要素増し増しな一方でシステム面は堅実
ラスボスがどう見ても八(以下略)
SNKクロスオーバー関連作品シリーズ
NEOGEO POCKET COLOR SELECTIONシリーズ


概要

ネオジオポケット末期にSNKより発売された、女性キャラ限定(一応)の2D対戦格闘ゲーム。
ギャグ満載のストーリーの一方で格ゲーとしての堅実な作りによりネオポケの隠れた名作と言われていた。


ストーリー

まさに世紀末の年、西暦2000年。
世界各国の有力な女性格闘家達のもとに一通の招待状が届けられた。

2000年。QOFを開催する。
大会の優勝者には、一つだけ何でも願いが叶うというマジスゴイ御札「Kの御札」を進呈する。以上。 [X]

追伸
「願いを増やしたい等の願い事は不可!」
「この招待状を受け取った者は必ず来ること。(男は来るな!)」
「この作品はフィクションです。登場する団体及び人物は、某有名格闘ゲームとは、ごくわずかしか関連しておりません。」

QOFとは何なのか?
謎の招待状の差出人[X]の正体は…?
いまここに今世紀最後(予定)の"私欲ムキ出し熱血(嘘)バトル"が繰り広げられる!

(説明書より)


基本システム

  • 主な操作体系は『ザ・キングオブファイターズR1』『R2』に準拠した物を採用。アナログスティック2ボタン制で、アナログスティックはプレイヤーの移動・ジャンプ及び防御。2ボタンはAボタンでパンチ、Bボタンでキック。圧力形式になっていて、ボタンを押した長さで攻撃の強弱が決まる。相手との距離やジャンプの状態で攻撃が決定させるシステムは実装されていない。
  • 基本的な操作のほかにある特殊行動は、前後2回入力によるダッシュ及びバックステップ、上方向の短時間入力による小ジャンプ、短時間下方向に入れてからorダッシュからのジャンプによる大ジャンプ、↓+ABによる吹っ飛ばし攻撃、といった様に、基本システムは『KOF'98』のADVモードに準拠した物になっている。
    • 吹っ飛ばし攻撃は空中版こそKOFの物と同様の性能を持っている。一方、地上版はモーション自体はKOFと同様ではあるものの、ヒットさせると上方向に追い打ち判定を持った状態で打ち上がる様になった。要は空中コンボ始動技といったところ。
      加えて、当時のKOFシリーズ同様にガードキャンセルにも対応していて、ガードからの反撃手段に空中コンボを組み込める事が出来る。
    • これまでの『KOF』ベースのネオポケ格ゲーでの挑発はABボタン同時押しという事もあり、『R-2』の様に空中吹っ飛ばしを出す際などの随所で挑発が暴発する恐れがあった。だが、今作での挑発のコマンドは「オプションボタン+←or→」と当時のACのKOFシリーズ寄りの操作になった事により、吹っ飛ばし関連での暴発を防ぐ事に成功。
      また、特定のキャラによっては挑発に攻撃判定を持った物も存在。この挑発はキャンセルして出す通常攻撃or必殺技に繋げられる様になっていて、状況によっては挑発とスーパーキャンセルが絡んだ連続技を作り出せる事も…
    • パワーゲージは「乙女ゲージ」となっており、3本までストック可能。1個消費してガードキャンセルと超必殺技というお馴染みの物に加えて、キャラごとの固有行動「プリティバースト」が使用可能。MAX版超必殺技に相当する大技は存在していないが、超必殺技の中には出典におけるMAX版に相当する性能のみの物も存在する。
      • 「プリティバースト」は過去のKOFをはじめSNK格闘ゲームにて登場した能力が見られる。また、『'98』におけるMAX発動の代わりとしても実装されているらしく、中には『'99』にて登場したカウンターモード及びアーマーモードを彷彿とさせる能力も存在する。
    • 登場キャラのうち、KOFシリーズ参加済みのキャラの多くは当時のアーケード最新作『KOF'99』から構えや必殺技が引用されている。また、超必殺技にはシリーズお馴染みの技のほかにオリジナルのものがある。
    • また、今作では必殺技をキャンセルして超必殺技に繋げる「スーパーキャンセル」のシステムも存在。
      • 同システムは『'99』にも実装されていたが、あちらはカウンターモード中に使用出来る物に対して、今作ではカウンターモード及びMAX発動に当たるシステムは特定キャラのプリティバーストに変更された関係で独立。それに伴い常に通常状態から仕様する事が出来る。
        SNKの対戦格闘において、通常状態から発動できるスーパーキャンセルはPS『リアルバウト餓狼伝説スペシャル DOMINATED MIND』における「ファイナルインパクト」に続いての採用。ちなみに後にKOFシリーズでも『'2001』以降の作品では今作と同じ様にカウンターモード及びアーマーモードが廃止された関係で通常状態でスーパーキャンセルが可能になるのだが、これに加えてシステム面が『'98』準拠という点が重なり、ある意味ではSNK倒産後の作品群を予見した様なシステム構成になっていると見ても良いだろう。
  • ゲーム開始時にアイテムを1つ選択可能。装備したアイテムによって様々な効果がある(効果のないものもある)。
    • アイテムは対戦相手毎に特定の条件を条件を満たす事で入手可能。いわゆる実績や勲章に近い存在だが、通信で交換したり、対戦において勝者が敗者から奪うこともできる。
    • ちなみに、アイテムの効果の中には『'98』以降のKOFで実装されていた「コンティニューサービス」を彷彿とさせる物も存在。こちらもアーケードから移植された物と見ても良い。
  • 超必殺技KO時にはKOされたキャラのイラストが順次表示される「ソウマトウフラッシュ」が発生する。
    • 超必殺技KOで特殊演出が見られる点はアーケード『ART OF FIGHTING 龍虎の拳 外伝』のアルテイメットKOをはじめとした脱衣KO演出を彷彿とさせるが、あくまでKO時の背景が派手になる程度なので、ルールやキャラの見た目については全く変化しない。
  • オプション面については項目名が今作流のアレンジが施されている(後述)以外はほぼ過去のネオポケ格ゲーとほぼ同様。今作では新たにオプション画面でゲームスピードの変更が可能になった。
    • 今作の基本的なゲームスピードは通常のSNK格ゲーに準じているのだが、遅くした場合は初代ストIIの様な重みのある戦いが出来る。反面、ゲームスピードを早くした場合は常にターボが掛かった様な状態になり、非常にスピーディーな試合展開を繰り広げる事が可能になっている。

登場キャラクター

  • レオナ・ハイデルン (初出:『KOF'96』)
    • QOFに興味はなかったが、最近表情が固いことをチームメイトに心配されておりやむなく参戦。
    • プリティバーストは手刀を放ち、ヒットすると一定時間経つかレオナが攻撃を食らうまで相手のガードを封じる効果がある。
  • シェルミー (初出:『KOF'97』)
    • オロチ復活の野望が潰え怠惰な日々を送っていたところ招待状が届く。
    • プリティバーストはハート型の飛び道具で、ヒットした相手の移動速度を若干ダウンさせる。
  • 麻宮アテナ (初出:『サイコソルジャー』/格ゲーは『KOF'94』)
    • 本作では『KOF'99』のボブカットの髪型で登場*1。髪を切ったのが不評だったため、髪を伸ばすために参戦。
    • プリティバーストは肉まんを食べて体力回復。元ネタは『KOF'97』で登場したケンスウの超必殺技。ピザまんに化けることはない
  • 不知火舞 (初出:『餓狼伝説2 新たなる闘い』)
    • アンディとの結婚を成就させるために参戦。
    • プリティバーストは着物姿で挑発して相手の乙女ゲージを0にする効果。所謂『'98』のEXTRAモード及び龍虎の拳シリーズにて登場していた挑発に近い効果だが、ゲージ消費技な上にヒットさせなくても発動するので効果は絶大。加えて、発動時に表示される台詞自体も本家ネオジオにおける舞の挑発時の物が使用されている事から、ネオポケ格ゲーでは珍しい「挑発ボイスの移植」という例になっている。
  • ユリ・サカザキ (初出:『龍虎の拳』/プレイアブルは『龍虎の拳2』)
    • 一人前と認めてくれない兄をギャフンと言わせるために参戦。
    • プリティバーストはドリンクを飲んで一時的に攻撃力アップ。元ネタは『餓狼伝説』のホア・ジャイのスーパードリンクと言われている(投げ込まれるのではなく自分で取り出すが)。加えて移動速度も大幅にアップする事から『'99』のカウンターモードに相当する効果を持つ。
  • ナコルル (初出:『SAMURAI SPIRITS』)
    • 招待状が届くも場所がわからない上に時代も違うということで途方に暮れていたところ突然ワープする形で参戦させられる。
    • プリティバーストは祈りを捧げて防御力アップし、のけぞり時間も短縮される。使用時に全身が黄色に光る事から『'99』のアーマーモードに相当する効果を持つ。
  • (初出:『SAMURAI SPIRITS〜侍魂〜(3D)』)
    • 黒子が持ってきた招待状を読んだ直後に見知らぬ土地へワープしており、移動した先が会場だと思って参戦。
    • プリティバーストは地面を這う蛇を放つ飛び道具で、ヒットした相手を拘束して体力を少量吸収する。全キャラで唯一ダメージを与えられるプリティバーストであり、これでKOしてもソウマトウフラッシュは発生する。
  • 一条あかり (初出:『幕末浪漫 月華の剣士』)
    • 退屈な日常を送っていたところに神崎十三が持ってきた招待状を、一度はラブレターじゃないからという理由で捨てるも詳細を確認せずに会場へ全力疾走。*2
    • プリティバーストは祈祷を行い、一定時間乙女ゲージが自動回復し続ける状態になる。いわゆる『'98』のEXTRAモードや龍虎の拳における気力ためなのだが、ゲージ消費技だけあってやはり効果は絶大。
+ ボス及び隠しキャラクター
  • ユキ (初出:『KOF'97』/プレイアブル初参戦)
    • 乱入キャラ。初期から設定上存在し、『KOF'97』のストーリーデモにも顔見せした「草薙京の彼女」がまさかの初参戦。
    • 隠しキャラなので説明書にストーリーは書かれていないが、QOFをクイズ大会と勘違いしたらしい。
    • プリティバーストはハンバーガーを食べて体力回復。食べ物が違うだけでアテナとほぼ同性能。
  • ウィップ (初出:『KOF'99』)
    • 中ボス、当時の最新作である『KOF'99』から参戦。比較的シリアスな雰囲気で、自身の過去を知りたがっている。
    • プリティバーストは「○△□!(伏せ字)」と叫び、吹き出しにヒットした相手のゲージ消費技を一定時間封じる(暗転は発生するが不発、ゲージ消費なし)。
  • ミスX (初出:???)
    • QOFの主催者兼ラスボスだが、正体はどう見ても……
    • プリティバーストは突然ギターを抱えて熱唱し出し、妨害されず最後まで歌い切った場合は一定時間相手を強制的に小ジャンプさせ続ける。効果自体はそこそこ強力だが隙が大きいロマン技。

バカゲー要素

効果のスケールが大きいアイテムをしょうもないことのために求めるシュールさ

  • 「一つだけ何でも願いがかなう」と言われるアイテムをめぐって戦うストーリーに対し、願いが決まっている面々の願いのスケールが小さい。
    • 舞は上述したようにアンディとの結婚が目的、アテナも髪を伸ばしたいというそれだけの理由。
    • ユリはストーリーでも「これでお兄ちゃんをギャフンと言わせてやるッチよ!」と語っており、それだけ見れば「(ユリが勝負を挑んだ途端に)リョウがギャフンと言って終わり」というオチが想定できるほど。
  • 他のメンバーは明確な願いが言及されていないが、そんな人たちのエンディングでも使い道がしょうもなかったりする。
    + エンディングネタバレ
    • レオナのエンディングでは「最近表情が固かった理由はただの虫歯、しかも歯医者は敗者に通じるので行きたくなかった(作中では単に「嫌い」としか言ってないが)」というオチが待っている。
    • 「何がいいかしらね♪」と語っていたシェルミーは結局ハムスターのかごを手に入れるが、その後「オロチ復活に使えたんじゃないのか?」とツッコまれる
    • ナコルルは結局帰るために使おうとするが、その結果が「リムルルの食事中のところに出現」と、(リムルルから見れば)ちょっと迷惑な展開である。
    • 一条あかりは何に使おうか悩み続けてエンディングの尺を使い切ってしまうという無計画ぶりを披露している。
    • ウィップは暗示を解いて自分の過去を知るために御札を使おうとするが、なんと御札がKOFシリーズのスタッフに電話をかけて直談判する(そして結局本編に支障が出るから1~2年待ってと言われる)という斜め上の展開である。*3
    • そんな中、色だけが「御札自体は気になっていたことを知るのに使っているが、明確な描写がない(子供を抱いている一枚絵はある)」とちょっと浮いている。

正体バレバレのミスX

  • ラスボスとして登場する、スケバン風のセーラー服に身を包んだ謎の格闘家・ミスXだが、どう見てもその正体は八神庵である
    • 実際、必殺技の中にはいつもの庵の技も多いほか、勝ち台詞の中にも「つきをみるたび、おもいだ…して…みろりん…みろりん!?」と正体バレバレなもの*4が。
    • 対戦前のデモでは過去のチームメイト(こちらも仮面をかぶって正体を隠しているつもり)も登場している。
      + 某エンディングが辛辣(ネタバレ)
    • ユキのエンディングは「今後庵が京といがみ合うことがあった場合、庵を一生性転換させるために御札を使う」と宣言することによって庵の弱みを握ることに成功するというもの。
    • + また、彼女(?)自身のストーリーは更にカオス(ネタバレ)
    • 彼女(?)は隠しキャラであるため説明書にストーリーは掲載されていないが、発売当時に発表されたミスX本人のストーリーでは「QOFの主催者が大会の趣旨に合わせてわざわざ女装までした自分の偽者だと知り、要らぬ誤解を招かないうちに自身も女装してこっそりと大会に参戦した」という設定になっている。
      ラスボス前のデモは、プレイヤーのミスXとラスボスのミスXがカオスな漫才を繰り広げているかのよう。
      エンディングでは京も登場し、しまいには「この人はな、この人は俺たちの…」と言いかけたところで「TO BE CONTINUED」になるという『龍虎の拳』のパロディまで飛び出す始末。
      そして最後は「続くのか?本当に続くんだな!?これは!!」と続編を匂わせる発言まで……
    • なお、全キャラでクリアすると出現するスペシャルエンディングでは正体を明かそうとしたところで時間切れとなるが、ここまで来たプレイヤーなら事前知識なしでももうわかり切っていることだろう。
    • 様々なところでネタにされたせいもあり、本作を知らなくても後述の『SNKヒロインズ Tag Team Frenzy』においてミスXの追加が発表されたときに「ああ、アイツか」という反応をした人も多いと思われる。

一部必殺技の演出

  • 各キャラの必殺技の中には演出がコミカルなものもある。
    • 黒焦げになる(緋鳥の舞、超必殺忍蜂)、なぜかハンマーを取り出している(雷煌拳)、リフレクターの形がなぜかケンスウ(サイコリフレクター)、どう見てもチャン・コーハンの口の中から飛び出している(刻鬼・髭入道)、など。
    • ギャルなのか微妙(年齢的な意味で)な色でも魔界転生が「爆発したあと、床の扉から出てくる形で追撃する」というものだったりする。
    • 完全新キャラのユキに至っては「カバンを振って中のものを飛ばして攻撃」「『キャー!!』と叫んだその文字に攻撃判定」「大量のクローン京の大行進」などほとんどの技がこの調子である。
      • もっとも、ネオポケ格ゲーでは初期に発売された『サムライスピリッツ!』では原作となる『サムライスピリッツ 天草降臨』からグロテスクな演出がコミカルな内容に差し替えられていた。だが、以降のネオポケ格ゲーはキャラのアクションの多くが普通の格ゲーの様なテイストに差し替えられていた経緯があったため、今作はある意味初期の作風への原点回帰とも捉える事が出来なくもない。
        しかし、脱衣KO的な勝利演出自体は存在しているとはいえ、同作で見られていたモロな脱衣といった様な過激な内容の演出自体は存在せず、普通に笑える程度に抑えられているのは良い点ではある。

一部オプションもギャルっぽい(?)

  • 日本語表示の場合、難易度の最下位と最上位がそれぞれ「ちょーかんたん」「ちょーむずかしい」、スピード選択も最高は「ちょーはやい」と当時のギャル言葉である。
    • 英語表示だと難易度は1~5、スピードも1~4と味気ない表示になる。

評価点

  • 多彩なギャグ要素
    • 上述の通り、コミカルかつくだらないギャグのオンパレードである。
  • システム面は堅実
    • ギャグ要素が目立つが、システム面は必殺技が暴発しやすい以外は堅実なもの。
  • 隠しキャラの解禁条件が比較的楽。
    • 隠しキャラの解禁条件は「キャラごとに固有の条件、もしくは総試合数」と楽な条件になっている。いずれも達成可能な難易度が定められておらず、一番下の「ちょ~かんたん」でも十分に達成する事が出来る。
    • ユキは全試合ストレートで勝つか150試合消化で解禁。
    • ウィップは80試合、もしくはデフォルトの8人全員で一通りクリアすればOK。
    • アイテムをすべて集める必要があるミスXも100試合消化で解禁される。
      • アイテムの中には特定の難易度でクリアすることが入手条件のものもあるが、各アイテムの入手条件を意識しなくても他10キャラでのクリア+α程度の試合数で解禁できる。
  • その他評価点
    • 過去のネオポケ格ゲー同様に対戦前後にキャラが字幕演出で原作での台詞を喋るという演出があったが、今作では更に超必殺技の方にも字幕演出が追加。超必殺技発動の際に原作の決め台詞を喋る様になった。
      • これにより、少しではあるがネオポケ格ゲーではありがちな「試合中はキャラの台詞が無い」という問題点を解決した形になる。

問題点

  • 暴発しやすい必殺技
    • コマンド入力の判定が甘いのか、必殺技が暴発することが多い。
      • 超必殺技が暴発して空振りしてむなしい結果に終わったり、プリティバースト暴発で無防備なところを攻められるのもありがち。
      • 過去に発売されたネオポケ格ゲーでのコマンド入力判定は今作の様な甘さではない。しかし、ゲームの雰囲気に合わせてとはいえ、『KOF'97』の様な甘い判定になっているのはいかがな事か?
  • 報われないキャラが多い
    • 上述の「明確な願いを持って参戦している面々」はどれも報われないエンディングとなっている。
      + ネタバレ
    • 舞はアンディにプロポーズするも「実は女」と言われ拒否される……という夢オチ。
    • アテナはせっかく髪を伸ばしたのに、次の出演作であるドラマの配役がショートカットだったためまた髪を切るハメになってしまう
    • ユリは手に入れた御札を何も知らないリョウに川に捨てられ、取り戻すことに御札の力を使ってしまうという、ストーリーから想定された以上に報われないオチとなっている。
    • むろん、元がギャグ調なのでそこまで深刻なものではないにせよ、ちょっと気になるところではある。

総評

ネオジオポケット末期の作品ということもあり、バカゲー的な要素を持ちつつもシステム面は堅実な作り。
頂上決戦 最強ファイターズ SNK VS. CAPCOM』と並ぶネオジオポケット格ゲーの最高傑作という声も高い。
ネオジオ30周年記念作品としてNintendo Switch版の配信も開始され、ハードのマイナーさ故の隠れた名作だったのが楽しみやすくなった。

余談

  • ウィップのみどの技をとってもシリアス路線であり(せいぜいプリティバーストがネタに走っている程度)、開発中止になったネオポケ用ソフト『キング・オブ・ファイターズR-3』(恐らく『KOF'99』ベース)から流用されたのではないかと見られている。
    • 同じく軍人キャラのレオナでも「相手の顔面にダイナマイトを貼り付ける」「自分の背丈と同じ大きさの手榴弾を投げる」といったギャグ要素はあるが、ウィップの技にはそういった要素がない。
    • また、今作のウィップ以外のKOF参加済みキャラの多く(ミスX含む)の構えや性能が'99をベースにしている点も幻の『R-3』から流用している可能性がある。
      • 『'99』からキャラクターや技が多く使用されている一方で、今作のシステム面は基本的に『'98』ベースで構成されている。このため、同作固有の新システムである「かわし移動」「カウンターモード&アーマーモード」は存在しない上、同作のストライカーの使用もごく一部のキャラの必殺技程度になっている。この事から、今作の時点で『'99』でのシステム変更が失敗だった事を示唆している様な物である。
    • ちなみにK'やマキシマ、クリザリッドなどのネスツ編キャラのドット絵がボードゲーム『THE KING OF FIGHTERS バトルDEパラダイス』にもあり、そちらも幻の『R-3』からの流用ではないかという説がある。
  • レオナ・シェルミー・ウィップのプリティバーストはそれぞれ相手に状態変化を引き起こすものなのだが、ネオポケのみというマイナーゲームかつ効果を調べるには通信対戦環境が必要だった為、20年以上経ってSwitch版が発売されるまで実際の詳しい効果が判明していなかった。
    • 海外のGameFAQsでも単に状態変化するという事しか把握されておらず、ニコニコ大百科でもSwitch版発売日に書かれた初稿では詳細不明とされていたほどである。
  • 庵の女装ネタ自体は『GALS' FIGHTERS』よりもっと前から存在し、97年発売のドラマCD『NEO-GEO DJステーションSPECIAL ラジオドラマ編』にて『八神庵子(やがみ いおりこ)』という、草薙京演じる『気弱な弟』と将来を誓った心優しい女生徒役を演じさせられている。
    • 2003年の『SNK VS. CAPCOM SVC CHAOS』において八神庵がミッドナイトブリスを受けた場合、ノーマル庵は庵子、ツキノヨルオロチノチニクルフイオリはミスXになる。公式が病気?SNKの日常です。
  • 2018年に本作の作風を受け継いだSNK女性キャラ限定格ゲー『SNKヒロインズ Tag Team Frenzy』が発売された。
    • あろうことか、ミスXがDLC(アーケード版では追加済)で再登場。
      しかもボイスおよび3Dモデルが、男性ボイス(女装)と女性ボイス(女体化)の2バージョン用意されるという徹底ぶり。後者は「御札を遂に使われてしまった」という解釈も

Nintendo Switch版「NEOGEO POCKET COLOR SELECTION」

2020年4月30日にネオジオ30周年記念作品の1つとして、Nintendo Switch版が突如配信開始された。
同社のネオジオポケットタイトル復刻作品群「NEOGEO POCKET COLOR SELECTION」の第1弾となった。*5

Switch版の仕様

  • 基本的には『SAMURAI SPIRITS』のSwitch版早期購入特典として用意された*6サムライスピリッツ!2』と同様の、ネオジオポケットカラー本体をエミュレーションしてフレームも再現した仕様。
  • Joy-Conの一方のみでも操作可能。双方セット(or Proコントローラー)使用時と一方のみ使用時で別々にキーコンフィグも可能。
    • 設定可能なのは実機におけるA/Bボタンのみ。このほか、メニューと実機OPTIONボタンが固定で設定されている。
    • ネオジオポケット実機とSwitchではA/Bの並び順が逆なので注意。
    • 本体のタッチパネルで画面上の方向パッド及びボタンを操作することも可能。
  • 対戦ではコントローラー2つのほか、携帯モードでの向かい合わせ対戦が可能。
    • 勝者が敗者のアイテムを奪う点も再現されているが、記録されるデータは1P側準拠のため、1P側の収支のみが反映される。
      2P側のデータは1P側を一時的にコピーしたクローンであるため、1P側が勝てば実質的に該当アイテムが増殖する形になる。
      逆に2P側が勝った場合は1P側から奪ったアイテムが消えてしまう事になるのだが、この場合は敢えて奪わないことで損失を防げる
      なお通信でのアイテム交換は非対応だが、本作では2台を接続した状態で双方がアイテムリストを表示することで自動的にアイテム交換モードに入っていたという挙動の関係上特別なメッセージはない。
  • リセットがゲームのみのリセットと本体初期化だった『サムライスピリッツ!2』から若干の変更があり、あちらでは本体の初期設定に移行していた後者がこちらでは言語変更のみとなっている。*7
  • 後に、10本収録のオムニバスソフトであるSwitch版『NEOGEO POCKET COLOR SELECTION Vol.1』およびSteam版『NEOGEO POCKET COLOR SELECTION Vol.1 STEAM EDITION』にも収録されている。
    • Steam版については単品発売がなく、このセレクションのみでの登場となっている。

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SNK 2D格闘
最終更新:2024年08月17日 20:34

*1 『'99』では「拳崇の超能力が戻るように」という願掛けで髪を切った設定だった。

*2 なおナコルルや色のようなワープ描写は一切無い。どうやって辿り着いたのか……。

*3 残念ながらネスツ編のストーリーは諸事情で投げっぱなしに終わり、1~2年後にウィップの過去が明かされることはなかった。

*4 元ネタは「月を見るたび思い出せ」である。

*5 特典として配信されていた『サムライスピリッツ!2』が第2弾、2021年3月現在『キング・オブ・ファイターズ R-2』『幕末浪漫特別編 月華の剣士 ~月に咲く華、散りゆく花~』『餓狼伝説ファーストコンタクト』『頂上決戦 最強ファイターズ SNK VS. CAPCOM』の6本が単品配信され、さらにこの6本に+4本を追加した『NEOGEO POCKET COLOR SELECTION Vol.1』が2021年3月18日より配信開始。

*6 2020年8月6日に一般配信開始

*7 後のカラー専用タイトル移植では『月華特別編』は本作と同仕様なのに対し、『頂上決戦 最強ファイターズ』は本体初期化に戻っている。