北斗の拳
【ほくとのけん】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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ファミリーコンピュータ
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メディア
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512KbitROMカートリッジ
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発売元
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東映動画
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開発元
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ショウエイシステム ベアーズ
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発売日
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1986年8月10日
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定価
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4,900円(税抜)
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判定
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クソゲー
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ポイント
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しょぼいグラフィック 背景バグってない!? 「あべし」を取ってパワーアップ リンとバット嘘つきすぎ 聖帝や殉星を持つ男(お前の拳では死なん)まで爆殺
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北斗の拳シリーズリンク
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概要
もはや知らない人のほうが少ないであろう有名漫画&アニメ『北斗の拳』を題材にしたアクションゲーム。全5面。
特徴
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十字ボタン+2ボタン(パンチ、キック)で操作。ジャンプは対戦格闘ゲームのように↑で出る。
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プレイヤーはケンシロウを操作して、画面上に次々と出現するザコキャラクターのモヒカンをパンチやキックで倒していく。ステージ最後に待ち構えるハート(1面)・シン(2面)・ジャギ(3面)・サウザー(4面)・ラオウ(5面)といったボス敵を倒すとステージクリアとなる。
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ピンク色の敵キャラクターをパンチで倒すと爆裂し、取るとパワーアップとなる「あべし」という文字が出る。取る個数によって星が表示されていき、敵の飛び道具にタイミング良く攻撃を当てると跳ね返せるようになる、攻撃が空中でも出せるようになる、攻撃が自動的に連打となる、移動速度が上がる、リンが必ず正しい扉を教えてくれるようになる(例外あり)、といった効果が得られる。星が七つの最大パワーアップ時には原作のように上着が破ける演出あり。
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キックのほうがリーチが長く使い勝手が良いが、「あべし」はパンチで倒さないと出ないので、適度に使い分けていく必要がある。
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左スクロール型の2Dアクションゲーム。
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プレイヤーの体力はザコを10人倒すか、正しい扉に入る事によって、少しではあるが回復する。
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ボスキャラクターをそれぞれ特定の方法で倒すとケンシロウが原作でトドメを刺した技が黒バックに白字で表示され、ボス敵が残り体力に関係なく爆裂し勝利扱いになるという演出がある。
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ボスを技で倒すと体力が大きく回復する。
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特定の方法は原作が一応ヒントにはなる。
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ボス戦のトドメ技について
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1面のハートはキックを何発か当てるとハートの腹がへこみ、そこにパンチを叩き込むと「北斗柔破斬」が発動する。
ハートの腹は分厚い脂肪で覆われていて秘孔を突くことができないため、腹にキック連打して脂肪を押し退けて拳で秘孔を突く技である。
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2面のシンはパンチ連打で技が発動するが「北斗百裂拳」と「北斗千手壊拳」の2通りのトドメ技が採用されている。
これは原作漫画で連打系の技でシンの胸にブラッディークロスの紋章を刻んで倒しているが、技の名前が登場しなかったための措置。
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3面のジャギは「シンの分」と「ユリアの分」で醒鋭孔という原作の流れ。
ただし、「シンの分」のキック連打になぜか空中攻撃という条件が課されている。
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4面のサウザーは原作の「退かぬ!媚びぬ!省みぬ!」後の流れ通り、(ただし対空攻撃はゲームにないので空中で)パンチ連打して、最後の一撃として(アッパーがゲームにないので)キックで「北斗有情猛翔破」。
ジャンプ攻撃を斜め上への対空攻撃代わり、ハイキックをアッパー代わりにしてるのがちょっと強引。
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左に向かって進んでいるだけではいつまで経ってもゴールに辿り着けない。
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ではどうやってゴールに向かうのかというと、扉の前で「AB+↑」を入力することで中に入っていく。
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普通のアクションゲームのように↑で扉に入らないのは、ジャンプ操作が↑のため。ジャンプ(↑)orジャンプ攻撃(↑+A or ↑+B)しようとして扉に入るのを避けるためと思われる。
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隠しアイテムとして北斗七星があり、体力回復や1UPできる。
問題点
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同時期に発売され、システム的にも似通っている、セガ・マークIII(以下SMS)版と比べて爽快感がない。
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SMS版だとザコ敵は殴られると文字通りバシバシ吹っ飛ぶが、こちらはザコ敵をパンチで倒した時に肉体が奇妙な効果音と共に膨張してから肉体がはじけ飛ぶという演出になっている。
原作を再現をしているのだろうが、効果音がうるさい。なおキックで倒せば同様に敵は飛んでいく。
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扉は複数あって正解の扉に入らないといけない。違う扉に入ると戻される。
ここまでは分かるのだが条件を満たさないと正誤を見分ける方法がない。
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扉にバットやリンが出現し「ここが正解の扉」というのを教えてくれるような演出があるにはあるが、上述の「あべし」を取ってパワーアップしていない限り、入ったところで大抵は違う扉である。
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1面は2回、2面は3回と正解の扉を通らないといけない数も増えていき、3面と最終面は6回も通らないといけない。
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また最終面ではパワーアップしていても間違った扉を教えられる場合もある。総当たりするなり、場所を覚えるなりの努力は必須である。
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ちなみに4面(サウザーステージ)は一本道で扉はない。
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また前述したとおり扉の入り方は「AB+↑」と複雑であるため、扉の入り方を知らないといつまで経ってもゴールに辿り着けない。まあこれは中古などで説明書なしで買った購入者の問題でもあるが。
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挙句、時間がかかりすぎると永パ防止措置として、空から無数の武器が降り注ぐ。かわすのは絶対に不可能であり、強制的に1ミスとなる。
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ボスのトドメ技関連
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原作およびSMS版では爆裂していないシンやサウザーも爆裂してしまう。
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ジャギやサウザーには空中攻撃が必要で難易度が高い。
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サウザーは仕様上仕方ない面も感じられるが、原作再現的にも空中攻撃が必要なのは違和感がある。
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ゲームの難易度は高め。後半になるとザコの飛び道具の数がやたら増える。
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特に最終ステージの飛び道具ラッシュは鬼畜そのもの。
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グラフィックは当時を考えてもかなり粗い。
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1面の廃墟のグラフィックはカセットずらしを行った時に表示されるようなグラフィックになっている。
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ザコ敵をキックで倒すと、そのザコ敵がキックのモーションで斜め上に飛んでいく。ついでにケンシロウが倒された時も同じように飛んでいく。
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BGMは1ループがかなり短い。一応ステージごとに違う曲にはなっており、耳障りだったりと言ったこともないが。
評価点
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ジャギが出てくる
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SMS版はジャッカル編後にカサンドラ編まで話が飛ぶのでジャギの出番はなかった。
ただしその代わりこちらはGOLAN・ジャッカル・カサンドラ編がカットされている上に中ボスも登場しないので彼のファン以外には評価点とは言えない。
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結局レイ・アミバなどの出番は『3』を待つことになる。
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最終ボスのラオウ戦
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ケンシロウもラオウもオーラをまとう特殊演出がなされ、無想転生同士の戦いのような雰囲気が出ている。またケンシロウの体力が半分以下になるとラオウ戦背景の北斗七星に死兆星が見えるようになる。ラオウに対して隠し奥義はない。そして倒すと奥義名ではなく名台詞を表示して爆発もせずラオウの最期を再現している。
総評
約1ヵ月前に発売されたSMS版と比較すると、本作はグラフィック、サウンド、ゲームバランスいずれも大味である。
それでも当時の原作やアニメの絶大な人気や、「ファミコン初の北斗ゲー」という事もあって、売上150万本のミリオンヒット作になったとされている。
余談
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「あべし」の断末魔を世に広めた。
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元々この断末魔を発したのはジャッカル配下の元プロボクサーという無名のザコキャラクターであり、「あべし」は「ひでぶ(ハート様)」や「うわらば(アミバ)」等に比べればマイナーな断末魔だったが、本作により認知度が高まり、今や『北斗の拳』を代表する断末魔になった。これがこのゲーム最大の功績…かもしれない。
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『北斗の拳』の公式パロディギャグ漫画『北斗の拳 イチゴ味』で、『ファミコンサウザー』なるネタが掲載されたが、ザコ敵を倒すと「ひでぶ」と「たわば」が出現するという、本ソフトのパロディのような内容になっていた。
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因みに同漫画の作中で、サウザーは「子供は大人と違って嘘をつかない」と発言している。本ソフトでサウザーがボスを務める面に嘘をつく子供(=リン&バット)が登場しない事を考えると趣深いセリフ…かもしれない。
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さりげなくTVアニメ版公式サイトの下端にも本作のサウザーのグラフィックが載っている。ただし服の色はイチゴ味に合わせて紫色に変わっている。
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お笑い芸人・ハリウッドザコシショウの持ちネタには、本作の「扉にはけていく時のケンシロウのモノマネ」というものがある。
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『北斗が如く』では、敵の秘孔をタイミングよく突くと断末魔の叫びが文字として出現し、武器やアイテムに変化するという、本作を連想させるシステムが登場する。
最終更新:2024年12月17日 07:13