邪聖剣ネクロマンサー

【じゃせいけんねくろまんさー】

ジャンル ロールプレイングゲーム
対応機種 PCエンジン
メディア 2MbitHuカード
発売・開発元 ハドソン
発売日 1988年1月22日
定価 4,500円(税抜)
判定 ゲームバランスが不安定
ポイント 徹頭徹尾ダークな世界観
仲間次第で難易度が激変
インフレ気味な敵のレベル上昇
高過ぎるエンカウント率
非常に長いパスワード
後味の悪いエンディング
難易度に反してシステムはシンプル
色褪せない作風は今でも高評価
邪聖剣ネクロマンサーシリーズ
邪聖剣ネクロマンサー / NIGHTMARE REBORN


概要

PCエンジン初の記念すべきRPG。
ドラクエライクのRPGでありながら、当時としてはあまり例のない、クトルゥフ神話をモチーフにしたダークかつホラーな世界観に徹した作風が特徴としており、「夜、一人では遊ばないで下さい」というおどろおどろしげなCMのキャッチコピーが話題となった。

シナリオは後に漫画『DRAGON QUEST -ダイの大冒険-』等の脚本で有名となる三条陸氏。パッケージイラストに映画『エイリアン』シリーズで有名なH・R・ギーガー氏の既存作品「Spell 3」を許諾を得たうえで使用している。


ストーリー

「魔空王アザトース」の復活により、世界は再び闇に包まれようとしていた。
旅の勇者である主人公は、今は亡きランダメリア王・ジェイノスの遺志を継ぎ城を守る老人ギムルから二人の家来を借り受け、
「魔空王アザトース」の討伐に必要となる神々が生んだ武具「邪聖剣ネクロマンサー」を求めてランダメリア王国を発つ。


ゲーム内容

覚醒の言葉

  • 今作では『ドラクエ』での「復活の呪文」に相当する、パスワードコンティニューを採用している。
    • 使用できる言葉は名前入力と同様で「『を』以外のひらがな」「全ての濁点付きひらがな」「「ぱ・ぴ」だけの半濁点付きひらがな」「「AからY」までのアルファベット」「「ア~ト」までのカタカナ」「「ガ~ド」までのカタカナ」の合計128文字を採用している。
      • 少なくともゲーム進行に応じ、29文字、多くて50-58文字、最大で64文字までの長さに膨れ上がる。

パーティキャラクター

  • 「万能型の主人公」に加えて、下記する5人の仲間から2人を最初に選んで計3人のパーティを組む。
    大きく分けて「攻撃魔法を得意とするライム」「補助魔法を得意とするカオス」「攻撃力と体力が高いバロン」「素早さが突出しているマイスト」「大器晩成のロミナ」の5名。 最大レベルとピークのレベルはキャラクターごとに異なっており、最大レベルまで到達するのに必要な経験値も同じく異なっている。
    • その後パーティーメンバーを切り替えることはできないので、慎重に選ぶ必要がある。
  • 主人公
    • 物語開始前からランダメリア王国で知られていた猛者*1であり、いわゆる器用万能型。パラメーターの高さを活かして終始に渡り戦闘では活躍する。タイトルにもある「ネクロマンサー」を唯一装備することができ、その高い攻撃力は他のキャラの追随を許さない。
    • 使用可能魔法も便利なものが揃っている。特に主人公専用魔法である「セルス*2」は、雑魚敵が強くエンカウント率の高い本作で、無駄な消耗を避けるのに大変便利。
    • あえて短所をあげるなら、最大MPの低さか。使用可能魔法に見合わないほどに少なく、調子に乗って使いまくるとあっという間にMP切れを起こしてしまうので、リソース管理は慎重に行う必要がある。
  • ライム
    • 攻撃魔法を得意とする女性魔術師。全体を俯瞰すると、短所を大きく上回る長所を持つ。本作のゲームバランスに対し自信が持てないプレイヤー向け。
    • 多数の攻撃魔法が使え、しかもそれなりに素早い。範囲攻撃魔法が使えるようになると攻撃面の要になれる。
    • 他にもLvで効果の上がる強装備が中盤で買える、ピークレベルが最大レベルの一つ前な上、それを過ぎてもステータスダウンがほぼない…とかなりの優遇ぶり。
    • 短所は一部有用な補助魔法や、攻略上重要な魔法である「ゼライガス*3」「イーガス*4」が使えず、装備可能品もやや少なめなこと。攻撃魔法が通用しない相手だと使いづらく感じるだろう。
  • カオス
    • 素早さが低い代わりに豊富な回復、補助魔法が使える僧侶系魔術師。
    • 「イーガス」「ゼライガス」と言った魔法が使えることをはじめ、多数の補助魔法が使える。カオス専用魔法「グフトス*5」「ウォルズ*6」も通用する魔物が少なく使いどころが難しいが効けば強力。
    • 但し後述の「バロン」に次いで素早さが低いため、行動で遅れをとってしまう可能性が高い。装備は先述のライムとかなり似通っているため、比較的恵まれてはいる。しかし素早さの低さ故にその恩恵は薄め。
    • 攻撃魔法も最終盤のボスに対して有用な「デミール」を除いて低威力のものしか使えず、終始補助魔法に依存することになりがち。
  • バロン
    • 「10人りきの力と不死身の身体が自慢の種」と自称するだけあって攻撃力と最大HPが飛び抜けて高い代わりに、素早さが非常に低く、魔法が一切使えない。
    • ただ、魔法が一切使えない点と素早さが非常に低い点は、本作のゲームバランスに逆行してしまっているため非常に使いづらい。
      • 素早さに至っては、最大レベルになっても他のキャラの中程度のレベル相当ほどしかない*7ため、中盤以降は攻撃を外しやすい上、被弾した場合も連続攻撃を喰らいやすいし、その矛先を他の味方に流してしまうことも多い。
      • 素の防御力が他のキャラより若干高く、なおかつ鎧と盾に恵まれているものの、なんと「兜を一切装備できない」ためトータルの防御力が他のキャラと大差ない。最大HPが飛び抜けて高いとはいっても、過信は禁物。
    • 「ピークレベル=最大レベルであるため、唯一レベルを上げ過ぎてステータスダウンを起こさない」「兜を装備できない故に、結果的にアイテムを1種類多く持てる」「遅すぎる故に戦闘時の行動順が読みやすく、後攻アイテム係にできる」など、細かく見ると(ほぼ弱点と表裏一体ではあるが)光る面も一応ある。
  • マイスト
    • 全体的なステータスは低めだが、周囲から「はやてのマイスト」と称されるほどに非常に高い素早さが大きな特徴。それなりに武器と魔法が使える点もあり、魔法戦士的な側面もある。
    • 素早さのおかげで攻撃を命中させやすい上に回避も結構出やすい。これだけでもかなりの長所である。
    • しかし全体的に非力である割には装備品や魔法が充実しておらず、MPも並程度。
    • 厄介なことに、素早さのステータス参照に仕様上のバグがあり、255以上に上がるとすべての敵の「行動順決定時の素早さ」に255上乗せされ、パーティ全員が最初の町周辺の雑魚敵にすら先制攻撃されるようになってしまう。*8これさえなければ文句なしに使えるキャラだったのだが…。
  • ロミナ
    • ランダメリア王国での自己紹介で「これと言って取り柄はない」とロミナ自身が健気な様子で語っているが、謙遜ではなく正真正銘の器用貧乏である。一応、レベルと装備と魔法が揃ってくれば「主人公より魔法にやや寄った勇者タイプ」といった雰囲気にはなる。
    • Lv15から徐々にステータスの伸びが良くなり、Lv30から今までの伸びの悪さが嘘のように一気に成長する、大器晩成的な成長率が大きな特徴。
    • しかし大きく成長した後でも「主人公の下位互換」的なステータスであり、有用な武器や使用可能魔法があるとは言え、全体的に見ると装備できる武器や使える魔法は多くはない。
      • 最大MPは潤沢ではないが、非常に強力な魔法である「ゼライガス」と「ラミール*9」の貴重な使い手である点はロミナの強みと言える。

特徴・評価点

システム的にはドラクエライクのRPGであり、コマンドをはじめとしたUIにおいて共通している点が多い。
しかし、ドラクエなどのファンタジーとは一線を画したホラー系演出が今作最大の特徴であり評価点である。

クトゥルフ神話をモチーフとしたホラーな世界観

  • 当時の家庭用ゲームとしては珍しく、敵の名前の多くはクトゥルフ神話がモチーフに取られている。
    • ラストボス「魔空王アザトース」を始めその配下に中ボスとして「ナイアラトテップ」「ツァトゥグァ」「ハストゥール」「ヨグソトース」、半魚人「インスマウス」などが登場する。
    • また、海辺の近くで遭遇した敵は基本的に同じ地域の平地より強力という点なども、原典であるクトゥルフ神話を尊重した要素のひとつ。
  • 撃破された敵からは血しぶきが飛ぶ。モンスターデザイン自体も内臓等を連想させる微グロなものがちらほら。
    但し、植物系・亡霊系のモンスターも血が赤いので、違和感を感じる事も。
  • ボンバーマンシリーズ』をはじめとしたハドソンゲームのBGMに携わっていることでも有名な、竹間淳女史による独特の雰囲気を伴ったBGMの評価は上々。
    フィールドの程よい静かさからの戦闘時の恐ろしさと緊迫さ、ダンジョンの不気味さを増長する雰囲気に、隠しダンジョンの緊迫さ…と、どれをとっても必聴である。

美麗なグラフィック

  • PCエンジンで発売されたゲームなだけあり、グラフィックの美しさは当時の競合機種であるファミコンを凌ぐ。
    フィールド上の草原や岩山の山肌に、蒼く透き通った海など、いずれもPCエンジンの描画能力を十分生かしている。
  • キャラクターが高等身で描かれており、当時の低頭身のグラフィックが当たり前な時代の中では非常に目を引くリアリティを持つ。
    • そして戦闘時に表示される敵キャラクターである魔物のグラフィックが、ボスだけではなく全ての雑魚までもがアニメーションで動く。
      アニメーションする余裕のない貧弱なスペックとメディア容量の中でこの演出なのだから、当時としては衝撃であったのは想像に難くない。

特徴的な魔法の仕様

  • 魔法は魔道書として存在しており、入手し、所持することで初めて使用可能となる。
    フィールド上でなら魔道書の受け渡しも可能となっており、後半になったら邪魔になる弱い魔法を処分できるなどと言ったメリットがある。
  • 使用には「キャラによる制限」と「INTによる条件」が必要となり、両方を満たしていないと使用できない。また、所持可能な魔道書は1人7つまで。

隠された仕様も世界観相応

  • 例えば、キャラが死んだ同一ターンで単体回復魔法(ライル、ゼライル)やアイテム(やくそう)を死亡キャラに使った場合(要するに、敵に先に攻撃され回復が間に合わなかった場合)、蘇生呪文でないのに生き返ることがある。これはバグではなく、意図的に仕込まれた隠し仕様。
    • 失敗した場合に出るメッセージ「○○はよみがえらなかった」が、ちゃんと伏線となっている。雑魚戦よりもボス戦のほうが若干復活確率が高くなっているもよう。ちなみに全体回復魔法のゼライガスでは無理。
    • 他にも後述の「恐怖度」など、細かいこだわりはすばらしい。そのせいで難易度が高くなってもいるのだが…

衝撃的なエンディング

  • そして何より今作で最も話題になるのがエンディングの後味の悪さであり、今でも語り草となるほどに非常に有名である。
+ EDのネタバレ

強大な力を持つネクロマンサーが人々の欲望を煽り新たな争いを生みかねないことを危惧した主人公は、ギムルにネクロマンサーを託し、地底深くに封印するよう言い残してランダメリア王国から去っていく。
喜びと希望に満ち溢れた明るい雰囲気でエンディングが締めくくられるのだが……。
その後、陰気な曲調のBGMと共にスタッフロールが終了した後、ブラックアウトした画面にタイトル画面に表示されている不気味な顔が現れ、神々ですら持て余したネクロマンサーという強大な力を目覚めさせた人間に対する警鐘の弁を語る。
そして、「ザッザッザッザッ……」という効果音と共に何者かが土を掘り返していることを示唆するテキストが表示され、ゲーム終了となる。

人間は欲望には勝てないと喝破する衝撃的なエンディングであった。


問題点

本作を語る上で欠かせない点は「極端に高難易度寄りに偏ったゲームバランス」に集約されている。

パスワードが非常に長い

  • まず真っ先に槍玉に挙げられる不便な要素である。
    • 先述の仕様を見て頂ければ分かる通り、長い上に文字種が多く、様々な文字が入り乱れるため、書き写すだけでも大変苦労する。
      パスワードが映っている画面を写真に撮ったり、録画したりなどの手段に頼らなければ、早くても入力に5分ほど、下手したら当時の「ゲームは一日一時間」の20分くらいを余裕で使いかねない。
      • 昔は、今のように携帯やスマホやデジカメで「簡単に写真や動画を残しておける」時代ではなかったため、ノートやメモ用紙に手書きをしなければならないプレイ環境のほうが圧倒的に多かった。うっかり写し間違え、涙を飲んだ経験のあるプレイヤーは相当多かっただろう。
        PCエンジン最初期のソフトのため、後に発売された外部バックアップユニットに対応していないのも痛い。
    • 道具の所持数に応じてパスワードも非常に長くなる規則性がある。
      • 単純に所持数が少なければパスワードが目に見えて短くなる上、装備品の着脱をする際にアイテム所持数に応じてやや読み込みと思われる静止時間が入るのも、この仕様が影響しているのだろう。

エンカウント率の異常な高さ

  • ハドソン製のRPGはエンカウント率が高く設定されているものが多いが、その中でも極悪な部類。
    特に「天空城」等の『エンカウント率が高いダンジョン』では最早常軌を逸してるレベルであり、戦闘後に一歩動いたらまた戦闘、といったことが当たり前のように起こる
    ダンジョン自体は一階層かつ単純な構造で迷うこともないのだが、後述の雑魚の強さもあって相当きつく、ストレスが溜まる。
    • その他エンカウント率と関係なく、ダンジョンの特定位置に差し掛かったら、例え戦闘回避呪文「セルス」を使ったとしても確実に特定の魔物とエンカウントするポイントも存在する。
      ここで「セルス」を使うなり戦闘から逃走すると、あろうことか逃走直後にまた一から戦闘開始されると言う、ハマリみたいな仕様もあるおまけ付き。対策はきちんと倒すか全滅するしかない。
      よりによって上記「天空城」をはじめ、一部イベント進行上立ち寄らないといけないダンジョン、果てはラストダンジョン内でも、ルートの進行上必ず通らないといけない道にも複数設けられている箇所も。
      • 難易度的な問題のみならず、テンポも非常に悪くしているため、これだけでかなり評判を落としてしまった

魔物の異常な強さや、装備品偏重のステータスに起因する高難易度ぶり

  • 敵の強さの跳ね上がり方が半端ではなく、大陸の次の地方へ行くと、前の地方で余裕で戦える実力でも驚くほど苦戦する。
    中盤以降になると町で最強の装備を買いそろえ、ようやく雑魚と対等に戦える状態になるほどに極端なゲームバランス。
    ほぼ「必死に次の町へ」→「無双状態になるまでレベル上げ」→「必死に次の町へ」…のくりかえしになる。はっきり言って最初から最後まで楽に進める場面など存在しない。
    • 「レベル上げ前提のゲームバランス」というのは当時のRPGでは常識ではあったが、本作は当時から語りぐさになるほどの極端さである。
    • 仲間の組みあわせによっては、イベントを飛ばして次の町に強引に行き、買い物をしないとまともに戦えないことも。
  • それでいて装備品や魔法の価格が異常に高く、装備を整えるための戦闘でやたらに時間がかかる。装備品の補正が極端であるために、レベルを少々上げるぐらいではなかなか強くならず、メリットが薄い。
    • 度重なる苦労の末にようやく「ネクロマンサー」を手に入れることができれば、一転してフィールド上の雑魚と渡り合えるほどになるが、それでもラストダンジョン付近の雑魚は中々手強い。
  • 結果的に強力な武器を以ってしても易しくなるとは到底言えず、寧ろ「持っているのが前提で」ゲームバランスが設定されている。
    • 因みに二番目に強力な「レジェルダー」なる武器が存在するが、入手経路どころか存在に関するヒントも皆無
      その入手手段も、下記の見えない通路を経由した先にあるため、事前知識がないとまず入手することはできない。これがあるか否かで大きく難易度が変わってしまうほど敵は強いのに、である。
      • HuCard版の取扱説明書に「レジェルダー」を装備している画面写真が掲載されてはいるが、当然取説が手元になければどうしようもない(PCEのゲームアーカイブスは、取説が発売当時のそれとは異なる)し、見えない通路の先がわからなければ、どのみち拾うこともままならない。
    • 更にラスボスは異常に防御力が高く、攻撃魔法も一切通じない。真の力を解放した「ネクロマンサー」以外の物理攻撃では、本当に雀の涙ほどしかダメージを与えられない。
      それ以外でダメージを与えるには、充分レベルを上げたバロンにレジェルダーを装備させ、必殺の一撃に期待しなければならない。

素早さのステータスによる影響が極端

  • ハドソン製RPGの例に漏れず、素早さはこのゲームにおける最重要ステータス。
    行動順や逃亡率に関わるのはもちろん、物理攻撃の命中率と回避率に影響し、さらに素早さの彼我差に応じて通常攻撃が連続攻撃に変わる(最大で3連撃まで)。素早さが高いと物理攻撃が当たりまくり&避けまくり、連続攻撃で威力も十分…となるが、逆になると悲惨。
    • 厄介なことに、一部魔物は魔法攻撃であっても連続攻撃を仕掛けてくる。全体攻撃魔法を連打され、あっという間にパーティーが壊滅状態となることも珍しくない。対策としては魔法反射効果のある「ラミール」「まよけのみず」を重ね掛けするしかない。
  • 上記の仕様のせいで、相手の素早さを下げる魔法「イーガス」が強力な弱体魔法となっている。重ねがけするとこちらは連続攻撃で火力が数倍に、敵の攻撃は当たらなくなる無双状態になる。
    しかもラスボス含めて通用するうえ、自身に掛かった魔法を解除する魔法「フォルマ」を使う魔物がいない。魔法命中率が低めであることを除けば「使えすぎる」レベルの魔法である。

戦闘中に勝手に「味方が」逃げる

  • これは隠しパラメーター「恐怖度」によるもので、「仲間が敵にやられる」「戦闘不能の仲間を放置して冒険を続行する」などすると徐々に上がっていき、あまりに上がり過ぎると「一定確率で戦闘中に突然逃げ出す」ようになってしまう。
    初めて見ると驚くこと間違いなしだが、「おそれをなして、にげだした!」なる専用メッセージが流れるので、決してプレイヤーのコマンドミスではない
    • 頻繁に仲間がやられないようにすればまず起こらない現象ではあるが、他の問題点の部分を見て貰っても分かるようにそれを許すような難易度にはなっておらず、事前に情報を得ていないと、終盤仲間が逃げまくることになる。しかもタチの悪いことに、恐怖度を下げる方法はない。
    • 魔物が強いほど逃げやすく、しかもボスとの戦闘中であろうがおかまいなしに逃げ出すことも。しかし、戦闘終了後はなにごともなかったかのようにパーティに復帰する。
      • なお「恐怖度」の上がり方はキャラによって格差があるもようだが詳細は不明。一説によればロミナが一番上がりやすいとされているようだ。

仲間間の尋常ではない格差

  • 上記のパーティキャラ一覧の通り、今作では仲間ごとに尖った性能付けが行われており、そのためにかなりの格差を生み出している。
    • 特にこだわりがないのならば、多彩な攻撃魔法やそれなりのその他魔法と必要十分な素早さを含めたその他ステータスを有すライムが一番扱いやすい。
      • 次点で、素早さこそ低いが補助系を中心とした多彩な魔法が使えるカオスと、ステータスこそ低いが突出した素早さと必要十分な使用可能魔法を兼ねたマイストが扱いやすい。
    • 逆に通常のRPG感覚でプレーしたい場合、もっとも扱いにくく感じ取れるのはバロンとロミナだろう。
      バロンは長所よりも短所のほうが目立ち、全体的にハイリスクなステータス。ロミナも序盤~中盤に掛けて非常に弱いため運用が非常に難しく、かと言って大器晩成後もそこまで強いとは思えない。「バロン+ロミナ」の組みあわせはもはや茨の道。
    • 幸い戦略を練って長所を活かせればどんな組みあわせでもクリアは可能であるのが救いだが、自信のない人や初めてプレーするのならは「ライム+カオスorマイスト」で組むのが無難。
      • 因みにゲームのデバッグには高橋名人が参加しており、なんと全ての仲間の組み合わせでのクリアを成功させたそうだ。
        その名人いわく、最もつらかった組みあわせは「バロン+ロミナ」とのこと。「ノイローゼになりそうなほど辛い旅だった」とのコメントも残しており、思わず同情する方も多いのではないだろうか。

レベルを上げ過ぎるとステータスが逆に下がる現象

  • これはバロン以外の5人のキャラクターに起こり、あるレベルを超えてレベルアップすると、強くなるどころか逆にステータスが低下する。一説には『ウィザードリィ』よろしく「老化現象を再現した」と云われてるそうな。
  • 下がり幅にも格差がある。しかもキャラ差はあるが「強さのピークになるレベル」に近づくにつれてレベルアップまでに必要な経験値が段階的に減っていきレベルアップしやすくなる。一応注意を促していると取れなくもないが、罠と考えられる人は余程疑い深い人か、RPGマニアぐらいだろう。
    • バロンだけはピークレベルが最高レベルと同じで全く下がらない。ライムとカオスは大して低下しないので、そこまで神経質になることでもない。
    • マイストも体感できるほどに下がるとは言えども、実際の戦闘面においてはそこまで気にするほどではない。
    • この仕様の影響を一番受けているのが、よりによって主人公とロミナ。ピークレベルが比較的早いうえ、最高レベル62になると、レベル51のステータスと同等にまで落ち込んでしまう。

陰険な「見えない通路」の罠

  • 最後の大陸に渡るには、洞窟内の見えない通路を通る必要がある。ヒントは存在を示唆する形で存在するのだが、通路の場所はそのヒントからはまず思いつかないような場所にある。そのため、「異常に高いエンカウント率の、しかも広大なダンジョンの壁を、総当たりで」探すハメになる。
  • ただし、パーティは主人公を中心に左後ろと右後ろに三角形状に広がって移動するため「壁を避けるために中心にずれていた仲間キャラがいきなり壁にめり込んだ場所」が隠し通路という見分けかたがある。この場所は狭い廊下なので、偶然見分けられるかもしれないのが救いか。
    クリアーに必須な地点以外にも、行く必要のない「見えない通路」はいくつか点在している。

アイテム所持数上限による弊害

  • 一度に持てるアイテムの上限が極めて少なく、道具は1人につき8個、魔法も1人につき7個までしか所持できない。戦闘中に表示できる枠として「どうぐ」は6つ、「まほう」は9つ表示できる分用意されている中でこれである。
    しかも道具から装備品から重要アイテムまで全て同じ「どうぐ」枠で管理されているので、気を付けていないとすぐアイテム欄が埋まってしまう。
    なお「やくそう」などの道具は『ドラクエI』同様に独自のカウントが設定されているが、これも4つまでとかなり少ない。
  • そして重要アイテムが多いのも問題。ただでさえアイテム所持数上限の少ない中で更なる追い討ちである。
    • 序盤で入手する重要アイテム「バーンの杖」は、終盤でも使わなければ先に進めない箇所があるのだが、先述の道具欄のシビアさから捨ててしまい、泣く泣く取りに行き直す目に遭った人は多いと思われる。
    • また序盤で「バーンの杖」の呪いを解くのに必要な「スターサファイア」は上記の天空城への移動にも使うのだが、これまた捨ててしまっている可能性が高く、そうであったら最初の大陸まで徒歩で取りに戻らなければならない。

座標の管理設定ミス

  • 長い間ゲーム開始地点から近いフィールドで「トルース」なる本来終盤で手に入る強力な武器が手に入ると言うことで「トルースバグ」と呼ばれていた裏技の正体である。
    • 宝箱のある場所はマップアドレスの座標で管理しているのだが、これが地上とダンジョンで共通のアドレスを使用してしまっているのがバグの原因である。ちなみに宝箱の入手フラグ自体はきちんと管理されており、他所で拾うと本来の宝箱は空になる。
      有名なのは「トルース」「エルサーパ」なのだが、天空城の「ミゲルアーマ」「ミゲルシルド」などももう少し先に進んだ序盤のフィールドで拾えてしまう。
      更にこれを利用して序盤から天空城に行くこともできてしまう。尤もその時に行ってもラストダンジョンレベルの凶悪な雑魚に瞬殺されるだけだが。
    • 因みにこの「トルース」は、終盤の比較的容易に手の届く鍵の入ってない宝箱のものと誤解されることが多いが、実際はそれとは別に存在している上記の場所とはまた更に別ダンジョンの見えない通路の先にある宝箱に入ってるものだったりする。
      鍵がかかっているものについてはもちろん鍵を用意する必要があるが、それもかなり早いタイミングで入手できるため、途中でクリアーできずに投げてしまったユーザーからはかなり重宝されていた。
      勿論、これは言うまでもなくゲームのバグや不備の裏を突いたものであるため、その点に関しては擁護しがたいものがあるが。

魔法・装備品の独特な名称

  • 「クライトー」「ティールペルツ」「エルサーパ」など一見して武器なのか防具なのか、はたまた魔法なのかがわからない名称のものが多い。
    いわゆる「○○の剣」「○○ソード」や「○○の鎧」などのわかりやすい名称ではない。一部の鎧に「○○アーマ」、盾に「○○シルド」という物もあるがそれでもアーマーやシールド等といった一般的な名称ではない。
    そのため宝箱から「トルースを手に入れた」と出ても、なにを入手したのかがわかりにくく、魔法の場合も説明書で確認しないと効果がまるで予想できない。くわえて説明書の説明も簡易なので、正確な効果が分かりにくいものもある。
    • また、重要アイテム「ごうせい」なるものもあるが、後に出された漫画版では五芒星(ごうせい)となっているため、鳳声(ほうせい)を掛けたかばん語ではなく、単なる誤表記であると思われる。

淡白でお使い感が鼻に付くシナリオ

  • 極端なゲームバランスとダークな世界観の陰に隠れがちだが、よくよく見れば鼻に付く問題点として時折挙げられる点である。
    • 目的は「魔空王アザトースから世界を救う」なのだが、そこに辿り着くまでの過程は非常に漠然としており、要所要所の人の依頼を淡々とこなすだけ…と、重要なキャラクターとの対峙と言った要素が皆無*10
      物語を盛り上げるラスボスらとの対決は、本当にラストのみ…と、全体的に言えば陳腐と言い切っていいほどシナリオは淡白である。 最も伏線が回収しきれていなかったり物語そのものが破綻しているといったことはなく、かなり薄味ではあるが構成そのものはしっかりまとめ上げられてはいる。

総評

色彩豊かな風景に頭身の高い人物グラフィック、そして独特の雰囲気をモンスターのドットアニメーション、パッケージに採用されたH・R・ギーガー氏の描く世界観をモチーフにしたといわんばかりのホラーな世界観…。

上記の通り、当時としては斬新であり、今見ても見劣りしない要素や雰囲気を持っていたのにも関わらず、極端なゲームバランスから起因する難易度などからかなり人を選ぶゲームになってしまったのが非常に勿体無い作品である。
このような難易度と世界観になったのは「高橋名人の弟子」という設定で活動していた桜田名人(当時)が企画・バランス調整に携わっていたことを後年HP上で明かした際に、「スタンダードなRPGからははずれたものにしよう」と言う形でもともとの企画段階から意図していたことによるものだった。
故にこのような事態になるのは必然だったのかもしれないが、手に取るユーザーからしてみればゲームそのものが目指す方向性とゲームバランスの良し悪しがは別問題なのは言うまでもない。
ただ、難易度が異常なのは確かだが理不尽極まった運ゲーと言うような領域ではなく、しっかりと対策をとればクリアーすること自体は可能である。

後に配信された携帯アプリ版がシリーズ累計30万ダウンロードを達成し、本作発売から20年近くを経て続編が発売されるなど、現在でも熱心なファンが居ることが伺えるほどに一定の人気と知名度をもつタイトルであることがうかがえる。

インパクトある世界観を秘めているだけに、淡白なシナリオや不便な仕様といった問題点があれど、ゲームバランスにも目もくれない存在感を今でも輝かせているのかもしれない。


移植版

『邪聖剣ネクロマンサー』(携帯アプリ版 2004年11月22日)

  • 全体的にゲームバランスが大幅に調整されており、精々死んで覚える程度の難易度に抑えられた。少なくとも理不尽なゲームバランスはかなり改善されている。
    • 戦闘バランスの調整、仲間の入れ替えが可能、物価が多少安く、装備可能魔法の変更、新規装備品の追加、移動魔法「ゲルニダン」で任意の町へ行けるようになったなど、遊びやすくなっている。
    • イベントや中ボスの追加により、淡白なシナリオも多少改善されている。
    • 隠し通路に目印が追加されるといった改善がおこなわれたうえ、アプリ版公式サイトでは攻略情報まで載せているというサポートぶり。
    • 逆に強すぎた面も調整されており、特にネクロマンサーが弱体化された点が大きい。また、座標の設定ミスだった道端の強力なアイテム群も、本来の場所でしか入手できなくなっている。
    • バロンが兜を装備できないのは「鎧を着込んだ大男」といった外見から考えると不可解であったが、携帯アプリ版ではその理由づけのためか「燕尾服とシルクハットで正装したマッチョ」といった感じの、名は体を表しすぎなデザインに変更されている。完全にネタキャラ扱い。
      • バロン・マイスト・ロミナの3人については、もともと衣装がまったく同じで「緑色の鎧を着たキャラ」でしかなかったため、外見の差別化も兼ねていたと思われる。
  • 『邪聖剣ネクロマンサー』(バーチャルコンソール/PCエンジンアーカイブス 配信日:2006年12月2日/2009年12月16日)
    • 価格はどちらも600円相当、CEROは何とA(全年齢対象)

続編

  • 『邪聖剣ネクロマンサー2』(携帯アプリ 2009年)
    • 開発は、DSiウェア等で実績のあるソニックパワード。
    • 初代から1000年後、地に埋められたネクロマンサーが掘り起こされたことにより魔が蔓延し、荒廃した世界が舞台となる。
    • 携帯アプリとしては容量が大きいため完全な売り切り販売ではなく、要所で配信元サーバーにアクセスしてゲームのデータをダウンロードする方式をとるアプリであった。そのため、現在はプレイ不可能となっている。
  • 邪聖剣ネクロマンサー NIGHTMARE REBORN』(DSiウェア版2010年6月16日配信開始)
    • 上記『邪聖剣ネクロマンサー2』のニンテンドーDSiウェア移植版。開発は携帯アプリ版から引き続き、ソニックパワードが担当している。
      • 詳細は当該記事にて記載。

余談

  • 中井貴一氏が主演したTBSのドラマ『運命の逆転 盗まれた企業秘密!』では、本作が「ドラクエ並みの超人気RPGで、3作目まで発売されている」という設定になっており、さらにこのゲームを超えるソフトが『天外魔境II 卍MARU』という設定になっている。高橋名人もちゃっかり登場している。
  • アイテムを間違えて捨ててしまった場合、その場を動かずに「しらべる」することで拾い直すことができる。少しだけ便利な機能かもしれない。
  • 本作の消耗品は後半の街ほど値上がりしていき、最終的には最初の街と比較して5倍の値段となる。収入から考えれば微々たる差だが、現在からみても珍しい設定。
    • さらに余談だが、本作の薬草は最上位回復魔法のゼライルと同じ効果。そのため最初から最後まで第一線で活躍する。RPG史上屈指の効果と言える。
  • ラスボスをはじめ、その直前のボスは死獣扱いであり「デミール」の呪文でもダメージを与えられるが、消費MPの割りに100前後のダメージのため効率が悪い。
最終更新:2020年07月18日 23:45